.


マスター:久生夕貴
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/09/15


みんなの思い出



オープニング




 魅入られたのはこちらかそちらか。


 試してみよう。


 ※※


 天を衝く光の柱。どこか冴え冴えとした氷柱のような。

「随分と楽しそうじゃのぅ…」

 様子を伝え聞きながら、メフィストフェレス (jz0269)はその唇に笑みを刻む。
 一時的に傍を離れ、人間界へと赴いたメイド達。伝えられる報告はどれも楽しげな気配を宿している。
 実際、楽しんでいるのだろう。任務と割り切り最初は出陣をも渋っていたメイドすら己の武器を持ちだすに至った程に。
 人間達はこちらの目的にほぼ気づいている様子。
 そればかりか現地のメイドの何人かの意識を変えさせる程に影響を見せた。
 
「変化は生きし者の常。永久に変わらぬは死人のみ。退屈に勝る死は無いが……」

 歌うようにメフィストフェレスは嘯く。その笑みは常とまるで変わらない。
 どのような結果、どのような過程すらも愉しみながら。

「さて、魅入られしはいずれの者か。これはまた、見物じゃな」





 四国。徳島。徳島城、城山。
 聳えるゲート、その支配領域は小山のような城山一つ分。境界たる城山の階段へと踏み入れ、頂上に到達する前の階段で一同は出迎えのメイドと対峙した。
「ようこそおいでくださいました。御手荷物のカードをご確認の上、お入りくださいませ」
 初めて見る顔のメイドだ。黒いポニーテールがお辞儀の仕草で揺れる。
 カードの有無を確認するよう告げるのは、先のミスを無くす為か。
 異界たるゲートはメイドのすぐ後ろ。あの先は、ゲート内部。
 忌々しげな気持ちで手に持ち踏み入ると、冷気が全身を包み込んだ。
「招待に応じてくださり、ありがとうございます。コアを守護させていただいております、マリアンヌと申します」
 輪になったメイド達の前、丁寧にお辞儀するのは巨乳のメイド。後ろから聞こえるのは呪文か、歌か。
「前回は各戦場毎にドームを作らせていただきましたが、今回は別の趣向を凝らせていただきました」
 声にパキリという音が混じる。巨乳メイドの後ろ、大地から生えるように音を建てて生み出されるのは巨大な筒。いや、

「塔……だと……!?」

 誰かが息を呑む音が聞こえた。空高く飛びえる巨大な建造物。どこか中世欧州の気配すら漂わせるような。
「各階層に対応のメイドが。カードによる転送にて入室されて後は、部屋を支配するメイドの許可が無ければ出られません。全ての階層が制圧された時、最上階の扉が開きます。こちら側に残っていただいて御方も、そちらに」
「……で、全部の階層が制圧されれば、ゲートコアを壊す、と?」
「ええ」
 撃退士の問いにマリアンヌは微笑む。
「我等が敬愛せし閣下の、麗しき血よりも赤い瞳にかけて、誓いましょう」
 全ての階層が制圧された、その暁には。
 笑むメイドの向こうで二柱のメイドがこちらに手を向ける。転移による一瞬の違和感。誰かの声が耳に囁く。


「至ってくださいませ。どうか、次なる階梯に」




 移動した先は、闇に包まれていた。
 警戒するメンバーの目前で、一つの灯りがともる。
「あれは……扉?」
 見れば灯りの下には氷の扉。開けて中に入ると、眩い光に視界がくらむ。
 そこは
 どこかゴシック調を思わせる風合いで統一された室内は、更衣室が左右に据えられた先には大きな扉が一つ。
 撃退士達がぽかんと見渡すと同時に、声が響いた。

「ようこそ、ボクのフロアへ」

 いつもの鼻にかかったような声音に、ここの階層の主がメイド悪魔のリロ・ロロイである事を知る。
 声は淡々と説明を続ける。

「キミたちにはまず、そこに用意されている衣装を身につけてもらう。それがボクのフロアの参加条件」

 見れば、中央の一角に多くの衣装が並べられている。それは燕尾服やタキシード、各イブニングドレスが揃えられており、中でも目を惹くのが氷の台の上に置かれた『仮面』。
 ヴェネチアンタイプと言うのだろうか、目元を隠すアイマスクで仮面舞踏会でよく使われるものだ。なだらかな曲線と繊細な細工模様が美しく、デザインも様々。

「どうしてその衣装を身につけるか? それはそのうちわかるよ。着替えが終わったら中央扉から先に進んでくれればいい。それじゃ」

 撃退士達はしばし顔を見合わせるも、やれやれと苦笑する。
 どのみちここへ来た以上、指示に従わなければ出られないのだ。
 ならばせいぜい、楽しむとしようじゃないか。

 ※※

 着替えが終わったメンバーが巨大な扉を開けると、その先はだだっ広い空間だった。
 先ほどの部屋と同じように荘厳と不気味さを兼ね備えた独特の空間。10メートル以上はあろうかという天井には豪奢なシャンデリアが並び、遠くの壁には細かな彫り細工が施されている。

 その空間の中央に、四人の少女が佇んでいた。

 全員黒一色のシンプルなドレスを身につけ、顔には全員同じデザインの『仮面』。
 背丈も体型も全く同じ彼女達は、全員『桃色のボブヘアー』をしている。

「ようこそ、”仮面舞闘会”へ」
「今からキミ達には、あるゲームをしてもらう」
「クリアできれば、キミ達の勝ち」
「ここから出してあげるよ」

 四人は同じ声音としゃべり方で歌うように言葉を紡ぐ。

「勝利条件は、本物のボクを”捕まえる”こと」
「敗北条件は、キミ達全員が”捕まる”こと」
「捕まってしまう条件は」

「仮面の下の素顔をみられること」

 見たいのならば。

 煌びやかな光が舞い、優雅で妖艶な音楽が流れる。
 四人の少女の口元がゆっくりと開始を告げる。


 さあ、捕まるのはどっち?


 悪魔の舞闘会が始まった。



リプレイ本文



 ここは悪魔の舞闘会

 洒落には洒落で 酔狂には酔狂で

 紳士の歓待には淑女のキスを

 悪魔の悪戯と知って尚


 ※※

 まるで夢幻世界に迷い込んだかのようだった。
 荘厳と不気味さを兼ね備えた空間は、そこにいるだけで圧倒されてしまう。遙か天井に並ぶ豪奢なシャンデリアも、遠くの壁に施された細かな彫り細工も、全てが絶妙なバランスを持って存在している。

 目の前に立つのは、黒いドレスの少女たち。

「マスカレード鬼ごっこ! わくわくするんだね!」
 深緑のパーティドレスを身につけた真野 縁(ja3294)は、大事な道化人形とくるりダンスした。
 彼女のドレスは動きやすいように装飾は最低限だが、美しいラインと上質なサテンが縁の黄金色の髪色によく似合っている。目元を隠すのは、猫を思わせる蒼銀の仮面。
 縁は目前で並ぶ「四人の」リロに向かってにっこり微笑んで。
「始める前に縁から提案なんだよー! やっぱり勝負事は賭けがないと! なんて! もし勝てたらリロちゃんにお願い事してもいいかな?」
 その問いに、少女達は口々に答える。

「ふふ。賭け事が好きなのは」
「道化の悪魔仕込みかな?」
「ボクも嫌いじゃないからね」
「キミの提案に乗ってもいいよ」

 聞いた縁はぺろりと唇を舐めてにんまり。
「うにん、頑張るんだよ!」

「なにコレ? 鬼ごっこ?」
 若干困惑気味でそう呟くのは、若杉 英斗(ja4230)。
「てっきり今回も戦闘だと思っていたんだけどな……」
 来てみたらまさかの舞闘会だった。だいぶ面食らったのは事実だが、やるしかないならと切替が早いのも彼の美点。オフホワイトのタキシードを着用した英斗は、選んだ仮面を手にし。
「それじゃ、装着しますかね」

 ガチッ☆

「……眼鏡外さないとダメかな、これ」
 眼鏡の上から付けるのは無理があった。
 眼鏡したままサングラスかけたみたいなコレジャナイ感がある。わかる、わかるぞ。決して笑い事ではない、眼鏡族としては大変切実な問題だ(迫真)。
 まぁ光纏すれば視力も問題ないか、と英斗は渋々眼鏡を外し。
「では……」

 ジュワッ!

「さーて、レディ達を飽きさせないよう楽しませますか」
 革靴でかつん、と大理石をはじきながら加倉 一臣(ja5823)は微笑した。
 ミッドナイトブルーの燕尾服が長身によく映える。
 目元を覆うのは、黒地に金細工が施されたヴェネチアンマスク。細やかな縁取りは遊び心の中に上品さを感じさせ、恋人とのお揃いにもなっていて。
「シンデレラのように時間忘れて踊ってくれたら嬉しいね」
 持ち前の甘い面差しは隠れていても、リードする身のこなしは慣れたもの。
「たまには最高の男前見せましょうかね」
 片手で前髪をざっと上げた小野友真(ja6901)が、襟を正して気合いを入れる。。
 身につけるは、シルバーブルーの燕尾服。一臣の色とよくなじむカラーで、華やかながらも落ち着きある色合いのせいかいつもより大人びて見せていて。
(なんか…仮面つけてると、ちょっと大胆になれる気するよな)
 一臣とお揃いのヴェネチアンマスクの下は、等身大の高校生がいる。けれど今だけは、誰でも無い誰かだから。
「華麗に一曲始めよか!」
 差し出すその手も、自信ありげに。

「ここは勝負の場であり遊戯の場でもある。愉しまなければ失礼さ」
 鷺谷 明(ja0776)の声は享楽と歓楽に充ち満ちている。
 闇に浸したような紫黒の燕尾服は、明が動きにあわせ軽やかにテールが踊る。元々細身の長身であるため、優雅と言うより艶っぽくも見え。
 身につける仮面はVoltoもしくはLarvaと呼ばれるもの。顔全体を覆うそれは装飾のない簡素なもので、蒼白い石膏をも思わせる質感が見る者を惹きつけどこか不安にもさせる。
「ここは舞闘会なのだろう? 踊らなければ損というもの」
 無機質な面から流れ出る声がいつもより生々しく感じられるのは、感情を量れるのが音のみだからだろう。
 それはまるで、死者に擬魂が宿るかのように。魔を誘う言葉は背徳と好奇の色合いで。

「今夜の仮面舞闘会、演奏はボクに任せてもらうよっ」
 紫の瞳をわずかに細め凜とした表情を浮かべるのは、川澄文歌(jb7507)。
 男物の燕尾服を着こなす姿は、さながら男装の麗嬢。付ける仮面は瑠璃色に銀細工が星くずのようにちりばめられたもので、小柄な彼女を優しく彩る。
 いつもはアイドルをしている彼女は、足取り一つに演技が乗る。クラリネットを手に颯爽と歩く姿はさながら舞台役者のようで。
「さあ、これからボクたちと楽しもう!」
 言葉づかいも普段と変えて。今宵はちょっぴり甘い言葉もささやいてみせよう。

「鬼ごっこは幾度か経験しましたが…これは面白い趣向ですね」
 白手袋を装着しつつ口元に微笑を刻む夜来野 遥久(ja6843)は、瞳の色と同じブルーグレーの燕尾服を身につけている。目元を隠す銀の仮面はシンプルながらも上質な彫り細工が施されており、シャンデリアの光に合わせて時折随所が煌めく。
 メンバー中最も高身長という事もあってか、彼の立ち姿は舞台によく映えていて。
 そんな姿に見とれている人物。
(燕尾服の遥久もカッコイイ)
 この一言で誰だかわかる新友愛・月居 愁也(ja6837)だ。
「さすが俺の親友、超オトコマエ」
 つい心の声が漏れちゃう程度の親愛、信愛、深愛である。
 選んだ漆黒の燕尾服は、愁也の赤い髪を引き立たせる。仮面は遥久のものと同じデザインで、こちらは黄金色。
 彼は一歩踏み出すと、四人の少女達に一礼してみせる。
「お招きいただき、ありがとう。今回もちゃんと俺たちがエスコートしてみせるよ」
 口元に宿す笑みは、自信の現れ。

「ふふ。期待してるよ」

 ”四人のリロ”はほぼ同時にそう返す。
 同じ声音、同じ外見。

 
 けれど本物は、ただ一人。


 悪魔の舞闘会、第二幕の曲が始まる。


●めいめいに


 最初に、少女の一人が動いた。
 おもむろにぱちんと指を鳴らすと同時、巨大な銀時計が現れ撃退士たちの周囲を回り出す。
「あれは……!」
「予測はしてたけど、早速きたね」
 一度その技を受けている文歌と愁也が周囲に警告。
「じゃ、行くよ」
 直後時計から巨大なオーラが噴出し、一帯を覆い尽くしていく。その大きさは八人を巻き込んでなお、余裕がある。飲み込まれた途端空間が歪んだかのような錯覚を覚えるが、特にダメージを受けた感覚はない。
 しかし、明らかに自分たちの動きが遅くなっているのが体感できたと同時、他の少女達も一斉に動き始めた。

「先手必勝」
「まずはキミから」

 その迷い無い動きは、最初から予定されていたのだろう。
「今回のルール上、キミ達が動くと一番やっかいそうだからね」
「くっ、ひょっとしてとは思っていたが…!」
 ターゲットは狙撃手二名。
 一臣が防御態勢に入ろうとするも間に合わない。
 黒のドレープが翻る。桃色の髪が次々に舞う。その手際は実に鮮やかに、悪魔三柱がかりで一臣の仮面を破壊する。

「この展開何回目だろうね?(^ω^)」

 がしゃーん。

 氷の檻に閉じこめられた一臣に、遥久が至極冷静に。
「……まあ想定の範囲内だな」
「もうちょっと慌ててくれもいいのよ遥久!」
 いきなりのピンチである。
 だが彼らはそれも予定内と言わんばかりに、一斉に牽制班と檻破壊班に分かれていく。それに先駆けて、文歌は自身を含む周囲に対して韋駄天を使用。
「少しでも動きの遅れを取り戻せれば」
「文歌ちゃんありがとな!」
 礼を言った後、友真は少女達が自分に向かってくるのを見て苦笑い。
「やっぱり次は俺ですよね…!」
 間に割り込むのは深緑のドレス。
「友真くんは縁が守るんだよー!」
 生み出すのは祝福を受けた強力な防御壁。光の壁を挟んで少女達は向かい合う。紫水晶が翡翠をとらえ黄金色が桃色となびけば、友真は仮面を狙ってアウルを放って牽制。
「攻撃は最大の防御いうからな!」
 友真への射線をさえぎるように、愁也が一番近い少女の前に出る。
「さーて、しばらく俺とお相手願おうかな?」
 少女が手を伸ばせば受け流し、隠すように手首をしならせ細い銀糸を飛ばせば、少女もすんでの所で流すようにかわす。
 そばを走る目に見えないほどの銀糸を、少女は視線で追い。
「ふふ。この糸はちょっと怖いね」
「だろ? 退屈させないようにするからさ」
 状態異常を免れた明は自身に注目を惹きつけつつ、少女に向けて手を差し出した。
「姫君達よ、一曲踊ってはくれまいか?」
 問われた少女は一瞬考える素振りを見せた後、悪戯っぽく。
「もしボクが断ったら?」
「いや、すっごくしょんぼりする」
 意外な返答に少女はさもおかしそうに。
「そんなキミもちょっと見てみたいけどね。じゃ、リードは任せたよ?」
 明の手を取る足取りは軽く。

 時同じくして英斗は愛用の『竜牙』を手に四人目のリロと向き合っていた。
(仮にも女性の顔を刃で攻撃するというのは、どうなんだろ……)
 相手は敵とは言えほんの少し不安になるのは、英斗らしい気遣いでもある。
「でも相手は悪魔だし、これぐらい平気なのかな」
 そうでなければ、きっとこんなルールにしはしないだろう。試しに仮面を狙ってみるが、やはり相手は悪魔。ひらりとかわされ、その勢いでこちらの仮面を狙ってくる。
「おっと、そうはさせないよ」
 そこは英斗も持ち前の防御力でカバー。口端でわずかに笑んでみせ。
「狙ってくる部位がわかっていれば、防ぐのはそう難しくはないからね」

 その頃、一臣は檻破壊をしてもらう間状況観察に徹していた。
「見たところ自力回避した鷺谷君以外は、最初の技を全員受けているといっていいな」
 檻破壊に回っていた文歌が頷いて。
「特殊抵抗力の高い縁ちゃんや夜来野先輩でも受けていますね…確か、以前もそうだったと思います」
「となると、ゲート戦故の能力減があるとは言え、通常程度での対抗は難しそうですね」
 檻を破壊し終わり、ではと遥久はスキルを展開させる。
「一つ一つ試していきましょう」
 愁也の位置が遠いため、遥久は聖なる刻印をとりあえず自分に刻みこんでみる。特殊抵抗力を上げて、状態回復できるのかを試みるためだ。
 直後、時の流れが元に戻ったような感覚を覚える。
「あ、戻りました」
 文歌の言葉に頷いてみせ。
「これを試していけば、ある程度のラインが見えてきそうですね」

 さあ、曲の盛りあがりはまだまだこれから。

 捕まるのは、どっち?


●ふいうちの


 しばらくは一進一退の攻防が続いた。
 悪魔達の動きは撃退士を凌駕するものだが、彼らはそのハンデを互いのフォローによってカバーしており。誰かが抑えに回れば、誰かが隙を狙う。誰かが隙を突かれれば、誰かがその隙間を埋める。
 その様は流れるようにスムーズで、端から見れば予め決められた振り付けのように見える程。
 しかし相手も悪魔。こなれた動作で負けてはいない。
 少女達も実に連携取れた動きで人数差をカバーしており、仮面の破壊には至っておらず。
 時間計測をしていた一臣が呟く。
「二人がかり程度じゃ彼女達の仮面を取るのは難しそうだな……この分だと多分間に合わない」
 クリアランスを使用した遥久も頷き。
「時間をかけると状態異常も回復させられなくなる。このまま的を狙って一気に片を付けるべきだろう」
 ターンスキップの影響で危うい場面は何度もあった。後半になればなるほど辛くなるのは目に見えている。
 じゃあ、と友真が少女達をじっと見据え。
「狙われてばかりも面白くないからな…ここらで勝負に出ていこか!」
 彼女達へ向け大声で問いかける。

「俺からのしつもーん! コーラ好きな子手ぇあげて!」
 手は挙がらなかったが、代わりに四人から返事がある。

「ああ、あの黒い」
「不思議な飲み物」
「嫌いじゃないよ」
「また飲んでみてもいいかな」

「おおう、なんという揃った回答」
 友真は苦笑しながらも、一番近くに来た少女に向けて手を差し出して。
「趣味合うなv 踊っていただけますか」
 ワルツの曲調に合わせてステップを踏み始めた所で、縁が待ってましたとドレスをはためかせる。
「縁もコーラ大好きなんだよー!」
 ひらりと舞って束縛の幻影を放つ。しかしそこはさすが悪魔と言うべきか、うまくはじかれてしまう。
「うやや、さすがなんだよ!」
「ふふ。そう簡単に捕まるわけにはいかないからね」
 直後、少女から合いの手のように縁の仮面へ手が伸びる。
「うにん、そうはいかないんだよ!」
 盾でかわした縁にはにこりと笑んでみせ。
「じゃあ、縁からも質問なんだよー! この間あげた青い飴美味しかったかなー?」
 問われた少女は小首を傾げた後。
「ボク、青い飴なんてもらったっけ」
 あげたのは赤い苺飴。正解だ。
「むむ、ひっかからなかったんだね! それとも君が本当のリロちゃんかなー?」
「それはヒミツ」
 微笑む少女に、友真と縁は目でうなずき合う。
 今の二人の質問でわかったことがある。少女達はどうやら記憶の共有をしているらしい事。
 でも、と彼らは思う。
(きっとどこかに綻びはあるはず…!)

 仲間への援護をしつつ文歌も近くに来た少女に向け、問いかける。
「ボクたち初めて会った時に名乗りあったよね? ボクの名前覚えてる?」
「覚えてるよ、フミカ」
 淀みない答え。少女の漆黒のドレスがはためいたかに見えた時。
「あっ!」
 目前から少女の姿が消える。瞬間移動だと思うと同時、背後で声があがる。
「仮面はもらうよ」
 とん、と文歌の肩をはじき少女は飛翔する。それはまるでスローモーションのように、頭上から落ちてきた時計針が文歌の仮面にひびを入れた――かに見えた。

「川澄さん危ないっ!」

 庇護の翼を発動させた英斗が、瞬間的に文歌を庇い時計針を盾で受けていた。
 攻撃をかわされた少女はおやと言った様子で口を開く。
「残念。なかなかやるね」
「ありがとうございます、英斗先輩」
 文歌は礼を言いつつ、少女達を見やり。
「そう言えば最初の時も瞬間移動を使ってましたね」
 今まで使っていなかったのは、恐らく。
「残り時間が少なくなってから使う予定だったのかも」
 英斗の言葉に文歌もうなずき。
「これからはあまり距離を取ることは意味がないかもしれません」
「飛行もし始めるとだいぶやっかいだな…」
 悪魔四柱を相手取る事の難しさを、改めて感じる。英斗は一瞬思案の後、眼鏡…じゃない仮面の奥を光らせ。
「やっぱり的を絞るのが一番よさそうだし、ちょっとやってみるか」
 文歌と交代して前に出ると、少女達に向かって呼びかける。
「それじゃいきますよ、リロ・ロロイさん」
 四人の反応を探るも、特に大きな差は感じられない。
(さすがにこんな古典的なのにはかからないか)
 うっかり振り向くのをちょっと期待してみたのだが。
「だがしかし、俺にはもう一つ策がある!(きりっ」
 英斗は一度大きく息を吸い込むと、一際大きな声で宣言する!

「いくぞ、リロ・ロロロロイ!(ばーん」

 一瞬ホール内が静まりかえる。やがてくすりと笑みを漏らした少女が、一人。英斗は再び仮面の奥の瞳を光らせ。
「俺の直感によれば、笑ったヤツはリロじゃないと思う」
 一臣がマーキングをドレスの裾に撃ち込みながら。
「若ちゃんの理論は何故か納得してしまうから不思議だ」
 言われてみればリロの性格的に笑いそうには思えない。なるほど、案外巧いやり方なのかもと思いつつ。
 一臣の目には明と踊る何人目かのリロが映っていた。

「――そろそろ彼女達も仕掛けてきそうだね」

「そう言えばキミは質問したりしないの?」
 少女の問いに明は飄々と答える。
「皆リロ君として振る舞っているのだろう? なら私はそう扱うまでさ」
 推し量るのは無粋とでもいわんばかりに。
「我らは仮面が取られた後に言えばいい。君だったのか、とね」
「……ふうん。つまりキミは勝つ自信があるってこと?」
「はてさてそれはどうか」
 明は彼女を退屈させぬようにと、時折仮面狙いの合いの手を入れる。対する少女も呼応するように明の仮面へと手を伸ばすが、流れるようにかわしきる。
「考えていたんだけどね」
 明の合いの手をひらりと避けると、桃色の髪が弾む。後方で控える一臣にちらりと視線をやり。
「キミを捕まえるのはちょっと大変そうだって思ってね。方法を探してた」
「して結論は如何と?」
 ワルツのリズムはどんどんと速くなり、二人の動きもそれに合わせて加速してゆく。
「正攻法は諦める事にした」
 ステップを踏み、くるりと身を翻す。
 ターンをした少女の身を引き寄せた、その時。
「――!」
 明の動きが一瞬止まる。
「あ」
 構えていた一臣も固まる。
 フルマスクをしていても、何をされたのかはわかる。
「”紳士の歓待には淑女のキスを”」
 明の頬からそっと顔を離した少女は、奪った仮面を手に微笑んだ。

「うふ。わたくしの勝ちです」

 氷の檻が、降ってくる。



●そのひとり


 少女達の動きは曲の盛り上がりと共に加速していた。
 飛び交う時計針は数を増し、あらゆる隙を突かんとする。
 けれど撃退士達の集中力もとぎれない。
 残るフェイクはあと二人。
 互いにチェックメイトを狙い澄まして、駆け引きの熱もますますに。

「――やられたなあ」
 檻を見上げながら明は呟いた。口元に刻まれる笑みは、いつもと変わらず愉快とでも言わんばかりに。
「さすがに女の子の顔へ回避射撃は撃てなかったよ」
 一臣が檻に銃弾を撃ち込みながら苦笑する。
「避けるのも無粋だし、ねえ?」
 明の言葉にさもおかしそうに返す。
「まったくだ」
 悪魔の悪戯と知って尚。

「さあリロちゃん、そろそろ本物の君を見つけてみせるぜ!」
 愁也はそう宣言すると、ここ一番の質問へと挑む。
 矢継ぎ早に絶え間なく。答える所作一つ一つを見逃すまいと集中し。

「この間のべっこう飴、美味しかった?」
「あれってあんず飴じゃなかったっけ」
「あのヒヨコの置物、どこに飾ったの?」
「ボクがとったのはカエルだね」

 それぞれに問うてみたが答えは一緒。でもこれは想定内。
(これが、最後の質問…!)
 初対面の時からずっと見てきた。必ずできると確信している。

「じゃあ、ミスターの事どう思う?」

 この時初めて、流れるようだった少女の回答が滞った。
 探り合うような気配の、後。

「つくづく、幸せ者だって思うよ」

「……今、回答が明らかに遅れたな」
 愁也を援護しつつ状況観察に徹していた遥久の言葉に、同じくクラウンの質問に注視していた一臣と友真も頷く。
「多分意思疎通か何かで確認したんやないかな」
「つまり遅れた彼女は本物ではない」
 確信確定。
「オッケー、マーキングしまっす」
「確かリロちゃんは自分が見聞きしたものを『記録』する能力があるはずなんだよ。だから視覚についてのものは、他のメイドさんたちにも情報が行き渡っている可能性が高いな」
 一臣の言葉に、遥久は成る程と頷き。
「クラウン殿への印象は事象でない以上記されない。愁也の読みどおりだな」
 
 残るフェイクはあと一人。

 その頃、遥久達の話を聞た文歌の中にはある「可能性」が浮かんでいた。
「記録されてないものが分からないというのなら、ひょっとして……」
 自分の記憶に間違いがなければ。
(試してみる価値はあるかもしれない)

 突然、結界内に歌声が響く。

 明るく澄んだ声は、文歌のものだとすぐに分かる。
「おお、素敵な歌なんだよ……!」
 お菓子の家を生み出していた縁が、思わず聞き入る。
「この歌は……」
 友真はこの歌をどこかで聞いたと思い出す。そう、あれは確か、星の凄く綺麗な――
「温泉や!」
 文歌は歌い続けながら少女達へと呼びかける。
「ねえリロさん。ボクたちとの歌、覚えてるよね? あの時と同じように一緒に歌おうよ!」
 一瞬の沈黙の後。

 一人の少女がくすりと笑った。

「仕方ないね」
 
 文歌の歌に、歌が重なる。彼女の声音に負けない、のびやかな歌声。それはまさしく、あの温泉で聞いたものと同じ響き。
 撃退士達はうなずき合う。
「これで決まりだね」
「この歌を知っているのは、リロさんだけ」
 なぜなら、あの温泉で彼女は『本』を使っていなかったから。愁也もにやりと笑んで。
「そういや休暇中だって言ってたしね」
 記録に無いものは、伝えられない。そして『音』も伝えられない。

 見定めた”一人”を狙うため、全員の動きが加速する。

 抑え、攻撃、援護に分かれ対象をじりじりと包囲していく。けれど、あからさまにはやらない。残りの三柱が護衛にまわるのが目に見えているから。
 状況を見て、英斗がぽつりと。
「さっきみたいに瞬間移動や飛行で逃げられるとやっかいだしな……」
 ふいうちを狙うのが一番なようにも思う。
「フェイク一人を先に狙って注意を逸らしてから、本命を狙うってのはどうかな」
 英斗の提案に、遥久がなるほどと。
「囮ですか、いいかもしれません」
 彼女達に気付かれないよう、彼らは少しずつ位置取りをしていく。
 一臣と友真のマーキング情報を聞きつつ、見失わないように細心の注意を払い。
 先に仕掛けたのはフェイク側。
「さて、私の踊りに一番付き合ってくれた君に、心ばかりの礼である。とく受け取れ」
 明が命中力を上げ魔具を手にすると、少女は避けようと動き出す。そこを待ってましたと言わんばかりに、英斗と文歌が包囲。
「おっと、そっちへは行かせないよ」
「ボクたちと勝負してもらうよっ」
 絶対防御の強固な壁。
 その後ろでは一臣が虎視眈々と機を狙う。
「そろそろ可愛い素顔を見せてもらいましょうかね」
 囲まれている事に気付いた少女が逃げるより速く。
 明と一臣がほぼ同時に狙った一撃は、見事少女の仮面を砕かせた。
「あん。捕まっちゃった」
 砕けた仮面の下で少女は微笑む。
 現れたその素顔に、明は笑みを刻んだままその言葉を告げた。
「君だったのか」

 氷の檻が降るほんの少し前、愁也はその少女の前に立っていた。
「本日のラストダンス、踊っていただけますか?」
 桃色の髪が、ふわりとなびく。少女は仮面の下でわずかにうなずいて。
「ふふ。いいよ」
 少女が動く。その動きに遅れまいと、愁也も流れるように大理石を弾く。少女が愁也の仮面を狙おうとした所を、縁と遥久が瞬間包囲する。
「うにん、楽しく踊ろうなんだねー!」
「私たちでお相手致しましょう」
 状況に気付いた他の少女が加勢する間もなく、愁也が銀糸を再び飛ばす。避けようと少女の体が真横に流れたその時――愁也は叫んだ。
「友真!」
「チェックメイトやで!」
 死角から放つ友真の射撃。くるりと回転しながら撃ち込まれたそれが仮面にひびを入れるのを前に、愁也はにっこりと笑ってみせた。

「君が本物のリロちゃんだ」

 ぱりんと弾けた銀細工が、愁也の視界できらきらと煌めく。
 砕け散る仮面の下で――少女はゆっくりと微笑ってみせた。

「ご名答」



●めくるめく


 魅入られたのはこちらかそちらか。

 どちらだと思う?

 ※※

 華やかな音楽がやみ、ホールは静寂に包まれる。
 魔法が解けた空間内は、まるで夢から醒めたような錯覚を覚え。

「おめでとう、キミ達の勝ちだね」

 アメジストの瞳を細め、リロ・ロロイは指をぱちんと鳴らした。
 その合図と共に少女達は仮面を外すと、皆一様に裾をつまんでお辞儀してみせる。

「楽しかったですわ」
「時間を忘れるほどに」
「お相手いただき感謝致します」

 勝利を告げる言葉に、一同はほっとひと息をつく。
 互いに仮面を外し向かい合えば、いつもよりなぜだか新鮮に感じてしまう。
「ふう、ようやく眼鏡がかけられる。……やっぱりこっちの方が落ち着くな」
 英斗は仮面から眼鏡に交換すると、リロへ向けて率直に。
「今回の評価はどうだった?」
 問われたリロはいつの間にか開いていた本をぱたりと閉じる。
「言う事ないよ。ちょっとキミ達を甘く見てたかな」
 メイド見習い達もそれぞれに頷きながら。

「うふ。思った以上に捕まえられなくて、ちょっとズルをしてしまいました」
「君の呼びかけに思わず吹いたのは私」
「リロ様を見抜いたのもお見事。行動、思考共に素晴らしかったと思います」

 聞いた英斗は笑いつつ。
「ならよかった。次もそう言わせてみせるよ」

「なあ、リロちゃん」
 愁也の呼びかけに、リロは「うん?」と小首を傾げる。
「俺らが楽しそうな理由、わかった?」
 その問いに彼女はしばらく考えた後。
「なんとなく、かな。まだぼんやりとしか答えは見えないけど」
「そっか。じゃあさ、参考までに」
 愁也は俺が楽しいのはね、と切り出す。
「自分を晒け出せる信頼と絆を築ける人たちがいるからだよ」
 共有できる相手がいるから、めいっぱい楽しめる。感情の振り幅を丸ごと受け止めてもらえるのは、とても幸せで尊いと思うから。
「君だってきっとそうじゃないかな」
 沈黙する彼女に向け、遥久も微笑しつつ。
「ダンスも一人より二人で踊った方が楽しいものですが」
 でも、それは息が合わなければうまくいかず、到達するためには時間も根気も必要だけれど。
「そうやって息を合わせて躍れる相手がいるからこそ、楽しいのだと思います」
 聞いたリロは一度瞬きをしてから、わずかに頷く。
「……うん、クラウンがあれだけ楽しそうだったのも、きっとそれが理由なんだろうね」

「な、教えてくれへん?」
 次は友真が少女達に向かって問いかける。
「君らの楽しい時間とは何なんかな。今後愉しむための参考に聞きたいなーって思って」
 問われた少女達は互いに顔を見合わせて。

「わたくしは殿方を狩る時かしら」
「量子力学を学んでいる時」
「閣下のお姿を斜め四十八度の位置から拝見する時です」

「お、おう」
 固まる友真を見て、リロはおかしそうに瞳を細めつつ。

「ボクはボクの本が埋まっていくのが楽しいよ」

 それが面白ければ面白いほど。識らない事であればあるほど。
「ちょっと幸せになれるよね」
 友真と顔を見合わせた一臣がふっと微笑し。
「ならそのちょっとした幸せを、俺たちがたくさんプレゼントしてあげたいね」
「そうやなーその本すぐに埋めてあげるし!」
 いくつものイレギュラーを共に愉しむのも、また一興。
「そのうちきっと、病みつきになる」
 自分もずっとそうだったように。
 聞いたリロは頷くと、本をかざしてみせた。
「そうなることを期待してるよ」

「あっ! 縁たちが勝ったから、一つお願い聞いて欲しいんだよ!」
 思い出したと言わんばかりの縁に、リロは返す。
「いいよ。何かな?」
「縁と友達になって欲しいんだよー! 駄目かなー?」
 やや面食らった様子の彼女に、縁はにぱ! と笑顔で。
「もっともっと仲良くなれば、きっと『楽しい』も沢山知れると思うんだね!」
「ふうん。そうだね……」
 リロはほんの少し考える表情を見せたあと。
「キミ達はボクにとって任務上のターゲット。そこは変わらないよ」
 だから、と言い置きにっと笑う。
「仕事以外でなら、ね」
「うに! それでいいんだよー! ありがとなんだね!」
 縁はリロの手を取ってぶんぶん握手してから、どっさりと飴を出し出す。
「みんなで食べて! なんだね!」
 文歌もリロの前に歩み出ると、ぺこりとお辞儀。
「リロさん、さっきは一緒に歌ってくれてありがとうございました」
「ふふ。誘われたら仕方ないよね」
 そう言って微笑するリロに、文歌も頷いて告げる。
「温泉の時も凄く嬉しかったんですよ。私、歌でたくさんの人に元気をあげたいと思っていますから」
「キミに向いてると思うよ」
 文歌はありがとうございますと礼を言い。悪魔に向けて、にっこりと笑ってみせた。

「またいつか、一緒に歌ってくださいね」

 ※

「さて、話も済んだ事だ」

 ここで明がおもむろに切り出す。
 笑みを刻んだままの口元から告げるのは、ふいうちの提案。

「ここからは余興だ。踊らないかね? レイディ」
 明の誘いにリロはぱちくりと瞳を瞬かせる。文歌がああいいですね、と微笑んで。
「私たちとみなさんでちょうど男性6人、女性6人ですしね。このまま踊りませんか?」
 続く残りのメンバーも口々に。
「うにうに! あっ男女混合でも面白そうなんだよ!」
「じゃあ俺、遥久とおどりt」
「(愁也を沈めつつ)せっかくの機会ですしね、ぜひに」
「女性悪魔とダンス……これはどきどきの予感!?」
「若ちゃんが今とても輝いている…!」
「俺ちゃんと踊れるんかな…あ、なんか仮面外したら急に緊張してきた」

 そんな彼らの様子に、リロはメイド見習達と顔を見合わせた後。
 苦笑めいた笑みを浮かべ、こくりと頷いてみせた。


「いいよ。一曲踊ろうか」


 Shall we dance, Lady?


 ※※


 シャンデリアの光が虹色に踊る。
 広いホール内を十二人の紳士淑女が舞踏する。
 流れるのは軽やかなリズムと重厚な旋律が合わさった円舞曲。
 交わされる会話も、どこか秘めやかに。

「先ほどは愉しい時間をどうもねえ?」
 自身を捕らえた少女に、明は踊りながら礼を言った。返ってくるのはくすくすとした笑い声。
「貴方を捕まえるためでしたけれど、後でリロ様に怒られるかもしれません」
「遊びが過ぎたと?」
「うふ。それは秘密です」
 いたずらめいた色を隠そうともしない様に、愉しげに笑う。
「まったく、これ故に悪魔は愉快である」
「あら貴方もとっくにご存じのはず」
 そう、これは悪魔の舞闘会。舞い踊りながら少女はささやく。
「駆け引き合うのも一興、騙し騙され合うのも一興」
「フリをするのも一興?」
「まさに」

 魅入り魅入られ、深淵を臨む。
 明の頬をひと撫でし、少女は莞爾と微笑った。

「それが悪魔の宴ですわ、Monsieur」




依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: JOKER of JOKER・加倉 一臣(ja5823)
 輝く未来を月夜は渡る・月居 愁也(ja6837)
 外交官ママドル・水無瀬 文歌(jb7507)
重体: −
面白かった!:8人

紫水晶に魅入り魅入られし・
鷺谷 明(ja0776)

大学部5年116組 男 鬼道忍軍
あなたの縁に歓びを・
真野 縁(ja3294)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
JOKER of JOKER・
加倉 一臣(ja5823)

卒業 男 インフィルトレイター
輝く未来を月夜は渡る・
月居 愁也(ja6837)

卒業 男 阿修羅
蒼閃霆公の魂を継ぎし者・
夜来野 遥久(ja6843)

卒業 男 アストラルヴァンガード
真愛しきすべてをこの手に・
小野友真(ja6901)

卒業 男 インフィルトレイター
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師