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マスター:小鳥遊美空
シナリオ形態:ショート
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/09/04


みんなの思い出



オープニング

●ouverture
 ――ラインの乙女戦線。
 そう呼称される戦いが、かつて兵庫の地で起きた。
 同時期に、神戸・芦屋・西宮の3都市にそれぞれゲートを開き、横一直線に連なる巨大なゲート群を完成させ、戦略的に重要な冥魔の拠点を築く、という悪魔騎士・アルトゥール采配による作戦だ。
 アルトゥールの入念な準備、人類側に居た裏切り者、忠実に実行した配下の悪魔。
 それらの要因もあり、彼のゲート群は開かれた。
 しかし、裏切り者が居たのは何も人類側だけではない。
 西宮ゲートを管理する『狂った童話作家』と呼ばれた悪魔、クローディアと、そのヴァニタス・アリスとの取引により、撃退士達は最悪の事態だけは回避する。
 契約に従い、西宮ゲートの破壊に成功すると、芦屋ゲートを管理する悪魔・リルティを討ち果たし、其の流れのまま、クローディアとアリスに裏切りを扇動、引き込む事に成功する。
 ここまでの戦いで多くの犠牲を払いながらも、リルティのヴァニタス・ポチも討ち、芦屋ゲートを解放。
 事実上の勝利、大金星と言えるだろう。
 しかし芦屋ゲートの崩壊後、アルトゥールは新たに加えた配下の悪魔、準男爵・ギネヴィア、堕天使・ラヴィーエルと共に神戸ゲートの地盤を確固たるものにする為、防御に徹した。
 個々の取り分としては少なくなってしまうが、電撃戦・消耗戦を強いられてきた撃退士側からして見れば、軽々しく手出しできないものとなる。
 神戸ゲート支配領域内に捕らわれてしまった多くの人々の安否は懸念すべき事項ではあるが、その辺りが、人類側にとって限界点でもあった。
 撃退士達は神戸ゲート開放を断念し、部隊は必要最低限を残して一時解散。
 周辺の戦闘も小康状態に落ち着いていった。
 そうして、月日は流れる。

 天界の神器『アドヴェンティ』を巡る戦い、神戸ゲートの西方に出来た巨大な冥界側ゲート、未だ健在の京都の天界側ゲート。
 撃退士達を取り巻く環境は大きく変わり、また、それに伴い陸運・海運の点から神戸の地は戦略的に見ても重要な地点となっていた。
 沈黙から数ヶ月、今、再び神戸を奪還する為に、戦火の序曲が奏でられようとしていた。

●リコリスの少女
 ――闇。
 どこまでも昏い闇。
 行けども行けども、先が見えぬ闇。
 月は陰り、眼下の惨劇から目を背ける。
 不意に、銀の閃光が黒一色の世界を切り裂いた。
「――・・・・・・ッ!」
 避け損ねた男の肩を、難なく捕らえる。
 ぽとり、と呆気ない音を立てて、腕だったものが落ちた。
 声が出ない。
 ぱくぱくと、酸素を求める金魚の様に唇が震えるだけ。
「・・・・・・貴方も、違うのね」
 逃げる事も抗う事もせず、ただ怯えるしかない男に、白刃を引っ提げた少女の相貌は、諦観とも取れる色を浮かべた。
 男は困惑した。
 何故、この少女はそんな表情を見せるのか。
 だが、答えはでない。
 其れを導き出すには、男に残された時間は余りにも短すぎたのだ。
「ひとつ目。残りは・・・・・・、そうね、あと五つ」
 身を翻し、少女は征く。
 次の戦いを探して、次の次の戦いを求めて。
 やがてくる、その先にあるモノを渇望して。
 少女の髪に飾られた、純白の『リコリス』を、鮮やかな緋に染めながら。

●危急の知らせ
「神戸ゲート支配領域内に出した鬼道忍軍で構成される偵察隊が追われているようだね。相手は、多分アンリエッタじゃないかな」
 はぐれ悪魔・クローディアが、未確認である、と注釈をつけながら、現状について語り出す。
 昨日の夕刻、神戸ゲート再攻略部隊編成に当たって、支配領域内への偵察を出したと言う。
 駆り出されたのは熟練の鬼道忍軍6名。
 本来であれば、6時間程度で帰還する予定であった。
 しかし、最後の定時連絡で敵のヴァニタスと思われる存在に発見され、交戦中である、という旨を知らせた後に音信不通となって、今に至るらしい。
 直ぐにでも救助隊を組織したかったが、時刻は深夜だ。
 明確にどこに居る、とも知れない状況下で敵の領域内に援軍を送るのは、下手すれば共倒れする可能性すらある。
 だからこそ、夜明けまで待たねばならなかった。
「確かにその6人が生きてて情報を持ち帰るなら、危険を冒すだけの価値はあるのかもしれないね。だけど、実際はどうだい? まさしくシュレディンガーの猫箱さ」
 生きているのか、死んでいるのか、実際に行ってみなければ解らない。
 もしかしたら、既に6名とも殺害されているかもしれない。
 ならば、今からそんなものの救助に行こうという自分達は、飛んで火に入る夏の虫。
 唯の死にたがりの道化じゃないか、とクローディアは嘲笑う。
「本当に君達はどうしようもない程、狂った存在だね。愛すべき愚者さ。在りもしない希望に命すら賭けて、居もしない神に命運を託すんだからね。とても滑稽だよ」
 そんな人間だから鑑賞に値する価値もあるのだ、とつけ加えながら最後に連絡があった地点を記した地図を広げる。
「とりあえずここから退路を予測して網を張るしかないだろうね。一応、緊急時合流ポイントは設定されてるから、彼らが生きてた場合の最終的な目的地はここになるだろう」
 作戦が淡々と詰められていく中、室内に新たな撃退士が駆け込んできた。
「偵察隊から連絡が入りました! 5名生存、位置特定できました! しかし、依然ヴァニタスに追われていて、余力が無いとの事。至急、救援を!」
 雲を掴むような作業に、ふっと沸いた明るい知らせだった。
 これでどうにか形になる。
「やれやれ、どうやら今回は運が良かったらしいね。それじゃあ、行こうか。敵の支配領域に殴り込むんだ。土足で上がる覚悟だけは、持ってるかい?」
 不敵にクローディアが微笑う。
「それと、ボクは当てにしないでほしいね。君達がどうなろうが、ボクは知ったこっちゃない。我が身可愛いからね。死にそうになっても見捨てるから、自分の身は自分で護る事だね」
 元より、自分の欲望の為に裏切った悪魔だ。
 過度な期待は出来ない。
 撃退士は肝に銘じつつ、支配領域へと突入を開始した。


リプレイ本文

●不協和音
 一陣の風が、街を駆け抜ける。
 轟々と唸る風鳴りは何かを責め立てるかの如く怨嗟を孕み、耳朶を打つ。
 僅かに鼻腔を擽る芳香は、懐かしきも恨めしい甘き死の記憶を想起させた。
 嘗て観光都市として其の美しさを誇った神戸の栄華は、今や見る影も無し。
 死と退廃が支配する魔窟、そう形容するのが相応しいと言わざるを得ない。
「見つけたよ。でも、急がないと保たないだろうね。あのままじゃ、愉快なオブジェになるまでそう時間はかからないんじゃないかな?」
 にやついた笑みを隠そうともせず、上空からの偵察を終えたクローディアが撃退士達の元に降り立った。
 はぐれ悪魔のもたらした報は本人の態度とは反比例し、事態が逼迫した状況にある事が窺い知れる。
 ギリッ、と久遠 仁刀(ja2464)は歯ぎしりした。
 以前の神戸での戦いでは、悪魔相手に一太刀浴びせるのがやっとで、結局何も為せなかった。
 神戸を解放できなかった後悔が、今もまだ、仁刀の胸に燻っている。
 否、仁刀だけではない。
 ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)もまた、この地には並々ならぬ因縁を持つ。
「(あれからもうすぐ一年、ですか……。私はあれから、変われたのか……、試される時、ですね)」
 想いが強すぎて、見失いそうになる事もあった。
 でも、今は違う。
 きっと、護ってみせる。
 誓いを新たにしたファティナに迷いはない。
「偵察、お疲れ様でした。ありがとうございました」
 日下部 司(jb5638)がクローディアを労った。
 司の要請を受けての斥候だった、からである。
 クローディアが仲間の頼みを受けて、やり遂げた今ならばと、
「みんなで帰りたいので、お願いします、です。クローディアさん、力を貸して欲しい、です」
 ユイ・J・オルフェウス(ja5137)がクローディアに、合流後の偵察部隊の護衛を頼んだ。
 そんなユイの様子を、機嶋 結(ja0725)は冷ややかに見つめる。
「(……いつ、裏切るやら)」
 悪魔への復讐を誓い、其の根絶こそを自身の存在意義として掲げる結にとって、仲間になったとは言えクローディアなど到底信用できるようなものではない。
 戦場での不信は、即ち死へと直結する。
 だからこそ、僅かでも不安要素の残るものを宛てして背中を託すべきではない、と結は距離を取り、警戒を強めた。
 それに、結にはこの任務で為すべき事がある。
「(ギネ、ヴィア……!)」
 結の腹部に、未だ感じる鈍い痛み。
 彼の女悪魔に貫かれた箇所が、きりきりと痛覚に訴えかける。
 誇りを、心を土足で踏みにじったあの悪魔のヴァニタスが、この先に居る。
 そう考えただけで、結の中を猛る劫火の如き感情の奔流が駆け抜ける。
「力を貸す? 何を言い出すのやら。ボクは最初に言った通り、我が身が可愛いからね。安全な範囲であれば作戦の成功に全力を尽くす、其れだけさ」
 そんな仲間、と呼べるかどうかさえ怪しいが、偵察隊救助の為に集った撃退士達の思いを知ってか知らずか、クローディアはあくまでも自らの道を通す。
 其の発言の意図はさておき、ある者には更なる不信を、ある者には安堵を与えた。
「はい、ありがとう、です」
 他者を疑いきる事が出来ず、正直で優しいユイは、クローディアの一言に対して素直に礼を述べ、頷いた。
 しかし、以心伝心。
 口には出さないまでも、撃退士達各々が心の内に秘めたる不信の種は秘やかに芽吹き、場の空気に影を落としている。
「……僕は、あなたたちの因縁だとか、そういったものはどうだっていいです。でも、仲間が救いを求めているのなら、全力で戦います……僕の力が、役に立つならッ!」
 場の空気を読んだレグルス・グラウシード(ja8064)が、釘を刺した。
 目的を見失ってはならない、と。
 友人も多く、他者の感情の機微に敏感なレグルスだからこそ、読み取れたのかもしれない。
 アリア(jb6000)もスレイプニルの背を撫でながら、同調した。
「不当に奪われたものに抗い、命を賭ける。人のその姿に、美しさを感じました」
 天使という種族である彼女だからこそ、言葉の重みも違ってくる。
「私の力はまだ小さいけれど、彼らの決死の覚悟に応えたいと思うのです」
 前を向くその瞳に、曇りはない。
 そして、この作戦に参加しているもう一人のはぐれ悪魔たる夜姫(jb2550)もまた、クローディアと違い、自分よりも仲間の命を尊ぶ。
「行きましょう、立ち止まっている暇はないはずです」
 黒き翼を広げ、進撃を促した。
 斯くして、撃退士達は戦の火蓋を切る。
 神戸解放への全ては、此処から始まるのだ。

●鞘走り
「……もう二度と繰り返すものか。一番槍、行かせて貰うぞ」
 愛刀ハクロウを手に、仁刀は全力の跳躍を行う。
 眼前の建造物を飛び越え、一心不乱の逃走劇を繰り広げる偵察隊の背後へと。
「行け! この先に仲間が待っている。ここは、俺が受け持つ!」
「救援か!? 感謝する!」
 中腰の姿勢から刀を構え、鯉口を切る。
 刀身が仁刀のアウルに反応し、陽炎の如く揺らいだ。
 程なくして、追撃手たる少女の姿が見える。
 廃墟を疾駆する、余りにも場違いな給仕服。
 靡く銀糸の髪が陽光を受け、儚げに煌めいた。
 否、輝きを放つのは其れだけではない。
 手にした抜き身の二刀は、より鋭い光を湛えている。
「……新手、か」
「……ヴァニタス、か。此処を通す訳にはいかない!」
 ヴァニタス・アンリエッタは仁刀の姿を認めても尚、止まりはしない。
 迷い無く突き進んでくる。
 刹那、交錯。
 急所を襲う二刀の重い一撃、
「させる、かっ!」
 それを、弧光を以て軌道を逸らせる事に成功する。
 が、勢いまでは殺しきれない。
「ぐくっ!?」
 鈍痛が、腹部を襲う。
 べちゃり、と血が飛び散った。
「なかなかやりますね。でも――……」
 アンリエッタの、二太刀目。
 返す身体の動きを利用しての、滅斬二連。
 
 カァァァァァンッ――……。

 甲高い、刃と刃の鬩ぎ合い。
 弧光で勢いを削ぐ仁刀だが、やはり捌ききれるものではない。
 逆袈裟の斬撃が胸板から肩口にかけて走った。
「――ッ、ぐぅ……!」
 意識が飛びそうな程の衝撃。
 更に、

 タァァァァァンッ――……。

 街の静寂を打ち破る轟音。
 狙いは、血飛沫を吹き上げる仁刀。
 外す事なく、鍛え上げられた身体に弾丸を貫き通す。
 間を置かず、第二射、
「……狙撃手、か!」
 身を隠そうにも、隠れる場所がない。
 仁刀の身体に傷が増えていく。
 アンリエッタ側も、毛頭逃がす気などない。
 追撃の弓矢が仁刀を襲った。
 まさに集中砲火。
 仁刀は、刃を地に突き立て、片膝をつく。
 このままでは保たないのは、誰が見ても明白であった。
「させません!」
 建物の影から飛び出したファティナのライトニングが、側面からの奇襲という事もあり、アンリエッタに避ける事を許さず貫き通した。
 間一髪での救援、最大射程ぎりぎりの一撃。
「……また、新手。立ち向かい、ますか。そう、貴女達は抗うのね……」
 されど、アンリエッタは薄く微笑み、刀を握り直す。
 リコリスの花が、静かに揺れた。
「(この娘が、あの魔女の最高傑作……。魔女の言葉通りだとしたら、あの髪に飾られた『リコリス』の飾りは彼女の過去、そのもの。……なら悲しい、思い出?)」
 アンリエッタの主、ギネヴィアとの交戦経験があるファティナは、彼の悪魔の嗜好について思いを馳せた。
 ギネヴィアは、ヴァニタスやディアボロにする少年・少女達に絶望的な選択を迫り、その結果、為ってしまった者達の人生、選択に沿った花を贈る。
 ならば、リコリスを冠するアンリエッタにも、同情すべき点があるのかもしれない。
 だが、
「(今はそんな事を考えている余裕はないですね……)」
 ヴァニタスの傍らで血に濡れる仁刀の後退を支援しなければならない。
 仁刀に出遅れた仲間達も、続々と救援に向かっていた。
「申し訳ないですけど、私達はディアボロの討滅を優先しましょう。このまま、飛びますよ?」
「はい、お願いします、です」
 夜姫はユイを抱えると、ディアボロ達の射線に気をつけながら建物群の隙間を縫い、飛翔する。
 そうして、狙撃を防ぐべく、アスチルペの花を持つ少年人形の近くへと降り立った。
 黒刀を抜き放ち、射線を塞ぐ夜姫。
「これ以上、やらせはしません」
 何よりも、命を護る為に。
「できれば、みんなで一緒に、帰りたい、です。絶対、絶対、帰る、です!」
 ユイも、気持ちだけでも負けない、と精一杯の虚勢を張る。
 本当は怖いし、戦いは得意ではない。
 それでも、大切なものを護る為にはやらなければいけない時もあると、知っているから。
 仁刀の元に、全力移動で建物を迂回したレグルスが駆けつけた。
「ッ、酷い傷だ……。でも、僕の力が、仲間の傷を癒す光になるならッ!」
 レグルスのライトヒールが仁刀の傷を僅かに塞ぐが、出血が激しく、血が止まらない。
「すまない、感謝だ」
 だが、仁刀に再び立つ力は与えられた。
 それでも危機的状況には違いない。
 結も援護すべく走るが、少女の足では間に合わず、また射程も足りなかった。
 心だけは早く、速く、疾く、と急く。
 幸い、アンリエッタ達の注意が仁刀達に集中した為、偵察隊は無事に角を曲がり、ひとまずの窮地を脱する事は出来た。
「救援に来ました。後少しです頑張って下さい」
 司が出迎え、誘導・合流する。
「さぁ、こちらへ。ひとまず彼女達から距離を取ります」
 アリアはスレイプニルに偵察隊の一人を相乗りさせると、一気に敵の狙撃手の射程外へと離脱を図った。
 他の者も、司とクローディアに誘われて順次後退する。
 初手としては、悪くはない運び、と言えるだろう。
「一旦、仕切り直させて貰うぞ」
 仁刀、立ち上がり様に強烈な幻氷の一撃をアンリエッタに打つ。
 軽い衝撃。
 二刀を十字にして防ぐヴァニタスだったが、華奢な身体は、僅かに後方へと吹っ飛ばされた。
 隙が出来た。
 よろける身体を支えて、ファティナ達の居る方へと後退しようとする仁刀だが、
「ごふっ!?」
 出血のダメージが思いの外、激しい。
「大丈夫ですか!?」
 慌ててレグルスが支えるが、
「逃がさないわ」
 風圧を帯びたアンリエッタの剣舞が繰り出され、仁刀とレグルスを容赦無く切り裂いた。
 勢いに押され、踏鞴を踏む。
 更に、追い打ち。
「終わりよ」
 納刀からの高速の抜刀術。
 魔力の閃刃が、仁刀を捉え、裂いた。
 血の花が咲く。
「鞘走った、か……」
 緋色の海に、仁刀は沈んだ。
「仁刀さん!? くっ……、レグルスさん、援護しますから、下がってください!」
 ファティナの雷撃が再びアンリエッタに刺さる。
「すみません、助かります……!」
 レグルスの傷も浅くない。
 むしろ、カオスレートが対極の者同士である為、剣閃乱舞によるダメージはレグルスの方が大きい。
 それでも、仲間を見捨てて一人で逃げるようなレグルスではない。
 ぐったりとした仁刀を抱えると、懸命に走る。
 誰一人、死なせはしないという絶対の意思。
 身近な仲間すら救えない者に、他の何かを護る事など出来る訳がないのだから。

●暗雲
「うぐっ……痛い、です……」
 ユイの瞳から、大粒の涙が零れた。
 銃弾で穿たれた腹部を抑え、思わず蹲る。
 撃退士とは言え、本来の彼女は戦闘には向かない内向的な少女だ。
 室内で本を読み、空想の世界を旅し、大好きな林檎を満面の笑みで頬張る。
 そんな、どこにでも居る少女だ。
 それでも、彼女には力が在る。
 世間一般の、他の誰もが、望んでも持ち得ぬ特別な力。
 無尽光と言う希望の力が。
 だからこそ、痛みを抱えても尚、立ち上がり、抗い、戦い続ける。
「早く、倒れちゃってください、です……!」
 コンセントレートで伸ばした最大射程からの魔法。
 銃弾を一発だけ撃ち、逃亡しようとするアスチルペの人形を穿つ。
「援護、感謝です。動きは私が止めます」
 ユイの攻撃で一瞬の隙が生じた少年人形を、夜姫の雷鎖が縛りあげた。
 激しい電撃。
 しかし、少年人形の動きは止まらない。
「届かないですか……」
 後方を見やれば、ちょうど仁刀が倒れた所だ。
 ユイのダメージも、後衛職故か、物理攻撃に脆く、かなり身体の方にキているように見受けられる。
「(……判断を誤れば、仲間の命が危険、ですね)」
 繊細な作戦だからこそ、時には英断も必要になる。
 夜姫の頭に、『後退』の二文字がちらついた。

「やれやれ、一体何をしているんだろうね、あの子達は」
 レグルスが運んできた仁刀をひょい、とクローディアが抱え上げ、背負う。
 自らの傷をレグルスがヒールで回復しながら、尋ねた。
「……どういう意味ですか?」
 敵の足止めに成功し、アリアの退避支援も功を奏した。
 偵察部隊の安全圏離脱は今の所、順調に進んでいる。
「そのままの意味さ。目的を違えているんだよ。ボク達は何をしにきたんだい? そう、偵察部隊の回収さ。しかも、敵地のど真ん中でね」
 敵地の中心部だからこそ、常に最悪の事態を想定し、無用な戦闘を避けるべきだ、とクローディアは言う。
「出会い頭に発煙筒を投げるなりして狙撃手の目を誤魔化す。一時分散してターゲットをばらけさせる。そういう手もあったんじゃないかな。まぁ、今となっては遅いけどね」
 既に足止めの隊とはかなり離れてしまっている。
 今はもう、彼女達を信じて先に進むしかない。
「あの4人、死ぬよ。まぁ、いいんじゃないかな? 4人が死んでも、5人が生きればお釣りがくるさ。情報のおまけもある。君達が彼女達を餌にして逃げたかいもあるってもんだよ」
 そう言って、クローディアは嘲笑った。
「……僕は、仲間を信じます。彼女達は僕達を信じて、偵察部隊の護衛を託した。だから、僕は彼女達の信頼に応える事で想いに報いるッ!」
 レグルスは静かにはぐれ悪魔を睨んだ。
 隣に居るアリアも、口に出さないにしても、いい顔はしていない。
 部隊の後方で、殿を勤める司もそうだ。
 彼らは、誰一人として仲間を見捨てるつもりはない。
 無言の重圧。
「認めたくないのは若さ故、かな。まぁ、其れもいいさ。結局のところ、事実は変わらない。ボクは空から偵察でもしてるよ」
 居心地の悪さを感じたのか、クローディアは仁刀を抱えたまま、翼を広げて上空へと飛翔していく。
 その様を、誰も止める事なく見送った。

「やっと……見つけた……! この傷の疼き……贖いなさい! あんたの命でっ!」
 身の丈を越える程の巨大な剣を振りかざし、結はアンリエッタの前に立ち塞がった。
 甘美なる復讐という激情に駆られるままに、少女は魔剣士へと迫る。
 暴力的な一閃。
 刃と刃が火花を散らし、高らかに暴虐の詩を奏でる。
「死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 滅びろ、薄汚れた悪魔の眷属めっ!」
 結の憎悪が、僅かに勝る。
 押し切った刃が、アンリエッタを斬り裂いた。
 しかし、アンリエッタの相貌には、歓喜の色が浮かんでいる。
 殺し合いをしていると言うのに、だ。
「ギネヴィアの眷属らしい狂いっぷりね」
 凍てついた視線で、結が睨みつけた。
 瞬間、アンリエッタの剣が踊る。
「貴女に、解るかしら? どれほど憎んでも、……恨んでも足りない相手に屈服させられ続けるという屈辱が、悔恨が、憎悪が、憤怒が、絶望が」
 淡々とした口調とは裏腹に、激しい滅斬の一撃。
 結は銀の盾を以て威力を軽減するが、重い。
「死を望んでも得ることのない、終わりのない牢獄。壊れてしまわなければ、私はどうすればいいのかしら? ねぇ……、あなたは私を、満たしてくれますか?」
 容赦無い滅斬での追撃。
 もう一度、銀の盾を使うが、カオスレートの対極にある者同士、その威力は絶大と言える。
 とてもではないが、削ぎきれない。
「(……っく、出血が、酷い)」
 怨敵を前にして、満足に斬り結べない状況の歯がゆさに、結は臍を噛む。
 更に追い打ちは続いた。
 チャージを終えたベロニカの少女は、結と、レグルス・仁刀撤退支援の為に無理に前に出てたファティナを其の射線上に捉え、痛烈な一矢を見舞う。
 一条の軌跡が、少女達を貫いた。
「かはっ……!?」
 奇しくも、結は嘗てギネヴィアに貫かれたのと同じ腹部を、チャージショットにて穿たれる。
 結の意識は、そこで途絶した。
「結さん!? くっ……、死なせません!」
 ヴァニタスの前で倒れ伏す結を救出する為に、ファティナが前に出る。
 直進しながらの、マジックスクリュー。
 ファティナの魔力がアンリエッタを上回り、朦朧状態へと至らしめた。
「結さん、大丈夫ですか!? 意識が……、出血も酷いですね……」
 後退るヴァニタスの一瞬の隙を突き、結を回収する。
 ファティナは結の負傷具合を確認すると、撤退を決めた。
 過去、エレオノーレ(jz0046)の事を巡って対立した事もあった。
 それでも、結の根はいい娘なのだと、ファティナは信じている。
「絶対、助けますから……、だから、頑張ってください」
 後ろを振り返らず、一目散に後退を開始した。

「私じゃ……、何も、誰も、護れない、です、か……」
 ユイは血の海に沈んだ。
 武器の射程と物理・魔法・職の相性も勿論ある。
 だが、一番効いたのは、たった二人で抑えようとした無謀さにあった。
 無茶をするにも理由はある。
 それ程までに、ユイの『みんなでかえる』という思いが強かったのだろう。
 しかし、想いが強すぎたが故に、見失いがちな現実がある。
 其れが、今回の顛末と言えた。
 夜姫は決断しなければならなかった。
 後方、結は沈み、ファティナは逃走している。
 こちらもユイが倒れ、夜姫自身には余力があるとは言え、ヴァニタスともう一体のディアボロに囲まれればひとたまりもない。
 自分一人であれば、其れでも足止めできるなら、と命の危険を顧みずに戦っただろう。
 しかし、今の状況はそうではない。
 夜姫の敗北は、即ちユイの死も意味する。
「……もう、目の前で誰かを喪うのは、ごめんです」
 誰にとも無く呟くと、翼を広げ、ユイを抱えた。
 行きがけの駄賃、とばかりに少年人形に雷鎖を食らわせ、空へと離脱する。
「(ひとまず、仲間と合流ですね)」
 ファティナのフォローをしないと危険だ、と判断した夜姫は、救援へと向かうのだった。

●逃亡劇
「ヒリュウ、偵察をお願いしますね」
 アリアのヒリュウが、神戸の空へと消えていく。
 クローディアが宛てにできない以上、自分達で出来る事は自分達でやっていくしかない。
「ありがとうございます、これで、少しは安心できますね」
 レグルスが礼を述べる。
 敵ゲート支配領域内部だと言うのに、追撃の手の数が少なすぎる。
 レグルスは他の追手が来るのでないか、という懸念を抱いていた。
 殿の司が時折、背後を確認するが、敵が来る気配は今の所ない。
 それと同じで、残してきた味方が戻ってくる気配もない。
 ゲート支配領域内での通信は、光信機を用いるが、今回の作戦では急な事の為に持ってくる暇もなかった。
 だからこそ、戦況が解らない。
 足止めを担った撃退士達は上手く事を運んでいるのか、或いは既に――……。
 嫌な予感が頭を過ぎるが、今は自分達の為すべき事を進めていくしかない。
 司達は慎重に歩を進ませ、安全圏へと近づいていった。

 幾本もの矢がファティナに突き刺さる。
 射程外からの、執拗なまでの追撃。
 だが、足を止める訳には行かなかった。
 ヴァニタスの姿は見えないが、時間を掛ければ追いつかれてしまう。
 ぴったりと背後につくベロニカの少女に対し、あまりにも無力だった。
 血を失い、意識が薄くなっていく。
 結果的に、彼我の能力差を測り損ねて各個撃破からの前線崩壊。
 敗走、壊走、逃亡劇。
 狩る者から、狩られる者へと。
 一度あちら側に傾いてしまった天秤は、今在るチップでは元に戻す事叶わず。
 策もなく、宛てもなく、希望を捨てずに走り続けるしかない。
 しかし、戦場の女神は容赦がない。
 ただ、其処にある過酷な現実のみを突きつける。
 再びのチャージショット。
「あっ……」
 背負ていた結もろとも、ファティナを貫いた。
 生暖かいものが、ファティナの背中越しに広がっていく。
 そして、腹部からも。
 遂にファティナは倒れた。
 霞む意識の中で、ファティナは唯、ひたすら結に謝罪した。
「(護って、あげられなくて……ごめん、なさ……)」
 血の気が失せた結の白い頬を撫で、気を失った。

 夜姫の頭は真っ白になった。
 目の前でファティナが倒れた。
 今、夜姫はユイを抱えている。
 更に意識の無いファティナ、結を連れて逃げ切れるのか?
 普通に考えれば、無理だ。
 あまりにも勝算が低い。
 見捨てて逃げるべきだ。
 だが、其れは一般的な、あまりにも一般的なその辺の撃退士の意見である。
「彼女達の未来への灯を……、消させはしません!」
 考えるよりも速く、身体が動いていた。
 ベロニカの射線から庇うように降り立つと、無理矢理ファティナと結を抱きかかえる。
 流石に、3人分は重い。
 しかし、其れこそが命の重みなのだと、夜姫は思った。
 ふらふらとしながらも空を飛ぶ。
 先ほどよりも、速度が出ない。
 それでも、やるしかない。
 夜姫自身の矜持に賭けて。

●伏兵
 一瞬の出来事だった。
 敵の増援は予想していた。
 だからこそヒリュウによる偵察も出した。
 だが、それだけではカバー仕切れない程に、神戸の街は広く、地の利も敵側にあった。
 建物内部に潜んでいた新手のヴァニタス・アンネリーゼによる待ち伏せからの強襲。
 炎の雨が降り注ぐ。
 まるで、夕焼けのような空の緋は、無情なる慈悲を押しつける。
「ぎゃあああああ!?」
 断末魔。
 先頭に居たレグルスと偵察部隊の撃退士が巻き込まれ、二名が死亡した。
「……ここから先、通行止め。代金は、貴方達の命」
 銀の髪を揺らしながら、炎を纏ったアンネリーゼが告げる。
 実質の、死刑宣告。
「みんな、散らばって……バラバラに逃げるんです!」
 レグルスが吠えた。
 初手の攻撃のダメージが大きい。
 傷をヒールで癒やしながら、偵察部隊を庇うようにヴァニタスの前に立ち塞がる。
「スレイプニル、急いで……!」
 ヴァニタスの姿を捉えたアリアは、すかさず手近に居た偵察部隊の一人と掴むと、召喚獣に乗せ、逃走を図る。
「(ごめんなさい……。でも、依頼を成功に導くには、こうするしかないのです……)」
 心の中で謝罪をしながら、後ろ髪を引かれる思いでスレイプニルを駆る。
 冷静に見れば、その判断は限りなく正しいと言えた。
 しかし、其れを援護し得る者が、誰も居なかった。
「敵の増援は俺達が引き受けます。貴方達は先に撤退して下さい!」
 司が慌てて最後尾から駆けてくるが、ヴァニタスまで攻撃の手が届かない。
 アリアに対する追撃を止める為の手段を持ち得ない。
「……逃がさない、そう言った」
 高火力の炎弾が、アリアの背を焼いた。
「あぐっ!?」
 スレイプニルから、二人揃って滑り落ちる。
「……燃えなさい」
 更に、止めとばかりに炎の雨を降らせる。
「ああああああっ!?」
 偵察隊共々、業火に身を焼かれ、アリアの意識は墜ちた。
 堕天使である彼女にとって、対極のカオスレートを持つアンネリーゼの魔法は致命的すぎたのだ。
「……これで、鼠は残り二匹」
 あっと言う間に仲間が次々と逝ってしまった。
 クローディアの姿は見えず、今、居るのは手負いのレグルスと司、そして護衛対象の二名のみ。
 戦況は極めて不利。
 まともに戦って打倒する、という選択肢は最早存在しない。
「……僕には、お前を倒すための力に欠けているかもしれない。けれども! 僕の力が……仲間の希望を紡ぐ道に繋がるならッ!」
 レグルスは前進し、聖なる鎖を以てアンネリーゼを縛り付ける。
 瞑魔を戒める審判の鎖だ。
「道は、俺が開くッ!」
 レグルスの攻撃に合わせ、司のウェポンバッシュ。
 アンネリーゼの身体を中心に炎の蛇が顕現し、威力を殺すが、勢いまでは削げない。
 華奢な身体が吹き飛ばされ、撃退士達にとっての活路が出来た。
 だが、それまでだ。
 圧倒的に手数が足りない。
「……なら、その希望を焼き尽くす」
 アンネリーゼの掌に煉獄の炎が収束する。
 願いを焼き、祈りを食み、希望を穿つ絶望の灯が、今、何もかもを劫火で以て無に帰さんと吼え、滾る!
「駄目だ! 皆、逃げ――……」
 吹き上がった炎が、アンネリーゼも、レグルスも、司も、偵察隊も、全てを飲み込み、爆ぜた。

「護ら、なきゃ……。はぁ……、はぁ……、ぐくっ……、もう少し、だから……」
 夜姫の身体には、幾本もの矢が突き刺さっている。
 一発一発は、軽い。
 それでも、3人を抱え、反撃もできず、ひたすら庇い続けなければならないこの状況は、肉体的にも、精神的にも、夜姫を蝕んでいた。
 幸い、追ってきているのはベロニカの少女人形だけだった。
 アンリエッタと少年人形は後退したのか、本命の偵察隊を追っていったのか。
 今は解らない。
 夜姫は仲間との合流を諦め、最短ルートでの神戸ゲート支配領域脱出を目指していた。
 既に、眼前に支配領域の境界が見えている。
 もう少し耐えれば、助かるのだ。
 護衛班の無事を祈りつつ、夜姫は最後の気力を振り絞って空を行く。

「そんな……嘘、だろ……」
 司が見たのは、まさに地獄絵図だった。
 ぷすぷすと焼けたアスファルトの臭いが肺を満たし、爆心地近くでは、煙を上げて倒れ伏したレグルスの姿。
 司は寸前でシールドを構えどうにか耐えたが、レグルスはそうもいかなかった。
 偵察隊も一人、死んでいる。
 もう、立っているのは魔法の範囲外に居た最後の護衛対象一人と、満身創痍の司、二人だけだ。
「……っ! 走って! 走ってください! せめて、貴方だけでも俺と一緒に!」
 状況を理解した頭が、逃げろ、と叫ばせる。
 司は偵察隊の最後の一人と共に、駆けだした。
 ゴール目前なのだ。
 誰一人として護れなかったなどと、そんな事、容認できるはずがない。
 今なら、アンネリーゼもレグルスのお陰で、麻痺で動けないはずだ。
 一心不乱に走れば、どうにかなる。
 そう信じるしかなかった。
「……諦めて。其処はまだ、私の射程」
 無慈悲な声。
 次いで、炎弾。
 最後の護衛対象が命の華を散らした。
 そして、司へも炎が迫る。
「何も……出来なかった。唯の一人すら、救う事も出来なかった……! 俺は……、俺はっ!」
 盾で防ぎながら悔しさを噛みしめる。
 立っているのもやっとな身体で出来る事は、もう何もない。
 無力感を味わいながら、司は最後の行程を走破した。

「やれやれ、邪魔な荷物を一足先に届けて帰ってきたらこれ、か。息があるのは貰っていくよ、アンネリーゼ」
 司の追撃に気を取られていたアンネリーゼの隙をつき、クローディアがアリアとレグルスを回収した。
 即座に上昇し、ヴァニタスの射程外へと逃げる。
「……卑怯」
「よく言われるよ、どうも」
 クローディアはアンネリーゼとの戦いを避け、そのまま支配領域を離脱した。

 アンネリーゼは死体になった撃退士の身体を漁る。
 出てきたカメラの記録を確認した。
 第一の砦と第二の砦、其処に配置された様々なモノが撮影されている。
 この写真が撃退士側にもたらされ、対策を立てられていたら少々面倒な事になっただろう。
 ふぅ、と息を吐きながら、アンネリーゼは記録の閲覧を続ける。
 そうして、一枚の写真で手を止めた。
 其れは、神戸の街を巡回していた折に撮られたであろう、アンネリーゼの写真。
「……いつの間に。盗撮、気がつかなかった」
 これらの資料は、本来ならばエレオノーレ達の手に渡るはずのものだった。
 内容の確認を終えたアンネリーゼは、カメラを焼き尽くす。
 偵察隊の面々が命を賭けて揃えた情報は、灰燼へと帰した。
 秋の肌寒い風が、神戸の街を吹き抜ける。
 運命はより残酷な道を選択し、加速しつつあった。


依頼結果

依頼成功度:大失敗
MVP: −
重体: 秋霜烈日・機嶋 結(ja0725)
   <ヴァニタスと屠り合い消耗した所を突かれた>という理由により『重体』となる
 『山』守りに徹せし・レグルス・グラウシード(ja8064)
   <アンネリーゼの煉燐華葬に巻き込まれ>という理由により『重体』となる
 撃退士・アリア(jb6000)
   <アンネリーゼの執拗な追撃に遭い>という理由により『重体』となる
面白かった!:9人

Silver fairy・
ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)

卒業 女 ダアト
秋霜烈日・
機嶋 結(ja0725)

高等部2年17組 女 ディバインナイト
撃退士・
久遠 仁刀(ja2464)

卒業 男 ルインズブレイド
Le premier ami d'Alice・
ユイ・J・オルフェウス(ja5137)

高等部3年31組 女 ダアト
『山』守りに徹せし・
レグルス・グラウシード(ja8064)

大学部2年131組 男 アストラルヴァンガード
撃退士・
夜姫(jb2550)

卒業 女 阿修羅
この命、仲間達のために・
日下部 司(jb5638)

大学部3年259組 男 ルインズブレイド
撃退士・
アリア(jb6000)

大学部1年234組 女 バハムートテイマー