.


マスター:火乃寺
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:6人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2013/04/30


みんなの思い出



オープニング

『みゃ〜♪』
「いやマジ止めれ理性が吹っ飛ぶって食っちゃうってやばいってうぬわぁああああ!?」
 じたんばたんと一人頭を抱えて悶え始めた青年を猫…耳と尻尾をつけた少女が、小首を傾げて眺めていた。


 事の起こりは…デートの約束をしていた彼女が、二時間待っても待ち合わせ場所に現れず、携帯も不通。
すわ何か遭ったのかと狼狽てて彼女が借りている借家に来て見たのだ。
急く気持ちを抑え、渡されていた合鍵で鍵を開けるのももどかしく飛び込んでみたものは――

『にゃ?』
 玄関で器用に足を上げ、耳の裏を掻く(勿論猫の方)その姿だった。
「何してんだお前…」
 心配し来て見れば…と肩を掴んで揺さぶってみる。
『みゃ、にゃぁっ、ふみゃっ』
「いてっ!? お前ふざけるのもいい加減に…!!」
 引っかかれ、赤く線を引かれる青年の頬。双方が撃退士であったから未だ良かったが、下手に一般人であれば引っかかれた相手は相当な怪我を負ったであろう。
 それくらいに力を込められていた一撃。
 頭にきて、猫の耳らしき漬物を引き剥がそうと手をかけて――
「…え?」
 温かい人肌の温もり。さわさわと指を這わせると、擽ったいのか目を細める少女の仕草に合わせ、ぴくぴくと動く。
「よ、よくできてるなー、じゃあこっちも」
 がっしと尻尾を鷲掴んだ次の瞬間――

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 総毛立った少女の全身全霊(スキル込み)の一撃を避ける間も無く喰らって意識は闇に堕ちたのだった。


 で。
 目を覚ましてからも、変わらず様子の変な彼女。
 色々試してみたが、正気に帰る様子もなく、完全に猫(人)化してしまっている。
「…コリャ病院に連れて行くしかないのかね。いやでも、そもそも何が原因で?」
 えいぷりるふーるですからっ!と天の声は答えます(←)
「? 今何か言ったか?」
『ふあぁ…』
 問いかける青年に答えず、少女はこしこしと前足…というか手の甲で顔を拭い。
 くたり、と彼の膝へと身体を預けます。
「うぉっ?」
『ふみゃ〜ん♪(すりすり)』
「ば、ちょ、お前何処に顔擦りつけて…やめんかはしたない!!?!」
 何処だったかはご想像にお任せします(ぉぃ)

 ――で、その後も散々すりすりうにゃうにゃ怒涛の如き甘え猛襲撃!
 青年の理性は破綻寸前と相成り――
「お兄さんは理性がリミットブレイクです」
『みゃあ?』
「なので今此処でニャンニャンしちゃおうかと思います」
『ふみゃ』
「可愛いぞこんちくしょぉおおおおおっ!!!」
(よっしゃ、かかったぁ!)


――事の真相は、奥手な彼氏をその気にさせるため、猫好きな部分を攻めてはどうかという友達の進言を、どうこをどうやったらこうなったのかしらないが曲解した、彼女のたくらみでしたとさ!
因みに、耳と尻尾はどこぞの化学の先生が遊びで開発した薬を使ったとの事。ほら、強化失敗するとよくいらっしゃるじゃない♪(笑顔)
つまり人体の突然変異やk(打撃音)



リプレイ本文


(…身体が猫とかどういうことなの)
 姿見の前で途方にくれつつ、上げた掌の肉球を柊 朔哉(ja2302)は見つめる。
(屋内だったから良かったけれど)
 どうしてこうなった。そういえば昨日、科学室でお茶を呑んでから体調が妙だった気がするのだが――。
 改めて鏡に映る自分を見る。白毛に赤い両眼。艶やかな毛質はその永く伸びた尻尾の先まで整い、どこか気品を感じさせた。
 何故か首にチョーカーが嵌っているのだが、これどこから出たの?

 がちゃり

『ふみゃ?!』
「おーい、朔哉?」
 突然扉が開き、柊 夜鈴(ja0941)がひょっこりと顔をのぞかせた。
 実はさっきからノックされていたのだが、動転していた彼女は気づいていなかったのだ。
 因みに彼女と彼の苗字が同じなのは偶然ではなくてですね…つまりよろしい。爆ぜろ手前ら!

「おかしいな…って、あれ?」
『にゃうぅ〜、にゃっ、にゃぁあん!』
 首を傾げて室内を見回す少年の足元に、一匹の小動物が駆け寄ってくる。
(猫…朔哉飼ってたっけ?見覚えないけど、でもあるような…)
(よすずー、へるぷっ!へるぷなのにゃ!)
 ぴょんこぴょんこと、まるで二本足で立ち上がろうとするように前半身を跳ね上げ、両前足を広げ必死にアピール。
 しかし。
「はは、可愛いな。ご主人様はどうしたんだ?」
(え、ご、ご主人様…そ、それは夜鈴なのにゃ〜)
 見た目では分からないが頬を染める猫。因みにご主人様の意味が二人の間でかなり距たっている。
 それが彼女であると気づかずひょいと抱き上げる夜鈴。
「服までこんな散乱して…らしくないなぁ」
『みゃぁん、みゃぁ!…(だからこれが私!…って、あ、夜鈴の匂いだぁ…)
 胸に抱き上げられ、優しく頭をなでられ。その内ゴロゴロと喉を鳴らし、愛し人の少年の胸に鼻を押しつけたり。
「んー、何処いったんだろ」

 ――それから暫し。
 結局屋内に彼女はいないと結論に至った夜鈴は、居間のソファに腰を下ろしていた。
『ごろごろ♪』
「おかしいなぁ、どこに言ったんだろ」
 お探しの相手は、キミの膝の上で撫でられながら頭こしこし擦り付けているよ!
 やがて昼の陽気に当てられて、いつの間にか眠りに落ちる少年。その顔を見上げ、朔哉は眩しそうに目を細める。
(夜鈴…格好良くて、優しくて、いつも気遣ってくれて…そんな貴方の全てが私は愛おしい)
 ひらりとソファの背に飛び上がり、更に少年の肩を伝い。
(だからずっと、傍において欲しいんだよ…夜鈴)
 彼の頬に鼻先を押し当て、甘える様に一声鳴いた。

 …
 ……―
(んん…なんか、ひざが重いな…)
 微睡みの中から浮上する意識。うっすらと開き始めた瞳がそれを捉え――次いで大きく瞠目かれる。
 処でお気づきだろうか。猫になった時点で朔哉は全裸である。
 で、あの後彼の膝の上で一緒にお昼寝としゃれ込んで…その間に元に戻っていましてね?
「…ふぅ…ふぁああ…」
 同時にもぞもぞと、身体を丸めていた彼女も目を覚まし。
「…ぁ、よすず…おはよぉ」
「え、あ、うん。おは…よう」
 ぽわんとした様子で寝ぼけ眼を擦る彼女に、夜鈴はさっと顔を反けて答える。
「? どうしたの、よす…!?っ」
 何となく肌寒い、思って自分の身体を見下ろした彼女は。

「ッッぅ―――!!?!」
 声にならない悲鳴を上げて、朔哉は猛然と自室へ、文字通り裸足で逃げ出した。

「入るよ、朔哉」
 ノックをしても返事のない彼女の部屋に踏み入ると、ベッドの上の毛布がこんもりと盛り上がっていて。
 くすりと少年は笑い、その傍ら、ベッドの橋に腰掛ける。それに気づき、もぞもどと芋虫のように離れようとした相手を、夜鈴は後から抱きしめる。
「猫になった朔哉は甘えんぼだったね。可愛かったよ?」
「あうあうあう…」

 その後どうなったのかは…ご想像にお任せしよう。


 約束の時間になってもやってこない如月 敦志(ja0941)。気になり様子を身に来た彼女が玄関を開けてみれば。
 途方にくれて座り込む“それ”がいた。
 短毛の這えたピンととがった蒼い耳を生やし。お尻に生えた尻尾をくるりと丸め黄昏る半猫姿。
「ナニそれ!何これ〜っ!どうしちゃったのその姿っ!!!」
『にゃぁ』
 恨めしげに鳴く彼…の現状に栗原 ひなこ(ja3001)の第一声がそれだった。

 昨日、とある教師の手伝いをして貰った飲み物。
 育毛にいいといわれて(何故そう言われたのか分からない)呑んだ翌朝。こうなっていたのだ。
 外に出て行く訳にもいかず、多分知り合いに見つかったら指刺されて大笑いされる。
 かといって彼女に連絡しようにもどう説明すればいいのか。で黄昏ていた訳である。
「よく出来てるねー。これどうやって付けて――」
 触りたい、なんか柔らかそう!
 くるりと彼の後に回りこんで、尻尾を手で掴む。ふにふに。
「って、真物っ!?」
「にゃううぅ…」
 作り物ではない、艶やかな繊毛の感触、伝わってくる体温。触られるのが擽ったいのか、彼女から逃れよう身を捻る敦志。
「…ってことは、その耳もっ!?さ、さわらせてー!」
『にゃあっ』
 さっと立ち上がる彼に、ぴょんぴょんと跳ねてしかし届かない身長差。
 不貞腐れた様に背を向けて部屋に戻ろうとする彼に。
「あ、こらっ!逃げるなぁ〜!!」
 きらりっ☆
「とーうっ!」
『ふぎゃあっ!?』
 背後から猛烈なタックルが、彼を廊下に押し倒す。勿論それをかましたのは――
「うふふふ、よいではないかよいではないか〜♪触らせてたもれっ☆」
『みゃ、にゃあっ!?うにゃあああっ!』
 じたばたと必死に抗議する敦志だが、猫後では何を言っても伝わらない。伝えてやるものか爆ぜろ!
(んーもぉ、じっとしててくれないと触れないよぉっ)
 背中の上を這い登り、ぎゅうっとその胸に彼の頭部を抱きしめるひなこ。
『!』
 それなりな存在感を主張するアレがデスネ。柔らかく彼の後頭部にアレした訳でして。
「わぁー、触ると動いて面白〜いっ!」
 動きの固まった彼の胸中にも気づかず、ひたすらその猫耳を愛でるひなこ。
(そういえばにゃんこはブラッシングすると喜ぶけど…今の敦志くんもそうかなぁ?)
 思いつき、手持ちのブラシを取り出して櫛をいれ始める。
「にゃぁ〜…」
 観念したのか、もうどうにでもしてくれの敦志。
「あ、ブラッシングって意外と毛が脱けちゃうんだね」
 てへぺろ☆
『みぎゃあああっ!?』
 猫になっても宿命(ネタ)。合掌。


 とあるマンション――
 部活の一室として使われている部屋に少年は居た。
 今日は莓みるく祭り(と言う名のデザート食べ放題)に呼ばれたのだ。
「俺が一番乗りかぁ…お?」
 卓子に用意された色取り取りのお菓子を見ると、もしかしたら先刻までは誰かいたのかもしれない。
 と、端にあった瓶入りの飲料に目が留まる。
「…飲み物くらいなら、先にいいかな」
 丁度喉が乾いていて、それを手に取ったほむらは多少の後ろめたさを感じながらも一息に瓶を呷り――意識を失った。

 ふんわりとした、優しいそよ風のような。そんな雰囲気を纏った少女が、部室へとやってくる。
「こんにち…へ?」
 扉を開け、いつもの部屋に入った彼女が見たのは
『ふにゃ?』
 テーブルの上でお菓子を食い散乱す、猫耳少年の姿。
「は?はれ?え、ええと…ふえっ!?」
『もっきゅもっきゅ…♪』
「ほ、ほむら…?」
 頬一杯にお菓子を頬張り、ご機嫌な様子で尻尾を揺らすその相手は、よく見れば少女の――蓮華 ひむろ(ja5412)の彼氏、姫路ほむら(ja5415)であった。
「ね、ねぇ、何やってるの?」
『にゃあ♪』
 戸惑う少女に取り合わず、猫少年は尻尾をくいくいと折り曲げ、手招きするように揺らす。
 どうやら『一緒に食べよう』と言っている様子だった…多分。


 それから暫し、状況把握に努めた少女だったが、猫語?しか口にしない彼に諦め、いつの間にか何事もなかったように二人でお菓子を賞味していた。
 途中で満腹になったのか、猫少年は卓子の一角のお菓子を排け、そこで丸くなってゴロゴロと少女に喉を鳴らす。
「まったくあんたは…なんだってこうなってるのよ」
 その喉を撫でながらティーカップを傾けていた少女は、突然閃いたようにスケッチブックを取り出す。
「ほむら〜、ちょっとそのままでいてね」
『みゃん?』
 小首をかしげる猫少年。その前でスケッチを取り始める少女。
「あ、もうちょっとこう上目遣いで…そうそう、あと鎖骨が見えるように肩を開けて〜」
『にゃ〜♪』
 少年の性なのだろうか、どこか嬉しげに少女の注文に答え、ポーズを取っている。
「そうそう、いいよ〜!」
 手元のスケッチを覗いてみると…ええと、そのええと…ごめんなさい。●●が◎◎◎されていてとても口に出せません。
『みゃぁん♪』
「うふふ…ふふ、うふふふふふ」

 後日、元に戻った少年がこの絵を見つけ、一騒動あったとかなかったとか。


 一つの影が、疾風となって駆け抜ける。その先には男子寮の一つがあった――。
「うわ、な、なんだ!?」
 突如飛び込んできたそれを目にした学生が目を丸くする。そこに放たれる凶爪!
「うぎゃああああっ!」
「ナ、ナニ事だ?!」
 上がる悲鳴に、寮監が飛び出してくる。そして見た。
「お前…ここは男子寮だぞ、何しに…こ、こらとまれ!!」
『ふしゃー!』
「うおおおっ!」

「なんだろ…騒がしいな?」
 徐々に近づいてくる騒音に、レグルス・グラウシード(ja8064)は自室の扉を開け、廊下に出る。
『にゃんにゃかにゃー★』
「うわぁあっ!?」
 その横手から、いきなり何かに飛びつかれて諸共に倒れる。
「って、ふゆみちゃん?ど、どうしたの?」
『にゃーりん…にゃふふ☆』
 彼の問いかけに答える様子もなく、最早思考がどこか飛んでいた新崎 ふゆみ(ja8965)は抱きついた少年に頬を寄せ、すりすりにゃんにゃん♪
「ちょ、はずかしいから離れ…」
「「「ぐ〜ら〜う〜し〜い〜ど!!!」」」
「え、なん…ひぃいいい!?」
 おどろおどろしげな呼びかけに視線を運らし、青褪める。
 そこには、顔や手足を引っかき傷だらけにした寮生や寮監の姿。この場にいては殺される、それだけは確実な気がした。
「ご、ごめんなさいーーーー!」
「「「またんかゴラぁあああっ!!!」
「うひいいいいいいっ」
『にゃぁん☆』
 逃げる少年に抱きついたまま、騒動の発端である少女は幸せそうに、楽しそうに一声鳴いた。

「どうしてこんな事に」
 何とか逃げ切り、ほとぼりを冷ます為に紛れ込んだ公園。
 二人並んで氷菓子を頬張りながら、温かくなってきた陽射しに目を細める。隣で逸早く食べ終えた猫少女が、少年に擦り寄り甘い声を上げた。
「これ、真物なの?」
 言って尻尾を旭と撫ですると
『にゃふっ』
 ゾクゾクッと身を震わせて、僅かに後ずさる少女。どうやら、そこを触られるのは苦手らしい。
「あ、ごめん。…真物、みたいだね」
『にゃう〜』
「はぁ」
 一緒にいるのは、喩えこうなってしまっても楽しい。それは確かなのだけれど。
「猫のふゆみちゃんも可愛いけど…僕はいつものふゆみちゃんがいいな」
『みゃ?』
「普通に、色んな事をおしゃべりしたり…笑っている時のふゆみちゃんが…僕は好きだよ」
『ふみゃう〜…』
 では今の自分は駄目なのか、と少年の言葉を理解した猫少女は肩を落とし項垂れる。 
 その様子に、慌ててフォローをいれて慰める少年に、再び甘え抱きつく。
「うわぁ、ちょっと当たってる、当たって」
『にゃふにゃふぅー♪』
 あててんのよ状態に顔を真っ赤にする少年の腕に縋り、猫少女は再び、あの幸せそうな微笑を浮かべた。


「面白い物を手に入れました♪生耳尻尾の猫化薬だそーです♪」
「猫化?」
「論より証拠、使ってみるが易しですよ♪」
 好奇心旺盛な笑顔を浮かべ、礼野 真夢紀(jb1438)は手に取った瓶の栓に手をかける。が次の瞬間、足元にあった何かに足を滑らせ。
「いひゃっ!?」
「あ、あぶ――っ」
 偶々遊びに来ていた姉の親友、美森 あやか(jb1451)は、咄嗟に倒れ掛かるその身体を受け止め。しかし、倒れた拍子に放り上げられた瓶は、既に栓が緩み…天井近くまで飛び上がったそれは、上下を逆さにして盛大に中身を下方にぶちまけた。

「どうしてこうなった」
 お茶を持って戻ってきた礼野 智美(ja3600)は、部屋を離れた事を悔いた。
『…にゃ?』『ふみゃぁ…』
 茶毛の耳に白斑点の尻尾を生やした妹らしき何かと、似たような状況の親友。
 床に転がる空き瓶を見つめ、大体を察する。面白い薬を手に入れたと聞いてはいたのだ。
『…みみゃ、みゃー!?』『みゃぁお』
 多分驚きあっているのだろう、顔を見合わせる二人だが、何を言っているのか智美には分からない。
「…ともかく彼に先ず連絡を…」
 あやかの義兄(兼恋人)である美森 仁也(jb2552)に事情説明せねばならない。
 妹のしでかした事の始末の先を思い、深く溜息をつく姉を見上げ。
『み?』
 妹は不思議そうに首を傾げ、次いで前足で顔を洗った。

「すみません、うちの妹が――」
「ああ、事情は分かったよ。まあ――」
 バタン。
 事の説明を受けた仁也は、扉を閉め振り向き…戻ってきたあやかの姿を見て苦笑する。
『…ふみゃあ』
 座り込み、途方にくれた様に一鳴き。
 猫の身体では当然ながら家事一切が不可能だ。白い耳はぺたりと伏せ、尻尾は力なく垂れる。
 その様子に妹の内心を察した兄は、ぽんと妹の頭を一撫でし、笑う。
「久しぶりにご飯は俺が作ろうか。幸い、仕事は休みだし」

 だがしかし。
 食事を作ったはいい、その食べ方に困ったあやかを傍に座らせ食べさせるのも、まあいいだろう。
 問題は、彼女が隣に座るだけで飽き足らず、彼の膝の上にまで乗ってくるだけにあきたらず、やたらと身体を摺り寄せて甘い声で鳴くのだ。
(小さい頃みたい)
 と昔を思い出し甘えているあやかに他意はない。それが分かるからこそ、耐える方には拷問で。
(ちょ、胸が…ああ、首筋から肌が…スカートがめくれてぇえええ!?!)

「頼む預かってくれ!まだ手を出したくないんだ!!」
「ああ…ええと、ですよね」
 激しいチャイムの音に来客を迎えた智美が見たのは、顔を真っ赤にして頭を下げる仁也と、理由を傍で聞いて同様に赤くなる友の姿。
 事情は十分すぎるほど理解できた。
「分かってます、風邪の時と同じ理由でしょう?」
 似たような事が、前にもあったし。むしろ。
「…まゆの所為で御免な」
 今回は身内のしでかした事ゆえ、尚更引き受けない理由はなかった。

『みゃあ?』
 一度帰った筈のあやかが、再び戻って来たは不思議だったが。
 と言うわけで真夢紀はあやかをお昼寝のベストプライスにお誘いする。といっても姉の部屋なのだが。
 日当たりの良い窓辺、ふかふかのラグカーペットの上でいつの間にか眠りに落ちる二人を、戻ってきた姉は微苦笑を浮かべて眺めるのだった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

茨の野を歩む者・
柊 朔哉(ja2302)

大学部5年228組 女 アストラルヴァンガード
懐かしい未来の夢を見た・
栗原 ひなこ(ja3001)

大学部5年255組 女 アストラルヴァンガード
主演俳優・
姫路 ほむら(ja5415)

高等部2年1組 男 アストラルヴァンガード
ひょっとこ仮面参上☆ミ・
新崎 ふゆみ(ja8965)

大学部2年141組 女 阿修羅
芽衣のお友達・
礼野 真夢紀(jb1438)

高等部3年1組 女 陰陽師
腕利き料理人・
美森 あやか(jb1451)

大学部2年6組 女 アストラルヴァンガード