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マスター:後醍醐
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/05/23


みんなの思い出



オープニング

 久遠ヶ原学園
 
 部活対抗男女別水中騎馬戦と書かれた用紙が一枚貼りだされている。
 その張り紙の前に生徒達が集まってその内容をつぶさに見ている。
「おい、マジかよ」
「えー、ほんとー?」
 そこに書かれていたのは――。
 
 『勝ち進めば、部活動補助費増額』
 
 と、シンプルに書かれていた。
 無論、部活動に必要な各部活には費用は出ている――今回は、それに加えてプラスする内容となっている。
 では誰がそのお金を出すのか――放送局が今回のスポンサーだった。
 そう――競技の内容は収録され、放送される旨もその張り紙には書かれていた。
 故にテレビに映っても構わないという生徒限定となっていた。
 さて、普通であれば――グラビアアイドル等を集めて行われる競技『水中騎馬戦』ではあるが、それはあまりに陳腐すぎて大人の事情も透けて見えそうな物が多かった。
 しかし、桃色の頭脳を持つ放送局のプロデューサーが徹夜明けの朝五時にひらめいたのは一般人の素人を使うという手法だった。
 
 1ヶ月前 放送局 会議室。
 ただ――局内でも異論、反論の類は多かった――さすがにまずいのでは と。
 だが――。
「これは競技であって『スポーツ』である。別にやましいものではない。どうとるかは視聴者次第だ」
 胸を張り、自信のある態度できっぱりと答えるプロデューサー。
 詭弁とも言える暴論――わかりやすく言えば女子バレーの放映中に選手の太もも、尻に目線がいっても仕方がないという論法であった。
 そして、取り出したのは『水中騎馬戦 体系』と書かれた分厚い冊子。
「これは?」
「『スポーツ』としての統一ルール」
 この男、本気でスポーツ化させようと本気のようだ……!
 (……失敗すれば、この男を飛ばせばいいだけだ……)
 
 話は戻って久遠ヶ原学園 開始数日前 とある部室
 
「むむむ……」
「何が、『ムムム』だ、我が部長」
 漫画の原稿が散らかっている部室――俗にいう『漫研』に二人の男女がいた。
「ああ、副部長の水原(ミズハラ)女史。これを見てくれないか」
 部長と呼ばれた男は――成原(ナリハラ)はビラをメガネを掛けた水原と呼ばれた少女にビラを渡す。
「『部活対抗男女別水中騎馬戦』……ふむ、任意参加……勝てば部費の補助」
 メガネをクイッと上げて瞑目して考える。
「前のイベントで赤字だったしな……ここは是非とも……だが」
「メンツはどうする? 残念ながら部員はあまり多くないぞ」
 参加するには女史・男子共にわずかに少ない状況――。
「助太刀を頼んでみるか」
 参加用紙を書き込む部長――参戦が決まった。
 
 『漫研部』が対するのは『陸上部』。
 
 
 こうして、『スポーツ』としての水中騎馬戦が始まるのであった。
 ……何事にも『ハプニング』というのはつきものではあるが……。


リプレイ本文

 ●開会式
 
 久遠ヶ原学園 プール
 
 久遠ヶ原学園にあるプールの一つに集まっている学園生達。
 其の装いはいつもの制服ではなく、色とりどりの水着だったりする。
 無論、学園指定のスクール水着を着ている生徒も見かけているがここぞとばかりに派手な水着もみられる。
 
 其の派手な水着の一人――ウルブライエ・メーベルナッハ(ja0145)
 強いて言うなら、足元は見えないだろうというぐらいに大きい双子山を持つ女子生徒。
 水着もまた、布地面積が少ない三角ブラ水着――俗にいう、マイクロビキニというやつである。
 必要最低限しか隠してない、とも言えるだろう。
「あぁん、なんかめっちゃ見られてますー♪」
 どうやら――衆目に晒され、見られているのも楽しんでいる様子だ。
 
 かと、言えば――お淑やかな水着を着ている女性もいる。
 ハイビスカス柄の露出の少ないセパレーツタイプの水着を着ているのは月隠 朔夜(jb1520)
「久しぶりに水着を着ました……」
 心なしか、恥ずかしさで赤面している様子だ。

「ハプニングが起きたら、恥ずかしいけどわざとじゃないならしょうがないかな。ただまあ、その場面ちゃんと処分してくれなかったら……呪うかもね?」
 白のホルターネックビキニを着たソフィア・ヴァレッティ(ja1133)がいい笑顔でプロデューサーらしき男に迫っていた。
 スタイルのイイ女性が近くにいるというのは眼福であるものの、其の言葉にはただ頷くしかなかった。

「おっけおっけ、引き受けたからには鉢巻は全力で奪ってくるよっ!  でも、騎馬戦するのにこの格好っていうのは……ちょっと恥ずかしいかな」
 スポーツタイプのブラの水着を着用して健康的――だけど、実は脱いだらすごいスタイルの砥上 ゆいか(ja0230)はチョット、恥ずかしそうだ。
 
「涼みたかったですしちょうどよかったですー」
 最近、暑くなってきたのでついでに涼もうと参加したのは銀狐の耳と尻尾を持った影山・狐雀(jb2742)。
 
「……」
 (もう夏の兆しが見えてきたね。このところ暑い日々が続いたから、プールも気持ちよさそう)
 プールの水面を眺めて思いにふける永連 璃遠(ja2142)。
 
 (…ウル先輩のことだから、きっと……記念に競技前の姿なら、と、撮っても良いよね!?)
「あ、統真くんも参加しとったんや〜 んふふっふ〜♪」
「えっ! いや、あの、ウル先輩、此れはそのぉ……!?」
 持参したデジタルカメラでウルブライエをこっそり撮影しようとしていた如月 統真(ja7484)。
 だが、アッサリとバレて……。

 と、いろんな事があってわいわいがやがやとしていたが、司会らしき男が現れて解説を始める――。
 
 こうして、水中騎馬戦が始まるのであった。
 
 ●男子の部
 まず始まったのは男子の部。
 そう、男子の部のはずだ。
 ……どう見ても女子生徒にしか見えない男子生徒がビキニを着てたり、それが違和感がないといったことが多々発生。
 コレには司会も……と、思ったが逆に絵的に美味しいのか盛り上がっている。
 ……男なのにビキニのブラが外れる事態というのに興奮してしまう一部男子も、『色んな意味』で盛り上がっていた。
 うーんボルケーノ。
 きっと、今日を切っ掛けに新しい世界が拓けるのだろうか。
 それは閉会式の時、判明するのかもしれない。
 と、そんなマッチョイズムとは真逆な試合を幾つか挟んで、漫研の試合がやってきた。
 
 さて、騎馬編成。
 永連と男子生徒の騎馬係の上に影山が乗る騎馬。
 如月が上に乗る騎馬。
 そして、部員の騎馬が4騎。
 ちなみに騎馬は下の騎馬役の腕に跨るスタイルであることを付記しておく。
 
 連携を重視して動く影山ペアと如月。
 
「が、頑張って勝利しましょう! 永連くん、騎馬お願いねっ。統真くんも連携して相手の鉢巻を取っちゃおうー」
 如月のフォローを受けながら永連と影山のペアが相手の鉢巻を狙いに行く。
 が、相手も抵抗してくる。
 鉢巻を取ろうとする互いの手を、体をひねったりしながら回避を続けるが――。
「永連くん、ちょっと掴んでっ……ふぇ!? ひゃぁ!? そこわぁ……」
「あっ……ごめん」
 バランスを崩れそうになる、影山はバランスを維持するために永連に掴んでもらうように頼むが……。
 水着に隠れた膨らみではなく――尻尾を捕まれてびっくりした声を出す。
「……ぅ、うん、何か変なことになってる気がするけど……その……勝負がつくまでの辛抱だよ、狐雀くん!」
 其の反応に赤面する二人。
 さすがの相手もその反応にビックリして手が止まる。
 互いに気を取り直して攻防が再開される。
「ひゃわ!? 取られるわけには……うわたたた!?……はぅ、鉢巻とった―……ふぇぇぇ!?」
 相手から鉢巻をとったと持った瞬間!
 バランスが崩れて崩壊する騎馬!
 崩れ落ちる影山、そして、ズレる水着!
 が、偶然――永連の手で包み隠される。

 さて、フォローしていた如月と言うと……。
「よぉし、こうなったら……!!」
 影山ペアを狙おうとする騎馬に攻撃を仕掛ける如月。
 攻撃方法は極めてシンプル。
 クラッシュ覚悟で相手に突っ込んでいく如月。
 そして、相手に対して跳躍して突っ込むが……。
「ぷはっ……あわわわ」
 どうやら、『脱げて』しまったようだが、騎馬役の生徒が壁になって隠している間に着替え直す如月。
「……気を取り直して。がんばろう!」
 ということで再度、アタックする如月。
 影山・永連ペアの騎馬や仲間の騎馬と連携しながら攻撃の手を緩めない。
 時には相手の騎馬を崩し、逃げたり跳躍して鉢巻を狙ったりと。
 こうして30分に渡る試合の終了を知らせるホイッスルが鳴り響く。
 結果は――漫研部の勝利。
 
「勝利ですよー……って、はわ!?…あぅ、また落下ー!?」
 勝利に喜んでバンザイする影山――だが、バランスを崩し……。
「あれ、狐雀君。……って、あわわわ!?」
 如月を巻き込んで影山の騎馬も崩れる。
 崩れた際に頭を打ったのか、うつ伏せな状態で浮くおしりが3つほどあったとか、なかったとか。
 
 
 ●女子の部
 ということで、おまちかねの? 女子の部。
 矢張りというか、ハプニングが続出とはいわないものの起こっている。
 そのたびに、盛り上がりを見せる男性陣と司会。
 
 漫研の試合がやってきた。
 
 ウルブライエ、砥上、ソフィア、百夜、月隠とそれぞれ騎馬の上だ。
 
 スタートの合図とともに試合が始まる。
 
「6人対6人で30分もあるんなら、時間に余裕あるよね。あせらず且つ大胆にいこう!」
 (崩れたとしても騎馬の組み直しOK……鉢巻が取られなければ、騎馬から足が離れてもいいみたい)
 ルールを確認していた砥上は作戦を練る。
 どうやら、イザという時は空中戦を仕掛けるようだ。
 
 他の生徒と共に攻めていく――なお、砥上は意識していないが、騎上で2つの膨らみが揺れている。
 図らずとも、男子生徒の注目を浴びる。
 接敵。相手チームと鉢巻の取り合いへと移行する。
「えいっ!」
「やぁっ!」
 互いにダッキングやスウェーを利用しながら相手の手をよけながらの攻防戦。
「あっ!?」
「あっ……ごめん」
 鉢巻を掴もうとする相手の手が砥上の胸を掴んでしまう。
 流石に、スポーツタイプのブラなので外れるということはなかったものの、両者は一瞬固まってしまう。
 仕切りなおして、攻防戦が始まるが埒があかない。
「こうなったら……」
 一旦、騎馬を後退させて距離をとる砥上。
「いっくよー」
「!?」
 と、鉢巻を狙って相手に向かって飛びつく砥上。
 大きな水音と水しぶきを上げる!
「とったー!」
 水面に出てくる砥上が上げた腕には鉢巻が――だが、なにか様子がおかしい。
「きゃあ!」
 
 投げ入れられたタオルを使い、着替え直す砥上であった。
 
「よっしゃ! 行くで!」
 身長を活かして上からプレッシャーをかける形で胸を揺らしながら果敢に攻める方針はウルブライエ。
 
 水面を進む騎馬、揺れる溢れんばかりの2つの果実――男子生徒の視線を集める。
 さて、他の生徒も取り合いに入っているのでまだ、囲まれる心配は無い。
「突撃や!」
 動きの遅かった相手の騎馬を見つけて迫る!
 相手の騎手が小さい、否、ロリっ子の為に体格差が結構ある。
 覆いかぶさるような体勢で攻めるウルブライエ。
 揺れるウルブライエの双丘に揺れないロリっ子の大地。
「ウル先輩がんばってー!」
 どちらも応援する男子生徒の歓声が大きくなる。
 揺れに揺れるたわわに実る2つの果実――揺れすぎたゆえに……。
 2つの果実を包んでいた覆いが取れる!「ウル先輩、や、やっぱりぃー!?」
 プールサイドで応援していた如月は目を隠す――振りをして、指の間からガン見してしまう。
 即座に投げ込まれたバスタオルが見事に隠す。
「あっちゃー やってもーたなー」
 どこか棒読みっぽく言うウルブライエ……たぶん、きっと、狙っていたのだろう。
 なお、相手は突然の出来事に硬直してしまっている。
「いまやっ!」
 その隙に相手の鉢巻を取ることに成功したウルブライエだった。
 
 
「ただでさえ動きにくい騎馬戦で更に水中となると、位置取りは重要になりそうだね」
 ソフィアの方針は手間取る方向転換や側面背部への味方への攻撃の警戒と共に攻撃方法として取るつもりだ。
 他の生徒達は果敢に攻めている中で、ソフィアはその生徒の援護に回ることにした。
 相手は他の生徒をねらっているのか、ソフィアの動きに気がついていない。
「取られる前に取る方針で行かせてもらうよ」
 狙っている騎馬を背後からの奇襲――そこからは速かった。
 素早く腕を伸ばして、気がついてない無防備な頭から鉢巻を取る。
「!?」
 相手の生徒は突然の出来事にビックリしてしまう。
「次はこうは行かないかな」
 次のターゲットを見定めるが――。
 ソフィアに向かってきている騎馬が1騎。
 あわせて、ソフィアも方向転換して迎撃に図る。
 接敵――。
 互いに激しい攻防が繰り広げられる。
「崩すよ」
 もう1騎来たのを白夜の呼びかけで確認すると、騎馬を崩して後退する事にした。
 
 
「本当は連携とか考えた方が良いんでしょうけどね。気楽にいきましょう」
 白夜は気楽に構えつつ、相手がバランスを崩した時に取りに行く方針を立てた。
 開始すると味方と敵ともども早速、鉢巻の取り合いを始めていた。
 水しぶきがはね、揺れる体躯は激しい攻防戦の様子を表している。
「今は少し早目の水遊びを楽しませてもらいましょうか」
 白夜は片手で鉢巻を守りつつ、余裕を持ちながら状況を見据える。
 戦況は推移し、時には仲間入りに呼びかける。
「どうやら、ピンチのようね」
 相手の騎馬の接近を先にいるソフィアに呼びかける白夜。
 ソフィアに迫る二騎の騎馬――ソフィアはわざと騎馬を崩し、うまいこと後退して二騎の騎馬を誘導している。
 ソフィアに誘導される二騎――白夜は回りこんで背後から鉢巻を狙うことにする。
 白夜だけではない、呼びかけた味方の騎馬も、もう片方の1騎後ろに回り込んでいる。
 迫る白夜、気がついた相手が振り向く。
「きゃっ!?」
「あらあら、ごめんなさいね」
 相手が体を捻ったことにより『偶然』にも胸を触ってしまった白夜。
 
 咄嗟のために、対応できず白夜に鉢巻を取られる事となった。
 
 
「鉢巻を一つは取りたいですね」
 月隠は孤立しないように気をつけつつ、鉢巻を狙っていくようだ。
 相対する味方の騎馬と相手の騎馬――互いに鉢巻の攻防がヒートアップしていく。
 そんな中、月隠は連携して動くために味方の援護に入る。
 そのおかげか、相手はなかなか味方の側面を狙うも攻める事が出来ないようだ。
 側面、背面からの攻撃を阻止する月隠は。
 しばらく阻止をしていると――白夜による呼びかけで追われるソフィアを発見。
「そういう事ですか」
 白夜による動きの意図を読んだ月隠は互いに連携してソフィアを狙う二騎の背後へと迂回して移動する。
 白夜とのほぼ同時のタイミングで背後から鉢巻を狙いに行く。
 運悪く、白夜は気付かれたものの月隠は上手いこと背後から鉢巻を奪うことに成功した。
 
 その瞬間、試合の終了を知らせるホイッスルが鳴り響く。
 結果は火を見るより明らかではあるが――漫研部の勝利であった。
 
 その後、幾つかの試合を経て試合は終了した。
 
 ●試合終了後
「つ、疲れた……っていうか恥ずかしかった……」
 上気とは違う恥ずかしさによる紅い顔をしている永連。
「永連くん、お疲れさま!」
 そんな永連に声をかける影山。
「狐雀君、永連君、お疲れさま!」
 永連と影山の二人に挨拶をする如月。
 三人は試合の話で盛り上がっている。
「お、いたいた! これからみんなで打ち上げや! ほら、勝負も終わったし皆で仲良くな♪ なー♪ほら、統真くんも狐雀くんも璃遠くんも♪ 」
「え、あの!?ちょ、何を言ってーー !?」
「ウル先輩!?」
「……ウル先輩?」
 三人の前に現れたウルブライエは言葉通り『お持ち帰り』しようとして三人に驚かれた。
 
 それからどうなったのかは――それはまた別のお話し。
 
 


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 太陽の魔女・ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)
 衝華に問う・月隠 朔夜(jb1520)
重体: −
面白かった!:5人

聳え立つ双子山・
ウルブライエ・メーベルナッハ(ja0145)

大学部2年33組 女 鬼道忍軍
Unstoppable Rush・
砥上 ゆいか(ja0230)

大学部3年80組 女 阿修羅
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
戦ぐ風、穿破の旋・
永連 璃遠(ja2142)

卒業 男 阿修羅
幸せですが何か?・
如月 統真(ja7484)

大学部1年6組 男 ディバインナイト
衝華に問う・
月隠 朔夜(jb1520)

大学部6年2組 女 阿修羅
アド褌ティの勇士@夢・
影山・狐雀(jb2742)

高等部1年7組 男 陰陽師
暁光の詠手・
百夜(jb5409)

大学部7年214組 女 阿修羅