.


マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/06/23


みんなの思い出



オープニング


 ここに、ひとりの撃退士がいる。
 久遠ヶ原学園中等部・風紀委員:三条絵夢。
 ビシッと着こなした制服と、キッチリ切りそろえられた黒髪がトレードマークの、成績優秀な在学生だ。

 絵夢が久遠ヶ原に入学して、2年少々。
 連日に渡る戦闘訓練や天魔との戦いによって、彼女は相当の実力者に成長していた。
 おもにアストラルヴァンガードを専攻する絵夢は、卓抜した耐久力を活かしてチームの盾となることで活躍している。率先して自らが犠牲になり、仲間へのダメージを一手に引き受ける献身的な戦闘スタイルはわりと評判が良い。
 ……だがその正体は、単なるドMなのだ!

 そんな絵夢だが、このところ彼女は悩みを抱えていた。
 いまや奥義まで使えるアスヴァンになった絵夢は、そこらのディアボロなんぞに負けることはないどころか、ろくにダメージも喰らわない。できるだけ長い時間マゾヒスティックな快感に浸ろうと耐久力のみを追求した結果、超人的な生命力と防御力を身につけてしまったのだ。
 これでは本末転倒だが、かといって丁度良い案配でダメージを与えてくれる天使や悪魔など、そうそう出没するものではない。強敵との戦闘依頼は競争率も高いし、そういう依頼では仲間も強いため絵夢の作戦が却下されてしまうこともある。後先考えず闇雲に殴られに行けば、最悪の場合死んでしまうかもしれない。そんなわけで、ただ痛みを味わうのも一苦労なのだ。


「はぁ……今日も私を満足させてくれそうな依頼はありませんね……」
 この日もまた、三条絵夢は斡旋所の依頼一覧を眺めて溜め息をついた。
 その耳元へ、背後から「フッ」と息が吹きかけられる。
「はぅわ……っ!? 先輩!?」
 絵夢が振り返ると、そこに立っていたのは佐渡乃明日羽。
 一見平凡な高校生だが、その正体は学園きってのドSである。
「なにやってるの? 戦闘依頼さがしてるの?」
「は、はい! 天魔退治は私たち撃退士の一番重要な仕事ですから!」
「ふーん? まぁがんばってね?」
 どうでもよさそうに言うと、明日羽はクルリと背を向けた。
 絵夢が慌てて呼び止める。

「あの、先輩っ! たまには稽古をつけてくれませんか!」
「稽古?」
「はい! できれば実戦形式で! おもいっきり!」
「絵夢はいじめてほしいだけでしょ? 『いじめてください』って言ってくる子をいじめるのは飽き飽きだよ?」
「ち、ちがいます! いじめてほしいとかじゃなくて……そう、訓練! 訓練がしたいんです!」
「このまえは絵夢が頼むから仕方なく鎖で逆さ吊りにして用水路に沈めてあげたけど、ああいうのは訓練って言わないよ?」
「た、たのんでません、そんなこと!」
「その前は指の爪を剥がしてくださいって頼んできたよね?」
「たのんでませんよ!?」

 どちらの言ってることが正しいかは不明だが、ここで思いついたように明日羽が手を叩いた。
「そんなに訓練がしたいの? じゃあ絵夢と『訓練』してくれる人を集めればいいよね?」
「私の訓練に先輩以上の相手なんていません!」
「そんなことないよ? 学園には私より怖い子もいるからね?」
「そ、それは楽しみ……いえ、怖いですね……」
「費用は私が出してあげるね? 依頼書の文面はこんな感じでいい?」
 明日羽はニッコリ微笑むと、慣れた手つきで『依頼内容』を書きはじめるのだった。
 その文面を見て、絵夢は満足げに頷いたという。




リプレイ本文




 その日、戦闘訓練という名目のもと10人の撃退士が集まった。
 だが実際、これをただの訓練だと信じてる者は一人もいない。
 参加メンバーを眺める明日羽の瞳も、どこか期待感に満ちている。


「今回はよろしく。あたいは神無月茜(jc2230)という」
 まず一番手として、茜がポキポキ指を鳴らした。
 参加者では唯一のルーキーなので、様子見も兼ねてだ。
 逆に言えば茜の攻撃に耐えられないようだと、絵夢は死ぬ。
「はい! どこからでもどうぞ!」
 素手のまま仁王立ちになる絵夢。
「よぉし、マジで行くぜ」
 そう言うと、茜は拳を握って呼吸を整えだした。
「フゥーーーー、ハァーーーー」
 空手の『息吹』だ。
 一瞬のリラックス。
 次の瞬間、殺気とともに茜が殴りかかった。
 そのまま拳で……と見せかけて顔面へ頭突き。
「あが……っ!?」
 絵夢が鼻血を出すのと同時に、茜の手刀が喉仏に刺さった。
 続いて顎へのアッパーカット。
 頬に肘鉄。
 よろめいた絵夢の首を押さえ、顔面へ膝蹴り。
 さらに鳩尾を爪先で貫き、下腹部へ回し蹴りを叩きこむ。
 一発ごとにバキッグシャッと良い音がして、絵夢の鼻や口から血が飛び散った。
 しかも倒れそうになったところを拳で突き上げて、倒れることを許さない。
「おらおらおらおらおらー! ヒャッハー!」
 両目を血走らせ、歯を剥き出して、鬼のごとき表情で殴りつづける茜。
 だが殴った衝撃を逃がさないよう足の甲を踏んで打撃するなど、地味に冷静だ。
 絵夢が倒れそうになると反対側から殴るという技術もある。
 倒れたくても倒れられないので、完全なサンドバッグ状態の絵夢。どこかの世界の『煉獄』に似ている。
 合計5分間、茜は全力で殺意をこめて打ちきった。
 最後は倒れた絵夢だが、ヒール一発で回復。真性マゾおそるべし!
「ふう……まだまだ未熟ということか」
「そんなことありません! いい稽古でした!」



「これが『訓練』ねぇ……そう言いつつ本当は虐めてほしいだけだよね、子豚ちゃん?」
 ニコリと絵夢に微笑みかけたのは、鴉乃宮歌音(ja0427)
 今日は女王様プレイなので、得意の女装姿だ。
「いいえ、これは立派な訓練です!」
 言い張る絵夢だが、誰でも嘘とわかる。
「にしても……誰に殴られてもいいとかホント畜生よねぇ。自分が気持ちよくなるだけでは訓練と言えないよ? 最終的に相手を気持ちよくさせなければねぇ?」
 歌音は絵夢に顔を寄せて壁ドンしつつ、顎をクイッと持ち上げた。
 口調は丁寧だが物腰は完全なSだ。
「いいかい? これが『訓練』なら、ちゃんと動くんだよ? 立ち止まって攻撃を受けてるだけじゃ壁と変わらない。うまく回避できるようになればタンクとしての仕事も向上する。……ただ私の攻撃力はあまり高くないから、絵夢の希望には沿えないかもな。まぁ命中率はあるから的確に狙っていこうか」
「はい! おねがいします!」
「というわけで……武器はどれがいい? 火炎に電撃、拘束、刺突。鞭もアリだよね」
「一番痛いやつで!」
「本当に変態な子豚ちゃんだねぇ……じゃあ始めようか」
 歌音の髪芝居が、絵夢を縛り上げた。
 と同時に鞭が尻を叩く。
「ひぁぁっ!」
「違う、そうじゃない。豚の鳴き声はわかるよね?」
「ぶ、ぶひいいい!」
「そうそう、うまいじゃないか」
 次に歌音は『幻視融解』を絵夢の尻に命中させた。
 黄土色のスライムのようなアウルが、その箇所の服を溶かす。
 露わになった白肌へ、すかさずワイヤースタンガン。
「ぶひぃっ♪」
「おや、傷がついてしまった。消毒してあげよう」
 絵夢の頭から、ウォッカがドボドボかけられた。
 精神的にいたぶる作戦だ。これは絵夢にも明日羽にも高評価!



 そんな参加者の活躍を眺めながら、秋姫・フローズン(jb1390)は柔軟で体を温めていた。
 身につけているのは、動きやすい戦闘服。
「あまり動きすぎて……疲れないように……な」
 自分自身に言うのは、秋姫の別人格・修羅姫だ。
「軽く、ですから……大丈夫ですよ……?」
「以前……『軽く』と言って……5時間も……海を飛んでたのは……誰だろうな?」
 からかうように修羅姫は微笑んだ。
「そ……それは……その……つい楽しくて」
 赤くなって、言いわけ気味に応じる秋姫。
 というところで、彼女たちの出番が回ってきた。
「よろしくお願いします〜」
 ここまでの『訓練』で、絵夢は既に上気していた。着衣もボロボロだ。
「では……行きます」
 秋姫が光纏すると、髪の色が赤く変色した。
 緑火眼発動。ジグザグに走りながら弓矢を構え、絵夢の左右を囲むように矢を放つ。
「今回は、ビル風が……ありませんので……自力でです」
 絵夢は一応回避するフリをしながら、矢をすべて体で受け止める。
「全然たりません!」
「メインは……ここから……です」
 距離をつめると、秋姫は肋骨をヘシ折る勢いで蹴りを繰り出した。
 そしてハイキックと見せかけての踵落とし。
 体勢が崩れた瞬間、絵夢の股間を蹴って上空へ蹴り上げる。
 すかさず秋姫も跳躍し、絵夢の背中に足を乗せて高速回転しながら地面へ激突。
「絶技・螺旋槍」
 秋姫が呟くと、絵夢はヨロヨロ立ち上がった。
「いまの良かったです……特に回転が♪」
「ならば、今度は……妾の番……だ!」
 人格が修羅姫に切り替わり、同じように蹴り上げからの高速回転落下を叩きこんだ。
 ただ今度は後頭部を踏んで顔面から落としている。
「絶技・螺旋槌」
「いい技ありがとうございますぅ〜♪」
 絵夢の鼻血はとどまるところを知らない。



「次はあたいのターンよ! 名案があるから任せて!」
 雪室チルル(ja0220)は自信満々だった。
「ふーん? どんな考え?」と、明日羽。
「言ったら面白くないでしょ。今回あんたの出番はないわよ! こっちへ来なさい、三条!」
「はい!」
 名指しされて、絵夢はチルルの前に立った。
 が──
「あの……空中のアレなんですか?」
「はっ……まさか、あの仕掛けに気付いたというの!?」
 本気で驚くチルル。
 だが、どう見てもクレーンで何か吊ってあるのだ。
 ぶっちゃけると正体は桐箪笥。しかも中身はギッシリズッシリだ。これを落として予想外の死角から奇襲……という策なのだが、こんな大がかりな仕掛けを隠せるはずなかった! チルルちゃん脳筋!
 とはいえ形は見えないようにしてあるので、まさか正体が箪笥とは誰も想像しないだろう。
「ま、まぁいいわ。模擬戦開始よ!」
 というわけで稽古が始まった。
 普通に氷系の技で、絵夢を痛めつけるチルル。
 だが絵夢は頭上が気になって仕方ない。熱湯や硫酸が落ちてくるのかな……と期待しつつ息を荒くさせる。
 そしてタイミングは訪れた。
 絵夢が目標地点に入った瞬間、懐中電灯で視界を奪うチルル。
 と同時に桐箪笥が落下。
 そのカドに、絵夢の足の小指が激突した。
「ッッッ〜〜〜〜!?」
 予想しててもなお予想外すぎた攻撃に、足をおさえて転げまわる絵夢。
「やった! 狙いどおりよ!」
 あまり狙いどおりではないのだが、これはこれで成功か。
 涙目で悶絶する絵夢を見下ろしながら、チルルは得意げに解説する。
「いい? 戦いにおいて最も脅威となる攻撃は何か? 圧倒的な威力の物理攻撃? 無茶苦茶な威力の魔法攻撃? 急所を狙った致命的な一撃? ……否、断じて否! 死角かつ意識外からの一撃こそが最も脅威なのよ! これぞ必殺!」
「さ、最高ですぅ〜♪」
 ともあれ絵夢は満足げだ。



「うぅん……三条さんの希望はわかりますが……さすがに躊躇しますねぇ……」
 この期に及んで弱気なことを言いだしたのは、月乃宮恋音(jb1221)
 そこへ明日羽が口をはさむ。
「今回もこれが必要?」
 前回同様、強力な作用の薬物を飲ませる明日羽。
 これは金平糖用の蜜を加工した物で(略
「うぅ……頭がぁ……」
 瞬時に豹変すると、恋音は色情魔のドSと化してセルフエンチャントを発動させた。
 魔法攻撃力は978! これなら絵夢の魔法防御も抜ける!
「では、行きますよぉ……?」
 恋音が萬川集海を開くと、死者の腕のようなものが飛び出した。
 その腕が絵夢の頬をはたき、全身を強く揉み絞める。
「これ凄くイイですう……もっとお……♪」
「うふ……次はこういうの、いかがですかぁ……?」
 異界の呼び手が絵夢の手足を拘束した。
 そして「そういえばぁ……三条さんは、あまり使ったことないですよねぇ……?」と耳元で囁きながら、各種薬品を投与する。
 肥満化したり幼児化したり、めまぐるしく体型が変化してしまう絵夢。
 肉体的ダメージはないが、羞恥心を煽る……もとい鍛える訓練だ!
 が、じきに恋音は正気に戻ってしまった。このところ薬を乱用しすぎかもしれない。
「うぅ……私は何を……記憶がないのですよぉ……」
 と言っても、全身ピンク色になった絵夢の状態を見れば一目瞭然だ。
「これは……私がやってしまったようですねぇ……申しわけありませんん……。おわびとして、私も絵夢さんと同じ苦痛を受けますよぉ……」
 恋音は『おわび』と称してるが、単なる趣味である。



「さて私の番ですね! 恋音も愛の一撃を御所望ですし、二人まとめて面倒見ましょう!」
 名乗り出たのは袋井雅人(jb1469)だ。
「今回は少しでもダメージが届くよう、御主人様サイドとして全力を尽くします! 恋音のアドバイスを参考に、装備を調整して物理攻撃魔法攻撃とも350に揃えてきました。それでは行きますよ! まずは恋音から贈られた魔具・右文左武で普通に攻撃です!」
 そう言うと、雅人は右手に魔法攻撃を、左手に物理攻撃を発動させて握りこんだ。
 そして左右の拳をガシッと組み合わせ、物理と魔法をフュージョン!
 350+350で合計攻撃力は700だ! コメディ以外じゃ不可能だが、ここまでやっても恋音のほうが攻撃力高い!
「行きますよ、これぞ究極攻撃! メ●ローアとかヘ●アンドヘブンをご想像ください!」
 ドゴオオン!
 正面から喰らって吹っ飛ぶ、絵夢と恋音。
 まさか自分の上げた魔具で殴られるとは、恋音も予想しなかっただろう。
「では次です! グローリアカエルでCRをさらに下げて攻撃しますよ! アスヴァンの絵夢さんには効果絶大のはずです!」
「はい! 来てください!」
 絵夢は立ち上がってヒールをかけた。
 そこへ恋音が耳打ちする。
「あのぉ……少し抵抗したほうが、相手は思い切り責めてくれますよぉ……?」
「そうですか、ためしてみます」
 助言を受けて、雅人の攻撃にカウンターのレイジングアタックを入れてしまう絵夢。
 バキイイッ!
「アバーッ!?」
 予想外のCR差8攻撃を受けて、雅人は沈んだ。
「………」
 唖然として状況を見つめる絵夢。
「す、すみません……迂闊な助言だったようですぅ……」
 恋音は謝るばかりだ。



「最近ちょっとサボり気味だったし、負け癖もついてるからなぁ……あれ、前回の戦いって……うっ、あたまが」
 恵夢・S・インファネス(ja8446)は、3ヶ月前の依頼を思い出して頭をかかえた。
 あまりに衝撃的な内容だったため記憶はほとんどないが、明日羽や恋音を見て少し思い出すことに成功。思い出さなければ良かったと後悔した。
「ここは気分を切り替えないと……。一応マジメな訓練だし! 気合入れていこう、ふんっ!」
「恵夢ちゃん久しぶりだね?」
 明日羽が背後から近付いて、恵夢の耳を噛んだ。
「はう……っ!? わ、私は何も覚えてないから! あの夜のことは忘れたから!」
「え? 私の命令なんでも聞くって約束したよね?」
「そ、そんな約束! たしかに覚えがあるけど!」
「じゃあ協力してくれるね?」
「……わかった、女に二言はない。8446号実験体として……明日羽様万歳!」
「じゃあ早速エムをひん剥いて、いじめてあげて?」
「了解! くらえ、全力跳躍肉弾ハンマー!」
 恵夢は光纏すると、一気に絵夢の前へ。
「ちがうよ? ひん剥くのは恵夢ちゃん、あなた自身のほうだからね?」
「ちょ……!?」
「言うこと聞くんでしょ? あと絵夢をいじめるときはコレ使ってね?」
 明日羽が笑顔で取り出したのは、大人な玩具だった。
「ちょ! ま!」
「言うこと聞けないなら、恵夢ちゃんをいじめる依頼に変えるよ?」
「お、おにちく!」
「約束守れない悪い子は、お仕置きが必要だよね?」
「わかった……もう、えむこは迷わない! これは依頼だから! 依頼だから!」
 頭がオーバーヒートして『わるいえむこ(悪魔スタイル)』に変身した恵夢は、自ら脱衣して絵夢へ襲いかかった。
「ひにゃあああ……♪」
 絵夢がどんな目に遭ったかなど書けるわけない!



「きゃはァ、良い子ねェ……今日は色々実験させてもらうわァ♪」
 ここでラスボス黒百合(ja0422)が登場。
 絵夢は全身ローションまみれ血まみれで死にかけてるが、みんなの回復スキルでどうにか元通りに。
 ただし制服は戻ってないよ! ズタボロ半裸状態だよ!
「はぁはぁ……よろしくおねがいします」
「じゃァまずは、軽く耐久実験ねェ♪」
 黒百合はロンゴミニアトLV20をスラスター全開で、絵夢の後頭部へ叩きこんだ。
「ンごふっ!」
 ギャグ漫画みたいに目を飛び出させて宙を舞う絵夢。
「思ったより頑丈ねェ。それじゃ遠慮なく、新技の実験開始よォ♪」
 ニヤリ微笑むと、黒百合は封砲をブッ放した。
 悶絶中の絵夢は背中に喰らって再び吹っ飛ぶ。
 そこへ高速接近し、ドリル尻尾を繰り出す黒百合。自分の体ごと貫く形での奇襲だ。
 続いて、倒れた絵夢の上から同様に尻尾ライフルを浴びせる。並みの撃退士なら死亡判定だ。
「使用感は悪くないわねェ……ところで生きてるゥ?」
「死にそうですう……もっとくださいぃ♪」
 ボロ雑巾みたいになりつつ懇願する絵夢。
「本当に死んでも知らないわよォ♪」
 黒百合の対戦車ロケットが火を噴き、高性能爆薬をチェーンで連ねた武器が絵夢の全身に巻きつけられて爆発した。
 どこかの機動兵器みたいな戦いぶりだが、まだ絵夢は生きている。『神の兵士』の力だ。

「こうなったらァ……最後の手段ねェ♪」
 黒百合が運んできたのは『ファラリスの雄牛』だった。悪名高い拷問器具である。
 ここで拷問の鬼雅人が一言。
「それはいけません! 死んでしまいます!」
「私は平気です! 是非その中に!」
 必死で訴える絵夢。
 そこで今度は明日羽が一言。
「恋音も一緒に入るよね? おわびするんでしょ?」
「え、えとぉぉ……!? これは明らかに殺人器具ですよねぇぇ……!?」
「うまく火加減すれば大丈夫だよ? 黒百合ちゃんと袋井君も、そう思うでしょ?」
「もちろんよォ。訓練された撃退士は、これぐらいじゃ死なないわァ♪」
 死んだら事故よねェ、と小声で呟く黒百合。
「わかりました! ならば私が責任持って焼き上げましょう!」
 雅人が力強く頷いた。


 こうして、絵夢と恋音は雄牛の拷問にかけられた。
 その残虐な光景に、明日羽は大層ご満悦だったという。





依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 妖艶なる三変化!・恵夢・S・インファネス(ja8446)
重体: −
面白かった!:4人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
妖艶なる三変化!・
恵夢・S・インファネス(ja8446)

卒業 女 ルインズブレイド
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
微笑みに幸せ咲かせて・
秋姫・フローズン(jb1390)

大学部6年88組 女 インフィルトレイター
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
魔法(物理)少女★あかね・
神無月茜(jc2230)

高等部3年29組 女 阿修羅