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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:6人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2014/12/15


みんなの思い出



オープニング




 街の景色が鮮やかに変わる。

 街路樹にはLEDの電飾が施され、昼夜を問わずイルミネーションが通りを彩っている。
 冷たい風にのって、あちこちのお店からクリスマスソングが流れてくる。
 店を覗けば、クリスマスプレゼントやケーキの見本がショウウインドウに並んでいる。

 夜になると、カップルがイルミネーションの幻想的な夜景を楽しむため、集まってくる。
 そんな季節がやってきた。

 大掃除、クリスマス、お正月。
 イベントが目白押しだ。

「‥‥じゃあ、よろしくお願いしちゃうのですー」
 マリカせんせー(jz0034)は、轟闘吾(jz0016)に、とある任務を託し、無邪気な笑顔で手を振った。
「せんせーは轟さんのこと、信じてますですよー。きっといいものを選んでくれると思うのですー」

 年末が迫って来ると、教師とて忙しい。
 せんせーはパタパタと、職員会議に出て行った。
 途方にくれた闘吾を残して。





 闘吾は困惑していた。
 とりあえず、何をすればいい?
 考える。

「園児たちに夢を、か‥‥」

 呟いて、ため息をつく。

 マリカせんせーの先輩が園長をしているという、島内の幼稚園。
 その幼稚園で、近々、クリスマス会が行われるのだという。
 それまでに、園児たちに、プレゼントを用意しておいて欲しいというのが、せんせーから託された仕事だった。

「俺に園児の気持ちがわかるか!」

 新聞の折り込みチラシを、ばしんと机に叩きつける。
 しかし、何となく断るタイミングを逸し、引き受けてしまった以上、どうにかしなければならない。





 ここは、アリス・シキ(jz0058)のバイト先である、とある斡旋所だ。
 表玄関にはクリスマスリース。
 入口のそばに、クリスマスツリーが飾られ、窓にスノースプレーで雪のマークが描かれている。
 きらきら光るクリスマスガーランドが、応接コーナーの衝立を華やかに彩っている。

 そこに、でん、と闘吾が座っていた。
 自分では何も浮かばないと悟った闘吾は、結局、斡旋所を頼ることにしたのだ。
 すごく簡単な依頼があると聞いて、集まってきた撃退士たちを、帽子のつば越しにじろりと見やる。

「‥‥読め」

 闘吾が出してきたのは、あの折込チラシ(有名玩具店、有名電器店、有名雑貨店などなど)と、園児たちの簡単なデータが書かれたファイルであった。
 ファイルは、マリカせんせーに押し付けられたものだ。

 ファイルを開くと、冒頭に、「アウル適性はあるが、現時点では入学年齢に満たない園児たち」という文章が書かれていた。

「‥‥園児1人につき1品、5000久遠まで、だそうだ。経費と報酬は、園から出る」

 撃退士たちがファイルをめくっていると、闘吾はぼそりと呟いた。

 園児は、男の子が4人。
 元気いっぱいで外遊びが好きな子、お絵かきが好きな子、工作が好きな子、男の娘候補かと思うくらい女の子みたいな可愛いものが好きな子。

 そして、女の子が4人。
 やんちゃでいたずら好きな子、お人形遊びが好きな子、アニメのお姫様に憧れている子、お菓子が大好きな子。

「プレゼントは、手作りでも良いそうですの。ただ、お菓子や食べ物は、日持ちのするもの限定で、とのことですわ」
 お茶を運んできたアリスが、口下手な闘吾のフォローに回る。
「皆様に、園児の皆様が喜ばれるような、素敵なプレゼントを見繕っていただきたいんですのよ。依頼内容は、一応、それだけですわ」

「だが‥‥」
 闘吾が口ごもる。
「園児の夢は、‥‥守りたい」

 つまり、闘吾は。
 そのまま普通にプレゼントを渡してしまうのではなく。
 何らかの手段を用いて、サンタが存在するという夢を見せてやりたい、のだ。

「アイデアは‥‥俺には無いが‥‥現実を知るのは、もっと遅くて良い」

 園児のうちは、まだ撃退士でないうちは、綺麗な夢の中で生きてもいいじゃないか。
 小等部にあがったら、この園児たちからも、戦いに巻き込まれるものが出るのだろうから。

「皆様には、何か良いアイデアはございませんかしら?」
 アリスも同意見のようで、軽く小首をかしげて、皆を見回した。


リプレイ本文




 前日の夜。

 幼稚園の調理場を借りて、ポーシャ=スライリィ(jb9772)は、パーティのための料理を作っていた。
 点喰 縁(ja7176)が、翌日に園児たちに配る予定の、ジンジャークッキーを焼いている横で、ポーシャはターキーに詰め物をしてグリルに放り込み、添えるグレイヴィーソースを作る。
 手作りのケーキは、子供が大好きな、いちごのショートケーキだ。園長先生に聞いて、子供たちに食物アレルギーがないことは、ばっちり確認してある。

 轟闘吾(jz0016)は、ガタイの大きさに似合わない器用さで、クリスマスガーランドをパーティルームに飾り付けていた。既に折り紙などで、園児たちによってある程度の飾り付けはなされている。
 しかし、クリスマスツリーを運び入れ、綺麗に装飾すると、見違えるように部屋が明るくなった。
 LEDの電飾をガーランドやツリーに絡みつける。

「トーゴ、センスあるな」
 ポーシャに褒められて、よそを向き、帽子のつばを下げる闘吾。
「大したことは、していない」
「十分だ。なるほど、脱脂綿を雪に見立ててツリーに絡ませたのか。アイデアだな。ぴかぴかするライトも実に良い」

 雪ノ下・正太郎(ja0343)と常名 和(jb9441)、狭霧 文香(jc0789)は、手分けをして、プレゼントを同じくらいの大きさの箱に入れ、丁寧にラッピングしていた。

  『靴』『筆』『工』『ぬ』『玩具』『人形』『アク』『菓子』

 渡す園児を間違えないように、小さなシールを目印につけていく。

 その頃、黄昏ひりょ(jb3452)は、園には来ずに、恋人と徹夜でサンタ衣装を縫っていた。





 翌朝一番に到着した縁は、パーティに出すサンドウィッチを作り始めた。
 続いてポーシャが、ターキーの出来上がりを確認し、冷やしておいたケーキの仕上げに取り掛かる。

「これがプレゼントですね」
 ひりょはサンタの格好をする前に、ラッピングされたプレゼントを集めた。シールを確かめる。
 例の園児データファイルをもう一度開いて、どの品をどの子にあげるか、顔写真を再確認。
 全部終わったら、背中に背負う白い袋に、慎重に詰めこんだ。

「さて、ポーシャは引っ込むぞ。サンタも準備を始めたほうがいい」
 ポーシャは料理の給仕を縁に託し、パーティルームの裏にある作業部屋にこもった。
 ひりょもそこで衣装に着替える。
「んー、徹夜したから、目の下にクマができちゃっているなあ」
 ぺたぺたと、変装用のコンシーラーを押さえるように塗りこむひりょ。
 サンタ帽子にサンタ服を着込み、準備は万端である。





 園児たちが、親御さんたちに連れられて、登園してきた。
 保育士さんや園長先生と、親御さんが、会話をしているのが聞こえる。

「あー! すげー、ツリーだ!」
 元気いっぱいの男の子が、パーティルームに入り込み、歓声をあげた。
「見てみて、お菓子もいっぱいあるぅ〜!」
 ツリーに飾られているケーキやクッキー、キャンディのオーナメントに見入っているのは、お菓子好きな女の子だ。


 和と文香は、椅子を丸く並べて、「皆さん、よかったらクリスマスバスケットをしましょうよ」と園児たちと保育士の先生を誘った。
「なーに、それ?」
 やんちゃ娘が聞いてくる。
「フルーツバスケットの、クリスマスバージョンだよ」
 和が、動きやすく、汚れてもいい格好で気合を入れている。
「まずグループを決めましょうね。トナカイ組さん、サンタ組さん、くつした組さんにわかれますよ」
 文香が、はしゃぎ回る子供たちをなだめながら、組分けをしていく。

 最初は、和が中央に立った。
「くつした!」
 わっとくつした組の子供たち+保育士の先生が立ち上がる。
 空いた席を取ろうと、慌てふためいている。

「隣の席はだめだからね」
 ルールを知らない子のために、和が念を押した。

「トナカイ!」
 わっと移動。席を取れなかった子が、中央で叫ぶ。
「サン‥‥と見せかけて、くつした!」

「その歳でフェイントを使うとは、なかなかやるな!」
 和がものすごく全力で楽しんでいる。

「わー、負けちゃいました。じゃあわたしが鬼ですね‥‥。‥‥クリスマスバスケット!」
 文香の声に、楽しそうな悲鳴があがり、参加者全員が、次の席を求めて移動する。

 めいっぱい楽しんで、息を切らせている和。文香が微笑んで、「お疲れ様でした」とねぎらう。

「5回負けちまいやした子には、可哀想なんで、俺のジンジャークッキーを進呈しやっせ」
 縁が、一番動きがスローリーだったお人形さん好きな女の子に、ジンジャークッキーをプレゼントした。転んで軽く擦りむいた膝に目が留まる。
「おやおや、少し慌てちまいましたかね。大丈夫、絆創膏を貼っときますよ」
 縁は救急セットで手当した。





「よぉし、次は正義のヒーローがお相手するぜいっ!」
 正太郎が闘吾を園庭にひっぱりだした。「悪の番長役、お願いします」と軽く耳打ち。

「龍転っ!! 我龍転成リュウセイガー見参!」
 光纏とともに、青龍をモチーフにしたヒーロースーツを身に纏う正太郎。

「来い! リュウセイガー!」
 悪の不良番長・トーゴンとして、リュウセイガーの前に立ちはだかる闘吾。
(え、園児の夢のためだ、止むを得ん‥‥)

 園児たちがガラス窓にはりついて園庭に釘付けになっている。
 そんな中、アウルを演出的に纏わせて、リュウセイガーとトーゴンのリアルバトルが繰り広げられる。

「がんばれ、リュウセイガー!」
「かっこいいー!」
「テレビみたい!」

 苦戦の末(演出)トーゴンを打ち倒した(演出)リュウセイガーは、園庭からパーティルームに向かって、ガラス越しにおいでおいでをした。
「リュウセイガーに勇気をくれたお友達に、リュウセイガーからちょっとしたプレゼントだ。空を飛んでみたいと思った子、あったかい格好をして出ておいで!」

「「わーい!」」

 園児たちはコートを着込み、園庭に走り出していく。
 2人ずつ抱っこし、<陰影の翼>で、空中散歩をさせてあげる正太郎。
 勿論、安全面に注意して、ゆっくり上昇し、ゆっくり下降する。

「そういやお2人は、図画工作がお得意なんすよね。俺の実家は指物屋でしてね‥‥」
 なかなか園庭に飛び出せない園児2人に、話題を振る縁。
 ふと、親兄弟たちが修行で作ったものをみて、魔法みたいだと憧れていたことを思い出す。自分は既に、憧れていた家族とは違う道を選んだ筈なのに、その感覚だけがはっきりと回想される。
(この子たちも、いつか魔法の腕を持つようになりやんすかねぇ)





 空中散歩を楽しんだあとは、ハッピークリスマスランチである。
 子供たちは、先生に言われて手洗いうがいをし、順番に部屋に戻ってきた。
 
 パーティールームでは、和と文香、ポーシャ、縁で、テーブルセッティングを済ませていた。
「お腹も空きやしたでしょう。さあさあ、どうぞこちらへ」
 縁が子供たちを座らせ、お食事エプロンをつけて回った。
 ポーシャは子供たちに見つかる前に、そっと調理場に隠れた。
 自分の蒼肌が、子供たちにはまだ刺激が強いだろうと判断したのだ。

 ポーシャの置いたラジカセから、明るく楽しいクリスマスソングが流れてくる。

「これなーに?」
 お絵描き好きの男の子が、初めてターキーを見たのか、フォークでつんつんしている。
「とりにくだよー」
「でもおっきいねー」
 大人が切り分けて、子供たちのお皿に盛り、ソースを添える。
「美味しいけど食べにくいよー」
 口の周りを汚しながら、あぐあぐとターキーにかぶりつく園児たち。


 ラジカセから、しゃんしゃんしゃん、と、鈴の音が流れた。
 正太郎が合図を出す。
 ふわりと<小天使の翼>で、ひりょサンタが登場した。

「わー! サンタさんだー!!!」
 びっくりした声で、和が園児の注意を向けた。

「今、空からふわあって降りてきたよー! ぼく見ちゃった!」
 園児の1人がうなずく。
 皆、食べる手を一斉に止めて、園庭に釘付けになった。

「メリークリスマス! さぁ、プレゼントだよ」
 ひりょサンタは、パーティルームに移動すると、背負った袋から、次々と箱を取り出した。
 園児たちは、食器をひっくり返したり、ご馳走を飛び散らせたりしながら、わっと集まる。

「そこのボクには、はい、この箱を。お嬢ちゃんには、こっちだよ」
 順番に、シールをこっそり確認しながら、プレゼントを配っていくひりょサンタ。
「サンタさんからプレゼントもらえるの待とうな! きっといいものもらえるぞーっ」
 待ちきれない子を、しゃがんで目線を合わせながら、なだめる和。

「わあ! 靴だぁ!」
 最初に飛びついた男の子が、プレゼントを開く。
 早速室内で履いてみて、どん、どんと、その場でジャンプ。
「かっけー! 軽いしふわふわしてる! ありがとうサンタさん!」

「わたしの、お洋服と‥‥なんだっけ」
 フリスビーを思い出せなくて、「とにかく投げるおもちゃ!」と喜ぶおてんば娘。
「お洋服、動きやすそう! これならママに怒られないかな?」

「すげー! 50色の色鉛筆だぁ! 初めて見た!! しかも水に溶けるんだ、すげー!!」
 エプロンと水筆もみつけ、お絵描き大好き君は目を潤ませた。
「おれなんて、工具とか工作キットとか入ってたんだぜー!」
 同梱されていた本をめくって、目をキラキラさせる男の子。

「あたしなんて、お菓子のアクセサリと文房具と、お菓子の本だもんね! 見てみて、これとおんなじお菓子が作れるみたい! すごい! サンタさんてすごい!!」

「わたしのは‥‥お人形の、椅子と、お洋服‥‥可愛い‥‥すごく‥‥」
「ぼくのリュックも可愛いよ。見てみて、ふわもこうさぎさんなんだ!」

「あら、一番あたしのが豪華だわ。キラキラのアクセサリーいっぱいなの! 指輪にネックレスに、ティアラまであるの!」

 子供たちはプレゼントの箱をばりばりと開け、中身を確認すると、一斉に立ち上がった。
「サンタさん、ありがとうございました!!」
「来年もいい子でいます!」
「だからまたプレゼントください!」

 ひりょサンタは苦笑しつつ、でも嬉しそうな子供達の笑顔を見て、つい、ひとりひとりの頭を撫でた。

「わあ、とっても素敵ですね〜っ! 皆さん良かったですね」
 文香が園児たちのプレゼントを褒めた。きゅっと子供たちを順番に抱きしめる。
「大丈夫。来年も再来年も、信じていれば、サンタさんはきっと来ますよ」
(ずっとこの子たちに幸せが降り注ぎますように‥‥)





 その間に、正太郎と闘吾が手分けして、ゴミや、散らかったテーブルを片付けておいた。


「ほいっ、ご注目〜。いよいよケーキのお出ましでさぁ」
 縁がポーシャ特製のいちごショートケーキをホールで持ってきた。
「折角でっし、サンタさんに切り分けていただきやしょうかね」

「え、俺が?」
 ひりょサンタは少し驚いたが、笑顔で引き受けた。

「わたし大きいのー!」
「ぼくもー!」
「いちご乗ってるとこがいいなー!」
「‥‥お人形さん‥‥欲しい‥‥」

「みんな、同じ大きさに切ってくれますよ。いちごもちゃんと1つずつありますからね」
 ケーキに群がる園児たちを、保育士の先生が軽くたしなめる。
 人形好きな子はマジパンで作られたミニサンタに、目を奪われていた。

 滑らかなケーキの表面には、ポーシャが気をきかせて、うっすらとトルテカッターで、8等分の線が引かれている。そこを丁寧に、温めたケーキナイフで切り分けていくひりょサンタ。できるだけ綺麗に切るため、時折ケーキナイフを温め直す。

「あっ」

 折角綺麗に切れたのに、お皿の上で倒れてしまうケーキが幾つかあった。
 直そうとしても、ますます崩れてしまいそうだ。

「ごめんね。不器用なサンタさんで」
 ひりょサンタが謝る。くいくいと、お人形好きな子が、服の裾を引いた。
「そういえば、サンタさん‥‥おひげ、ないの‥‥どうして?」

「俺はまだ、見習いのサンタさんなんだ。だから、ケーキを切りわけるのも、まだまだ上手じゃないんだよ。ごめんね。もっと修行しないとね」
「サンタさんにも修行がいるの?」
 興味津々に聞いてくる子供たち。ひりょサンタは、ニコっと笑って「実はそうなんだよ。俺は新米だから、トナカイのそりにも乗れないんだ」と誤魔化した。

 プレゼントをしまって、手を洗って、再び「いただきます」と園児が声を合わせる。
「おいしー!」
 ショートケーキは大好評で、パーティルームに笑顔があふれる。
 裏の調理場まで、嬉しそうな歓声が聞こえてきた。
 ポーシャは、身を隠しながら、(喜んでもらえて良かった)と胸をなでおろしていた。





 パーティランチが終了すると、お片付けの時間である。
 子供たちは「ごちそうさま」のあと、手を洗い、和に相手をしてもらう。

「さあ、この、タネも仕掛けもないトランプから、1枚だけ引いてごらん? そのカードを当ててあげるよ」
 和は簡単な手品をして、子供たちの注意を引きつけていた。
「あなたが選んだカードは‥‥ハートの3ですね?」
 きりりとした顔で断定すると、「すげー! 当たった!」と子供たちが歓声をあげる。

 その間に、残りの皆で片付けを済ませる。
 調理場のポーシャが洗い物をてきぱきとこなす。それを縁が拭いて、保育士の先生が片付ける。
「いつもは、お皿を下げるところまで、させているんですけれど、今日は特別です」
 先生は片目をつぶった。ポーシャの申し出を尊重してくれたのだ。

「園長先生。これ、プレゼントの代金のお釣りです」
 ひりょサンタはこっそりと先生に茶封筒を手渡していた。
「あとはちゃんと、サンタらしく退場しますので、ご協力おねがいしますね」


「さあ、皆さん、サンタさんとお兄さんお姉さんに、きちんとお礼を言いましょうね」
 園長先生が子供たちを集めて、並ばせた。
「サンタさん、お兄さん、お姉さん、有難うございました」
「「有難うございました!!」」
 園児たちは、ぺこりとお辞儀をする。「こちらこそ」と撃退士たちも、頭を下げた。

「それじゃあ、まだまだプレゼントを配らないといけない子供達がいるから‥‥そろそろ行くね」
 ひりょサンタが、子供たちに手を振って部屋を去り、園庭から<小天使の翼>でふわりと上昇し、飛び去る様子を演出してみせた。
「サンタのお兄ちゃん、頑張ってねーっ!」
 遠くから園児たちの応援する声が聞こえ、ひりょは思わず笑顔になった。

(一緒に徹夜で衣装を作ってくれた恋人にも、お礼も兼ねて、帰りにプレゼントを買っていこうかな)
 心から、感謝の気持ちが湧いてくる。
(ありがとう、君のおかげでうまくいったよ)


 親御さんが園児を迎えに来て、部屋の飾りも外して、掃除も終えて、がらんとした幼稚園内。
「本当に有難うございました。正直、ここまでしていただけるとは、思っていませんでした」
 園長先生が、撃退士一同に深々と頭を下げた。
 先生の輝くような笑顔の上を、嬉し涙がついと流れた。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 気配り名人・ポーシャ=スライリィ(jb9772)
重体: −
面白かった!:5人

蒼き覇者リュウセイガー・
雪ノ下・正太郎(ja0343)

大学部2年1組 男 阿修羅
猫の守り人・
点喰 縁(ja7176)

卒業 男 アストラルヴァンガード
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
応援有難うございました!・
常名 和(jb9441)

大学部2年222組 男 ルインズブレイド
気配り名人・
ポーシャ=スライリィ(jb9772)

大学部7年32組 女 バハムートテイマー
想いよ届け・
狭霧 文香(jc0789)

大学部5年105組 女 ダアト