●テレビの前のみんな〜『どきっ男子だらけの触腕たいかい』はっじまるよー☆
静かな深い森の中。
「おっ……、おっ!? おおおぁあぁぁっぁぁあっ!!」
六道 鈴音(
ja4192)が野太い雄叫びを上げていた。
眉毛が太めなのはいつものことだが、今日は声まで太く逞しくなっていた。
「眉毛太い言うな」
すかさずカメラ目線(?)でぷんすか決めてくる鈴音ちん。やっぱり眉毛の太さや眼力の半端なさにこそ変化はなかったが、いつもの鈴音ちんとは一味違う。
ちんはちんでも、「この戦闘の間だけ男子化しちゃう薬」を飲んでまさしく男子化しちゃったちんなのだった! ビバ男子! ビバ細マッチョ!
「おーっ! これが男子ー! テンション上がるわ〜! じゃなかった、テンション上がるぜー!」
なんつってテンション上がってる鈴音ちんの後ろでチチ(ドラゴ○ボールの登場人物風の発音で)の喪失にむせびなく新崎 ふゆみ(
ja8965)ちん。
「は、はうぁあ?! ふ、ふゆみの自慢のDカップがどっかいっちゃったんだよぉぉぉぉぉーっっっ・゜・(ノД`)・゜・。」
ふゆみショーーック!!!
みたいな状態で顔を覆い、いやんいやんて体をくねくね。
してるのがいつものふゆみちんならとっても微笑ましくも可愛い状態だったのだけれど、なんせ今それやってんの、男子化したふゆみちんですから。
でも着てるの思いっきり女子制服ですから。乙女のポリシーなんだよ☆ らしいですから。細マッチョですから。もしかしたらちょっとダーリン、ではなくてそのお兄さんに似てるかも知れないですから。
「うっうっ……ふゆみは……ふゆみはこんなまな板なおっぱおは嫌なんだよーーーっっ☆!! 走る度に程良く揺れるあの胸のふくらみで、あれ? もしかして意外と巨乳キャラ? の枠を欲しいままにしてたんだよ〜っ☆★ なのにこんなツルペタになっちゃったらダーリンに申し訳ないよ〜! ふゆみのおっぱお返せ〜おっぱお〜Dカップおっぱお〜☆★」
静かな森の中にこだまする、野太いおっぱお連呼の雄叫び。
「うんふゆみさん、その状態でおっぱお連呼すんのはちょ、ちょっとビジュアル的になんか……うんやめま、うんやめましょうか」
「そォォォんーなふゆみにどーーーん!!!」
とかやってたら、いきなり木の上からズバサアアアアアッ!!!! とか何か得体の知れない物が落ちて来て、ふゆみの頸椎あたりに激突!
かと思いきや、するっと巻き付き、こ〜んし〜んの〜ヘェエエッドローーック!!
あばばばばばばば。
「ちょ落ちる! 落ちるから!! ふゆみさん落ちるから!!! やめたげて! 漫画みたいに目に☆飛ばしてるからやめたげて!!」
「なはははは! ごめんなのだー! ちょっとテンション上がりすぎちゃったのだー!」
「いやテンションて」
「笑ってるよ……」
どうしようこのサル見た目によらず意外と危険だったわ的な、ペットショップの動物達に怯える客みたいな距離感を保ちながら、全身ではしゃいでいる焔・楓(
ja7214)をちょっと見つめる二人。
「っていうか楓さんはまだ薬飲んでないの。あんなに面白そうな薬に興味津々だったのに……」
「ん? お薬? それならもう飲んだのだ♪ 面白そうな薬だから最初にさっそく飲んだのだ〜♪」
「そのわりに見た目一切変わってない?!」
「そうなのだ〜。あんまり変わらなくて面白くないなあって。でも、さっきズボンの中を見たら面白いものがついてたのだ〜!! あんなの始めて見たよ〜!! 変な形してて面白いのだ〜!! みんなも見るのだ〜!!」
「ちょ、見せなくていい!! 見せなくていいから! ズボン下ろさなくていいから!」
「みゃっ、な、何で二人してそんな必死に止めるのだー?!」
そうして男子化した三人が妙に暑苦しくクネクネしている所に。
「た、タタタタ、タコが出ましたぁぁぁぁ!!」
天然物の男子(しかもBU画像だけで既に何らかの性的な何かを取り締まる法律に抵触しているのではないか、と思われるくらいかわういショタッッの)ロシールロンドニス(
jb3172)の素っ頓狂な叫び声が!
慌てて駆けつけた三人が見たものは。
「ひ、ひぃぃぃぃ!! た、タコの足がぁ!」
今突進してきたらこいつどうなっても知らねぇぞォーい! 白紙だしやりたい放題やってやるぜーい! みたいな風情で、8本の足で捉え突き出されている二人目の天然物の男子如月 統真(
ja7484)の姿だった。
まるで良く見る、なんかアレな画像みたいなポーズだった。具体的には、両手両足開いたはりつけ系パターンだった。
「ぐぬ、ひ、ひわいな! あ、間違えた。卑怯な!!」
「今、知ってて間違えましたね、鈴音さん……」
「とにかくなんとかして彼を助けないと……このままじゃ彼のアイディンティティは白紙によって消滅してしまう!!」
「白紙だったばかりにのっけからあんな格好にィィィィ統真さあああん☆★」
「いやその理屈、お、おかしいよねええええ!!!」
「大丈夫だ統真!! 骨はあたしがしっかり拾ってやるのだ〜〜!!」
そびえたつ木々の上へと全力跳躍でびよぉぉぉぉんと着地し、タコを飛び越え背後をとりつつ叫ぶ楓ちん。
「勝手に殺すなああああぁぁあぁ!!」
全力で叫びつつも、タコにワッショイされていく統真くん。
「大丈夫! いくら性転換しているとはいえ女性の方を餌食にはさせません! ここは唯一残った僕が……!」
機械剣S-01を構え、楓ちんに続けとばかりに突進していくロシール。
これから彼を待ち受けるのは、一体どんな試練か! もしくは魅惑のMシズムかロドリゲスかっ!
「ふゆみもかっ飛ばして行っちゃうんだよォォ〜〜☆★」
そして近接戦のエキスパート阿修羅のふゆみさんも、ここは自慢のプロスボレーシールド片手に敵に果敢に突進。
仲間の前に立ちはだかり、積極的にしっかりガードの近接戦法だ!
ピンク系のビーズやラメでデコりまくり彼の写真貼りつけまくりの(乙女の必須アイテム☆)プロスボレーシールドの運命や如何に?! そしてどっからどう見ても少女趣味なオネエ系男子中学生にしか見えない彼女自身の運命は!?
なんつって。
皆が戦線に打ってて出ているその頃。
浪風 威鈴(
ja8371)は、投網を両手で握りしめた格好で微かなそよ風に吹かれながら、ぼーっとそんな皆の様子を眺めていた。
「で、あの〜すいません。そろそろ皆突進して行ってる感じなんですけど、まだ動かない感じですか大丈夫ですか」
思わず心配して声をかけてあげる鈴音ちん。
威鈴はぼーっとした表情のままゆっくりと鈴音を振り返ると。
「タコ……って森……にいない……はずよね……?」
なんて物凄く今更な事を言った。
そして、ゴシックパンクバンドの中のセクシーなギターのイケメン。あたりのポジション的外見で、またぼんやりとタコを見つめ。
「タコ……食べたい……」
なんて、また返答に困るような事を呟いた。
「えーっとォ……」
が、ぽわーんとした「この子大丈夫だろうか」キャラもそこで終了。
アサルトライフルMk13をセットアップしたかと思うと、突然「タコ……絶対に……絶対に食ってやるゥゥゥ!!!」なんて殺伐キャラに豹変し、敵目掛け突進して行ったのだった。
●そして全裸の火蓋は切って落とされた!
「ちょっと気持ち悪いけどこれくらいなら問題ないのだ♪ どっかーんと倒してしまうんだぞ〜い♪」
楓が触腕に掴まれあられもない格好になりながらも、やけくそ気味に暴れている。
8本のうねうね足に、にゅるんにゅるん体中這いまわられたり、べたべた粘液にべたべたやられ、その体は早くもぬっめぬめとぅるんとぅるんの全r……いや。生まれたての雄の仔馬みたいになっていた。なんか色的にも。その完全に闘気解放状態のかわうィらしーぷるりんとした……えーキングスバッジ的にも。
とはいえ恥じらいという概念を理解すら出来ていない楓ちん。
ここはむしろ、「服がなくなって動きが良くなったのだ〜!!」なんて満面の笑顔で叫びながら、思いっきりアクロバティックな体制で(何だったらお尻丸出しで)自らの手を掴んでいる触腕にかぶりつき、引きちぎり、ご自慢のトンファーを振りかぶる。
「必殺のぉぉぉぉ……トンファーキッぃぃぃぃぃクなのだー!!!!!」
両足はタコの触腕に支えられてM字開脚状態という、何かの曲芸とかですか、みたいな体制で、敵の後頭部を思いっきりどーん。自慢のトンファーでドーン!!
すると、どつかれたタコの後頭部がめにょんってへこんで、口から粘液がクロード・アシル・ドビュッシー。
それが楓を助けようと今まさに機械剣を振りかぶり、「ていやああああ」とか叫んで突進して来ていたロシールの顔にドビュッシー。
「あぶっ、あっ、げ、げほっ……げほっ……な、何これ……に、苦いよォ……ゥッ」
ドビュッシーがそりゃあもうあんまりなドビュッシーだったもんで、思わずその場に膝を突き、顔を拭い出すロシール。
青臭いタコの粘液を口から吐き出し涙目で拭うその様は、確実にソッチ系の検索でヒットするレベルの光景だったけれど、もちろんこれは真摯な戦いのワンシーンであったし、実際これはただのタコディアボロの攻撃なのである。
「ひやぁあうう!!」
なんて筆者が渾身のフォローしたげたにも関わらず、ロシールって人は全速力でMシズム街道をひた走る。
隙あり! とばかいりに忍び寄ってきた触腕にたちまち足首を取られ、彼方上空へと真っ逆さまに逆さずり。
「や……あ……っ……吸盤がはりついてくるゥ……だ、ダメぇっ……」
こっちから、あっちから、ぬるぬると服の隙間から入り込んでくる触腕。あるいは、ぺちぺちと服を溶かしにかかる触腕。右の足首をとり、引っ張ってくる触腕。
「って駄目でしょーーその体制ダメでしょーー!! 服が解けるまではギリOKでも、触腕でアレコレ検閲削除対象になるでしょォォォ!!」
こっちはこっちでもう大変な状態になりつつ、絶叫する鈴音ちん。
何でもいいけどタコとの距離感が、全然ダアトじゃなかった。
何だったら捕まっていた。もう一匹のタコディアボロにあられもない格好でワッショイされていた。
一緒に対応していた阿修羅のふゆみちんも真っ青の接近っぷりである。
「あっ。わ、私の雷帝霊符が!!!」
可愛い顔してこんな物騒なモン振り回したらアカンでぇ〜〜ぐへへへ。
みたいな勢いで雷帝霊符を奪い取りワッショイしていくタコの足。
「ちょ、ちょちょちょ!! 男だからって下半身はだ、ダメでしょォォォ!! ダメだったらぁぁぁ!」
「あばばばばば!! 鈴音さああああん☆ 明らか無茶なのに果敢に突っ込んでくからそういうことに〜〜〜〜(´;ω;`)」
デコり仕様のプロスボレーシールドでタコとの攻防を続けつつ叫ぶふゆみちん。
もちろん、その体も最早、ほぼ全裸だった。
いや、全裸というのは正しくない。
イエローレースの、細かい花の刺繍が散りばめられた、うっきうき勝負下着姿だった。バルバトスボウがクラッシュしかけていた。変態だった。
「だってお気にのセットじゃないと依頼がんばれないんだもォォォんっ☆ で、でもなんか……なんか……はみ出そうになってるんだよぉぉぉ。戦い難いんだよォォふゆみのだーりんにもこんなんついてるかと思うとちょっとうわぁなんだよッォォォォ(´;ω;`)」
だーりん兄にやや似の顔でそんな事を絶叫するふゆみちん。
「とにかく鈴音さん助けないとなんだよ! もう……ダアトなのに突っ込んじゃ駄目ですよーー☆」
「だってちまちま遠くの方から打ったって絵的においしくないですから! むしろ描写すらされない可能性すらありますから! 自分撃退士ですから!! 全力でコメディ依頼に挑んだ眉毛力半端ない撃退士ですから〜〜!! って煩いわ!! 何言わせてんのよ!!!! 眉毛関係ないし!!」
「ぬおおおお闘気解放おおおお☆★」
っていう間にも渾身の力を解放し、バルバトスボウも解放し、掌底を発動するふゆみちん。
自慢のプロスボレーシールドをタコの側面に思いっきりぶつけた。
めにょん。
ってそこがへっ込んだかと思うと、ぶしゃあああって漫画みたいに吹き出てくるタコ汁。
「ぎゃああああ!! ダーリンの凛々しいお顔がタコ汁まみれにいいいいいい・゜・(ノД`)・゜・。」
「ありがとう助かったわ!! こうなったらもう手っ取り早く丸焼きにしてやるわよ……じゃない、してやるぜ!」
しゅぱっと降り立ち構える鈴音ちん。
凛々しいレラージュボウすらすっかりパージしちゃった彼女に、最早恐れるべきものは何もない!
「コメディ依頼では全力で自分を解き放つんだぜぇぇぇ!!」
仁王立ちの格好で六道呪炎煉獄を発動すると、紅蓮の炎と漆黒の炎のミックスファイアーをタコに叩きこんだ!
燃え上がる炎!
「やん、あ、熱い……熱いよォ……」
っていう横で、まだタコにワッショイされているロシール。
じわじわと焦らされるように続く長すぎる前g……じゃなかったえー、攻撃に、すっかり全身はまっぱタコ汁まみれ。
「で、でも……っ大丈夫! 僕の準備は……万端だか……らひんっ!!」
なんつって頬を上気させながら、呻くロシール。一体何がどう大丈夫なのか、むしろ既に蔵倫に抵触してるんじゃないのか、と問題の部分を見てみれば、そこにはしっかりと機械剣をガードするスクールアミュレットが!
武器は溶けませんからとか言って護符でガードとはさすが……さすが大規模でその幼い純潔を散らし、その歳で既に痔に悩んでるとかいないとかいう逸話のあるショタボーイである。いややられる気満開すぎますやんか。
ただ、いくらガードしてるといってもロドリゲス。アミュレットから若干ぺろりんちょした機械剣がえすわん状態なのである。むしろタコの攻撃により機械剣がえすわんしちゃってぺろりんちょでもう大変。
っていう見た目は違う意味で完全に犯罪臭かったけど、きっと大丈夫だ。彼は天使で人間じゃないし、実年齢も分からないし、法的にはきっとセーフ……と思いませんか?
「思うかコルラアアアア!!!」
ずばばばばば。
そこへ飛び込んできたすっかり豹変モードの威鈴が、凄まじい勢いでアサルトライフルの弾丸を放って行く。
それがタコ足にみごと命中!
「あ……ふんっ」
ボト、と地面に落とされ、気だるげな呻き声を上げるロシール。
の上空をぶわあああさー、と飛んでいく威鈴の投網。
弾丸しこたまぶち込まれ、くたったタコもろとも、捕獲された。
●こうして撃退士達のぶっ飛んだガッツ諸々により、今日もタコディアボロは無事、討伐されたのだった。
「僕……着替え……忘れちゃいました……」
その後、木の葉を体中に張り付けた謎の物体が、上空を飛んでいく姿が目撃されたが、それがロシールだということを知るものは多くない。
おしまい☆