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マスター:小鳥遊美空
シナリオ形態:イベント
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2012/10/15


みんなの思い出



オープニング

●それぞれの夜
「ボクに打てる手は全て打った。後は彼ら次第、思惑通りに動くといいけどね」
 そう呟いたクローディアの表情には、珍しく不安の色が濃く表れている。
 らしくない『相方』を少しでも励まそうと、アリスはそっと優しく抱きしめ、囁く。
「アリスはクロがどれだけ頑張ってくれたか知ってるわ。だから大丈夫、アリスは怖くないわ。ありがとうね、クロ」
 だが、愛しい者の抱擁すら今のクローディアにとっては溢れ出す感情を押し止める防波堤にはなりえなかった。
 自分が今、どれ程の危うい立ち位置に居り、難しい駆け引きを迫られているか。
 少しの失敗が、自分の今までの全てを失う事に繋がるという危機感。
 悪魔にとって、ほんの僅かな期間。
 長い生の中で一瞬と言ってもいいアリスとの邂逅が、過ごしてきた時間が、今では何よりも大切なモノになってしまったから。
「ボクは……、怖いんだ。君にだけはこんな事を言いたくなかったんだけどね。でもね、ボクはアリス、君を失う事がなりよりも怖いんだ……」
 今まで大きく見えた悪魔の背が、小さく見える。
 クローディアの震えるか細い肩を優しく抱きしめ、アリスはただ静かに互いの温もりを感じ合った。
「……ボクは絶対に君の事だけは護ってみせる。例え、他の全てを犠牲にしても、さ。……だから、ずっとボクの傍に――」
 二人の最後の夜が深けていった。

「おめでとうございます、アルトゥール様。いよいよ『ラインの乙女』成就の時ですな」
 ぶくぶくと肥えた老年の男が、慇懃な仕草で悪魔の前に片膝をつき、祝辞を述べる。
 その様を、蔑んだような視線で射抜きながら、アルトゥールが応えた。
「やっとこさってぇところだな。てめぇのゲート展開予定地の隠蔽支援にゃ感謝してるぜ」
 神戸、芦屋、西宮の三都市に同時展開される三つのゲートはそれぞれを繋ぎ、横一線に並ぶ。
 大阪湾を臨むこのゲート群は、覇を唱えるアルトゥールの理想の為の拠点となるのだ。
「では、そろそろ約束の『永遠の命』をこの私めに……。貴方様のヴァニタスにして頂きたく思います」
 だが、一つのゲートが半径5kmにも及ぶこのゲートを展開するに当たり、完了するまでの期間の隠蔽は必要不可欠な作業であった。
 大都市と言う事は、それだけ監視の目もあるという事だ。
 それらの課題をクリアする為に役に立ったのが、この実業家でもある老年の男である。
 大金を叩いて候補地を買占め、秘匿する為の遮蔽物を作り、真実を覆い隠す。
 人として、金、地位、名誉を手に入れた男が欲した最後のモノは、永遠の命だったのだ。
 故に人を裏切り、悪魔に魂を売り渡し、惨劇の立役者となった。
 だがその欲望に忠実な様は、アルトゥールにとっては嫌悪すべきモノであった。
「……なぁ、家畜。俺様はよ、一回裏切った奴ってぇのは、信用しねぇんだ。そういう奴はてめぇの都合でまた裏切りやがる。てめぇにゃ信念がねぇ」
 そういって、剣を抜く。
「なっ、こ、ここまで貴方様に尽くしたこの私めを裏切ると言うのですか!? ひとえに、貴方様の掲げる理念の為にと……!」
 家畜の言葉は届かない。
 家畜が何を喚こうとも、其れはただ単に『ブヒッ』と鳴いているに過ぎないのだから。
「ま、安心しな。『永遠の命』ってぇのはくれてやるよ。ただし、『ヴァニタス』なんざ勿体無ぇ。てめぇは『ディアボロ』として一生使役される家畜だ」
 男の姿が変貌していく。
 欲に塗れたその魂に相応しい姿へと。
 其の醜悪な姿に一瞥をくれながら、アルトゥールは作戦の成就を高らかに宣言した。
「さぁ、『ラインの乙女』の幕開けだ! 誰にも止めさせねぇ、俺様の時代だ!」

●戦火の咆哮
「まさか、クローディアの言う『ラインの乙女』が真実じゃったとはな……」
 人々が眠りから覚め動き始める早朝、神戸、芦屋、西宮の三箇所でゲートの生成が確認された。
 先ごろ、悪魔クローディアと遭遇した撃退士達によってもたらされた情報の通りに。
 当初、その情報の信憑性について疑問視されつつも撃退士により秘密裏に調査された結果、そのような痕跡は見つからなかったのに、だ。
 敵は何らかの方法を用いて、巧妙に秘匿して準備していたと言う事だろう。
「戦況は芳しくないのじゃ。有事に備え、戦力だけは整えていたのが幸いしたがの……」
 神戸に設置されたゲートは、世継山山頂にある植物園近辺を中心に、半径5kmの規模にわたって展開されている。
 その場所は、かつてディアボロ・アルラウネによって襲撃され、悲劇の地となった場所だった。
 一度襲われたのだから、二度目は無い。
 何処かにそんな甘い考えがあったのかもしれない。
 いずれにせよ、情報を掴んでいながら場所の特定ができなかったのは事実だ。
「現在、それぞれのゲートに戦力を割り当て、攻略戦が始まっているのじゃがね。アルトゥールの用意周到さに劣勢を強いられておるのじゃ」
 ゲートがあると思わしき方面から溢れ出すように増え続けるディアボロはもちろんの事、厄介なのは挟み撃つかの如く用意された陸路での補給路だ。
 神戸から西宮間を繋ぐ阪神電車と言う私鉄がある。
 敵は、あろう事かこの車両を不定形のディアボロで乗っ取り、その力に拠って駆動するデモニックトレインと化させたのだ。
 中に居た乗客を人質に取り、空き車両には増援のディアボロを乗せ、ゲートと陸路から挟み撃つ。
 区間を行き来し、円滑な兵力分散を行っているのだ。
 また昏睡した人々を救う為に、海路による救出作戦が提起されたが、アルトゥール側はこれを予知していたのか、沿岸部と港に戦力を配置。
 輸送の為の船が乗り入れるのを防いでいる。
 劣勢を強いられながらもどうにか戦線を維持しているが、長くは保たないかもしれない。
 それほどに、戦力の差が圧倒的なまでに違うのだ。
「じゃが、其れでもエル達には守らねばならぬモノがあるのじゃ。どうか、君達の力を貸して欲しいのじゃ」
 エレオノーレ(jz0046)は異人館方面から敵を掃討しつつ山頂を目指し、ゲートの破壊及び悪魔の討滅を狙うと言う。
 電撃戦を敢行するつもりなのだ。
「それとじゃな、クローディアと交わされた約束じゃが……、無視するのじゃ。仮にアリスが門を守護しておった場合、どうする事もできんと言う事態になってしまうのじゃ」
 悪魔との約束を優先してしまったが為に多くの人々を犠牲にした、では話にならない。
 心を鬼にするようだが、仕方のない事なのだ。
「こうしておる時間も惜しいのじゃ。準備が整い次第、征くのじゃよ。皆の笑顔を護る為に、の……」
 人々の希望を繋ぐ為に、暗い未来を払う為に。
 どんなに辛い悲しみや怒りや絶望も、何もかもを消し飛ばす為に。
 人類の守護者たる撃退士達は死地とも言うべき苦境へと旅立っていった。


リプレイ本文


 異国情緒漂う神戸の街並みを東進し、撃退士達は征く。
 視界の先には濃緑に包まれた山々。
 かつて惨劇の舞台となった植物園は今、更なる悲劇の地と化した。
 初めての依頼でこの地を訪れたマキナ・ベルヴェルク(ja0067)、ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)、ユウ(ja0591)、海原 満月(ja1372)の四名は其々に感慨深い何かを覚える。
 護れなかった命、響く絶叫、果たせなかった約束、哀惜の声。
 思い返せば、総てのハジマリはこの地だった。
 マキナは過去を清算する為に、ファティナは今度こそ護る為に、ユウは散って逝った少女との出逢いを想い、満月は誰ひとり欠ける事無き勝利を願い。
 生田神社近辺を制圧した撃退士達は其処を本陣とし、それぞれの戦地へと向かわんとする。
 そんな最中ファティナは義妹達を呼び集めると、有無を言わさず額にキスをした。
 全員生きて帰れ、と。
 誰一人欠ける事は、姉として許さない、と。
 義姉の洗礼を受けたエレオノーレ(jz0046)は、しかし己の命を賭してでも仇敵を討つと言う誓いを譲ろうとはしない。
 悲壮な決意を胸に戦場に向かおうとするエルを、雀原 麦子(ja1553)と鳳 静矢(ja3856)が呼び止めた。
「アリスは約束通り、絶対に攻撃しちゃダメよ。神戸の人を一人でも多く助ける為よ。感情は押さえて」
 と、麦子。
 アリスを攻撃する事で、クローディアの怒りを買う事を恐れているのだ。
「悪魔二体を相手する状況は避けたい。……其れにヴァニタスとの不戦は好都合ではないか?」
 静矢が麦子の言葉を継ぎ、エルに念を押す。
 だが、エルがそれらを認める事はない。
「言いたい事は解ったのじゃが、ナンセンスじゃよ、其れは。現状、敵の罠の可能性もあるのじゃ。武器を持つ相手にそのような態度では、死ねと言っておるに等しいのじゃ」
 何の為の電撃戦であるか、其処を考えて欲しい、とエルは続ける。
 仮に約束が真実であったとしても、先にコアを破壊すれば問題の無い話だ、と。
 その過程でアリスが立ち塞がると言うのであれば、問答無用に薙ぎ払うだけだ、と。
「君達が約束をどう捉えようとも、君達の自由なのじゃ。強制はせんのじゃよ。じゃが、エルは違う」
 其れだけ言い残すと、孤高の翼を震わせ戦地へと赴いていった。

 ゲート三箇所同時攻略を為さんとする撃退士側にとって、強固な情報網の構築・維持は最優先事項と言える。
 個人の持てる小型の光信機では、其の有効範囲が半径1km程度と狭く、全戦域をフォローする為に大型の光信機を用いなければいけない、という点も大きい。
 それらをフォローする為に、神戸本陣に置かれた指揮所にて情報の統括を担うのが満月である。
「クラゲの毒は、じわじわ効くのです」
 机に広げられた地図に情報を書き込みながら、作戦の進捗を見守る。
 各地に配された布陣から敵側の意図を読み取らんと。
 謂わば、悪魔と撃退士が織りなす壮大なチェス盤なのだ。
 しかしその駒は消耗品では無い。
 全てが意思を持ち、命ある人間なのだ。
「帰ってこない子には、お菓子あげないのですよ」
 既に賽は投げられた。
 満月に出来る事は限られている。
 だが、此処にいる彼女にしか出来ない事がある。
 今はただ、静かに静かに時を待つ。
 混迷の戦場に射す、一筋の光明を求めて。

 山頂から俯瞰する神戸の景色は格別だ。
 今、この美しい街の支配者となったアルトゥールは、しかし不快感を隠そうともせず、舌打ちする。
 展望台からざっと人間側の布陣を確認しただけでも数が多すぎるのだ。
 今まで繰り返し撃退士の初動テストケースを集めてきた悪魔の想定から、大きく外れる結果と言える。
 ふと脳裏を過るのは、過去の苦い失敗。
 だが今回は其れすらも想定し、対策したはずだ。
 それに、今、重要なのは侵入者の排除である。
 そう自分に言い聞かせると、傍らに控えるアリスに命令を下す。
「この計画に失敗は許されねぇ。俺様が直接、奴らの排除に向かう。てめぇには別命あるまでゲートの内部で守備に就く事を命じる。いいな?」
 言い終えると漆黒の鎧に身を包み、本陣たる植物園から沿岸部に展開する敵部隊を目指し、出陣していった。
 後に残されたアリスは、不安そうな表情のまま植物園の奥にある施設へと戻る。
 この紅い空の下、同じモノを見ているであろう恋人の事を想いながら。


 倉庫街を抜け、港へ。
 右手側には神戸を象徴する建造物の一つである赤い展望用のタワーが見える。
 ユウはふと背後を振り返り、遠き世継山をふり仰いだ。
 ちらり、と冬の夜に逝った少女の顔が浮かぶ。
 また還ってきたのだ、この場所に。
 しかし、感慨に耽っている場合ではない。
 頭を切り替えると、義姉妹達と共に戦線の維持に専念する。
「……此処は要所なの。……絶対、押さえる」
 ユウの義姉妹、橋場 アトリアーナ(ja1403)が最前線に立ち、敵と相対する。
「リア……さん、射線に……注意して……ください。援護……します」
 その後方から、アトリアーナの妹であるアイリス・L・橋場(ja1078)が対となる二丁の銃を手に、突撃の援護をした。
 ユウ、アイリスに続き、亀山 淳紅(ja2261)も魔法を用いて前衛の援護を担う。
 一番危険な戦地へと向かった恋人のRehni Nam(ja5283)の身を案じる想いはあるが、あくまでも冷静に、冷酷に。
 今、この沿岸部で撃退士達を苦しめている最大の理由である嘆きの人魚姫を討つ為に。
 かつてクローディアと繰り広げられた童話戦争に於いて、淳紅が討ち損ねた個体である。
 だからこそ其の能力については己が身を以て、充分に思い知っていた。
 故に、終わらせてやらなければならないのだ。
 彼女の謳う歌は、あまりにも悲しすぎるから。
 優しい愛の歌を届ける其の時までは。
「よし、このまま制圧する。着いて来い」
 後衛陣の援護を受け、天風 静流(ja0373)が身の丈を軽く越える巨大な戦斧槍の蒼白い剣閃も鮮やかに、敵を薙いで道を切り開く。
「……ん、任せて。……人魚姫は泡に還る。その結末は、変わらない。……だから」
 ユウが冬告げの風を纏い、人魚姫へと肉薄する。
 物理防御に難のあるダアトとしては、無謀とも言える行動だ。
 が、策無しに飛び込む程、ユウも愚かではない。
 逆巻く風はユウに勝機を掴む為の回避力を与える。
 水際の一瞬の攻防。
 人魚姫の槍の穂先と、ユウの小さな身体が交錯する。
 刃先がユウの黒いドレスにかかり、引き裂いた。
 しかし、其処までだ。
「……泡沫の幻想よ、此処に在るべきは悪夢じゃない」
 掌に雷が爆ぜ、純白の小鳥が飛翔する。
 明日を、未来を、可能性を信じる自由への翼は、人魚姫の周囲に展開された水壁と拮抗し、穴を開けた。
「そいつには一気に火力を叩き込む必要がある。今の内に畳み掛けるんだ!」
 刹那の妙技に呆気にとられたものの、訪れた好機を逃すまいと久遠 仁刀(ja2464)は、白虹の火力を以て範囲に居る雑魚ごと攻撃する。
 捌ききれない程の痛手を受けた人魚姫は、海へと離脱を計るが、
「どこへ行く、逃げるには早いぞ?」
 行動を先読みしていた静流が既に回り込んでいた。
 黄泉へと誘う蒼白の風が吹き抜けた。
 神速を謳うその一撃は、圧倒的な衝撃を対象者に齎し、後方へと吹き飛ばす。
 人魚姫のような華奢な身体にはひとたまりもない。
 たたらを踏んでどうにか踏みとどまった先には、パルチザンを掲げるアトリアーナと、血のように紅い刀身の大剣を構えたアイリスの姉妹。
「……哀しい童話は此処で終わりなの」
「……Un capat la basm!」
 血を纏う暴虐の風が二陣。
 槍持ち、刺し貫く右腕をアトリアーナが。
 水を繰り、護り癒す左腕をアイリスが。
 無残に堕ちた一対の腕は、もう戻る事は無い。
 人魚姫の憎悪に満ちた絶叫が響く。
 人を信じ、人に裏切られ、人に追われる。
 悲哀と憎悪と嘆きの詩を、歌い続け。
 愛しい者を失った今も尚、因果に囚われ彷徨い続けた彼女に。
「泡沫へ」
 今、淳紅の救済が穿たれる。
 荒々しい風の渦が彼女の身体を巻き上げ、切り裂き、地へと堕とす。
 赤い泡がじわじわと溢れ、広がり、そうして彼女は動くのを止めた。
 幾多の撃退士を相手に、唯の一度も敗走する事なく戦い続けた乙女は、遂に其の役割から解放されたのだった。


 大気が震える。
 腹の底にまで響くような咆哮を、かつて静矢は聞いた事があった。
「ジャバウォック、か。奴は放置できないな……」
 アリスを巡るクローディアとの戦いで、最後の門を守護していた彼のディアボロは、あの激戦を生き抜き、今もこうして健在である事を示している。
 出発間際の電車を護るように駅前に鎮座し、わらわらと群がる撃退士を灼熱の炎を以て焼き払っていく。
 電車対応班と遊撃隊の一部が協力し合い攻めてはいたが、広々とした駅前に魔竜を中心として集った敵の数は凄まじく、圧巻の一言。
 既に初動の衝突で戦列は乱れ、現場は混戦と化している。
 そんな最中に魔竜の強烈な一撃で狙われれば、如何な撃退士と言えどひとたまりもない。
「あれはえぐいな。比喩でも誇張でもなく、本当に消し炭になってる。早く止めないと大変な事になるな……」
 呆気ないくらいに人がやられていく様を見て、鳴上悠(ja3452)が呟いた。
「どちらにせよ、やる事は変わらないだろう? 魔竜と呼ばれる其の力、楽しみだ」
 龍の名を持つ翡翠 龍斗(ja7594)は、奥でふんぞり返る禍々しい竜を品定めするかのように見回し、不敵に笑む。
 と、仲間達が全員前方に注視する中、樋渡・沙耶(ja0770)だけは一人、後方の世継山を見上げ思案顔の様子。
「(悪魔対悪魔の対決……。一度、見ておきたかったけど、また次の機会、かな……)」
 どこかずれてる感性の持ち主であった。
「さて、私が植物共を砕いて橋頭堡を確保してきましょう。そちらはお任せします」
 ともあれ、見ているだけでは終わらない。
 グラン(ja1111)の言う通り、行動に移るべきだ。
「だな。俺も雑魚の抑えに回るよ。魔竜を討つにしても、増援に邪魔されたんじゃ消耗戦になるだけだもんな。其れだけは避けたいし」
 電車への突破口を開こうとするグランと共に、悠も最前線へと飛び込む。
「解った。では、そちらは頼もう。私達は竜狩りといこうか」
 グランと悠に雑魚を任せると、一閃組の軍師たる静矢は愛刀の鯉口を切り、白刃を振りかざす。
 最早、言葉は必要無い。
 突撃の掛け声と共に、静矢、龍斗、沙耶の三名は最奥目指して駆けだした。

「下手すりゃ死ぬか……。いや、死ぬか……」
 吐く息も荒く、高野 晃司(ja2733)は額の汗を拭った。
「想定外、と言えば想定外なのか。悪魔とヴァニタス以外にあんなのが居たんじゃな……。距離を取って時間稼ぎに徹した方がいい」
 隣で片膝をつき、手当する柊 夜鈴(ja1014)もまた、手負いだ。
 遊撃隊に属する彼らは仲間の苦戦の報を受け、街の東部、小学校のある場所まで十数名を引き連れ、増援にやってきた。
 そうして出逢ったのだ、あの肉の塊と。
 初見は動きの鈍い巨大な的だ、そう思った。
 しかし其の先入観こそが罠だったのだ。
 言語を解し、言語を話す。
 彼の肉塊は高度な知能を有していた。
 総じて、そういったものは通常の其れに比べ基本的に能力が高い。
 要するに、特注品なのだ。
 漸く事実に辿りついた時には、既に遅い。
 何人かがモッテイカレタ後だ。
 増援の要請は出しているものの、どこの戦線も手を離せるような状況ではないのは、重々承知している。
 だからこそ夜鈴の提案する通り、極力時間稼ぎしなければならないのだ。
 つかず離れず、相手をこの場に止め置く。
 倒せないなら、其れこそが今居る戦力で打ちうる最善手。
「何をこそこそとしている、下賤な下等生物めが! この私を前に無礼だろう、跪いて許しを請え!」
 だが、そんな考えすら見越しているかのように、見た目に似合わず俊敏な動きで攻めてくる。
 飛来した肉の弾丸を晃司は防壁陣で受け、耐えた。
 一撃が重い。
「遠距離戦も前衛の俺達には少し不利か。射線を塞ぐように陣形を組まれた雑魚が厄介だ」
 晃司はカウンターでフォースを叩き込むが、厚い肉の壁相手では、そう効いているように見えないのが辛い。
「撤退した方がいいか。もっとも、相手が許してくれれば、になるけど」
 夜鈴の身体から黒炎が消え失せ、再び右目に宿る。
 能力値を底上げし切り結んではみたものの、サイドから奇襲してくるラミアを数体討ち取ったのみで、巧妙に前線のラインを押し引きしてくる相手に、有効打を与え難い。
 範囲攻撃を駆使すればどうにかなったかもしれないが、ダアトは早期に潰され、前衛達の其れもまた既に消費された後だ。
 周囲から続々と敵の雑魚が援軍にやってくる現状、暖簾に腕押しとも言える。
「来ないなら私から行きますよ。自らの愚かさを悔いながら逝きなさい!」
 そんな硬直した状況下、肉塊が飛んだ。
 まるでゴム毬のように地面を跳ね飛び、高々と空へ。
 そのまま撃退士達の真上から、地へと。
「なっ!? 冗談だろ!」
「逃げろ! 圧し潰される!」
 晃司と夜鈴が退避しようとするが遅い。
 初見の相手に情報が少なすぎたのが仇となった。
 巨大な肉に埋もれるように、二人は消えていった。

「ええ、そうなのです。遊撃隊の第一陣は壊滅させられたのです。現在対象は西進し、新神戸の駅付近まで来ているようなのです」
 晃司と夜鈴の遊撃隊壊滅の報は、残存戦力によって満月まで届けられた。
 地図を確認すれば、沿岸部はほぼ制圧されたものの距離が遠すぎるし、遊撃隊の一部戦力を含むトレイン対応班は動かす訳にはいかない。
 このまま行けば、現在異人館方面から世継山に向かって進軍中のゲート破壊班とかち合う可能性が高いが、彼女達を消耗・足止めさせる訳にはいかない。
 其処で白羽の矢が立ったのが、一般人救助作戦を敢行中であった桐生 直哉(ja3043)だ。
「俺は、構わないよ。ただ、援軍を数名借りたい。いいかな?」
 危険な敵だと言うのに直哉は軽く了承すると、狭い住宅街に居座られるよりは駅近くの開けた土地の方が好都合だ、と言う。
「解ったのです。あと、現在判明している敵の能力の詳細を伝えておくのです。足止め、お願いするのですよ」
 満月は直哉に情報を伝達すると、申請された戦力をかき集めるべく奔走するのだった。


「……ふぅ、一仕事終えた後のバナナオレは格別」
 潮風に銀髪を弄ばせながら、海を眺めつつ原動力を補給し、ユウが一言。
 黄昏る背は、妙に哀愁を感じさせる何かがある。
 制圧を終えた沿岸部は、負傷した撃退士が本陣に向けて移動を開始し、残りの撃退士で散乱する敵の残骸を片付け、救助者輸送の為の道を開けているところだ。
 本作戦で万が一攻略が失敗すれば、此処で少しでも一般人を救出しておく事は、後々重要な違いとなって現れてくる。
 と、すれば即ち、敵にとっても沿岸部は最重要視されている可能性が高い、と言う事だ。
 ならば制圧された場合は、取り戻す為の増援が来る、と言うのは道理である。
 そうして彼は現れた。
 その背後に、燦然と煌めく無数の氷剣を従わせ。
「雑魚の癖に頑張るじゃねぇか。あぁ? どいつもこいつも情けねぇな。まぁ、こいつは俺様からの餞別だ。遠慮せずに、かっくらって逝けやァ!」
 絶望を奏でる交響楽団の指揮者のように、アルトゥールは背後に控えた氷剣で旋律を紡ぐ。
 謳われるは断罪、そして終焉。
 雨となって降り注いだ狂気は、容赦なく撃退士達に突き刺さり、仕留めていく。
 広範囲に及ぶ範囲攻撃による奇襲は、戦局を一気に塗り替えた。
「……あ……、もった……ない」
 地に伏したユウは背中に突き刺さった剣を気にするよりも、その手から落ちて零れゆくバナオレに対して執着心を見せながら意識を失った。
「嘘……やろ……」
 十字架に張り付けられた罪人のように四肢と背を穿たれ、縫い付けられた淳紅も意識を奪われていく。
 彼女達の傍にいた静流も巻き込まれたが、ぎりぎりのところで耐え忍んだ。
 だが、次は無い。
 初手の範囲攻撃に続いて、高機動のラミアの部隊が投入され、討ち漏らした撃退士達に襲いかかる。
 初撃を耐えきった撃退士も、第二弾には堪えきれず、悪魔に近い位置に居た者から倒れていった。
 このままでは全滅する。
 そう判断したアトリアーナとアイリスの行動は速かった。
「撤退なの!」
「こちらへ……逃げて……ください」
 煙幕を張り、視界を塞ぐ。
 事前に万が一の時に、と決めていた脱出路へと仲間を誘導し次々と離脱を計る。
 が、其れを易々と許す程、悪魔は甘くは無い。
 其れを仁刀は知っている。
 心に決めていたのだ、銀髪姉妹達や静流を必ず生きて帰す、と。
 其の為には、自らの身を危険に曝す事も厭わない、と。
 剣魂で体力を回復させ、刀を握りなおす。
 己の為では無く、他者を活かす為に。
 仁刀は死地への一歩を踏み出した。
 突き出した其の刃に集うは闇を払い、魔を絶つ陽の光。
 混迷に夜明けを導けと、未来を信じ、勝利を願い、祈りを賭す。
 白い世界の中心で、二人の戦士が邂逅した。
 不遜なる赤髪の狩人を、求道せし赤髪の剣士が見上げる。
 真下から垂直に上へと切り上げる逆風の太刀。
 討魔の剣が吼える。
 対して悪魔は氷壁を作り上げると其れを突出し、盾とした。
 彼のいつものやり方だ。
 されど仁刀の刀に宿った力は、魔を討つ為にのみ研鑽された天界の其れ。
 齎される恩恵は、圧巻のカオスレート+5だ。
「いつまでも俺達を家畜と侮るなよ!」
 盾と剣が拮抗したのも僅か、仁刀の力が氷壁を上回り、打ち砕く。
 解き放たれた剣閃はそのまま天を突きあげ、悪魔の鎧に食い込み、中身をも斬る。
 切り上げた切っ先が、悪魔の頬を裂いた。
 しかし致命傷にはならない。
 そしてカオスレートの変動は、諸刃の剣だ。
 一撃必殺を為せないのであれば、死に至るのは自らの身。
 悪魔の剣が閃き、仁刀を袈裟に斬る。
 有り得ない量の流血、混濁する意識、霞む視界。
 だが、まだ倒れる訳にはいかない。
 根性で奮い立つが、
「まさか家畜共の中にてめぇみたいな戦士が居たとはな。認めてやろう、其の勇気と力を。久しく忘れてた感情を、てめぇの一撃で思い出した気分だ」
 血を滴らせ、悪魔が眼前に立ち、剣を振り上げている。
 周囲には退路を断つように二重、三重に押し寄せたディアボロの壁。
 思い返せば、仁刀は無理ばかりしてきた。
 最前線に立ち続け、誰よりも苛烈に、誰よりも真っ直ぐに在り続けた。
 其れは己の身を顧みる事の無い修羅の道でもあり、誰に頼るでも無いその剣は、常に孤高のものであった。
 死を前に、時がゆっくりと流れるように感じる不思議な感覚。
 ある種の諦めのようなものが仁刀を支配する、が。
 ふと、一人の少女の泣き顔が浮かんだ。
 どうしても頭から離れない優しいあの娘の、真っ直ぐな瞳が。
「……死ね、ないっ! 俺はまだ、死ぬ訳にはいかないッ!」
 瞬間、仁刀の身体から、最後の気力とばかりに無尽光が溢れる。
 悪魔の剣先を捉え、先読みし、刀で力の流れを削ぐ事に専念。
 次いで、自らの身体を一歩、後方へと跳び退り、力の流れに沿うようにした。
 そうして迎えた悪魔の剣。
 急所を防ぐが、やはり重い。
 だが、そのままの勢いを殺す事無く全力で後方へと。
 ディアボロの壁を飛び越え、地を転がり、柵をも乗り越え、海中へと。
 血が大量に流れていく。
 其れでも、生きたい、と仁刀は願いながら。
 そうして意識を失っていった。
「逃げたか。だがあの傷で海中だ、生き残るのは難しいだろう。存外、面白いものだな。この俺様に傷をつける原住民、か。……侮りは捨てるぜ、お前らは今日から俺様の敵だ」
 アルトゥールは信念と力、双方を併せ持つ者を好む。
 戦士の見せた意地に悪魔は敬意を表すると、ディアボロの一隊を沿岸に残し本陣へと帰還していった。


「そう、ですか。アリスさん、どこにもいない、です。やっぱり、ゲート内、でしょうか」
 満月から沿岸部の惨状を知らされたユイ・J・オルフェウス(ja5137)は、アリスの居場所をゲート内であると断定するに至った。
 当初は何処かに増援として現れるのではないかと思われていたが、悪魔自身が増援に出てきた事により其の可能性は無いと判断したのだ。
 ユイは満月にゲート行きの旨を伝えると、世継山目指して移動を開始した。
 胸に広がる不安を少しでも振り払うように、全力で。

 緋眼の竜が吼える。
 狂乱に踊る其の姿を、静矢は覚えている。
「もう『狂化』を使ってきたか。トレインが出発し、護る物がなくなったからだろうが、消耗戦になるな」
 かつての戦場では、互いに互いの最大火力の撃ち合いと化し、多くの撃退士が戦闘不能にされてしまった。
 あの時とは状況こそ異なるものの、どこかしら既視感を覚える。
 だからこそ、繰り返してはならないのだ。
 今度こそ決着をつける。
 そう決めたのだから。
「道は作る! だから、行ってくれ!」
 悠のハルバートから放たれた黒い衝撃波が、一直線に魔竜へと延びる。
 進路上の敵を薙ぎ、静矢達が行く為の道を開いた。
 幾度目かの突撃。
 僅かに出来た隙間を縫うように、強引に突き進む。
「先手は貰うぞ。取って置きだ、遠慮せずに喰らえ」
 闘気を解放し、能力を底上げした龍斗の鬼神の如き一閃が魔竜の巨体に食い込む。
 背中を弓なりにのけ反らせ、魔竜の苦悶の呻きが漏れた。
「どうした? 魔獣の力はこんなものか?」
 全力で武器を振り抜き、挑発。
 しかし、魔竜の戦意は衰えてなどいない。
 憎悪と憤怒に満ちた瞳と目が合う。
 瞬間、カウンターの一撃。
 巨体から遠心力を加えて繰り出された高速の爪の一撃は、龍斗の細身な身体を易々と切り裂き、吹き飛ばす。
 ごろごろと地面を転がり、壁に激突。
 が、まだ耐える。
「ぐくっ……、少々厳しいが、まだ、終わりじゃない」
 しかし、周囲は敵の群れ。
 孤立は死と同義。
 龍斗の身体は、敵の波に飲まれ見えなくなってしまった。
 だが、好機でもある。
 大振りな動作の後に出来た隙を、沙耶は見逃していない。
 仲間と共に、波状攻撃を仕掛ける。
 闘気解放からの鬼神一閃。
 龍斗のつけた傷に重ねるように、もっと深く。
 ずぶり、と奥まで刃が沈む。
 肉を断つ手応え。
 飛び散る鮮血と、大音量の咆哮。
 沙耶に続けと鬼道忍軍が迫り、全力の一撃を畳み掛けていく。
 満身創痍の魔竜は、しかし不退転。
 退くことを知らぬ門番は、それでも進み続ける。
 少しでも足止めしようとグランも死角からスタンエッジを撃ち援護するが、止まる気配はない。
 逆に敵に位置が知れ、ラミアによる包囲を受ける。
 孤立したダアトには死の宣告に等しい。
 グランもまた、物量の波に消えていった。
「タフだな。だが効いてはいる。手を休めず火力を叩き込み続けるんだ! 恐怖に負けた方がやられる。今一度踏みとどまり、立ち向かうんだ!」
 静矢の剣から紫炎の鳥が飛び立ち、戦場を翔ける。
 進路上の敵を悉く討ち払い、そうして魔竜へと食らいついた。
 堪らず魔竜が立ち止まる。
 かなりの量の高火力スキルを食らい続けたのだ、限界に近い。
「……首、貰った」
 沙耶が其の隙を逃さず、飛び上がる。
 魔竜の身体を踏み台に頭上を取り、そのまま刃を傷ついた首筋へ。
 血飛沫が散った。
 沙耶は其れでも手を緩めず、深く、深く刃を押し込んでいく。
 其の命が尽きるまで。
 ゆっくりと魔竜の身体が頽れていく。
 その瞳からは光が消えていた。
 かくして魔竜討伐は成った。


「んじゃ、私らこっちだから」
 直哉達の足止めもあり、無事に植物園へ至る車道へと入ったゲート破壊班は、その途中で分隊。
 子猫巻 璃琥(ja6500)と唐沢 完子(ja8347)は鬼道忍軍とアストラルヴァンガードを率い、山中強行による奇襲を目指す。
「悪いけど、鬼道忍軍は無音移動で先行してもらえるかしら? 極力、植物園までは戦闘を避けたいのよ」
 と、後衛を中心に囲み、移動陣形を整えながら完子。
「少し待ちたまえ。どうやらファティナ君が申請していた登記記録が届いたようだ」
 慌ただしく出立しようとする彼女達を鷺谷 明(ja0776)が呼び止め、本陣の満月から送られた情報を共有化する。
 支配領域突入前、事前捜索でゲート発見に至らなかった事に疑問を感じたファティナが人間側の協力者を疑い、法務局に問い合わせていた件だ。
「良かった、間に合ったのですね。それで、どうでした?」
 ファティナが安堵の息を吐いた。
「どうやら、以前の戦いの後で慰霊碑と其れに関する施設が建てられたらしい。破壊された箇所も修復がされているようだ。全て、とある奇特な資産家によってな」
 やっぱり、と言った表情で麦子。
「その新設された施設っていうのがきな臭いわね」
 当面は慰霊碑を目指して進むのがゲートの入り口に行き当たる可能性が高いだろう、と言う見解に達する。
「仮に慰霊碑がゲートの入り口になっているとして、だとしたらこれ以上の皮肉は無いな」
 大炊御門 菫(ja0436)の素直な感想。
 ともすれば、何もかもを踏み躙るであろう純粋な悪意に、ただただ震え上がる。
「だとしてもやる事は変わらない。見つけ次第、壊すだけじゃね?」
 その点、影野 恭弥(ja0018)は冷静だ。
 例え相手がどんなに心情を逆撫でするような行動を起こそうとも、常に自分のペースを保てるだけの精神力がある。
 物事の本質を些事に惑わされる事無く捉え続ける。
 其れこそが成功への筋道なのだから。
 共有すべき情報と見解を統一した撃退士達は二手に別れると、山頂目指し再び進軍を開始した。

 車道を行くメリットは、ある程度開けた視界と整備された道路故に進軍も早く、敵への対応もしやすい点にある。
 その反面、敵には行動が知れ渡る事になり、また、奇襲も受けやすい。
 隠密行動には向かない、と言う事だ。
 その分、目立って陽動の役割も兼ねるのであれば、結果論としては成功と言えるのかもしれない。
 別班がゲートを発見し、破壊するまでに至れれば、と言う話であるが。
 エル達ゲート破壊班の主力部隊は程なくして待ち構えていた敵の群れと戦闘に突入。
 少しでも速く、僅かでも前へ。
 焦りがはぐれ悪魔の胸に絡みつき、力によるごり押しでの進軍を選択させる。
 焼かれても、斬られても、敵の波は止まる事を知らず、前後左右から飛び出してくる。
 湯水の如く湧いたそれらが、出た端から殲滅されていく様は、全く戦術的な意味を為さない消耗戦であり、無駄な命の大量消費に思えた。
 しかし、防衛側にとっては其れで充分なのだ。
 彼らの王が帰還する、その時間を稼げるのであれば。
 不意に、後方で爆砕音が響いた。
 振り返ったその先には、燃ゆる赤髪をはためかせ、戦意も高らかに吼える暴虐の王。
 大剣を繰り、血を啜る絶対零度の狩人、アルトゥールの姿があった。
 部隊に付き従い、後衛として戦っていたダアトとアストラルヴァンガードが餌食となり、変わり果てた姿となっている。
 其れらの遺骸を踏みつけ、悪魔は挑発した。
「よぉ、待たせたな、雑魚共よォ! ちったぁやるようになったみてぇだが、此処までだ。格の違いって奴を思い知らせてやるぜ」
 最早、戦闘は避けられそうにない。

「アルトゥール様が呼んでいるわ」
 憂鬱な表情のまま、アリスは呟いた。
 悪魔から届いた指令はゲートより出陣し、撃退士を上と下から挟み撃ち。
 圧倒的力量差を以て殲滅しろ、である。
 アリスの本音としては、撃退士とは戦いたくなかった。
 其れは何も、戦うのが怖い、と言うだけではない。
 彼女は、臆病だった頃の自分の背を押してくれた撃退士達に、感謝すらしているのだ。
 話し合えば解り合える、そう信じているから。
 お茶会だってした、友達だっている。
 もしかしたら、この戦いに参加しているかもしれない。
 そう思うと、申し訳なさが胸を締め付け、ますます鬱屈とした気持ちにならざるを得ない。
 だが、やらなければクローディアの立場が悪くなる。
 意を決すると、アリスは出陣の準備に入った。


「アルトゥール、今日こそ決着をつけるのじゃっ!」
 エルの掌に煉獄の炎が集う。
 が、横合いからエルに抱きつき、其の行動を阻害せんとする者が居た。
 ファティナとレフニーである。
「これっ、今はふざけてじゃれおうておる場合ではないじゃろう!」
 エルの叱責が飛ぶ。
「其れだけは駄目です! エルちゃんが死んだら、私も死にます! だから……、お願いだから、一人で無茶しないで!」
「そうです、エレオノーレさんの自己犠牲は断固阻止なのですよ!」
 だが二人とも怯みはしない。
 過去、エルが其の技を使った場合、ほぼ確実に大きな怪我を負っているからだ。
 今度こそ死んでしまうかもしれない。
 そういった危機感と恐怖心が彼女達に付き纏うのだ。
「なればエルにどうしろと言うのじゃね! 討つなと言うのかね!?」
 しかしエルからすればそんなものは関係ない。
 むしろ憤りすら感じる。
 良かれと思い執って来た行動が、仲間達から否定されていく。
 遣る瀬無い想いが胸にこみ上げ、叫ばずにはいられない。
「戦場で三文芝居たぁ、余裕じゃねぇか、なぁ? 見物料代わりにくれてやらァ!」
 しかし、撃退士側の事情など知ったことでは無いのは悪魔とて同じである。
 無数の氷剣が空を翔け、無情の雨となりて地に舞い降りる。
 その度に悲鳴が上がり、血が飛び散った。
 問答する暇はない。
 エルは二人を振りほどくと、炎弾を作り上げ、放り投げた。
 だが着弾寸前に出来た氷壁に阻まれ、本体には届かない。
「甘ぇよ、そんな単調な攻撃が俺様に通じる訳ねぇだろうがよォ!」
「なら、これはどうだ?」
 炎と氷が激突し弾ける瞬間を狙って、菫が死角から悪魔へと肉薄していた。
 真横から突かれた炎の穂先を、悪魔の大剣が弾き飛ばす。
「惜しかったなァ! 威力は足らねぇが、俺様に接近戦を挑む度胸だけは認めてやらぁ」
 即座に振り下ろされたカウンターの一撃を、菫は逃げる事なく真正面から受け止める。
「私に逃げると言う選択肢は無い。この覚悟こそが、折れない心こそが今の私の強さ。これが、――答えだッ!」
 そうして、耐えきった。
 折れそうになる膝を奮い立たせ、其れでも前を向き続ける。
 生への執着を捨て、ひたすら敵を討つ為の剣へと。
 例え、目指すその先に未来が無いとしても。
「ハッ! 気持ちだけはご立派だがよぉ、力のねぇ奴がいくら吼えようが、そいつぁ只の妄想だ!」
 再び剣が翳される。
 次こそ殺す、そういった絶対の意思を持って。
「さすがの俺もキレるぞ」
 が、其れを恭弥は許さない。
 側面へと回り込んでいた恭弥は、不意打ち気味に白銀の銃弾を解き放つ。
 天界の力を付与された退魔の弾は悪魔の脇腹に着弾すると、鎧を砕き本体を貫通した。
「くっ、数ばかりわらわらと! 鬱陶しいんだよ、てめぇら!」
 悪魔が飛び退り、一度距離を取る。
 次いで配下に指示を飛ばすと、周囲を固め始めた。
 焦る必要はないのだ。
 直に援軍もやってくるのだから。

「ごめん、逃げられちゃったよ。火力が足りなかった」
 家畜の足止めをしていた直哉からの連絡が、本陣に入る。
 満月は僅かな思案の後、次の指示を出した。
 沿岸部は敵の手中に堕ちたが、駅周辺はどうにか制圧できた。
 しかし今はゲート破壊班が危機だ。
 悪魔との戦闘に入り、既に何名か犠牲者が出ている。
 彼らの敗北は=この戦いの敗北だ。
 払った犠牲が全て無駄になってしまう。
「撤退した沿岸部の方と電車対応班の方で、今、増援部隊を編制しているのです。良ければそちらに参加してほしいのです。ボク達はここで負ける訳にはいかないのです」
 西宮の辛勝と芦屋での電車撃破が、神戸の地に伝えられたばかりだ。
 続かなくてはならない、自分達も。
 直哉は了承すると、合流地点へと走り出した。


「周囲の敵だけ狙って! アリスには手を出しちゃ駄目よ!」
「ちぃ、分からず屋だな! 敵意は無いって言ってるだろ!」
 山中を強行し植物園へと至った完子と璃琥は、挟撃に向かう途中だったアリス達と遭遇。
 説得を試みようとするものの聞く耳もたれず、そのまま戦闘へと突入した。
「お願い、退いて。貴女達を殺したくはないの。アリスが戦わなければ、クロが困るの。だから、解ってちょうだい」
 アリスの願いを受け、双子のディアボロが其の剣を振るう。
 璃琥は光信機を取出し、ユイと会話させようとしたがそんな間などありはしなかった。
 直線上全てを薙ぎ払う暴風が吹き抜けて行く。
「くそっ、先に周りを片付ける。私が動きを止めるから、攻撃は任せたぜ」
「仕方ないわね。此処で抑え込まないと本隊が壊滅しかねないわ。やってやるわよ、もう!」
 アリスは攻撃に参加せず、ただ奥で立っているだけ。
 双子のディアボロは能力こそ高いものの、たかが二体だけだ。
 今ならまだ何とかなる。

「エルちゃん、危ない!」
 悪魔の擲った氷槍が、態勢を崩したエルを襲う。
 突き刺さると思われた瞬間、エルを庇ったファティナによって其れは防がれた、が。
「ファ……ティナ……?」
 己の身を挺した彼女はそうはいかない。
 背中から刺さった槍は貫通し、腹から穂先を覗かせている。
 そうして効力が消え消失した時、ぽっかりと空いた穴から大量の血が噴きだした。
 蒼白な相貌に力は無く、光が失われゆく瞳から、満足そうな何かが感じられるのみだ。
 かつて、この植物園で護れなかった者を悔いた少女の、精一杯の抵抗。
 もう失いたくないと願い、かくあるべきと信じた少女の心の在り方。
 トラウマを踏み越え、一歩前へ。
「馬鹿な……、そんなものっ! 自分よがりの自己満足なのじゃっ! 起きよ、起きるのじゃ!」
 しかし、其れは残される者の想いを失念した現在しか見えていない者のする事だ。
 未来が無い。
 トラウマがトラウマと響き合い、更なる惨劇を呼び起こす。
 血に染まった両手を、力無く横たわった愛しいと思える友を、何も出来ない自分を。
「何時も大切なモノはこの掌から零れて……、そして失くしてゆく……」
 ゆらり、とエルが立ち上がった。
「エルは、何も変われていないのじゃ……。あの頃のまま、ただ何も出来ず、見ている事しか出来ぬ……。そんなのは嫌じゃと、誓ったはずじゃのにっ!」
 掌に殺意の炎が集う。
 レフニーはアリス発見の報を受け、ゲート破壊を優先する麦子、明と共に敵の群れを強行突破して行った為、既にいない。
 最大の枷であったファティナも、もういない。
 さっさと刺し違えるつもりでいかなかったから。
 だから失ってしまった、また失ってしまった。
 遅ければ遅いほど、失う者はより多く、取り返しのつかない事になると言う焦燥感。
 其処に信じる願いも、託すべき未来も在りはしない。
 ただ討つべし、と。
 憎悪の炎が掌に束ねられた。
「あいつ、キレやがったな。全員下がれ、巻き込まれるぞ」
 恭弥はエルの自爆を感じ取ると、総員に退避を命じ、自身も下がった。
「アルトゥゥゥルッ!」
「いいぜ、来いよッ! 俺様の最大火力で葬ってやらぁ!」
 アルトゥールの剣に氷の礫が収束し、嵐となって咆哮する。
 何もかもに永久の絶対零度を約束する甘美なる死の衝撃は、未来を信じるアルトゥールの明日を切り開く為の一撃。
 エルの炎を纏った大鎌と、アルトゥールの氷を帯びた大剣が切り結ばれ、爆ぜた。
 拡散された炎が周囲の雑魚を焼き払い、灰塵へと変えていく。
 しかし、悪魔へは僅かに届かない。
 エルの胸に、深々と大剣が刺さる。
「中々いい一撃だったぜ。まぁ、てめぇじゃ俺様にゃ勝てねぇよ。特攻しか能がねぇんじゃな」
 そのままざっくりと斬り裂き、弾き飛ばす。
 大量の血をまき散らしながら、エルは斜面を転がり落ち、消えていった。
 まったく意味の無い捨て駒だ。
「(とは言え、流石に連戦で消耗が激しいな。援軍がくりゃ何とかなるだろうが、このまま持久戦を続けるのは拙い。そろそろ撤退時か)」
 周囲の雑魚がある程度燃え尽きたとは言え、悪魔は健在。
 対して撃退士は負傷者・戦闘不能者を多数抱え、壊滅に近い状況。
 例え此処で悪魔を退けれたとして、ゲート破壊に至れるかどうか、既に怪しい。
 双方共に現状を打開する何か、が求められていた。


 敵地のど真ん中で戦うのだ。
 包囲される事は想定して然るべきである。
 当初こそ三体だった敵も時間をかける内に周囲から雑魚が集まり、無視できない数へと至った。
 其処へ駆けつけてきた明、麦子、レフニー達の加勢もあり、どうにか盛り返し双子を討ったものの、消耗の激しい完子と璃琥は遂に力尽きた。
 説得を試みた麦子もまた、無抵抗のまま倒される。
 心を決めたアリスの攻撃を受けて、である。
「アリスは言ったわ、退いてって。貴女達もお願いだから帰って。本当に戦いたくないの」
 それでもレフニーは光信機を手に食い下がる。
 これこそが最後に縋るべき希望なのだ、と言わんばかりに。
 しかしアリスも其れを受ける訳にはいかないのだ。
 アルトゥールの息遣いが感じられるこの戦場で、少しでも愛する者の不利になるような行動はとれない。
 今、こうして会話している事でさえ危ういと言うのに。
 無情の剣が振るわれる。
 アリスは謝罪しながら、レフニーを貫いた。
「……ジュン……」
 力なくしな垂れかかったレフニーの身体を地面に横たわらせると、消耗した明に向き直り再度撤退を促した。
「其れで君は本当に愉しいのかね? 君が望んだのはそんなものだったのかね?」
 明は時間を稼ごうとアリスに問いかける。
「……それでもやるしかないの。生きていくって、難しい事なのだわ。楽しいだけでは駄目なのよ。アリスには其れが解るから」
 されど決意は変わらず。
 せめて安らかな眠りを期待するのみ。
 だが間に合った、彼女はやってきた。
 璃琥と完子が切り開いた山中を駆け抜け、この地へと。
「アリスさん! 待ってほしい、です!」
 息も切れ切れに明の前に立ち、庇う。
 悪戯を咎められた子供のように萎縮し、アリスの動きが止まった。
「アリスさん、こんにちわ……です。今日も本、持ってきてる、ですよ」
 そう言って差し出したユイの本を、しかしアリスは受け取らない。
 戦場だ、仕方ないのだ、と。
 ユイも不戦を訴えてみるが、やはりアリスは首を縦に振らない。
「晃司さんが、言ってたです。クローディアさんに心配させたくないなら、私達に力を貸してほしい、って」
 故に、ユイは晃司から託された言葉をアリスへと伝える。
 学園に来れば、クローディアとアリスの安全を保障すると。
 もう戦わなくていい、平和な日常を約束する、と。
「で、でも、アリスは、クロを……、クロと……」
 考えもしなかった未来に戸惑うアリスの手を取り、ユイは畳み掛けた。
「アリスさん、私とアリスさんはお友達ですか? もしそうなら、信じてほしい、です。アリスさんが協力してくれるなら、きっと上手くいく、です」
 其の真摯な瞳に、素直な言葉に、暖かい心に。
 アリスは其の手を取った。

 銀狐の尾のような長髪を靡かせ、マキナが駆ける。
 先に敗れた菫が作った隙を逃さぬように。
 ハジマリのこの地で、根源を断ち、全てを清算する為に。
 振り抜く拳に籠めた力は終焉を齎す黒き焔。
 愚直なまでに真っ直ぐな破壊者としての一撃を、ただ突き出す。
 刹那、悪魔の剣との交錯。
 マキナの拳は悪魔の鎧を打ち砕き、遂にその膝を折らせ、地につけさせた。
 が、マキナの速度を利用する形で突き付けられた剣もまた、マキナの腹を食い破り、血の池を創造する。
 また一人、倒れた。
 恭弥の援護射撃を防ぐように、残存する敵兵が悪魔の周囲を固める。
 舌打ちしながらどうにか狙撃できる位置を探ろうとする恭弥を、強烈な一撃が襲い、叩きつけた。
「アルトゥール様、遅くなりました!」
 家畜が援軍を引き連れやってきたのだ。
 流動する戦場は、悪魔勢力・撃退士勢力・家畜増援勢力と三層に分かれ、撃退士を挟み込む。
 万事窮す。
 だが、撃退士側も指を咥えて見ていただけではない。
 その直後、満月の手配した援軍が到着したのだ。
 静流、アイリス、アトリアーナ、直哉、沙耶、悠、静矢。
 掻き集められるだけの戦力が、救援へとやってきた。
 挟撃に挟撃が重なる混戦。
 硬直するかと思われた前線だが、しかし直ぐに動いたのは撃退士側だ。
 ファティナが血の赤に染まり、倒れている。
 其の事実が、彼女の友人・姉妹達を激昂させた。
 あれほど自分達に無事で帰れ、と言っていた本人がその様だ。
 アイリスは怒りに身を任せ、悪魔へと斬りかかる。
 次いで、静矢達も分断された戦力を結集すべく、戦端を開いた。
「次から次へと湧きやがる! 害虫だな、てめぇらはよ!」
 悪魔とアイリスの剣が鍔迫り合い、互いの力量を比べ合う。
 が、その背後を家畜が取り、アイリスを叩き潰した。
「無礼者! 身の程を弁えろ、下等生物め!」
 地にめり込み、動かなくなったアイリスを悪魔は一瞥し、舌打ちした。
 悪魔として騎士の階級に在るアルトゥールとしては、こう言った一騎打ち状態の時に水を差されるのはプライドに関わる問題だ。
 苛立ちはしたが、しかし気を取り直す。
 自分とて、今は余裕がない。
 優先すべきは作戦の成就である。
 なればこそ、今は目も瞑ろう、と。
 混戦と化した戦場は、家畜が主との合流を、撃退士側が戦力の結集を目指した為、また元の二極化された前線へと戻った。
 互いに睨み合い、けん制し合う。
 だが、分が悪いのは明らかに撃退士側であった。


「皆さん、助けにきた、です!」
 ユイの叫びが木霊する。
 次いで降り注ぐ星々の煌めき。
 アリスの範囲魔法攻撃だ。
 悪魔と家畜の周囲に落下し、雑魚敵を滅する。
「てめぇが裏切り者だったか!」
 悪魔の怒りが爆発し、驚異的な勢いでアリスへと迫る。
 裏切り者に死を。
 アリスの対抗障壁を打ち破り、届かんとする刃の前にユイが立つ。
「友達は、護る、です!」
 深々と刺さった剣は、ユイを一撃で仕留めるには充分な威力だった。
「邪魔だ、雑魚がッ!」
 返す刃で、更にアリスへと。
 だが、其の剣は分厚い本の壁に阻まれ、届くことはなかった。

「てめぇも裏切り者か。西宮はどうした?」
「悪いねアルトゥール、堕とされてしまったよ。ボクの力不足でね。其れに裏切りってどういう事だい? 身に覚えはないんだけどね」
 神戸へと帰還したクローディアが戦線に介入したのだ。
 アルトゥールとアリスの間に割って入り、双方に事情の説明を求める。
 が、互いにそんな悠長な時間はない。
「裏切ってねぇならアリスを始末しろ、裏切り者だ! てめぇのケツくらい、てめぇで拭けるよな?」
 と、剣を突き付けアルトゥール。
「クロ、アリスと一緒に来て。アリスはクロと平和に暮らしたい。クロが死んでしまうかもしれない戦いに行かなきゃいけないのなんて、嫌なの!」
 と、ユイを抱き涙するアリス。
「そう言う事か。ねぇ、アリス、解ってるのかい? 人間側に寝返ったとしても争いは無くならない。本質は一緒だよ。其れでも君は裏切るのかい?」
 クローディアにとって悪魔を裏切ると言う選択肢は有り得ない。
 人間側に寝返れば更なる修羅の道に身を置く事になるだけだ。
 わざわざ困難の道に自ら赴く愚者の世渡り。
「友達か愛する人かなんて、選べないの。皆、笑顔で楽しく生きていたいの。だからお願いよ、クロ……」
 だが、その不器用なまでの生き方がアリスらしくて微笑ましい、とも感じるクローディアが居る。
 元から心は決まっていた。
「はいはい、解ったよ。でも、今度から勝手に行動しちゃ駄目だ、よ!」
 振り向き様に魔力を籠めた全力の一撃。
 撃退士陣営まで至る雑魚敵を一掃し、道を作る。
「其れが答えか、クローディア!」
「悪いね、見逃してもらうよ。……お互い、痛み分けでいいだろ? リルティが死んだ。ここらで休戦といこうじゃないか」
 アリスとユイを抱えると、クローディアは撃退士と合流し撤退を促した。
「君達、悪いけどボクも手負いでね。これ以上、戦闘を続行する余力は無いんだ。其れに芦屋は悪魔側の勝利だ。此処も撤退しないと拙いんじゃないかい?」
 其れを裏付けるように、満月から芦屋攻略失敗の報が届く。
 確かにこれ以上の時間延長は危険だ。
 幸い敵側も防備を固め、追ってくるような様子は無い。
 撃退士達は残存戦力を纏めると、神戸から離脱していった。
 確かに敗北はした。
 だが得られた成果は大きい。
 未来への道は、まだ続いている。


依頼結果

依頼成功度:失敗
MVP: God of Snipe・影野 恭弥(ja0018)
 Silver fairy・ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)
 海鮮パティシエ・海原 満月(ja1372)
 無傷のドラゴンスレイヤー・橋場・R・アトリアーナ(ja1403)
 撃退士・久遠 仁刀(ja2464)
 Le premier ami d'Alice・ユイ・J・オルフェウス(ja5137)
 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 泡沫なる夢いつかの約束・子猫巻 璃琥(ja6500)
 二律背反の叫び声・唐沢 完子(ja8347)
重体: −
面白かった!:17人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
マキナ・ベルヴェルク(ja0067)

卒業 女 阿修羅
撃退士・
天風 静流(ja0373)

卒業 女 阿修羅
創世の炎・
大炊御門 菫(ja0436)

卒業 女 ディバインナイト
Silver fairy・
ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)

卒業 女 ダアト
ちょっと太陽倒してくる・
水枷ユウ(ja0591)

大学部5年4組 女 ダアト
無音の探求者・
樋渡・沙耶(ja0770)

大学部2年315組 女 阿修羅
紫水晶に魅入り魅入られし・
鷺谷 明(ja0776)

大学部5年116組 男 鬼道忍軍
幻の星と花に舞う・
柊 夜鈴(ja1014)

大学部5年270組 男 阿修羅
踏みしめ征くは修羅の道・
橋場 アイリス(ja1078)

大学部3年304組 女 阿修羅
天つ彩風『探風』・
グラン(ja1111)

大学部7年175組 男 ダアト
海鮮パティシエ・
海原 満月(ja1372)

中等部3年1組 女 アストラルヴァンガード
無傷のドラゴンスレイヤー・
橋場・R・アトリアーナ(ja1403)

大学部4年163組 女 阿修羅
夜のへべれけお姉さん・
雀原 麦子(ja1553)

大学部3年80組 女 阿修羅
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
撃退士・
久遠 仁刀(ja2464)

卒業 男 ルインズブレイド
覚悟せし者・
高野 晃司(ja2733)

大学部3年125組 男 阿修羅
未来へ願う・
桐生 直哉(ja3043)

卒業 男 阿修羅
おかん・
浪風 悠人(ja3452)

卒業 男 ルインズブレイド
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
Le premier ami d'Alice・
ユイ・J・オルフェウス(ja5137)

高等部3年31組 女 ダアト
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
泡沫なる夢いつかの約束・
子猫巻 璃琥(ja6500)

大学部4年135組 女 ダアト
盾と歩む修羅・
翡翠 龍斗(ja7594)

卒業 男 阿修羅
二律背反の叫び声・
唐沢 完子(ja8347)

大学部2年129組 女 阿修羅