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マスター:柏木雄馬
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
形態:
参加人数:12人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2014/10/05


みんなの思い出



オープニング

 秋田における、少年天使アルディエルとの戦いは、結果から言えば、榊兄妹を含む撃退士たちが件の天使を撃退する形で幕を下ろした。
 その後、アルディエルが後方の輸送部隊を襲うことはなく、依頼の目的は達成された。だが、榊悠奈が目論んだ、アルディエル=徹汰に対する堕天の説得は失敗に終わった。
 ──ひょんなことから出会い、『撃退士として』会話と心を交わした天使は、実は天界の天使だった。敵が心も感情もある生身の存在だと改めて知った悠奈は、悩み、苦しんだが…… どうしても徹汰と戦いたくないと再認識して、説得を試みた。
 徹汰=アルディエルはその悠奈の言葉に驚きつつも…… 彼の目的──姉と慕った天使を殺した魔族の殲滅──を果たす為、悠奈の説得を断り、『敵』として去っていった。学園に帰ってより暫くの間、悠奈はこれ以上ない位に落ち込んでいたが、「何度だって言葉をかければいい」、「容易いことでないことは最初から分かっていたはず」などと友人たちから励まされ、「……そうだよね。まだ諦める必要なんてないよね!」と今は普段の元気を取り戻している。……もっとも、朝、時折、泣き腫らした顔をして起きてくる妹の姿を見ると、兄として徹汰=アルディエルのことを一発くらいぶん殴らなければ気が済まない勇斗の気分ではあったが……

「……この間はすまなかったな。勇斗と悠奈ちゃんにとって、重要な戦いだったのに。友人なのに、俺は手伝うことも出来なかった」
 教室に行くと、編入以来の友人、恩田敬一が、勇斗の所にまでやって来て、そう言って頭を下げた。
 この前の戦い──天使アルディエルとの一戦のことだ、と勇斗はすぐに分かった。この戦いに、敬一は参加していなかったから──
 勇斗は慌てて立ち上がると、敬一に頭を上げさせた。そして、大したことで無いといった風に笑った。
「気にするなよ。そんなつもりで事前に知らせたわけじゃない。……分かっているさ。俺だってお前と同じ立場なんだから」

 同日。久遠ヶ原学園中等部──
 午後のホームルームが終わり、教員が扉に手を掛けかけた次の瞬間。教室の扉が勢いよくバーン! と開かれ、高等部に飛び級している同い年の麗華が、物凄い勢いで悠奈の教室に物凄い勢いで飛び込んできた。
「どういうことですの!?」
 悠奈の元に着くや否や、平手で机を叩く麗華。きょとんとした顔でどうにも分かってないらしい悠奈の様子に気づいて、「アルディエルとの戦いのことですわ!」と改めて怒鳴りつける。
 麗華は敬一の妹である。学園に編入する前、たまに家に帰って来た敬一から榊兄妹の話を脚色・誇張ありで聞かされて、勇斗を『理想の兄』、悠奈を『有能なライバル』と(一方的に)認識している。編入後はまぁ色々あって…… 仲の良い友人、ということになっている。
 その麗華に、悠奈はアルディエル戦に赴く際に、その事を事前に知らせていなかった。麗華はそれを侮辱と捉えた。天使級の相手と相対する重要な戦いに、なぜ私を呼ばないのか。自分では戦力にならないとでもいうのか。
「ふっ。それはね、麗華。君がまだ悠奈の真の友達(強敵と書いてともと読むっ!)になれていないという証なのだよ!」
「……まぁ、私たちも半ば無理やり悠奈を説得して強引についていったんだけどね」
 麗華の問いに答えたのは、悠奈ではなく、悠奈の友人・早河沙希だった。悠奈が学園に編入して以来の友人であり、同様のことは隣りの堂上加奈子にも言える。
 答えながら、得意そうに(小さな)胸を張る沙希の横で、加奈子がそれを無表情で混ぜっ返し。言い争い(ほぼ一方的に沙希がまくし立てて加奈子がスルーするいつもの光景)を始める二人をよそに、麗華が悔しそうに唇を噛み締めながら、伏し目がちに悠奈に尋ねる。
「……私では、頼りになりませんの? 貴女をライバルだと思っていたのは私だけ?」
 ツンデレだ! と、周りで聞き耳を立てていた悠奈の級友たちが、一斉に心中でツッコミを入れる(←今年度、二回目)。ハッと気づいた麗華は慌てて顔を上げると、悠奈からぷいっと顔を背けて、その怒りを自分の兄へと向けた。
「バカ小兄もバカ小兄ですわ! 事前に勇斗様からアルディエル戦の事を聞かされておきながら、駆けつけることすらしないとは! 勇斗様の友人でありながら、ふがいない、ふがいないですわ! せめて私に知らせてくれれば、私だけでも勇斗様の元へ馳せ参じたものを!」
 そんな麗華の袖口を、悠奈が指でそっと摘んだ。微笑を浮かべて麗華を見上げながら、「だからだよ」と首を振る。
「だから、麗華ちゃんを呼ばなかったの。天使と戦うかもしれないなんて危険な依頼、敬一さんが心配するから。お兄ちゃんが敬一さんだけに事前に知らせたのも同じ理由。麗華さんに知らせたら、絶対についてくると思ったから……」
 私たち兄妹のことで、麗華ちゃんや敬一さんを危険に晒せない── 悠奈の言葉に、麗華はハッとした。小兄──敬一が親友・勇斗の大事に参戦しなかったのは…… 怯懦からではなく、私に知られないよう隠す為に……?
「ね? 敬一さんが麗華ちゃんの事を心配するだろうから知らせなかったのであって、決して仲間外れとかじゃ……」
「──侮辱ですわ」
 呟き、教室から飛び出していく麗華。悠奈はきょとんとそれを見送り…… 「怒らせちゃったかな?」と沙希と加奈子を振り返った。

「バカ小兄ィ!」
 数分後。悠奈たちの教室を飛び出した麗華は、高等部のとある一室──勇斗や敬一たちがよく屯している空き教室へと駆け込んだ。
 中には敬一と一人の女生徒とが二人でいた。なんとなくいい雰囲気になりかけた所で妹に飛び込まれ、慌てる敬一の元へ、麗華が空気など全く読まずにずかずかと歩み寄り、その腕を取る。
「というわけで、特訓ですわ! 私たち兄妹2人、勇斗様たちの足手纏いにならぬよう…… 彼等の大事な戦場で、戦友として共に立つ為に……!」
「え? え???」
 説明もなく、強引に部屋の外へと引き摺られていく敬一。何が起きたのか分からずに、女生徒がきょとんとそれを見送った。


リプレイ本文

 放課後、学生たちが自主練に使うサブグラウンド── 協力を頼む麗華(と無理やり連れて来られた敬一)に話を聞いて、まず黒百合(ja0422)とユウ(jb5639)の2人が応じた。
「特訓ねェ、いい心がけだわァ…… 微力ながら、私もお手伝いさせていただくわねェ♪」
「大切な友達の為に力になりたい…… とても素敵な考えですね。少しでも役に立てるよう、協力させてもらいます」
 悪戯な笑みを浮かべながらも、どこか楽しそうに頷く黒百合。一方、ユウは素直な笑顔で、がんばりましょう、と声を掛ける。
「集団戦はあたいの得意分野よ! たぶん!」
 準備運動にアスレチックスをグルリと一周してきた雪室 チルル(ja0220)も麗華の姿を見つけて駆け寄り、話半分で参加を了承。さいきょーの集団戦をマスターさせたげるからね! と麗華の背中をばんばん叩く。
「話は全部聞かせてもらったよ! 訓練なら私たちも手伝うんだよー♪」
 更に、親友の葛城 縁(jb1826)の手を曳き、棚引かせつつ、砂煙と共に駆けつけてきた彩咲・陽花(jb1871)が、見えざる扉を「ばーん!」と開き。
 更に更に、上空で魔女の箒と光の翼で空中散歩を楽しんでいた白野 小梅(jb4012)が、眼下の人だかりの中に金髪縦ロールを見つけるや否や、「……麗華ちゃんだぁ!」と笑顔を輝かせながら急降下。地面ギリギリで水平飛行に移りつつ、箒から麗華へとダイブする……
 そんなこんなで集まってくれた皆に対して、麗華は改めて訓練への協力をお願いした。講義が終わった直後、拉致同然に連れて来られた縁は、この時初めて状況を理解した。
「と、突然、陽花さんに連れて来られたから何かと思ったけど、そういうことだったんだ…… それにしても、麗華ちゃん、凄い気迫だね」
「悠奈ちゃんたちに触発されたのでしょうか……? ともかく、これは精一杯協力させていただかないといけませんね」
 陽花に小脇に抱えられた姿勢で呟く縁の横で、神棟星嵐(jb1397)(←動じていない。慣れた)もまた静かに気合をたぎらせる。
「昔の勇斗くんたちと同じなのよね。足手纏いになりたくないんでしょうけど」
 やれやれと縁を陽花から救出しながら、月影 夕姫(jb1569)は声を吐息に混ぜた。……まぁ、そんな感情も、どちらかと言えば勇斗くんより悠奈ちゃんの方に多くのベクトルが向いているっぽいけれど。
「……麗華ちゃんは、悠奈ちゃんに遠慮されたことが、友達として嫌だったんだろうね……」
 涙を流して夕姫の救出に感謝する縁の横で、日下部 司(jb5638)(←動じない。その2)が気遣わしげに麗華を見やり…… 少し考える素振りをした後、迷いつつも携帯を取り出し、とある番号をプッシュする……


「麗華さんは、たしか、『あの』植物園で実戦経験がありましたね。……でも、まぁ、あれはなんというか…… 改めて、座学で集団戦について再認識いただいた方が良いかもしれませんね。うん」
 体育倉庫から引っ張ってきた座学用のホワイトボードを前に。体操着姿で体育座りをした麗華に対して、星嵐はそう苦笑した。
 幸い、百戦錬磨な方々がおられることですし── 真面目な表情に戻って告げる星嵐の言葉に、同じく地面に座った永連 璃遠(ja2142)は頷いた。
「僕から見ても参考になる方ばかり…… これは僕も麗華さんたちに負けないよう、頑張らないと」
「ボクもぉ! 一緒にガンバロー!」
 麗華の傍らに座り、笑顔で拳を突き上げる小梅。ニッコニコで麗華に引っ付いているが、あまりに嬉しすぎて座学が苦手なことを忘れている。
「では、まずは麗華さんのクラスでもある『バハムートテイマー』について復習しておきましょうか。テイマーが出来ることで、他職にない特徴はなんですか?」
 まるで舞台に上がるエンターティナーのように洒落た仕草で進み出て。ホワイトボードの前で一礼したエイルズレトラ マステリオ(ja2224)が華麗に麗華(しゃれではない)にそう尋ねる。
 麗華はちょっと困惑しながら、召喚獣の存在を上げた。
「その通り! 本人とは別に、召喚獣を独立して運用できるのが最大の特徴ですね。回避や耐久に自信があれば、囮役、壁役として二人分の役割を果たせます。攻撃の手数が増えることはありませんが、この召喚獣の存在こそがテイマーの最大の特徴であり、利点です。……では、テイマーとして先輩の彩咲さん。どのような使い方がありますか?」
 唐突な指名に「ふぇっ!?」と間の抜けた声を上げる陽花。とりあえずわたわたした後、己が行ってきた召喚獣の使い方を発表する。
「えっと、例えば、召喚獣と敵を挟み撃ちにしたり、いつでも送還できるのを利用して殿として残したり…… あ、本人を戦場後方──回復役の射程内に残しておけば、回復が届かない遥か前方にも安心して召喚獣を進出させられる、かな」
「そうですね。テイマーの利点。その一つは、まず単純にパーティの頭数を増やせることです。彩咲さんの言った通り、運用次第で様々なことが出来る。例えば、召喚獣は本人から10m以内なら誰に邪魔されることもなく好きな場所に召喚できます。思わぬ場所に突然召喚して不意を打ったりもできますね」
 さらに、テイマーのもう一つの利点として、エイルズレトラは地形適応能力を上げた。召喚獣は水中や空中でも活動できる種が存在し、召喚主がそれに騎乗して移動することもできる。特に水中での活動はテイマーの特権と言ってもいい。
「テイマーは召喚によって立ち回りが変わってくるわ。状況を素早く把握、入れ替え対応する判断力が必要になるわね」
「夕姫さんの仰る通り。テイマーは単純な戦闘力はそれほど高くありません。持ち味を活かすには、今、上げたこれらの要素を上手く活用することが必要です」
 目の前の敵に捉われず、戦場全体を俯瞰的に観測し、どの位置に召喚獣を召喚・配置するか、そして、それをどう動かすか── それを考える事が仲間との連携に重要、とエイルズレトラは強調する。
「では、以上のことを踏まえた上で、実際の運用を想定しながら思考を進めてみましょうか」
 エイルズレトラはそう言うと舞台袖(?)に控えていた黒百合に目配せした。入れ替わるようにして前へ進み出る黒百合。すっかり舟を漕いでいた小梅がハッと起きる。
 黒百合は用意したテーブルの上にスクエアボードを広げると、その上にチェスの駒の様な物を並べ始めた。……その駒の造詣が、関係者たちと微妙に似ているのは気のせいか。
「集団戦の基本は、まず前衛と後衛の徹底からねェ。前衛が敵をメインで攻撃しつつ、後衛がそれのサポートをする。或いは、ダメージソースとなる後衛を前衛が壁となって守る。これが基本中の基本だわァ」
 黒百合はそう言うと、麗華に幾つかの駒を渡して戦闘隊形を作るよう指示を出した。己を表す金髪縦ロールの駒に憮然としながら、それを盤上に置いていく麗華。……勇斗様と近接バカ(=沙希)は前衛、ダアトの娘(=加奈子)は後衛で確定。バカ小兄(=敬一)は陰陽師だけどヘタレだから後衛か? その場合、自分か悠奈が前衛に出ることになるが、悠奈が前衛に出ることを勇斗様はきっと望まない。
 麗華が隊列を決め終えると、敬一が横から自身と麗華の駒とを入れ替えた。──召喚師たる麗華は遊撃の位置に置くべきだ。先程の講義にもあった通り戦場を俯瞰する必要があるし、陰陽師だってその気になれば前衛を張ることはできる。
「少々火力不足ですが…… 目的からすれば許容範囲内ですね」
 最終的な配置を見て、卓の周りに集まった人込みの中で雫(ja1894)はコクリと頷いた。……いつの間にか更に人が増えていた。近くを通りかかった際に興味を惹かれた雫は、その小柄な体型を活かしてもぞもぞと人の中へと分け入り…… 今では伸びをするような体勢で最前列を確保している。
「この6人で組む場合、その問題はついて回るかな……? でも、突破された際には即、防御役も行えるように、麗華ちゃんはやっぱり後ろの方が良いかもね」
 突破── 夕姫のその言葉に、麗華はその背をゾクリとさせた。
「前衛とか後衛とか、あくまで『基本』だもんねぇ。バーン! って敵はどうあってもムムムだし、シュパパーンッな敵はグルッって来ちゃうし。ちゃきーん! てしてみても、どかーん! されれば纏めて痛いし」
 己の過去の経験から得た教訓を、擬音たっぷりに麗華に伝えようとするチルル。訳すると、「質量が大きな敵の前進はどうあっても止められないし、動きの素早い敵は横から回りこんで来るだろうし、密集体型で壁を作っても範囲攻撃を喰らうと一網打尽」。……うん、多分間違ってはいない。
「基本的な戦法はどんな相手にも通用するものだけどォ、前衛を無理やり突破して後衛に肉薄する様な敵、もしくは長距離攻撃能力を持つ敵が居た場合、後衛が壊滅する可能性があるから注意が必要だわァ」
 そう言って、黒百合は盤上に小柄な天使の駒を置いた。少年天使、徹汰=アルディエルを表す駒だ。
「前回の戦いにおいて、判明・或いは想定したアルディエルの能力です」
 ユウが天使との戦いに際して記憶していた情報を、纏め上げたレポートを捲り、麗華に開陳する。
 曰く、アルディエルは両手の光珠を用いて戦う。光珠は天使の意思に応じて剣や盾、矢など形態を自由に変化させることができる。『盾』は破壊が可能だが、瞬時に再生が可能。ただし、何らかの代償は与えている模様。防御時は攻撃を当てるチャンスか……? 更に何らかの生命力吸収能力あり。能動的なものか、或いは受動的なものかは不明……
「ほかにも、非常に広い視野が特徴として上げられます。……恐らく、多人数相手に特化した戦闘スタイルなのでしょう。攻撃よりも継戦。乱戦下でも確実に生き残る──どのような経験からその様なスタイルを身につけたのかは分かりませんが」
 更に言えば、まだ何かの隠し玉を持っている可能性もある── ユウが最後にそう纏めると、アルディエルと戦った経験のある面々はそれぞれに表情を変えた。
「飛行能力は勿論、あの光の珠の汎用性も尋常じゃなかったですからね。自分に出来ることは多くはない、と痛感させられましたよ」
 司がそう呟くと、周り中から溜め息が洩れた。麗華は己の意気が挫けるのを感じた。榊兄妹の助けになる? そんな天使を相手に、いったいどんな助けになれるというのか……
「……そうかなぁ。天使ってとっても怖いけどぉ…… あの子はなんかぁ、あんまり怖くはなかったよぉ?」
 そんな空気の中、きょとんとした顔で呟く小梅。雫もまた表情を変える事なく、皆に向かって告げる。
「……前提が間違ってます。話を聞く限り、榊妹の目的は撃破ではなく、説得のはずでしょう?」
 ハッとする麗華。その肩を司がポンと叩く。
「確かに、出来ることは多くない、とは言ったけど、全くない、と言ったつもりはないよ。僕に出来ることは、皆に声を掛け続けることと、悠奈ちゃんがアルディエルを説得するお膳立てを整えること。サーバントを駆逐すれば、それだけ説得の確率も高くなる…… そうすることも、勇斗たちを助けることに繋がるんだから」


 座学を終えた撃退士たちは、その内容を元に実際に身体を動かすことにした。訓練場における模擬戦闘だ。
 模擬戦用のスクール装備に身を包んだ麗華(と敬一)が、先程、エイルズレトラらに教えてもらったことを実践すべくサブグラウンドの上に立つ。挨拶をしてくる勇斗と悠奈に、こちらこそ、と返す麗華。暫しの沈黙の後…… 麗華は「ん?」と小首を傾げた。今、私はいったい誰に返事をしたのだろう。
「ゆ、悠奈!? それに、勇斗様も! え、一体、なんでここに!?」
「ん。訓練するなら人は多い方がいいよね? というわけで、勇斗くんと悠奈ちゃん登場! なんだよ! 二人とも、麗華ちゃんの訓練におつきあいよろしくね!」
 驚き慌てる麗華に対して、しれっとした顔で告げる陽花。先程、司が座学の前に、やはり知らせておいた方がようだろうと勇斗に連絡し、兄妹たちに時間を取ってもらっていたのだ。
「悠奈ちゃん! それに勇斗ちゃんも!」
 その表情を輝かせ、ダッシュで二人に走り寄ってぴょんぴょんとハイタッチをせがむ小梅。それを追った麗華の視線がふと敬一とぶつかり。慌てて目を逸らす兄の姿に「知っていたのか」と嘆息する。
 硬直する麗華を見やって、璃遠は一筋の汗と共に苦笑した。……やっぱり、榊さんたちには内緒で秘密特訓がしたかったわけだよね。だとしたらちょっとかわいそうかな、と思わなくもない。
「想定する敵がアルディエルであるなら、その訓練にはやっぱりみんなが必要よね」
「麗華ちゃん。真に友達でありたいのなら、時には色々と曝け出すことも大事なんだよ。そうだよねー、陽花さん?」
 ギギギ、と首を巡らせた先で、しれっとそんなことを告げる夕姫と縁。縁の言葉には…… あ、陽花が攻撃を仕掛けにいった。模擬刀を手に追っかけ回す陽花から逃げる縁。追いながらグラビアがどうのと陽花が叫び。それを境に今度は縁が陽花を追い始める。
「……でも、やっぱり最後は組みたい人たちと合わせて訓練をした方が良いと思いますよ」
 璃遠の言葉に、「……理屈では、分かっていますけど」と嘆息してみせる麗華。
 皆がそうした方が良いというなら、きっとそれが正しいのだろう。皆の気遣いが分からぬほど、麗華も子供というわけでもない。

 模擬戦闘が始まる。
 撃退士側として班を組むのは、榊兄妹と恩田兄妹、悠奈の友人である沙希と加奈子と、璃遠と司の8人だ。対するアグレッサーはチルルに星嵐、夕姫に雫の4人が務める。
「姫」
「あ、ぅ、神棟先輩……」
 声をかけてきた星嵐に、少しどぎまぎしながら答える沙希。傍らの加奈子が無表情のまま、生暖かい目で友人を見やる。
「お願いですから、訓練には真面目に、積極的に参加してくださいね」
「わ、分かってます。麗華だからって、手を抜くような真似はしません」
「いえ、麗華さんがどうこうではなく…… 誰よりも貴女自身の為に訓練に参加してください。……相手はあの『天使』です。いくら訓練をしてもし過ぎるということはない相手ですから」
 生真面目な星嵐の表情にドキッとしてから、了解です! と元気よく返事をする沙希。星嵐はホッとした表情を見せた後、アグレッサー側へと走って帰る。

 前衛は、沙希と勇斗と敬一。先程の座学と同じ配置だ。妹たちを守る為、前に出ないわけにはいかないと気弱に笑う敬一に、勇斗が無言で拳を合わせる。
 そんな兄二人の後方で。妹たちはどちらが勇斗の後ろにつくかで揉めていた。
「勇斗様は私が守ります。悠奈はバカ小兄の方をよろしく」
「敬一さんは麗華ちゃんのお兄ちゃんでしょ。自分のお兄ちゃんの後ろへ行ってください」
 言い合いを続ける2人に小梅が「ダメー! ちゃんと連携ー!」とぷんすか怒りながら手を繋がせ。兄の面目をなくした敬一の肩を勇斗が無言でポンと叩く。
 結局、悠奈は司の後ろ、麗華は璃遠の後ろに強制配置となった。勇斗の後ろは敬一が、そして、沙希には加奈子がつく。
「……誰かの為に強くなりたいという麗華さんの気持ち。共感できます。だから、僕もお手伝いさせてください。……といっても、麗華さんに何かを教えられるほど、熟練しているわけではないですが」
 開始の号令がかかる直前。模擬刀を構え腰を落とした璃遠が背後の麗華に声をかける。司もまた、背後の悠奈に声を掛けた。表面上は明るく振舞っているが、アルディエルの説得に失敗したことを気に病んでいると思ったからだ。
「悠奈ちゃん。諦めちゃダメだよ。想いを伝える意思──これだけは決してなくさないで。想いが届かずに悩んでも自分の無力を嘆いたっていい。それを乗り越えて皆、新しい自分に変わっていくんだから。……でもね、その中でも変わらない想いは確かにあるんだ。それだけは、忘れないで」
 それぞれに驚いた顔を見せ。小さくはい、と答える妹二人。その声に模擬戦の開始を伝える声が重なり── 模擬戦が始まった。

 まず最初に突撃したのは、敵前衛、アグレッサー役のチルルと雫の2人だった。
 訓練用の大剣を手に、正面から突撃を仕掛ける少女2人。勇斗たちは隊列を維持すべく、その場で迎え撃とうとする。
 星嵐は訓練用の射撃魔具を構えると、それを麗華に撃ち放ちながら突破を試みた。その射線を潰しながら、応じて立ちはだかる璃遠。星嵐はそのまま訓練用魔具を魔法近接へと変更しつつ璃遠と切り結び、左右へフェイントを交えつつ突破しようする。璃遠もまた右へ左へ位置を変えつつ、突破を防ぐことに全力を尽くす。そうこうしている内に、麗華がティアマットを星嵐の後ろに高速召喚した。エイルズレトラに教授された奇襲・挟撃の態勢である。慌てて後方へと跳び下がり、再び持ち替えた射撃で追撃を牽制する星嵐。隊列を維持する為に留まる璃遠の代わりに、麗華が青銀竜に追撃させる。
 一方、隊列の反対に位置する司は、『小天使の翼』で浮遊・接近する夕姫を相手に正対していた。
 空中を水平に移動しながらその手に『蒼海布槍』を棚引かせる夕姫。虹のリングに相当する訓練用魔具でもって眼下の司たちへ向かって模擬光弾を連射する。
「わかっていると思うけど……」
「ええ、アルディエルの光弾を想定してのことですね!」
「そう。出来るだけ再現してみるつもりだけど、本人はもっと強いわよ!」
 とにかく自分に出来ることを── 自分に何度も言い聞かせながら、防具に当たるを任せて光弾を耐え忍ぶ司。夕姫はかの天使を想定し、そんな司の背後にいる悠奈への突破を優先した。布槍を操り、光珠の槍をイメージして牽制攻撃を撒き下ろす夕姫。そのまま布槍で悠奈を拘束しようと試みる。悠奈は盾の陰から冷静にそれを見極め…… 後退で攻撃をいなしながら味方が来援する時間を稼ぎにかかった。そんな背後をクルリと振り返り、夕姫の背へ追撃を仕掛ける司。だが、前回の戦いで見たアルディエルの対処能力を思い返して、司は「これではダメだ」と呟いた。──2人では挟撃にもならない。2人では悠奈が拉致されるのを防げない。
「後衛! 隊のバランスに注意を向けて! 『天使』に押されて悠奈さんが隊列から外れていますよ!」
 すかさずユウが声を掛け、麗華に注意を促した。星嵐への追撃に夢中になって視野が狭くなっていた。ハッと気づいた麗華が周囲を見渡し、慌てて召喚獣を引き戻そうとする。
「それじゃあ、ちょっと……」
「……遅いですね」
 それを見たチルルと雫が一転、攻勢へと転じる。竜を曳き付けることに専念していた星嵐もまた、反撃に出た。
 きゅぴ〜ん! とその目を光らせながら顔の横に刺突剣を両手で構え。それを突き出すと同時に『封砲』の使用を宣言するチルル。蒼銀竜から沙希、悠奈のラインへ斜めにギザ状に(注:柏木ローカル)攻撃を宣告。突破を恐れる余り、密集していた撃退士たちを、天使の必殺技が襲った、という設定になるだろうか。座学の時点でこうなる可能性は指摘していた。それでも対応し切れなかったというのが、『天使』の出鱈目さではあるのだけれど……
 一方の雫は沙希の眼前へと疾く肉薄すると、目にも留まらぬ烈風の如き突きでもって、沙希の胸元をちょん、と突いた。
「……4スクエア後方へ吹き飛んでください。あ、スタン判定も忘れずに」
「4マス……って、8m!」
 沙希が反応するより早く隊列の中へと切り込む雫。狙うは沙希後衛の加奈子ではなかった。回復役、敬一の元へと斜めに素早く切り込んでいく……
 
 アグレッサーの優勢勝ちの判定が出たところで。その場ですぐに反省会が行われた。
「格上を相手に、先に回復役がいなくなれば、説得する前に潰されますよ」
 回復役の重要性を生徒たちに伝える雫。星嵐もまた麗華に助言を与える。
「さっきの場合、蒼銀竜を後退させるのではなく、鎧竜(ストレイシオン)を悠奈ちゃんの側に召喚し直す、といったやり方もできたんですよ? 味方のダメージを軽減する鎧竜の特殊能力は、味方をサポートして生存率を高めたい場合に重宝しますから……」
 そして、回を改めての第二戦── 今度は回復役の二人を固守した結果、包囲され、外周から削り倒された。
「……極端すぎます。二人を守ることに気を取られ、攻撃が疎かになってもジリ貧です。二人のフォローをしつつ、相手の力を削ぐように戦うことが必要ですよ」
 淡々と事実を告げる雫の助言に勇斗が臍を噛む。この模擬戦、勇斗は2回とも生き残った。だが、肝心の悠奈たちを守れなければそんなことに意味などない。
「ちょっと固定観念というか、そういうのに捉われてしまいましたね。クラスというか、個性によってもう少し戦い方を変えた方が良さそうです」
 これまでの負け方を考えつつ、呟く璃遠。たとえば、璃遠は同じ前衛職と言っても、守勢に強い勇斗と異なり、『縮地』等を用いて攻勢に出る方が得意な阿修羅である。数を減らす先制攻撃、或いは後詰での切り札的な運用が合っている。
「単純な前衛後衛だけでなく、包囲等、いかに多対一の状況にもっていけるか、連携を意識した行動が必要になるわ!」
「敵との力量差が酷い状況だと各個撃破の対象にもなりかねないから、ある程度敵を弱らせた後で包囲陣形に移行するのが良いと思うわァ。……もっとも、これも状況に大きく左右されるから、あくまで参考程度にねェ」
 チルルと黒百合が己の所感を勇斗たちに伝える。璃遠もまた言葉を続けた。一人で突っ込んでも囲まれてしまうだけだから…… そんな部分をカバーし合えるのが集団戦の良い所かな、って。
「全体を見ての攻撃と防御のバランス。状況に応じた転換、か……」
 一人で戦っているわけじゃない── 改めてそれを思い知らされつつ、勇斗は天使役を務めた夕姫に尋ねた。
「個人的な所感だけど…… 『彼』なら致命傷を与える箇所よりも、意識不明や行動不明となる箇所を狙う可能性が高いと思う」
「それは相手が悠奈だから?」
「悠奈ちゃん以外にも。なんとなく前の戦いを思い返してみて、そんな風に思ったの。だから、防御はそういった箇所を重点的に守るといいんじゃないかしら?」
 さらに、こちらにどういった行動を取られるのが一番嫌だったか、敵の立場から意見を募る。夕姫は答えた。それはやっぱり、悠奈を狙っていることがバレバレであることだろう。目標が最初からばれているなら、対応もされやすい。
「……もう一戦、お願いできますか?」
 勇斗は暫し考え込むと、アグレッサー役の皆にそう頼んだ。雫は頷いた。一戦ごとに良かった所や悪かった所がより際立って見えてくるはずだ。
「実戦ではないので、次に繋がる失敗が出来ます。失敗から多くを学んで、次に活かしていきましょう」


 複数回の模擬戦を終えた撃退士たちは、実戦訓練を行うべく、学園ゲートの野良天魔たちがうろつく旧校舎放棄区域へとやって来た。
 戦いに望むのは先程の面々に、星嵐と小梅を加えた面々。序盤から敵を蹴散らしつつ、強敵の出る奥まで進み、対応が難しくなって来た時点で、その強敵を仮想敵に撤収戦を想定した離脱を行う。
「一通り、良さ気な場所は見繕ってきたよー」
 先行し、訓練に適したエリアを探していた縁が、実戦訓練に適した場所を見つけて戻って来た。
(楽勝過ぎては訓練にならず、かといって、強敵過ぎてもまた同様。麗華を主軸に、厳しくても如何にか対処可能で、もしも強い敵が出ても撤退戦の想定が可能な敵が出現するエリア……)
 模擬戦の間中、索敵、侵入系スキル、観察力、隠密能力、地形把握能力の全てを活用してそれを探り出してきた縁は、訓練に入る前に疲れ切ってへろへろと崩れ落ちる。
 縁が得た情報を受け取ったチルル、黒百合、夕姫たちは、その情報を元に先行し、必要以上の敵が入って来ぬよう、野良天魔の間引きにかかる。
「先程の訓練で皆の動きを見て、どのように動けば良いか理解できたことでしょう」
「さっきの訓練を思い出してやれば大丈夫だから、頑張ってね。何かあったらちゃんとフォローはするから」
 星嵐と陽花の言葉に頷き返す生徒たち。璃遠は改めて気合を入れた。──僕だって、もっともっと皆と学んで強くなりたい。麗華さんたちに負けないくらい、僕も頑張らないと……!

 出発に際してまず麗華がやったことは、ヒリュウを召喚して先行させることだった。
「そうです。ヒリュウで敵を先に発見することで、奇襲や戦闘回避等、事前に態勢を整えることが出来ます」
 愛弟子の行動に感慨深げに頷いてみせる星嵐とエイルズレトラ。そんな麗華に、真面目な表情(本人談)をした小梅が箒を逆さに振り上げながら、護衛にぴったり張り付きながら、周囲に警戒の視線を飛ばす。
 麗華の姿に多少の緊張を感じ取って、雫と共に後続しながら見守っていたユウは、『意思疎通』で語りかけた。
(……まだ、自分が榊さんたちにとって、必要のない存在だと考えていますか?)
 返事はなかった。代わりに、麗華の肩がピクリと動く。
(……麗華さん。麗華さんが求めているものは、今回の実戦訓練の成否とは関係しないものだと思います。必要なのは…… 自分の想いを伝える勇気です。だから、肩の力を抜いてください。今日、学んだことを確認しながら頑張りましょう)
 必要なのは、素直になる事── そう告げるユウに、麗華はやはり言葉を返さなかった。ただ、他人には聞こえぬ『意思疎通』で伝えてくれたことに、一言、感謝の言葉を伝えて来る。
 やがて出現する野良天魔。先頭を歩く勇斗が振り返り、妹たちの名前を呼んだ。
「悠奈。麗華ちゃん。ここから先の指揮は二人に任せる。……後方にいる二人の方が視野が広い。上手く俺たちを使ってみせてくれ」

 星嵐が宙に生み出した『クロスグラビティ』が迫る腐骸兵の群れの只中に倒れ込んだ。
 十時型の重圧に押し潰され、地面に蠢く敵の群れ。そこへ素早く飛び込んだ司と璃遠が、十字から逃れた敵を外から内へと追い込んでいく。
「今だよ!」
 陽花の呼びかけに従い、蒼銀竜に『ボルケーノ』を撃ち下ろさせる麗華。密集した腐骸兵が爆散し、この日何度目かの実戦が終了する。
 その様子をじーっと観察していた縁は、小さくうんと頷いた。勇斗に指揮を任された悠奈と麗華は、どうやら上手くやっている。

 その日、最後に現れたのは、『トロル』と呼ばれる人型のサーバント。全長3mを超える巨躯と膂力を誇り、高い再生能力を誇る。
「お兄ちゃん。私に『タウント』を」
 悠奈の言葉に、勇斗は首を横に振ると自身に『タウント』を使用した。勇斗に気を引かれ、一直線に突撃してくる妖精巨人。勇斗は悠奈を庇う様にその眼前へと立ち塞がり── 同時に、壁役の数人を除いて皆がトロルを包囲する。
「悠奈に向かってくるのが分かっているなら、最初からそれを想定した態勢を取ればいい」
 それは、勇斗が本当の意味で、自分たち兄妹の命運を戦友たちに託した瞬間だった。
 トロルの棍棒による一撃を盾で受け止める勇斗。彼の友人たちが同時に周囲から敵に襲い掛かった。


「まぁ、実戦で使うには、もうちょい洗練させないといけないけれど」
 無事に敵を討ち果たし。そこそこの怪我も喰らってみて──
 訓練場のサブグラウンドに戻って来た勇斗たちは、傷を癒してもらいながら、最後の反省会を開いていた。
 反省会ー! と大々的に宣言するチルルに、皆に飲み物を配って回る黒百合とエイルズレトラ。小梅は「ね? 連携は大事でしょ……?」と、敬一を庇って飛び出した麗華を庇ってできたたんこぶをさすりつつ、ふらふらになりながらもにっこりと麗華に笑って見せる。
「慢心すれば、失うのは自分たちの命だけでなく、他人の──戦友や背後の一般人たちの命も危険に晒すと思いなさい」
「敵を殲滅するよりも、己の身を守ること。『彼』と話をすることが悠奈ちゃんの目的。不用意にやられない事を重点において、これからもやっていきましょう」
 真面目な表情で皆に雫と夕姫がそう伝えつつ…… でも、今日は皆、よく頑張ったと思います、と、総評としては褒めてもみたり。
 星嵐と今日の訓練について話す沙希の元に陽花が何らかの菓子を届け。それを食べても良いものかと迷う2人をよそに、勇斗たちの元にも届けにやって来る。
「縁達と部室で食べようと思ってたんだけどね。多く作りすぎちゃったから丁度良かったんだよ」
 でーん、と置かれたお菓子にアイコンタクトを交わす勇斗と司。陽花の料理は殺人級であることが彼等には知られている。
 覚悟を決めて手を伸ばそうとする勇斗に対して、司がその手をガッと掴んだ。
「陽花さんの手料理(毒)は…… 全て、僕が食べるから!(無理するな)」
「な、なんだって……!?(ハッ!? まさか、司、そこまで陽花さんの事が……!?)」

「どう、だったかな? 自分なりの収穫を感じているなら何よりなんだけど」
 お菓子とお茶を手にそう訊ねてくる璃遠に対して、麗華は悲喜の混じった複雑な表情を顔に出した。
 手応えはあった。同時に、至らぬ点も多々あった。このまま勇斗たちと共に戦う資格があるか、確信を得るまでには至っていない。
「えーと、あのさ、麗華ちゃん。まずはちゃんとお話した方が良いと思うよ? お兄さんとも、悠奈ちゃんたちとも」
 縁の言葉に、麗華は先程の言葉を思い出し…… 目が合ったユウに頷かれて、意を決して兄たちや悠奈の元に向かい、訊ねた。
「あの…… 私も、勇斗様や悠奈の助けとなることが出来るでしょうか……? ライバルではなく、その…… 友達として……」
 麗華の言葉に、勇斗と悠奈は、何を今更、といった顔を見合わせた。
「そんなの…… 私たちはとっくに友達じゃない」


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
戦ぐ風、穿破の旋・
永連 璃遠(ja2142)

卒業 男 阿修羅
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
戦いの中で戦いを……・
神棟星嵐(jb1397)

大学部6年70組 男 ナイトウォーカー
Heavy armored Gunship・
月影 夕姫(jb1569)

卒業 女 ディバインナイト
Green eye's Red dog G・
葛城 縁(jb1826)

卒業 女 インフィルトレイター
迷える青年に導きの手を・
彩咲・陽花(jb1871)

卒業 女 バハムートテイマー
Standingにゃんこますたー・
白野 小梅(jb4012)

小等部6年1組 女 ダアト
この命、仲間達のために・
日下部 司(jb5638)

大学部3年259組 男 ルインズブレイド
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅