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マスター:飯賀梟師
シナリオ形態:シリーズ
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2014/06/18


みんなの思い出



オープニング


 家も親もない私達は、路地裏を転々と渡り歩いて何とか生き延びている、そんな双子の兄妹です。
 当然お金も、食べるものもありません。ありませんが、たまにはありました。
 行くあてもない私達に、時々食べ物を持ってきてくれる、優しいおじさんがいたのです。
 私達はそのおじさんのことが大好きで、たまにお話したりするのがとても楽しみでした。
 とても温かくて、優しいおじさん。こんな人がお父さんだったら、どんなに素敵だろう。


 ほんのちょっと、はぐれただけでした。
 おじさんに会えそうもなかったので、翼という名の兄は、この日、何か食べられそうなものを探しに街へ出ていきました。その時私は、路地裏の熱い空気を吐き出す扇風機の箱に寄りかかって、兄の帰りを待っていたのです。
 兄が思いの外早く帰ってきたのだと、その時は思いました。こんな路地裏に入ってくるのなんて、兄か野良ネコの他には考えもつかなかったのです。
 でも、その時やってきたのは、兄でなければ、まして野良ネコでもありませんでした。カラスでも犬でもない、私よりずっと体の大きな、男の人でした。
「美羽ちゃん、元気にしていたかな?」
 おじさんでした。
 こんな夕暮れ時におじさんと会うことなんてありませんでした。ちょっと不思議です。
 でも嬉しかった。大好きなおじさんと会えたから。
 おじさんは、ニタリと笑んだ……ような気がしました。私も釣られて笑おうとすると、おじさんはその手を私の方へ伸ばして、肩を掴んできたのです。
 咄嗟に、私は手を振り払おうとしました。が、男の人に力で勝つことは出来ず、そのまま体をブロック塀に押しつけられてしまいました。
「おじさんと少し遊ぼうじゃないか、ね? ほぉら、楽しいよ」
 気持ち悪くて、吐気がしました。
 何をされるのか分からない不安が胸から溢れて、逃げ出したくても逃げ出せない絶望感が、徐々に私の心を埋め尽くしていきました。
 でも。たった一つだけ、私の中に希望がありました。
 きっときてくれる。助けてくれる。もうすぐ。そう、もうすぐ、お兄ちゃんが……。


 コンビニのゴミ捨て場には、期限切れが近くなった弁当が山ほど廃棄されている。これを漁れば、とりあえず食うものに困りはしない。
 この日も、俺は捨てられた弁当を抱えて美羽の待つ路地裏へと走った。
 あいつはきっと腹を空かせて待っている。ちょっとでも早く、一秒でも早く、この弁当を食わしてやりたい。
 そんな気持ちが、地を蹴る足に力をくれた。
 路地裏に辿りついた時、妙な影が揺らめいているのが見えた。
 嫌な予感がする。
 美羽だけじゃない、もう一人、誰かいる。
 反射的に、俺は弁当を放り出して、バケツ型のゴミ箱を蹴っ飛ばした。
 男だ。男がいる。俺よりずっと年上の……おじさんじゃないか!
 ギョッとした目をしたおじさんがこっちを振り向いた時、俺は叫んでいた。美羽から離れろ、と。
 おじさんの腕の中に、美羽がいる。肌をさらけ出され、無残に血を垂らす妹の姿がそこにあった。
 目に留まりきらなかった涙が頬を濡らした筋がいくつもあるのが分かった。
 俺は跳んだ。転がるゴミ箱を踏み台にして、男に飛びかかった。
 何をしたのか、よく覚えていない。殴ったかもしれない、蹴ったかもしれない、噛みついたかもしれない。
 あの優しいおじさんが、温かいおじさんが、どうして。信頼していたのに――!
 とにかくおじさんは、慌ててズボンを上げながら走り去っていったのだ。
 力なく倒れる美羽の体を抱き起こす。酷い顔だ。痛みと苦しみに耐え続けて、まるで死人のような顔をしていた。
「美羽、しっかりしろ美羽!」
 体を揺すぶって呼び掛けると、美羽は力なく口を開いて笑った。
 美羽が言ったこの言葉と表情は、きっと俺が死ぬまで忘れられないと思う。
 そして誓った。美羽を守れるのは俺だけだ。だから、俺は命のある限り、美羽を守り抜いてみせると。
「大丈夫、大丈夫だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが、助けてくれるって、信じてたから……大丈夫」
 この日を境にして、俺は、人間を信じるのをやめた。


 それからしばらく経ったある日。
 街の喧騒に叩き起こされた。人々が逃げまどっている。
 その中の一人を呼び止めて事情を聞くと、どうやら天魔が現れて、撃退士が戦っていたらしい。
 ところが、撃退士は圧倒的な力の前にやられてしまったそうだ。
 ……チャンスだ、と俺は感じた。
 俺は美羽に逃げるよう告げて、戦場となった方へ走った。


 既に戦闘は終わっていた。辺りに天魔がいる様子もない。思った通りだ。
 倒れているのは撃退士らしい人が六人。全員気を失ってるのか、死んでいるのか。倒れたまま動かない。
 急いで駆け寄った俺は、手近な男の懐をまさぐった。薄い機械のようなものがある。街を歩いている人がよくこれを指先で弄っているのを見たことがあった。でも、俺にはこれが何なのかよく分からない。
 こんなものはいい。次はズボンのポケットを……あった、財布だ。
 結構な額が入っている。流石に命を張って仕事しているだけあって、実入りが良いのは確からしい。
 この分なら、他の連中も……。
「お兄ちゃん、何してるの?」
「な、美羽!? バカ、逃げろって言っただろ!」
 一番良いところだった。さっき逃げろと告げたはずの美羽が、そこにいた。
「だって、こんな危ないところに――」
「あら……? まさか子どもがいるなんてね」
 そしてもう一人。美羽とは反対方向から来たのは、女だ。俺たちより間違いなく年上だろうけど、若くも見えればおばさんにも見える。不思議な人だ。
 いや、そんなことはどうでもいい。
 見られた以上、長居するわけにはいかない。
「逃げるぞ、美羽!」
 俺は美羽の手を取って駆け出した。
 さっき拝借した財布を慌てて服の内側に隠して、走った。
 けれど。
「待ちなさい」
 何が起こったのか分からない。確かに、あの女に背を向けて地を蹴ったはずだ。
 なのに、あの女は一瞬で俺の前に立ちはだかっていた。
「そのみすぼらしい格好……。人に捨てられたのですね。可哀そうに」
 そう言って、女は俺に手を差し伸べた。
「私と共にいらっしゃい。その子は妹さんでしょう。あなたたちを見放した人間を見返すチャンスも、あなたたちが安息して生きられる場所も与えてあげましょう」
 何故だか一瞬で悟った。
 この女は、天使だ。
 こんな俺たちに、救いをくれるというのか……?


リプレイ本文


「待て!」
 天使は双子を伴って立ち去ろうとする。
 これを呼び止めたのはジョン・ドゥ(jb9083)であった。
 仲間の危機を耳にしたジョンを初めとする撃退士達は、その救助のためにこの場を訪れていた。情報通り、仲間は既に地に伏している。一刻も早く彼らを回収し、引き上げたいところだ。しかし、状況がそれを許そうとはしない。
 純白の羽持つ女性と、二人の子どもの姿。
 敵はサーバントであったはずだが、目の前の女性は見るからに天使だ。
 いったい何があったのか。その子ども達はいったい何なのか。これを確かめないわけにはいかない。
(おいおいおい、回収撤退だけじゃねえのかよ……サボれねえだろが)
 心中悪態をつく嶺 光太郎(jb8405)。
 予め気配を消し、味方にすら気配を悟らせないよう同行していた彼は、仕事が楽になった、と捉えていた。
 本来なら、彼らもまたサーバントを捜索し、撃退する任務を帯びた者達。だが戦力の半数が倒れたことで状況は変わった。
 もう周辺にサーバントがいないのであれば、味方を回収して撤退する。それだけならば、敢えて自ら手を出さずとも、こっそり同行していれば良い。要するにサボっても問題ない、と光太郎は考えていたのだ。
 しかし目の前に天使がいるとなれば話は別だ。
「さ、参りましょう」
「まぁ待ってよ。折角だから、ちょっと遊んでいかない?」
 くるりと踵を返し、立ち去ろうとする天使。
 無視されたことにジョンは苛立ったが、彼よりも先に雨野 挫斬(ja0919)が言葉を発した。
 サーバントを探していたら、天使に出くわした。本来なら急ぎ撤退すべき場面なのだろうが、挫斬にその選択肢はない。
 何故なら、より強き者と戦い、その身を解体することに至上の悦びを覚える挫斬にとって、これは願ってもない快楽を得る機会なのだ。
 それでも天使は見向きもしない。行ってしまう。このままでは。
「そこの少年、君も天使なのか?」
 だがこれはハッキリさせたい。あの女性は間違いなく天使であろう。では、彼女についていこうとする少年達は何者なのか。
 もしレアティーズ(jb9245)の投げかけた問い掛けに肯定が返ってきたのであれば、対策を練らねばならない。この場に天使が三体もいるということなのだから。
「ちがう。ちがうけど、でも天使の国にいくんだ! もうだれにもバカにされない、だれにも美羽をきずつけさせない、そんな世界にいくんだ!」
「天魔の舌、甘い天使の囁きに惑わされたか? 天使に連れられても、二人揃って化け物にされるだけだぞ」
「う、うるさい!」
 少年は答えた。
 言葉から察するに、この子どもらは人間。これから天使と共に天界へと向かうのだろう。
 その先に待っているものといえば、撃退士ならば容易に想像出来る。
 サーバント、もしくはシュトラッサーとなり、人間の敵となることだ。間違いない。
「よほど、酷い目に遭ったのでしょうね」
 只野黒子(ja0049)がそんな呟きを漏らす。
 こんな年端も行かない少年少女が、天使の誘いに乗る。それにはよほどの事情があると見なせるだろう。
 その細部まで推測し切ることは難しいが、何らかの衝撃的な出来事がこの二人を襲ったのだろう。
「人間なんて、信用できない! でも天使なら、きっと俺たちをたすけてくれるんだ!」
「無償で助けてくれることなどありえない。人間だけじゃない、天使だって同じだ!」
 水城 要(ja0355)の言うことは尤もだろう。天魔にも自我があり、立ち場がある。もし人助けをすることがあれば、そこには見返りが求められる。
 ただし、これは、必要な教育を受けた人間の価値感。撃退士の常識でしかない。
 幼い子どもにとっての天使とは、慈愛の心を持ち、全ての人々に救いの手を差し伸べる存在でしかないのだ。
「構うことはありません。参りますよ」
 天使は去ろうとしている。
 その間際、挫斬は急ぎデジカメのシャッターを切った。天使、そしてあの子どもらの姿を、何としても手元に残しておきたかったからだ。
「させるかよ……!」
 地を蹴るジョン。
 だが、それを阻害するものがあった。
 突如地面から生えるようにして現れた、骸骨兵士だ。
 天使と子どもらだけでなく、救助対象の撃退士までをも遮るようにして現れたそれは、明らかに時間稼ぎのために放たれたものだ。
 倒さねば、先には進めない。


 一方で、光太郎は静かに戦線を離れた。
 この期に及んでサボろうなどとは光太郎も思わない。むしろ、やることを見つけたのだ。
 今優先すべきことは、骸骨兵士を倒し、仲間を救助することだろう。
 しかしただそれだけでは駄目だ。あの天使と子ども達の足取りを追わねばならない。
 二人が望んでいることとはいえ、目の前で天使についていこうとする者を放置するわけにもいかないのだ。
 連れ戻せるなどと大それた期待はしていない。それでも、何もせずにはいられないのだ。
(……ド畜生が)
 脇道に入り、天使達の向かった方角へと進む。
 気付かれたら終わりだ。天使と戦闘になったら、現状勝ち目はないだろう。
 せめて、どこへ向かうのかだけでも……。


「一気に倒して、早く天使を追わないと!」
「いや、無駄でしょう」
 要が武器を構え、早期決着の算段を脳内に組み立てる。
 しかしこれに、黒子が頭を振った。
「下級のサーバントを、たったこれだけの数で展開するということは、足止めにはこれで充分、ということです」
「じゃあ、どんなに急いでも間に合わないってのか?」
 尋ね返してきたジョンに対し、黒子は頷きで返した。
 つまらなそうな表情を見せたのは挫斬だ。せっかく強者たる天使を目の前にしたというのに、これでは快楽を得られない。
 腹いせに暴れるのも良いが、今私欲に走るわけにもいかない。
 救助対象を傷つけないよう、この場を切り抜けるにはどうしたら良いか。万が一にも、仲間を人質に取られるわけにはいかない。
 ならば、先手を打つまで。
「仕方ないわね、遊んであげる!」
 ハイ注目、とばかりに挫斬が前に出てタウントを発動。
 四体の骸骨兵士の目が彼女に釘づけとなった。これなら、妙な行動を取られる心配もない。
 その隙にジョンとレアティーズが飛翔。骸骨兵士の真上に位置取る。
 レアティーズが真上からフレアシュートでサーバントを一体焼くのに合わせ、ジョンは炎陣球によって敵を火の海に沈める。
 黒子の睨んだ通り、この骸骨兵士に強い個体はいない。
 あっという間に敵は瓦解し、仕留めるのにさほど時間はかからなかった。


 天使達の後を追っていた光太郎は、ふとした瞬間に急に手応えを感じなくなった。
 この先に誰かがいる、という感覚を頼りに追跡していた彼だが、いつのタイミングからか、気配を感じなくなったのだ。
 空間転移だろうか。いや、それにしたって、この辺りにゲートがあるなんて情報もない。
 とすれば、知らぬ内に飛び去ったのだろうか。それではこれ以上追跡のしようもない。
「見失ったか……」
 光太郎は諦めて踵を返した。
 が、その時だ。
「何を見失ったのですか?」
「ゲェッ!?」
 背後。振り向けば鼻と鼻がくっつきそうな距離に、ソレは立っていた。
 あの天使だ。
 いつの間にか、追跡が気付かれていたのだろう。その時点で天使は気配を絶っていたに違いない。
 ……逃げることも出来ない。光太郎の背にじわりと冷たい汗が浮かんだ。
「あっ、あの二人、どうするんだ?」
 何とかしてこの場を切り抜けねばならない。現状の最優先は自らの命であることは明白だ。
 苦し紛れとも思える質問。まともな回答が得られるとも思えない。
 が。意外にも天使はあっさりと答えた。
「使徒にします」
「ハッ、そんな素直でいいのかよ」
 強気に応答しつつ、光太郎は逃げ道を探していた。
 その様子に天使が気付かないわけもないだろうが、しかし天使は何も構わないといった態度で続けた。
「何故隠さねばならないのですか? あの子達があなた方と会うことは、恐らく二度とありません。そのことを隠しても無意味なことでしょう」
 駄目だ。この状態ではどうあがいても逃げられない。
 天使の言葉は、「知ったからにはここで死んでもらう」という意味にも取れる。
 不味い。このままでは殺される――!
 遂に観念した光太郎は、キュッと瞼を閉じた。
 が、何も起こらない。
 不審がって目を開けると、天使はどこかへと去っていた。
 見逃された、のか? 今は、そうとしか考えようがない。


 骸骨兵士達を撃退した一行は、真っ先に仲間の下へと駆け寄った。
 意識はない。揺すっても目を覚ます気配すらない。
 救助対象である撃退士の身体を調べても、外傷らしい外傷は見当たらなかった。それもそのはず、光纏は既に切れているのだから。実際に攻撃を受けた魔装は今やヒヒイロカネの中ということだ。分かることといえば、骨折が確認できるといったところか。
 これでは、彼らをここまで叩きのめしたのは、あの天使だったのか、それとも元々追っていたサーバントだったのかも分からない。
 だがここで、黒子の推理力が光った。
「刃のない武器、もしくは素手による攻撃にやられていますね。とすれば、天使にやられたと見るのが妥当でしょう」
「どういうことだ?」
 ジョンが聞き返す。
 これに応えて、黒子は倒れた撃退士の一人、比較的軽装の女性を指差した。
「この方が分かりやすいでしょう。火傷、凍傷、裂傷が見られません。そして腕は骨折しているようです。つまり、雷撃などの魔法的攻撃、及び刃物による攻撃を受けたとは考えにくいのです」
 彼女の言葉が全てだろう。
 もし付け加えるとするならば、周囲の様子が参考になる。これといった破壊の痕が見られないのだ。ということは、本能だけで行動するサーバントが暴れたとは思えず、また広範囲に及ぶ魔法的攻撃が行使された様子もないということだ。
 これだけ分かれば今のところは充分だろう。
 急ぎ彼ら救助対象の撃退士を医療施設へ運ばねばならない。
 光太郎が戻ってきたのは、丁度そんな時だった。
「あら、どこへ行っていたのかしら?」
 顔面蒼白とでも形容すべき表情の光太郎に、挫斬はほんの少しだけ棘のある口調で尋ねる。
 肝心の戦闘時にいなかったのだから、当然かもしれない。
 しかし光太郎からすれば、立派な理由がある。
「あの天使と子どもをこっそり追ってたんだよ。で、天使と話した」
「……よく生きてたな」
 思わずレアティーズが舌を巻く。
 天使と一対一の状況になって、無傷で帰ってくるなどまずありえない。
 そのことに関しては、会話で得られた情報と共に光太郎の口から聞かされた。
 ふむ、と唸って要は腕を組むが、どういうことなのか、よく理解出来ない。相手に何か思惑があるとしたら、それは一体何なのであろうか。
「今考えても仕方ない。とりあえず、こいつらを搬送するぞ」
 倒れた撃退士の一人を、レアティーズが軽々と抱える。
 重症者を無暗に動かすのはよろしくないのだが、この状況で六人分の救急車を呼ぶのは期待出来ない。自ら担ぎ込んだ方がまだマシだ。
 後は、意識を取り戻した彼らから何か有力な情報が得られれば良いのだが……。


 その後、あの子どもらについて調べた撃退士達だが、有力な情報はなかった。
 どうやら孤児であるらしく、誰にも保護されないままストリートチルドレンと化していたらしい。
 食糧に関しては、コンビニの廃棄物を漁っている姿が目撃されていることから、自力でなんとかしていたのだろう。
 もちろん廃棄物を漁ることも一種の犯罪に当たるのだろうが、実害の出るような犯罪行為は確認されていない。
 何故彼らが人間に敵意を持ったのか、あるいは天使についていったのか、その動機となりうるものは、孤児になった原因にあるのではないか、という推測が立つだけだった。
 とはいえ、孤児になったのは、両親を交通事故で失ったことによる。そして引き取り手が誰もいないまま、家を追い出されてしまったのだとか。
 不運なのかもしれないが、それが原因で天使についていこうとなどするのだろうか……?
 そして、使徒とされることが明言された彼ら。
 ジョンは心中祈らずにいられない。主導権を握っていると思しきあの少年に対して。
 妹の手は決して放すな、と。

 それから数日後。救助された撃退士達が病室で目を覚ました。幸い、命に別状はないそうだ。
 得られた情報は、既に撤退していたサーバントについてだ。三メートルはある大蛇の体に、獅子の顔と前足、一角のツノがあったとのこと。しかし、そのサーバントがどのような攻撃手段を持っているのかは分からないという。
 何故なら、戦闘に移ろうとした瞬間、女性の天使が現れ、何をされたのかも分からず、気づけば病院に運ばれていたのだから。

 この事件は、どこにゴールがあるのだろう。
 あの鬼蛇とでもいうべきサーバントを倒せばいいのか?
 双子を取り戻せばいいのか?
 天使を倒すべきなのか?
 この中に答えがあるのかもしれない。ないのかもしれない。
 だがもし、ここにゴールがあるとしたら……。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

新世界への扉・
只野黒子(ja0049)

高等部1年1組 女 ルインズブレイド
立てば芍薬座れば牡丹・
水城 要(ja0355)

大学部3年28組 男 ルインズブレイド
高松紘輝の監視者(終身)・
雨野 挫斬(ja0919)

卒業 女 阿修羅
無気力ナイト・
嶺 光太郎(jb8405)

大学部4年98組 男 鬼道忍軍
大切な思い出を紡ぐ・
ジョン・ドゥ(jb9083)

卒業 男 陰陽師
能力者・
レアティーズ(jb9245)

大学部5年308組 男 ダアト