●シングルヘル01
じんぐるべーじんぐるべー。
鳴り響くクリスマスソング。
はらりはらりと零れ落ちる白い雪。
目の前には『クリスマス』が、広がっていた。
「……」
ラグナ・グラウシード(
ja3538)は沈黙する。12月25日は彼の誕生日だというのに。
「……」
夏木 夕乃(
ja9092)は沈黙する。目からハイライトの消えた真顔のまま。
「……」
若杉 英斗(
ja4230)は沈黙する。イルミネーションが反射する眼鏡の奥、彼の瞳はどんな感情を映しているのだろう。
「……」
赤坂白秋(
ja7030)は沈黙する。フッとイケメンスマイルを浮かべているが肩を小さく震えさせながら。
「……」
矢野 古代(
jb1679)は沈黙する。俯いたその表情には影が深く落ち、ただ口元からは紫煙が縷々と立ち上るのみ。
「……」
テト・シュタイナー(
ja9202)は沈黙する。足元にあった白い雪を執拗にザッザッと踏み躙るように掘り返しながら。
「……」
アドラー(
jb2564)は沈黙する。瞳を閉じ現実を閉じ、その目に映るのは永遠の暗闇。
「……」
篠倉 茉莉花(
jc0698)は沈黙する。真顔のまま大好きなマスコットキャラのぬいぐるみを凝視しながら。
「……」
ジャック=チサメ(
jc0765)は沈黙する。血走った目をしながら仄かに鉄錆臭いジャックナイフをべろりと舐めあげて。
9人は並んでいた。
9人は徐に円陣を組んだ。
9人の心には堪え難き怒りが渦巻いていた。
――なんと悲しい事だろうか。なんと憎むべき事だろうか。
リア充許すまじ。ここにいるのは非リアである。
だが、この任務に参加した者は圧倒的に少なかった。
それは一つの事実を告げている――
久遠ヶ原学園は所詮、リア充のリア充によるリア充のもの。
リア充こそがステイタス。リア充こそが『普通』であり、圧倒的マジョリティ。
久遠ヶ原学園はリア充で構成されている。
――『非リア』である方がおかしいのだ。
非リアとはマイノリティ。圧殺され虐げられる異端。幾ら声を上げようと、その声はマジョリティ<リア充>の嘲笑に蹴散らされる。
――なんと悲しい事だろうか。なんと憎むべき事だろうか。
覆せぬ現実。
覆せぬのならば。
せめてゲームでも構わない。
笑いたければ笑えば良い。
これが非リアだ、マイノリティだ、異端なのだ、見るが良い!見るが良い!
「「「リア充ッ!!!!!! 爆ッ 殺ッ !!!!!!!!!」」」
固い結束と怒りと憎悪で結ばれた一同の声が、クリスマスに轟と響いた――。
●シングルヘル02
じんぐるべーじんぐるべー。
鳴り響くクリスマスソング。
はらりはらりと零れ落ちる白い雪。
が、突如として爆発する!
「何がクリスマスだ! しね!!!!」
超弩級直裁。
白い雪を踏み躙り、イルミネーション輝く広場の真ん中に現れたのは古代だった。額に白い鉢巻一つ、ロウソク二つをそこに挿し、ギラギラと殺意に漲る瞳は人間と言うよりは異形のそれである。
ここは仮想空間なので何でもあり。なので右手にPDW FS80、左手にPDW SQ17の二丁火器スタイルな上に、腰にはアルティメットおたまを差し、背には釘バットを担いでいる。修羅だ。悪鬼羅刹だ。
「滅びろ街! 滅せよ雪! 消えろイルミネーション! ついでに貴様も! 貴様もだ!!!」
今、古代の目に映る全ては敵であり、標的であった。標的でないのは自分以外。両手銃器の引き金を引く。デスペラードレンジ!デスペラードレンジ!射撃武器でのみ使用可能なスキルです!命中を大幅に減少させ、同一の対象に三回攻撃を行います!デスペラードレンジ!仮想空間だから使用可能回数とか関係ないもんね!やったね古代ちゃん、弾が増えるよ!デスペラードレンジ!
「これが俺のぉぉおおおデスペラードだァアアアアアアアアア」
☆今日のワンポイント英会話☆
【desperado】
名詞/可算名詞
複数形 desperadoes,desperados
(特に米国開拓時代の)無法者、命知らず; 犯罪者。
語源:スペイン語から
デスペラード古代。その弾丸はリア充の眉間を撃ち抜き、イルミネーションのLEDを一つ一つ撃ち抜き、リア充の眉間を撃ち抜き、サンタのきぐるみを撃ち抜き、クリスマスツリーの飾りを全部撃ち抜き、落ちてくる雪を全部撃ち抜き、リア充を撃ち抜き、大地は割れ、空は泣き、風が唸り、リア充を撃ち抜き、デスペラード。動く奴は敵だ。動かない奴は良く訓練された敵だ。
因みに古代が装備している『PDW SQ17』だが――以下にその解説文を引用する。
数多の戦いを乗り越え、細かい傷が幾多も刻まれた矢野古代愛用の銃。銃床に『不祈』と刻まれている。後悔も、懺悔もせず。ただ受け止めるのみだと言う決意がそこにあった。
そう、まさに愛銃の如く。
後悔も、懺悔もせず。ただ受け止めるのみだと言う決意がそこにある!(そして受け止めた上でぶっ殺すよ!)
阿鼻叫喚と銃声の地獄絵図。
逃げ惑うリア充(ざまぁ!)。その前に立ちはだかる、人影ひとつ。
「なんかムカつく」
ポツリ、言い放ったのは端整な容姿をした一人の少女だった。彼女、茉莉花の顔はポーカーフェイス――というよりは無表情。いっそ研ぎ澄まされた刃の如く、底恐ろしいものだった。
そんな彼女の手には、桃色の頭巾を被った愛くるしいウサギのぬいぐるみ。だがそこを中心に、ばぢり、ばぢり、爆ぜる電気が、茉莉花の金の髪を緩やかに逆立たせる。
瞬間だった。
一閃の蒼き稲妻。
まるで剣が光速で突き出されたかの如く、超々圧縮された電撃の零距離射撃がリア充の男をぶち抜いたのは。
超電磁弾<スーパーエレクトロマグネティックショット>。電撃使いである茉莉花が自らの手で初めて開発した大技である。青白い閃光は容赦なく、行く手を阻む者を貫き崩す。
「……」
痺れて黒焦げになったリア充の炭化死骸をざしゅっと踏み潰し、茉莉花は無言無表情のまま残った方のリア充女に近付いた。リア充女は「ひぃぃぃぃ!」と無様に尻餅をつく(ざまぁ!)。
そんなリア充女に、茉莉花は桃色の頭巾を被ったうさぎのぬいぐるみをそっと持たせた。
「こっちの方がいいよ」
桃色頭巾のうさぎさんぬいぐるみを『御神体』と呼ぶ程度には、茉莉花はそのうさぎさんが大好きなのだ。
その時、彼女が発する電気による電磁波とあと天使の力とかなんやかんやとか非リアパワーがなんかすっごい作用を起こし、リア充女は桃色頭巾うさぎの信者となった。
「はい! 一生ついていきます!」
「うん。……よし、じゃあ次」
二人の女が振り返る先には、また別のリア充が。
バヂッ、と茉莉花の身体から電気が瞬く。そしてまた一人のリア充男が黒焦げになり、桃色頭巾うさぎの信者がまた増える。
それはやがてなんかの宗教みたいに、ウサ耳付き桃色ずきんを被った大量の女の集団となり、リア充を片っ端から焼き潰す恐怖の大軍団となったのであった。こわい。
だがそれでも街にはまだまだリア充が溢れかえっている。
忌むべき光景だ。一番高いビルの上から、テトは全てを睥睨していた。
「本来ならば。俺様は今頃、かわいこちゃんとイチャイチャしているはずだった」
独り言ち、目を細める。その視界にはキラキラなイルミネーション、いちゃつくリア充。ドヤ顔で見せ付けているかの様に。
「だが、現実は無慈悲。アイアムソロ。ならば、爆破あるのみ!」
その声と共に、テトの両腕を覆う幾何学模様の光纏が砲口の形となった。練り上げる魔力、それは言素魔法が一つ、熱言素≪融蝕炎珠≫<メルティング・スフィア>。
熱力学第二法則を限定的に無視する魔術は周囲の熱を一点に圧縮、灼熱の光球を砲口より撃ち出だす!
「万は百に、百は一に。集えよ燭光、滅びの種子よ!」
仮想空間故に一切の法則をガン無視した熱言素≪融蝕炎珠≫はいつもの軽く100倍ぐらいの大きさとなりズッバゴォオオオオンと周囲一体を焦土に変えた!
「ハッハー! メリーデストロイ!」
だがたった一発で気が済むのは非リアではない。テトは既に詠唱を完了させていた。第二弾。第三弾。第四弾。第五弾。今の彼女のMPは9999で戦闘力は53万で残機は無限で最強である。超高熱を伝播させて一切を溶解する恐怖の炎が、雨の如く降る。
「クリスマスに相応しいのは白い雪じゃねぇ……リア充の赤い血の雨よォオーーーーッ!!!」
徹底的にDIE★爆殺。リア充爆発しろ。マジで。木っ端微塵に塵と成れ。キノコ雲がどっかんどっかん立ち上る。その中心、『爆心地』で、テトは「ハーーーッハッハッハッハッハッハァ!!」と高らかに笑い続けていたのであった。
「俺は悪魔だ。よってクリスマスなんて祝うものか」
火の雨と弾丸の暴風と所により雷注意報なクリスマスの町を、アドラーは翼を翻して飛んでいた。眼下にはリア充が映る。彼氏の為にミニスカサンタコスだよぉ(きゅん)君は世界一可愛いよ俺のサンタ(きゅん)とかああいうアレである。イッチャイチャである。クリスマスである。
「べっ、別に羨ましくなんてないぞっ」
羨ましくないんだからね。本当なんだからね。嘘じゃないんだからねっ!!!!
アドラーは手にした真紅の剣を握り締める。すると、「ヴォアァァァ……」と刀身から悲痛な悲鳴が発せられた。
「そうか……お前も悲しいのか」
「ヴォアァァァ……」
「ああ……そうだな……こんな悲しい世界……この俺が、破壊する!!!」
「ヴォアァァァ……!」
その手に纏う、闇の力。一閃に振り抜けば、怨嗟の声を乗せた漆黒の一撃がイルミネーション輝く並木道を絶望に塗りつぶす!
「泣け! 喚け! 怯えろ、慄け! クリスマスは永遠に終わりだ!!」
響く悪魔の哄笑。更にアドラーが両腕を広げれば、エクストリームなテラーエリアが展開される。雪とイルミネーションとリア充でキラキラ輝いていた街が、漆黒の闇に墜ちてゆく。ダークブロウに吹っ飛ばされ、闇に閉じ込められたリア充が右往左往。そこには永遠の虚無があった。終わり無き終焉があった。
「くくく、怖いだろう! さあ、おびえろ!!」
リア充の恐れる様をしっかと見るべくアドラーはナイトビジョンを装着する。
だが、そこに映っていたのは――
あたしたち……もぅおしまいなんだね……
そうだねハニー……愛しているよ……
ぅん……あたしも、ダーリンを愛してゅ……
(ここで接吻)
えんだああああああああああああああああいやああああああああああああ。
「さらに愛深めてんじゃねーよ!!!!!!!!!」
アドラー怒りのダブルラリアット。ぎゃるんぎゃるん。どかっばきっりあじゅうはしんだ。すいーつ!かっこわらい!おっぱい!
「うおおお、目がちかちかして眩しすぎだぞ!!!」
そしてなんだか視界が潤んでぼやけるぞ!目から汗が流れ落ちるぞ!
悲しみを背負ったアドラーは血涙の面を深く被った。あくる日の思い出を胸に、強く生きる者達の証。生きろアドラー。明日はきっと良い天気だ。
怒りと悲しみのバーサーカーと化したアドラーは憤怒の蛮声と共にイルミネーションを片っ端から腕力で引き千切り始めた。そして悪魔握力で一つの塊にするとリア充目掛けて投げ付けた。ダークブロウ(物理)。
「ヴォアァァァァアアァアアアアアアアアアアアア」
最早ブラッディティアーズみたいな声を上げながら、アドラーは暴君戦斧タイラントアックスを轟と振るった。リア充の首をポンポーンと刎ね飛ばしつつ、全力でクリスマスツリーにフルスイング。投げて打って大リーガー。
そのままアドラーは恐怖のクリスマスツリー伐採マンに変貌した。環境破壊である。リア充という環境を破壊する破壊神である。木屑が舞う。リア充の生首が舞う。木屑と血潮のスプラッター。ヴォアアアアア。
「ジングーベー! ジングーベー! すっずっが! なるー!! ヘイッ!!」
一方、次々とリア充が滅殺されてゆくクリスマスの町を、ジャックはメチャクチャなリズムでタンバリンを打ち鳴らしてスキップしていた。
リア充は無事に爆破させられつつある。けれどキッチンのしつこい油汚れのように次々と湧いて出てくる。そしてこれ見よがしにイチャイチャし始める。
ジャックはそれらを眺めていた。当然、一人でいるのはジャックだけだった。
「恋人同士のあまーい光景を見るのも好きよん♪ だけど邪魔するのもとーっても楽しいよねん☆」
リア充、爆発せよ。
ジャックの目がギラリと光った。
――観察完了。妨害作戦、開始。
ジャックは雪道をたたっと駆ける。向かう先にはリア充だ。そしてそのまま……リア充男の腰にもふっと抱きついて。
「センパイ! ひどいじゃないですか! その女は誰ですか!?」
「「え、ええっ!?」」
リア充の困惑した声が重なった。男の方は、身に覚えがない少女――少女?ジャックの性別は列記とした男だが、中性的な姿にツインテールも相俟って少女にしか見えない――が目をウルウルさせて抱きついているし、女の方は「この人が浮気!? ていうかロリ趣味!?」と半ばドン引き状態である。
「センパイがそんな人だなんてあんまりです! アタシ……アタシ、センパイのコト……信じてたのにっ」
そして困惑状態のそこに畳み掛けるようにジャックは言葉を並べてゆく。男を抱き締める手に力を込める。
「いや、あの――」
「あの日の夜も全部ウソだったんですか!? 浮気してたんですか!? アタシは遊びだったんですか!!? あんまりです、あんまりですよぉお……!」
挙句の果てにはその瞳からボロボロと涙を零し、『浮気された後輩ちゃん』は俯いてしまう。
「ちょっと! どういう事!?」
「い、いやこれは……」
その間にもリア充達はモメ始める。眉を吊り上げるリア充女、狼狽えるリア充男。浮気された後輩ちゃんは両手で顔を覆い「えーんえーん」と蹲って泣いている。
(あえて男に男で絡むのも……面白いよね……♪)
が、後輩ちゃんのその手の隙間から漏れたのはドス黒い笑みだった。更にエネルギーも練り上げる。
「う……うぅぅぅぅ……」
けれど一見して嗚咽を漏らす後輩ちゃん。
「う……う、ゥ、けけけ、けけけけけけけけけ」
それが、唐突に肩を震わせ笑い始め。
けたけたけたけた。最早奇声に近い笑い。
その手には――いつの間にか、ブラスターアックスが掲げられていて。
「大 爆 破 だ ー ! !」
体内で燃焼させたアウルを大爆発。暴風の如き勢いで一閃。
リア充大爆発!ドワオ!爆風と硝煙!
「キャハハハハッ!! リア充ばくはぁぁぁつっっ!!!」
その爆心地にて、リア充の返り血でサンタ色になったジャックは狂ったような笑い声を上げていた――次なる獲物を探しながら。
●シングルヘル03
「仮想空間か。よく出来てるなぁ。でも人も良くやるよね。それに乗る僕も僕だけど」
くすくす、混沌色に染められてゆく景色を見ながら微笑んだのは中性的な人物、御薬袋 流樹(
jc1029)だった。
カップルに塗れた往来を行く彼――正式には彼か彼女かは不明だが――の参加目的は、今までの『リア充爆発しろ愚連隊』とは全く異なっていた。いや、手段こそリア充を爆発させる事、ではあるが。
「さて……こういう時は何て言うんだったかな。『リア充爆発しろ!』か」
ネコミミフードのパーカーの奥、水と金の双瞳が微笑んだ。ぬらり、その両手には曼珠沙華が二輪。正しくは赤い色の刃が二つ。二つの刃にそれぞれ、流樹の正面にいるリア充の息を飲んだ顔が映りこんだ。
瞬間の閃光。
崩れ落ちたのはリア充男。愛の力か、辛うじてリア充女を突き飛ばして庇ったのだ。
ナントカ君〜!と、リア充女が咄嗟に駆け寄る。ここでメロドラマ展開。非常にコッテコテでリアリアしいので以下略。オチだけ言うと、「愛し……て、る……」と男がガクンポックリだ。
「逃げちゃ駄目だよ。恋人がそこで待ってるよ」
そして残ったリア充女に、流樹は相変わらず微笑んだまま拳の切っ先を突きつけた。くしゅっ、と、一撃は他愛も無い。
「来世ではお幸せに。なんちゃってね」
刃に良く似た妖艶な笑み。
さて、まだまだ終わりではない。
「残り499組――」
流樹は言葉と共にリア充の群れへと飛び込んだ。
そう、彼の目的は『一騎当千』。リア充を500組撃破する事。
イルミネーション輝く大通りの中、流樹を中心にリア充の血華が咲き乱れる。ばっさばっさと切り倒す、久遠ヶ原無双もしくは久遠ヶ原BASARA状態だ。
「おやおや、非リアの皆さんが徒党を組んで……。モテない男の嫉妬は見にくいですねえ……え、僕ですか? 僕は別に、リア充への嫉妬なんてありませんよ。ただ単に……破壊活動が趣味なだけです」
一方、天の声と会話していたのはエイルズレトラ マステリオ(
ja2224)。彼についても、動機は流樹とほぼ同じようなものだった。リア充爆発しろ!とかは思っていないが、ただ単にバッサバッサやってみたい。無罪の大虐殺をやってみたい。そんなふいんきだ。
「さーて今夜はクリスマス……楽しまなければ損、ですよね」
そう言って、そう笑って、指を鳴らせば『ハート』と名付けた小柄なヒリュウが現れた。キュウと宙で回って見せたそれにエイルズレトラが指示を出せば、召喚獣が口から破裂寸前の大きなゴム風船を吐き出した。
その名は『爆弾風船<ボンバルーン>』。ポップなカラーのそれにハートがピッと指先を向ける。小さくも鋭い鋭い爪の生えたそれを。瞬間。パァン、と凄まじい破裂音。
わーぎゃーキャー。吹っ飛ばされるリア充達。更に爆弾風船を吐き出すハート。煌くイルミネーション。愉快なクリスマスソング。奇術杖に仕込んだ妖刀をぶん回してケタケタ笑いながら走り出すエイルズレトラ。久遠ヶ原無双もしくは久遠ヶ原BASARA状態だ。そしてこの表現は二回目だ。
ここまでは流樹とエイルズレトラのやっている事はほぼ同じである。
が、ここからは大きく異なった。
というのも――てんやわんやのどさくさに紛れて、エイルズレトラが『仲間』へと切りかかったのだ。しかも背後から。卑怯のヒの字のクソもない。
「!」
そしてエイルズレトラが切りかかったという相手が流樹だったのである。似たもの同士は惹かれあうのか。一瞬の出来事、猫の如く素早く振り返った流樹はエイルズレトラの刃を双剣で受け止める。
「ケラケラケラ」
エイルズレトラの目にあるのは愉悦のみ。愉悦モンスター。愉快犯。楽しければ何でも良い。もう一度振り上げた剣。だがそれは流樹の残像を斬り捨てたのみ。
「成程……ラスボスというやつか」
間合いを取った流樹は臨戦態勢。強者の気配に微笑んだ。
「じゃあラスボスという事でいきましょうか」
対するエイルズレトラはニッコリ暗黒微笑、指をパチンと鳴らしてみれば、ヒリュウのハートがズモモモモッと巨大化した。怪獣映画さながらだ。
「ギャオオオーーーーーーーーース!!!」
とてもヒリュウとは思えぬ咆哮!ヒリュウという名の大怪獣はアンギャーと火を吹き、どしーんどしーんと歩いてビルをなぎ倒す。
「フハハハハ! ハーーーッハッハッハッハッハ! リア充も非リアも爆発しろ!!!」
そしてその頭の上にはエイルズレトラ。眼下に広がるのは大怪獣ヒリュウによって火の七日間になってゆくクリスマス。
そう、ここは仮想空間。
すっげぇ事を思い付いた者が勝つ。
良いだろう、と刃を構える流樹。だがその時、ガクンと大怪獣ヒリュウの動きが止まった。
それは――大怪獣ヒリュウの足元に、大量のオカマ達が纏わりついていたからだ。
「どうしたらこの世界で幸せになれるか――辿り着いた結論はこれだった」
ざっ、と雪を踏み締め、現れる男が一人。白秋である。
不敵に笑む彼は、右の掌を中空に翳していた。瞬間、彼の掌の上の空間が捩れたかと思えば……ずるり、と、オカマが一人誕生したではないか。
「『手の平から無限にオカマを生み出せる能力』。それが俺の、力だ」
白秋の言葉と共に、生まれたてのオカマが雪道をヒールでざしざし駆けて行く。オカマアイが狙い定めていたのはリア充カップルだ。正しく表すならばリア充の男だ。
「あらァん、超タイプ〜〜〜♪」
ザシッと雪道を蹴り、両手を一杯に広げたオカマミサイルがリア充男に命中。青髭の頬でざりざり頬擦りしながら、悲鳴を上げるリア充男を勢いのまま押し倒し、後は……お察し下さい。アッー!
「ひっ……ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
繰り広げられる惨劇!
困惑するリア充女!
「そこへ颯爽と、俺!」
無駄に薔薇のフローラルな香りをバラ撒きながら(バラだけにな)、すっごいイケメン的に登場する白秋。悲鳴をあげるリア充女をそっと抱き寄せる。これはイケメン。
「お嬢さん、此処は危険だ。もっと危険なイケメンについて来ねえか……?☆」
(か……かっこいい……!)
トゥンク…… ここだけいきなり少女マンガっぽい絵柄になる。キラッキラでシャランラーだ。
リア充女は白秋の手を握り返し、頬を真っ赤にしながら頷いた。「一生ついていきます」と。
「やれやれ、困った子猫ちゃんだ」
そしてここで白秋のイケメンでアンニュイな溜息。彼の周囲には、「キャー白秋様ー!」「白秋様イッケメーン!」と熱狂的な女の子達が。
そう、これこそが白秋の作戦であった。
「オカマを生み出す事で街中の男はアッーに、女の子は俺にメロメロに――そう、リア充を絶望の淵に叩き落とすと同時に、女の子にモテまくる――二つの願いが実現するのだッ!!」
因みに生み出したオカマは白秋には『好みじゃないわン』とかで襲わない。
いまや白秋は光と闇を同時に手に入れた的なアレだった。相反する二極が合わさり最強に見えるのだ。つおい。
だが次の瞬間、エイルズレトラの大怪獣ヒリュウが白秋をぷちっと踏み潰す!
否――そのように思われた!
オカマだ。
白秋の手から無尽蔵に生み出されるオカマ達が、大怪獣ヒリュウの脚を協力して受け止めたのだ。そのまま「どっせーい」と大怪獣ヒリュウを圧し返す。
そしてオカマの真ん中、白秋は不敵な笑みを浮かべる。大量のオカマ達全員から「なにこの子タイプじゃないわ」と謗られながら。
「フ、邪魔して来るか……だがそれも想定内ッ! 味わうが良いさ、この手から迸る新世界をな――!」
ざわざわ、ざわり。
無限に、際限なく、白秋の手より生み出されし混沌<オカマ>。それは一つの津波のようだった。混沌は男臭い雄たけびとヒールの足音を響かせ、大怪獣ヒリュウへと吶喊する!
「フハハハハハハ! 闇<オカマ>と光<リア充>の力を見せてやる!!」
リア充女子のハーレムの中で酒池肉林しながら白秋は魔王然と微笑んだ。
「良いでしょう、もうどうにでもなーれ!」
泣くほど笑いながら、ヒリュウの頭上にいるエイルズレトラも攻撃命令を下した。
巨大怪獣ヒリュウ
VS
オカマ超軍団
30分一本勝負クリスマスデスマッチ、ファイッ!
一方、流樹は我関せずと黙々と自分のやりたい事をやっていたのであった。
「よしっ、目標達成。こういう時はなんていうんだっけ? 『僕こそ一騎当千の猛者なり』だっけ?」
●シングルヘル04
「リア獣? 非リア? 最近のクリスマスは後ろに何かあるのか?」
ジングルベルの平和な音楽の中、強羅 龍仁(
ja8161)は首を傾げていた。良く分からないままウッカリ入ってしまったら、何故か龍仁は熊の毛皮を被っていた。
(この格好……俺だとマタギにしか見えないな……)
ショーウィンドウに映るもこもこな自分の姿に苦笑する。獣を被るにしても、折角のクリスマスなのだからトナカイとか関係のあるものにすればいいものを。尤も、最近の流行りなんて良く分からないのだけれども。
そんなこんなで龍仁はリア獣なので普通にレストランに入った。リア獣なのでちゃんと予約は取れていた。暖房で温かい店内、クリスマスソングと、クリスマス風に飾られた店内、キラキラ輝くクリスマスツリー。案内された席に座れば、窓の外にはホワイトクリスマスの景色が広がっていた。白い雪とイルミネーションと。街行く人々は嬉しそうで、何処か浮かれていて、見ているこっちもなんだか口元が綻んでしまう。
そして運ばれてきたクリスマスチキンとクリスマスケーキをもしゃもしゃ食べる。シャンパンで乾杯をする。リア獣だからね。ケーキもチキンもシャンパンも、どうしてだろう、クリスマスという特別な日というだけで、何故だかいつもより別段と美味しく感じるのだ。
良い日だと思う。子供はプレゼントに胸を焦がし、若者は色恋に頬を染め、大人達は子供へのプレゼント作戦に心を躍らせる。良い日だと思う。忙しい浮世だ、楽しい事は必要だ。
と、クリスマスを満喫するリア獣であった。その窓の外では色々とまぁ混沌が繰り広げられていた。
(折角仮想世界を作ったなら恋人の出来る世界を作れば良かったのではないか?)
シャンパンを飲みながら彼は思った。
だが、いるんです。
それをやってのけた猛者が本当にいるんです。
「リア充爆破、それが一体なんになる? 我らの究極の目的は、我ら自身がモテモテになることじゃないのか?」
クリスマス、英斗は電気を消した自分の部屋(っていう設定の場所)に立っていた。
非リアとは。非リアとは、人畜無害で優しい者である筈だ。孤独と痛みを知っているからこそ、他者を労われる存在だ。逆境でも、楽しみを見出せる存在だ。
というわけで、英斗はリア充爆発ではなく『モテモテ体験しよう大作戦』に出たのだ。
「こんなこともあろうかと! 研鑽を重ね、奥義を会得しておいた!!」
カチッと部屋の電気を入れれば、一面が明るく照らし出される。
光に満ちた部屋にはクリスマスツリーをはじめとしたクリスマスの飾り付けがなされていた。さながらパーティ会場だ。更にケーキにシャンパン、クリスマスチキンも用意して、グラスやお皿もオシャレなものを用意して、ちゃんと『人数分』を用意。
「いざ往かん、理想郷<アルカディア>へ! 時代よ、俺に微笑みかけろっ!」
説明しよう!
理想郷<アルカディア>とは英斗の手により<円卓の騎士>に改良が加えられたものである。時代を司る女神とその従者(6人の美少女騎士)の幻影が現れ、その加護により味方の防御力を一時的に高めるという強力なスキルだ。美少女騎士はそれぞれタイプは異なるが、全員若杉の好みの女の子である。幸せ。
「やっほー英斗くん! メリークリスマスっ」
「メリークリスマスですね、若杉様」
「よう英斗、かんぱぁ〜いっ」
「はいこれ、プレゼント……べっ、別に英斗の為なんかじゃないわよっ」
「英斗っ、はい、あ〜ん」
「ケーキ作ってきたんだ、一緒に食べよ若杉さん!」
美少女達に囲まれる夢の世界。きゃっきゃうふふとハーレム天国。現実世界ならば25秒で終わってしまう楽園だが、仮想世界なので24時間365日年中無休で永遠ハーレムだ。だってヒリュウが大怪獣になったり手からオカマが生み出される世界だもの。
アハハハハ……
ウフフフフ……
英斗は幸せだった。
この幸せは永遠に続くものだと思っていた。
だが。
「真のソロは、仮想空間内でもソロでなくてはならない」
ビルの屋上。魔法のスコープで英斗の頭に狙いを定めていたのは、テトである。
裏切り者には死を。リア充には爆発を。
その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる。
「――死ねや裏切り者!」
廻る力よ、母へと還れ――展開、霊言素≪魔旺宮≫<マナ・マトリックス>。言にて源から成す魔法はテトの魔力を無尽蔵に倍増する。そこから紡ぎだすのは、仮想空間だからこそ成せる言素魔法の多重同時暴走詠唱。
地中の子等よ。奮起し、蜂起し、穿ち尽くせ――造成言素≪珪槍庭園≫<ファランクス・ガーデン>。
水禍在れ。冷禍在れ。成すは氷禍、穿ちの白――複合言素≪雪麗槍≫<ピアッシング・スノウ>。
万は百に、百は一に。集えよ燭光、滅びの種子よ――熱言素≪融蝕炎珠≫<メルティング・スフィア>。
地上一面に爆ぜ狂う珪素結晶の槍の群れ。
空から振る、一切を溶かす超高熱の火焔爆撃。
大気を隙間なく縫い尽くす、冷たく鋭き雪の針嵐。
「う、うわぁーーーっ!」
英斗自身は騎士幻影の防壁で危機一髪難を逃れたが、彼のいる建物や周囲はテトの魔法に圧砕されて塵芥の如く瓦解する。土煙、瓦礫の雨、視界はすぐに真っ暗くなった。
一方――デスペラード古代もまた、怒りに満ちていた。眼差しの矛先には、オカマ無限湧き作戦によってリア充女子ハーレムでウハウハしている白秋が。いや、白秋だけではない。ケラケラ楽しそうにしているエイルズレトラ、個人的に楽しそうな流樹、リア獣している龍仁、その他全員、そしてリア充達が映っていた。
古代は天を仰いだ。その目からは血の涙が流れていた。
「どうせ貴様らも現実に戻れば異性の友人が『はい、あーん』って冗談めかしてやってくれるだの『お、今日クリスマスじゃん、遊びに行こうぜ』とか友人に誘われんだろ! 誘われたことあるだろ!」
俺 は 誘 わ れ た こ と な か っ た ぞ
だ か ら 貴 様 ら は 滅 び よ
生きろおっさん。頑張れおっさん。今日はお前がMVPだ。モスト・ヴェリー・ポジティブやで。
古代は天に向けて銃口を突きつけた。
引き金を引く――それは嫉妬と怒りと悲しみに満ちたナパームショット。それはあらゆる法則を無視して空に吸い込まれた、かと思った瞬間、全てを焼き尽くす火の雨となって仮想世界中に降り注ぎはじめたではないか!
「仮装世界のクリスマスの王になるのは俺だ……」
火の雨が降る。嫉妬の炎が、世界を焼き始める。
良い気味だ。終わりゆく世界の中、古代はニヒルに微笑んだ。
だが、その背後に。
「これといって理由はないけどウザい」
ゆらり、立っていた人影。
振り向いた時にはもう遅い。
ガッシ、と背後から古代の腰に両手を回してホールドしたのは茉莉花であった。
女子に抱きつかれるとかご褒美ですか?と思ったのは――浅はかな夢。次の瞬間には、綺麗〜〜〜なバックドロップが炸裂し、古代の上半身はアスファルトの中に植えられてしまったのである。
漢一輪、古代ノ花――。
「なんかだんだん面倒になってきた」
手をパンパンとはたく茉莉花は次の標的をオカマ軍団と大怪獣に定めた。ばぢり、その身体から電気が立ち上る。彼女の背後には、桃色頭巾ウサギ狂信集団のレディースチーム十字軍が出来上がっていた。
合言葉は、「マイメ□がいればそれでOK」。
「なんか面白そーじゃーん。ボクもま〜ぜてっ! お手伝いしちゃうよ〜ん」
そこへひょっこり顔を出したのはジャックである。両手には大量のジャックナイフをシャキーンと構え、
「……でも、ボクちんドジだからなぁ!!!」
ドジなら仕方ないね!という訳で、目に付いた全てにナイフ投擲開始。完全にしっちゃかめっちゃかにするのが目的である。
そんな『楽しそうな光景』を、テトは一人、ビルの屋上から眺めていた。
畜生、楽しそうにしやがって。
畜生、同じ非リアだと、仲間だと思っていたのに。
嫉妬の力が荒れ狂う。血涙鼻血、穴と言う穴から血がドバァ。
「今だ、パワーを嫉妬に!」
いいですとも!
「リアジュー滅ッサイム、リアジュー滅ッサイム、ソロは求め訴えたり!」
テトは自らの命そのものを魔力源として燃やし始める。
仮想空間、そしてクリスマスが生んだ、一夜限りの大魔法。
「纏めて吹き飛べやァァァァアアアアアアアアア!!!」
終焉言素≪滅亡黙示録≫<アポカリプス・ジ・エンド>。
それは幻想言素魔法。滅びの言葉を投げかける事で、あらゆる物質を原子レベルに分離崩壊させる終焉の魔法。術者の命と引き換えに全てを滅ぼす禁忌の術。
世界が崩れる。滅び行く。
「俺様だってゆりゆりしてぇよ……」
そんな言葉と共に、テトの身体も光となって消えていった。涙と共に……。
「うわーー!」
テトの超魔法に巻き込まれたアドラーは、自らの体と周囲の崩壊に驚きの声を上げていた。
だがその視界に映る――野良猫!にゃーん!
「お前、こんなところにいたら巻き添え食って危ないぞ!」
アドラーは崩れ行く腕で必死にもがき、猫をしっかと、されど優しく抱きかかえた。そしてモフモフ。存分にモフモフモフモフ。モフ充。
たとえ仮想空間でも――猫は可愛がる!
そして――安全圏へと逃がしてあげる!
それがアドラーのジャスティス!
手についたぬこスメルに満足気に微笑みながら、アドラーもまた光の粒子となって消えていった……。
カオス極まりなくなってきた一方で、龍仁は相変わらずレストラン内でリア獣していた。
だが悲劇は起こる。
レストランの客であったとあるリア充カップルが、龍仁の方を見てはクスクス笑うのだ。
「なにあれー? クマ?」
「チョーうけるんですけど〜」
「変なクマ! マジおっかし〜〜」
「センスなさすぎで笑うー」
ほんっとリア充ってこういうことするよな。チラチラこっちみてプークスクスをマジでやるよな。これほんとムカつくわ。リア充しねばいいのに。つがいだからって偉いと思ったら大間違いだぞクソ不純物共が。
そんな天の声はさておいて、龍仁の動きがピタリと止まった。自分が笑われるのはまぁ許せるが――彼が許せないと思ったのは、息子からのプレゼントである(っていう脳内設定)クマ被りものを馬鹿にされた事だ。
ゆらり……龍仁が立ち上がる。
「――ほぅ? よほど死にたいみたいだな?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
↑このゴゴゴは雰囲気を表すゴゴゴではない。マジでゴゴゴという地響きが鳴ったのだ。
何故なら、怒り狂ったクマ龍仁が巨大化して大怪獣熊仁と変貌しデストロイモードへと突入したからだ!
ぎゃおぉおーーーーす。
怪獣ライクな咆哮をあげる大怪獣熊仁。口から吐くのは燃え盛る劫火アンタレス。生命探知アイはあらゆる標的を隠れていようが見つけ出し、自動魔改造シールゾーンであらゆる超常を封じ込めると、巨大化した脚で踏み潰しレイジングアタック。しかも彼の怒りに呼応して、空一面から大量の隕石が降り始める。
「人とは本当に『かなしき』生き物だねぇ」
流樹はキセルで一服しながら、終わる世界の中で独り言ちた。
(どうして……)
もう説明するのもめんどくさくなってきたスーパー状況の中、瓦礫から這い出した英斗は呆然と座り込む。
(どうしてこんな事に……)
今日はクリスマス。クリスマスだった筈だ。楽しい楽しい一日になる筈だったのだ。
けれど、これも、それも、どれも、幻想――そう、全ては、嘘偽りで。
それを自覚すると、たちどころに『虚しさ』が英斗の心を支配し始めた。
虚しい。
虚しい――ならば。
男は、一つの結論を導き出す。
「クリスマスなんて、早く終わってしまえっ!」
ピコーン☆
「きらきら☆非モテ道奥義、時を駆ける非モテ!!!」
例のポーズ!説明しよう!著作権的に以下略!
というわけで。
はっ、と一同が目覚めた時には、仮想現実装置から既にログオフしていた。ゲームの実験はいつの間にやら終わっていたのだ。
「ほら解散解散! 今日は12月27日ですよ!」
手をパンパンと叩いて帰宅を促す英斗。メタ的にもマジで納品日は12月27日です。
はい、クリスマス終わり!
良いお年を!
『了』