.


マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/11/10


みんなの思い出



オープニング


 三条絵夢という名の学園生がいる。
 もともと良家出身のお嬢様で、学園では風紀委員も務める優等生なのだが、その本性は超絶ドM! 率先して天魔退治の依頼を引き受けるのも天魔に痛めつけてほしいからという、真性マゾヒストだ!
 そんな彼女が最近ハマってるのは、いわゆる食べ歩き。それも超激辛料理の店とか、爬虫類や昆虫を提供するゲテ料理店、フードファイターも降参するギガ盛りの店、やたらとマナーにうるさい頑固親父の店などを選んで特攻するスタイルだ。
 絵夢は特に辛いものが好きだとか、虫が大好物だとか、人並み外れた胃袋を持っているなどということはない。ごく普通の人間だ。にもかかわらず超激辛料理やギガ盛りに挑むとなれば、結果は明白。吐きそうな目に遭いながら、必死になって料理を食べ続け……当然食べきれず大量に残すことになる。するとどうなるか。

「あーあー、だから無理だって言ったんだよ」
「こんなに残してまぁ、本当に迷惑な……」
「うちで穫れたGが食べられないのか!?」
「悪いけど二度と来ないでくれるかな、お嬢ちゃん」
「食べられもしないくせにマシマシとか注文するんじゃねえ!」

 などなど、ひどい言葉をぶつけられるのである。
 理不尽な例では、ただテーブル上の高菜を食べただけで「高菜、食べてしまったんですかっ!?」と怒鳴り散らされ追い出されたケースもあった。
 だが、これこそ絵夢の望みどおり。わざわざ説教されるために、店を厳選して食べ歩きしているのである。あえて金を払ってまで、食べたくもない料理を食べ、しかも説教までされて、出入り禁止を言い渡されるという……真性マゾにとってはたまらないフルコース! しかも『殴られ屋』で稼いだ金なのだから恐れ入る!

 だが絵夢は、このところ少し困っていた。
 というのも連日の食べ歩きがたたって、激辛料理やゲテモノ料理などに慣れてきてしまったのだ。胃袋も鍛えられてきて、そこらのギガ盛りラーメンぐらいなら完食できるようになってしまった。おまけにあちこちの店から出入り禁止をくらい、本当に厳しい店には入ることもできない。
 しかし、せっかく覚えた新しい趣味を簡単に捨てられるほど、絵夢は潔くなかった。
 そう、久遠ヶ原には存在する! いわゆるデス料理とかいう系のアレが!
 しかも都合の良いことに、絵夢にはツテがあった。

「……というわけで小筆先生。KCBの場を借りて殺人料理を追究しませんか?」
 絵夢が訪ねたのは、アーティスト科講師・小筆ノヴェラ(jz0377)だった。
 彼女は講師の立場を利用して、この夏からKCB(久遠ヶ原クッキングバトル)なるコンテストを実施している。声をかければ学園の料理自慢が集まるはずだ。
「チャオ、三条君。……しかし最近のキミは欲望に正直だねぇ。いいことだよ」
「はい! 私はもう自分の趣味を隠さず生きることにしたんです!」
「でも殺人料理かぁ……僕はできるだけおいしいものが食べたいんだよね」
「まずい料理を食べることで、おいしい料理をよりおいしく味わうことができると思うんです。スイカに塩をかけたりするみたいな。それに料理で人が殺せるなら、天魔だって殺せるかもしれません。つまりこれは、世界平和実現のための料理コンテストなんです!」
「なるほど、それはアートかもしれない。でも基本的にKCBの参加者は普通に料理のうまい生徒ばかりだから……うまく行くかなあ」
「あ、べつにおいしい料理が食べられるなら、それはそれで……。でもせっかくなので、なにかお仕置き……いえ、ご褒美がいただければ!」
「本当に正直だねぇ……」
 さすがのノヴェラも、絵夢の直球きわまる要求には苦笑する以外なかった。
 ともあれこうして、第4回KCB『殺人クッキングバトル』が開かれることになったのである。




リプレイ本文



 KCB第4回戦当日。調理実習室に8名の料理人が集まった。
 今回は『殺人料理』という難しいテーマだが、勝つのは誰か!

「殺人料理ですか……気乗りしませんが、これも修行と思うことにします」
 ふだん温厚な水無月沙羅(ja0670)だが、今日は不機嫌だった。
 料理に真心をこめる彼女にとって、絵夢の行為は冒涜に他ならない。

「相変わらず理解できない趣味ですね」
 雫(ja1894)は無表情で肩をすくめた。
 それも無理はないというか、絵夢の趣味を理解できるほうがヤバい。

「私は三条さんの趣味を、多少は理解してますのでぇ……今日は頑張りますねぇ……」
 自分で言ったとおり、月乃宮恋音(jb1221)は絵夢の理解者であり同胞だ。
 今回のKCBでは最初から一歩リード!

「とても新しい分野……というか、ふだん手掛けない料理ですが頑張ります♪」
 木嶋香里(jb7748)も意欲十分だ。
 間違っても殺人料理など作るタイプではないのだが、結果やいかに!

「常人が食べられない苦痛でしかない料理は、はたして料理と言えるのか? 私はあえて癒しのために料理しよう」
 勝負を放棄するかのようなことを言うのは、白衣姿の鴉乃宮歌音(ja0427)
 彼はもともと勝敗には興味がない。だが依頼は依頼だ。絵夢を満足させる手は考えてある。

「絵夢さん安心して! 本当においしいラーメンを食べれば、いまの悩みなんてどっかに吹っ飛ぶから!」
 爽やか笑顔でサムズアップするのは、佐藤としお(ja2489)
 たしかにラーメンは世界を救うが、マゾを救うことはできるのか!

「……私から言うことは……特にない」
 染井桜花(ja4386)は、いつもどおりクールだった。
 背後にドラム缶が見えるのが不穏だが……絵夢は『コンクリ詰めにされて海に沈められちゃうのかなぁ♪』などと興奮気味である。

「今回も料理の鉄人ぞろいですねー。KCBも殺人料理までテーマにしちゃったってことは、ファイナルが近いんですかね」
 袋井雅人(jb1469)がナチュラルに問いかけた。
「KCBは全6回戦だよ」と、ノヴェラ。
「そういえばそうでした! 私も最後まで全力全開でいきますよー!」


「じゃあ調理開始♪」
 ノヴェラの号令で、皆一斉に作業を始めた。
 なにしろ殺人料理なので、どれほど壮絶な調理風景が……と思いきや!

 まず恋音が作るのは、クミンシードやサフランを使った中東風チキンピラフ。
 次に、バジルとローズマリーで仕上げた鶏の香草焼き。
 そして、玉ねぎ、ニンジン、カボチャなどの野菜サラダ。
 ややエスニックだが、どれも普通!

 その隣では、おなじく雅人が普通に料理している。
 ただ種類が異常に多い。
 納豆、焼き納豆、焼肉、焼肉クレープ、海鮮BBQ、チーズフォンデュ、コロッケ、おでん、、カレーライス、シーフードカレー、カレーパン、タタンタルト、アップルパイ、チーズケーキタルト、チーズケーキ……etc
 その狙いは一体!?

 香里もまた、通常モードでトムヤムクンを作成中。
 パクチーや香辛料を多めに使ってはいるものの、普通に食べられる範囲の料理だ。
 やはりテーマに無理があったのか?

 最もマトモに料理してるのは歌音だ。
 まずは玉ねぎをスライス。
 ニンジンを薄切り。
 しめじとエリンギも適当にカット。
 紫芋とナスも食べやすい大きさに。
 鍋を火にかけてバターを溶かしたら、野菜類と一緒に鶏肉を炒める。
 火を止めて小麦粉投入。
 牛乳とコンソメで小麦粉を溶き、再加熱。
 牛乳が沸騰する前に水を加えて、弱火で10分。
 塩胡椒で味を調えたら、見た目にも毒々しいシチューの完成。
 そしてもう一品。
 カボチャの頭を落として種を抜き、落とした頭をかぶせたら丸ごとラップをかけてレンジでチン。
 中身をくりぬき、カボチャの表面を抉ってハロウィンジャックに仕立てる。
 くりぬいたカボチャの身を、豚挽肉、玉ねぎ、塩胡椒、ナツメグで調味。
 ハロウィンジャックに詰め戻し、180度のオーブンで35分。
 軽く処理すれば、典型的なハロウィン料理の出来上がりだ。

 そんな中、桜花は防毒マスクにゴーグル装備で化学実験みたいなことをしていた。
 世界一辛い唐辛子を濃縮し、純粋なカプサイシン結晶を作っているのだ。
 スコビル値は脅威の1500万! 人間の食べるものではない!
 この結晶で作成するのは、玉ねぎ、ニンジン、じゃがいも、牛肉のシンプルなカレー。
 はたしてドラム缶は何に使うのか!

 やはり殺人系といえば激辛料理なのか、としおも『死のソース』スープのラーメンを作っていた。
 麺は中太の平打ち縮れ麺。食べごたえがあり、激辛ソースが絡みやすい。
 この麺にも、死のソースがたっぷり練り込まれている。
 トッピングの煮玉子と焼豚も死のソース漬け。
 とどめに死のソースで作った辛みそネギをたっぷり。
 さすが『死のソースマイスター』である。

 雫が作るのも同様に激辛料理。
 まずはブートジョロキアを麺に練り込み、次いで甘めの肉味噌を作る。
 出汁、擦り胡麻、芝麻醤でスープを作ったら、自家製辣油の作成だ。
「絵夢さん、こちらへ」
 と手招きし、防護マスクを装着する雫。
 言われるままに絵夢は雫の前へ。
 出てきたのは中華鍋だ。そこへ大量の花山椒とキャロライナ・リーパーをぶちこみ、発火寸前まで熱した胡麻油を投入。
 ジュワッという音とともに猛烈な辛味成分が噴き上がり、絵夢の顔を直撃した。
「んげほっ、ごほっ!」
 涙と鼻水まみれになって、むせかえる絵夢。
 だが、とても嬉しそうだ。

 さて現在総合一位の沙羅だが、今回は珍しく白衣だった。しかもガスマスクに手袋という本格的な格好である。
 彼女が用意したのはドリアン。
 これを適当に切り、ソテーしてブランデーでフランベ。
 蜂蜜とリンゴ酢で味付けしたら、次の作業に入る。
 まずドリアンの果肉をペーストに。これを二等分したら、ボウルで生クリームとバニラエッセンスを混ぜ合わせ、アイスクリームの素を作る。これをあえて冷凍せず液体窒素で瞬間凍結すれば、特製アイスの完成。
 分けておいた残りのペーストは、秘密のレシピの液体を使って人工イクラみたいな要領で温泉玉子みたいなデザートに。レンゲですくってブルーベリーソースをかけたら完成。
 さらに、ソテーしたドリアンとアイスもレンゲに盛りつける。
 分子ガストロノミーを応用した料理で、沙羅はトップの座を守りきれるか!?


「さぁ料理が揃った。試食に入ろう。……あ、僕は遠慮するけどね」
 ノヴェラが言い、実食審査が始まった。
 一番手は歌音。
「まず最初に言わせてほしい」
 歌音は絵夢に指を突きつけた。
「よく聞け。君はいずれ裁きを受ける。本当はこんな料理など食べたくもないのだろう。君はこうして罵られるためだけに、食べたくもない料理を頼んだのだ。我々はいい。依頼だからだ。しかし、なにも知らぬ一般人は君の自己満に振り回されただけ。犯した罪に謝罪せよ。汝、罪ありき。必ずや餓鬼道に堕ちるだろう。趣味は学園内に留めなさい。わかったかね?」
「私は裁かれたいんです! 趣味はやめません!」
「これは重症だな……。まぁいい、冷めないうちにおあがり」
 歌音の精神攻撃まるで通じず!
 出てきた料理は、毒液みたいな色のシチューと、中身が脳味噌みたいに見えるカボチャの料理。外見のキモさで勝負だ。
「見た目はアレですけど、味は普通なので先生もどうぞ」
 歌音に言われて、ノヴェラもスプーンを手に取った。
 食べてみれば普通においしい。
 もちろん絵夢は不満げだ。

「次は私の番ですね。今までの撃退士人生総集編料理を出しちゃいますよ!」
 雅人が持ってきたのは、納豆やコロッケ、ケーキなど全ての料理を大皿ひとつにごちゃまぜにした代物だった。
「この一皿に私の全てが詰まっています! 名付けて『袋井雅人スペシャル!』 これだけの料理を作るのは大変でしたけど、これをひとつにしちゃうのが『いとおかし』ですよ〜」
「これも普通に食べられるね」と、ノヴェラ。
「先輩の拷問には期待してたのに……」
 絵夢は不満を隠そうともしない。

「このぶんだと私の料理も駄目そうですが……とりあえずどうぞ」
 香里が作ったのは、香辛料強めのトムヤムクン。
「ええと……刺激を求められているとお聞きしましたので、少々強目の味付けで仕上げました♪ 刺激を含みつつ、おいしさと両立させる方向で……。先生には通常のレシピどおり作りましたので、どうぞ」
「うん、これもおいしいね」
「おいしいです、ねぇ……」
 ノヴェラは満足そうだが、絵夢は溜め息モードだ。
 続けて香里がグラスを持ってくる。
「お口直しにカクテルを用意したので、よろしければどうぞ」
 ノヴェラにはシンデレラ、絵夢にはサラトガクーラーが出てきた。
「完全に普通の料理会ですよ!?」
 まさか依頼書を書き間違えたかと、心配になる絵夢。

 だが次は雫の番だ。
「激辛担々麺です。たぶん味は悪くないと思いますが……この辛さでは味見もできませんから若干の不安が残りますね」
 小松菜と煮玉子だけの、シンプルな担々麺が卓に置かれた。
 禍々しいほど真っ赤なスープは、食べなくても辛さが伝わる。
「からっ! でも食べられますよ!」
 大汗をかきながら、絵夢は必死で麺をすすった。
 だが煮玉子を口に入れた瞬間、ボムッと爆発。
「ぶふぉっ!?」
「噛むと爆発するよう細工しておきました。良いアクセントになったかと」
「いいえ! 全然ものたりません!」
 鼻の穴から麺をたらしつつ、不満を訴える絵夢。
 すると雫は思案顔になった。
「こうなれば、去年より試行錯誤を重ねた手作りチョコを出すしかないようですね。まだ他人様に見せられる出来ではありませんが、これも依頼達成のためです」
「どんなチョコなんです?」
「カカオっぽい天魔を材料に、サッカリンを混ぜて作った『試作ナンバー1894』です。どんな低温でも固まらず流動し続け、一定範囲に近づくと自ら相手の体内に飛び込んで内臓を食い破るという……」
「それ体験したいです!」
 絵夢が雫に詰め寄った。
 しかしノヴェラが止める。
「一応教師だから言うけど、天魔を食べるのはアウトだよ?」

「さて僕の番だな。ラーメン王特製『超死辛麺』だ! 辛さが足りなかったら卓上死のソースを使ってね!」
 としおが運んできたのは、雫の担々麺より赤いラーメンだった。
 しかし、ただ辛いだけでは絵夢は満足しない。
「だんだん辛さが慣れてきました」
 そう言った直後。
 ドパアアン、という爆音とともに絵夢の口や鼻から真っ赤な液体が噴き出した。
 スープに仕込まれていた『米粒大の極小爆弾』が胃袋で炸裂したのだ。
「あーっはっはっは! 煮玉子爆弾よりアクセントになっただろ?」
「はい……快感ですぅ……」
 超死辛麺のスープと血液の混じった汁を鼻や耳から垂れ流しつつ、笑顔でうなずく絵夢。
 これは入賞確実か?

「……激辛料理の真髄を……見せよう」
 桜花の料理は『超絶霊柩車カレー』
 カプサイシン結晶たっぷりのルーは、湯気だけでも痛みを感じるほどだ。
「やばいですコレ! 辛さに慣れたと言ったのは訂正します!」
「……食べきれなかったら……罰ゲームだから」
 そんなことを言えば、絵夢は残すに決まってる。
 一口だけで「もう無理です! 罰ゲームですね!」と言い出す始末だ。
「……ではまず……この水着に着替えろ」
「はい!」
「……次に……こうする」
 競泳水着に着替えた絵夢を、桜花が荒縄で亀甲縛りにした。
 そのままドラム缶に放り込み、結晶を溶かした熱湯を脳天から注ぐ。
「ひあああっ! 熱い! 辛い! 痛い!」
 絶叫する絵夢だが、笑顔なのが怖い。
「……次は……こうだ」
 身動きとれない絵夢の口に、ジョウゴが差し込まれた。
 そこへ激辛熱湯が注ぎこまれる。
「……さあ、たらふく飲むとよい」
 超絶ドSな氷の女王の微笑みを浮かべる桜花。
 絵夢は声も出せず悶絶するばかりだ。
 最後は絵夢がドラム缶をひっくりかえして拷問終了。
 その表情は完全にイッていた。

「では……これが私の料理です」
 全身真っ赤になった絵夢の前に、沙羅が料理を置いた。
 かぶせられていたクロッシュを開けたとたん、強烈な悪臭が漂いだす。
「ホンオフェです。ここに本場の熟成豆板醤と中華山椒で作った坦々ソースをかけて……完成です」
「げほっ、ぐほっ!」
 目と鼻に激痛が走り、絵夢は顔をそむけた。
「どうしました? 遠慮なくどうぞ」
 沙羅は絵夢の顎をつかむと、ホンオフェを口に詰めこんで撃退酒の瓶をつっこんだ。
 激辛激臭料理が無理やり流し込まれ、鼻から撃退酒が逆流する。
「食後にデザートもありますよ?」
 同じようにドリアン料理を押し込まれ、痙攣する絵夢。
 結果──酒とドリアンという最悪の食い合わせにより、全身に異常が。
「おげぇえええ……!」
 ドラム缶に駆け寄ると、絵夢は胃の中のものを吐き出した。
 その肩をつかんで振り向かせると、沙羅は強烈なビンタ一発!
「まずい料理? 料理人を舐めんじゃねぇ!」
「はぁはぁ……すみませんでしたぁ……」
 頬をおさえてうずくまる絵夢に反省の色はなかった。

「では最後に……私の料理を……」
 恋音が作ったのは誰よりもマトモな料理だった。
 チキンピラフ、鶏の香草焼き、野菜サラダ。
 ただし全てギガ盛り。
「残さず食べてくださいねぇ……? もう一品、ご期待にそえる料理を用意してますのでぇ……手を抜いたらおあずけですよぉ……?」
「わかりました! 頑張ります!」
 さきほど吐いたため、絵夢の胃袋には余裕があった。
 だが、いくら食べてもキリがない。
「も、もう限界です!」
「おやおや……こんなにおなかをふくらませて……かわいい子豚さんですね」
「ぶひぃ」
「では仕込みが終わりましたので……本命の料理を作りましょう……」
 そう言うと、恋音は長い鉄の棒を持ってきて絵夢の手足を針金で縛りつけた。
 そして始まるのは、豚の丸焼きならぬ『絵夢の丸焼き』
 先に食べさせた料理は『詰め物』だったのだ。
「ぶひっ!?」
 仰向けに吊された絵夢の背中から、炎が舞い上がった。
 肉の焼ける匂いに混じって、ハーブの香りが漂う。
「ぶひいいっ!」
「限界なら、言ってくださいねぇ……?」
 無表情で鉄棒を回し、まんべんなく絵夢をローストする恋音。
 ドMの恋音には、SになったときMの気持ちがよく理解できるのだ。まさに両刀使い。
 ほどよく絵夢が焼けたところで、冷ますために氷水の浴槽へドボン!
「ぶひいいっ♪」
 火責め水責めのコンボに、絵夢は大喜びだ。
 そこへ近寄りつつ、恋音が囁く。
「あとでまた責めて差し上げますねぇ……? その際は、いただいたポイントが多いほど激しく致しますので……わかりましたねぇ……?」
 こうして殺人料理対決は終了。
 後日、病院から絵夢の採点が公表された。



【結果発表】
 恋音+5  計14点
 桜花+3  計9点
 沙羅+1  計12点
 としお+1 計1点




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 花々に勝る華やかさ・染井 桜花(ja4386)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
重体: −
面白かった!:3人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
料理は心〜学園最強料理人・
水無月沙羅(ja0670)

卒業 女 阿修羅
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
花々に勝る華やかさ・
染井 桜花(ja4386)

大学部4年6組 女 ルインズブレイド
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド