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マスター:剣崎宗二
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/02/06


みんなの思い出



オープニング

●???
「御門。‥‥襲撃失敗の責は、どう取るつもりだ?」
「申し開きはしないっすよ。けど、予想外の援軍が来た‥‥ってのは言っておくよ」
「全く、申し開きしないと言いながらそんな言い訳を‥‥」
「二人とも、止めなさい」

 言い争う、軍服の男と、神主のような鎧を着た男。
 その争いを止めたのは、彼らの前に座る、白い翼を持つ少女天使。

「報告を聞くに、駐在してた者たち三人を負傷させたらしいわね。‥‥ウリエルからの依頼は、『思い知らせてやれ』って事だから、それで十分よ」
「でしょでしょ? ジェイ、姫様もああ言ってる事だし、今回は――」
「御門!少しは反省しろ!大体お前はだな‥‥」
 更に言葉を続けようとする軍人風の男を、たしなめるようにして少女天使は遮る。
「ジェイ、御門がこうなのは何時もの事でしょうに。彼を派遣した時から私は覚悟が出来てましたわよ」
「ですが姫様‥‥!」
「彼の言う事も尤もだわ。彼女の依頼は達成できてる。それでいいわ」
「――分かりました」
 後ろを向き、下がる軍服の男。それに合わせる様に、隣の影からすっと、スーツを着た老紳士が現れ、カップを差し出す。それを手に取り、優雅に一口飲み――

「ブラッド。調査結果は?」
「はい。前回御門が活動を行ったあの近くの村に、悪魔の魔力痕跡が発見されました」
「‥‥それは‥‥本当なの?」
「ええ、如何致しますかな?」
 頭に手をあてた少女。考え込み、放った言葉は――

「村ごと――潰しなさい」


●四国、とある村

「これが日本ノ「ムラ」デスカ。面白いデスねー」
 奇妙なアクセントの日本語を放ちながら、黒い肌を持った男が、村を覗き込む。
「あら、こんな村に客人とは、珍しいねぇ。ささ、入っていきなされ」
 村の入り口にいた老婆が、彼を見つけ、歩み寄る。だが、その歩みが男に辿りつく前。
 ――その背には、手刀が突き立てられていた。

「ジョッシュ。お嬢様の命令は、村を潰せ‥‥だったはずですが?」
 シュン、と空気中から老紳士の姿が現れる。
「スみまセん。珍シかったのデついつい見とれてまシた」
 頭を掻きながら、ジョッシュと呼ばれた黒人の男は手招きする。
 ――人程の大きさを持った、蛇型のサーバントが、ゆっくりと村に向かって這って行く。

「それでは私は、もう一度探してきましょうか。あの魔力痕跡が残る方は一人たりとも逃せませぬ」
 老紳士の姿は、再度空気に消えたのであった。


リプレイ本文

●Intercept

「おやおや、これハ大層な‥‥えーと、日本語で何ト言いマしたっけ、ああ、『ご招待』ですネ」
 目の前に並ぶ撃退士たちを見ても、「南風の騎士」――ジョッシュ・ストレイスの顔色は変わらない。この状況をすら楽しんでいるのか。‥‥それとも、目の前に立ち塞がった者たちは自分にとって「脅威足りえない」と感じているのか。

「ったく、ムカつく野郎だ。関係のない人達巻き込みやがって‥‥」
 ジョッシュの背後に倒れている死体を見、夜神 蓮(jb2602)が奥歯を噛み締める。
 ジョッシュ本人は、そんな彼の言葉が聞こえなかったかのように、相変わらずニコニコした表情で、問いかける。
「こノ村を今かラ潰さなけレばならナいのでスよ。退いテ貰えマすカ?」
 丸で、当たり前の問いかけと言った感じに放たれるその言葉。
 だが、これは同時に、先手で撃退士たちが動く絶好のチャンスでもある。
 お互い顔を見合わせ。静かに獅童 絃也(ja0694)、若菜 白兎(ja2109)の二人が、ゆっくりと後ろへと下がっていく。

「どうデしょう?ちナみに三度目は聞きマせんヨ? 日本ノことわざで『仏の顔も三度まで』と言ウのがアりましタから」


●Question

「‥‥お会いするのは初めてですね。私は紅葉公といいます。答える前に一つ‥‥、教えて頂けませんか?‥‥どうしてこの村を襲うのですか。」
「この村ニ悪魔の痕跡があっタからです。悪魔を退治すルのが、わたシに与えラれた命令でス」
 紅葉 公(ja2931)の問いにさも事もなさげに答えるシュトラッサーに、覚える苛立ちを我慢し。御堂・玲獅(ja0388)は更に問う。
「だからと言って、村人を殺す必要があるのですか?」
「悪魔ハ何に化けテいるカ分かりマせン。なノで、可能性のアる方は全て殺サねばなリませン」
「そんな理由で、お前たち天魔に村の人たちを殺されてたまるかッ!」
 激昂するレグルス・グラウシード(ja8064)。その叫びに、僅かにジョッシュは眉を動かし――
「でハ、私も好キにしテいいと言ウ事ですネ」
 その声と共に、大蛇の様なサーヴァントが、彼の後ろから這い出る。
 これが、開戦の合図となった。


●Hidden Assasin

「屋内に居るやつは出てくるな‥‥命が惜しいならな」
 絃也が叫ぶと共に、白兎は阻霊符を展開する。
「避難場所が決められていれば‥‥あわわ、窓は開けないでくださいー!」
 一生懸命走り回り、各所の安全を確認する白兎。無論、一般的な家屋に撃退士や天魔の攻撃が直撃すれば、崩壊するのは避けられないだろうが‥‥避難場所が決められていない現状、屋外に居てシュトラッサーなどに見つけられるよりはましだ。
 ――そして、この避難方針は。ある意外な利をもたらす事になる。

「っ、何‥‥!?」
 ピクリと、耳のように纏めた白兎の髪が揺れる。
 確かに今、ガタッと物音が聞こえた。念のためだ。チェックしてみよう‥‥そう思って駆けつけた白兎の目の前には、破壊された扉が。
 そして、木屑舞う中‥‥その扉を破壊した張本人。「西風の騎士」ブラッドリーが出現する。
「やれやれ‥‥事は静かに、と行きたかったのですが、透過能力を封じられては何かしら破壊しないと入れませんな」
 戸締りの徹底。そして阻霊符の展開は、ブラッドリーの武器の一つ‥‥潜行能力を間接的に無効化していた。阻霊符で保護された密室の中ならば、如何に気配を悟られずとも‥‥密室を壊さずに進入する事は出来ないのだ。

「これ以上のろうぜきは許さないの!」
 一閃。その小さな体に似合わぬ大剣が、地を割る。
 しかし、捉え切れてない。‥‥最も、捉えるのが白兎の目的でもなかったのだが。
「‥‥これ以上大事にならん事を祈ったが、そうも行かんか‥‥!」
 ドン、と地を踏む音。
 強烈な踏み込みと共に、絃也の直拳が突き出される。白兎と共に避難活動に当たっていた彼もまた、物音を聞きつけ、そのまま背後から強襲したのである。
「ほう、まだ居りましたか」
 円を描くような動きで腕を回し、一撃目を受け流すブラッドリー。猛烈な殺気と轟音が気づかれた原因だろうか。拳は壁に食い込み、小さなクレーターを作る。
(「柔拳の類か‥‥?いや‥‥!?」)
 目を細め観察し、敵の流派を見極めようとした絃也の頬を、突き出された手刀が掠める。
 直撃はしていない。だが、風圧が、彼の頬を軽く引き裂いており、血の跡を残していた。
(「剛と柔‥‥二つの流派を合わせた物か?」)

「それ以上は‥‥やらせないのー!」
 大剣を横に構え、盾のようにして突進。純粋な「面」の攻撃が、手刀を連続で絃也に放とうとしたシュトラッサーを直撃する。衝撃の大半は受け流した物の、それでも面による攻撃が故に、ブラッドリーの細身は白兎に押され、横に吹き飛ばされる。
「子供だと思って甘く見ておりました。‥‥邪魔しないで頂きたいですな」
「そうは行かん。十二分に邪魔させてもらうとしよう」
 突進を伴った肘撃。先程の受け流しの技は、絃也は既に見ている。故に‥‥これが受け流されれば、その勢いで靠撃に繋ぎ、確実に吹き飛ばし隙を作るつもりだった。
 ブラッドリーにもその意図が分かった様で、僅かに眉を動かす。
「対応できないとお思いですかな?‥‥『Brain Shaker』」
 両拳を打ち合わせると同時に、近距離に空気の振動が充満する。超音波の様なその振動は、一瞬のみ絃也の意識を刈り取る。そして、その一瞬に乗じて――
「退きなされ。この村の者でなければ殺される必要はありませんからな」
 両手を合わせた掌打により、吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。
「どうして‥‥どうして、こんな‥‥酷い事するの‥‥」
 目に僅かに涙を浮かべ、遠くで炎上する村の一部を見やり。その怒り、悲しみをぶつけるかのように、白兎は大剣を全力で横に振るう!
 しゃがむようにして大剣の下へ潜り込み回避するブラッドリー。空を切った大剣は、そのまま、質素な木でできた家の壁を紙の様に引き裂く!

「どうして、と言われましても」
 ひぃ、と家の中で怯える男と、その子供が1人。
「我等は悪魔を滅するのが仕事で御座います。例え万を殺す事になるとしても、一を逃す可能性は潰さねばなりませぬのでな」
 その隙間から飛び込むようにして、両手が一閃。
 ――迅速に。正確に。首のみを切断した。
「あ‥‥あ‥‥!」
 目の前の光景が、更に白兎の感情を増幅させる。
 一筋、涙が頬から落ちる。と同時に、爆発的な加速を持って、大剣ごとタックルを仕掛ける!
「くっ‥‥」
 僅かに反応が遅れ、白兎と共に壁にめり込むブラッドリー。
「ですが‥‥この距離ですと。『Power Breaker』」
 突き出される掌底。それを白兎は大剣を盾とし、受け止めるが‥‥
「っ!?」
 電流が全身に奔ったかのように、その場に崩れ落ちる。

 ――手刀が、振り上げられる。
(「‥‥っ、姫様‥‥!?」)
 その瞬間、僅かにシュトラッサーの動きが鈍ったように思えた。
「ふん!!」
 肩から絃也が振り下ろされた手刀に当たり、それを衝撃によって受け止める。
「‥‥間に合ったか」
「‥‥これ以上は、無粋ですな」
 衝撃をそのまま利用し、ブラッドリーが後ろの壁を突き破り、脱出した後。
 絃也もまた、その場に崩れ落ちていた。


●Snake Slayer

 一方、村の入り口側。

「頑丈だね‥‥これは厄介そうだ」
 叩き付けた大剣を戻し、手の痺れを感じながら、永連 紫遠(ja2143)が呟く。
 目を含め、色々な箇所を狙ってみた物の‥‥何れも高硬度の鱗に覆われているらしく、弱点らしき物は発見されていない。
「なら‥‥崩して、起点を作るまで!」
 猛烈な薙ぎ払い。峰の部分で振り抜かれた、月村
霞(jb1548)の太刀が、強かに蛇の側頭部を打ち据える。その体の大きさ故に鈍重なサーバントの大蛇にはそれを回避する術は無く、ズズーン‥‥と巨体が地に倒れ付す。

「よし‥‥刈り取らせてもらうぞ!」
 跳躍。空中で更に翼を一瞬展開し、高度を増す。そのまま、蓮は翼を消し‥‥体重を全て下へ掛け。重力加速のフルに付いた一撃を、首元に見舞う!

 ガン。
 金属と金属‥‥トラックが衝突したような音。
 元より、蛇は全身が「首」と言ってもいい。故に、硬度は変わってはいない。
 だが、それでも、加速度をつけた一撃の衝撃は‥‥鱗を通して体内に伝わっており、蛇の体がびくびくっと跳ね上がる。
「もう一度‥‥!」
 レグルスが、杖に魔力を込めるのと、蛇が起き上がるのはほぼ同時。起き上がるのと同時に、蛇は大きく、息を吸い込む!
「狙いは‥‥僕か!」
 足に力を込め踏ん張るが、滑る様にしてレグルスは引っ張られていく。
「なら‥‥!」
 足から力を抜き、両手を頭上に組み、頭から蛇の口へと突っ込む。
 そして、腕が口内に入った瞬間。全力で、盾を、その右手に具現化する!

 ガキン。
 盾につっかかるようにして、口が固定される。
「っ‥‥ちょっと痛いな」
 無論、この結果には、代償がなかった訳ではない。
 レグルスの肩には、長い毒牙が僅かに食い込んでいた。僅かに口が閉じた際に、刺さったのだろう。
 だが、その代わりに得られたチャンスは‥‥十分な物であった。
「今だ‥‥皆、叩け!」
 蛇の最大にして唯一の武器であった「牙」を封じた今。この機を逃して何が好機か。
「よっし、いっくよー!」
 銃を連射しながら突進。蛇に接近した瞬間、紫遠が大きく跳躍。空中で前転するように大剣を頭の上から、一気に振り下ろし蛇の頭部に叩きつける!
 衝撃で、蛇の顎が、少しレグルスの盾へと食い込む。自身にクリアランスを掛け、毒を中和しながら‥‥レグルスは、蛇の口を支える。
「これも追加だ。受けろ!」
 そこへ、更に空中から落下した蓮が、重力を加えた大剣の振り下ろしを重ねる!
 ガン、と蛇の腹が、地に亀裂を作り、沈み込む。

 だが、その瞬間‥‥周囲を、炎が包んだ。


●Southern Wind

 ――炎とは。燃え移る物である。
 ――毒とは。風や水に乗りて、拡散する物である。

「あらラ、二人だケだなンて、わたシも嘗めラれまシたねぇ」
「そうでもないかも、知れませんよ?」
 ふっと一息つく間に、既にその細い指から放ったワイヤーが、目の前のシュトラッサーに絡み付いていた。
「暫く付き合ってもらいます‥‥!」
 ワイヤーを引っ張りながら、玲獅は微笑を浮かべる。
「そして‥‥これで‥‥!」
 その隙に、公が符を目の前に浮かべ‥‥雷撃が、奔る。
 一直線にシュトラッサーに向かった雷はしかし、振り上げられた――炎を纏った右腕に弾かれ、虚空へと消える。
 そしてその炎は、燃え移るかのようにワイヤーを伝い、玲獅の腕を焼く!
「あつっ‥‥!」
 とっさにワイヤーを切断。これ以上の延焼を避ける。それをフォローするように、三連続で放たれる公の雷撃がシュトラッサー――ジョッシュに防御を余儀なくさせ、玲獅に体勢を立て直す時間を与える。
「雷ハ怖いンですヨぉ」
 本気か、はたまた皮肉か。言い放つと共に、ジョッシュは公の足元をピッと指差す。
 何か不吉な予感がし‥‥そして情報にあった「呪術師」と言う言葉を思い出し、公はとっさに後ろに飛びのく。
 次の瞬間。地面から間欠泉のように、紫のガスが噴出する!

「げほ‥‥っ」
 息が苦しくなる。思わず、喉元を押さえる。
「今治します!」
 公の背中に玲獅が手を当て、アウルを送り込む。
 毒を排除し、発散させ‥‥正常な状態を取り戻す。
 だが、クリアランスの使用は至近距離に接近しなければならない。それは即ち‥‥
「纏めテ焼いてアげまシょう」
 放たれる火炎が、二人の体を焼く。
「ヒールだけでは‥‥!」
 自身の体の傷を癒しながら、玲獅は公の方を見る。
 ヒールで一度に癒せるのは一人だけ。故に、範囲攻撃の類が‥‥天敵なのだ。
「もうちょっとで‥‥!」
 公は、視線をちらっと、後ろで大蛇と戦っている仲間たちに送る。
 見れば、レグルスの尽力により、蛇は既にほぼサンドバッグと化している。このままなら――

 ――だが、この行動で‥‥シュトラッサー、ジョッシュもまた、サーバントの事を「思い出した」ようだ。
「あア、少し支援スる必要ガありマすね」

 ――四方から、毒ガスが噴出し。風に乗り、散らばる。
 そして炎の輪は、ジョッシュの足元から燃え広がり、大蛇と、それと戦っていた撃退士たち諸共、飲み込む。


●The Sacrificial Blade

 炎に飲まれた撃退士たちの戦況は、悪化していた。

「もう‥‥限界、か‥‥!? いや、まだだ‥‥ッ」
 大蛇の口を支え続け、自らの力の続く限り解毒と回復技を使用し続けたレグルスが、終に意識を失う。その瞬間、盾が緩んだのを感じた大蛇が、猛烈に息を吐き出し、彼を吹き飛ばし地面に叩き付ける。

「この炎は‥‥厳しいな」
 闇の翼を以ってして空を舞い、炎に飲まれるのを回避した蓮が呟く。
 幸いにして、シュトラッサーの動きは一旦止まっているが‥‥警戒は怠らない。防御体勢のまま、隙を伺う。
 だが大蛇はその炎でダメージを受ける様子はなく‥‥ゆっくりと、その頭を持ち上げる!
「無茶は承知の上。でも、外が硬いなら中を狙う‥‥っ!」
 レグルスが抉じ開けた口が閉じられる前。霞は、大蛇に向かって突進する。
 彼女を吸い込もうと、サーバントは息を大きく吸い込むが‥‥それこそが、彼女の狙い。
 身を任せるようにして、吸われるがままに飛び込み‥‥毒牙が自身の体に食い込む瞬間、刃を、上顎に向かって突き上げる!
 刀はそのまま頭頂を貫通。ゆっくりと、大蛇は倒れた。


●One step that is missing

 ジョッシュの隣に、老紳士――ブラッドリーが出現する。
「帰るぞ」
「目的ハ果たせタのデすか?」
「一番反応が強い者は殺害できた。恐らく、ヤツは逃げた後で――ここに居るのはヤツに接触した事のある者なのだろう」
「ハズレでスか。仕方あリまセんネ」
 そのまま振り向き、帰ろうとするシュトラッサーたち。
「――あなたたちは、これを見ても‥‥何とも思わないのですか?」
 冷たい、玲獅の問いかけ。
 それに答えるブラッドの言葉も、同様に冷たかった。
「何故、私たちが人間の死活を気にしなければならないのです?」


●The repayment

「う‥‥ううん」
 白兎は、薄く目を開ける。
 体のありとあらゆる所が、痛む。それもそうだ。圧倒的なシュトラッサーの一撃を、至近距離で受け。死ななかっただけでも儲け物、と言う物だ。

 軽く、腕を挙げる。
 そこに巻きついていたのは、白い包帯。アウルの力は感じられない‥‥と言う事は、これは飽くまでも普通の「包帯」という事。
 痛む腕で、目を擦る。念のため、自らの愛用の大剣を探そうと、手で付近をまさぐる。だが、その手が触れたのは、しわくちゃの手。
「まだ動いてはいかんぞよ」
 そちらを白兎が見ると、老婆が。自分の体の傷ついた部分へと、丹念に包帯を巻きつけていた所であった。
「こんな小さな体で、私らを守るために必死に戦って‥‥」
 慈しむように、手当てを施していく村人の老婆。

「すまんな」
 遠くでは、手当てを受けた絃也が、足を引きずるようにして立ち上がる。

 ――村人たちはプロではない。故に、彼らの手当ても、アウルによる物に比べれば、効果は微々たる物。
 だが、その献身的な治療は。傷ついた撃退士たち‥‥特に、傷が酷かった霞、絃也、白兎を、多少癒していたのだった。

 ‥‥最終的な村人の死者は、ブラッドリーに斬られた二名と。延焼に巻き込まれた一家、五名。
 これを「シュトラッサーを相手にしてこれで済んだのは僥倖」と見るか。それとも、「七名も守れなかった」と見るか。
 答えは、撃退士たちの心の中にのみある。

 だが、一つだけ確実な事は。四国で、天使たちが、悪魔に対して積極的になった、と言う事だ。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 祈りの煌めき・若菜 白兎(ja2109)
 『山』守りに徹せし・レグルス・グラウシード(ja8064)
重体: 厳山のごとく・獅童 絃也 (ja0694)
   <西風の騎士と打ち合いになり>という理由により『重体』となる
 祈りの煌めき・若菜 白兎(ja2109)
   <西風の騎士の猛攻を受け>という理由により『重体』となる
 乾坤一擲・月村 霞(jb1548)
   <トドメを刺す為自ら大蛇の口内へ>という理由により『重体』となる
面白かった!:10人

サンドイッチ神・
御堂・玲獅(ja0388)

卒業 女 アストラルヴァンガード
厳山のごとく・
獅童 絃也 (ja0694)

大学部9年152組 男 阿修羅
祈りの煌めき・
若菜 白兎(ja2109)

中等部1年8組 女 アストラルヴァンガード
飛燕騎士・
永連 紫遠(ja2143)

卒業 女 ディバインナイト
優しき魔法使い・
紅葉 公(ja2931)

大学部4年159組 女 ダアト
『山』守りに徹せし・
レグルス・グラウシード(ja8064)

大学部2年131組 男 アストラルヴァンガード
乾坤一擲・
月村 霞(jb1548)

大学部6年34組 女 阿修羅
瞳にルーンを宿し・
夜神 蓮(jb2602)

大学部5年244組 男 ルインズブレイド