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マスター:ガンマ
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2012/02/24


みんなの思い出



オープニング

●苦い青春
 所謂、パシリだ。急がなくては、急がなくては、また腹を殴られるのはゴメンだ。走れ、走れ、そこの曲がり角を曲がっ――あ、人が、

 ぶつかる ……!

「わぁっ!」
「っ!?」
 ドンと思い切りぶつかってしまった。尻餅。買って来させられたパンが落ちる。
「いてて……ゴメン、大丈夫?」
 立ち上がるのも忘れて急いで見やった。そう言えば古典的なラブコメみたいなぶつかり方だとか思いながら。
 ふわり。
 揺れたのはピンクの髪。三つ編み。
 古典的。ラブコメ、みたいな――……
「……お前ェ……」
 ピンクの髪。ピンクの目。でも、ギリギリ平均身長のおっさんだった。教師?ガタイは良い。越南笠を目深に被り、妙な布で頭部を覆い。ていうか、オーラが不良のソレである。おっかない。ファンシーなのは目と髪の色だけだった。
「ひっ……ご、ごめんなさい!」
「許すよ!」
「えっ?」
「しかぁーし廊下を走るのは許せんなぁ……?」
「ごごごごめんなさいっごめんなさい! 僕、急いでて……」
 そうだ、屋上のアイツらにパン買って来いって。急いで落としたパンをかき集めて立ち上がって――あぁ、一分一秒が惜しいんだ。
「待てコラ」
「ぐわぁ!」
 足を引っかけられてまた盛大に転ぶ。そんな僕の手をぐいと引っ張り、その先生(多分)は。
「自分、そんなにパン食べんの?」
「へ?」
「一個寄越せ。先生ちょっと小腹減ったわ」
「えっ」
「あ、お金は払うよ先生その辺分かってる人だし」
「え、でも、これは……」
「これは?」
「……、」
「何なのよ」
「……それは、……」
「言えねー事かぁ?」
 先公にチクッたら殴るぞ、と言われた言葉が蘇る。目を逸らした。しかし先生は視線を逸らす気はないようで……仕方なく、どうしようもなくって、でも本当は誰かに言いたかったのかもしれない――簡潔に事情を話す。
 すると、グンと手を引かれて。

「よぉし棄棄先生に任しとけぇーー!」

 いきなり走り出したのである。
 あ、先生、廊下は走っちゃ駄目って……
「ケースバイケースだ!」
 ムチャクチャだこいつ。しかもちゃっかりパン食ってるし。

●スクールのルーム
「オーッス諸君! 俺だ! 棄棄先生だぁよん!」
 どばーんとドアをブチ開けて。パンをもぐもぐ、片手に青い顔の男子生徒。
「初めましての諸君は宜しくなのよねん、そーでねーのも宜しくよ」
 はいそんなこんなで、と教卓にどっかと腰を下ろし。
「コイツを虐めてるバカ共しばきに行きます以上。場所は屋上、数は10人も無いけど増援を呼んだら増えるかもよ。喧嘩強い奴がチラホラ居るんですってよ。
 ハイそーれじゃ行きますわよ諸君! レッツら教育的指導!」
 それはそうと、声がでかいよこの教師。


リプレイ本文

●貴方は衝撃
「ヒャッハー! 動く奴ァ不良だ! 動かねぇ奴ァ良く訓練された不良だ!」
「ウォゥ〜……棄棄先生は熱血系教師〜?」
 屋上へと向かう廊下。生徒の先頭を意気揚々と歩く棄棄の横からヒョイと顔を出し板垣・ナニガシ(ja0146)は目をぱちくりさせる。毒をもって毒を制す系?兎角、昔通っていた学校では自分も――顔を俯け付いてくる件の少年を見遣る。似ている、昔の自分。だからこそいじめられてたあの男子の気持ちが分かるのだ。
「不良さんはあんまり好きじゃないけど、頑張ります!」
「おーぅ、その意気だぜナニガシィ!」
「はいー」
 鼓舞のつもりかばしばし背中を叩かれ頭がガクガクなりつつもぽわんと笑った。
「パシリなんてする悪い人、鉄拳☆制裁ですよ〜!」
 るんたった、るんたった。鈍い色を放つ金属バットを肩に担いで楽しげにスキップしているのは森浦 萌々佳(ja0835)。不良を悪いとは思わないが、ヒーローマニアである彼女は自分より弱い者は苛めるのではなく護るべきだと考えている。故に、己より弱き者を苛める様な悪い人は鉄拳☆制裁★教育的指導!
「気の弱そうな坊主に何かさせるよりはいいのだろうけどねぇ……」
 イクス・ガーデンクォーツ(ja5287)気怠げな声、しかし心の底から面倒かと言えばそうではない。己を出来た人間とは思っていないので正義感を振り翳すつもりは無い、自分が思う事を加害者被害者どちらにも伝えたいだけ。細長い指で愛用のニット帽のズレを直した。
 一方、一つに纏めた黒髪を靡かせ怒りの声を廊下に響かせるのはキッと目付きを鋭くした砥上 ゆいか(ja0230)。
「んっもー! パンが食べたいなら、自分で買ってくればいいじゃない! ひとりにこんなにいっぱいパン持たせてー……って、キミも! 嫌なら嫌って言わないとダメなんだからね」
「あ、はい、すみません」
 歩きながらくるんと少年へ向いたゆいかの言葉に彼は思わず視線を逸らした。全く、とフンと鼻を鳴らし視線を戻せば屋上への扉が、それへ続く階段が見える。そうだそう言えば今はお昼ご飯の時間。お腹すいたー。なんて、平和に思うも先ずは教育的指導が先だ。
「今時古典に載ってるであろうお手本のような不良だね」
 淡々と言うのは女子制服に身を包んだ少女――ではなく、正真正銘の少年。「そんなチンピラは何時の日も滅びるのが運命だよ」と続ける鴉乃宮 歌音(ja0427)である。メイクもしてくるという徹底っぷりだ。恥じらいは全くない。所謂ハニートラップ作戦の為。
「女の子かと思ったぜー、まぁめんこい事に変わりはねぇがな! でも何でスパッツなの?」
「邪道? 知らないな 」
「大丈夫先生スパッツも可愛いと思うわよ」
「どうも」
 ふ、と薄く笑う。こんな破天荒な教師は嫌いではない。視線の先にはドアノブに手を掛けた教師の手。言い放った。

「さて、制圧しようか」

●ヒャッハー
「あんた達、いい歳してパシリとかやめなさいよ、ガキじゃあるまいし!」
 ドアを開け放つなり、珠真 緑(ja2428)の凛然とした声が屋上に響いた。
「あ゛ァ? 何だこのガキ」
「俺らと一緒に飯食いに来たのかよぉ、女なら歓迎だぜ」
 取り敢えず最初は話し合いを……と思ったが、まぁ話し合いで解決するなんて端から思っちゃいない。だからこその自分達。
「なら……おバカさん達にはオシオキしないとねぇ?」
 やれやれだ。下衆く笑う下々を威厳のある薄笑みで見下す。誇り高きマフィアはこの程度では動じない。威厳。吹き抜ける風に緑の銀髪と――桜宮 有栖(ja4490)の黒い髪が揺らいだ。何なんだてめぇら、と凄み熱り立つ彼らへ、虚ろな視線と虚ろな声を。
「ふふっ、本日は教育的指導に参りました」
 くす、と不敵な笑みを浮かべてみせるその手で番えるのは、先端をゴムに取り変えた弓矢であった。ずぶり、と刺さってしまってはかわいそうですし……ね?
「理不尽な暴力で受ける痛み、学んで貰う」
 不良達を更生させてみせる。笑顔の星杜 焔(ja5378)はゴム弾を詰めた銃を構え虹色の神秘をその身に纏った。因みに解毒剤入りパンを用意しようと思ったが現実的ではないと諦めた。
 緑、有栖、焔に歌音も加わり、陣取るのは屋上と校舎を繋ぐ唯一の扉の前。鍵が無いので施錠は出来ないが、ならば逃がさなければ良いだけの事。
「ヒャッハー! この俺様が在る限り、不良が栄えた試し無しッ! 覚悟ァ良いか諸君!?」
 ゴキゴキベキベキ拳を鳴らし、棄棄が一歩前に出る。焔にはその背しか見えないが……多分きっと、超笑顔。うわぁ敵じゃなくって良かった、と思いつつ。
「先生もご協力下さい」
「ったァりめぇぇだらァアア!? ウッヒャヒャヒャヒャ」
「いや、ボコる方じゃなくって……いやボコる方もですけど、私達後衛職の援護と、扉の封鎖を」
「あ、そっちね。オーケーオーケー、イクスちゃァアん! お前さんも来いやァ!!」
「うーっす、了解」
 盾になるのは喜んで。布陣は完璧、向こうもヤル気。ならばやってやろうではないか。

「往くぜぇ諸君! 教育的指導だァーーッ!」

 教師の号令で火蓋が切って落とされた。

「は〜い、ヒーローのお嫁さん(予定)な萌々佳さん参上ですよ〜!」
 掴みかかろうとして来た不良へ、ニコニコ笑顔でフルスイング。金属バット。ぼぐっと鈍い痛い音。
 やりやがったな。怒声、罵声、あらあらうふふ。振り下ろされた金属バットを同じ物で受け止めて、拮抗。拮抗。ニコニコ、踏み止まって、押し返して、バランスが崩れたそこへ飛び込んだのはナニガシの小柄な身体であった。
「私達のいる学校は確かに自由を重んじているけど……」
 重心を低く。固める拳。胆に込める力。地面を踏み締め、フッ、と噛み締めた歯列から息を漏らして。

「君たちは、使い方を間違っている系かな!!」

 伸びあがる身体、美事な軌跡を描くアッパーカットが不良の顎に突き刺さった。
 見た目の穏やかさからは想像も出来ぬ武き豪撃。キッチリカッチリ指導し尽くしてくれる。目の前に立ちはだかる大柄な不良を怖じけずに睨み付け返しボクシングスタイルの拳を構え――胴に入った蹴りを受け止め、踏ん張って耐え切った。ならばこちらの手番、踏み込む足。余り器用な真似は出来ないが、
「撃退士の身体能力で放つジャブをそう簡単に捌けると思わないで欲しいかな!」
 繰り出す超速のジャブ、ワンツー、脳を揺らして隙を作ってからの、強烈な右ストレート。

「ひとりに買いに行かせないで、パンなんてみんなで買いにいきなよ。それに遅れたら殴るだなんて許せないんだからねっ!」
 ゆいかも負けず劣らず、ボクシングスタイルのナニガシとは違い徒手空拳。
(うー、だろうと思ったけど言うだけじゃわかってもらえないか)
 鉄パイプのスイングをバックステップで回避し思う。
「〜〜♪」
 視界にちらと映った先生はノッリノリで不良をジャイアントスイングしている。うん、先生も乗り気だし、あたしも頭に来たし。

「やっちゃうかんね!」

 あどけなさが残る顔を凛と引き締め、繰り出す蹴撃は真っ直ぐ、彼女の曲がった事が大嫌いな性格を表すかの様に正確無比。
 そんなゆいかとは対照的、焔は『勝てばいい、それが全てだ!』戦法。近寄ったかと思えば不良の顔面にマヨネーズをぶちまけ、怯んだ瞬間に腹へ膝、倒れた者を踏みつけ踏みつけ。
「ヒャッハー、水だァ〜ッ」
 降参です、降参ですと言う者を足蹴にしつつそのマユだらけの顔に用意していた水をダババババ。この男、外道である。
「くそぅ、卑怯だぞ」
「知らないな」
 動いちゃ駄目――戦闘不能になった者は歌音が片っ端から縄や包帯で縛る。先ずは両手親指。次に足。最後に口。完全無力化。
「さて、」
 手をぱんと叩き身を起こせば、BB弾を込めた銃で真っ直ぐ狙った。ビスッ。穿つのは脚。ビスッ。痛かろう。痛かろう。序に股間にもビスッとな。鍛えようが殆ど無いからな、そこは。
「うん、その痛みは分かる」
 同情はしないが。

「致命傷を負わせちゃ駄目なのよねぇ……加減できるかしら?」
 緑が開いた魔導書に記されし呪文を唱えれば、光となって顕現した神秘が一閃の軌跡を描いて飛んで往く。
「おい、今屋上にやべぇ奴らが――」
 通話強制終了。緑の放った魔導が不良の携帯電話をブチ抜いたから。
「ぐ、てめぇっ」
「やだあんた、こーんなちっちゃい子に暴力振るうの?」
「知るかァッ!」
 振るわれる拳を華麗に躱し、叩き込むのは得意の回し蹴り。
「チンピラ共が……マフィアに楯突いてんじゃないわよ。チビだからって嘗め……誰がチビだぁぁっ!」
「ぐはっ! じ、自分で言ったんじゃねーかチビって「チビなんて言ったら容赦しないんだから!」
 チンピラ共に誇り高いマフィアの本当の恐さってものを教えてあげるのよ!と、威厳を持って対応する。(※威厳が迷子です)

「あら、どちらにいかれるおつもりで……?」
 くすり、くつり。有栖の朧な声と共に、浅く引かれた低威力の弓が飛ぶ。速射ではなく一射一射を丁寧に、確実に。怯んだ相手がこっちを睨む。ならば、と。視線は不良にコブラツイストをかましている教師へ。
「指導はまだ始まったばかりですよ。ね、棄棄先生?」
「モチのロンだぜぇー! おっしゃ来い萌々佳にイクス! ブッかますぜぇぇええ!?」
「はいは〜い」
「りょーかい」
 吶喊するのは増援も呼べず残り僅かな不良達。強く地を蹴る!

「喰らえ!」
「鉄拳んん☆」
「制裁ですよ〜!」

 飛び蹴り。鉄『拳』だけど蹴り。一網打尽。
 地面に転がった携帯電話はナニガシが不良の目の前で拾い上げた。
「ボッシュートです」
 見上げる先には、にっこり笑顔。ぽわんと穏やか年齢相応な。そっと手を差し伸べ――

「さあ、まだここにいない友達をこれで呼びなよ」

 たのではなく、その手には自身の携帯電話。拾い上げた不良の物はバギリと握砕。蒼褪めた顔の不良の目の先、ナニガシから滲み出る真っ黒いオーラ。彼女の笑顔の奥のその瞳は、下手な不良より据わっていた。
「ヒヒ、ヒ、ウェヒヒヒ……不良系男子は抹殺。悪事がいかに不経済でリスクの高い行為なのか、懇切丁寧に説明してあげるね」
 今回の件を元まで断つ為に、増援を呼ばせているその様をニコニコ見守る。

 悪魔は皆、優しいのだ……ッ。

(ナニガシちゃんェ……)
 そんなげんきいっぱいな彼女を、先生はあたたかいまなざしで見守っていた。

「――オラァ! 喧嘩売りやがったのは何処のどいつだ!」
 斯くして、増援にやって来た不良達、
 が、
 見たモノは。
「お〜う、複数名様御案内ィ〜♪」
 正座させられ縄や包帯でぐるぐる巻きにされた不良達と、待ち受ける『教育的指導部隊』。

「自由は他人の為に使うものだよ。それ以外の自由は自由とは呼ばない。わがままっていう系」
「屋上は、みんなの場所です〜」

 ゴキリ、拳を鳴らして、ナニガシが一歩。ニコニコ、金属バットをフォンと素振って萌々佳が一歩。
 後退ってももう遅い、既に扉は閉ざされて、退路も塞がれて。
「さぁ、教育的指――」
「あのっ」
 唐突。
 一同の間に割って入ったのは件の男子生徒だった。もうこれ位で良いのではないか、と。しかし皆の視線にあたふたして言葉を出せない、そんな彼へ。

「君は人の痛みがわかるいい撃退士だね」

 彼も変われないかな――期待していたからこそ、焔は柔らかく微笑んで。
 イクスも一つ息を吐き、少年へ話しかける。
「あの不良ちゃん達に今まで何度パシリにされたりしたか知らねぇからすぐとは言えねぇけどよ……あれらの事、許してやってくれねぇか?
 坊主も辛かっただろうし、積もった恨みあるかもしれねぇけどよ……それでもな、あいつ等が自分達がしてきた行動を心から反省し改心した時、それが必要なんだわ、頼む」
 肩にそっと手を置いて、正面から真っ直ぐな言葉。

「できりゃあもう関わりたくないとか考えてるかも知れねぇけど一度で良いから考えてやってくれ」

 少年は少し俯き、不良達を見遣り。それから、しっかりと頷いた。

●愛でお空が落っこちて
 お次は先生の説教タイムだろう、と歌音は思っていたが。
「コイツと先生にゴメンナサイは?」
「……ゴメンナサイ」
 許すか?と見遣る少年は小さくハイと頷いて。
「だってよ。良し許す。もうやんなよ」
 以上。縄や包帯から解放して。歌音とその手に持つ救急箱に目を遣る。曰く、ちょっち治療手伝え、と。先生こう見えて応急処置は得意なのだ、と。
「了解です。――さて、暴れると手荒く治療してもよいと見做すぞ?」
 ウォッカをチラつかせ脅す。アルコール消毒。沁みるぞ?

 そして、男子生徒が買ってきたパンのお金をちゃんと支払わせて、皆で協力して屋上の清掃も行えば。

「皆でカレー食べない?」
「如何かな?」
 焔はカレーを、歌音は紅茶を取り出し。
「ちょっと遅くなっちゃったけど、お昼ご飯食べよっか。 あなたたちもまだだよね?」
 ゆいかはお弁当を広げて。
「まだお弁当食べてないからさー……それじゃ、食べるよー。こっちおいでー!」
 気が短くて熱い性格故に不良達の行為は許せなかったが、解決したのならそれ以上深く言わない。そんな、サッパリとした気性。
「良しゃ、食おうぜ諸君! 動いた後は飯に限るぜ」
 素敵にバンと背を叩かれ、皆で一緒に。ぎこちなさや敵対心はんて何処へやら、和気藹々と。昨日の敵は今日の友。
「こうやってみんなで仲良くご飯が食べれたらいいですよね〜」
 美味しい、と歌音の紅茶を楽しむ萌々佳はニコニコ微笑み、ナニガシやイクスもそれぞれに談笑しながら昼食を楽しみ、
「ん? ちょっと食べる?」
 強かにやられた手の所為で少し食べ難そうにしていた不良へ、ゆいかは「あーん」と。世話焼き故。恋人とかでありがちな「はい、あーん♪」っていう状況に気が付かず。

「さて、あんたは心身強くしないとね。だからパシリなんてされるのよ」
 呆れた溜息、緑の前には件の男子生徒。スミマセンと頭を下げる彼へ、しかし彼女はにっと笑って。
「まぁ性格なんてそうそう変わるものじゃないから、一応簡単な応戦方法だけ教えとくわね」
 手取り足取り、得意の蹴り技を伝授。

 頬笑み談笑の様子、楽しげな。和やかな。一般的に言う『学生らしい生活』とは、ちょっと違うかもしれないけれど。

 こうして学生らしい、人らしく振舞うことはきっと……『楽しいこと』なんでしょうね。

 吹き抜けた風に有栖は黒髪を掻き上げる。
「んー……私も気をつけなくちゃ、かな?」
 たまにおいたをすることもありますので、と。皆を見遣りつつ、誰とは無しにぽつりと呟いた。

 やがて鳴るチャイム、そうだ午後の授業――慌ただしく、その後はシンと静まり返って。

●実技教職員棄棄の報告書
 我々の学園の生徒は、ホント、どいつもこいつも良い奴ばっかでめんこいったらありゃしないです。以上。



『了』


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: バトルアスリート・板垣・ナニガシ(ja0146)
重体: −
面白かった!:15人

バトルアスリート・
板垣・ナニガシ(ja0146)

大学部4年197組 女 阿修羅
Unstoppable Rush・
砥上 ゆいか(ja0230)

大学部3年80組 女 阿修羅
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
仁義なき天使の微笑み・
森浦 萌々佳(ja0835)

卒業 女 ディバインナイト
水神の加護・
珠真 緑(ja2428)

大学部6年40組 女 ダアト
孤独を知る者・
桜宮 有栖(ja4490)

大学部5年238組 女 インフィルトレイター
撃退士・
イクス・ガーデンクォーツ(ja5287)

大学部4年16組 男 阿修羅
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト