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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/06/11


みんなの思い出



オープニング




「ごちそーさまでした!」
 マリカせんせー(jz0034)は、ほくほく顔で、その中華料理店を後にした。
 美味しかったです〜、ちょう幸せですー!

 商店街の福引であてた【食べ放題2時間半フリーチケット】のお陰で、せんせーは全種類をたらふく平らげ、今やメインテーブルに置かれたお皿はほぼ空っぽになっていた。

 騒然とする、厨房。
 愕然と空っぽの皿を見回す、支配人。

「さて、まだまだお腹は空いていますし、次はどこで食べましょうか〜?」
 暗黒胃袋の持ち主であるマリカせんせーには、これくらい、おやつに等しい量である。
 次なる外食先を求めて、商店街のレストラン通りを、ウロウロする。

 と。

 バターン!
「きゃー!?」

 誰かにぶつかり、せんせーは大いにすっ転んだ。
 その誰かは、せんせーの財布をすりとり、そして、瞬く間に消え去っていた。

「待ちやがれー!!」

 別の誰かの声がして、せんせーは座り込んだまま、「?」となった。
 気がつくと、頭上で腕を組んだ、料理人らしき格好の、恰幅のいい男が仁王立ちしている。

「さあ、つかまえたぞ、無銭飲食犯! 食べ放題2時間半分、きっちり払ってもらおうか!」
「え? え? え?」

 確かに、2時間半の食べ放題コースを制覇してきたばかりである。
 だが、だがしかし、マリカせんせーには、【フリーチケット】なる神のアイテムがあったはずである。

「あ、あのー、なにか勘違い、してないですー?」
 おずおずと男に問うが、男は容赦なくせんせーを引っ張りあげ、立たせた。

 一生懸命、チケットのことを説明するマリカせんせー。
 トートバックに手をかけて、中を覗き込み、顔が青ざめる。

 【フリーチケット】を入れた、お財布が、ない。

 お財布の中に入っていたのは、食費5000久遠と、チケットと、大事なスタンプカードの類である。
 全部全部、なくなっている!!

「さ、さっきぶつかった人ですー!! あのひと、ドロボーさんだったですー!!」
 マリカせんせーは、すごい勢いでぶつかってきた人のことを思い出し、手を口にあてた。

「言い訳無用! さあ、警察に行くぞ!」
「ま、ま、待ってくださいですー!! 冤罪なのですー!」

 せんせーは男に、ずるずると引っ張られていった。





 一方その頃。

 本物の無銭飲食犯は、ここ数日ねぐらにしているネットカフェの中に、潜んでいた。
 個別に仕切られたスペースで、財布をあけて、中身を確認する。

 5000久遠札、使用済みのフリーチケット、スタンプカードの類。
 以上。

「ちぇ、しけてやんのー」

 せんせーの大事な大事な5000久遠札をポッケにねじこみ、無銭飲食犯は呟いた。
「でもまあ、お腹は満ちたし、追っ手もまけたし、まーいっかぁ‥‥」

 犯人――家出娘ミチルは、ネットカフェの柔らかい椅子にもたれかかり、眠り始めた。
 その隣のスペースで、ミチルの呟きをしっかり聞いていた学園生が居たことに、ミチルは気付かなかった。





「違いますですー」
「いや、この女だ!」

 交番では、マリカせんせーと、コック男の押し問答が続いていた。

「せんせーの、いえ、わたしのお財布は、盗まれてしまったんですー! どかーんってぶつかってきた人がいたんですー! そしたらお財布がなくなったんですー。お財布の中に、ちゃんとチケットをしまったのですー!!」

 涙目でせんせーが無実を訴える。

「マリカせんせーは、久遠ヶ原島でも指折りの大食いだからなあ‥‥無銭飲食の動機がないわけではないけれど‥‥」
 おまわりさんが困った様子で、2人の押し問答を見つめている。
「まあとにかく、調書をとりますんで、奥へ‥‥」
「いやですー! 本当に、本当に本当なんですー! 信じてくださいですー!!」

 交番のそばに、何事かと人が集まってくる。
 せんせーは目に涙をためて、自らの無実を野次馬にも訴えていた。
 野次馬の多くは、学園生である。

「せ、せんせーの冤罪を晴らしてくれたら、いいものをあげるのですー!」

 マリカせんせーは、学園生を目に留めて、精一杯の声で助けを求めた。


リプレイ本文




 ネカフェでシャワーを借りたあと、柔らかな椅子にもたれてウトウトしながら、ミチルは夢を見ていた。


「許さん! 19歳で初恋なんて、早すぎる!!」
 父親の声が耳に響く。
「金輪際、あの本屋には行くな! 近づくな! 店の前をうろつくな! 店員に声をかけるな!!」

 過保護で過干渉の父。母が逝去してから、母の面影を持つミチルのことをやたらと構うようになった。
 職場が家に近いせいか、仕事の合間をぬって、ミチルの行動を見張り続ける父。
 ミチルの携帯GPSを利用し、ご近所さんの噂話もしっかり収集。

 そんなこんなで、ミチルは、近所の書店の若い店員に惹かれていることを、父に知られてしまったのだ。

「信じらんね、子供を監視する親とか、ありえねーだろ」
 可愛い顔で毒づくミチル。
「19で初恋は早い? いつの時代の話だよ。あたしはパパの持ち物じゃない」

 父の目を盗み、携帯を手放し、家を抜け出して、このネカフェに転がり込んだ。
 自分名義の通帳だけはきっちり持ってきた。
 でも、貯金はそう多くない。この数日で、あっという間に生活費に消えた。

 あの書店に近づいたら、パパに見つかる。そう思うと行くに行けない。
 だけど、あの人に会いたい。会って想いを打ち明けたい。
 そういう時に、なんて言えばいいのか、ミチルにはわからない。
 心臓がどきどきして、全身が汗ばんで、顔が赤くなって、こわばって、何も言えなくなるのだ。


 ――目が、覚めた。

 ああ、やだやだ。夢の中でまで、現実を見せられるなんて、何て日だろう。
 気分を変えて、少女漫画でも読もう。

 もしかすると、あの人に――名札の苗字しか知らない想い人の、その心に届くいい言葉が見つかるかもしれない。





 そのネカフェには、袋井 雅人(jb1469)、黄昏ひりょ(jb3452)、グラサージュ・ブリゼ(jb9587)が居合わせていた。


「この少女漫画、まだ続いていたんですねえ」
 雅人が少女漫画の棚を眺めて、続刊に手を伸ばした。白い華奢な手とぶつかる。
「あ、すみません」
 咄嗟に謝って、メガネを直し、まじまじと雅人は女性を見つめた。

「マ、マリカせんせー(jz0034)?」
「え?」
 ミチルは怪訝そうに雅人を見た。


「あ、マリカせんせーも来てらしたんですか」
 ひりょが微笑んで手を振る。
 その脳裏に、水着姿の色っぽいせんせーがぽわんと浮かび、‥‥ひりょは(帰ってこい、俺の理性!)とばかりに、本棚のカドに頭をガンガン打ちつけ始めた。


「ね、私もまだ一度しか来たことないですけど、ほぉら、マンガたーくさん! ジュースは20種類がなんと飲み放題! 疲れたらお昼寝だってできちゃう! シャワーだって借りられるし、ごろごろしたければ畳の部屋も完備! ネカフェ素敵! 素晴らしい! 最高でしょ、ひりょ先ぱ‥‥せんぱ、い‥‥?」
 興奮気味に、ひりょにネカフェの素晴らしさを説いていたグラサージュが、先輩の行動に小首をかしげた。

「ああ、いや、何でもない、何でもないんだ、ははっ」
 ぽりぽりと頭を掻く。ひりょの鼻から、つーと一筋流れる、紅い雫。

 理性、負けかけてます。


「‥‥ひ、人違いじゃないですか? あたしその、教師とかじゃないし‥‥」
 逃げるようにミチルは言うと、1冊の少女漫画を素早く抜き取って、自分の席へ戻っていった。奇しくもそこは雅人の席の隣である。

(あれ? では、さっきのつぶやきの主は‥‥)
 腕を組んで考え込む雅人。ミチルの泣きぼくろが印象に残った。

(別人かあ。そもそも声が違うもんな。そっくりさんって本当に居るんだなあ‥‥)
 ティッシュを鼻に詰め、ひりょは大人しく見送っていた。


(うーん、なーんか挙動不審だけど、ネカフェ通いしてるのを生徒に内緒にしたいのかな? でも、お友達のゆかりちゃん(jb8277)には、こっそりメールしちゃおっと♪)
 ぽちぽちぽち。グラサージュはゆかりにメールを打ち始めた。

『ネカフェに美術教師マリカせんせー登場! いつもとちょっと雰囲気違うけど、せんせーの新しい一面発見しちゃった〜♪』





 その頃、交番前。


「せ‥‥いえ、わたしは食い逃げなんてしませんですー! 信じてくださいですー!」
 まだ、マリカせんせーは、大きな泣き声をあげていた。

 歌音 テンペスト(jb5186)が野次馬の群れを割って、交番前に進み出る。

「かっ歌音さん、せんせーを助けてくださ」
「今なら罪は軽くなりますっ、自白して下さいっ!」

 マリカせんせーは呆然と歌音を見た。

「せんせーはこんなことする人じゃないんです‥‥ほんの出来心なんです‥‥」
 警官に土下座する歌音、明らかに動揺するせんせー。

「ちょ、ままま、待って欲しいのです、せんせーは本当に食い逃げなんて‥‥」
「あたしが頑張って自白させます! だから、だから、おまわりさん、少しだけ時間をくださいっ」
 涙ながらに訴える歌音。
「せんせーの減刑嘆願書も、ほら、ここに!」

 \どーん!/

 100人分の署名が書かれたノートを差し出す歌音。

 ‥‥100人分、ではなかった。
 冊子には、100回、繰り返し繰り返し、歌音の名前と住所が書かれていたのである。
 まるで書き取りの練習のように。


「冤罪は絶対にいけませんの。マリカせんせー、身分証を出してくださいませんか?」
 野次馬の中から、紅華院麗菜(ja1132)が姿を現した。
 せんせーはトートバッグをごそごそして、身分証を取り出す。警官とコックが確かめる。
「学園教師として十分な収入を得てますこと、チケットの件も含めて十分に支払い能力がありますこと、これで証明できますわね?」
 麗菜の言葉に、腕を組んで考える警官とコック。

「収入に関係なく、万引きする人はいるからなぁ‥‥うーん‥‥」

 警官の言葉に、必死に身の潔白を訴えるせんせー。
「もし本当に、わたしがコックさんのお店で食べたのでしたら、代金をお支払いするのは当然ですー!!」
「ということです。きちんと確かめもせず、いきなり交番に連れてきたこと自体、少し乱暴ではないでしょうか?」
 麗菜が、せんせーの言葉にかぶせるように、畳み掛ける。


 そこへ、雅人とデートの待ち合わせのため、ネカフェに向かっていた月乃宮 恋音(jb1221)が、通りがかった。
「‥‥うぅん‥‥えーとぉ‥‥」
 ぽちぽちと恋人にメールを送る恋音。

『マリカ先生が交番で無銭飲食の容疑をかけられている様子』
『待ち合わせ時間に少し遅れる』
『必要なら手を貸して欲しい』

 以上の旨を雅人に送信し、恋音はせんせーと警官、コックに詳しく話を聞いた。


「‥‥うぅん‥‥なるほどぉ‥‥」
 恋音が考え込んだ。

 野次馬の中から、柏葉 小雪(jb9999)が顔を出す。

「私もお話を聞かせていただきました。マリカ先生は、私は授業を受けたことがないので、これが初対面になりますけれど、平然と嘘をつける人のようには見えません。財布を盗まれたというのは、本当なのではないでしょうか?」
 小雪は淡々と、そして冷静に判断した。

「そのお話が本当なら、泥棒の顔は見ましたよね? どんな特徴がありました?」
 ゆかり(jb8277)がせんせーにやさしく問う。

「‥‥マリカ先生は、美術教師ですからぁ‥‥似顔絵が描けるのではないかとぉ‥‥思いますぅ‥‥」
 恋音が文具セットとノートを手渡し、せんせーを促した。
「描きますですっ! せんせー、ハッキリ見たのですっ!!」

 さらさらさら。
 美術実技教師の本領発揮である。

 そして出来上がった似顔絵は‥‥

「「「「自画像?」」」」

「違いますー!!」
 マリカせんせーは、すっごくリアルに描かれた似顔絵を指し示した。
「ほらほら、ここに泣きぼくろがありましたです! せんせーにはないのです! 本当です、しっかり覚えてますですー!!」

 恋音とゆかりが写メをそれぞれ、雅人とグラサージュに送る。

「先生は、お財布を持たずに外出するんですか?」
 その間に、小雪がせんせーの荷物をチェックしていた。
「そんな訳ないじゃないですかー! だから、お財布は盗まれてしまったんですー!」

「そうですね。お財布を持たずに、街に出かける人は、そうそう居ないでしょう」
 麗菜が冷静に判断し、せんせーの弁護に回った。




 
 ゆかりからの返信メールがグラサージュに届いた。

  件名:こんな人ですか?
  添付:似顔絵.jpg
  本文:
  さっきのメールの、マリカせんせー、泣きぼくろありました? もしあったなら捕まえて下さい!
  そいつはパパン三世、食い逃げとスリの犯人です! つまり、せんせーのニセモノです!
  捕まえたらメールを下さい! そして、4番町の交番まで犯人を連れてきて下さい!

 少し遅れて、雅人の携帯にも、恋音からの協力要請メールが入る。

「えっ、マリカせんせーが食い逃げ?」
 トーンを落とした声でぼそぼそと、ひりょがグラサージュに尋ねる。
「‥‥確かにマリカせんせーの食べっぷりは驚嘆するレベルだけど、食い逃げとかはありえないかな」
「そうだよね〜! さすがに食い逃げはないでしょ〜! きっと誰かと間違え‥‥間違え‥‥られた!? あ! さっきの人!」
「うん、泣きぼくろの話といい、どうやら、あのそっくりさんが犯人じゃないかな」

 改めてじっくり写メを眺め、さりげなくミチルの顔を見に行くグラサージュ。

「‥‥あった、泣きぼくろ! 顔も写メの絵にそっくり!」
 こそこそと2人は相談した。
「マリカせんせーの無実を晴らそう。証拠となる画像もあるみたいだし、とりあえず身柄確保しないとね」
 ひりょは<韋駄天>を自分とグラサージュにかけ、店員に出口を封鎖するよう指示した。グラサージュはエレベーターと非常階段も封鎖する。
 続いて、応援を頼みに雅人の席に立ち寄ると、既に雅人は密かに<マーキング>をミチルに命中させていた。

 少女漫画に夢中になっていたミチルを確保するのは、考えていたよりも容易かった。
 雅人に捕まえられ、逃げ出そうとしたミチルだが、逃げ場は何処にもない。肩を落とし、ミチルはマリカせんせーの財布を盗んだことを認めた。





 交番にミチルが到着するまでに、恋音はマリカせんせーが食事をした店の支配人を呼び出していた。 
 面通しをして、確かにせんせーが【フリーチケット】で食事をしたと証言する支配人。
 合流したミチルの荷物から、せんせーの財布が発見され、使用済みの【フリーチケット】も発見される。
 コックは、ミチルとせんせーを見比べ、難しい顔をして腕を組む。

「あたし、最初からせんせーは無実だって信じてました!」
 歌音が堂々と胸を張った。何となくせんせーの視線が肌に刺さる。

 ゆかりが、食事代は立て替えると言ってコックを説得し、示談交渉を始めた。

「どのような事情であれ、自分自身の理由で人に迷惑をかけることは、決して許されることではありませんの」
 麗菜の言葉に、ひりょも頷く。
「うん。どんな理由があるにしろ、やってはいけない事はある、それは確かです。過ちを認めた上で、問題を解決しないといけませんね。俺も協力しますよ」

 2人に促され、ミチルはせんせーに財布を返し、ごめんなさいと謝罪した。
 歌音がミチルに向き直る。

「19歳ともなれば、お父さんに、自立した一人の大人として認めてもらいたいよね。でも自立って『とにかく一人で生きていく』ことじゃないの、『長続きする方法で、他人を頼りながら、生きていく』ことじゃないかな」
 マジ顔で続ける歌音。
「ミチルちゃんは『困ったことを他人に相談できる』? それが出来ないと『自分で全部何とかしなきゃ、犯罪してでも』ってなっちゃうのん。そんな生活、長続きしないよね。好きな人とも一緒にいられなくなるし」
 徐々にミチルの顔が俯いていく。
「ミチルちゃん、まずあたしたちに相談して。その次に相談するのは誰かな? 大好きな人じゃないのかな?」

 歌音の言葉に考えさせられた様子で、素直に事情を説明するミチル。


「‥‥『19歳で初恋は早い』‥‥ですかぁ‥‥?」
 呆然とする恋音(15歳)と雅人(17歳)カップル。
「まだ、告白もしていなかったんですね。頼れる人が誰もいなくて、それでネカフェに‥‥」

「ミチルさんのお父さんは相当、独特なようですね」
 小雪自身も父子家庭だが、そこまで束縛されたことはない。


 示談も無事成立し、皆は近くの公園に場所を移して、ミチルの父を電話で呼び出した。





「娘が本当にご迷惑をおかけしましたッ!」
 ミチルの父は、現れた直後、皆に何度も深々と頭を下げた。そして娘に向き直る。
「全く、犯罪にまで手を染めるなんてッ! パパのどこが不満なんだッ!! どれだけパパが心配して捜し回ったと‥‥ッ!!」
「余計なお世話だし不満だらけだよ! あたしを見張るのも束縛するのも、大概にしてよっ!!」

 思わずゆかりが口を挟む。
「落ち着いて、お父さん。ミチルさんはあなたの宝石じゃ無いんですよ?」
「そうです。とにかく落ち着いて、話し合いましょう」
 小雪も頷く。
 

「うぅん‥‥そのぉ‥‥まだ、おつきあいもされていないのですよねぇ‥‥?」
 恋音は、父親の胸中に、娘に置いて行かれる恐怖があるのでは、と考えていた。
「‥‥ミチルさんが家出するほど追い詰められたことも、そんな彼女が犯罪を犯すようになったのも、育てた親の責任ではないでしょうかぁ‥‥?」

「お父さん。本当に大事なことは何かを良く考えてみて下さい! ミチルさんが幸せになることじゃないんですか?」
 雅人が、がしっと父親の肩を掴む。
「ゆかりさんの言うとおりです、ミチルさんは立派な一個人なんです。お父さんの持ち物でも、宝石でも無いんですよ!」

「19歳ともなれば、立派な大人と言ってもいいと思うぴょん」
 歌音もミチルを援護する。
「人はね、自動的に大人になるんじゃないの、大人として扱われることで、徐々に大人に近づいていくのん。お父さんは、いつまでもミチルちゃんを子供のままにしておきたいのかな?」


 父親は皆の言葉に黙り込んだ。やがて言葉を絞り出す。
「‥‥考えて、みます」

「そうよそうよ。パパが考えを変えてくれるまで、あたし家には帰らないから!」
 ミチルは、皆に向き直った。
「ね、安いアパートか、居候出来る誰かの部屋とか、紹介して? あと、バイト先も紹介してくれると助かるな」


 かくて、家出娘は、もう少しだけ、家出を続けることになったのであった。
 今度は撃退士たちの協力を得て、犯罪に手を染めることなく。
 父がいずれ考えを変えてくれることを信じて。


「でさぁ」
 父親と分かれ、撃退士たちと歩きながら、ミチルは真っ赤になった。
「告白って、その、‥‥どうしたらいいの?」
 恋音&雅人に尋ねる。不意打ちされた2人は、思わず慌てふためいた。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペスト(jb5186)
 そいつはケセランだ!・ゆかり(jb8277)
重体: −
面白かった!:4人

さくらまつり2015実行委員・
紅華院麗菜(ja1132)

高等部2年21組 女 ダアト
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
そいつはケセランだ!・
ゆかり(jb8277)

大学部2年264組 女 阿修羅
『楽園』華茶会・
グラサージュ・ブリゼ(jb9587)

大学部2年6組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
柏葉 小雪(jb9999)

大学部3年138組 女 ディバインナイト