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マスター:御影堂
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/12/31


みんなの思い出



オープニング

●発端
 色とりどりの飾り付け、赤や緑が映える街。あちらこちらには電飾がちかちかと賑やかさを与えている。しんしんと振る雪をホワイトクリスマスだねといいながら、歩くカップル達がいた。
 久遠ヶ原学園にもクリスマスがやってくる。
 賑やかな雰囲気が増してくるにつれて、連れ添うカップルの数がにわかに増えているようにも思えた。
 だが、そこに、異質な存在が現れる。
「なぁにが、クリスマスじゃぁあああああ」
 叫びを上げながら、漆黒のサンタ装束を身に纏った乙女が銃を乱射した。実弾ではなく、おもちゃの水鉄砲であった。しかし、突如現れた謎のサンタ娘に学生達はきょとんとしていた。
 次の瞬間、叫びを上げながら彼らは走り去り始めた。乙女の周囲に、同じく黒いサンタ装束……ではなくブーメランパンツの水着の漢たちが姿を見せたのである。彼らもまた、水鉄砲を携えていた。
 水鉄砲を乱射し、彼らは街を闊歩する。しかし、風紀委員があらわれた途端に慌てふためき散り散りに去って行った。
 一体、なんだったのだと口々に噂されながら、その場は収束した。
 
 本当の恐怖はここから始まる。

 ブラックサンタ集団は、久遠ヶ原学園の盛り上がる場所へと現れては同様の悪戯を行っていたのである。何人か、捕らえられたものによれば、
「我々はクリスマスを孤独に過ごすことをしらないものへ、警告を与えているのだ」
 という。
 ゲリラ的な動きに、手をこまねいたところで有力な情報を入手した。
 ブラックサンタ集団の取り纏めと思われる人物の名前だ。彼女の名は、三黒黒子という。友人も多く、社交的で、成績も良好であるという彼女が……一体何故。
 誰しもが不思議に思うほど、荒れているブラックサンタと彼女の印象が結びつかないのだという。

●回想
 ことは、一週間程度さかのぼる。
 三黒黒子は、クリスマスを友人と一緒に過ごそうと考えていた。彼女には、彼氏がいない。今まで、クリスマスは家族や友人と過ごしてきたのだから、寂しくはなかった。
 だが、今年は、何かが違った。
 久遠ヶ原学園に暮らしている彼女は、この時期も実家に帰ることはない。
 だから、友人と過ごそうとメールを飛ばしていた。
「えっ」
 返事を読んで、彼女は驚いた。去年まで一緒に過ごした友人から、今年は彼氏ができたので一緒にはいられないというのである。
「まぁ、仕方ないか。よかったじゃん」
 そう思うことにして、何人もの友人にメールを送ったわけなのだが……。
「し、仕方ないで片付けられるかぁあああ」
 しまいにはケータイ電話を部屋のソファへと叩きつけた。ケータイ電話は悪くない。
 返事には決まり文句のように、「クリスマス」「彼氏」「ごめん」という文言が含まれていた。ちなみに、黒子は大学部2年である。大学部は悪くない。
 まるで置いて行かれているような焦燥感……を通り越して、腹いせめいた怒りがふつふつとわいてくる。めいた、ではなく、腹いせだった。
 そして、彼女は黒いサンタ衣装を身に纏い街へと繰り出したのだった……。

●依頼
「で、その黒子に同調したのがこのむさい集団だったというわけだ」
 街で暴れる彼女たちの写真を見せて、オペレーターが苦笑する。
「女に被害は出ていない。男に対しては浴びせかけている連中もいるらしい。が、男を心配する女をみて、むなしくなったりなんだりで、最近は被害はないと聞いている」
 だが、それと反比例するように目撃情報と集団規模は大きくなっているらしい。
「幸いにも、ほとんどの連中はお祭り騒ぎに興じて、かわいらしい女の子を祭り上げて暴れたいだけなようだ。んで、女の子がやめたら、ある程度収束するだろう」
 なら、説得なりなんなりをすればいいわけだが、それがうまくいっていないのだ。彼女の周辺の人物、つまり、女友達がいくら説得したところで聞く耳を持たない。最近では、ケータイは着信拒否のまま捕まらないらしい。
「説得するのか、捕らえるのかは自由にしていい。ぶっちゃけ、この意味のわからんお祭り騒動が収束すればいいのだ」
 投げやりな態度で、オペレーターはいう。
「おっと、こいつらに共感したなんていうなよ。騒動を起こしているのは確かなんだから、きっちりとおさめていかんとな。きっちりと」


リプレイ本文


 華やぐ街の一角で、月乃宮 恋音(jb1221)と袋井 雅人(jb1469)が仲睦まじく歩いていた。恋音は、手にしていたケータイをしまうと、雅人に声をかける。
「……予約、できましたよぉ……」
「それじゃあ、楽しみましょうか」
 雅人の笑顔に、恋音がうんと頷く。端から見れば、実にいいカップルである。デートを楽しんでいるのは、本心から……ただし、別の目的もある。
 二人を見守るように、やや離れて海本 衣馬(ja0433)が歩いていた。時折、立ち止まっては街の様子を眺める。実に、雰囲気が浮ついている。
「皆楽しそうだ」
 ブラックサンタ集団の心理を考えてみるが、今ひとつピンと来ない。だが、何か起こる前に止めなくてはと決意を新たにする。スマートフォンにメールが入った。ミセスダイナマイトボディー(jb1529)からだ。
 ミセスは放送局の人脈と聴取者からの情報をもとに、ブラックサンタ団の行動を予測しようとしていた。ジオタグを割り振ると、経路が見えてきた。
「ほな、作戦開始といこか」
 ふくよかというには、大きな身体を持ち上げてミセスはメールを送信した。そこにはだいたいの予測が書かれている。おおよそメインストリートを目指して、繁華街を点々と移動しているようだった。
 ブラックサンタ団のルートを辿るように、新崎 ふゆみ(ja8965)は歩いていた。歩きながらケータイのキーを叩く。
「なんだかかわいそぅ……ううっ、ふゆみのらぶを分けたげたいくらいなんだよっ」
 顔文字付きのラブいメールを、恋人に送りながらふゆみは、決意を新たにする。
「でも、クリスマスに悪いことするよな人たちは……ふゆみがオシオキしちゃうんだよっ★ミ」
 一方、ユウ(jb5639)とシャロン・リデル(jb7420)は、作戦開始のメールを確認すると、闇の翼を起動し飛び立つ。
「こんなことしか出来ませんが、どうかお気をつけて」
 そういいながら、ユウは颯爽と空を駆ける。クリスマスに浮かれてか、少々の騒ぎをおこしている人もいるにはいるようだった。喧噪の聞こえる方へ、東へ西へ飛んでいく。
 シャロンは、依頼を受けるときに見た写真を思い出して、一つため息を吐く。
「さて、暑苦しいですし早めに解散して頂きましょうか」
 囮の恋音と雅人のいる方角を見ながら、もう一つため息を吐く。境遇的には、シャロンは三黒と同じなのだ。あまり独り身をこじらせると、危ないのかも知れないなどと思いながら空を行く。
 囮カップルへとすぐはせ参じられる距離を保ちつつ、シャロンも騒動の起きている方向へ偵察へと赴くのだった。


 撃退士たちが三黒黒子&ブラックサンタ団を解散させるために、探し回っている頃、天道 花梨(ja4264)は着々と準備を進めていた。ミセスのおかげで、行動予測はたっている。先んじて準備をしなければ……。
 仕込みがばれないように、フルコートを纏って街へと繰り出す。先回り先回り、と呟きながら花梨は繁華街を行く。どこか怪しいオーラを身に纏った彼女を振り返るものもいたが、声をかける者はいなかったという……。


 シャンシャンというクリスマスソングに混じって、異様な熱気を纏った音楽が聞こえてきた。熱いテーマソングのようなその曲に、浮ついていた空気が一変する。どやどやと暑苦しい足音をたてながら、ブラックなブーメランパンツを纏った男たちが姿を現す。
「げげぇ!? ブラックサンタ団!?」
 誰かがそう叫び、瞬く間に動揺が広がっていった。彼女をかばうように、走り去るカップルや独り身であるが故か声援をあげる人……人々の反応はだいたい2つに分かれていた。ブラックサンタ団がいざ、と水鉄砲を構えたとき、そいつは現れた。
 纏っていたコートを振り払い、花梨はその姿をさらす。
 伝統と信頼のスクール水着ウィズ黒サンタ上着、これには構成員も度肝を抜かれる。
「私が来たからには大船に乗ったつもりでいて良いのだわ!」
 誰だと誰かが呟くが、誰でもいいだろと誰かが返す。お祭り騒ぎ集団なだけに、その場に流れやすいのか、最終的に、
「スク水女神様!」
と呼んで引き入れることに落ち着いた。
「……寒い!!」
 わかっていたことだが、花梨はぶるりと身体を奮わせた。
 だが、気丈に腕を組み、構成員に指示を出す。
「そこの構成員、あなた記録係ね」
 スマフォでもカメラでも何でもいいから、映像を撮れという。構成員はきょとんとしていた。
「後で色々と必要になるのだわ」
 そういいながら、花梨に見上げられる。
「イエス、マム」
 と構成員は口にしていた。花梨は同時に、他の撃退士たちに宣戦布告のメールを出した。後方できょとんとしている三黒を差し置いて、構成員たちは花梨に引きつられていく。その方向は、ミセスが予測したのと全く同じルートだった。
 目に付くカップルを襲い、騒動を大きくしながら花梨はひたすらに突き進んだ。

 宣戦布告のメールが届き、撃退士たちは迎撃の態勢を整えた。恋音と雅人は、他のカップルが逃げ出す中、端然とブラックサンタたちが到来するのを待っていた。雅人は、ハンズ・オブ・グローリーをはめていた。
「さて、端緒を開きましょう」
 そこへ、ユイからメールが届く。もう間もなく、集団がこの場所へと到着するという。緊張が高まる中、衣馬やミセスも現場に到着する。
 男たちから生み出された熱気が、まるで陽炎のようにたっていた。そこだけ、冬が破壊されたかのように見えるほどだ。早々と到着していたふゆみは、恋音たちとは別の方向から狙いを付けていた。
 ライフルのスコープ越しに見ても、明らかにもわっとした空気が漂っている。三黒の姿は見えないが、恐らく、中心部か後方にいるのだろう。スコープの中で漫然と広がる光景に、ふゆみは辟易とする。
「うーん……スコープ越しに見ても、なんだかキモいんだよっ★」
 機会をうかがいながら、ふゆみはそっと待っていた。
 衣馬とミセスは、構成員を説得すべく、まずは構成員へと接触を図る。
「まあ、落ち着け。気持ちはわからんでもないが、もし実際に事件を起こすのはお前達も望んでいる事ではないだろう?」
 衣馬がまず、良心に訴えながらちくりと責め立てる。
「少し盛り上がり過ぎただけだってのはわかっている。それだけの事で未来を棒に振るのは馬鹿げているとは思わんか?」
「我らが未来なぞ、知ったことか! 三黒様のため、我らは無念を晴らすのみよ!」
 誰かが反論し、全員がそうだそうだと輪唱する。
 三黒の声は、なさそうだった。そこで、ミセスが声をあげる。太い身体から絞り出される声は、威圧感があった。
「何してるんや、恨むことやら自分だけ楽しければええのやろ」
 一瞬言葉に詰まるが、男たちは反論に出る。
「そんなことはないっ! そんなことはないぞ!」
 だが、説得力に欠ける彼らにたたみ掛けるようにミセスは告げる。
「女やって人間や、誰か心の中まで踏み込めたやつは居らんのかったんか」
「踏む込むだけが全てではない。まわりを覆ってやることもまた、必要なのだ!!」
「今ならまだ間に合う。騒動を治めてくれ」
 説得は無駄に終わりそうだと思い発した、衣馬の最終告知は、空を切った。構成員は雄叫びを上げながら、水鉄砲を構える。しかし、衣馬やミセスが構えるとすっと踵を返した。
 逃げ出そうとしているのだ。
 そうはさせないと、このタイミングでふゆみが引き金を引いた。
「そーれ、ばーんばーん☆」
 当てるつもりはなく、足元を弾丸が穿っていく。だが、牽制にはそれだけで十分だった。
 混乱した構成員たちは、逃げ出そうと駆け出すが、それを留める声があがった。
「うろたえるんじゃないのだわ!」
 誰かがスク水女神と口にする、花梨であった。
 花梨は構成員を一瞥し、ぐっと衣馬とミセスを指さして宣言をする。
「嫉妬するなら意地くらい見せなさい!」
 同時に、何かよくわからないテンションと力が構成員にわき上がってきた……気がした。彼らは、雄叫びを上げ今度は水鉄砲を手に、ミセスたちへかけ出した。ミセスは両腕を広げ、彼らの猛攻を受け止める。身体の節々が痛むのに耐えながら、衣馬は拳を振るい、筋肉むきむきなマッチョマンと対峙する。
「かかってくるなら、容赦はしない」
 そんな戦いをスコープ越しに見ながら、景気よく弾丸を放っていたふゆみの元へも構成員が近づく。いきり立った構成員を見て、すかさず死霊粉を自分で被った。ばさっと粉を振り散らしていく。
「う〜ら〜め〜し〜や〜、だよっ☆ミ」
 ゾンビのような姿になったふゆみに、構成員は一瞬びびったが、
「女……女ぁ!」
と逆にゾンビじみた感じで構成員は近づいてくる。懲りない構成員に、ふゆみは躊躇わずデコアレンジのライフルの引き金を引いた。
 花梨の放った閃光手榴弾が破裂した頃、ユウが三黒を発見し、「あそこです」と指し示した。

 三黒は、花梨の指揮下に落ちた構成員を制御できずにいた。
 もとより、制御できていたのかは不明だが、少なくとも彼女の周囲に構成員はいなくなっていた。そこへ、シャロンが飛来する。
「クリスマスにこんな事していて虚しくありませんの? 確実に数年もしたら黒歴史になりますわよ」
 そう言われた三黒は、ぎくりとしながらも、
「やると決めたら、私はやるのよ」
と訳のわからない意固地な態度を見せて抵抗しようとする。シャロンはやれやれといった感じで、異界の呼び手を行使し、三黒を拘束しようと試みる。だが、三黒も撃退士たる学園生の一人。そうやすやすと捕らえられるものではない。
 代わりに、構成員が一人犠牲となった。
 そこへ、雅人と恋音が追いつく。
「気持ちはわからないではないですが、迷惑をかけるのはだめです」
 ハンズ・オブ・グローリーを駆使し、三黒を捕らえようとする。だが、素早く避けた三黒はそのまま喧噪の中へ駆け込もうとする。なお、ハンズによるアウルの拳は構成員が一人当たっていた。
 構成員の中へ紛れ込もうとする三黒を阻んだのは、恋音だった。
「……逃がしませんよぉ……」
 スリープミストを張り巡らし、構成員たちを眠らせて現れる。逃げ出す場所をなくし、動きを止めた三黒に恋音とシャロンが合わせるように異界の呼び手を行使する。出現した数多もの手が、三黒を捕らえた。
「ぐぬぅ」
 悔しそうに涙を浮かべる彼女に、恋音が近づきこんこんと説教を述べる。
「……色々とストレスが貯まる、というのはわかりますけれど、いい大人なのですから、他の方のご迷惑にならない形で発散しませんと……」
「そ、そんなの私だってわかってるけどぉ」
 おさまりがつかない感じの三黒に、恋音はいう。
「……どうせならスイーツバイキングでストレスを発散ですよぉ……」
 
 三黒捕獲を悟った構成員は、しかし、花梨に救いを求めた。
 だが、シルバートレイを片手に奮闘していた花梨も水鉄砲を取り落とし、膝を突いた。もっとも、当然の如く演技である。
「ここまで……だわ」
 これを見て、多くの構成員はその場で崩れ落ち、泣いているものまでいる。花梨は戸惑う、三黒に告げる。
「早く行きなさい あなたの戦場はここじゃないのだわ」
 だが、こうもいう。
「来年も一人だったら、しっと団に来なさい。待ってるのだわ」
 三黒は、うんと頷き去って行った。
 その様子を見守っていた構成員は、せきを壊したように雄叫びを上げた。泣き叫ぶものもいたが、そこを取り纏めるのが花梨だ。
「いつまで泣いているのだわ。私たちも、行くのよ」
 りりしい姿に構成員たちも、涙を止めて立ち上がる。彼女を先頭に暑苦しい集団移動が始まっていたのだった。


 スイーツバイキングは、撃退士ねぎらいの意を込めて500久遠で軽食・ドリンク・ケーキ食べ放題というリーズナブルな店が選択されていた。クリスマス仕様の華やかな内装が目を引く。見るからに、あたりの店だ。
 三黒は、席に着いて、恋音がケーキを器用に彩った皿をおかれてもじっとして動かない。緊張していると言うよりは、微妙な乙女心が邪魔をしているように見える。そんな彼女の背中をそっと押したのは、ミセスだった。
「ええんや、食べて、ええんや」
 ふくよかな身体を揺らし、三黒の背にそっと触れる。
「ぽちゃかわもええと思うし、まあ今の男に期待できんとこあるけどな」
 優しく、彼女に語りかけていく。
「甘いもんをたくさん食べて、話をするのが一番や」
 そういいながら、いの一番にシフォンケーキを美味しそうにかぶりつく。
「黒子さん、今日は一杯食べましょう」
 ユウも隣に座って、ケーキを丁寧に一口食べる。美味しいですよと微笑む。
「カロリーがどうとか細かい事気にしてはいけませんの。1日沢山食べたぐらいじゃたいして変わりませんわ」
 きっぱりはっきりというのは、シャロンだ。彼女もそれなりの量をのせて、フォークを操っていた。
 ここまで囲い込まれて、食べないわけにはいかない。三黒は一口食べ、二口食べ、ストレスを発散するように食べ始めた。次第に口も軽くなり、自分の境遇や心境を語り出す。
 ユウや恋音は静かに黙って頷いて聞き、ふゆみは三黒の言葉に、
「えー、ひどーい! そんなのってユージョーじゃないよねっ」
とか
「三黒さんかぁいそう……元気出して」
と反応を返して慰める。
 三黒を囲う輪から離れた撃退士に、雅人がねぎらいの言葉をかけていく。
「君達がブラックサンタを抑えていてくれたお陰で私達は三黒さんの方に集中出来ました。ありがとう」
 主として、その相手は女子の輪に入っていけない衣馬だったが。彼らは、ケーキ以外の軽食やドリンクに手を付けながら様子を見守っていた。だが、その視線がふと入り口の方へ向いた。
 バンッと大きな音をたてて、花梨と構成員たちが入ってきたのだ。
 色めき立つ撃退士をよそに、花梨は構成員たちともう一つ設けられていた予約席の方へとむかった。
「私たちも憂さ晴らしのパーティなのよ。偶然にもお店が被ってしまったのだわ」
 いうやいなや、店内は騒がしくなっていく。中にはこちら側の女子へ干渉しようとするものもいた。
「暴れ足りないなら、相手になるが」
 ずんむと衣馬が立ち上がり、一睨みすると構成員たちは縮み上がってしまった。
 一気に声量が増えた中で、シャロンが三黒に聞く。
「私の母も男運がなかったですけど。ブラックサンタ軍団の中にいいなって人いませんの? こんな事に付き合ってくれるぐらいならもれなくみんな独り身でしょう」
 そういわれて、三黒とともにブラックサンタ団の方を向く。
 暑苦しい割には、肝っ玉も性格も小さく見える。二人して、ため息を吐いた。
「ごめんなさい。聞いた私がバカでしたわ」
 
 けたたましいものの、クリスマスの時間は過ぎていく。この後予定がある者は帰り、残る者は残る。
 数日後、しっと団と名乗る組織から、犯行声明に編集された戦闘時のビデオが放出されていた。だが、それはまた別のお話。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

撃退士・
海本 衣馬(ja0433)

大学部5年127組 男 ルインズブレイド
しっ闘士正統後継者・
天道 花梨(ja4264)

中等部2年10組 女 鬼道忍軍
ひょっとこ仮面参上☆ミ・
新崎 ふゆみ(ja8965)

大学部2年141組 女 阿修羅
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
食欲魔神・
Md.瑞姫・イェーガー(jb1529)

大学部6年1組 女 ナイトウォーカー
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
心遣いが暖かい・
シャロン・リデル(jb7420)

高等部3年17組 女 ダアト