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マスター:一塚 保
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/04/02


みんなの思い出



オープニング

●吸血コウモリの災厄

 小田急線を南下したとある駅で、近頃、吸血コウモリが飛び交っていると言う。
 地元の新聞社が街頭インタビューに駅前へ出ると、すでにちらほらとその姿が確認できた。インタビュアーは近くを歩いていた学生に声をかけると、次のように言っていた。
「日が暮れ始めると、街灯とかにぶら下がっているんですよ。先週くらいはまだ寒かったから少なかったんですけど、今週に入ってからはダメ。私の友達にも噛まれた子がいて入院している子がいますよ。あ、お医者さんからは伝染病とかないらしいんですけど……やっぱり気持ち悪いし、怖いですよね」
 インタビュアーはお礼を言って、学生を見送る。その間にもコウモリは増え始め、クルーも頭上に飛び交うコウモリに不安は募る一方だった。
 その後、主婦や会社員に声をかけるも、すぐに調査を諦めざるを得なかった。なにせ、コウモリが町に溢れ帰り、行きかう人たちは恐怖に駆られ、立ち止まってくれないからである。もちろん、インタビューするクルーたちも平気な顔はしてられない。
 仕方なく、地元の交番へ直撃取材をした。普通なら突然の取材に嫌な顔をされるものだが、今回ばかりは口を開かざるを得なかったらしい。警官はこう言っている。
「私らも手こずっていましてね。被害者も今週で十四人出ています。中には大事をとって入院している人も出ていて。なにしろ不気味なもんで血を吸うんだもんだから。まあ全部が全部、噛み付いてきたり血を吸うって訳ではないんですがね。本当、吸血コウモリ自体は少数ですよ。そもそもコウモリなんて、ここいらには昔っからいましてね。今週頭に学者にも依頼したところ、この吸血コウモリは十体くらいしかいないだとか」
 警官は一旦話を区切ってお茶をすする。インタビュアーも一緒になってお茶を口に運び、饒舌に語ってくれた警官へ、質問を投げかける。
「――なるほど、それではあの辺のコウモリは、吸血コウモリではないんですね?」
 と、外の電線にぶら下がっているコウモリを指差す。
「ああ、全然違うね。あんたら調べが進んでいないな。吸血コウモリは普通のコウモリに比べて、2〜3倍身体が大きいんだ。見た瞬間に分かるよ」
 と笑う。新聞社はすまなそうに顔を俯かせた。
 警官は意に介さず、話を続けた。
「おそらく、大多数のコウモリは、その吸血コウモリに棲家を占拠されてしまったんだろう。ほら、すぐ近くに公営の自然公園があるだろう。彼らはそこを根城にしていたんだよ」
「なるほどなるほど」
 必要な情報を聞けたことで、地元の新聞社は頭を下げて席を立った。その背中に向かって、警官は最後に一声かける。
「っていうか、あんたたち調査をするのもいいけどさ、報道なら報道らしく、何か防御策を報道してくれないかな。コウモリの出にくい道だとか、コウモリの対処法だとかね。毎日毎日飽きずにダイエットのネタばっかり放送してるんじゃないよ。暮らしの安全が第一だよ、全く。頼みますよ」
 と、最後に分かりやすい嫌味を言って見送るのであった。


 ――と、先生は余談でもするかのように吸血コウモリの噂について話をした。
「この件に天魔が関わっていると判明したのは、この新聞社からの垂れ込みがあったためだ。防御策の意味を取り違えたのかもしれないが、まあしかし、結果良ければ全てよしと言うものか」
 ほとほと困ったもんだよ。と溜め息をつく。より凶悪なディアボロに人員を割くのに手を負われ、こういった小物相手には生徒が適宜解決してくれないかと期待をしているのだろう。
「この根城とされている公園には古い城跡があるらしい。今ではただの更地ではあるが、そこに吸血コウモリとともに、魔族の反応があった。こうなれば、警察に任せるよりも、君らが早急に対処せねばならないことが分かる」
 そして長官は咳払いを一つ入れて、改めて声を張り上げる。
「今回はあくまでも、簡単な実地だから君たちに任せるのであって、コウモリの駆除、並びに現地の調査に徹するのだぞ。何か見つけようと、余計なことはするな。良いな。もしそんな癖がついてしまうと、今後自らの身を滅ぼすことにもなりかねん。その辺りをしっかりと肝に銘じるように。それでは、諸君の健闘を祈る」
 先生は言い放つと、話を聞いていた生徒たちへこっそりと現地の地図を配り始めるのであった。


リプレイ本文

●嵐の前の静けさ

 春の陽射しが新芽を照らし、初々しく黄緑色に輝かせる。そんな明るい昼間に、八人は件の公園へ到着した。日が落ちるまでに聞き込みを済ませて、公園内をぐるりと回った。
 準備は万端だ。
 しかし、そんな長閑な風景も夜になれば一変した。森の中は物騒な闇が支配し、風が吹けばざわざわと、不穏な擦れ音が辺り一体を包み込む。
 八人は気合の入った表情で公園と対峙した。
「蝙蝠たちの住処だった場所はここで、街灯はこの辺か。明かりが届く範囲での戦闘を心掛けたいところだよな」
「昼間見て回った通りそうしよう。僕たちは真っ直ぐ頂上を目指そうか」
「それが妥当だな」
 天羽 流司(ja0366)と御影 蓮也(ja0709)が、地図を見ながら相談していた。そこに、獅童 絃也(ja0694)も混じる。
「頂上に隠された土地はなかったな。俺たちは街灯の無かった道を通って、できるだけ暗がりを回り頂上の城跡に辿りつくようにする」
 獅童の言葉に、御影は地図にバツ印を書き込んだ。
 傍観していた神崎浩斗(ja0209)も、重い腰を上げて近づいてくる。
「っと、細かいけど携帯の音もちゃんと切っておかないと。それじゃ絃也さん、よろしくお願いします」
 神崎はのらりくらりと挨拶を交わした。しかし、そのポーチには入念に選定した道具が入っているのを獅童は見逃さない。神崎の手を取り、信頼の握手を交わした。
「礼野君。私たちは一旦、北の端まで行くのでどうだろう?」
「成程。襲われた方の半数もその周辺だったようです。異存ありません」
 一班と二班の言葉を受け、天風 静流(ja0373)が礼野 智美(ja3600)へ相談を持ちかけた。落ち着いた口調で、年上の女性である。提案もスマートで、礼野も落ち着いて受け答えをしていた。
「あはは☆ 楽しみだね!」
「物陰に何かが隠れていたりする可能性もありますので、見逃しがないようにしたいですね〜」
「モチロンだよっ☆」
 そして三班のさらに背後に、エステル・ブランタード(ja4894)とルーミア・M・レギンレイブ(ja6866)が朗らかに会話をしていた。エステルはランタンやカメラを確認しながら、二人で分担している。年の離れたコンビだが、お互いがまとっている和やかな雰囲気は、姉妹のように違和感がない。柔らかな空気を醸し出していた。
「それじゃ、行きますか」
 八人は四班に分かれ、健闘を祈って街灯を背にした。
 それぞれの方向へ、八つの影が伸びていく。


●遭遇〜山頂の戦い〜

 公園の道はところどころ土がむき出しで、靴の底から柔らかい感触がした。昼間なら気持ちの良い木漏れ陽に濡れることができるが、今は濃い紫色のような闇がちらついていた。
 そこに、神崎のペンライトの光が走る。木々の合間を抜けて、生い茂る草むらを掻き分けていく。
「……あの枝、あんなに折れてたかな」
 神崎の呟いた声に、獅童が立ち止まる。
「怪しいな。行こう」
 足元も確認しながら、頭上に折れた枝を辿っていく。
「このまま行くと、山の休憩所につきそうです」
 神崎が地図にライトを当てて、現在地を見失わぬよう進む。
「昼に通った時は屋根とベンチがあるだけだったが……」
 獅童が木陰から覗く。
 その休憩所を見て、二人は息を潜めた。屋根の下には大きな影と、吸血コウモリ五匹が集まっているのが見えた。大きな影は人のような形をしていたが、とても人の大きさではない。巨大化している吸血コウモリにも関わらず、片方の肩に二匹とまれるほどの大きさだった。
「本来なら虎穴に入らずんばだが、今は君子危うきにか」
 そっと、獅童は携帯で撮影をした。
 一人と五匹は何か相談しているように見え、二人は息を飲んでその様子を見張った。ほどなくして、大きな影は森の奥へ去っていく。頂上とは反対の方向のようだった。残されたコウモリは、三匹が頂上の方角へ飛んでいき、ちょうど二匹が休憩所の中で留まっている。
「強さ的には手頃か、上手くさばいてくれよ」
「分かりました。あ、頂上へ連絡しておきます」
「頼む。……では、行くぞ」
 獅童は眼鏡を外すと、凄い形相で吸血コウモリへ一直線に走り出した。

 草むらを踏みつける音で、コウモリたちは一斉に飛び上がる。獅童はすかさずスクロールを広げて光の玉を生み出した。光弾が飛ぶも、コウモリの翼を掠めていく。
「早々あたるものでもないか、ならば」
 獅童は鉤爪を構えた。コウモリは光弾に驚き、獅堂に狙いを定めて降りてきた。そこを狙って神崎が一気に飛び出す。ショートソードを抜き放ち振り下ろすと、コウモリは空中で急ブレーキすることもかなわずしたたかに切りつけられた。しかし、コウモリも負けていない。切りつけられてなお、神崎の腕にしっかりと噛み付いてくるのだった。
「大丈夫か」
 獅童の鉤爪が唸る。噛み付いて離れた瞬間に一閃。そのまま組み伏せて確実に一体を仕留めるのだった。
 もう一体のコウモリが獅童の背後から首元を狙って襲ってきた。獅童は組み伏せた直後の隙で、がぶりと噛み付かれる。素早く体を捻り、もんどりうって振りほどいた。そして、下から上へ鉤爪を振り上げる。
 切り上げられたコウモリに向かって、神崎が渾身の力を込めて刃を振った。コウモリは横一線にまっぷたつになるのであった。
「よし、まずは二体」
「頂上に急ぎましょう」
 二人は息絶えた二匹を見下ろし、すぐさま頂上の三匹を追って走り始めた。

「よくあるホラーだと、こういった森での襲撃が定番だな」
 御影は電話を受けて、森の方を睨んだ。連絡のあった通り、三匹のコウモリが飛んでくる。
「ホラーかどうか。見極めてやろう」
 天羽が明るい光の玉を打ち出し、頂上一帯を照らしだした。コウモリたちはその光に驚いてさっと翼をかざした。翼の隙間から、前方に立つ御影に狙いを定め急降下してくる。
 後方に構えていた天羽はスクロールを広げて光弾を放った。先頭きった一匹が正面からそれを喰らい失速する。背後の二匹はそのまま御影に突撃し、両腕へと噛み付いてきた。コウモリは血を吸おうとするも、それを見越していた御影が許さない。素早く振りほどく。
「羽根を切られれば飛べないだろ」
 御影は打刀を振り下ろした。一匹は翼を斬りつけられる。もう一匹はすぐさま離れて上空へ逃げていった。よろよろと地表付近を飛ぶ一匹へ、間髪入れずに天羽が光弾を撃ち放った。
「その調子だ」
 御影はもう一匹を追って走った。再び急降下してきたのを見計らって、レガースで蹴り抜いた。コウモリは城壁まで蹴飛ばされ、叩きつけられると、地面に落ちそのまま動きを止めた。
「所詮雑魚だな」
 しかし、最初に失速した一匹がまだいるはずだった。しかし、二体にかまっている間に、距離を置いたようだった。
 周囲を飛ぶ羽音を頼りに、二人は警戒して背中合わせになった。視野を補い合う。
「こっちだ」
 天羽が影を見つけてすぐに光弾を撃ち放った。距離もあってかコウモリは難なく避けて、からかうように飛行しながら降りてくる。
「任せろ」
 くるりと御影に入れ替わると、向かってくるコウモリへ向かって剣を一閃。すれ違いざまに斬りつけた。御影は袖口を牙で切りつけられるも、コウモリを地面に切り伏せた。

 どちらからともなくフウと息を吐き出し、武器を納める。周囲に倒れたコウモリを見ていると、神崎と獅童の二人がやってきた。
「良かった。無事に倒したんだな。下で大きな影を見てしまったからな……」
 獅童は写真を二人に見せた。
「蝙蝠と言ったら吸血鬼なんだけど。とりあえず撤退のタイミングは間違えないようにな」
 御影が神妙に頷くと、エステルから着信が入るのであった――。
 

●襲来〜広場の戦い〜

 公園の北側には巨木が乱立する遊歩道となっていた。
 足元を照らす街灯は途切れることなく配置されていたが、頭上を飛ぶコウモリ相手には覚束ない光源だった。
 天風と礼野は、暗くて見えないところだけ懐中電灯を使った。大木に穿たれた洞をのぞき、崖に出来ている穴の奥など細かいところまで調べていく。
「ちょっと、あれ!」
 と、天風が礼野を呼んだ。
 その視線の先は、ゴルフ場に続く雑木林だった。人通りが少なくなっていたのか、雑草が人の背の丈ほどに伸びている。そして、その生い茂る雑草の間に、小規模なゲートができているのが発見できたのだ。
 天風は周囲に気を配りながら、携帯で撮影した。暗くて鮮明な画像ではないが、ゲートを確認するのに十分な画像が映っていた。
「これ以上は危険ね……」
 悪魔の姿は確認できないが、この距離で鉢合わせたら洒落にならない。二人はすぐさま遊歩道の方向へ向き直る。
「キィ!」
 そこに、吸血コウモリが飛び掛ってきた。
「くっ!」
 撮影の僅かな隙を突いて、コウモリが背後から接近してきていたのだ。天風はハルバードを構えると、瞬間的に体内のアウルを爆発させて、横に凪いだ。高速の一撃はカウンター気味にコウモリを捉えると、一撃で真っ二つにした。ぶわっと雑草も腰の辺りで刈られて、視界が一気に開ける。すると、四匹ものコウモリが飛んでくるのが見えた。
「ここは一旦、集合場所へ!」
「はい!」
 天風が走り出すと、礼野も立ち上がる。苦無を投げて牽制してから、街灯前へと駆け出すのであった。

 この、道を走る騒がしい足音がエステルの耳に届いた。
「何かありましたか?」
 エステルが顔を出す。
 エステルは公園に併設された総合施設の周辺にいた。そこで地面に描かれた魔法陣をカメラに収め、妙な雰囲気を持った赤い玉を拾ったところだった。大きさはちょうどビー玉くらいである。
「エステルさん! ルーミアさん! コウモリが来たわ!」
 エステルの間延びした声に、駆け抜けるようにして天風が答えた。エステルはすかさず身を翻し、遊歩道に飛び出す。
「ルーミアさん! 行きましょう!」
 エステルが声をかけ、天風と礼野の背を追いかけながら走り出した。
「さぁて、張り切っていこう!」
 同じく探索していたルーミアも、すぐさま三人の後を追って走り出す。
 しかし、コウモリたちも素早い。遅れたルーミアに狙いを定めて、すぐ背後まで迫っていた。
「ルーミアさん、こっち!」
 先に街灯の下に立つ三人が武器を構えてルーミアを呼ぶ。エステルは光の粒を一帯に生み出し、周囲を照らした。街灯とあわせて、より広い範囲を明るく照らす。
 走り抜けるルーミアの背後から、コウモリが二匹噛み付いた。左足と右腕に噛み付かれ、走っていた体勢がよろめく。
「ルーミアさん、大丈夫!?」
 転ぶルーミアへ、エステルがすかさずライトヒールを送り込む。
「んふふ、いけない子」
 ルーミアはコウモリを振り払うと、一瞬黒い光に包まれ、その姿を一変させた。再び現れた姿はすらりとした長身で、長髪になっている。その長い四肢でカットラスを構えると、コウモリが空へ逃げる前に、翼を狙って切りかかる。
「ほぉら、お逃げなさいな」
 ルーミアは余裕の笑みを浮かべてカットラスを閃かせた。コウモリは切り付けられ、ルーミアから一旦距離を取った。
「深追いは禁物ですからね。慎重に行きましょう〜」
 エステルの声に促され、周りを三人がカバーして陣形を整える。

 コウモリは四人の周りを周回していた。まずはそこへ、エステルが先制攻撃を放つ。スクロールを広げて光弾を打つと、コウモリは十分な距離を取っていたためひらりとかわした。
 その動きを利用して、エステル目掛けて急降下してくる。首筋を狙って飛んできたのを、エステルは地面に転がって交わした。その一瞬の攻防の間隙を縫って、天風が高速の突きを打ち込んだ。その矛先が見事にコウモリを貫く。
 しかし、一匹を倒したところで、次のコウモリが天風に噛み付いてきた。肩に噛みかれて血を吸われるところを、ルーミアが引き剥がそうとした。カットラスを振るうも、コウモリは読んでいたのか、ひらりとかわす。
「いつまでものさばらせはしませんよ」
 ただ、そのルーミアの攻撃もフェイントとなり、礼野が石火で一刀両断に切り伏すことに成功する。
 陣形を立て直し、四人は周囲に視線をめぐらす。残った二体を探して、エステルが周囲に目を凝らした。しかし、二匹の姿が見えない。
「礼野君! 下だ!」
 そこに天風が叫ぶ。礼野の足元を狙って、地面を滑るように二匹が突撃してきていた。
 天風がカウンターを狙って立ちはだかり、ハルバードを真っ直ぐ振り下ろす。しかし、滑空するコウモリを直線では捉えられない。コウモリは素早く礼野へ接近して足首へ噛み付き、ダメージを与える。
 痛みに耐えながら、礼野は逃がさんと痛打でコウモリの翼を打った。よろよろと地上を這うコウモリ。すかさずルーミアが止めを刺した。
 もう一体も、エステルが逃がさない。ロッドでぱこんと打ち落とすと、さっきの空振りを挽回するように、天風がどすんと石突で押し潰した。
「キィ」
 コウモリは一鳴きして、そのままぐったりと倒れるのであった。
 天風はハルバードの柄を持ち上げ、くるくると回して鞘へしまう。三人も武器を納めるのだった。安堵の溜め息が漏れる。
「これで五匹ですよね。あちらがどうなっているか、聞いてみましょうか」
 エステルはさっと携帯を取り出すと、御影へ電話を掛けるのだった――。


●吸血コウモリの討伐、完了☆

 ――こうして、御影は電話を受けたのだった。
「五匹倒しましたよ〜。そちらはどうですか〜?」
「そうか。こちらも五匹倒したところだ」
 エステルが五匹倒したことを報告すると、頂上でも五匹倒したところだったとお互いに報告しあう。上手く班行動を取れたことで、難なく十匹の吸血コウモリを討伐することができたのだ。
「討伐は完了したんだ、この場はいったんこれくらいで帰ろう」
 御影の言葉に、エステルも了承して電話を切った。

 頂上から四人が降りてくると、お互いの姿が戦闘の様子を物語っていた。
 御影の袖口が裂け、神崎や獅童、天風や礼野に噛み付かれた後が残っている。神崎はポーチから簡単な救急セットを取り出すと、袖口を縫い、傷口に絆創膏や包帯を巻くのだった。
 八人は無事にコウモリを倒し、怪しい証拠を持って久遠学園へと帰路につく。
「吸血コウモリを従え、ゲートもある。天魔が活発なのは間違いないようだ」
「ああ。大きな影を見たよ。あいつに見つかってたらやばかったな」
「それにこの……ビー玉でしょうか? 調べてもらう価値はありますよね」
「あはは☆ とにかくこれで安心だよね☆」
 天風や獅童はカメラに収めた写真を神妙に眺め、エステルも拾った証拠品に神妙に頷くのだった。
一方、それはそれとして、今回の成果を確認して明るいルーミアに、一堂は達成感とともに公園を振り返った。
 公園では、ぱたぱたと普通のコウモリたちが空を埋め尽くしている。吸血コウモリがいなくなり、元の住処へ戻っているようだった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 凛刃の戦巫女・礼野 智美(ja3600)
 癒しの霊木・エステル・ブランタード(ja4894)
重体: −
面白かった!:3人

撃退士・
神崎浩斗(ja0209)

大学部5年1組 男 ルインズブレイド
終演の舞台に立つ魔術師・
天羽 流司(ja0366)

大学部5年125組 男 ダアト
撃退士・
天風 静流(ja0373)

卒業 女 阿修羅
厳山のごとく・
獅童 絃也 (ja0694)

大学部9年152組 男 阿修羅
幻の空に確かな星を・
御影 蓮也(ja0709)

大学部5年321組 男 ルインズブレイド
凛刃の戦巫女・
礼野 智美(ja3600)

大学部2年7組 女 阿修羅
癒しの霊木・
エステル・ブランタード(ja4894)

大学部9年139組 女 アストラルヴァンガード
撃退士・
Lumia Reginleif(ja6866)

大学部2年198組 女 阿修羅