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マスター:御影堂
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2015/01/23


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。


 江戸八百八町、仄かに白く雪化粧。
 遠く吠えるは犬の声、近く響くは鐘の音。
 一肌恋しいこの時期に、肌身に染みる風の寒さよ。
「いかがでしょ、旦那。暖まりますぜ」
「さぁさぁ、本日は秋空に夕霧。大満足、間違いなしよ!」
 呼び込みの声が響き、目映いほどの光に溢れる。
 花街吉原は、北風すらも巻き上げて、財布の中のみ寒くする。
 雪を押し分け咲く花の、いとたくましきことよ。
「ちょいと、そこの」
「へい、なんでしょう」
 雪を踏みしめる若侍の問いかけに、男が揚々とちかづく。
 下卑た笑みを浮かべる男に、若侍はただひとこと聞く。
「白犬太夫の郭はどこか」
 この問いかけに、表情が凍りつく。
 寒くてかなわないやとごまかしながら、へっへと男は笑い声をあげた。
 若侍は真顔で、知っているのかと重ねて聞くが、男は答えない。
 もういいと告げる若侍はへ、男はいう。
「誰に聞いても同じですぜ。あの御方の話は、よしな」

 馬の耳に念仏。
 若侍に庶民の忠告。

 執拗さに自信をもつ若侍はついに、その情報を手にする。
 怯える小姓から刀を引き、食らい路地から表通りへ。
 眩しさに手を添えて、目指すは不夜城、白犬太夫が楼閣なり。
「兄の仇討たせてもらう」


 明くる日、江戸は外れの廃寺に四肢の壊れた遺体が一つ。
 件の若侍の成れの果てである。
「獣に食い殺されたような傷痕……太夫だな」
 検分を済ませ、煙管をふかすのは、浪人風の青年だ。
 傍らには中年を過ぎた、役人らしき侍が暗い顔で立っていた。
「どうにもならぬのか?」
「なりませぬな。太夫の後ろには、老中と顔役の御用商人。下の者共は爪の垢すら、当てることはできますまい。それに……」
 青年の言わんということは、役人侍にもわかる。
 この若侍も刀を錆び付かせていた訳ではない。兄とともに、剣の腕では知られていた。
「太夫が殺ったのは、間違いがないのだな?」
 青年は頷く。
 楼閣に付いていた禿や小姓、目撃情報は後をたたない。
 見目麗しき美女が、人を食らう光景なぞ、忘れられるわけがない。毛を逆立て、整った鼻先を血化粧で染めていた。口からはあやかしであることを示すように、鋭利な犬歯が覗く。
「邪の道は邪でしょうな。将軍様、太夫の始末は我らがやります。上を押さえるのは、任せます」
「うむ。頼むぞ」
 廃寺のを後にし、二人は別れる。
 青年は江戸の裏の顔。
 障子も破れた長屋の一室に入り、灯をともす。部屋の奥には、広目の座敷。
「さて、皆の衆。仕事です」
 行灯の光が照らすのは、青年の喉元まで。
 所々に光は見えるが、相手方の姿はうかがえないい。
「相手は吉原遊郭の女郎、白犬太夫。おそらくは戌神です」
 煙管に火をつけ、一服。
 楼閣のこと、犠牲者のこと等を話すが秘密主義の遊郭。一から十までとはいかない。
「手下がいる可能性もあります。あと、後ろに有力者がついてますので必要以上のさわぎにしないように」と釘を刺す。
「では、裏町奉行の出動と参りましょう」
 柏手を打つと散っていた光が消える。
 青年も行灯の火を消すと、長屋を後にした。

 裏町奉行の存在は、まことしやかにささやかれる妖怪めいたものであった。
 市井のものでは裁けはしない、悪鬼羅刹を裁く者。
 さては、その実態は将軍直下の妖怪退治の専門家であるとは、誰も知らない。


リプレイ本文


 冷たい風が吹く江戸の街も、この一角だけは様相が異なる。
 色街吉原。妙な熱気が包み込む街を、一人の男が歩いていた。
 背負子に喧嘩煙管を掲げ、羅宇屋の幟が風にそよぐ。
 男の名は、柳川 果(jb9955)。吉原に出入りする商売人だ。
「ここんところ、お仕事明けなんぞに妙な音とか聞きやせんでした?」
 揚屋の奥で、女郎に商売道具を見せながら尋ねる。
 中には訝しむ者も居たが、果は快活な笑い声を上げて答えた。
「いやさね、ここいらで最近妙な噂を聞きやしてね」
 仇討ちに白犬太夫を探す者がいるという噂だ。
 すでにくすぶる火種はあったのか、一転して語りだす。
「まったき、華に仇をなすなんざ。無粋なことをするお人もいるもので」
と引けようとすれば、
「白犬太夫は華は華でも、毒花さ」とすら言うものもいた。
「触らぬ神に祟りなしでごぜぇますな」
 遊女らのここだけの話をかき集め、奥まった暗いところも回る。
 羅宇屋であればこそ、入り込めた。
 そして、最後にとっておきの揚屋へ向かう。
 木守太夫こと祀木 魅木(jb9868)のいる場所だ。
「ちょいと、聞いてくださいます?」
 他の遊女同様に、引っ掛ける体を装って情報を引き出す。
 仲間同士であるが、敵も遊女なれば警戒してのことだ。
「こないだ、しづ屋の若旦那がいってたのですけどね」
 魅木は馴染みの客から聞いた情報を、果へと流す。
 白犬太夫に熱を上げている人物や奇妙な連帯関係、薄暗い噂等など。
「叩けば埃も出るといいますが……こいつはカビてますなぁ」
 これには果も苦笑するしかなかった。
「ここだけの『裏話』ですからね」
 対して魅木はいたずらっぽく笑みを浮かべるのだった。
 
「それ、かがりのまりー! さわらないでなの!」
 吉原大門の前に転がる一つの毬。
 それを拾った果に、泣き叫びながら末摘 篝(jb9951)が近づいてきた。
「ごめんよ、お嬢ちゃん。けど、気をつけてくだせぇ。悪い人もいるのでごぜぇますから」
 毬を手渡すとき、果は一枚の紙を一緒にしていた。
 受け取った篝は、
「ありがとうなの。『たいせつにつかう』なの!」といって去っていった。

「魔楼閣の戌神太夫ねぇ……」
 かんざし職人、木嶋 藍(jb8679)は唸っていた。
 妖怪風情が花街で自由に振る舞うのが、気に入らないのだ。
「ここはいい女の街だ」と真剣に思う。
「この簪で女っていう華を最高に美しく飾ってあげるのが、私の生きがいよ」
 馴染みに客の前で、笑いかける。
 陽気で気さくな性格が、親しみを呼ぶことも多い。
「最近変な奴らに白犬太夫のことを聞かれてね」等と噂話も自然と切り出せる。
「廃寺で新月の晩、侍兄妹の仇討ちを目論んで集まるとかさ」
 こちらが語れば、相手も語る。
 噂話に花咲かすのは、今も昔も変わらないのである。
 

「内外で明闇もわかれているとはいえ、どちらが闇でしょうかね」
 吉原の周囲を、練り歩く巨漢の侍が居た。
 頭ひとつ高い侍の名は、乾重利(仁良井 叶伊(ja0618))。
 南町奉行の同心であり、今は「吉原周辺の失踪事件」を調査していた。
「とはいえ、外までは漏れ聞こえてはいませんか……」
 にわかに失踪者の話は出るが、周辺は薄い。
 中で探りをいれたからこそ、その薄さが際立った。
「お歯黒溝が、事件も黒く塗り潰しているようです」
 その黒さは何処から出るのか。
 
 篝は今、その闇の中へ突入していた。
「ごめんなさいなの。かがりのまり、とらせてくださいなの」
 白犬太夫につながる上役の屋敷である。
 世間体もへったくれも感じさせない、無邪気な子供という特権を十全に活用していた。
 所詮子供と主人は懐の深さを見せるべく、篝を咎めなかった。
「こっちかもなのー」
 とふらふらしながら、主人の書斎をちらりと覗く。がさごそと十秒ほどで、
「あっちだったのー」と毬を手にして帰っていくのだった。


 食事処「蛍」は江戸の庶民から愛される食堂である。
 昼時は、忙しい商人に煮物や焼き物を提供し、夕方にかけては甘味処も兼ねていた。
 夜になれば、居酒屋にもなる優れものなのだが……。
「なんでぃ。今日は甘味やってないの?」と本日休業の提げ物がされていた。

「ご注文のれもね〜どですぅ〜」
 はいからな飲み物を篝に渡すのは、蛍の看板娘、神ヶ島 鈴歌(jb9935)である。
 表看板は休業だが、ここに6人の客が居た。
「首尾はどうだ?」
 口火を切ったのは、僧衣の男だった。
 名は月詠 神削(ja5265)。飲む打つ買うを地で行く腐れ坊主である。
 だが、くさっても坊主。妖怪の仇討ちをする囮役を、彼は買って出てていた。
「魅木お嬢の情報とあわせて、報告させていただきやしょう」
 ずいっと身を乗り出したのは、果だ。
 果を皮切りに、藍、重利と報告を済ます。
「これ、おやしきでひろったなの!」と最後に篝が元気よく紙を渡す。
 受け取った重利は渋い顔をしたが、すぐに自分の懐へしまった。
「悪行の証拠、確かに拝領しました」
 ところで、と話を藍が切り替える。
「太夫と直接関係ないかも知らないんだけど、ここのところ、遊郭に野良犬が増えたらしい」
「そいつぁ、あっしも聞きやしたね」
 野良犬。犬つながりで関連性がないともいえない。
「わかった。気をつけて歩いてみよう」
 情報を聞き終え、神削は立ち上がる。
 一度振り返り、団子のおかわりを頼み始めた面々に告ぐ。
「……食べ過ぎだぞ」
「や、売上にちょっとした貢献でごぜぇやすよ」と果がからからと笑うのだった。


「今晩あたりから、例の廃寺に泊まるらしいですぅ〜」
 鈴歌は蛍の客へ配達ついでに、神削の情報をばら撒いていた。
 特に見かけた時は。
「噂をすればなんとやらですぅ。あれが例の仇討ちらしいですよぉ」
 一方、鈴歌の視線を感じつつ、神削は客引きに話しかけていた。
 この客引き、若侍に太夫のことを語った男である。
「俺は高僧だから、例えば戌神程度なら物の数じゃない」
 とか
「生まれたての子犬も同然だね」と焚きつけると、
「滅多なことをいうもんじゃねぇ」と怯える始末。その傍らを野良犬が歩けば、短く悲鳴を上げて足早に去って行ってしまった。
 同様に反応を二、三度見つつ、廃寺を塒にするとも告げていく。
 裏通りに入れば、あからさまに雰囲気の違う野良犬が襲いかかってもきた。
「わかりやすくて、いいな。悪くないぞ」
 飛びかかってくる野良犬をかわすと同時に捉えきれぬ速さで、犬の顎を砕いた。
 悶え泡を吹く仲間を捨て置き、他の犬どもは逃げていく。
「畜生道には堕ちたくないな」
 神削は錫杖を鳴らして、空を仰ぐのだった。
 

 宵闇に明かりが浮かぶ廃寺に、隠れ潜むは七人の闇奉行。
 飛んで火にいる夏の虫ならぬ白犬太夫。
 整った顔立ちに、艶のある白髪を腰まで伸ばした遊女である。
「なるほど、確かにいれこむ者がいるのもわかる」
 神削が立ち上がり、錫杖を鳴らす。
「お褒めに預かり、嬉しゅうございますが……どうせなら首も追いていかへんやろか?」
「お断りする」
 睨み合いながら、近づきつつあった太夫が右に跳んだ。
 重利の振り下ろした刀が、設置された松明の明かりに煌めく。
「不意打ちは無理ですか。鼻が利くでしょうしね」
 静かに構え直す重利は、漆黒に姿を染めていた。
 頭巾に隠れ、声色が曇っている。
「さって、舞台からは降りていただきやしょうか」
「お犬さんなら遊んであげるからおいでなさい?」
 魅木や果たちも姿を現す。
 長い犬歯を殊更に見せつけ、白犬太夫は壁を駆ける。
 果が狙いをつけようと符を構えた時、後方で銃声が響いた。
「野良犬が……太夫の部下ね」
 藍が転がる犬を見下げる。手には、自前の火縄式小銃が握られていた。
 地に伏した犬を気にかけず、十匹程度の犬が姿を見せていた。
「いうこときかないわんちゃんはめっ! なの!」
 妖しげな気を感じさせる犬達を牽制するように、篝も符を炸裂させる。
 小さな爆発を果も弾幕のように起こし、屋内への侵入を阻む。
「あっちの部下、昼間は世話になったらしいなぁ」
 壁を駆ける太夫の言葉に神削は、
「そうでもない」と簡素に答える。
 経文を開きつつ、「息子のように倒してやろう」と告げる。
「小童が。貴様も兄弟と同じく、千切ってやるよ」
 口調を荒らげ、白犬太夫は逆行してみせた。
 太夫を捕らえるべく、法力で幻術を見せるが、さすがは妖怪。
 気を荒ぶらせながらも食い破るように、逃れてみせた。
「邪魔はしないでなんですぅ!」
 さらに数匹、左の障子窓を破って犬が転がり込んできた。
 太夫へ駆け出そうとしていた鈴歌は、身体を反転させると、そのまま得物を薙ぐ。
 練られていた放出され、犬を貫く。
「貴方は私の大好きな皆さんの笑顔を不安に曇らせたのですぅ!」
 二匹、三匹と屠りつつ鈴歌は視線を太夫に向かわせる。
「こんなのはいかがかしら?」と魅木が炎を放つ。
 壁を蹴っての跳躍、身体を捻りながら炎を避け、太夫は魅木の眼前へ降り立った。
 咄嗟に身を庇う動作をするが、太夫の牙が肩口に食い込む。
 顔めがけて振り下ろされた爪は、割って入った重利が止めていた。
「全く、厄介な相手です」

「たまや〜なの」
「篝お嬢、花火としてはちっとばかり、花がなさすぎでさぁ」
 篝と果が符で、爆発を起こし、攻めこんできた狼は藍が止める。
 するりと篝がお堂内へ入ったのを見て、藍も視線をやる。
 堂内に侵入した狼は、おおよそ打ち倒されていた。
「次は真っ当なお犬様に生まれるですぅ」
 鈴歌がなぎ払い、今しがた踏み込んだ篝が符を炸裂させていた。
 太夫を探せば、逃走の機を狙って壁を駆けていた。
「狙いが、定まらないな」
「あっしが追い落としやしょう」
 新たな符を果が飛ばす。
 神削が目配せすれば、藍が最後の一匹を撃ち倒していた。
 視線を戻せば、符が爆ぜる。
「怪我をしたら危ないじゃない。おしおきが必要よね」と魅木が合わせて炎球を放つ。
 たまやーと篝の声が堂内に響いた気がした。
 壁から床へ、足を着けたところに鈴歌が一閃。得物を振るう。
「しっ!」と太夫はかわす。鼻は部下の血の匂いを感じていた。
 逃げた先に足をつけると同時に、神削が幻惑を見せる。
 左右から伸びてきた髪に縛られ、太夫の動きが鈍った。
「これで、縫い止られます」
 続く重利が、影縫いでもって完全に太夫の動きを封じた。
「今度は逃さないのですぅ」
 力強い一閃が、太夫を袈裟斬りにした。
 呻き声を上げる太夫に引導を渡すべく、神削が錫杖から刃を見せて刺し込む。
 崩れた太夫の背中を重利が大斬りにし、とどめを刺した。。
「南無……」
 崩れ落ちた太夫を見下げ、神削は念仏を唱える。
 憎しみに満ちた眼をそっと閉じる。こうすれば、太夫が畜生とは思えない。
「死んでるからこそ、よく似合う。皮肉なものだね」
 藍が手向けに簪を置く。堂内に吹き抜ける一陣の風が、遠吠えのように響くのだった。


「結局のところ、太夫が兄弟を襲ったのは仇討ちだったというわけでさぁ」
 世間話をしながら、果が団子をつまむ。
 食事処「蛍」で土産として買った団子だ。
「けど、それだと逆恨みですよね」と答えながら魅木も団子をいただく。
 果が持ってきたのは、太夫が兄弟を襲った理由であった。
 篝が持ってきた手紙の中に、兄弟に息子を殺されたと書いてあったのだ。
 これは復讐だというのである。
「太夫の息子ってのが、兄弟の祖先が討った化け物というわけだ」
 いつの間にか上がり込んでいた神削も、最後の一本をつまむ。
 兄弟の家に語り継がれていた伝説、遠い先祖が戌神を討ったという話。
「それが因というわけだ。女の執念は怖いものだな」
「そういえば」と、魅木は思い出したように串を置く。
「件の御用商人や上役は懲らしめて貰えるのでしょうか」
「それについては」
「鈴歌お嬢が、動いているんじゃごぜえませんかねぇ」

 時の将軍が、庭に出ると盛大なクシャミが響いた。
「風邪か?」
「ご心配痛み入りますぅ」と返事をしたのは、鈴歌だ。
 どうせ噂と流して、本題に入る。
「……白犬太夫は討伐完了。上役と御用商人も罪を償って改心させてますぅ〜」
「やり過ぎるなよ」
 将軍が苦笑をすると、承知していると鈴歌はふくれっ面を見せる。
 咳払いをして先を続ける。
「……最近江戸を騒がす闇が蔓延っているのですぅ〜。早急な対策が必要かと……」
「そのために、お主らがおるのだ。大いに励めよ」
「はぃ……では、失礼しますぅ」

 食事処「蛍」を目指す巨漢が一人。
 南奉行所同心、乾重利である。
「うーん。こういうときは、蛍の甘味ですね」
 数刻前、出勤早々に重利は上司から渋い顔を見せられていた。
 無論、調べていた失踪事件に関わっていたとされる「白犬太夫」の夜逃げが確認されたからだ。関係者を繋いで置かなかったことに、「表向き」叱責がされた形である。
 奉行は裏の件を知っているが、同僚からは「運が無いな」と苦笑いされた。
「重利さんなの〜」
 のんきな声がしたと思えば、篝も蛍の前についたところだった。
「あら、奇遇だね」と藍も姿を見せる。
 裏奉行が顔を合わせたことに、新しい事件でも起きたかと重利は背筋を伸ばす。
 藍が違う違うと手を振って、蛍の暖簾をくぐる。
「同じ気分てことだよ」
「れもねぇーどをのむのー」
 入っていく二人に続き、緊張が解けた重利も戸に手をかける。
「いらっしゃいませですぅ」
 鈴歌の声が響く、蛍の火は日常に灯る。
 蠢く闇があれば、静かに灯る光もある。
 また、闇が動くまで、今は甘き蜜に舌鼓を打つとしよう。
「あんみつを一つ頂けますか」

 江戸八百八町、仄かに色づく花蕾。
 近く笑うは人の声、遠く響くは鐘の音。

「時代劇 花に血は香る」
 これにて、閉幕でございます。
 
 


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: 青イ鳥は桜ノ隠と倖を視る・御子神 藍(jb8679)
 『魂刃』百鬼夜行・柳川 果(jb9955)
重体: −
面白かった!:5人

胡蝶の夢・
ケイ・リヒャルト(ja0004)

大学部4年5組 女 インフィルトレイター
撃退士・
仁良井 叶伊(ja0618)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
釣りキチ・
月詠 神削(ja5265)

大学部4年55組 男 ルインズブレイド
青イ鳥は桜ノ隠と倖を視る・
御子神 藍(jb8679)

大学部3年6組 女 インフィルトレイター
宴に集う妖怪・
祀木 魅木(jb9868)

大学部2年261組 女 陰陽師
翠眼に銀の髪、揺らして・
神ヶ島 鈴歌(jb9935)

高等部2年26組 女 阿修羅
『魂刃』百鬼夜行・
末摘 篝(jb9951)

中等部3年1組 女 陰陽師
『魂刃』百鬼夜行・
柳川 果(jb9955)

大学部5年21組 男 陰陽師