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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/04/21


みんなの思い出



オープニング




 サカキは、図画工作の時間、先生にこっぴどく叱られた。
 画用紙には、ダイナミックな筆致で描かれた、ドラゴンと奇妙な生命体。

「おとうさんとおかあさんの似顔絵を書きなさい、って言ったでしょ?」

 先生はサカキの顔を覗き込む。
 サカキは頷いた。

「だから、これがパパで、これがママで‥‥」

 もう一度、サカキは指をさす。ドラゴンがママ、奇怪な生物がパパだと言って聞かない。
 先生はため息をついた。





 サカキは7歳の男子小学生だ。
 両親は働いているので、鍵っ子で、マンションに帰るとすぐにこどもスマホを取り出して遊ぶ。
 ママとはアプリのカードバトルゲーム、パパとは脱出ゲームを一緒に遊んでいる。

 仕事が終わって、パパとママが帰ってくる。
 ママはスーパーの袋からお惣菜を取り出して、3人とも、スマホから目を離さずに食事をする。
 食後もスマホ。お風呂はスイッチ一つで沸くから、さっと済ませてまたスマホ。寝るまでスマホ。
 朝はスマホのタイマーで起きて、ひと勝負してから、朝ごはん。
 学校に行く時も歩きスマホ。

 こどもスマホだから、アプリに課金はできないし、大丈夫、とママは言っていた。
 今時、こどもスマホすら持っていない子供の方が少ないわよね、とも。


 サカキは歩きスマホをしていて、通学路から少し外れたところにある公園に気がついた。
 スーツを着て、いつもどおりの時間に出て行ったパパが、その公園にいる。
 地図の位置情報が、パパの居場所を教えてくれている。

(パパは会社、お休みなのかな?)

 するとサカキのスマホに、ファミリーメールが届いた。

『すぐママに伝えて助けを呼んでくれ。化物だ』

 化物。パパと一緒にやっている脱出ゲームにも、いっぱい出てくる。あんなのかな?
 でも何だか嫌な気持ちがする。

 サカキはママのスマホに電話をかけた。

 出ない。
 出ない。
 出ない。

『パパが助けてって言ってたよ』
 仕方なく、ファミリーメールを送る。さて、急がないと、学校に遅刻しちゃうよ。





 パパ――ハルオは、昨日づけでリストラされたことを、妻に言えなかった。
 言おうと思ったのだが、スマホに夢中な背中に声をかけづらかった。

 だからスーツで出勤するふりをして、人気のない公園で、一日時間を潰そうと思っていた。
 目の前に、化物が現れるまでは。

 翼を羽ばたかせて、柩を背負った男が降りてくる。
 その横に、ぬうっと現れたのは、棍棒を持った鬼のような化物。

 恐怖で悲鳴もでなかった。震える指で、サカキにメールを打つのが精一杯だった。
 メールを送信したと思った瞬間、頭部に重い打撃を受け、ハルオは気を失った。





 気がついたら、ハルオは狭い場所に閉じ込められていた。頭部にズキズキと痛みが残っている。
 見回すと、他にも人の気配がある。暗くてよくわからないが、鉄格子で隔離された部屋だった。
 鉄格子の向こうには、ハルオの頭を殴った鬼と、ハルオを運んだと考えられる柩男、そしてもうひとり、巨漢が立っていた。

 鬼と柩男は去っていき、巨漢だけが残った。
 ハルオは脱出ゲームを思い出した。
 巨漢に気づかれないように、鉄格子の鍵の部分を探る。

 普通の鍵ではなかった。
 3×3のマスに、24本のピンが刺さっている。
 よく見えない。手も十分には届かない。内側からは解除できなさそうだ。

 スマホが急に点灯し、びりりりとバイブした。ファミリーメールが来たのだ。

『会議で遅くなったわ。あなた今、何で港湾倉庫なんかにいるの? トモエ』

 妻からのメールだった。ハルオは輝く画面を巨漢から隠しながら、再び、メールで助けを求めた。


リプレイ本文




「オキシドールを最低1L、だって?」
 緊急の依頼要請を受けた斡旋所の所長は、翡翠 龍斗(ja7594)の言葉に目を丸くした。

「ああ。オキシドール‥‥またの名を、過酸化水素。こいつは、消毒薬でもあり、酸素を作り出せるものでもある。100mlからだいたい、1Lの酸素が取れる計算だ」

「分解させる触媒があればだな」

「俺の血を使う。人間の赤血球には過酸化水素の分解反応を触媒するカタラーゼが含まれているはずだ」

 所長はやれやれと首を振った。

「大根や人参、ごぼうをおろし金ですったものの方が早くないかねえ。あれにもカタラーゼは含まれているはずだが?」

 まあいい、と所長は龍斗のリュックに、1Lのオキシドール瓶と、大きなゴミ袋を突っ込んだ。


「それにしても、あっさりした通報ですね。何というか、焦りが感じられません」

 木嶋香里(jb7748)が、依頼人であるトモエの話をまとめたファイルをめくった。


「要救助者のハルオさんは、現実に攫われているのに、『スマホアプリの脱出ゲームが得意だから、そんなに心配いらないと思う』って‥‥現実はスマホとは違うんですよ」

 夜桜 奏音(jc0588)がもどかしげに言って、着ている巫女服をぎゅっと握り締めた。


「何が起きるかわからねーからな、手早くいこうぜ」

 ラファル A ユーティライネン(jb4620)が面倒くさそうに言った。
 正直、要救助者がスマホ中毒だろうが、依頼人の奥さんがスマホ三昧だろうが、そのガキが以下略だろうが、まあ、とにかくそんなことは彼女には関係ない。
 ラファルの仕事は、天魔共を叩き潰して、その心を折る事だと考えていた。

「殺さなくていいと言うなら好都合さ。是非とも殺してくださいと言わせてやるぜ」

 にやりと唇の端があがった。





 リュックを背負い、普段通りに目を閉じ、油断たっぷりに歩きスマホをして、柩男と鬼を誘い出す龍斗。
 仲間は事件現場の港湾倉庫を張っている。


 程なくして鬼が現れ、龍斗を殴って気絶させた。
 いや、一般人なら気絶するレベルの攻撃だろうが、撃退士にとってはなんということはない。
 だが龍斗は「うっ」と気を失ったフリをした。ダミーのスマホを取り落とす。
 柩男が背中の柩に龍斗を収め、飛び立つ。

 どこか――恐らく港湾倉庫へ運ばれていくのがわかった。

 柩から解放されたと思うと、どんと背中を押されて、檻の中に押し込まれる。
 がしゃん、と背中で檻の扉が閉められる音がする。
 柩男は、檻の鍵の仕掛けをごそごそして、扉が開かないようにする。

 モーニングスターをぶら下げた巨漢が、縦と横の列のピンが、合計9になっていることを、指を折って確認しているようだ。ゆさゆさと檻の戸を揺らし、確実に鍵がかかったことを確認する。

 龍斗がアップグルントゴーグルで窺うと、暗い倉庫内は正面が全面シャッターになっており、その開閉装置が、シャッターのすぐ横に設置されている。従業員通用口は開閉装置のすぐそばだ。
 柩男と鬼は、正面のシャッターを透過して出て行った。

「何か、ピンのようなものが複数刺さった仕掛けが、檻の鍵の役割をしているようだ」
 ハンズフリーのスマホで仲間に連絡する龍斗。巨漢の行動も併せて伝える。

 内部の状況と、柩男と鬼が透過で出て行ったことを連絡し終えると、酸欠でぐったりした人々をなるべく集め、オキシドールで酸素生成を始めようとした。

 リュックを開けると、所長から「貧血になるなよ」とのメモつきで、大根、人参、ごぼう、おろし金までひとそろい入っていた。





「透過ですか‥‥」

 鷹司 律(jb0791)は物陰に隠れ、唇を噛んだ。

 ハイドアンドシークで身を潜め、ナイトビジョンで視界確保。
 サイレントウォークで自身の音を消し、スナイパーヘッドセットで音を収集。
 そして、柩男を途中から捕捉し、港湾倉庫の2番倉庫まで、尾行した。

 そこまではよかった。

 阻霊符を使えば、透過は妨害できるが、使用者の気配も悟られてしまう。
 龍斗からの報告と、アサニエル(jb5431)の<生命探知>で、中にかなり多くの人質がいると分かった現在、判断に迷う局面だった。

「あたしが<物質透過>で通用口のロックを開けたほうが良さそうかい?」

 アサニエルは周囲を警戒しながら、律のもとへ進み出て、慎重に内側から通用口の鍵を外した。
「助かります」
 律はそっと通用口から内部に侵入した。


 倉庫内は、暗く、澱んだ重い空気が立ち込めている。
 明かりは裸電球が幾つか点いているだけ。
 巨漢の汗臭く息苦しい匂いも相まって、息をするのも苦痛なくらいだ。

 空気を入れ替えなければ。
 そう思った律は、正面口のシャッターの開閉スイッチを押した。

 がらがらと音を立てて、シャッターが巻き上がり、外の光が、新鮮な空気が、倉庫内に流れ込んでいく。

 何が起きたのか把握できないのか、不思議そうに目を細める巨漢。


 雫(ja1894)が走り込み、檻と巨漢の間に立ちふさがって、<ウェポンバッシュ>で巨漢をずるずると日光の下へ後退させた。

「暫くの間、私の相手をして貰いましょうか」

 全長180cmもある両刃の大剣、太陽剣ガラティンを掲げながら、雫は巨漢を睨んだ。

 同時に、巨漢と檻の間に<瞬間移動>したラファルが、<トラクタービーム砲「ハイメガマウス」励起>で巨漢を更に吹き飛ばし、『麻痺』を与える。

「取り敢えず檻は守っとくから、あとは任せたぜ。ちゃっちゃと片付けてくれよな」

 そう言ったラファルの目にとまったのは、この倉庫を目指して歩いてくる小学生だった。

「おいあんた、止まりなよ! 近づいたら危ないって!」
 <光の翼>で飛行して、倉庫周辺を哨戒していたアサニエルが、サカキに気づき、いち早く身柄を確保した。





「とにかく、怪我なく人質開放を達成しましょう!」

 ほの明るくなった倉庫内で、香里がピンのパズルに向かう。

「四つ角に挟まれた部分のピンを、各場所2本抜いて1本ずつにし、四つ角に各場所1本刺して、4本ずつにすると条件達成ですね」

 檻の扉が開いた。人質たちの顔がぱっと明るくなる。
「助かるんだ!」という声もちらほらと聞こえてくる。

「まあ待て、皆、落ち着いて俺様の言葉を聞け」

 ラファルは悠然と、巨漢VS雫の戦いを見ていた。
 雫は危なげなく、巨漢の吹く炎を大剣で受けきっている。
 一歩踏み込み、大剣を一閃。よろける巨漢。実力差は傍目に見てもぱっと分かる。

「こんな倉庫にこの人数じゃ、酸欠になっていても仕方がねえよな。お前ら、まだ素早い動きができねーだろ。まずは倉庫内に酸素を十分に取り入れて、回復を待ってから避難に入るぜ」

「気をつけてくださいね、このパズルキー、壊すと檻の天井部分が落ちてくる仕掛けになっているようです」

 香里が、龍斗が酸素を作るために負った怪我を、<ダークフィリア>で治している律にも、注意を呼びかけた。





「サカキ!」

 ハルオと思しき男性が、アサニエルと奏音に保護されている小学生を見て、呻いた。
 父の頭には大きなたんこぶが出来ており、切れた場所から少し出血もしている。


「パパは絶対大丈夫だって。脱出ゲーム上手いんだよ」
 こどもスマホから目を離さずに、サカキはアプリゲームを続けていた。
「パパ、ここにいるんでしょ? 対戦させてよ」

 不意に、日常では聞きなれない音がしていることに、サカキは気づいた。
 目の前で、雫と巨漢が戦っている。

「何これ、ホログラム? 面白そう!」

 目を輝かせ、不用意に近づこうとするサカキを、アサニエルと奏音の2人がかりで止める。

「なんだよ、離してよ。どうせなんかのゲームなんでしょ?」
「ゲームじゃないんです。これは現実です」
「そうだよ。死んだら最後なんだよ」

「死んだら、リセットすればいいじゃん」
「現実にはリセットなんて無いんだよ」
「何で? やばそうだったらセーブしとけばいいじゃん」
「人生にはセーブポイントも無いんですよ」

 サカキは、本気で、現実とゲームの世界が区別できていない様子だった。


 一方、檻の中。
 サカキの名を呼んだ男に、龍斗は確認する。

「お前さんが、依頼主の夫か?」

 トモエから通報を受けて駆けつけたことを龍斗が話すと、「はい、はい」と萎縮したサラリーマンのように、ハルオは頷いた。
 捕まった経緯を聞くと、公園で鬼と柩男に襲われたのだという。龍斗も体験したパターンだ。
 ここに閉じ込められているものは、スマホの所有の有無はさておき、不意をつかれて攫われたものが大半のようだった。

 ハルオの家の事情を聴くうちに、龍斗の眉根が寄っていく。

「スマホ依存症の一家とは情けないな‥‥下手をすると、子供はゲームと現実の区別がつかなくなる。もしかしたら、手遅れかもな。人を殺しても、怪我をしても、リセットすれば、全ては元通り‥‥既にそう信じているかもしれん」

 龍斗自身も妻のいる身だ。いずれ自分の子供を抱く日も来るかも知れない。
 そんなことをつと思いながら、ハルオに言って聞かせた。

「全てをリセットできるなら、理想の世界ではあるが、そんな世界は現実にはない。失った時は、二度と帰ってこないんだ」

「わかっています。私は職を失った‥‥リセットできれば、どんなに良いかしれません」
 泣きそうな顔でハルオはうなだれていた。

「いや、お前さんがわかっているかどうかが問題ではないんだ。俺は息子のサカキくんを心配している。相手は小学生だぞ。こどもスマホとはいえ、際限なく使わせていいものか、よく考えろ」





 ずずん、と大きな音を立てて、巨漢は倒れ伏した。
 肩で息をしながら、それでも軽傷しか負うこともなく、雫は巨漢の背中を踏みつけた。

 白銀の大剣、太陽剣ガラティンを掲げ、「よく見なさい」と雫はサカキに言った。
 そして、サカキの目の前で、大剣を振りおろし、巨漢にトドメを刺す。
 毒々しい色の血が噴き出して、地面を汚らしく染めていく。
 鉄錆のような匂いが立ち込めた。

「目を逸らさないで。良く見なさい。現実にはリセットもセーブもロードも無いんです。命というものは、何かの拍子で壊れてしまったら、元に戻せない脆いものなんです。だからこそ、掛け替えの無いものなんです」

 きつい口調で雫は言った。

「え‥‥嘘、これマジなの?」
 サカキは動揺していた。
「何これ、血みたいのいっぱい出てるじゃん‥‥臭いし‥‥嘘だ、嘘だよね?」

「嘘じゃないんだ、サカキ」
 ラファルが順番に人質を解放していく中、律に肩を借り、ハルオがサカキに歩み寄った。

「おじさん誰だっけ?」

 大きなたんこぶと、額に流れる血、ぐしゃぐしゃに乱れた髪で、もう父親の顔ですら判別がつかなくなるらしい。
 ハルオはサカキに自分のスマホのアバターを見せた。
「あ、パパだ!」
 やっと認識される。


「スマホは便利ですが、ゲームのアバターを見ないと、親すら認識できないのですか」

 奏音はため息をついた。

「サカキ君が、この世界をゲームのように思っているのも、家族の間でちゃんとした交流、ふれあいや会話がないのも原因の1つだと思います。今後はもっと会話をしてあげてください」


「早いとこ避難するぜ。柩男と鬼が戻ってきちまってからじゃ、面倒だからな」

 ま、そんときゃ俺様が身を挺して守り抜いてやるけどな、とラファルは付け加えた。
 ついでに、柩男と鬼に、お願いだから殺してくださいと頭を下げさせるくらい、ひどい攻撃を叩き込んでやるぜ、とほくそ笑んでいる。

 要救助者たちも、新鮮な空気の入れ替えでしゃっきりし、光の元に戻れたこと、救助が来たことで、怪我はしているものの、すっかり元気を取り戻していた。
 龍斗と律は、動けないものがいないことを確認し、少人数ずつ倉庫の檻から脱出する。


「依頼人と斡旋所に連絡しておかないとね」
 アサニエルはスマホで通話を始めた。
 斡旋所には、要救助者の正確な人数を伝え、至急運搬用マイクロバスの手配を頼む。
 依頼人には家族との立会いを要求した。





 マイクロバスは、近くの病院へ向かった。

 鬼によって打撲傷を受けたものが殆どだったため、皆、揃って手当を受けた。
 しかし、ハルオの傷の手当だけは、看護師さんではなく、家族であるトモエとサカキにやらせることにした。

「まずは顔を見て抱きしめてあげてくださいね」

 香里は、無事に助かったことを家族に直接伝えるよう促し、お互いに感じたことを話し合える様にお手伝いをしようとした。

「サカキ君に、世界はゲームでないと理解させ、家族にもっとコミュニケーションを取らせるには、どうしたらいいかしら?」
「私は肌と肌のふれあいが絆になっていくと思います」

 奏音の言葉に、香里は笑顔で答えた。

 サカキは父の傷を間近に見て、血を拭う手伝いをして、脱脂綿で消毒液を塗る作業を手伝った。
 トモエが傷口にガーゼを押しあて、あとは看護師さんが手際よく包帯でガーゼを固定する。
 たんこぶは内出血が止まるまで冷却するらしい。

「アプリなら、やくそうボタン押せば治るのに。パパは何ですぐに治らないの?」
「アプリじゃないからよ」

 トモエの言葉に、「そうですよ。これが現実なんです」と香里が付け加えた。

「あの、倒れたおじさんは死んだの? おねーちゃんが殺したの?」

 サカキに問われて、雫は冷たい態度で「そうですが?」と答えた。
「あのおじさんがパパを痛い目に遭わせてた、牢の番人だったの?」

 結局脱出ゲーム気分のままなんですね、と思い、雫はつっけんどんに「それが何か」と流した。
 後から、無意識に自分が、サカキにきつくあたっていると気づき、反省する。

「自分が欲しているものを蔑ろにされて八つ当たり‥‥なんて、未熟ですね、私は‥‥」

 欲しているもの――それは、家族の絆。

「冷静さを取り戻したら、お詫びに行かないといけませんね」





 その後。

 撃退士たちは、新たなる犠牲者を増やさないため、戻ってきた柩男と鬼を待ち伏せて討ちとり、倉庫内の檻は完全に解体し、焼却処分することにした。





「サカキ。明日はパパと動物園に行こう、そうしよう」

 トモエの伝手で再就職も決まり、ハルオはサカキを頻繁に外へ連れ出すようにしていた。

「動物園? そんなアプリあったっけ?」
「いや、生きている動物と実際に触れ合ったり、目でしっかり見るのはスマホでは出来ないからな。ゾウは本当に大きいんだゾウ〜」
「面白くないよ、パパ」

 そう言いながらも、徐々に徐々に、サカキは変わっていった。
 傍目にはこどもスマホ中毒のままだったが、食事の時間はスマホを置くことも覚えた。
 ファミリーメールでの会話も減り、自分の言葉で伝えるようになった。

 そして、何よりも。

 図画工作の時間、両親の代わりにアプリのアバターを描いていた彼は、今では、拙いながらも、人間に見えるような何かを、3人、画用紙に描くようになっていた。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 盾と歩む修羅・翡翠 龍斗(ja7594)
 ペンギン帽子の・ラファル A ユーティライネン(jb4620)
 和風サロン『椿』女将・木嶋香里(jb7748)
重体: −
面白かった!:5人

歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
盾と歩む修羅・
翡翠 龍斗(ja7594)

卒業 男 阿修羅
七福神の加護・
鷹司 律(jb0791)

卒業 男 ナイトウォーカー
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
天に抗する輝き・
アサニエル(jb5431)

大学部5年307組 女 アストラルヴァンガード
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB