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マスター:神子月弓
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:5人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/10/14


みんなの思い出



オープニング




 車椅子のバスケ少女、轟モミジ(とどろき・−)は、チームメイトとハイタッチを繰り返した後、観戦席にいた兄、闘吾(jz0016)へと大きく手を振った。
 今、モミジは小学校中学年だ。車椅子を操る両腕は、よく鍛えられて引き締まっている。試合中、車椅子とは思えない細やかな動きをふんだんに見せて、チームをとうとう優勝に導いた。

 優勝賞品は、某りんご農園の「りんご狩り&食べ放題チケット」であった。
 なんでも、車椅子でもりんご狩りが出来る農家らしい。

「お兄ちゃんも一緒に行こうよ!」

 唯一生存している肉親である兄に、モミジはとても懐いていた。
 相当、年が離れていることもあるだろう。

「‥‥何か企んでいる顔だな‥‥?」
 闘吾がモミジの額をつつくと、モミジは「うふふ〜、内緒!」と明るく答えた。





「あのさ、このりんご農家って、さやかちゃんのお婆ちゃんちって本当?」
 モミジは選手控え室にて、チームメイトに確認をとっていた。

「そうよ。薪オーブンのある小屋があってね、そこでりんごをお料理して食べられるのよ」

 そう言うさやかも車椅子である。天魔襲撃事件に巻き込まれ、モミジと同じように、歩ける足をなくしたのだ。

「あたし、やってみようかな。いつも応援してくれるお兄ちゃんに、何か美味しいものをご馳走してあげたいな!」

 モミジは目を輝かせた。





 「りんご狩り&食べ放題」のチケットは、観戦していた皆にも配られた。
 ただし、優勝チームの選手は無料だが、観戦客には入園料が必要だ。

 その入園料は、車椅子などの介助器具を必要としている、多くの人たちを助けるために、使われるという話だった。

(‥‥こんなに貰っても‥‥ぬう‥‥)

 闘吾は正直、チケットを沢山押し付けられて、困惑していた。
「どうぞ、ご学友もお誘いください」
 そう言われて、つい受け取ってしまったのだ。

(ぬう‥‥チケットを無駄にすると、農園で集めている、介助器具資金が減ってしまうな‥‥モミジのような境遇の子が、器具不足を理由に、寝たきりにされるのか‥‥)

 車椅子バスケの選手として、イキイキと試合を繰り広げていた妹の姿が、目に焼き付いている。
 足を失っても、モミジは自分の人生を、楽しんで生きている。

 それは、体のサイズにあった車椅子や義足が、幸運にも手に入ったからだ。
 苦しいリハビリやトレーニングを重ねて、モミジも努力して、道具を使いこなしているからだ。

(学園で配るか‥‥)

 闘吾は決意し、チケットを大事に懐にしまった。





 さやかのお婆ちゃんのりんご農園は、車椅子でも収穫できるよう、りんごの木の枝が低く下げられており、また通路も広く平たく整備されていた。

「どんどん召し上がっていってくださいねえ」

 車椅子のお婆ちゃんは、やってきた学園生たちに軍手とハサミを手渡しながら、くちゃくちゃの笑顔を振りまいた。

「あすこの小屋に、薪のオーブンもありますからね。生のりんごに飽きたら、食材も揃ってますし、何でも作って食べていってくださいねえ」


 学園生の1人が、車椅子のモミジに、服の裾をくいくいと引かれた。

(すみません、あの、焼きリンゴのつくり方、教えてくださいませんか? お兄ちゃんにご馳走したいんですけれど、あたし、一度も作ったことがないんです)

 モミジは、兄に聞こえないような囁き声で、こっそりと嘆願した。


リプレイ本文




 秋空に、子供たちの歓声が響く。外出用車椅子のゴムタイヤが大地を踏む。
「うわ〜! 見てみて、林檎がいっぱいだよー!!」

 マイクロバスのスロープを慎重に降りながら、目が農園に釘付けになる子供達。


「今日は凄く良いお天気が続きそうです。皆で林檎を沢山採っちゃいましょうね」

 <卜占>で今日の天候を占い、華子=マーヴェリック(jc0898)は雲の薄い青々とした空を見上げた。
 広めの通路の両脇に、枝を低く伸ばした林檎の木々が並んでいる。

「林檎狩りは初めてです〜。楽しみなのですよ〜」
 大正浪漫な袴姿の、深森 木葉(jb1711)がにこにこと周囲を見回した。

「わぁ、真っ赤な林檎がこんなに沢山〜♪‥‥これ全部食べてもいいんですか?」
 華子が、農園主であるお婆ちゃんに尋ねる。
「どうぞどうぞ。たあんとおあがりくださいねえ」

「林檎狩り‥‥良いですねぇ。秋は果物の美味しい季節ですし、美味しい林檎、いっぱい食べるのです! ところで、林檎そのものや、調理したケーキとか、どれくらい持ち帰れるのでしょう?」

 Rehni Nam(ja5283)は、「林檎の国」と名付けられた故郷、アップフェルラントを思い出しながら、お婆ちゃんに聞いた。

「そうだねえ、林檎は1人につき、1箱(10kg)までなら、持って帰ってくれて構わないかねえ」

 入れ歯が微妙に合わないのか、口をもごもごさせて、ゆっくりと話すお婆ちゃん。
 農園の入口には、「あなたの100久遠が明日の誰かの足になります」と書かれた貯金箱が飾ってあった。

「ほう、入園料が福祉に使われるのか‥‥。なら、少しばかり貢献しておくか」
 ちゃりん。詠代 涼介(jb5343)と轟闘吾(jz0016)は、100久遠玉を投入した。
 他の者も2人に続いて、ちゃりんちゃりんとお金を入れる。


 雫(ja1894)は、闘吾の妹、車椅子の少女モミジに服の裾を引かれて嘆願され、困惑していた。
(私が作ると、甘味系だけは迷走料理になるんですが‥‥)

 そこへ、救いの女神、お菓子部部長のレフニーが輝かしく降臨!

「モミジさん、今日は宜しくお願いしますね。私、協力します!」
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

 バスケ少女は体育会系らしく、はきはきとお礼を言った。
 そして、兄に聞こえていないか慌てて窺う。

「あ‥‥じゃあ私は、轟さんの時間稼ぎのほうを手伝いますね」
(私が御菓子作りを手伝うと危険ですから、って、‥‥自分で思っておいて何ですが、凹みますね)

 雫の言葉に、これまた「お願いします」と頭を下げるモミジ。


 軍手と小型の植木鋏、カゴが全員に配られ、行き渡る。


「おいモミジ、何している。行くぞ」
 闘吾が妹を呼ぼうとするのを制し、涼介が無骨な肩に手を置いた。

「なあゴウよ。食べ放題と言っても、食べられる量には限界があるし、どうせなら美味い林檎の方が良いよな。そこでだ‥‥こっそり探しに行って、上質な林檎を集めて、妹さんたちを驚かせてみないか?」

「さぷらいず、という奴か? ふむ‥‥だが‥‥」
「大丈夫だ。その間の妹さんたちのことは、他のメンバーがみてくれる」

 心配そうに闘吾が見ると、車椅子のチームメンバーと、撃退士のお姉さんたちに囲まれて、モミジは楽しそうに林檎狩りを開始していた。


「通路が平らに整備されていて良いですね。これなら、溝に車輪が嵌ったりする心配はないですね」
 雫がこくりと頷いた。

「車椅子の皆さんは、低いところの林檎を主に採ると思います。低めの枝の林檎には、小振りな物が多いようですから、背の高い木がある所を探して行ってみませんか? 採る人が少なければ、良く熟した大振りな林檎があるかも知れませんよ」

(‥‥これで上手くいくでしょうか‥‥? 戦闘での心理の読み合いは慣れていますが、今回の様なケースでは、上手く行く自信がありませんね‥‥)

 だが、雫の不安は杞憂に終わった。
 雫と涼介に説得され、闘吾は「さぷらいず」に興味を示したのだ。

「‥‥なら、その良質な大物とやらを探しに行くぜ。さぷらいず、だな?」
 闘吾は窮屈そうに軍手を嵌めた。3人は順路を外れ、農園の奥へと移動を始める。

「ちょっと向こうで依頼の話をしてくる」
 涼介は、モミジたちと、行動を共にしている仲間に手を振った。
(妹は兄に内緒で調理。そして兄は妹に内緒で上等な林檎探し。ま、たまにはこういうのも悪くないだろ)





「枝が低く下げられてるから、ちっちゃなあたしでも届くかな?」
 
 木葉は軍手をした手を木に伸ばした。わざと枝を下げて成長させた木々。
 踏み台は要らなさそうだ。すぐに林檎に手が届く。

「出来るだけ美味しい林檎を採るのです。お持ち帰りはOKみたいですし、お姉ちゃんたちの分も貰っていくのですよ〜。さて、どれが甘くて美味しそうでしょうか?」


「ずっしり重くて、全体が赤くてつやつやしていて、お尻のへこみが大きくて、ツルが太いものを選ぶといいですよ。お婆ちゃんの林檎は袋をかけないで育てるので、甘くて香りがいいんです」

 農園主の孫、さやかが指導した。車椅子を上手く操り、ちょんちょんと鋏を使って、林檎をカゴに収穫していく。

「ちなみにお土産ですけれど、10kgの箱に詰めると、何個くらいになります〜?」
「30個ちょっとは入りますよ。緩衝材の分、やや少なめになりますけれど」

「30個ですか〜!」
 お姉ちゃん達、喜ぶかな? 木葉は頑張って30個採ることを目標にした。


 闘吾たちの姿が遠ざかっていくのを確認して、華子はそっとモミジ達に近づいた。
 鋏を振るう手は休めず、林檎を厳選して採りながら、「優勝おめでとう〜! 皆バスケットボール上手なんだね〜♪」と話しかける。

「バスケのどこが好きなんです?」
 にこにこと華子が笑顔で尋ねると、バスケ少女たちは口々に「シュートが決まった時!」「うまくロングパスが決まった時!」等と答えた。

「あたしはやっぱり、試合に勝てた時かな? でも、負けると悔しいけど、負けても楽しいな!!」
 モミジは熱っぽく語った。
「体を動かすの、すごく気持ちいいよ! お姉ちゃん達はスポーツしないの?」

「えーっと‥‥」
 華子は言いよどんだ。

 学園を通じて天魔退治をしているので、常時、スポーツより遥かに激しく体を動かしているのは事実だが、闘吾の話では、この子達は天魔に襲われて、足を失った子たちだ。天魔の話をしていいものか非常に迷う。
 まして、華子自身、天使と人とのハーフである。知られたら嫌われかねない。

「あ、あと2ヶ月で、新年でしょう? だから、競技かるたの練習をしてます!」

 ふと思いついて、口にしてから、華子は(あれ? 競技かるたってスポーツかな?)と悩んだ。
 華子は「ちょっと天然だね」と言われることが不思議と多い。

 でも、車椅子の子供たちは、尊敬の目で華子を見たようだった。
「すごーい! 競技かるたって、難しそうだし、頭も使うし、お姉ちゃんすごいね!」

「え‥‥い、いや‥‥その‥‥あはは?」
 困った笑顔を浮かべる華子を助けるように、木葉がにこにこと、林檎でいっぱいになったカゴを見せた。

「これだけ採れたら、そろそろいいと思うのです〜! モミジちゃんたち、小屋でお料理しましょう〜!」
 紫の瞳をきらめかせ、黒髪を秋風になびかせて、木葉は小屋を目指した。





「モミジちゃんの焼き林檎に、あたしのアップルパイと、林檎飴〜♪」

 木葉がデタラメソングを歌いながら、小屋に入っていく。よいしょ、と林檎の詰まったカゴを並べて置く。

「というわけで、あたしはモミジちゃんを手伝いながら、アップルパイと林檎飴を作ってみたいのです!! レシピは書き留めてきたのです。ちゃんとメモに‥‥、メモに‥‥、メモ‥‥‥」

 懐や袖をがさごそするが、どこで落としたのだろう。紙の類は出てこない。

「あううぅ‥‥メモがないのです‥‥‥しょぼ〜ん。誰か、作り方知ってますか〜。ご教授を〜」


 項付近で綺麗な銀髪を纏めたレフニー・ザ・お菓子部部長が、困っている木葉にやさしく声をかけた。

「アップルパイはまずパイ生地の仕込みから始めますから、時間がかかります。林檎飴はすぐにできそうですね。水:砂糖を1:3〜1:4くらいの割合で中火で煮詰め、150〜165度くらいまで加熱して、軽く煮詰まってきたら火を止めて林檎を絡めて、クッキングシート上で冷ますだけですよ」

「あうううぅぅぅ‥‥有難うございます〜」
 はい、と調理用温度計まで手渡される。
 半べそだった木葉には、レフニーの笑顔が女神に見えたことだろう。


「アップルパイなら、私たちも手伝えますよ!」
「パイ生地は、畳んで冷やして伸ばして畳んでを、繰り返せばいいんですよね?」

 車椅子の子供たちが木葉とレフニーに寄ってくる。

 レフニーは子供たちに、なるべく手を冷やして生地を扱うよう指導しながら、作り方を教えた。


 ボールに小麦粉と強力粉と塩を入れて混ぜ、スクレイパーで無塩マーガリンを1センチ角に切り入れてから、生地を切るように軽く混ぜる。冷水を少し入れて再び切るように混ぜ、だいたいひとかたまりになったらラップに包み、冷蔵庫のチルド室で15分休ませる。

 この間に、林檎1〜2個を剥いて16等分し、フライパンで砂糖で煮て、冷ましておく。

 強力粉で打ち粉をしてから、生地をラップの上に乗せ、その上に更にラップをかぶせて、のし棒で押さえるように伸ばし、三つ折りを三回行う。

 生地を半分に切り、飾り用の半分はチルド室で再度冷やしておく。残り半分を伸ばしてパイ皿に敷き詰める。

 中に林檎を敷き詰めたら、チルド室から残ったパイ生地を出し、短冊に切って網目状に乗せ飾る。

 切り口を避けて卵液を刷毛で塗り、200度のオーブンで30〜40分、焼き色を見ながら焼きあげれば、完成である。


「手分けしてやればできるよ! みんな、チームワークで頑張るよー!」
「「ふぁい、おー!」」

 体育会系のノリで、エプロンを巻き、三角巾をして、調理に挑む子供たち。
 薪オーブンの扱いは、慣れているさやかが担当した。


 アップルパイは木葉と少女たちに任せられると判断し、「さて」とレフニーはモミジに向き直った。目線の高さを合わせて話す。


「私の知る焼き林檎は、大雑把に3つの作り方がありますが、今回は、あえて一番手間が掛かる物に挑戦してみましょう」

 まずは芯をくりぬきます。穴を開けてしまわずに、林檎の底をちょっとだけ残します。
 スプーン等で、掘るような感じでやると良いでしょう。

「或いは細い包丁で、上は太く、底の方は細くなるようにくりぬいてから、底を詰める方法もありますが、どっちでやります?」

「え、あ‥‥じゃあ、スプーンで」

 慣れない手つきで林檎をくり抜くモミジ。温かく見守りながら、自分も包丁で器用に林檎をくり抜いていくレフニー。

「ちなみにですが、芯くりぬき器、っていう便利なものもありますよ。でも、芯くりぬき器だと穴が真っ直ぐなので、底が抜ける事があってですね‥‥。そうなると詰め物が流れ出ちゃいますからねぇ。その覚悟で使ってみますか?」

「う‥‥スプーンで、頑張ります!」

 モミジは一生懸命、林檎と格闘していた。

「さて、砂糖、クリーム、シナモンパウダーを混ぜたもの、バターを詰めて蓋をします。そして、20〜30分ほどオーブンで焼きます」

 頑張ってモミジがくり抜いた林檎に、詰め物を詰めて、蓋をするレフニー。

「ああ、焼く時は、直だったり、アルミに包んだりしますが、ここはお好みです。それと、焼く時に、稀に爆発することがあります。串とかでぷすぷす穴を開けておくと防げるので、手間ですがちょっと穴を開けておきましょう」

 ぷすぷす。一緒に林檎に串で穴を開けておく。

「あとは焼き上がりを待つだけですよ」

 そう言いながら、時々アップルパイ組の様子も、ちゃんと見ているレフニー・ザ・お菓子部部長。
 更に、林檎の炊き込みご飯と、林檎入りのカレーも手際よく作っている。


「皆さんきっと喉が渇くのです。あたしがジュースを作るのです!」
 木葉は、芯を取った林檎を、皮ごとミキサーにかけ始めた。
「これなら、あたしでも失敗なく作れるのです! アップルパイを手伝ってくれたお礼なのです〜」


 華子は、皆がお料理した後に出る林檎の皮や芯などを使い、煮出した湯で紅茶を淹れて、アップルティーを作ろうと頑張っていた。
「クエン酸とお砂糖のバランスに気を遣って、丁度良い味になりますように‥‥ちゃんと出来てるかな?」


「そろそろ、ヨミシロさんのスマホにメール連絡しますか?」
 レフニーは愛用のガラケを取り出した。

 試合前のように、モミジの顔に、緊張が走った。





 一方、雫と涼介は、闘吾と共に、スマホで美味い林檎の見分け方を検索しつつ、大きめの林檎を探していた。

「ふむふむ‥‥同じ大きさの物でも、比べてみて重い物の方が良いのか。ツルの部分や、お尻のとこの色も判断材料になる、と‥‥よし、それじゃあ、この農園で一番の林檎を探すか」

「結構高めのところにも幾つか林檎がありますね。太陽光を浴びて、真っ赤に熟れています」
 雫も良さそうな林檎に手を伸ばす。背の高い闘吾が採ってくれた。

「お」
 涼介のスマホが震える。メールが来たのだ。

「よし、そろそろ俺らも休憩するか。これだけ採れば土産には十分だろう」
「‥‥ああ」

 カゴには、大きめの林檎が詰まっている。
 闘吾も満足したらしく、妹の喜ぶ姿を想像でもしているのか、早足で小屋へ向かった。





 小屋では、アップルパイ、焼き林檎、林檎飴、カレー、林檎の炊き込みご飯、ジュース、アップルティが配膳されていた。

「はい、チーズ!」
 華子が皆と料理をカメラに収める。

「おにいちゃん、いつも有難う!」
 モミジが熱々の焼き林檎を闘吾に手渡す。闘吾は旨そうに口に運び、妹の頭を撫でた。
「‥‥さぷらいずだ」
 闘吾も林檎のカゴを妹に渡す。

「旨い!」
 涼介は炊き込みご飯にカレーをかけて、堪能していた。
「このご飯は、おやつ感覚で頂けるのです。カレーとの相性もいいでしょう」
 レフニーの言葉に頷く涼介。アップルパイを味わって、つと思う。
(不便ではあるが不幸ではない、だったか。あの子達を見ているとその言葉を思い出すよ)


「あ、余った林檎の皮とかは‥‥」
「アップルティに使ってしまいました」
 雫が尋ねると、申し訳なさそうに華子が答えた。2人とも同じことを考えていたのだ。


 雫は友であるレフニーと木葉に、真剣に、林檎を使った御菓子の作り方を尋ねた。
「本気でお願いします。もう、レシピ通りに作って、アレンジも加えて無いのに、SAN値直葬の物体は生み出したくないんです」

 2人は、すりおろし林檎寒天の作り方を教え始め――。

 \ファンブルが発生した!/

「何故、またこうなるのです‥‥?」
 ――どろどろした茶色い物体が、雫の鍋を埋め尽くしていた。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 セーレの大好き・詠代 涼介(jb5343)
重体: −
面白かった!:4人

歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
セーレの大好き・
詠代 涼介(jb5343)

大学部4年2組 男 バハムートテイマー
その愛は確かなもの・
華子=マーヴェリック(jc0898)

卒業 女 アストラルヴァンガード