●次にお前は「これは酷い」と言う
そういうわけでここから全員ガチムチ雄っぱい(幻覚)でお送り致します。絶対的で不可避で運命的(ディスティニー)です。
「……」
久我 常久(
ja7273)はぐるりと周囲を見渡した。立派な胸にするとか先生がゆってたから自分以外は皆女の子だと思ったが別にそんな事はなかったぜ残念だったな。
「クソッ畜生!! しかも何だよ! 立派なオパーイて方向性間違ってるじゃねぇか、責任者出て来い!!
ここにいますよ。そういうわけで常久はオッパイオーが齎したカオスから逃避するかのように両目をサッと手で覆い隠した。ワシ ナニモ ミエナイ。そうこれは夢。幻覚。胸部がガッチンムッチンムキムキズドォオオムになっているのもフィクションです実際の人物団体事件には一切関係ありません。なんだ、幻覚か。
「誰得だというのか」
秋桜(
jb4208)がボソリと呟いた。そのたゆんぼいんは今や世紀末の一子相伝拳法の伝承者みたいな胸部になっている。ガッチンムッチン。青色雄っぱい。しかも服着てない。服は犠牲となったのだ。でもエリュシオンは良い子のゲームなので、秋桜はナイトミストで少年漫画の入浴シーン的なアレで上手い具合に隠している。見えそうで見えない黒い霧。
「人の世界の服って鬱陶しいんだよね。こすれるし」
モロリもあるよ。大胸筋的な意味で。
バインボイン。大胸筋的な意味で。
一歩歩けばユッサユサ。大胸筋的な意味で。
理想のビッグボイン。大胸筋的な意味で。
「ガチガチでムチムチの筋肉達磨なんか、直ぐに消し去ってやる」
幼少期、眼前の惨劇。夜剱零(
jb5326)は天魔を決して許さない。容赦しない。溢れる憎悪。
「消え失せろ。炸裂符」
不快感にかんばせを歪ませて。闇の如く漆黒の神秘を身に纏い、強く地を蹴り間合いを詰めるやオッパイオーへと爆発の術符を颯爽と繰り出した。ダークネスで超恰好良い。でも、悲しいけどこれギャグ依頼なのよね。どがーん。そういう訳でヒットする炸裂符。そこで少年は己の胸の異和感に気付く。気付いてしまう。見てしまう。見てしまった。ガッチンムッチンだった。すさまじかった。シャツがぱーんで釦しめれない。圧倒的谷間。大胸筋的な意味で。
ト ラ ウ マ 。
(あれは幻覚……幻覚……)
ガタガタブルブル。色んな意味で異次元空間に星杜 焔(
ja5378)は笑顔のまま顔面蒼白であった。あとおっぱいが雄っぱいぱいでシャツがビリバリーだった。
(あれ。これひょっとして苦い思い出蘇……?)
この動悸息切れ眩暈吐気頭痛諸々の障害は。トラウマだ。SAN値直葬。生きろほむほむ。なのでこの機会にトラウマ克服を頑張ってみようそうしよう。ぷるぷる。
そこでほむほむに「はっ……」っと衝撃走る! あと乳が揺れる。ムッキムッキ。
「ガチムチ雄っぱいじゃない胸部がガチムチ雄っぱいに見える幻覚ならば……あのオッパイオーも実はおんなのこのぼいんちゃん型なのかもしれないね!?」
ほむほむマジ天才。その発想はなかった。
「本当か!? 焔!」
喰い付いたのはぽんもち常久。ならば確かめねばなるまい。ニヤリと不敵に笑みを浮かべた。
「漢ならば! 退けぬ時がある! ウォオオオオオオオオ!」
雄叫びを轟と上げて、その巨体に見合わぬ俊敏さでオッパイオーとの間合いを瞬時に詰めた。空を裂くように、繰り出すのは両腕。
「オパーイタァァァァッッチ!!」
両手は――添えるだけ!
がっし!
むっきむき!
すごく……かたいです……。
「って男じゃねえか! 間違いなく雄だ! だがしかし♂だ!! クソォ今回の依頼こんなのばっかりかぁ! 女子とのアレやソレは何処に行った! ワシの幻想はブレイカーされちまったのか!?」
ドンマイだドン。生きろ常久。腹ならナンボでも揉んでやるから。しかし常久は怒髪天だ。騙されたらそりゃ、怒るしかない。げきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだ。最初から騙してなかったんだけど細けぇ事ぁ気にするな!
「よくも騙したな。ワシの、男の純情を弄びやがったんだ! 許さねぇ!」
うおおおお。だがオッパイオーに挟まれた。どこにって、オッパイオーのグランドキャニオンに。アッー!
嗚呼、常久、無茶しやがって。ほむほむは涙を静かに流しながら敬礼を捧げる。でもこれは幻覚だ。仲間が雄っぱいに挟まれ窒息して朦朧としているのも幻覚なんだ多分そうだきっとそうだ。そう逃避でもしないと自分自身がやばいだけなんだけど。ぷるぷる。本当にそうならいいよね。
「そうこれは幻覚……幻覚なんだ……」
ゆめならはやくさめて。
「……別に男の胸になっても……早く倒そう」
ハルティア・J・マルコシアス(
jb2524)の目からはハイライトが消えていた。いいさ、元から小さいんだ。減った所で……ってか寧ろ増えてるよ。スッゲー増えてるよ。言っておくけどものっそいよ。服がパッツンパッツンだよ。谷間とかあるよ。筋肉100%中の100%だけど。でもなんか異様に悔しい気持ちがこみ上げてきたよ。うん、許さん、個人的に。
それにしても見るのもやべぇカオス空間。雄っぱいがたゆんたゆん。ガッチムチ。どこもかしこも。
「……マジかよ……ねえよ……」
正直、吐きそう。顔は女なのに胸は雄っぱいとか。自分のそれだけは死んでも見ないようにしているけれど。これ。どないせぇと。でも、なんか、ここまできて男の雄っぱいの方が自分のそれより立派な気がする。湧き出す殺意。そしてハルティアは考えるのを止めた。
「フ、フ、ハハハハハ」
光の無い目のまま牙を剥いて朧に笑い、イーグレットクロウをシャキーンと構える。もう見たくない触りたくもないつらいかなしいココハドコワタシハダレ。早急にぶっ殺す。速さが最優先。やる気が何処かへ行く前に。
「変なもん見せんじゃねぇえええぞ! ぶっ殺す! ブチ食い殺す!!」
猛然と踏み込んで、激しい痛みを与える一撃を振り払う。突き立てる。オラオラオラオラ。ラッシュラッシュ。迅速に即急にマジ殺す。殺意で頭をパンクさせよう。なんかもうえらいことになる前に。うん。あと挟まれるの嫌だから。
ギャグ依頼で「嫌」……とな? そういうわけで、絶妙に空気を読んだオッパイオーがくるっとハルティアの方を向いた。嫌〜な予感に彼女の尻尾の毛がぶわわっと逆立った。
そして。
そして。
迫り迫るグランドキャニオン(隠語)が彼女の顔面を……ぎゃあああああああああ。
「みんな、いままで黙っていてごめん。実は俺、たゆんたゆん星雲からやってきた『おっぱい星人』だったんだ」
ナ、ナンダッテー。ここで若杉 英斗(
ja4230)のカミングアウト。因みに、ばいんばいん星雲やぽよんぽよん星雲でも生存が確認されているそうです。
「さて、今回注意しなければいけないのはこれは【AP】依頼じゃないってことだ。つまり、『架空』な話ではなくて、久遠ヶ原学園の正史として刻まれてしまうという事!」
そうです。その通りです。なので若ちゃんもガチムチ雄っぱいでシャツが破滅しました。乳首の茶色い所から生えている毛がチャームポイント。どないやねん。
と、その双眸から涙が、落ちる。
「オッパイオーよ、お前は間違っている……おっぱいとはたゆんたゆんであるべきもの」
「いい考えだ英斗! そうだよ、ワシの魅力をアップさせなくても周りのオパーイが巨大オパーイになれば人類は平和になる」
常久も加わり、始めるのはオッパイオーの説得。言葉は通じずとも身振り手振りのジェスチャー祭り、伝われこの気持ち。おっぱいたゆんたゆん。保健体育の教科書を見せたり。『まぁるい、やわらか』は置いといて、英斗は声を張り上げる。
「オッパイオーよ、わかってくれたか? それならば、さぁ、俺の雄っぱいを、おっぱいにしてみせろ!」
さぁ、さぁ、ゴーアヘッド。分かっておくれ。信じてる。
そして光が迸った!
「オッパイオー……!」
その果てに、英斗の胸部にあったものは。
より一層ボリュームを増した雄っぱいぱいでした!
「どうやらお前とは、わかり合えないらしいな」
ゴゴゴゴゴ。若ちゃんの右手が真っ赤に燃える。天魔を倒せと轟き叫ぶ。
「爆熱!! しゃいにんぐぅ! ふぃんがぁー!!」
神輝掌。輝く掌でオッパイオーを揉み上げる。寄せてあげる。スガーン。たゆんたゆん。
でも負けじとオッパイオーもちくびーむです。ばしゅー。なんだこの戦い。あと常久がヘッドショット決められた。幻惑モード。
「これがワシ……!? 腹は凹み胸筋はバッチリ……筋肉、ダンディ両方を備えた完璧な漢じゃねぇか……」
もしかしてこれを女子に食らわせたら自分の魅力でドキドキで壊れそうな位1000%なラブになってしまうのでは。
「や、やめろ! こいつは……ただ怖がってるだけなんだ! そう、皆にいきなり襲われて何も分からず攻撃しようとしただけなんだ。だから……」
分かるだろ? そう言って全力できれいな目をしてオッパイオーを庇おうとして。ビームちゅどーん。ゲハァアアアデスヨネー。
「何やら、変わった依頼じゃのぅ……? 男の胸なんて見て何が面白いんじゃ、さっさと潰して帰るぞえ」
千 庵(
jb3993)は大学生だけど雄っぱいもちっぱいも分からない系男子です。マジあざとい。でもそんなピュアっこの乳もガチムチです。違和感に気付く庵。なんだこれはと己の着物の中に手を入れてみれば。
「んゃ……な、な、ふぁっ……!?」
どういう事なの。愕然なう。触った瞬間の刺激にビクンビクン。真っ赤になって涙目で小動物のように震えて湿った吐息を漏らして。なんかすっげぇエロエロ全開でマジあざといおりちゃんだけどエリュシオンは良い子のゲームなのです。やんやん。触っちゃやぁやぁいやんばかぁあっはんうっふんしゅごいのぉひぎぃらめぇ。よしエロタイム終わり。 ぜぇはぁユラリ。
背(?)を向けた悪魔へ柳一文字を抜き放ち。
「背を向けたが最後じゃ……! ワシの胸部を穢しやがってええええええええええ」
胸部って穢されるものなのでしょうかというのはさておき。裂帛の気合と共に斬りかかる。ざくざく。雄っぱいたゆんたゆん。
「ワシに大事なのは胸じゃない。ワシの心をつかんで離さないのは褌だけで良いんじゃ!!」
くわっ。フンドシ愛してるドシ。なんかそうしている内に雄っぱいなんてどうでもよくなってきたのでした。
お金を使わずにできる一人遊びで筋トレしてたらガチムチになっちゃったしいつも使う調理器具も重いし胸部は筋肉質なのでちっぱいになるかと思ったらそんな事は無かった焔は、色々と傷付いた身体を癒すべく炎の蝶を発動した。
虹色にゆらめく炎の蝶が彼に寄り添う。が。
「おともだちまでまさかの雄っぱい化……だと……」
肉体は癒え、心は削れ。目のハイライト消失。その瞬間にオッパイオーの谷間が眼前に。ぱふぱふ。だがこれは幻覚だ。これは……げん……げんか……
うわああああ
怒涛のフラッシュバック、十六歳の夏。ガチムチ雄っぱいに抱きしめられたあの日。視覚の暴力。笑顔のまま顔面蒼白マジぼろ泣き。どえす発動。壊れた笑いを上げながら、リボルバーでズガーンズガーンどがーんばきゅーん。
「こっちにくるなああああアヒャヒャヒャヒャ」
生きろほむほむ。
「……イヤだわん」
マリク トース(
ja1003)の右手の薬指を飾っていたマラカイトの厄除け指輪が真っ二つ。とってもとっても不吉な予感。だけど、このカオスな状況を楽しむのも悪くない。それに、ある意味危険な子の悪魔を逃がすわけにもいかない。
さぁ、往くわよ。無茶を好む気質が故に果敢に踏み込み、オッパイオーの背(?)にピストル一丁突きつけて。
「BANG!」
引き金引いて零距離射撃。乾いた銃声。これで敵がコレじゃなかったら超恰好良いんだけどなぁ。哀しいけどこれ、ギャグ依頼なのよね。
とゆうわけでマリクさんはぼいんぼいんなのでちっぱいぱい。スットントン。東尋坊ナイアガラフォールダウン。
「肩が軽いわぁ」
こrはこれでとワーイしている一方で。
「ウワァ……雄っぱいだ、まじ雄っぱい。やだ、なんてホラー……!」
ロザリオを握り締めて卯左見 栢(
jb2408)はガタガタしていた。雄っぱい怖ぇ。光纏で持ち上がったウサ耳横髪もプルプルしている。そんな彼女の胸部もガッチンムッチンだ。でも感動できぬ。
「ナイスバルク!」
取り敢えず触った。堅かった。叫んでみた。自分のものだし。なんかテンションあがってきた。
「ヘイヘーイ案外似合うじゃねぇのぉー? 後でさわらせろ」
男性陣にぷーくすくす。だが。その瞬間。ガッチムチなハルティアと秋桜が視界に。SAN値直葬。
「……は、なにしてんのばかなのしぬのおっぱいちがいいい! 雄っぱいばか雄っp……アーーッ! あんっ」
ちくびーむでキリモミ大回転でぶっとんだら挟まれた。な、何をいっているのか以下略やわらかいおっぱいに挟まれたかった。走馬灯。
――そうだ考えろ、こう思うんだアタシ……! ボディビルの女性だと!
「そう思うn……だとか無理だよもおおお!!」
オッパイオーを振り払い。うがーっと叫び。
「キズモノにしちゃるぜぇぇ」
キラーンと抜き放つのは大剣グランヴェール。こんな雄っぱい、こんな幻覚、ぶっ壊してやる!
マリクが撃った銃弾と並走する様に、踏み込んで振り払った。
カオス極まりないフィクション世界と共に。
カオス極まりないディアボロと共に。
オッパイオー、消滅!
ぜぇはぁ。カラーンと大剣を取り落とし、栢はマリクへと振り返った。
「うう、えあああ……おっ……おっぱいうううううマリクしぇんぱぁあああああい!!!」
ぐすぐすべそべそ。百合娘に雄っぱい耐性なんてなかった。ぶわぁっと飛び込む。マリクは両手を広げてよっしゃ来いした。が、
ばいーん。
「ぶほぅっ!?」
オッパイオーが死した今、マリクの胸はいつものぼいんたゆん。バインと弾かれた。
「大丈夫? お疲れ様〜」
だが、そんな栢をマリクは窒息せん勢いで――実際おっぱいで息が出来ない――熱烈ハグ。ぎゅっぎゅ。
その温かさ、柔らかさ。それは確かに現実で。
「なんだぁ幻覚か……」
栢はホッと息を吐いた。安心した。でも、当分は雄っぱいトラウマだなぁ、なんて。
●何だかんだ言って皆おっぱい好きだろ?
「怖かったよぅ……」
学園に戻った後、焔はひたすらガタガタ震えていた。
「ていうか何で悪魔はこんなディアボロ作っちゃったんだろう」
首傾げて庵が言う。まぁ深く考えない事にして、もう一度己の胸を確かめてみる。
その一方、英斗は棄棄に話しかけていた。
「先生、この依頼で大切な何かを失くした気がします。そう、例えば、シリアス成分……」
はっ。
庵と英斗は同時に顔を上げた。
「「なんだ、幻覚か」」
『了』