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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/05/26


みんなの思い出



オープニング




「今年も、野掛けに行きたいですの!」
 ほぼ、毎年恒例となった、アリス・シキ(jz0058)の「野掛け(ピクニック)発作」。
 同行者を募るべく、依頼斡旋掲示板にポスターを貼ろうとしたところ、マリカせんせー(jz0034)が通りがかった。

「あらあら、ピクニックのお誘いですー? この季節なら、気持ちよくて、楽しそうなのですー」
「はい。今年は、森林公園に伺おうと思いますの! お弁当を作りまして、皆様とご一緒にいただきますのよ」

 アリスはせんせーに、その森林公園には、テニスコートが完備され、道具の貸出もOKであることを告げた。

「他にも、花壇がいっぱいございまして、噴水まわりにも、お花の時計がございますの!」

 森林公園のパンフレットを見せる。「素敵なところなのですー」とせんせーは頷いた。
「とっても楽しいピクニックになるといいのですー。ところで、ひとつ、せんせーのお願いを聞いてもらっても、構わないですー?」
「? なんでしょうか?」

 小首を傾げたアリスに、せんせーは少し困り顔で続けた。

「実は、ピクニックに誘ってあげて欲しい子がいるのですー。別の学校の子なのですけれど、その、不登校で、誰とも遊ぼうとしない子なのですー」

 その子(小学校5年生、一般人)は、マリカせんせーの恩師の孫にあたるらしい。
 名前は、荻原進(おぎわら・すすむ)。男の子である。

「一緒にピクニックに連れ出してあげられたら、せんせーから特別なものをプレゼントしちゃうのですー」
「特別な、もの??」
「はいっ♪ 何かは、お楽しみなのですー」

 マリカせんせーは微笑み、そして、ちょっと真面目な顔になって、繰り返した。

「進くんを、ぜひぜひ、お願いするのですー」





 アリスは、早速、進少年の家に電話をかけてみた。
 家族の人に話をして、かわってもらう。

「ぼくは忙しいから、ピクニックに行っている時間なんてないよ。学校に行く時間だってないのに」
「えっ、そうなんですの?」

 進少年は、アリスに、次のように畳み掛けた。

「うん、そうさ。だってまず、1年に日曜日が52日あるだろ」
「はい」
「そして、うちの学校では、夏休みが45日、冬休みと春休みが16日あるんだ」
「はあ」
「祝日だって、17日あるしね」
「ええ」
「その上、1日に3回ご飯を食べるじゃないか。1回1時間としたら、1年で1095時間、24で割って、おおよそ45日になるよね」
「はぅ」
「学校の代わりに塾にいってるから、毎日2時間で、730時間。年間約30日だよね」
「‥‥はぁ‥‥」
「お風呂だって毎日1時間入る。年間約15日」
「‥‥えっと‥‥」
「病気にだってなるだろ? 1週間くらいは倒れる可能性があるよね?」
「‥‥あぅ‥‥」
「で、1日8時間寝ると、年間122日だから、これで365日、埋まっちゃうじゃないか」
「‥‥」
「あまりの時間は、トイレとかで、なくなっちゃうよ。ぼくにどうしろっていうのさ?」


 52+45+16+16+17+45+30+15+7+122=365。

 アリスが電卓で何回確かめても、確かに、言われた通り、365日が埋まってしまう。

 しかし、ここで、すごすごと尻尾を巻くわけにはいかない。
 何とかして、進少年をピクニックに連れ出さなければならないのだ。


リプレイ本文




 困り顔のアリス・シキ(jz0058)の話に、皆、はあとため息をついた。

「その計算方法だと、休日の時間って彼って何しているの?」
 思わず龍崎海(ja0565)がつっこむ。
「それに、学校に行っていないのに、学校特有の長期休暇を勘定に入れるのっておかしくないかな?」

「???」
 アリスはよくわかっていないようだった。

「シキさんに言った日数換算には、ダブル・トリプルカウントがあるんですよ」
 美森 仁也(jb2552)がメガネを直しながら、説明した。
「今年度で説明しましょうか?」
「は、はいっ。お願いいたします」

 仁也はさらさらとメモ用紙に計算式を書き始めた。

「夏休み45日、冬休みと春休みが16日。ここには日曜8+2+2、祝日1+2、含まれます。病欠で1週間なら日曜1日含みますよね? よって休み・祝日・日曜・病欠合計は137日。この137日分のご飯・ちゃんと行っているとしたら塾・風呂・睡眠の時間が、ダブルカウントになるんですよ」

「?????」
 明らかにわかっていない。アリスの目がぐるぐると回りだす。

「進君が1日に使用する時間は14時間。年間で5110時間。一年は8760時間ですから、3650時間、日数にして152日、ほぼ3ヶ月強、空いている時間があるという計算になるのですよ」
 黒衣の天使クレメント(jb9842)が、やさしく解説した。

「最初に日曜日を挙げましたけれど、日曜日は長期休みにも含まれているでしょう?」
 仁也が更に、かみくだく。

「‥‥あ!」
 漸くアリスにも理解できたようだ。ぽん、と手を拳でうち、こくこくと頷く。

「進くんは、親が居て、学校にも通えるのに、屁理屈をこねて不登校とは‥‥こてんぱんにしてやりたい気分ですね」
 仁也は心やさしい妻、美森 あやか(jb1451)の顔を見て、自分は厳しく接したほうがいいのだろうかと考え始めていた。

「それがどうも、不登校になる前、結構長くいじめにあっていたらしいよ」
 マリカ先生を通じ、恩師の話を聞いていた海が、再び口を開く。
「体育が苦手だから‥‥とか、でしょうか?」
 クレメントの言葉に、うん、と頷く海。
「すごく成績がよくて、体育が苦手だったんだって。それでクラスの皆に、点取り虫、白豚とかって言われて、執拗にいじめられたみたい。鼻血を流しながら家に帰ってきたこともあるらしいし、夜にひとりで泣いていることも多かったらしいよ。進学校だから余計、皆にライバル視されたんだろうね」

「‥‥」
 エナ(ja3058)が、気の毒そうな表情を浮かべる。

「確か進くんは、チョコが好きなんですのね。私、チョコ菓子を作っていこうと思いますわ」
 紅 貴子(jb9730)が艶っぽい微笑を浮かべた。

「あたしも、美味しいお弁当を作りますの。頑張りましょうね」
 あやかがこくんと頷く。

(女性陣のお弁当には期待しよう‥‥)
 海は見つけた楽しみをこっそり心にしまいこんだ。
 雪之丞(jb9178)が、不思議そうにそんな海を見つめている。

 そして、皆がお弁当の話で盛り上がり始めた横で。
「マリカせんせー(jz0034)の特別なもの‥‥しかもお外で‥‥きゃっ、だ・い・た・ん♪」
 妄想に頬を染めて身をよじる、歌音 テンペスト(jb5186)の姿があった。





 一行は進の家に出向いた。玄関先に彼を呼び出す。
 
「進さん、一日のご予定を知りたいのですけれど」
 クレメントが切り出した。
「一日の予定?」
 クラスメイトには、「白豚」などというあだ名をつけられているようだが、進はそんなにふくよかではない。少し色白なくらいで、どこにでもいそうな普通の子だ。

 進はお馴染みの話をして、皆を煙に巻こうとした。

「一年って365日もあったの? 100日ぐらいと思ってた!」
 歌音が大げさにビックリする。
「そんなに沢山あるなら、一日二日寝なかったり、お風呂も毎日入らなくても大丈夫だね!」

 クレメントが畳み掛けた。
「なるほど、では、食事が合計3時間、塾が2時間、入浴が1時間、睡眠が8時間で計14時間。1日は24時間ですから、10時間ほど時間が空きますね」
 進が返答に詰まる。

 すかさず、あやかが誘った。
「あたしたちと一緒に、ピクニックに行きましょうよ。きっと気持ちが良いですの」
「う‥‥で、でも、その‥‥ぼく、忙しいし‥‥」

「忙しいなら、時間を増やせばいいのよ!」
 歌音が、玄関に飾られていたカレンダーの末尾に、32日目を油性マジックで書き込んだ。
「これで1日浮いたわ! さぁさぁ! さぁ!」
「そんなことしたって、時間は増えないよ。お姉ちゃんバカじゃないの?」
 冷ややかに進は歌音を見る。
「コホン。ともかく、こんな美女だらけ、かつ貧乳からボンキュッボンまでよりどりみどりの、ウハウハな野掛けに行かない手はないわ。虫が苦手でも大丈夫! あたし好きだから!」

「まあまあ。では、空いている10時間のうち、ほんの数時間で構いません、私たちのピクニックにおつきあいいただけますか? お礼は、そうですね‥‥チョコレート菓子各種でいかがでしょう?」
「‥‥えっ、チョコ? くれるの、チョコ? かくしゅってことは、いっぱいあるの? すげー!」
 見事に声をはずませ、目を輝かせて、進は頷いた。

(生意気なところがなければ、十分可愛い子供なのにな‥‥)
 雪之丞は心の中で呟いた。





 ピクニック当日、待ち合わせ場所に集まった皆は、森林公園行きのバスに乗った。
 進の保護者として、マリカせんせーも同行する。

「ねえねえ、チョコはいつ? いつ?」
 ねだられて、あやかがチョコチップクッキーを差し出す。進はしげしげとクッキーを見つめた。
「すげー! これ手作りじゃないの?」
「そうですの」
 微笑むあやか。バスの中で早速包みをあけ、進はクッキーをぽりぽり食べ始めていた。
 

 森林公園前のバス停で降り、ぞろぞろと小道を歩いて、テニスコートのそばの、花時計広場に向かう。
 初夏の日差しが照りつけ、歩くだけでも、結構汗が噴き出してくる。青々とした芝生を渡る風は涼しく、花壇には色とりどりの花があふれている。風が吹くたび、木々がさやさやと葉擦れの音を響かせる。

「ねえ、まだ歩くのー? 暑くて死にそうだよ」
 進が真っ先に音を上げた。
「チョコレートアイスも用意してありますよ。頑張って歩きましょう、もうすぐですから」
 クレメントが保冷箱を指し示して、進を励ました。





 広げたレジャーシートにダイヴし、ぐでんと横たわる進。アウトドア嫌いなのも頷ける貧弱さだ。
 子供なら、もうちょっと元気があっても良さそうなものだが、と、雪之丞が考える。

「せっかく外に出たんですから‥‥楽しみましょうか‥‥♪」
 エナが帽子を押さえて目を細める。

「風が涼しくて気持ちが良いですわね。景色も綺麗。外に出るのも、そんなに悪いものじゃないでしょう?」
 さらりと黒髪をかきあげ、艶然と貴子が微笑して進に話しかける。進は噴水にも、綺麗な景色にも見向きもせず、しんどそうに声をあげた。
「暑いよ、死んじゃうよー。もう疲れた。日陰ってないの?」
 帽子からはみ出した髪が、ぐっしょりと汗で濡れている。見かねてクレメントがアイスをあげた。


 チョコアイスを食べ終えると、進はリュックから携帯ゲーム機を出して、寝転んだままピコピコ遊び始めた。
 さっと仁也が奪い取る。
「何するんだよ、返してよ」
「進少年よ‥‥インドアゲームばかりしていては、気分が塞ぎ、心身ともに良くない。折角ピクニックに来たのだから、楽しく運動して汗を流し、豊かな自然に触れるとしよう。心身ともにリフレッシュするぞ?」
 雪之丞が、進の横に座り、景色を眺めるよう促す。
「おじさんたち、うっさいよ。返してってば!」
 進は仁也に手を伸ばした。

「「おじさん‥‥」」
 雪之丞と仁也が凍りついた。

「‥‥ピクニックが終わったら、返します。それまでは預かっておきますね」
 顔を引きつらせながら、仁也がゲーム機を懐にしまいこんだ。





「スーパー歌音砲、喰らえェェ!!!」
「なんの!」
 歌音と海が、テニスコートを駆け回る。爽快な音を立てて、ボールが青い空に黄色い軌跡を描く。

「皆さんもテニスしましょうですー♪ ダブルスとかしたいですー」
 マリカせんせーが、テニスラケットを持って、レジャーシートに誘いにきた。

「テニス? 興味ないし。服汚すとおかあさんが、やな顔するし」
 レジャーシートに寝そべったまま、進はだるそうに断った。
「じゃあ、他の皆さんでやりましょうですー。進くんは荷物番しててくださいですー」
 あっさりと引き下がるせんせー。


 適当に白組と紅組に分かれ、ダブルス開始。
 審判は、マリカせんせーが担当することになった。
 せんせーの極秘指令で、わざとレジャーシートの進に声が届くように、皆で、目いっぱい楽しくはしゃぎ回る。


 進は、最初は不貞腐れたようにごろごろしていたが、聞こえてくる楽しそうな声に、次第に落ち着かない様子になってきた。
「テニス楽しそうですね‥‥私も混ざりたかったです‥‥」
 荷物番を買って出ていたエナが、出来るだけ自然に独白する。進は更に落ち着かなくなった。

「テニスってそんな面白いの?」
「そうですよ。‥‥でも、進さんは、スポーツお嫌いですよね‥‥?」
 明るく答え、後半で声のトーンを落とすエナ。
「べ、別にぼく、気にしてないし! やりたいとか全っ然思わないし!」

 そこへ、ふらふらと歌音が帰ってきた。
「もうダメ〜、進くん助けてぇー。あたしじゃ勝てないぴょん!」
 子供用デカラケを、さりげなく持ってくる貴子。
「たいへん、白組ピンチよ。進くんが混ざってくれたら、勝ち目はあるけど‥‥」
 チラリ、チラリと流し目を送る。

「ぼくに出来る訳ないじゃん。やったこともないし。勝てるわけないし」
 すげなく答えつつも、やることが何もなく退屈な進。
「ゲームはしたこと無いの?」
「そりゃあるけどさ」
「じゃあ、ルールは完璧ねっ♪ 進くん、バトンタッチ! 紅組をこてんぱんにのしてきてね!」
 歌音はまんまと進の手に、貴子の持ってきたデカラケを握らせた。


 皆が密かに、進を活躍させようとして手を尽くしたお陰で、渋々参加したテニスが、徐々に面白くなってきた。
 進はテニスコートの中でも、その生意気ぶりを発揮していたが、些細なことでも褒められると悪い気はしないようで、お昼を迎える頃には、すっかりテニスにハマっていた。
 軍配は白組にあがり(皆の演技と手加減の賜物)、道具を返却。いよいよお弁当タイムである。





「たまにはこんなのも楽しいでしょっ? あたしは一緒に遊べて楽しかったよっ」
 歌音が、進の手をとった。
「運動したあとの食事は、格別だよ。皆の手作りのお弁当楽しみだね」
 海も進に話しかける。進は頷いて「チョコ! チョコ!」と、レジャーシートに駆け寄った。

 素晴らしいご馳走が並んでいた。

 あやかのお弁当は、豪勢そのもの。
 アルミホイルに包まれた中華おこわ。
 サラダ菜に包んで食べるサラダ。
 じゃがいもの照り焼き。
 手羽と卵のやわらか煮。
 アスパラの梅肉和え。
 たらこを混ぜ込んだ卵焼き。
 デザートにグレープフルーツ。
 おやつは、チョコを挟んだクッキーの半分をチョコ掛けしたもの。
 更に、冷たいお茶と、使い捨て食器にお箸、お手拭きと、完璧すぎる。

「おいしそー!!」
 皆、あやかのお弁当を絶賛した。

 エナは定番からオリジナルのカニカマサンドまで、多種多様なサンドイッチを作ってきていた。
「一応作ったのですけれど‥‥食べたりします‥‥?」
 どれも美味しそうだ。

「私はお菓子を持ってきました。チョコだけというのも何ですから、フルーツ菓子もありますよ」
 貴子は、甘さをそれぞれ変えて作った、チョコ菓子の詰め合わせを広げた。
 ミニサイズの生チョコケーキにチョコマフィン、チョコクッキー、トリュフ、ブラウニー等。
 苺や葡萄などをふんだんに使ったフルーツタルトもある。

 クレメントは、チョココーティングしたブラウニーケーキを提供した。

 続いて歌音が弁当を広げ‥‥皆、絶句した。

 ホシイイ・焼き味噌・芋がら縄、そして、バレンタインチョコ1つと100久遠チョコ3つ。
(お弁当っていうより、これは、兵糧では‥‥)
 誰しも似たようなことを思い浮かべる。

 更に、雪之丞に至っては、市販のサンドイッチ2個パックを持ってきただけだ。
 男装女子に、女子力を期待してはいけない。

 進はチョコ菓子に飛びついた。テニスでお腹も空いたのだろう、旺盛な食欲をみせた。
 しかし、口にしたのは菓子ばかり。
「チョコばかり食べていると、鼻血が出ますよ‥‥」
 エナが心配そうに声をかけた。





 好きなだけ食べて飲んで、冷たいお茶を飲んで、皆でまったり。

 満足そうな進の口をティッシュで拭いながら、貴子が笑顔でフランクに尋ねた。年上に囲まれて、さぞ疲れたろうと気遣いながら。
「今日は楽しめたかしら?」
「んー、おばさんのチョコも美味しかったし、まあまあかな」
 生意気な進の返事を、そういう年頃だと軽く受け流し、貴子は続けた。
「あなたはいいわね。『自分を外へ連れ出してくれる人』がいて、羨ましいわ。‥‥私には、いなかったから」
 ちょっとだけ寂しそうに呟き、すぐにまた色っぽい笑顔を浮かべる。
「うふふ。お菓子って、一人で食べるより、皆で食べた方が美味しいじゃない? ね?」
「まあ、そう‥‥なのかも、だけど」

 友達なんて学校にいないし。
 塾のパソコンからインすれば、ネットの友人ならいるけど。結構。

 進はそう呟いた。

「ネットのお友達ですか‥‥一緒にお菓子パーティは、無理そうですね‥‥」
 思案顔のエナ。仁也が、おや、と片眉をあげる。
「リアルに触れ合える友人は必要ですよ。塾にも1人もいないのですか?」

「いるわけないじゃん。あいつらは敵だよ」
 口を尖らせる進に、海が尋ねる。
「そうなんだね。塾は楽しい?」
「まあね。2時間だけだけど、ネット使いたい放題だし。うちじゃおかあさんが煩いんだ」

 どうしたらこの子が、学校に行けるようになるのだろう。
 皆、考え込んだ。





 帰りのバスの中で、進はぐっすり寝ていた。返されたゲーム機もリュックの中だ。

「素敵なピクニックでしたね」
 あやかが、夫と一緒に写った写真をデジカメで確認している。
「お兄‥‥あなたと一緒に来られて、本当に良かったです」
「まだその呼び方が出るんだな」
 仁也は苦笑し、進の席へ不安そうな視線を流した。
「進学校とのことだが、不自然な長期欠席は、受験の面接で指摘されるはずだ。進くんはどうするのだろう‥‥」

 決して悪い子ではないのだ。
 いつか彼が学校に行けますように。そう皆、心から願っていた。





 後日。
 進がテニスを始めたと朗報が入った。保健室登校だが、通学も再開したようだった。
 今後も辛い経験や、心病む時もあるだろうけれど、きっと大丈夫。
 彼は立ち直る強さと触れ合う事の素晴らしさを、撃退士達から学んだのだから。


<完>


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 歴戦勇士・龍崎海(ja0565)
 ゆるふわ森ガール?・紅 貴子(jb9730)
 優しさを知る墜天・クレメント(jb9842)
重体: −
面白かった!:6人

歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
それでも学園を楽しむ・
エナ(ja3058)

卒業 女 ダアト
腕利き料理人・
美森 あやか(jb1451)

大学部2年6組 女 アストラルヴァンガード
最愛とともに・
美森 仁也(jb2552)

卒業 男 ルインズブレイド
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
秘名は仮面と明月の下で・
雪之丞(jb9178)

大学部4年247組 女 阿修羅
ゆるふわ森ガール?・
紅 貴子(jb9730)

大学部6年308組 女 ルインズブレイド
優しさを知る墜天・
クレメント(jb9842)

大学部4年265組 男 アストラルヴァンガード