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マスター:カナモリ
シナリオ形態:イベント
難易度:やや易
形態:
参加人数:17人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/08/08


みんなの思い出



オープニング



●この番組はNPO法人おひとりさま支援団体の提供でお送りしております。
「恋人いないからって別にさびしくなんてないぜよ! そんな哀れむような目で見ちゃいかんぜよ! むしろ恋人なら脳内におるきに心配いらんぜよしぇんしぇーい! なんて思ったことはありませんか」
 場所はいつもの教室内。
 モブ教師は、それ眼鏡のフレームのネジとか緩んでんじゃないのくらいの頻度で眼鏡を押し上げながら、何故か某坂本氏のモノマネで口調で言った。

「というわけで、今日は皆さんに、NPO法人おひとりさま支援団体の皆様から頂いた「おひとりさまプロモーションビデオ撮影協力」の依頼をふわっとご紹介していこうと思いますっていうかどうでもいいですけど、おひとりさまってひらがなで書くとまるでおほしさまみたいで可愛らしいですよね」
 得体の知れないNPO法人から渡されたらしい、プロモーションビデオの企画書を配りながら本当にどうでもいいことを言うモブ。
 でもまーモブがどうでもいいことを言うのはいつものことだったので、そこは優秀な撃退士の皆さん、静かに聞き流し企画書に目を通した。

「おひとりさま支援団体というのは、その名の通り、おひとりさまを支援する団体のことらしいです。なんだか良く分かりませんが、団体曰く「恋人とのきゃっきゃうふふ生活を楽しんでる以外の人達を支援する組織です!」ってことらしいです。
 そんな団体の中の「おひとりさま広報室」がプロモーションビデオを作るってことで、このご時世、憧れの職業でもある撃退士の皆さんに、「おひとりさま生活がいかに素敵か」「恋人ときゃっきゃうふふするだけが人生じゃないぜっ!」的なメッセージを込め、いろいろな体験談や哲学を語って頂きたいとのご依頼をお受けしました。

 そんな物が作られ一体何処に流れ、どのように扱われるかは謎ですが、まあ、恋人が居る人達を羨んでるのを通り越してむしろ「ウラミンデル」感じの世界中の人達に、おひとりさま生活がいかに素晴らしいか、いかに充実しているかを伝えることは、そう悪いことではないんじゃないかなって一人身の先生も思いました」
 そしてそっと眼鏡の奥に見えた涙を拭うモブ。
「だから!! 今こそ恋人がいない貴方も! ぼっちで恋愛ドラマ見て泣いてる貴方も! 脳内にしか恋人がいない貴方も! 恋人なんていなくても変質者人生を謳歌しちゃってる貴方も!
 ビバおひとりさま! ビバぼっち!
 みなさん、スタイリッシュに思う存分おひとりさまっぷりをアッピールして頂ければと思います!!!! あの……あの大空に向かって!!!」

 びしーーー。
 モブは教室の外に向かって指を掲げる。
 そこにはバビューーーンと高速で通り過ぎて行く飛行機と、その後ろに伸びる飛行機雲が。

「あれはブルー……ブルーインパルめぎょん」
「いやほんとT○Sに怒られますから黙って貰えますか先生」
 優秀な撃退士の皆さんはすかさず履いてた上靴で教師の頭をスパコンしたのだった。





リプレイ本文

●おひとりさまレベルの話

 お一人様の定義を論ずる際、必ずと言っていいほど話題にのぼる問題がある。
 曰く、『どこまで』OKなのだという話だ。

 ある女子学生はゆるふわミルクティカラーの長い髪を、指でくるくる巻きながら言った。
「なんかァ、一人で映画とかァ、友達いないって思われないか不安でェ〜」
 人は無意識に己の価値観でものを測る生き物だ――というような事を、いつだったか、どこかの偉い人が言っていた。
 その線で行くと、彼女は一人で映画を見ている人を内心で「友達いない認定」しているのかもしれない。詭弁。

 ……彼女のことはさておき、一般論でものを語ろう。
 今どき一人映画なんて珍しくもなんともない。それどころか一人旅、一人カラオケに一人ランチ、どれもありふれた光景となりつつある。
 おひとりさまの何が悪い!
 恋人がいなくて何が悪い!
 友達と遊べば無問題だろう!?
 ……なにっ、友達もいない!?
 それは、えっと……
 ……とにかく!
 開き直って一人焼肉やら一人鍋やら楽しむ猛者さえ世の中には存在するのだ。
 安心したまえ青少年、世界は君らが思うほど残酷でもないし、言うほど美しくもない。……多分。

 そろそろ一人がゲシュタルト崩壊してきた頃合だろうか。まだまだ語り足りない気もするが今日はこのへんにしといてやろう。
 何が言いたいって、要するにリア充爆発しろ。

 それはそれとして。
 先程からカメラが回っている。
 回ると言っても、世は総デジタル時代である。不適切な発言があろうと、如何様にも編集可能だ。
 音もなく●RECされる主張。
 別に全国ネットのテレビ電波に乗るワケでもなし、録画されたそれを己が見返す機会などそうそうあるまい。
 幸か不幸か、映像を見て連絡してくる恋人も……おや、目から汁が。
 要は、彼らにとってこれは、ただ存在感の薄いデジカメを向けられるだけの簡単なお仕事だということだ。


●極めろ、ぼっち力

 スタッフが最初にカメラを向けたのは、アティーヤ・ミランダ(ja8923)であった。
 夏らしい服装。小麦色の肌。惜しげもなく晒す姿は、一見リア充にしか見えないのだが……
 その実、彼女も立派な『おひとりさま』上級者であった。

 さて最初は一人映画か、それとも一人カラオケか?
 企画の都合上、というか趣旨からして、あくまでおひとりさまに好意的な内容のVTRでなくてはならない。
 慣れ親しみ理解してもらう為には、ある程度の説得力が必要だ。
 故に最初からクライマックスな飛ばし方は避けたいというのが大人の本音。

 しかし突き抜けていた。
 アティーヤがまず向かったのは、――カップルに大人気の某テーマパークだった。
 リア充には到底理解できないだろう。キョロ充の諸兄に至っては泡吹いて倒れかねないレベルの高さだ。
 無難にヒトカラレベルから始めると思ったか? 残念だったな!!
 ……とばかりに満面の笑みである。やだ姐さん男前……!(トゥンク)

「やあ、他人との折衝に疲れているサラリーマンからキョロ充の学生までこんにちは!」
 園の入口付近にたどり着くと、まずは元気一杯カメラの向こうへご挨拶。
 ひれ伏さずにはいられない開き直りっぷりである。潔い。
「みんな、たまには他人の目を気にせず思いっきり楽しんでみないかい?」
 まずは順当にアトラクションへ。
 ひとりならコーヒーカップだって思う存分回せちゃうのである。
 アティーヤの乗ったカップは、他の追随を許さぬ猛スピードで回転し続け、周囲の度肝を抜いていた。
 続いて立ち寄ったフードコートでは、しれっとカップル用メニューをオーダー。
 そう、ストローが2本刺さったアレである。
 右と左の2本を同時にはむっと咥え、トロピカルな色のジュースを怒涛の勢いで吸い上げる。
「ぷはぁ……どうです、この征服感! たまらないでしょ!」
 どういうことなの。

 しかしその後もアティーヤ先生による『ひとり夢の国』講座は続く。

 どうせかかってこないなら、携帯の電源はキッパリOFFにしてしまおう!
 携帯の画面に逃げるぐらいなら家にいたって一緒だもんね。
 夢の国に現実は持ち込まないのがマナーだよ!
 スタッフを待つのは時間の無駄だから、マスコットとの記念写真は近くにいるカップルに頼んじゃおう♪
 ――さあ、みんなもレッツチャレンジ!(棒読み)


●同じ頃、街では

 別動のカメラは、早朝からホラー映画鑑賞に勤しむ天羽 伊都(jb2199)を追っていた。
「映画好きなら、友達とか恋人とわざわざ予定を立てて行くより、観たいと思った瞬間観に行くもんっすよね? そんな貴方にお勧めですよ」
 朝イチの回というだけでもある程度お察しだが、加えて撮影日は平日であった。
 依頼の一環ゆえ参加学生は公休扱いだが、一般的には休みではない。劇場が閑散としているのも無理はない。
 極めつけにホラー映画である。朝からホラー。中々、いやかなり渋いチョイスである。
 そんな条件が重なれば、リアルおひとりさま状態になるのも致し方なし、か。
 撮影側としても他の客の了承を得る必要がなくて非常に楽な取材ですね。

 伊都の周りに人影は見当たらない。まさにスクリーンとのタイマン勝負の様相。
 映画のおともは、勿論ポップコーンとコーラ。
 塩とキャラメルの2種類入った大きなバスケットを抱え、ひたすらもぐもぐ。
 本当は上映前に食べきるつもりで買ったものだけど、手元にあれば上映中にもつまみたくなるのが人間でしょう。
 混雑している時ならいざ知らず、多少音を立てたぐらいじゃ誰にも迷惑がかからない訳で。
 隣前後の客を気にする必要もなく、時に驚きのあまり声をあげたりしながら、伊都は映画を十分に満喫するのであった。

 エンドロールの流れる中、撮影スタッフが伊都に問う。
 ――終わりましたけど、エンドロールまで見る派なんですか?
 その問いに、少年は笑みを浮かべて答える。
「これを観ながら、あそこが面白かったとか、あのシーンもうちょっと改善できるんじゃないか……
 なんて、余韻に浸るのが通だと思うっすよ」

 上映が終わり、明るくなった劇場から立ち去る道すがら。伊都はスマホを取り出して、何やら書き込みはじめる。
 怖かった、でも面白かった。そんな他愛もない感想を書き留めているらしい。
「こういう近すぎず遠すぎずな距離感でのやりとりが、ひとりの時間を楽しむ為のポイントっすね」


 続く鴉乃宮 歌音(ja0427)は、カメラの存在を忘れたかのように自然な振る舞いでショッピングへ向かう。
 まずは本とゲームを扱う店へ。
 心ゆくまで品物を吟味し、眼鏡にかなう数点を選び取る。
「独りでないと好きに動けないのよ。特に本や洋服って、マジメに選ぶと時間がかかるものだし」
 思うまま、気の向くままに行動できるのは、やはりおひとりさまの最大の利点のようだ。

 そんな歌音の今日の服装は、黒のカットソーに透け感のあるふんわり生地の黒スカート。
 スカートの下にはあえて透けさせるような深紅のパニエ、それから薄手のニーハイソックスを穿いている。
 これぞ夏のゴシックファッション。
 生半可な装いならば悪目立ちしかねないセレクトだが、なまじ似合う分性質が悪い。
 道行く人々の視線を総ざらいにしながらも、向けられる熱い視線にはやはり興味がないらしい。
(……着たい服もあるからね)
 おしゃれは、他人の為にするものではないと思っている。
 だからこそ人目を気にせず好きな服を着るのが、歌音の正義であり日常なのだ。
「さて、次は菓子でも買いに行こうか」


●アティーヤは(テーマパークに)置いてきた

 昼過ぎ。某所から場所を変え、カメラは久遠ヶ原へ戻る。

 次の標的は青い肌の悪魔2人組。ミカエルマス=アスター(jb5930)とラプラス(jb6336)である。
 とはいえ最初から2人組でこの企画に乗った訳ではないため、正確に表現するならば『よく似た境遇のおひとりさまが2名』なのだが。
(……なんじゃろう、このやる前から漂うむなしさは)
 落ち着け。真面目に考えたら負けだ。
 カメラが回りだす前から溜息を吐くミカに対し、ラプラスは非常にクールだった。
 企画の趣旨やら自分の置かれた状況やらを、イマイチきちんと把握できていないとも言う。
「まさか、こんな所で同胞に会えるなんてね」
 ふっ、と僅かに笑みを零すラプラス。
 そんな彼女達の共通点は、どうやら肌の色と種族だけではなかったようだ。
「おひとりさまのアピールのぅ……まぁ確かに、魔界におる頃から男には相手されんかったが」
「具体的に何をすればいいのかしらね。悩殺的なポーズでも付けてアピールするとか?」
「ふむ」
 それだ、と。手を叩くミカ。
 何がそれなのかよく分からないが、急かされるようにしてカメラマンは撮影を開始した。
「……コホン」
 そして第一声。
「画面の向こうにおる御主等よ、わしらに欲情してもよいんじゃぞ」
 どどーん。
 何を言い出すかと思えば。
 そ、それはちょっと……と一旦カメラを止めるスタッフ。
 しかし異文化交流のハードルは思いのほか高かった。
「ほれ、わしら悪魔じゃし。そういう事は問題ないぞ。な、ラプラスよ!」
「そうね。純情な愛情なんて、忘れさせてあげる」
 有無を言わさぬ勢いの女たちにスタッフもタジタジ(死語)だ。
 しかし、不運にも彼は空気が読めなかった。
 そんな男の放った無謀な一言が、この直後、場の空気を一変させる。
「えっとその、なんといいますか」
「?」
「僕は巨乳が好きなんで、その」
 ……。
 意訳。二人揃って胸が足りない。
「ぬがぁぁー!?」
 言ったな、こいつ言いたがったな。触れてはいけない部分に触れたな!(※尚、物理的な接触ではありません)
 あーあ知らないぞ。悪魔怒らせちゃって、もうどうなっても……
 ……と思いきや、直後にハモった2人の声は予想外の方向の激情を孕んでいた。
「どうせ胸ないわ。男みたいと言われまわったわ。生まれてくる性別間違ってると言われたわ……うぅぅぅ……」
「どうせ魔界でも彼氏なんていなかったわよっ! ……彼氏なんて……」
 あ、怒るんじゃないんですね……ぶわっ。
「独り身の何が悪いっていうのよ……っ」
「性別不詳と言われ続けたおかげで女友達もほとんど出来ず仕舞い……もう泣いてよいか? よいな?」
 涙目どころかもはや半泣きの様相で嘆く2人の乙女であった。もうやめてあげて。


●嫉妬の炎に抱かれて消えろ!

 ――リア充あるところに嫉妬あり。

(ふふふ……こんな団体があるとは知らなかった。いいぞ! 思い切り語ってやろうではないかッ!)

 カメラの前で迫真の演説を繰り広げる男がいた。
 久遠ヶ原学園に長く籍を置く者にとっては、もはや説明不要であろう。
 人呼んで非モテ騎士、ラグナ・グラウシード(ja3538)だった。
 待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で、ここぞとばかりに熱弁している。
「リア充どもの跳梁跋扈がこの学園の環境をどれほど汚しているか! 諸君等はおわかりのことだろう!」
 入学説明会で恋と冒険の学園生活とか言った奴どいつだ出てこ……え? 濃いと冒険の学園生活? なんだそれ笑えねーよ!
 可愛いあの子を自転車の後ろに乗せて坂道ゆっくり下ってく放課後なんて幻想でした。リア充爆発しろ。
「奴らを粛正するという尊い使命! それは名実ともに『おひとりさま』にしか与えられんのだッ!」 
 無駄にいい声で無駄に堂々と主張されるそれらは、無駄な説得力を以て聴衆の心に語りかけるのである。

 ……と、血眼で力説するラグナの耳に、男の声が飛び込んできた!
「そこの兄ちゃん、良い嫉妬の炎を持ってるじゃねえか!」
「誰だ!?」
 振り向けば視界に飛び込む赤い髪。カメラも慌てて、ラグナの視線を追いかける。
 そこにいたのは、他でもないガル・ゼーガイア(jb3531)であった。
「おひとり様ならこんな事もし放題だ! セットアップ! ドラグーンアーマー!」
 勇猛な掛け声とともに、彼の身体が光に包まれる――その姿はさながらフィクションに登場する英雄の如く!(※光纏です)
 そして、
「嫉妬の炎は正義の証! 嫉妬竜騎兵ガルライザー参上!」
 ……キマった。
 渾身のドヤ顔である。
 この登場にはさすがのラグナもドン引――くと思ったか? 残念だったな!!
 流石はリア充滅殺かめ……ごほん、非モテ騎士である。
 突如現れた嫉妬ヒーローに急ぎ歩み寄ると、ギラギラした瞳のまま彼に右手を差し出した。
「同志よ、共に戦おうではないか……! 全ての非リアを救うその日まで!」
「ったりめーだ! 嫉妬の炎があれば誰だってヒーローなんだからな!」
 そして確かめる男達の熱い友情。がしっと交わされる握手。うっかり『が嫉妬』とか変換されるぐらい嫉妬に溢れてる。
 共感を得た部分が嫉妬心でさえなければ美しい場面だったのにな……。
 しかし熱い握手を交わした男達に、そんなカメラマンの思惑が通じる訳もなく。
「……ほら! 一人ならこんな趣味も簡単に出来るぜ!」
 恋人こそ居ないかもしれないが、多数の女子にキャーキャー言われることはできる。
 そんな人生も悪くないぜ?(声が震えているとか言うたらアカン)
「そう――我道を貫くには、我々が正しい道を歩み続けるには、確固たる意思と、孤独に耐えうる精神力が必要不可欠なのだッ!」
 清く正しくストイックな学生生活に、けしからん色恋沙汰など不要なのである!
 さみしくなんてない! 悲しくなんてない! 断じて、断じて辛くなんて……。

 え、漢達の目尻が濡れている? それどころか滝のように涙が?
 忘れろ、気のせいだ。もしくは心の汗にちがいない。
 ていうか汗って言葉で今気づいたけどこの部屋めっちゃ暑いな。なんでだ。
 漢達の熱気かと思えば、拳に宿した嫉妬の炎の熱量だそうだ。パネェ。マジパネェ。
 そも、続く猛暑により熱中症の懸念が残る2013年の晩夏である。
 撃退士は体力あるからいいかもしれないが、一般人のカメラマンはこりゃまずいと退散を視野に入れ始める。

 しかし彼らの熱弁は留まることを知らなかった。
 さらに疲労の色が見え始めたスタッフに、追い討ちをかけるかの如く! 第三の使っ徒(失笑)が颯爽と姿を現す――。
「『しっと団(久遠ヶ原学園支部)』としては、『おひとりさま支援団体』を手伝わない訳にはいかないのだわ!」
 ばばーん、と華麗に登場したのは、ラグナに負けず劣らず名前の通った嫉妬界の星、天道 花梨(ja4264)。
 彼女は、いや彼女こそが、リア充撲滅を掲げるかの団体の代表である。
「非モテの事は私達しっと団に任せろなのだわ!」
「おう花梨、遅かったな!」
「……ガル君はここで一体何をしているの……しっと団の宣伝はしっかり済ませたのかしら」
 彼女がここに来た目的は、手伝いという名の広報活動だったようだ。
 実はそれに関してはこれから……と事情を説明するガルに、少女はぷんすか怒りの表情を浮かべる。
 ゃばいょ花梨まじぉこだょ。
「まぁいいのだわ。……コホン、我々しっと団は正義の名の下にリア充を粛清する団体なの」
「勿論しっと初心者にも優しいぜ!」
「主な闘志活動は、クリスマスやバレンタイン、夏の海……そういったリア充の集う場所での悪戯テロね!」
 そう、例えばハリセンやピコハンでカップルを襲撃してみたり。
 海やプールで、水鉄砲を使って一斉射撃なんかしちゃったり。
「リア充だけじゃなく、お仕事や勉強のストレスもまとめて楽しく吹っ飛ばせるのだわ! 超お得!」
 不思議な団結力をもって、ひとつの行事を乗り越える達成感。同じ志を持つ仲間と、団結して暴れる一体感と爽快感。
 ただの部活とは一味違う。
 大規模な悪戯テロを企画し実行するプロセスは、ある種、文化祭やら何やらの祭り騒ぎに似ているのかもしれない。
 一度味わってしまえばクセになる、そんな不思議な魔力を持っている。それがしっと団だ。(多分)
 ……とはいえ、茶化す余地もなく真面目にお付き合いをしている2人を揶揄うほど野暮じゃない。
 あくまでお祭り騒ぎ、パフォーマンスの一環として、イジりネタをネタと理解できる相手に限り作戦を実行する。
 それがしっとの美学であり、しっと団員のポリシーだ。

 ――とまあ、そんなような事を花梨は滔々と語るべく準備していた訳なのだが。
 なにせ猛暑日なのである。スタッフはスタッフで、いよいよ耐えられなくなり始めていたらしい。
「あれっ、もう終わるのか!? もう少しお願いだぜ! まだしっと団の宣伝g」
「ちょ、こらー! ちゃんと最後まで聞きなさいっ、粛清するわよ!?」
 所詮は子どもの言うこと……等と甘く見ていたかどうかは分からないが、花梨の言葉を最後まで聞くことなく撤収開始。
 ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てるしっと派の3名が、その後スタッフとどんなやりとりを繰り広げたのか――
 それは映像に残っていない為、定かではなく。
 期せずして本人達だけが知る秘密となるのであった。

 ちなみにそんな彼らの賑やかなPR風景を、亜星(jb2586)が笑顔で見守り何らかメモしていたとの目撃情報も。
 その真意は定かではないけれど、絵的にすごくシュールだったことだけは付け加えておこう。


●嫉妬するほどヒマじゃない可能性

 とはいえ。
 なにも、他人との関わりを断つべきだなんて思ってはいない。
 ただ毎日毎時べったり他人と関わる事、果たしてそれが自分のためになっているのかという疑問が残るだけ。

 他人の顔色だけを窺って、他人の機嫌だけ気にして生きていく。
 そういう生き方もあるという事実は知っているけれど、自分がそうしたいかと問われれば否と答えるだけのこと。

(というか、誰だって本質的には一人だろ。考えるまでもない……)
 熱弁をふるい大芝居を繰り広げるラグナ達を遠巻きに眺め、木陰に陣取る山木 初尾(ja8337)は、ぼんやりと思う。
 このうだるような猛暑の中、カップル達はなぜ好き好んで自ら手を繋いだりするのか。
 確かにそれは疑問だし、うざったいと思わない事もない。
 だからといって、嫉妬を掲げる彼らのように、積極的にカップルを駆逐しようなんて考えにも至る訳はなかった。
 初尾にしてみれば、双方ともに相いれぬ存在なのであろう。
 たとえば今日この時、手を取り合ったからといって、それは本当に『共に生きる』ということなのか?
 ただ、その場に居合わせた2人の個人ではないのか。
 その違いが、初尾にはいまいちピンと来ない。
(誰が死のうと、俺は生きてるし。俺が死ぬ時は、せいぜい敵を道連れにすれば上出来だ……)
 その未来を脅かすというのなら、話は別だけれど。
 そうでないなら関係ないのだから、好きにすればいい。
 ペットボトルを片手に一息。木陰に入れば少しは涼しいだろう、と、足を向けるのであった。

 初尾のように望んで一人になる者を『一匹狼』と言う。
 ならば『ぼっち』は何者かといえば、要するに本当は寂しいんだよ言わせんな恥ずかしいって事ではなかろうか。
 では、自らをぼっちと称する陽波 透次(ja0280)の真の胸中は、どちらなのだろう。
 彼の想いは決して世間に知らされるものではない。――我々は、透次の一日を追った。

 授業中の彼は至って普通の真面目な生徒だ。
 だが、休み時間に突入すると様相は一変する。机に突っ伏して微動だにしなくなったのである。
「大丈夫ですか? 昨日は遅かったとか?」
 スタッフが問いかけると、透次は薄目をあけて小さな声で答える。
「いえ、休み時間はこうやってウソ寝することにしているんです」
 ウソがバレてしまうから続きは後で、と断りを入れて、透次は再び机に突っ伏した。
「一日が長く感じられてお得ですよ。じっくりと時の流れを感じられる。
 友達と騒いで時間を潰すリア充な人達には分からない、ぼっちだけの特権だと僕は思っています」

 長い休み時間が終わり、やがて次の授業も終わった。
 時刻は昼休みに差し掛かる。
 周囲のクラスメイトが思い思いの弁当を机上に広げる中、透次は静かに教室をあとにした。
「どちらへ?」
「屋上です。夏だから人影は少ないけど、逆にそれがいい。風通しが良いので意外と涼しいですよ。日陰もありますし」
 目的地に辿り着くと、透次は持参した袋から弁当箱を取り出した。
 蓋を開ければ、母親の愛情がたっぷり詰まった――或いは熟年サラリーマンの愛妻弁当のような逸品が顔を出す。
「ハートマーク。お母さんとか、お姉さんが作ってくれるんですか?」
「いえ、毎日自分で作っています」
「なんと。それは驚きです」
「ぼっちやってると、料理が上手くなりますよ。誰も作ってくれないけど、家計が苦しいので自炊しないと……」
 そう呟く彼の横顔は、ほんの少し寂しげに見える。
 これまでしてきた苦労を思い返しているのかもしれない。そう思うと胸が締め付けられる想いだ。
(あえて作ったであろうハートマークに対しての追求は、今回しないことにしておこう)

「さて。昼も終わるし、教室に戻りましょ……」
 その時、透次が突然げほっと咽せた。
「風邪? 大丈夫ですか?」
「いえ……長いことぼっちやってると、一日なにも喋らない日も少なくないんですよ。今日は喋りすぎました」
「なにも? それは凄いですね」
「言い換えれば、喉に優しいですよね。僕はこの生活、嫌いじゃないですよ」
 そう言う透次の顔は、どこか哀愁に満ちているように思えた。
「恋人が欲しいとか、考えたことはないんですか?」
「恋人? なにそれ美味しいんですか? ワカリマセン。僕は当分(おひとりさまで)いいかな」
 だが本人が満足しているのなら、スタッフが口を出すことではないだろう。
「おひとりさまのぼっちは、友達がいない人のことだという人もいますけど。僕は作らない人のことを言うんだと思ってます」
 そう言って彼は意味ありげに笑った。
 心に落ちる一抹の寂しさと戦いながらも、彼はぼっち道を行く。
 その姿勢はまさに、我々が考えるプロフェッショナルそのものだった……。
(全編に渡ってツッコミ待ちだとか思っても、気にしたら負けです)


●全く話の弾まない座談会

 一方、別のカメラ。

 特に持込企画もなく、別に熱い信念があるわけでもなく。
 ただなんとなく集まってしまった受動的なおひとりさま方が円座に座っていた。
 ……大体、おひとりさまを語るのになぜ座談会形式にしようとか言い出しんだ。スタッフ出てこい。

「そろそろメンテが終わる時間なんですよね……」
 メガネをくいっと上げながら、菊千田 一(jb6023)が言った。
 口火を切ってくれたのはありがたいが、言うに事欠いてそれなのか、と。
「メンテ?」
 完全スルーもどうなのか、と言葉尻を拾い上げてはみるが、一の返答はある意味想定通りのものであった。
「ええ。ネトゲですが、何か問題でも?」
「え、……と」
 場の沈黙が痛い。ひきつり笑顔のまま一に視線を戻すものの、彼はやはり仏頂面であった。
「すみませんがこのまま沈黙が続くなら僕がここにいても無意味ですよね。もう帰っていいですか」
 その上(一の気だるさに半ば便乗するような形で)井上 光智(jb5194)まで、痺れを切らし愚痴り始めた。
「全く、研究資金の為とはいえ……酷い依頼もあった物ですね」
 ブツブツ。
 彼はどうやら能動的に一人行動している訳ではない(らしい)が、苛立っている理由とは果たして関係しているだろうか?
「そもそも、人間には気分と言うモノがあります。一人で居たい時も、複数で居たい時もあるモノです」
 声色こそいやに刺々しいけれど、言っている事はまったくもって正論である。
 人間、或いは天魔にしても、要は物事には限度というものがあるわけで。
 他者との交流を断った結果や、四六時中他者と生活を共にした結果。
 そういったものには少し興味が沸くかもしれない。けれど、だからといってソレを推進する理由なんて存在するだろうか。
「――よって常に『おひとりさま』でいることを肯定するのは、まったく論理的でない」
 そう結論づけた光智。一はその意見を聞くなり、ハハッと笑う。
「彼の言う通りですね」
 そして続ける。
 ……続ける。
「そもそも、『恋人が居ない=要支援』という認識こそが『おひとりさま』の孤独感を助長しているのでは? 恋人が出来ないとか恨みつらみ言う暇があったら、その時間で自分を磨けばいいじゃないですか。何のためのおひとりさま期間なんですか? 幾らでも自分に投資できる絶好のチャンスじゃないですか。そうやって怠惰に時間を食い潰すことしかしないから、ネカマに騙されたり『ぽっちゃり』を真に受けて大火傷するんです」
 たとえ妙にリアリティのある例え話だなって思っても、それ以上突っ込んではなるまい。
 あと誰かに聞かれてたら大炎上しそうだとかそういう事も言ってはいけない。
 そんなことより、早口でまくし立てたために他のメンバーが言葉を発するどころの話じゃなくなっている事の方が問題だ。
「要は、失敗を糧にして成長すりゃいいんですよ」
 一は最後にそう付け加えたが、もはや誰も真面目に聞いちゃいなかった。
 そうか自分磨きが足りないのか……とばかりのお通夜ムードである。
 だが殺伐とした部屋に颯爽と救世主が!
「……論理的におひとりさまを肯定すれば文句はないのでしょう?」
 月見里 万里(jb6676)が、おひとりさまの利点についての見解を述べ始めたのである。
「先ず、単独行動では他者の都合に合わせて時間的拘束をされる事がありません」
 それは皆さまご承知の上でしょうが、と付け加えて話を続ける。
 淡々と、事実を読み上げるかのような冷静さのまま。
「次に、他者を気にする事なく好きな事を好きな時間に好きなだけ出来る。要するに、自由に、好きなように行動できます」
 そして最後に。
「他者に対して、社会的かつ倫理的な責任を持つ事なく、自分一人分の責任を背負うだけでいい……
 要するに、総じて『奔放』『流動的』『保身的』な方には向いていると言っていいでしょうね」

 そして、微笑を浮かべた。
 ……いや、オブラートに包んではいるけど、それって暗に無責任な奴は他人と関わるなとかそういうアレです? 攻めるね!

 ――無念、再びの沈黙。(いやある意味予想通りではあるけれど)
 うわぁ……何だよこの空気……これでちゃんとバイト代出るのか?
 このまま何も語らず終了してしまうかもしれないレベルの怪しい雲行きに、流石に空気を読んだのは姫咲 翼(jb2064)。
 苦笑いを浮かべながらも「まあまあ」と場をとりなす為に言葉を発する。
「えっと、俺も学園来るまで閉じこもってたし……カメラって言ったら撮られるより撮る方かなって感じでさ。
 平凡な面だし、喧嘩弱いし、イケメン率やたら高いこの学園でモテる要素とか無いっていうか……その。
 だからカメラの前で喋るのしんどいなって気持ちは、すごいわかるんだけど」
「?」
 けれど。
 これだけは言わなければならないと思った。
「生まれ持った魅力ってあると思うんだよ……実際、俺より召喚獣のほうが女の子にモテる現実がここに」
 ……って、やめろおいやめろ。
 今さらながら思うが、1人1人が順番に話すばかりで議論やってる感が全くない気がする。
 これでは集まってもらった意味も何もないではないか。

「学園に戻ってきたはいいけれど、何かすごい事になっているようだね」
 お菓子を買って、ショッピングから戻ってきた歌音がいた。
 窓から部屋の中を覗き込み、ぽつりと呟く。
「本当、異様な空気に包まれている気が……ううん、気にしないでおきましょう」
 返事をしたのは海城 阿野(jb1043)。
 なぜ2人が一緒に行動しているのかというと、話は一時間ほど前に遡る。


●公園での一幕

 園の一角に設けられたカフェのテラス席で、阿野は優雅なティータイムを過ごしていた。
「一人は気楽でいいですね、ずっと他人と一緒だなんて気疲れしちゃいますから」
 スタッフとそんな言葉を交わしながら、美味しいアイスに舌鼓を打っていた。
 ひとりで買い物に行くとついつい買いすぎてしまうのよ、と苦笑しながらも、1日エンジョイしてきた様子。

 そうこうしている間に、同じカフェに別カメラがやって来た。歌音である。
 まったり過ごす為に公園のベンチにでも……とやって来た所、外に出ていたコーヒーとかき氷ののぼりにつられたという。
「おや、奇遇だね。アイスクリームか」
「あら……そちらもお買い物だったんですね。満喫されました?」
 微笑む阿野に、歌音はうむ、と頷いてみせる。
「実にいい1日だったよ、やはりショッピングはひとりに限る」
「同感です♪ どうせ出かけるなら、自分の考えたルートで見て回りたいですから」
「……途中のナンパさえなければ完璧だったかしらね」
 言葉尻は消え入りそうな小ささで、きっと相手の耳には届いていないだろう。だが言い直すような事でもない。
 忘れたことにして。
 周辺を歩いているハトに向け、購入したパフェに乗っていたサクサクのパイを砕いて投げる。

 一度、言葉が途切れた拍子。阿野はふと、歌音が持つ紙袋に目をやった。
「その紙袋、なんだか可愛らしいですね」
「ああ、これ? ここに来る途中、良い洋菓子屋があってね。今日は本だけのつもりが、つい買ってしまった」
「そうなんですか。お菓子もきっと可愛いんでしょうね」
 お洋服を買ったので満足して見過ごしてしまった、と少し悔しげな阿野。
「何なら少しお裾分けしようかね。ここで開封するのもなんだし、学園に戻ってからになるけれど」
「え? そんな、悪いですっ」
「まあ、そう言わずに。これも何かの縁だと思わないかい?」
 そうまで言われれば、断る道理もないだろう。
 それではお言葉に甘えて……と了承し、学園に戻ることになったのだ。

 ――そして、魔の座談会に遭遇する羽目に以下略。


●そんなにピリピリするなよ菓子でも食って落ち着こうぜ?

 空気を読まないのか。
 空気が読めないのか。
 或いは、端から空気など存在しなかったのか。

 繰り返すが、そも自由大好き無秩序万歳な『おひとりさま』達に、足並みを揃えろという方が無理だろう。
 必然。そう、これは起こるべくして起こった悲劇の一端でしかない(多分)。

「……仕方ないね。甘いものでも振舞って少し落ち着いてもらうとしよう」
「え、でもそれは折角……自分用に買ってきたのでしょう?」
「かまわないさ。もとより君と分けるつもりだったし……それに」
 ひと呼吸置いて、歌音は微かに笑う。
「どうせまたひとりで買い物に行くのだし。また買えばいいだけのことさ。……皆、少し休憩しよう!」
「あっ……!」
 そう言って歌音は、膠着した部屋へと踏み込んでいく。
 少しだけ強引に、阿野の腕を引いて。

 そんな彼らの後姿を見つめる影、ひとつ。
 実は背中を追いかけてきていた亜星だった。興味深げに歌音たちの行動を見つめ、なるほどね、と呟いた。
 自分は別に、明確なポリシーのもとで独り身を選択している訳ではない。
 ただ友人と呼べる存在が少なくて、ひとりの時間が多いだけ。恋人と呼べる存在についても同様だ。
 嫉妬の炎なんて持ち合わせていないのは当然として、別にひとりでなければ出来ないことがしたい訳でもない。
 要するに、PR向きではないのだ。
 そうとあれば、広報活動に勤しむ彼らの行動を観察したほうが、ずっと建設的だと思ったのだ。
 別の視野から分析した結果というのも、PR映像を作る上での資料としてアリだろう、と。
 ――無論、それはある種の後付けかもしれない。
 そもそも彼女自身が単純に人間観察と知識蒐集を趣味としている事実もあるのだけれど。
「さて……」
 スイーツの登場によって若干ながら空気が和らいだ座談会。
 すっかり休題状態となっている其方よりは、別のなにかを撮影せん、と近づいてきたカメラへ、亜星は意識を移した。
「私は今日一日、『おひとりさま』という存在について詳しく観察してきたわけだが」
 コホン、と可愛らしく相づちを打つ。
 そして苦笑した。
「一つ、よく分かった事があるよ。つまり……今日の私も相当痛々しい『おひとりさま』だったのだね」
 振り返れば、単独行動ばかりであった。
 ずっと他者と行動を共にしていたつもりだったが、客観的に振り返ってみれば別にそんなことはなかった。
 現に今も、他の参加者たちが揃って菓子を口にする中、一人だけ何故かカメラに向かっている。

 虚ろな目で空を見上げ、自嘲の笑みを溢す。
 だが案ずるな、我々の学園生活はまだ始まって間もない。
 きっと挽回のチャンスが――言うところの『リア充』という人生勝ち組に、なれる日が。
 いつの日かやって来るはずなのだから。


●お疲れ様でした

 なんだかんだで数時間に及ぶ撮影の後、カメラは役目を終えていた。
「ラプラス、おぬしも大変だったんじゃな……この後二人でどこかいくか。他人の気がせんよ……」
「ありがとうミカ……私たち、なんだか良い友達になれそうね」
 なぜか友情に目覚め、手を取り合う者もいたけれど。
 多くの学生は今日の協力関係を思い出に変え、また、散り散りに己の帰るべき場所へ戻っていく。

 久遠ヶ原に帰る学生たちの背中を見送りながら、おひとりさま広報室の担当者・茂部(モブ)はふわっと呟いた。
「……編集、時間かかりそうだな」
 生ぬるい目でメモリースティックを一瞥し、苦笑いを零す。

 ここで今更ながら、おさらいをしよう。
 この企画の趣旨は『おひとりさま』の素晴らしさを全力でアッピールする事であった。
 NPO法人おひとりさま支援団体、おひとりさま広報室。
 それは単独行動を是とし、前向きに捉える為の手助けを担う場所。
 言い換えるならばソレは、非リアやぼっちに市民権を! という動きであろう。
 ならば、我々は何を為すべきか。
 リア充と非リアとの間に存在する壁を、確執を、排他的関係を、ならし是正していくことではないのか。

 なんだか理屈っぽい物言いになってしまったが、有り体に言い切ってしまえばこういうことである。
 広報VTRで嫉妬とか爆破とかそういうネガティブなのやめてよもー!!

 どっかの新聞部ならありのまま起こった事実を全て報道するのかもしれないが――
 茂部としては一応コレ仕事なわけで、一応は各方面からの圧力に耐えうるように一応は不適切な部分の編集が一応云々。
 要するにこれから待つだろう膨大な作業――大人の事情的なサムシングに起因するそれらに想いを馳せる。
「すまん七子……今日は帰れないかもしれない」

 ――って、お前リア充だったのかよ!(爆破しよ)

 ともあれ。
 恋人とのきゃっきゃうふふ生活? そんなの無くたって人生楽しめるかもしれないだろう。
 或いは恋愛を求めて恋愛を得るのではなく、別の方法で生涯の伴侶を見つける可能性だってある。
 どんなにぼっちでも、リア充になれなくても、人生はそこで終わりじゃない。
 どこからでもまた、仕切り直すことが出来る。
 完全に受け売りだけど何かイイこと言った気がするのでドヤ顔しておく。

 そんなこんなで、ぼっちだろうと非リアだろうと、前を向いて歩いていきましょう。
 おひとりさま支援団体とのお約束だぞっ☆

(代筆 :クロカミマヤ)


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

狼牙・
狼ヶ峰 翼(ja0077)

大学部7年238組 男 阿修羅
未来へ・
陽波 透次(ja0280)

卒業 男 鬼道忍軍
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
KILL ALL RIAJU・
ラグナ・グラウシード(ja3538)

大学部5年54組 男 ディバインナイト
しっ闘士正統後継者・
天道 花梨(ja4264)

中等部2年10組 女 鬼道忍軍
地道に生真面目・
山木 初尾(ja8337)

大学部5年139組 男 鬼道忍軍
単なる女のコ好き?・
アティーヤ・ミランダ(ja8923)

大学部9年191組 女 鬼道忍軍
手段無用・
海城 阿野(jb1043)

高等部3年27組 男 ナイトウォーカー
大洋の救命者・
姫咲 翼(jb2064)

大学部8年166組 男 バハムートテイマー
黒焔の牙爪・
天羽 伊都(jb2199)

大学部1年128組 男 ルインズブレイド
撃退士・
亜星(jb2586)

小等部6年1組 女 バハムートテイマー
嫉妬竜騎兵ガルライザー!・
ガル・ゼーガイア(jb3531)

大学部4年211組 男 阿修羅
V兵器探究者・
井上 光智(jb5194)

大学部7年319組 男 インフィルトレイター
お城パフェの製作者・
ミカエルマス=アスター(jb5930)

大学部5年17組 女 ルインズブレイド
この顔見たら、すぐ腹パン・
菊千田 一(jb6023)

大学部7年112組 男 アカシックレコーダー:タイプA
V兵器探究者・
ラプラス(jb6336)

大学部5年38組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
月見里 万里(jb6676)

大学部1年22組 女 アカシックレコーダー:タイプA