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マスター:久生夕貴
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/06/26


みんなの思い出



オープニング



 その先を、識りたいから



●宵闇の彼方

 その日、悪魔リロ・ロロイ(jz0368)はある悪魔の元を訪れていた。
「おや、珍しいですね。あなたの方から尋ねてくるのは」
 相手の悪魔は猫のような瞳をどこか楽しそうに細める。
「兄君はどうですか」
「うん。動けるようにはなったけど、まだ戦えるような状態じゃないかな」
 リロの兄カーラは、先日の撃退士戦で瀕死の重症を負っていた。その傷の深さは仲間の回復を持ってしても治しきれるものではなく、現在もエンハンブレ内での療養が続いている。
「近々アルファールたちが、サイタマの方で色々やるみたいだけどね。兄様は留守番のはずだよ」
 相手はそうですか、と涼しげな調子で返す。その表情はカーラを案じるよりも、興味津々といったところだろう。
「それで、何か用があったのでないですか」
「うん。実はそのサイタマ作戦がある日のことなんだけど。この日は多くの戦力をそっちに割くから、ウツノミヤはボク一人に任されてるんだよね」
 そこでリロはいったん視線を落としてから、意を決したように顔を上げる。
「以前、キミはボクに言ったよね。欲しいものはその手でつかみ取れって」
「ええ。言いましたね」
 紫水晶の瞳が相手を捉えると、はっきりと告げた。

「ボクと取り引きしてほしい」

「ふふ……”手を貸せ”とは言わないのですね」
「言わないよ。これ以上借りるのは嫌だから」
 聞いた悪魔は、さもおかしそうに微笑んでみせた。
「いいでしょう、話してみなさい」

 ※

「……ほう、なかなか面白いではありませんか」
 リロの話を聞いた悪魔は、明らかに興が乗った様子だった。
「こういうのは、キミの方が得意だろうし。頼めるかな」
 その代わり、と告げられた内容に悪魔の口元がほころぶ。
「成る程。悪くない話ですね」
「じゃ、交渉成立ってことでいい?」
 了承の返事を受け、少女はほっとした様子で息をつく。
 こんな大胆なことをやろうとしている自分が、信じられなかった。けれどこのタイミングを逃すと、彼らに返す機会はもう訪れないと判断した。
(……ボクも覚悟を決めないとね)
 目前で微笑む悪魔には、到底及ばないけれど。

 自分だって、賭けてみたかったのだ。

 踏み出した先に、何があるのかはわからない。足下を見失い、途方に暮れることだってあるだろう。
 それでも今の自分にあるのは、選んだ果てへの恐れよりも、識りたいという強い欲求。
 そのことに、気づいてしまったから。


●数日後・埼玉県某駅

 その日も、いつもと変わりない一日が始まるはずだった。
 かつて、つくばと秋葉原を結んでいた路線は終着駅がゲートに飲み込まれても途中駅で折り返して運転を続けている。
 平日の八時前、通勤ラッシュがピークに達する駅。列車の扉が開くと降車する客と入れ違いにその何倍もの客が乗り込んでいく。
 客車のドアが閉まる。発車のメロディが響く。揺れに備えて立っている乗客たちが身構える。
 ……が、何も起こらない。動き出さない電車に乗客たちがざわめきだす。

『あーあー、テステス。皆さん、聞こえてますか?』
 車内放送から場違いな明るい声が響く。
『突然ですが、この電車は俺が乗っ取りました。秋葉原行き普通列車、ただいまよりつくばゲート行き特急となりますので勝手ながらご了承ください』

 乗客たちのざわめきが大きくなる。車内放送の向こうで男が嗤った。
『言っただけじゃーみんな信じないだろうけど。これから俺、運転手さん連れて一番後ろの車両に移動するから、ホームで証拠見せるねー。なお、この様子は動画サイトで中継してます』

 そして、ホームに彼は現れた。
 顔面蒼白の運転手を引き連れて、スマホで自撮りをしながら歩いていく赤い髪の若い男。
 ヴァニタス・葉守庸市(jz0380)がヘッドセットのマイクに何事か囁きかけた時、惨劇は起きた。


●久遠ヶ原

 冥魔による列車ハイジャックの一報は、久遠ヶ原にも瞬く間に広がっていた。
 集まった斡旋所職員の前では、SNSに投稿された現場映像が次々に流されている。
「すみません! 今のシーンもう一度お願い出来ますか」
 画面を凝視していた西橋旅人(jz0129)は、巻き戻した映像を見て確信めいた表情になる。
「あの頬の刺青……間違い無い」
 映っていたのは、頬に小さな刺青のある男の姿。
 二ヶ月ほど前の新幹線襲撃事件で対峙したディアボロだった。
「このディアボロを使役する悪魔に心当たりがあります。……恐らく、今回の事件は複数の冥魔が関与しているのではないかと」
「もしかして……ケッツァーですか?」
 坂森 真夜 (jz0365)が発した言葉に、スタッフの表情が一層深刻さを増した時だった。

「報告! 埼玉・大宮駅と栃木・宇都宮駅で悪魔の襲来を確認!」

「な……」
 次々に舞い込む凶報に愕然となる者、やはりという表情になる者。
 騒然となる斡旋所内で、その言葉が告げられる。

「一刻の猶予もない。今すぐ生徒を集めろ!」


●栃木県・宇都宮市

 宇都宮駅に駆けつけた撃退士の目には、異様な光景が映っていた。
「な、なんだこれは……」
 駅前のペデストリアンデッキ上には、駅入り口を塞ぐように巨大な結界が張られている。以前までは存在しなかったため、悪魔の仕業であるのは間違い無かった。
「あそこが入口かな……」
 一人が指さした先、結界の一部が扉のようになっている。それ以外に目に付くものはなく、結界内部は外からでは視認することができない。
 扉に近づいた撃退士は、そこに書かれた謎の言葉を目にした。

『はんとのやかた』

 ……なんだこれ。
 若干アレな予感がしたが、入らなければ結界解除はできないだろう。
 恐る恐る扉を開いてみると――中から声が響いてきた。

「待ってたよ」

 ふわりとなびく桃色のボブヘアー。
 現れたメイド服姿のリロ・ロロイが、撃退士へ向け一礼してみせた。
「ようこそ、『ハントの館』へ」
 彼女が顔を上げた瞬間、扉が閉じられ地面から巨大フィールドがせり上がってくる。辺りは煌々とした明かりに照らされ、何やら楽しげな音楽まで聞こえてきた。
「今からキミ達には、これを使ってボクとゲームをしてもらう。キミ達が勝てば結界を解除し、この駅を返すよ」
「……この駅を?」
 予想外の言葉に、撃退士は思わず聞き返してしまう。
「そう。もちろん、ボクも手は抜かないけどね」
 見ればフィールドは細かいマス目で区切られており、各目には何やら怪しげな陣やらディアボロの姿も見える。
 何かしらの仕掛けがあるのは明白だろう。
 もし自分たちが負けたら? と問う声に彼女は僅かに微笑んだ。
「ボクは何度だって挑戦を受けるよ」
 つまりは、自分たちが諦めるまで挑戦し続けられるということ。
 リロは撃退士を見渡してから、改めて一礼し。紫水晶の瞳に、どこか昂揚の色を映しながら告げた。

「じゃ、ルール説明を始めるね」



リプレイ本文




 ●REC




「それじゃ、俺のルートを申告するぜ!」
 フィールドを見渡した若杉 英斗(ja4230)が、バァーンと宣言した。
「俺はH4の敵を倒しに行くぜ!(ババァーン」
 このノリで合っているか謎だが、大事なのは勢いだって誰かが言ってた。
「うにうに、面白そうなんだね!」
 浮き浮きとスタート地点に立つ真野 縁(ja3294)は、瞳を光らせる。
「しかしなんというか、某あの人のにおいがするんだよ」
 もちろんデラックスな方ではない。断じて。
「ストーカーの鼻はごまかせないんだね!(ズァ」
「お姉ちゃん…元気そうで…ジャスティス…」
 リロの隣に立つベアトリーチェ・ヴォルピ(jb9382)は、ほんの少し嬉しそうに。
「勝ったら…お姉ちゃんを…ぎゅ〜ってして…負けたら…お姉ちゃんに…ぎゅ〜ってされる…権利…狙う…」
「ふふ。わかった、約束するよ」
 リロは頷くと、負傷中の川澄文歌(jb7507)を振り向く。
「フミカ、大丈夫?」
「お、大怪我ですが、頑張ります」
 大事な友の誘いなら、どうしても応えてあげたかった。
(リロさん。もし何か決められたのなら、答えを聞かせてくださいね)
「しかし、いったい何のつもりだ?」
 久我 常久(ja7273)と長幡 陽悠(jb1350)は、リロの行動について思案していた。
「俺達にとって有利なルール…どう考えても、こちらが勝つ前提ですよね」
「だな。これが【答え合わせ】なのか? 嬢ちゃん」
 常久達の視線先で、リロは微かに笑んでみせた。

「キミ達が勝てば、答えるよ」

 開始の鐘が、鳴り響いた。


●第1ターン

「じゃあまず、ボクが手本を見せるね」
 リロはそう言って、隣のマスへ踏み出す。すると足下で陣が展開され、彼女の身体を光が包み込んだ。
 ぺかー

 リロは狐巫女に変化した!

「こんな感じ」
 ぴこんと生えた狐耳に、モフモフ尻尾。
「お姉ちゃん…かわいい…」
 ベアトリーチェ達が胸キュン(精神値低下)する奥で、縁が歓声を上げる。
「おお凄いんだね! さっそく縁もやるんだよ!」
 意気揚々と踏み出した彼女を光が包んだ!
 ぺかー

 縁はふるもっふのパサランに変化した!

「うや、これは…もふい! 縁的には全然問題ないんだね!」
 枠から見切れるってレベルじゃねえ大きさだが、縁はドヤァとリロをちら見。
「べ、別にモフってもいいのよ! うや、モフってー!!」
 誘惑に負けたリロがもふもふしていると、英斗の悲鳴が上がった。
「な…なんだ!?身体の様子が変だ……うわぁぁああぁぁ」
 ぺかー

 英斗は”魔法少女マジカル☆ヒデトン@中身そのまま”に変化した!

「せめて中身も変化させてほしかった……」
 すね毛丸出しな足が大変目に痛い。
 残念すぎる魔法少女に全撃退士が泣く中、文歌がぷるぷると立ち上がる。
「で、では私ですね…」
 ぺかー

 文歌は”傷ついた包帯少女”に変化した!

 破れた制服や包帯の隙間から、チラ見えする四肢萌え。
「痛くしないでね…(うるうる」
 潤んだ瞳でか弱さをアピール…というか、実際に重体中なのでこうかはばつぐんだ!
「次はワシか」
 ちなみにここからは『魔法の言葉:お任せ☆彡』を選択した猛者である。
 勢いよく踏み出した常久を光が覆う!
 ぺかー

 常久は”美少女キャラがプリントされた首元だるっだるのTシャツをズボンINしたニート”に変化した!

「…さすがにこれはダメすぎるんじゃねえのか?」
 皆のどん引きな視線が激しく痛い。お任せにするとこうなるってわかってたけど!
「次は俺か…なんかもうどうにでもなれって気分だな」
 ティアマットを召喚した陽悠は、遠い目をしつつ踏み出した。
 ぺかー

 陽悠は”80年代かっていうぴちぴちレオタード姿”に変化した!


 Orz


「おいおい、さすがのワシでもそれはフォロー出来ねぇぞ…」
 常久も大差ない気がするが、精神ダメージが半端無い。というかやたらくい込むんですけどこれ!
「ああ、仲間より召喚獣の『何してんのマスター?』的な視線が痛い!痛い!!」
 ぴちぴちラインを見つめたリロは、ついそのひと言を口にした。

「その格好は、召喚獣的にもないと思う」

 陽悠の全ステータスが低下した!


●次だよ次!第2ターン

 陽悠はヤケクソで敵を攻撃した! こうかはばつぐんだ!
 文歌は生まれたての子鹿のように攻撃した! ぷるぷるダメージを与えた!
 英斗はミニスカを翻して攻撃した! 色んな意味でダメージを与えた!

 その時、英斗の頭上でピコーンと音が鳴った。

 発生イベント:オヤジギャグ

 アナウンスを聞いた魔法少女(笑)は、眼鏡をきらりと光らせた。
「マジカル☆ヒデトンのアメージング・ギャグコーナーか」
 さあ、見るがいい。
 ミラクルパワー(訳:依頼の恥はかき捨て)に彩られた渾身のギャグを!!

「リロさんの銀時計の真似!」


 <カッコーカッコー


 しん、と静まりかえった後、リロがその言葉を告げた。
「ボクの時計、懐中型だけど」
「しまった!!!」

 そして唯一人変身イベントが未済だったベアトリーチェが、隣接マスへ踏み出す。
「人をダメに…つまり…お姉ちゃんをダメにする姿…どんな姿になるか…楽しみ…」
 ぺかー

 ベアトリーチェは”ふ●っしー”に変化した!

「お姉ちゃん…意外な…シュミ…」
 リロの隠れ趣味に一同が騒然となる中、とりあえず全身シェイクしてみる。
 彼女をめっちゃガン見していたリロは、ついうっかりF2のマスを踏んだ。

 ぼふん

 ( ^o^)<はぁいみんなお久しぶりねぇ♪

 誰もこのマス踏んでくれなかったからね!
 GMが踏むことにしたっていうね!


●というわけで第3ターン

「この流れ、ダメな予感しかないんだね(^ω^)」
 そう予感しつつ縁が踏み出すと、陣が発動した。

 ぼふん

 猫っぽい何かが現れた!

「で、出たーーー!ぬこ!」
「ちょwwwお前でかすぎだろwwww」
 懐かしすぎる大草原に、ケセラン縁はここぞとばかりにたゆたった。
「ラックスちゃんは(今のところ)別マス…チャンスなんだね! ぬこ!御覚悟!」
 忘れはしない尻の恨み(×2)!
「マジレスすると俺のせいじゃねーしwwww」
「うや? もちろん八つ当たりなんだね!」
「開き直りktkr」
 ここに、そう、下敷きがあれば!
「静電気ぱわーで縁の復讐(笑)は完遂したというのにー!」
「それやったらおめーもひどいことになるだろwwwww」
 そういや自分もふるもっふでしたてへぺろ☆
「と言うわけでふるぬっこにしてやんよ! わっしゃーーー!!」
「ちょwwやめwwww」
 だがしかし、もふがわしゃしたところで所詮はもふだった。

 あらぁアタシもまぜてよ♪==( ^o^)

「来たなラックスちゃん! 縁の!回避力(笑)が火を噴くry」

 えにしは二年ぶり三度目のぎせいとなった!

「俺は何も見なかった(」
 スタン状態になった縁から、陽悠はそっと目を逸らす。
 続いて常久がリロのハリセンを空蝉でかわすと、その場で彼女を捕獲。
「いい顔するようになったじゃねぇか」
 頭をわしゃりと撫で、そのままそっとE8に置く←
 ぴこーんとアナウンスが鳴り響いた。

 発生イベント:オヤジギャグ

 そのとき、期待に満ちた眼差しがめっちゃリロに注がれる!


 <○>  <○>


「ふ……ふとんがふっとんだ」


「まさかの…」
「定番中の定番で攻めるなんて…!」
 ベアトリーチェや文歌がリロを慰める中、野太い声が響いた。

「やはりワシが手本を見せなければならんようだな」

 同じくE8へと進んだ常久が、わざと数秒開け視線を集めた。
 こういうのは、センスが大事だ。
 センスってのはな、一朝一夕で手に入れられるようなもんじゃねえ。
 さあガキ共、ワシの勇姿をよく見ておくんだな!


「あ、ちょっと忘れ物したんだけど、モノレールで戻れ〜る?」




【審議中】( ´・ω)(´・ω・)(・ω・`)(ω・` )




「あ、ちょっとまって今のなし」
 ブリザード級の視線に、常久の精神は彼方へ旅立った。

 すまん、ワシのちからじゃ…みんなを笑わすことなんて…できなかったよ…

 その時、敵を攻撃した陽悠の頭上でアナウンスが響いた。

 発生イベント:黒歴史暴露

「昔…依頼でメイド服を来てきゃるん☆ポーズをした事がありまし、て…」
 そんなキャラじゃないだろって? 知ってますよ!
 忌まわしい記憶に魂抜けかけてると、orz状態の常久が顔を上げた。
「ま、まぁ大人になるまでに恥ずかしいことの一つや二つあるよな! ワシだって…ウッウッ



 …ところでそれってどんなポーズ?」
 次の瞬間、期待に満ちた眼差しがめっちゃ陽悠に注がれた!


 <○>  <○>


「いやいや無理ですよ無理ですってば!」
 だがしかし、今の俺はキャッ●アイだった。
 どう見ても罠としか思えない采配を恨んだものの、お任せと書いてしまった以上はやるしかないんですよね知ってた!!

 きゃるる〜ん☆

 彼の生涯に、新たなる黒歴史が刻まれた。


●まだまだ折り返し第4ターン

 リロはわさび汁を放った! 英斗は眼鏡で割と防いだ!
 陽悠は悲壮という力で攻撃した! こうかはばつぐんだ!
 英斗はミラクルっぽく攻撃した! H4討伐に成功した!
 常久は人生を噛みしめながら攻撃した! まあまあダメージを与えた!

 このターン、唯一のイベントはベアトリーチェの元で起こる。

 発生イベント:中二対決

 右目が疼きまくる中二病相手に、ふ●っしーは突然、地獄的でチョベリグなポーズを決めた。

「ジャスティスひゃっはー…(びしっ」

 知己の悪魔がやっていた決めポーズ、実はちょっとやってみたかったのだ。
 彼女はうさん臭ささ溢れるお辞儀をしてから、右手を掲げ。
「私の…封印…解くと…多分…ぺかーって光って…天使…木偶人形になる…」
 な、なんだと…! ではお前が伝説の…!
「後…一人称…我輩になる恐れ…それでもいいなら…この呪われた右手に掛けて…カカッテコイー…」

 \ぺかー/

 地獄的でちょべりぐな天使でふ●っしーで木偶人形な我輩が中二病を圧倒した!!

 もうわけがわからないよ。


●ゴールは近いぞ第5ターン

 リロは縁をハリセンでしばいた! ふるもっふなのであんまり意味無かった!
 縁は濁った鍋から※自主規制※を食べた! もふが怒髪になった!
 文歌は敵を攻撃した! C2討伐に成功した!

 発生イベント:モフ力アップ
 
 文歌はもっふもふのペンギンさんになった!

 よちよちと足踏みした文歌は、両翼をぴっと上げた。
「ペンっ」

 \かわいいは正義!/

 ふくふくオーラに負けた者達が、こぞって彼女をもふりまくる。※例のアレ( ^o^)はあの力が働き規制
「ペペンっ(リロさんも私のモフ力には勝てませんでしたねっ)」
「……この間の彼。兄様が怪我させてごめん」
「リロさん…ぺ、ペペン!(リロさんのせいじゃないですよ」
 うっかり素に戻りそうになった文歌を、リロは申し訳なさそうにぎゅっとする。
「よかったら、今度紹介してね」
「ペンッ」

 続いて英斗は現れた中二病へ、目薬を差しだした。
「邪眼が疼くなら使いますか?」

 ♪う〜るるん♪

『な…なんだこれは!?』
「かかったな!いまのはマジカル☆ヒデトンの呪いの涙よ!」

 そう、あれは忘れもしない去年の夏祭り
 1人で花火を観に行ったら、周りがカップルだらけで思わず流した涙
 そして去年のクリスマス
 1人で深夜、依頼の報告書を書き直していた時に自然と流れ落ちた涙

「これらを調合した『スペシャル☆ティアーズ』に、なんか凄そうなのを加えた液体がその『呪いの涙』よ」
 さあそのドロドロした何かに耐えられるかな!?

 切なすぎる奥義に、あれ…目から汗が…


●人生は黒歴史だ!最終ターン

 常久は敵を攻撃した!D7討伐に成功した!
 縁はスイカ食べながら攻撃した!B4討伐に成功した!

 英斗が黒歴史開示で「今がまさに黒歴史」と言い放ち多くの賛同を得る中、ベアトリーチェが次のマスへと踏み出した。

 発生イベント:オヤジギャグ

 彼女はすぅと息を吸い込むと、突然ダンディ的なポーズを決めた。

 ゲッツ☆

「ソーダーが美味しそーだー…」

 くるりとターンして再びゲッツ☆

「隣の家に塀ができたって…へー…」

 何の躊躇いも無くオヤジギャグを連発する彼女に、全員が震え上がる。
 こいつ…できる…!
 そしてD2へ移動した陽悠を、かつてないモフ力が襲った!

 もふふ〜ん

「もふもふもむむ!?(俺がモフ力アップって誰得…ってティアマットまで?!」
 あまりのモフっぷりに皆が手をわきわきさせる中、記録者は見てはならないものを見た。

 >基本女性や年上には逆らわない

 ( ^o^)←年上で女性(笑)

 いいのか、本当にそれでいいのか。
 奴を前に「なすがママ☆」と宣言した勇者はそういないぞ。
 記録者を含めた全員が騒然となる中、彼女(笑)は颯爽とやってきた!

 あらぁ〜かわいいわねぇ♪==( ^o^)


 \アッー/


 ※この後の記録は削除されました※


●何事もなかったようにフィナーレ

 全ての敵が倒されたフィールドでは、ファンファーレが鳴り響いていた。
「おめでとう。キミ達の勝ちだよ」
「やったんだよー!」
 縁はダッシュで駆け寄ると、女子’sを巻き込んでハグ!
「勝って…嬉しい…」
 ベアトリーチェは約束通り、リロをぎゅうと抱き締める。そんな彼女達を見て、英斗はそっと微笑んだ。
(よかった。満足してもらえたみたいだ)
 彼の視線先で、リロはどこか晴れ晴れとした表情をしていて。

「さて嬢ちゃん、答え合わせは終わったか?」
 常久に続いて、陽悠も問いかける。
「あなたの行動の理由、聞かせてもらえますよね」
 リロは頷いてから、一度皆を見渡した。
「兄様がしたこと、ボクがしてもらったこと。借りっぱなしは嫌だから、ね」
 これで全て返せたとは思っていないけれど。
「それにボクはずっと識りたかった。ボクたちと人は、どう在るべきなのか」
 キミ達と出会って、欲しいものが増えた。
 新しい道を、見てみたいと思った。

「全部、自分の手で掴むことにしたから」

 今日はそのための、第一歩。

「……リロさん、学園に来ませんか?」
 文歌の口をついて出た言葉に、リロは一瞬沈黙したあと。
「ありがと。キミ達のこと、好きだよ。でもそれと同じくらいマリー達や閣下…兄様のことが好き」
 だから、皆を置いていくことはできない。
「わかりました。ふふ、リロさんらしいですね」
 彼女ならそう言うだろうと、どこかで分かっていた。
「私、信じてるんです。もしリロさんと私達が敵対する事になっても、私達の道はいつか交差すると」
 自分の夢は、全ての天魔と共に自由に歌い合うことだから。
「私は夢の実現を信じてますし、それを目指してこれからも前に進みます。だから諦めませんっ」
 リロは頷くと改めて全員を見渡し、微笑んだ。

「ボクも諦めないよ」

 こうして撃退士の活躍()により、宇都宮駅は解放されることとなった。
 翌日、制作者からゲーム内容を記録した映像が届くことを、彼らは知る由もない。



依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: ブレイブハート・若杉 英斗(ja4230)
 約定の獣は力無き者の盾・長幡 陽悠(jb1350)
重体: −
面白かった!:6人

あなたの縁に歓びを・
真野 縁(ja3294)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
撃退士・
久我 常久(ja7273)

大学部7年232組 男 鬼道忍軍
約定の獣は力無き者の盾・
長幡 陽悠(jb1350)

大学部3年194組 男 バハムートテイマー
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
揺籃少女・
ベアトリーチェ・ヴォルピ(jb9382)

高等部1年1組 女 バハムートテイマー