【四国】悪魔の舞闘会・草海　（さとう綾子）

　人の成長は何処へと向かうのか。

　闇の中、深き叡智の瞳は瞬く。
　それは深紅。血よりも深き命の色。

　器と精神は、此の領域へと至る可能性を秘めたるか否か。

　闇の中、深紫の唇は笑みをはく。
　それは紫黒。夜よりも深き闇の色。

「至れし階梯は如何なる域か。未だ遠し。されど、至れずとも判じ難し」
　声が告げる。
　声が謳う。
　人を、撃退士を、その目と耳で追い続けてきた己の駒たちへ。


「おんしらの力、見せて参れ」



　闇が翻る。



●


　その日一通の招待状が届いた。
　流麗な文字で書かれた柔らかな口調の招待状と、封入されていた複数のカラーカード。
　指定された場所は徳島城、城山山頂。
　周囲に自然は多くとも、街の中心地。
「……貴方方に、さらなる上を目指す気概と実力があるのなら、ときたか」
　茶会に出ていた生徒達から報告は受けていた。
　こちらの全てを受け止め、何かを見出そうとしているメイドと、同じ大悪魔を戴く悪魔達。
「挑戦、ととるべきか。むしろこれは、どちらにとっての挑戦なのだろうな」
　おそらく、メイド達の戦闘能力は高い。
　ならば彼女等が作るディアボロ達もまた、それなりだろう。何が出てきても激戦になる可能性が高い。ましてメイドそのものがもし出てくれば。
　――否。
「おそらく、何柱かとは、戦うことになるだろう」
　苦々しげな太珀 (jz0028)の声に、集まった一同は頷く。
「受けるか否かは、自由だ。学生達をと指定されては、こちらが代わりに動くわけにもいかない」
　例え人質をとっていなくとも、街のど真ん中に複数の悪魔が集うことを思えば、万単位で人質をとられたに等しい。
　悪魔の真意がどうであれ、だ。
「どういう理由でか、色分けされたカードが同封されていた。もしかすると、これが向こう側との対戦カードなのかもしれない。書かれている文字である程度の相手が分かるかもしれないが……このあたりは、相対した者のほうが詳しいかもしれないな」
　並べられたそれを見やる人々の目は険しい。
「叶うならば、制してくれ。……悪魔の舞闘会を」


●


「ようこそいらっしゃいました。皆様方」
　現地で優雅にお辞儀したメイドは、流れる亜麻色の髪をそのままにふわりと微笑んだ。
「この地を傷つけぬ為、少しばかり場を整えさせていただきます」
　後ろにいたメイド達が手を繋いでいるのが見える。僅かに聞こえるのは歌声か。訝しげに見やる一同の前、ふと、今まで見たこともないメイドが進み出た。
「付近の方々は避難していただいておりますので、ご心配なく」
　どういう意味だと問うよりも早く、全身を違和感が包み込んだ。
「なっ…！？」
「ゲートだと！？」
　同時、メイド達の歌が止む。空間が軋む音が響いた。瞬き一回。たったそれだけの間に出来上がったのは合計６つのドーム。
「種子島の方から結界術を学んだ者がいまして。氷と結界の合成魔法。本日はドーム型の戦場をご用意させていただきました。中でどれほど暴れられても、ドームが壊れることはございません」
　にこりと笑むマリアンヌの後ろで、桃色の髪のメイドと銀髪の幼女が手を掲げる。瞬間、手に持ったカードが熱を持った。
「では、ご武運を」



●


　――話は少し遡る。


「こちらのカードにはメッセージがありませんね……」
　篝さつき（jz0220）は太珀から渡されたカードを前に首を傾げていた。
「今まで報告にあがっていないメイド悪魔、でしょうか」
「……」
　傍にいるのは硬い表情のはぐれ悪魔、エメ。
「みんな、招待を受けるの？」
「受けざるを得ない、というところですね」
　苦笑するさつきにエメが心配そうな顔になる。
「撃退士のみんなが強いのは知ってるけど、悪魔もきっと強いよ」
「ええ」
　さつきは微笑んだ。
「いつだって強くて、私たちは苦戦してきました。けれども、戦わなければいけない。それに私は勝てると信じてるの」
　エメはしばらく考えるように俯いた。
「あたしも、力になれるかな」
「もちろん。だって、エメも撃退士ですもの」
　さつきの言葉にエメは泣きそうな顔になった。


●


　そうして変わった景色は夏の草原。
　身構えていたがメイド悪魔は出てこず、ただ１体、黒いローブ姿のディアボロが佇んでいた。
「きゃあ！」
　エメの悲鳴に皆の視線がそちらへ向く。
　草がぐんと伸び、エメの周りを鳥籠のように取り囲む。草の檻はあっという間にエメの姿を隠した。
　ディアボロが大鎌を振るう。まるでエメを解放したくば戦えとでも言いたそうに。
　黒い大鎌が夏の日差しを反射して、鈍く光った。

●
　ゲートの中に作られたドーム。
　持参していたカラーカードが熱を持ったと同時に広がったのは夏の草原だった。
　青い空と草の海。
「わぁぁっ！　何だか凄いのっ！！　でも……これってゲートなんだよね？」
　ユウ・ターナー(jb5471)は広がった景色に声をあげ、隣に立つクリスティン・ノール(jb5470)の手を握った。２人は悪魔と天使という違いを乗り越えた大の仲良しだ。
　けれども、カラーカードを持たないながら皆を助けたいと参加したエメが草の檻に囚われたことで状況は一変する。
　撃退士を誘ったメイド悪魔は姿を見せない。出てきたディアボロは１体。とは言え、メイド悪魔が直々に作ったディアボロであれば油断は禁物だろう。どう動こうか、各自は一瞬迷う。
「結界に檻、か。厄介な状況だね」
　ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)は周囲に視線を巡らせる。
　広がるのはただ草原。障害と言える障害はここがゲート内だということと人質を取られているということ。逆に言えばそれだけだ。
「開けてるから小細工はできそうにないね。いつも通りやろうか」
　判断は早かった。
（ゲート内に敵が一体……不気味だな）
　慎重なのは浪風　悠人(ja3452)だ。過去、似たような状況で苦い経験がある。だからこそ警戒に警戒を重ねて、ラストラスLA7を手の中で握り直した。守りたい人がいる。だからこそ強くなりたいし、警戒を怠りたくもない。
　悠人に並んで立つ浪風　威鈴(ja8371)も気を引き締め、呟いた。
「敵……一体……でも……強いよね……それくらい」
　ましてやここはゲート内。いつもは軽々と倒せる敵でも苦戦する可能性はある。とつとつとした口調が戦闘を前にスナイパーライフルSB-5を構えると狩人のそれに変化する。眼光鋭く、ディアボロを見据えた。
（招待しておいて代打というのと、人質を取るのが気に入らないわね）
　ここには姿を見せないメイド悪魔に対して不快感を抱くのは蓮城　真緋呂(jb6120)だ。
（そんな事しなくても挑戦には応じるのに）
　ちらりと眺めやるは草の檻。中にははぐれ悪魔のエメがいるはずだ。
「はわわ、エメさまを助けないと！ですの」
　クリスティンは草の檻を見てからユウを見る。
「先ずは、この敵をやっつけなくちゃいけないですの」
「さくっと敵を倒しちゃうんだからっ☆」
「強そうな相手ですの。でも、頑張るですの！」
　お互いがいるなら、ゲートの中でも敵が強そうでも怖くない。２人は顔を見合わせ頷きあった。
（悪魔に囚われた悪魔……心の底で複雑な部分はあれど、彼女は『仲間の撃退士』）
　真緋呂は視線を檻へと向けた後軽く目を伏せた。
（待っていて、必ず助けるから）
　それから偽物の空を見上げた。屋内であればアカシックレコーダーは本来の力を十分に発揮できない。それも少し歯がゆいけれども、もっと嫌なことは。
（高みの見物されてるのは癪だけどね）
　見えぬ悪魔を睨み据えた。

●
　しばし、どちらも動かない。撃退士たちはゲート内の圧を感じながら、ディアボロの様子を伺った。
　黒いローブ姿に大鎌を持った姿。まるで撃退士たちの力量を測るかのようにディアボロから動く気配はない。
　６人は顔を見合わせ頷きあった。
「とりあえずは、倒すことに集中するよ」
　ソフィアはディアボロまでの距離を目測する。そして檻とは逆のほうへ散開するように駆け出した。ソフィアは素早い。しかも動ける範囲も広い。ゲート内とは言え、圧など感じさせないような動きは舞う花のようだ。
　ソフィアに遅れ、各自散開するために走りだす。ユウとクリスティンは羽を広げ上空へと飛んだ。
　各自が檻とはできるだけ離れる形で散開したのは、檻を、エメを守るため。
　距離を取る者が多い中、ディアボロまでの距離を一気に詰めたのは悠人だった。
（草原という広いフィールドに敵が１体……それはつまり）
　悠人は檻とは逆側のディアボロ側面へと迫りながら分析する。
（多体一の戦いに向いた能力を持っているからではないか）
　例えば、耐久が高い。例えば、範囲攻撃。例えば自己強化スキル。
　そしてふと考える。
（このディアボロを作った悪魔も、そういう能力に優れているんだろうか）
　けれどもここにいない敵のことを考えている余裕はない。
（どちらにしろ、有利に運ぶための一手を）
　０距離。
　それは、ある意味覚悟の距離。
　手に生まれるは聖なる鎖。ディアボロに向けてその鎖を叩きつける。
　命中さえすればディアボロの持つ能力をすべて封じ込める、最初の勝負の分かれ目。
　ディアボロは大鎌でその鎖を断ち切ろうとし――
「させるか！」
　鎖がディアボロの手元で伸び、大鎌を持つ手に絡みついた。確かな手応えを悠人は感じる。
　それは他の５人も同じだった。波状攻撃の始まりだ。
　ソフィアの手から雷を纏った太陽のように光り輝く魔力弾が放たれる。
　ダメージよりも確実に当てることを目的とした太陽の雷――Il Tuono di Sole。
　威鈴も通常よりも素早い一撃で当てることを目的とした攻撃を繰り出し、確実にディアボロのダメージを稼ぐ。
　ユウの手から放たれるのは闇の矢。目に見えぬそれは高速で、けれども確実にディアボロを貫く。
「クリスちゃん！」
「待ってですの、ユウねーさま」
　クリスティンが選んだのは攻撃ではなく防御。できるだけ皆を、特に今、ディアボロの近くにいる悠人を範囲に含めて堅実防御を張り巡らせる。
　それを確認して、最後に真緋呂が動いた。
　アウルで作り出す無数の彗星。それは当たれば敵味方巻き込む重圧の流れ星。一歩間違えれば危険な技だが、真緋呂には疑問があった。
（敵は本当に１体なのかしら）
　この人数を１体のディアボロが相手取るというのは、いくら強いメイド悪魔が作ったディアボロでもおかしいような気がするのだ。
（武器の鎌とローブ姿の敵、実は別の個体とか、鎌の方が本体とか）
　なにせ相手は悪魔である。どんな手を使ってくるかわからない。
　とは言え、出たのは極論。
（まあどっちも潰しちゃえばいいんだけど）
　それがゆえのコメット使用。範囲攻撃であれば、隠れている敵も出てこざるを得ない。
　多くのものが遠距離から攻撃していたため、コメットの範囲にいたのは悠人だけだった。咄嗟に悠人は防壁陣を使用する。降り注ぐ彗星を手にしたラストラスLA7の銃身で弾けば、彗星に撃ち抜かれるのは動けぬディアボロだけだ。
　瞬間の様子見。
（……やっぱり１体？　それとも？）
　迷う真緋呂。ディアボロは鎖に捕らわれ、未だ動けない。
　一巡の攻撃で倒せる相手ではないとは各自わかっている。ディアボロがその場を動けぬ間にどれだけダメージを稼げるかがひとつのポイントだ。
　悠人は０距離から離脱しながら冷静にディアボロを見る。
（今、回避しなかったよな）
　移動はできぬとも回避はしようと思えばできるはずだったのだ。だが、ディアボロがとった手段は攻撃を受けるということだった。
　しかも０距離の悠人に攻撃をしかけようともしなかった。
（……どういうことだ？）
　まるで出てきながら、戦闘を放棄しているかのような態度は逆に不安を掻き立てる。
　向こうもこちらの実力を測っているのか、６人の攻撃では痛くもないほど強いのか……それとも。
　悠人は威鈴を見る。油断するな、と目で伝えると彼女は狩人の目で頷いた。
　不安は伝播する。とは言え、攻撃しなければ倒せない。
「どんどん行こう！」
　ことさらに明るい声を出してソフィアが波状攻撃の一番手を担った。
　偽りの太陽よりも明るい太陽、Il Tuono di Sole。光の魔力が弾ける。
　ラストラスLA7を撃つ悠人をフォローするように威鈴がクイックショットを放った。
　続き、今度は味方を巻き込まない、真緋呂のコメット。
　ディアボロに変化がないのが逆に不安になる。
（やっぱり１体？　それにしては回避しようともしない）
「クリスちゃん、行くよっ」
「ユウねーさま、はいですの！」
　打って出たのはユウとクリスティンだった。
　ユウは翼を最大限に活用して、一気にディアボロの後ろへと回りこむ。
　さすがに今まで攻撃を受けるだけだったディアボロがユウのほうへと視線を動かした。
「クリスちゃん、いっけー！」
　闇の矢を放ちながらのゴーサインにクリスティンが翼で高さをあげて答えた。
「ユウねーさまの作ってくださったチャンス、活かしますですの！」
　光の波が走る。天の力によりダメージの増した攻撃が無防備なディアボロにぶつかり、ディアボロを一歩後退させた。
「クリスちゃん、ナイス！」
「やりましたですの、ユウねーさま！」
　上空のナイスコンビネーション。これはさすがに回避したくとも回避できない。
　ディアボロがユウへと向けて大鎌を振りかぶった。
「みんな、来る――」
　ユウはディアボロの背後にまわったため、おそらく範囲攻撃でもユウの他は誰も被害がいかないだろう。ユウが示すのはディアボロが攻撃に転じた隙だった。その隙にみんなが攻撃を叩き込んでくれれば、まだこちらの優位は動かない。
　けれども、振りかぶった大鎌が途中で止まる。まるで攻撃を躊躇したかのように。
「え？」
「ユウねーさま、離れてですの！」
　クリスティンの声に慌てて距離を取るユウ。
　ソフィアはユウの無事を確認してから首を傾げた。
「攻撃してこない？　どういうこと？」
「馬鹿にされてるのかしら」
　回避はしない、攻撃もしない、やる気を感じられないとなると真緋呂の出した結論はひとつだった。
「これは挑戦のはずでしょう？　何もしてこないなんて馬鹿にされてるとしか思えないわ」
「楽でいいけど、腑に落ちないよね」
　ソフィアも首を傾げる。
「こっちの打撃力を測ってるだけだったりして」
「……お得意の情報集めか」
　悠人はメイド悪魔の特性を思い出した。
　高みの見物を決め込み、こちらの能力を測るだけ測って、後で活かす――ありえない話ではない。
　威鈴も目を細めてディアボロを見た。
「……戦う意思が見られない。あれでは木偶の坊だ」
「戦いたくないですの？」
　クリスティンは無垢な瞳でディアボロを見た。
「うんうん、実はメイド悪魔は戦いたくなかったりして！」
　実際に攻撃を止めた瞬間を見たユウもクリスティンの意見に同意する。
「それなら、招待なんてする必要なかったよね。やっぱり見られてるだけかしら」
　ソフィアはきょろきょろと周囲を見渡した。姿なく見られているかと思うとやはり気味が悪い。
　真緋呂に至っては気分が悪い。
「ともかく倒せばいいのだろう？」
　淡々と威鈴がスナイパーライフルSB-5を構えた。
「倒せば、エメさんも解放される。それで問題ない」
「そうだな」
　悠人も威鈴の意見に同意した。被害が少ないのであれば問題ないはずだ。
「ディアボロに理由を聞けないのが歯がゆいね」
　ソフィアは見えぬ悪魔の姿を探すが、やはり簡単には見つからなさそうだ。
「見られているのであれば、後悔するくらいの全力攻撃で倒しちゃいましょう」
　真緋呂はコメットをコレダーに入れ替えて指先を帯電させる。
「それもそうだね」
　ソフィアもにこりと笑った。手に生み出されるのは光輝く炎の魔球。太陽の火花――Una Scintilla di Sole。
「全力総攻撃行くよ！」
　火の粉を散らしつつ空を切る火球。ディアボロの足元に着弾すると小規模の爆発を起こした。
　同時に悠人と真緋呂が距離を縮めた。悠人が審判の鎖を放つと同時に真緋呂がコレダーで体落としを試みる。それを援護するのは威鈴のゴーストバレット。見えぬアウルの弾丸は確実にディアボロの急所を貫く。
　ユウがゴーストバレットを撃ちぬくと同時にクリスティンのフォースが叩きつけられる。連携プレイが決まった後、真緋呂が一気に刀でディアボロの首を落とした。
　それが致命傷となったのだろう、ディアボロは崩れて動かなくなった。
　最後まで、回避も攻撃もすることはなかった。

●
　ディアボロが動かなくなったと同時に草の檻が消えた。
　中から呆然としたエメが現れる。
「怪我はしていないか？」
　悠人がエメの様子を確認しながら救急箱を取り出した。クリスティンとユウも駆けより、皆の怪我の具合を確認する。
「ユウねーさまもエメさまもお怪我はありませんか？ですの」
「ユウは大丈夫だよ。クリスちゃんも無事でよかった！」
　それを聞いていたエメはふるふると首を振る。
「あたしも無事。だけど、あの……」
「足手まといとは思わないようにね？」
　さりげなくそっぽを向きながら告げる真緋呂に、みるみるエメが泣き顔になる。
「助けになりたくて来たのに、みんなに守ってもらっちゃって……ごめんねとありがとう。ずっと、ディアボロがみんなのこと攻撃しませんようにって願ってた」
「じゃあ、エメおねーちゃんがお祈りしててくれたおかげだね！」
　ユウが笑顔で言うとエメも泣き笑いの顔で「だといいな」と言った。
　ソフィアと真緋呂は顔を見合わせる。
　偶然の奇跡だろうか。けれども、悪魔にそんな奇跡が通用しないことも痛いほど知っている。
　すっきりとしない思いを抱えている中、威鈴が草原の奥を指さした。
「見て……あそこ……鳥居がある……」
　戦闘中は気付かなかったのだろう、朱色の鳥居がぽつんと立っていた。そこから先はドームの向こうなのか、暗くてよく見えない。
「次は鳥居の向こうで待っているってことかしら」
「今度こそ出てきてほしいものよね」
　ソフィアと真緋呂が言う中、悠人はちらりとエメを見た。
（守ってもらっちゃってってどうしてわかったんだ？　檻の向こうからこちらが見えていたのか？）
　それは棘のように刺さった、鈍い疑問だった。
（ずっと檻の向こうから見ていた悪魔だなんて、まるで――）

◯
　草の海の中でメイド悪魔は思う。
　大好きな眩しい撃退士たち。
　あなたたちを攻撃することすらはばかられると言ったら、笑いますか？
　
　

依頼成功度：大成功

MVP：　−

重体：　−

面白かった！：5人

	太陽の魔女・ ソフィア・ヴァレッティ（ja1133） 大学部4年230組　女　ダアト		おかん・ 浪風　悠人（ja3452） 卒業　男　ルインズブレイド
	白銀のそよ風・ 浪風　威鈴（ja8371） 卒業　女　ナイトウォーカー		繋ぐ手のあたたかさ・ クリスティン・ノール（jb5470） 中等部3年3組　女　ディバインナイト
	天衣無縫・ ユウ・ターナー（jb5471） 高等部2年25組　女　ナイトウォーカー		あなたへの絆・ 蓮城　真緋呂（jb6120） 卒業　女　アカシックレコーダー：タイプA