●白濁のセイ域〜恥辱に咽ぶ午後〜
――どうしてこうなってしまったのだろう。
其れは、誰もが共通して思った事だろう。
死屍累々。
そう言っても過言ではない程に、悲惨な有様だった。
ある種、可視化された酒池肉林と言う概念の片鱗を再現しているとも言えなくもない。
まるでセイ人の如く十字に磔られ、メイド服を白濁に染めつつ口からキノコ垂れ流す神月 熾弦(
ja0358)。
大量のエノキタケのようなものを髪の隙間から生やし、見事に白目を剥いたSA☆DA☆KO状態の機嶋 結(
ja0725)。
腐海に上半身を沈め、外へと突き出したケツからは立派な紅天狗茸を聳えさせる前衛芸術品のオブジェと化した小田切ルビィ(
ja0841)。
ブリッジの姿勢から、冬虫夏草の如き我を貫く茸をヘソから生やし、某エクソシスト映画の少女リー●ンの如しブリギッタ・アルブランシェ(
jb1393)。
鼻から飛び出たタマゴタケ状の茸が地へと突き刺さり、立ち往生したセイウチのような果て方をしているエリーゼ・エインフェリア(
jb3364)。
この惨劇の為だけに作成された、キノコ製ギリースーツを着ているとしか思えない状態で朽ちているアリア(
jb6000)。
そして、未だ白濁を噴出し続ける巨大紅天狗茸の姿。
撃退士達の身体には、多種多様のキノコが生え、そうで無い部位も白くどろどろした液体がクリームソースの如くBUKKAKEられていた。
見る者次第では、其の光景はゲイ術的とも、扇情的とも、地獄絵図的とも言えるだろう。
――どうしてこうなってしまったのだろう。
其の理由を探るに当たり、適切な資料が此処にある。
モノ言わぬKI★NO★KO姫と為ったアリアが設置したデジタルカメラ――。
此処に撮影された映像を元に、彼女達の死闘を振り返ってみよう。
●デロいってレベルじゃねぇぞ!
「エレオノーレ(jz0046)は泣かすわ、徹底的に」
ルビィの掛けたブルーシートを突き破り、剣山の如く生え、分裂・増殖していくキノコを見て、ブリギッタいい笑顔で一言。
「……随分と御立派! な魔羅……じゃなくってキノコじゃねーか。校内新聞に写真掲載する時ゃ、やっぱモザイク処理しないと不味いかね?」
少しでも被害を抑えようと、ジャーナリスト志望のルビィ苦肉の策であったが、やはり腐ってもディアボロ。
そこはかとなく、そのようなものでどうにかなるほど、甘い世界ではなかった。
今回の依頼を遂行するに当たり、ルビィ、ブリギッタは雨合羽を着て参加したが、あまり意味がないかもしれない。
「あの悪魔……復活したと思ったら、不穏な仕事を出して……」
結は軽い頭痛を覚えながらも、悪魔根絶の為、やむなし、と割り切る、が、
「……いやな形の、キノコですね」
生理的に感じる嫌悪感まではどうしようもない。
「このような美しい場所さえも穢す悪魔の所行……、てっ、天に代わって成敗しますっ!」
ビクビクッ、っと脈動するキノコに、既にSAN値が減少しつつあるが、それでもアリアは使命を全うすべく、決意を表す。
でも、極力、キノコは見たくない。
だって、乙女なんだもん☆ミ
さて、諸君。
此処までは、天魔討伐の為に入念な準備をしてきた撃退士達である。
しかし、ナニを勘違いシたのか、とんでもない格好で戦場に立った者も居るのだ。
それが、
「夏に山は定番ですし、神社は神聖な場所です。いつまでも蹂躙させておけません」
由緒正しき英国風女性給仕の衣装に身を包んだ熾弦である。
本人の言い分としては、胞子が飛び散るので汚れても良い作業用の服装、との事だがイケナイ妄想が過ぎるのは何故だろうか。
濁りなき純真そのものの瞳でキノコを見上げているが、大丈夫なのだろうか。
そして、もう一人。
「下から覗くのは、禁止ですよ?」
などと宣いつつ、いくら暑いからってこれは流石に無いだろう、と蔵倫も総ツッコミせざるを得ない裸ワイシャツという出で立ちの墜天使、エリーゼである。
「えっと、いつでも(胞子がついたものから)脱げるように、と思って……」
と、言い訳はするものの、デロる気満々じゃないですかやだー!
本当に大丈夫なんですか、この二人?
大丈夫じゃない、問題だ!
この先生きのこれるか、全くビジョンが視えない勘違い二人組であった。
「えぇと……はしたない行為(※戦闘行為)失礼しますね、ご主人様」
事件は、アリアがキノコ汁対策用に氷を浮かせた水を準備している最中に起きた。
熾弦は一人、おずおずと巨大キノコの前に進み出ると、其の巨体を優しく素手で撫でる。
「確かに見た目はキノコですが……ん、確かにディアボロ、ですね。びくん、びくんって強く脈打っていて……」
などと、イロイロと誤解されかねない台詞を吐いた瞬間、キノコ暴発。
どろっとした白い液体(※胞子です)が熾弦の胸元にしたたり、穢し、浸食していく。
刹那、暴力的な速度で分裂・増殖。
熾弦の華奢な身体では勢いを削ぎきれない程の情熱的な暴虐の嵐に、堪らず踏鞴を踏み、神木へと寄りかかった。
「あ、胞子が胸元にまで。染みて、中からキノコが……」
そう呟いた時には、最早手遅れ。
胸の谷間より出ずる紅天狗茸が、狙い違わず熾弦の口内へと侵入。
そして、
「んぐっ!?」
濃厚なキノコ汁をぶちまけた。
ニョキ、ニョキニョキニョキッ♪
……――連鎖式爆裂増殖殺法。
口内より飛び出したるキノコの勢いに身を委ね、空を駆ける熾弦。
神木の梢に身体を支えられ、やっと止まるが、まるで十字架に張り付けられたかのように四肢を伸ばし、動かない。
ぼとり、ぼとり、と彼女の口から、キノコ汁が零れ落ちた。
誰もが見て其れと解る見事な出オチ、イきっぷりであった。
「嘘でしょ……」
絶句するしかない撃退士達。
しかし、熾弦の犠牲を無駄にしない為にも、戦わなければならない。
絞り出さなければ、生き残れない……!
「胞子を出した後は萎んだっつーコトは……、全部絞り出しちまえば、カラッカラに干乾びるかも知れないぜ」
明らかに意気消沈する仲間に、ルビィが気休めと解りつつも、見た事実を伝える。
手を出す事に戸惑いを隠せない少女達に勇気を与えようと、一歩前に出ると、拳を振り上げ、渾身の一撃を見舞った。
「――クソッ! なんて硬さだ……」
鈍い感触、次いで、熱いセイの脈動、そして――、
「ちっ、降ってきやがったか! でも、こっちにゃレインコートがあんだよ!」
白濁の雨をレインコートで防ごうとするルビィだが、甘い、甘い、甘すぎた!
デロの女神は、いつでも直ぐ其処に居るッ――……!
地へと降り注いだ胞子は、急速に形を為し、天を目指して突き抜ける。
その先にある障害を押しのけて!
「なっ、下からだと!? アッー!」
ケツへと刺さったキノコが、中にさっと注入。
ニョキ、ニョキニョキニョキッ♪
再び訪れる悪夢!
ルビィの中をずたずたに引き裂き、新たなキノコがお尻から顔を出す。
絶え間なく分裂と増殖を繰り返すその衝撃を前に、ルビィは立つ事叶わず、敗れ去った。
「デロっていいのは、……デロる覚悟のある奴、だけだ……」
こうして、開幕出オチ二連という悲劇でKI★NO★KO収穫の幕は上がる。
ただの二こすりで二人が沈んだ。
三こすり半ってレベルじゃねぇぞ!
●キノコだから仕方ない
ルビィが引き摺られ、アリアのプールへと頭から放り込まれる。
残りの胞子が水面に広がり、あっという間に分裂・増殖し、プールはもはや腐海と化した。
キノコの森から突き出た尻だけが、そこにルビィが居るのだと、教えてくれる。
運命は残酷だ。
それでも戦わねばならない。
エリーゼは意を決し、キノコへと挑む。
「優しくこすったり高速でこすったりして胞子を出し尽くしてしまえばきっと萎れるはず……!」
言葉は勇ましいが、格好が格好だけに危険なかほりしかしない。
もしかしたらキノコを縛れば出したいのに出せない状況に陥り、最終的に暴発して自滅するかもしれない。
そんな思いつきから、『束縛の光鎖』を用いて亀甲縛りする。
おい、なんでそんなマニアックな縛り方なんだ!?
御褒美じゃないか、其れは!
案の定、止めきれなかった胞子がエリーゼへと降りかかる。
「ふぁ!? あっちにも、そっちにも、キノコが! キノコが! 収穫しないといけません!」
どうやら、SAN値直葬の果てに狂化なされたようだ。
目がイっちゃってる。
「気持ち悪い……」
次々と(ある意味)壊れていく仲間を前に、頼れる者など誰も居ないとばかりに結はキノコへ手を伸ばすと、渋々ながら、扱きだした。
程なくして、胞子が結の顔へとべったり吐き出される。
防御が間に合わなかったのだ!
「やだっ!? 白い液……っ」
「ちょっと、あんた大丈夫?」
ぺたん、と女の子座りして白い液体をぬぐい取ろうと必死になる結を、学年が同じからか心配そうにブリギッタが覗き込んだ。
「あっ、美味しそうなキノコだ♪ あ〜んっ、はむっ」
しかし其れがいけなかった。
キノコの効果によって錯乱状態に陥った結の甘噛み攻撃。
ブリギッタは耳たぶをあむあむされた。
「って、ちょっとしっかりしなさいよ!?」
咄嗟のビンタが結にヒット。
「……はっ、私は何を」
結は正気に戻った。
「まったく……、それにしても、素手でってどうなのよ……」
意識が戻ってきた結に安堵しつつも、ブリギッタおそるおそるキノコに素手で触れ、上下に撫でる。
無論、暴発、着弾。
「きゃっ、やっぱレインコート意味ないじゃ……って、あれ、お空にバグアが! ナイトフォーゲルS-01HSCが!」
どうやら、ロボットアニメの幻覚を見ているらしい。
このくらいの年頃の少年・少女には、二次元と三次元の区別が付かなくなる事がたまにある。
だから仕方ない、そういう事にしよう。
そうでも思わなければ、やってられない。
此処までで得た戦闘記録を元に、アリアは自ら手を下す事への危険性を学習した。
よって、彼女にしか出来ない行為によっての胞子搾取を目論む。
即ち召喚獣の酷使である。
「スレイプニル、お願いします」
アリアの呼びかけに応じて、召喚獣がキノコへと攻撃を仕掛ける。
憐れ召喚獣、キノコ汁浴びて悶絶。
されど人生そこまであまかぁない。
スレイプニルの味わう感覚が、リンクしている召喚士たるアリアへも伝染した。
「やっ、何……これっ! 私の中、ベトベトした感覚が突き上げてきて……くぅん!?」
世の中、楽して生きようとしてもそうはいかない、という事である。
●運命の女神には勝てなかったよ
「ふふふ……、一緒に百合の花を咲かせましょう。さぁ、貴女も胞子塗れに……」
バーサーカー・エリーゼ、手にしたキノコから胞子を絞り、強引に結にぶっかける。
「ああっ……、悪魔は殲滅します……! さぁ、誰から切られたいのですか!?」
キノコ両手に結が立ち上がった。
その瞳は狂気に満ちている。
結よ、おまえもか。
そのまま、未だ幻覚の世界に浸るブリギッタに手を伸ばすと、柔らかそうなほっぺへとキノコを押しつけた。
どっぷりと、白い液体が吐き出される。
幼女は白濁塗れだ!
「あにすんのよ!?」
ブリギッタ、錯乱しつつのビンタ。
結にクリティカルヒットしたが、
「悪魔は……全て……滅ぼし……くっ、許さ、ない……!」
正気に戻る気配はなかった。
迷走する仲間達を尻目に、アリアは黙々と召喚獣で攻撃する。
そして、悶える、を繰り返すのだ。
だが、アリアのある意味自分の手を汚さない戦い方に、報いの時がやってくる。
「さぁ、一緒にキノコ食べましょう?」
天使の翼を広げ、僕たちのエリーゼお姉さん、アリアとの間合いを一気に詰める。
そのまま、強引にアリアの口内へとキノコを押し込んだ!
「ひっ! や、やめ……んぐっ!? んくっ、けほっ……、飲んで、しまいまし……くぁっ!?」
アリアの体内へと侵入したキノコ汁、お約束の時を迎えた。
ニョキ、ニョキニョキニョキッ♪
口内からキノコと汁が溢れ、アリアの服にかかる。
かかった端からキノコが分裂・増殖し、あっという間もなくアリアはキノコの塊と化した。
こうして、アリアはエリーゼの手により墜ちた。
「あ……ぐっ……、耳が、耳がっ……、ああぁあああっ!?」
原因は、きっと刺激が強いイボイボつき軍手の所為。
二度目の狂化を経てどうにか正気に戻れた結であったが、予想外の跳ね方をした白い液体が髪の毛へとかかり、それが耳の穴に侵入。
エノキ状の細長いキノコが無数に生え、最早髪の毛なのかキノコなのか区別が付かない。
仰向けに倒れ、余りの衝撃に白目を剥くその姿は、某ホラー映画の呪いのビデオに出演なさる少女のようである。
こうして、幼い少女は無惨にも白濁の海へと沈んでいったのだった。
「ふふふ♪ いっぱい出ましたねー♪」
狂瀾に導かれるままに、エリーゼはキノコに舌を這わせると、優しく舐めた。
ディアボロの材料がいったい何であるかは、この際黙っておくのが華というものだろう、鼻だけに。
彼女は今から、今までの報いを受けるのだから。
エリーゼによって絞り出されたキノコ汁は、口から僅かにずれ、彼女の鼻へと直撃した。
鼻腔内に侵入した汁は直ぐさま分裂し、増殖を繰り返す。
ニョキ、ニョキニョキニョキッ♪
メリメリと鼻の穴を押し広げ、巨大なタマゴタケが地に向かって飛び出した。
その成長は止まる所を知らず、遂に地面に突き刺さり、新たなキノコ汁をぶちまけるに至って、やっと止まるのだった。
しかし、その頃にはもう遅い。
エリーゼはイってしまった後だ。
こうして、まるでセイウチの牙のようなキノコを生やし、エリーゼの意識は途絶えた。
あんた、一番デロく輝いてたぜ。(※蔵倫的な意味で)
そして誰も居なくなった。
否、まだ彼女が居る。
そう、僕たちの幼女、ブリギッタ・アルブランシェちゃんが!
「一人でどうしろってぇのよ!?」
ごもっともです。
しかし、皆の力によって14こすりもしたのだ。
残り6こすりくらい、運命の女神に見放されてなければ、どうってこたぁない!
「エレオノーレ、絶対に許さないんだからぁ!」
逃げずに健気に立ち向かう幼女の勇姿に人々はきっと涙し、こう言うだろう。
デロいのになんて負けないっ!
運命(サイコロ)の女神には勝てなかったよ。
「あたしの……、おなか、がっ……! 捻れる!?」
ニョキ、ニョキニョキニョキッ♪
容赦なくキノコは生える。
ブリギッタの服の隙間から侵入し、おへそからメリメリと。
例え幼女が相手でも容赦しない!
其処に痺れる憧れるッ!
「痛い、痛い、痛い、無理っ!」
痛みに耐え、お腹を抱えて悶えるも、もはや手遅れ。
ブリッジの姿勢でお腹を突き出した状態のまま、幼女の意識は途絶した。
こうして、撃退士達は壊滅した。
――どうしてこうなってしまったのだろう。