放課後。とある教室で、重大な会議が行われようとしていた。
黒板には『第一回おっぱい会議!』と殴り書きされ、9人の学生が円卓に座っている。
「では始めます」
新一が、硬い声で告げた。議題はアレだが、彼は真剣だ。まじめに、FCの子たちを救おうとしている。
駄菓子菓子!
「少年。これからキミは、おっぱいマイスターたちの話を聞くと思うの。でも、その前にキミには事前知識を蓄えてもらうわ」
Luxuriaちゃん(
jb6953)が、新一の腕をつかんだ。
そのまま、無理やり胸元へ。
「うわァAAIYEEッ!?」
手を引っこめようとする新一だが、Luxuriaちゃんは離さなかった。
「これがおっぱいよ♪ 好きなだけ揉みなさい♪」
妖しいフェロモン汁を分泌させながら悪魔の囁きで誘惑する、Luxuriaちゃん。
健全な男子が、こんな誘惑に抵抗できるわけない! でも大丈夫! 服の上からだ! ポロリしてないぞ! 生乳じゃないぞ! Luxuriaちゃんは良い子だから、脱いだりしないぞぉぉ! あっはっはっは!
「こ、これは……!? やわらか……ふにふに……あああ僕の右手は今どこに……? ここ、だれ? ぼく、どこ? この指、ママ」
錯乱しながらも、新一の右手は止まらなかった。
無理もない。こんな不意打ちを受けたら、かるく幼児退行するのも当然だ。
繰り返すが、生乳ではないからな!
「うわぁ……」
顔を真っ赤にして目をそらしつつも、チラ見してしまう郷田成長(
jb8900)
小学生男子には刺激的すぎる光景だ。……というか、なぜメイドコス!?
「見ちゃいけない。巨乳は敵。巨乳は悪。俺には姉さんが……」
高瀬颯真(
ja6220)は必死に顔をそむけながら、呪文めいた独り言を呟いていた。
おっぱい会議と聞いて心の準備はしていたものの、最初から急展開すぎる。
そんな具合に慌てふためく3人の男子たちを、女性陣はわりと冷静に眺めていた。
いや、嘘だった。桜花(
jb0392)だけは、初々しい少年たちの姿を見て鼻血を流している。なんせ、今日は彼女の好物(年下の少年少女)がいっぱいだ。やったね、桜花ちゃん!
さぁ会議開始だ!
「あの、先に言っておくことが……」
まず最初に、成長がおずおずと手をあげた。
「まさか、私への告白!?」
ありえないことを口走って、頬を赤らめる桜花。
「じゃなくて。ボクは兄ちゃんの代理で、これを読みにきたんだ」
言いながら、成長は手紙を開いた。
そして、震え声で朗読をはじめる。
『まず初めに、このような参加になった無礼を詫びたい。俺は成長の兄だ。そしてもうひとつ知ってもらいたい。俺はかつて、パンツの存在について語った男だ。その上で話を進めたい』
成長の兄といえば、かつてパンツめくり……もといスカートめくりに命を捧げて散った男だ。今回は忙しいため、弟に手紙を持たせての参加である。こんな兄を持った成長の未来が不安だが、メイドコスの時点で既に十分アウトだった。
『おっぱいとは、大きく分ければ乳房、乳輪、乳首の三つからなる。そして乳房ひとつにしても、大きさ、形状、硬さ、色という要素がある。それら全てのバランスが大事なのだ。だれでも、おっぱいが成長するのは御存知だろう。ロリにはロリのおっぱいが、ババアにはババアのおっぱいがある。ロリなのに巨乳だとか、ババアなのに美乳だとかは、ガッカリの極みだ。ありのままの自分を受け入れることで、自分もおっぱいも成長するのだと信じたい。おっぱいは巨微に関わらず、絶対的な価値がある。人が裁いて良いはずがない。人が裁けるのは人だけだ。仮におっぱいに大きさだけを求めるならば、言っておく。寄せて上げる、それはいい、努力を認めよう。だが偽乳、これは断固として許されない!』
そこまで読み上げると、成長は「ぁうう……」と身悶えしてうなだれた。
「良い手紙だ」
クールに賛同したのは、氷野宮終夜(
jb4748)
彼女はかなりの巨乳ながら、貧乳への理解も持っている。まじめなので、依頼人への態度も真摯だ。
「新美君。たぶんファンの子たちは、おっぱいの大小を争っているのではなく『きみがどのおっぱいが好きか』を争ってるんだろう」
「なるほど……」
「大きい小さいは、たしかにわかりやすい指標だ。が、そこだけに拘るのは視野が狭い。形は言うに及ばず、体格との調和、性格や仕草で引き立てられる魅力……要素は無限にある。まさに、おっぱいは十人十色。きみが、ファンの子たちのおっぱいをそこまで吟味できるようになれば、こんな騒ぎは二度と起きないだろう。さいわい今日は女性も多いし、今ここでおっぱいの魅力を学んで、言葉にする練習をすればいいんじゃないか?」
クールに告げる終夜。だが、内容は全ておっぱいの話だ。
「おっぱいの魅力は色々あるけど、まずは母性の象徴よね」
藍星露(
ja5127)も、まじめな顔で話しはじめた。
「みんな勘違いしてるけど、いい? おっぱいは大きなお友達のためにあるんじゃないの。赤ちゃんが吸うためにあるのよ。……さぁ新一くん、ここに来て」
星露は自分の膝を指差した。
「そこに座れと……?」
「ええ。おっぱいの魅力を知りたいんでしょう?」
「まぁ……」
ことわることもできず、新一は星露の太腿に腰を下ろした。
そのとたん、星露が新一の頭を抱き寄せる。
「むぎゅっ!」
変な声が出た。
「赤ちゃんはね、こうやってお母さんの胸に頭を置かせて心臓の音を聞かせてあげると、安心して眠るのよ」
二児の母である星露にとって、この程度のことは慣れたもの。だが、新一にとっては衝撃体験だ。眠るどころじゃない。
「この体勢なら、新一くんも少しはおっぱいの魅力、わからない? ちなみに、赤ちゃんにおっぱいをあげる時も、こんな体勢なのよ♪ 新一くんも、おっぱいほしいかしら? ……なんてね♪」
いたずらっぽく言う星露。
しかしこれは、おっぱいの魅力というより星露の魅力が伝わっただけではなかろうか。
「大体わかったので、席に戻りますね……」
立ち上がった新一は、完全によろけていた。
「これは、貧乳の、貧乳による、貧乳のための討議です!」
次に語りだしたのは、東風谷映姫(
jb4067)
自らも貧乳であり、かつ貧乳フェチでもある彼女にとって、この会議は貧乳の魅力を訴える絶好の機会だ。
「いいですか。貧乳の子はですね、小さいと言われることをなによりも嫌うのです。……が、貧乳女子の可愛さはそこにあります。胸が小さいのを気にして、恥ずかしそうに胸を隠しながら顔を赤らめるのも良し。赤くなりながら、照れ隠しに暴力を振るってくる姿も良し!」
力強く言い放つと、映姫は新一の手を取って強引に胸へ押しつけた。
「はぅえっぇええ……って、すみません。あまり驚きませんでした」
すなおに謝ってしまう新一。巨乳ふたりの衝撃が強すぎたのだ。
が、映姫は動じない。
「このとおり、貧乳は巨乳と違って揉むのが難しいです。……が! 男性が揉めば大きくなるという都市伝説も存在します! ですから男性にとって、貧乳とはダイヤの原石なのです! ダイヤは磨けば磨くほど、貧乳は揉めば揉むほど輝くのです!」
最初から磨いてあればいいんじゃ……と新一は思うが、口には出さない。
映姫の貧乳語りは、さらに続く。
「じつは私も、貧乳の子が大好きなんですよ。あの必死に小さい胸を隠す姿や、自分で揉んだりして大きくしようとする健気な姿……すべてが愛しいのです。ですから、あなたも貧乳好きになってくださいね?」
かわいらしくも、どこか妖しげに微笑む映姫であった。
「そう、ちっぱいは正義!」
颯真が全力で同意した。
「まず、『貧乳』という呼び方がいけないよね〜? 『貧しい乳』とは、なにごとだ〜! ここは愛情をこめて『ちっぱい』と呼ぶべき! はい、新一くんも一緒に! ちっぱい!」
「「ちっぱい!」」
新一と映姫が声を上げ、数名が同調した。
その手応えに、颯真は得意顔で続ける。
「じゃあ、この写真を見てみようか〜。 俺の可愛い可愛い(略)姉さんだ!」
颯真は、大量の写真を机に積み上げた。
これはかなり重篤なシスコン!
「見てのとおり、みごとにちっぱいのわけだが……この素晴らしさは可愛さにある! たとえば、このレオタード写真だけど〜。この、守ってあげたい! みたいな感じがいい〜! こっちの体操着姿も、ちっぱい&童顔で幼く見えるのが堪らない! さらに、この水着! スク水は、ちっぱいでこそ魅力が引き立つよね〜!」
うっとり顔で姉の写真を眺める颯真。
これは医者を呼ぶべきでは……。
「小さい胸を気にして毎日牛乳を飲んだり、無駄な努力も可愛い! 小さいのを指摘するとムキになって『これから大きくなるんだから!』とか言っちゃって……もう可愛い〜! でも、巨乳が悪いわけじゃない! だが巨乳はエロい……それだけだ! ちっぱいの多様性にはかなわない!」
ビシッと断言する颯真は、いま最高に輝いていた。医者はまだですか。
そんな貧乳派をよそに、柘榴姫(
jb7286)はLuxuriaちゃんの胸を揉んでいた。
「おおきいおっぱいには、ましゅまろがつまってるわ。……きっと、あまいわ」
そう言いながら、おっぱいをprprしはじめる柘榴姫。
「それはマズイんじゃ……」
新一の脳裏に、『蔵倫』の文字が点滅した。
「まずくない。あまくておいしいわ」
「じゃなくて……」
「でも、ちいさいおっぱい、ましゅまろつまってない……」
自分の胸をペタペタしながら呟く柘榴姫。
「ししょーが、もんでもらうとおおきくなるっていってたわ……おっぱい、もむ?」
まないたを突き出しながら、柘榴姫は新一に迫った。
「それは高瀬君にまかせるよ!」
みごとな回避力で、柘榴姫の攻撃をかわす新一。
「なんで俺に振るの!?」
「ちっぱい派でしょ?」
「ん……。揉む?」
柘榴姫が、ちまっとした胸を颯真に突きつけた。
「ぐ……っ。だ、だめだ。おちつけ、俺の右腕……!」
震える腕を、必死で押さえつける颯真。
耐えられたか否かは、彼の名誉のために伏せておく。
「じゃあ、ここでまとめるよ」
桜花は鼻血を流しながら立ち上がった。
「いい? まず大きいおっぱいを見てみようか。今回一番の持ち主、藍さん」
目測でサイズを判断して、桜花は星露の背後からおっぱいを持ち上げた。
「美人だし、優しいお姉さんって感じで魅力的だよね。私も藍さんぐらいのほしいなって思うよ。藍さんは魅力的、これ決定ね」
勝手に決めつけると、桜花は隣の席へ。
「次に、柘榴姫ちゃん。一番ちいさいけど、彼女魅力的だよね? かわいいよね? クールなのも魅力的だしね? 柘榴姫ちゃんも魅力的、これ決定ね」
桜花は返事も聞かず、さらに隣へ。
「つぎ、ルクスさん。大きくも小さくもない美乳だよね。彼女も魅力的。露出の多い衣装とあわせて、アグレッシブなところが魅力的だよね、私もこんな服着てみたいな」
Luxuriaちゃんの乳を揉み揉みしながら、鼻血を流す桜花。
「……で、魅力的な彼女たち、それぞれおっぱいだけ入れ替えてみよう。彼女たちの魅力はなくなるかな? なくならないよね? ちっぱい姉さんも、ロリ巨乳も魅力的だし、巨乳で活発な子は揺れたらすごそうだし以下略。つまり……おっぱいは正義!」
「そう。おっぱいは等しく尊いのよ」
キリッとした顔で断言するLuxuriaちゃんは、ずっとおっぱい丸出しだ。
おかげで男子3人は、まともに顔を上げられない。
「そのとおりだけど、それだけじゃ事態は解決しないわね」
と言って、星露は続けた。
「あたしに名案があるわ。ひとまず新一くんは巨乳派ということにするの。そして、胸の小さい子たちに『僕が揉んで大きくしてあげる』って言うのよ」
「それは……」
さすがにためらう新一。
すると、終夜が言いだした。
「ならば、おっぱいに慣れておく必要があるな。今のままでは頼りない。……というわけで、私も一肌脱ごう」
上着を脱ぐと、終夜はチューブトップ一枚になった。
よく見れば、かなり立派な代物だ。
新一は自然と前屈みに。
「さぁ好きにするといい。報酬の出る依頼だし、これぐらいの覚悟はしている。このまま揉むのと、生で揉むのと、どっちがいい?」
まちがった覚悟をしつつ、新一を下から覗きこむ終夜。
「男は度胸だよ!」
と言いながら、桜花は新一の右腕をつかんで終夜の胸に押しつけた。
ぽよん♪
「!?」
「ついでに私のも揉んでいいよ」
新一の左腕が、桜花の胸に。
ぷるん♪
「!?!?」
これぞ、両手に華ならぬ、両手におっぱい!
なんなんだ、この依頼!
「おっぱいもいいけど、ししょーがいってたわ。くろたいつとがぁたぁをつかいこなすぱんつは、せかいをねらえるって」
唐突に、柘榴姫がそんなことを言いだした。
「「え?」」
新一、颯真、成長の声がハモった。
「ぱんつ、みる?」
柘榴姫は、答えを待たずに着物の裾をたくしあげた。
「まって! それは見えないからこそ価値があるんだからね!」
颯真が叫びながら目をそらした。
成長も、反射的に顔をそむける。
新一も顔をそらそうとしたが、桜花に押さえつけられて動けなかった。
そして堂々と放たれる、超必殺『ハイテー・マセーン』!
「「ぐは……っ!」」
臨界点を超えた新一は、ついに倒れた。
ついでに桜花も、鼻血まみれで失神KO。よし、いつもどおりだ。
数分後、新一は星露の膝で目をさました。
一方桜花は、失神しながら膝枕をおねだりするという荒技で成長の膝をゲット。
「さて、会議をまとめると、新一君がちっぱいの子を揉んであげるってことで解決よね?」
星露が言うと、女子一同はうなずいた。
男子一同は、唖然とした顔で絶句する。
「ということは、マッサージの方法を伝授しないと駄目よね? さぁみんな、教えてあげて」
「貧乳の魅力、身をもって教えてあげましょう!」
映姫が突撃してきた。
「じゃあ私が巨乳の魅力を教えてあげる」
どさくさにまぎれて颯真に迫る、Luxuriaちゃん。
油断していた颯真の手が、ついうっかり!
「こ、これは……!? や、やわらか……たまらな……かゆ……うま……」
いけないと思いつつも、ついつい揉んでしまう颯真。だが仕方ない。男の反射行動なんだ! 俺には姉さんが……巨乳の味方をするわけには……と思いつつも、健全な男子中学生らしく揉み揉みしてしまう颯真君。たぶん『魅了』と『認識障害』に陥ってる。『幻惑』と『朦朧』もかかってるかも。
「うわぁ〜ん! おっぱいなんて嫌いだ〜!」
さいわい『束縛』はかかってなかったので、走って逃げる颯真。
「あっ、逃げた!? まだ依頼が終わってないのに!」
成長が叫んだ。
「成長は逃げないよね?」と、血みどろの桜花が迫る!
このあと成長と新一がどんな目に遭ったかは、想像にまかせる!
だが、ひとつだけ言いたい!
こんな安い報酬でおっぱい揉めるなら、だれでも依頼出すわ!