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マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/05/05


みんなの思い出



オープニング


 とある日曜日の午後。
 郊外のサーキット場で、BMXのレース大会が開催されていた。
 小学生以下限定のジュニアレースだが、会場の空気は熱い。
 それもそのはず。この大会の上位入賞者には、日本一の座をかけたレースへの出場権が与えられるのだ。

「よーし、次の次が俺の番だな」
 鋭い眼光を走らせながらヘルメットをかぶりなおしたのは、小学4年生の鐘持猛。
 入賞を期待される実力者であり、名前どおりの闘志と勇気を持つ少年だ。
「がんばって兄ちゃん。ぼくのぶんもね」
 応じたのは、弟の隼人。
 彼は既にレースを終えており、予選敗退が決まっている。
「まかせとけ。きっちり優勝して、今夜は焼肉パーティーだ」
「えー、焼肉よりラーメンがいいなあ」
「おいおい、ラーメンパーティーとか聞いたことないだろ」
「じゃあ焼肉ラーメンにする?」
「それはアリかもな……。とにかく出番だ。走ってくるぜ」
「いってらっしゃい。ケガには気をつけてね」
「おう!」
 猛は自慢のBMXにまたがると、スタート地点へ向かった。

 そしてレース開始。
 スタートと同時に、5台のモトクロスが一斉に走りだす。
 実力差を見せつけるように、猛は一瞬で先頭に立った。
 歓声が沸き、サーキットには土煙が舞い上がる。
 観衆のほとんどは、出場する子供たちの保護者や運営スタッフだ。もちろん子供たち自身も観戦している。

 そんな中。異様な風体の人物がレースを眺めていた。
 ショッキングピンクの超絶甘ロリファッションに、フリル満載の真っ白な日傘。
 蜂蜜色の髪は地面に引きずりそうなほどで、おそろしく気合いの入ったアイメイクはこの世のものと思えない。ちなみに外見年齢は確実に40過ぎだ。痛々しいにもほどがある。このファッションはもはや犯罪と言って良い。存在自体が迷惑防止条例違反だ。
 当然のごとく、半径10m以内には誰も近寄らない。まるで彼女の貸し切り状態。プライベートラウンジだ。
 彼女の名は、フランボワ・ミルク。見てのとおり(?)魔界の住人である。
 もちろん魔界の眷属なので、彼女がすることはひとつだ。できるだけ質の高い子供を選んで、その魂を抜き取る──すなわち写真におさめるのだ!

「ああ、いつ見てもいいものねぇ……さわやかな汗をかく子供たちって。いっそ食べちゃいたいぐらい。……けれど駄目よフランボワ。食べてしまったらそこでおしまい。でもこうやって写真にしておけば、いつでも楽しむことができるの……♪」
 まわりの誰もに聞こえる声で呟きながら、シャッターを切りまくる魔女。
 この時点で、「まさか天魔では……?」「いやただの腐ったオバサンだろ」「どちらにせよ迷惑ですな……」みたいなヒソヒソ話が、周囲に広がる。

 その様子を見て、ひとりの少女が近付いてきた。
 久遠ヶ原学園中等部・三条絵夢。
 黒い髪の似合う、見るからに清楚なお嬢様風だ。
 今日は警備員として会場に来ていたのである。
 彼女はひとつ咳払いすると、おもむろに『異界認識』を発動させた。
 が……正体を見破ることができない!

(これはただの変態腐女子……? それとも高レベルの天魔?)
 とまどう絵夢。
 相手が人間だった場合のことを考えれば、『あなたは天魔ですか?』などと失礼なことを訊くわけにもいかない。
 実際問題、とくに暴れるでもなく慎重に(?)正体を隠して行動する天魔の正体を見破るのは容易ではない。ためしにダメージの入らないスキルで攻撃するとしても、もし一般人だったらクレーム確実だ。

「うふふ……かわいい撃退士さん、もしかして私のことを天魔だと思ってるのかしら?」
 フランボワは笑顔で問いかけた。
 絵夢は曖昧にうなずいて言う。
「ええと、失礼ですが……身分証を見せてください」
「そんなもの持ってないわ。それに持ってたとしても偽造かもしれないじゃない?」
「とりあえず保護者の方々が気味悪がって……いえ迷惑しているので、撮影はご遠慮ください」
「あら残念ねぇ……じゃあかわりに、あなたが被写体になってくれる?」

 言うが早いか、フランボワのスカートの裾から『ダークハンド』みたいなものが無数に飛び出した。
 とっさに防御姿勢をとる絵夢だが、あっというまに捕らえられて宙吊りにされてしまう。
「ああ、素敵……いいわぁ、あなた。とてもそそる体つき……」
 うっとり顔で呟きながら、獲物を激写しまくるフランボワ。
「ンンン〜〜〜〜〜〜ッッ!?」
 なにか言おうにも、絵夢の口は黒い手にふさがされていた。

「うわぁぁー、やっぱり天魔だぁぁ!」
「いやあああ! 変態の天魔よおおお!」
「倫理規定! 倫理規定!」
「撃退士を呼べ! 久遠ヶ原を呼べ!」
「その撃退士が真っ先に捕まって撮影されてる!」
「使えねええええ!」

 口々に叫びながら逃げまどう人々。
 たちまちレース会場は大パニックだ。
 だが、ただひとり鐘持猛は人波に逆らってBMXを走らせた。
 彼の夢はモトクロスのチャンピオンになること……ではなく、撃退士になることなのだ。彼は色々と勉強して知っている。アウルが覚醒するのは、天魔に襲われたときなど命の危機に陥った瞬間が多いのだと。
 ならば逃げられない……と、猛は腐った魔女めがけて一直線に突撃していった。
 もちろん一般人の彼が天魔と戦えば、一瞬で殺されるだろう。都合よくアウルに目覚めるほど世の中あまくもない。
 はたして少年の運命やいかに!




リプレイ本文




 一番手で現場に駆けつけたのは、月乃宮恋音(jb1221)だった。
 というのも彼女は、絵夢と一緒に会場の警備をしていたのだ。
 隣にいるのは由利百合華。恋音と同じく、おとなしそうな顔してメチャ強い巨乳娘である。
「えとぉ……二人を解放してもらえませんかぁ……? とくに男の子のほうは一般人ですから……このままだと、あなたを撃退するしかありませんよぉ……?」
 わりと強気に出る恋音。
 彼女の前には恐ろしい甘ロリ衣装のBBA型天魔が立ち、闇の腕で猛と絵夢を宙吊りにしている。
「イヤよぉ、こんなカワイイ子を離すなんてぇ」
「では、私が身代わりになりますぅ……男の子だけでも、解放しませんかぁ……?
 交渉しつつ恋音は、「隙を見て猛君を救出してください」と百合華に耳打ちした。
「ああ……なんてけなげな自己犠牲。最高よ、あなた」
 フランボワのスカートから無数の『腕』が伸びて、恋音を拘束した。
 同時に百合華も束縛され、たちまち宙吊りに。
「こ、こんなことをしたら、ただではすみませ……ンごふっ!?」
 黒い腕が恋音の口につっこまれた。
 なんとか逃れようとするも、身動きひとつできない。
「たまには趣向を変えて、こういう子もいいわぁ♪」
 恋音の真下からシャッターを切るフランボワ。
「ンンンン〜〜〜ッッ!?」
 見通しの甘さを後悔しつつ、恋音は恥辱に悶えるしかなかった。
 でも嬉しそうなのは何故だろう。

「ふおおおおっ! これは素晴らしい!」
 奇声をあげて走ってきたのは、ブリーフ一丁で女性用パンツをかぶった袋井雅人(jb1469)
 今日は初手からアクセル全開! 謎の(?)ラブコメ仮面で登場だ!
「素敵な衣装ね。あなたも撃退士?」
「ええ。ですが撮影会の邪魔をする気はありません。むしろ協力させてください!」
「天魔に肩を貸していいの?」
「もちろんです、マドモアゼル。ところで私も撮影していいですか?」
「大歓迎よ」
 こうして変態2名による緊縛撮影会が始まった。
「絵夢さん、百合華さん、今日も素晴らしいですねー。恋音も凄くいい表情ですよー」
 AV監督みたいなことを口走りながら、デジカメを向ける雅人。
 ただ一応念のため、猛へのフォローは忘れない。
「猛君、気をしっかり持って! これもヒーローになるための試練ですよ!」
 だがあまりの衝撃で、猛は気絶していた。
 大体こんなパンツかぶった男に応援されても……。

「う、う〜ん……? なにか予想以上に異様な光景が……?」
 深森木葉(jb1711)が到着したとき、そこには依頼書で書かれていた以上の意味不明な状況が繰り広げられていた。
 闇の手で緊縛宙吊りにされた美少女撃退士3名。および一般人の少年1名。
 それを撮影する、甘ロリBBAとパンツ男。
 これを異様と言わずして、なんと言うのか。
「と、とにかく……まずは一般人のお子さまを救出しないと……」
 正しい判断をして木葉は出ていった。
 しかし次の彼女の行動はというと……
「そこまでです、天魔のおばちゃ……いえ、お姉さん!」
「あら、またカワイイ子が♪」
「とりあえず一般人の子を離してください。かわりにあたしが人質になりますよぉ。抵抗しないので好きにしてください。お写真の撮影ですよねぇ……? どうぞ自由にお撮りくださいませぇ……」
「じゃあ早速♪」
 闇の腕が木葉の足首をつかんで、逆さ吊りにした。
「はわわぁ……っ!?」
 袴の裾をおさえて、パンチラ(パンモロ?)を防ぐ木葉。
「こ、こんな恥ずかしいポーズは困りますよぉ……(ぐすんっ」
 その泣き顔に、すかさずフランボワと雅人のカメラが向けられる。

「最近暖かくなってきましたからね……変態が湧く季節ですか」
 現場を見て、雫(ja1894)は呆れ気味に呟いた。
「失礼な! だれが変態だというんですか!」
 雅人はもう完全に天魔側の一員だ。
「ツッコミをいれるのも面倒ですね。ともかく、そちらの特殊な性癖の女性陣は別として、少年は完全に気絶してるので解放しなさい。応じるなら、姿だけでなく声も記録できる便利な機械の使いかたを教授しますよ」
「な、なにそれ!」
「だまされてはいけません、マドモアゼル! そんなもの私が教えます!」
 話に乗りかけたフランボワを、雅人が止めた。
「あの、邪魔しないでくれますか?」と、雫。
「邪魔などしてません! 私はただ恋音たちのあられもない姿を撮影したいだけです!」
「…………」
 ダメだこいつ早く殺さないと……みたいな目で、雫は雅人を見つめた。
「わかりました。この場は私が身代わりになります。ですから、その少年だけは解放しなさい」
 こんなときのため、雫は帽子で髪を隠して男装していた。
 フランボワは両刀使いだが、男子のほうが評価は高い。
「あなたみたいな男の子、超ストライクよ♪」
「はぁ……我ながら背が低く胸がないせいで違和感ゼロですね……自分で言ってて悲しくなってきました」
 などと言ってる間に、雫も宙吊りにされてしまうのだった。
 身代わり希望の人大杉ィ!

「よーし! ラーメンパーリーだっ!」
 この無茶苦茶な状況に、佐藤としお(ja2489)は何か盛大に勘違いしつつ岡持をひっさげて現れた。
「ラーメンパーリー? なにそれ」
 フランボワが首をかしげる。
「なに、ラーメンパーリーを知らないだと? よーし、わかった、やってやろうじゃないか! いーか、そもそもパーリーなんてもんは皆でワイワイキャッキャすればいーんだよ! そこに鍋があれば鍋パ、焼肉なら肉パ、なんでもパーリーナイッ!」
 岡持をさげたまま、無駄に光纏してサタデーナイトフィーバーみたいなポーズを決めるとしお。
「あの男は何なの?」
 フランボワが雅人に問いかけた。
「彼は久遠ヶ原の誇るラーメン王です」
「つまり、ただの変人ね?」
「イグザクトリィ! そのとおりです!」
 この二人に変人認定されるようじゃ、としおも相当だ。
 一体いつからこんな……最初からか……。
「え、ちょっと待て。これはラーメンパーリーじゃないのか? ……って、よく見れば、見知った連中が触手めいたものに捕まってるな……。ん? じゃあ助けなきゃダメじゃん!」
「待ってください。私たちは撮影会をしてるだけです」と、雅人。
「それならまぁ……でも一般人の子はダメだ。そこの派手なババ……もとい素敵なマダム、少年だけでも解放しろ!」
「イヤよ。私はカワイイ子(の写真)でハーレムを作るんだから」
「そんなに子供に囲まれたいなら……どうだい、俺と一緒にラーメン作らないか? うまいラーメン食わせりゃ子供なんかいくらでも寄ってくるぜ。おまけに感謝までされる。悪くない話だろ?」
「おいしいもので子供を釣るのは名案ね。でもそれとこれとは別よ。獲物は離さないわ」
「ちっ。ならば俺様のラーメン神拳が……」

「ちょっと待ってェ……武力制圧は最後の手段よォ?」
 黒百合(ja0422)が出てきて、としおを止めた。
「そこの天魔さん、ちょっとお話いいですかァ……? あなたの目的は子供たちの撮影と考えて間違いありませんねェ?」
「ええ」
「でしたら、その行動は悪手ですよォ? 撮影だけでも、周囲に迷惑をかければ討伐対象になりますしィ……いくらあなたが強くても、撮影を妨害されたり、撃退士に狙われるのはイヤですよねェ?」
「それはそうね」
「そこで、この用紙の出番ですよォ」
 黒百合が取り出したのは、斡旋所の依頼申請書だった。
「この紙に『子供限定で撮影会をおこないたい。報酬ははずみます』とでも書けば、正式な依頼として子供を撮影できるわァ。コスプレもポーズも、自由自在ですしィ……ほら、こんな具合にィ♪」
 スケッチを発動して、そんな撮影会の図を描いてみせる黒百合。
「それはいいわね」
「すくなくとも今束縛されてる子たちは、依頼に参加してくれるはずですしィ♪」
 仲間を勝手に交渉材料として利用する黒百合だが、そこで雅人ふたたび。
「待ってください、マドモアゼル! 魔界の住民が依頼を出すのは危険です!」
「そうなの?」
「だまされてはいけません。いまはこの撮影会に集中ですよ!」
 雅人をどうにかしないと撮影会は止められそうにない。

「ええと、こんにちは。ここまで黙って見てたんだけど、僕からも話していいかな?」
 飄々とした物腰で、狩野峰雪(ja0345)が問いかけた。
「なぁに? オジサンには興味ないわよ?」
「うん。それはわかってる。ところで、あなたの名前を教えてもらっても?」
「私はフランボワ。魔界の女王よ」
「フランボワさんね、よろしく。僕は狩野。不思議なんだけど、どうして人の命を奪わず写真で済ませてるのかな」
「子供を殺すなんてイヤよ。むやみに人を殺して撃退士に狙われるのもゴメンね」
「なるほど。でも写真撮影だって、保護者が迷惑と感じたら討伐依頼を出されるかもしれないよ? そこで提案だけど、写真なんか撮らないで目や記憶に焼きつける、とかではダメかなぁ。もしくは保護者がいない子を選ぶとか」
「保護者がいない子?」
「いわゆる『合法ロリ』だよ。そういうお店ならおたがい合意の上だし、だれにも邪魔されない」
「詳しく聞かせてくれる?」
「いいとも。でもその前に、少年だけでも解放してくれないかな。彼は一般人だ、このままでは死んでしまう。そうなったら僕らも本気で戦わなければならない。それは避けたいだろう?」
「……わかった、男の子だけ解放するわ。だから合法ロリとかいうのを詳しく!」
 フランボワが峰雪の胸倉をつかんだ。
 と同時に猛は解放されて地面に落ち、黒百合が『ランカー』で素早く回収する。

 そのタイミングで、美少女レスラー桜庭愛(jc1977)が颯爽と登場した。
「人質を解放しましたね! ならばそこまでです! 覚悟してください、熟女レスラーさん!」
 腰まである黒髪をなびかせて、目にも鮮やかなブルーのリングコスチュームをきらめかせる愛。
「あら、素敵な子♪」
「あなたに恨みはありませんが、それ以上の迷惑行為をするなら『路上アウルプロレス』やむなしです! ……というか、束縛されてる皆さん! 撃退士ともあろう者が敵の虜囚となるとは何事ですか! 鍛錬がなってません!」
 雫や恋音に向かって『鍛錬がなってない』とは物凄い発言だが、コメディでは仕方ない。そもそもまったく戦闘してないけどな、この人たち。
「では、そんな皆さんに『アウルプロレス』の強さと素晴らしさを教えましょう」
 そう言うと、愛はいつもの営業(ナンパ)に取りかかった。
「この技を見れば、あなたがたもアウルプロレスの魅力に取り憑かれるはず。……というわけでアウルプロレス発展のため、熟女レスラーさんにはご退場願いましょうか?」
 凛々しい表情でキリッと向きなおると、愛は腰を落とした。
 そして一気に己のアウルを高め、燃焼させる!
「行きますよ。山に籠もり撃退士を超える力を得た男から伝授された『気』の力……! この一撃が新たな少年の夢の一歩になるように……っ!」
 爆発的に増幅したアウルを右腕に収束させつつ、愛は突進した。
「撮影会の邪魔はさせません!」
 立ちはだかる雅人。
 だが、もはや愛の攻撃は止まらない。
 加速限界を超えて、いま解き放たれる『神気拳』!
「これが私の怒りの一撃、ゴッドブロー! 食らった相手は死ぬ!」
 愛は右腕を振りかぶると、渾身のストレートを放った。
 その瞬間、爆発的に高められたアウルが炎の奔流となって荒れ狂い、雅人とフランボワと……恋音と雫と木葉と百合華と絵夢にぶちこまれた!

 ずどおおおおおおんん!!

 たった一撃で、すべては終わった。
 一般人の人質さえ救出すれば、あとは暴力でOKだ。
 それにしても、恐るべきは神気拳。
 立ち上るキノコ雲をバックに、愛は猛に向かって告げる。
「少年よ……これが、人の極めた力。努力すれば、いつかあなたにもきっとできる」
「それは無理じゃないかな……」
 冷静に峰雪がツッコんだ。
 念のため言っておくが、プロレスでは拳で殴ると反則である。


「これがプロレス……私にもできるかしら……」
 傘を杖代わりにして、フランボワが立ち上がった。
「もちろんです。では入門書にサインを!」
 素敵な営業スマイルでナンパする愛。
「そ、その人は、魔界の住民ですよぉ……!?」
 乱れた服をなおしながら、恋音が止めた。
「プロレスは誰にでも平等です!」
「うぅん……。では、こうしたらどうでしょう……。フランボワさん、久遠ヶ原に入学しませんかぁ……? 初等部に入れば、合法的に子供たちと仲良くできますよぉ……?」
「それはイヤ。私は自由に生きたいの」
「そうですかぁ……少々残念ですねぇ……」

「本当に残念です! でもあなたなら、きっと素敵な写真家になれるはず! ともに変態写真家への道を極めましょう!」
 雅人がフランボワの手をにぎった。
「写真はいいですけど……あまり一般の方に迷惑をかけないように、おねがいしますぅ……」
 懇願する木葉は、全身煤まみれのうえ半泣き状態だ。
 フランボワと雅人が反射的にカメラを向ける。
「ええと……お写真でよければ、呼んでくださればいつでも協力しますので……」
 こんな目に遭ってもなお協力を申し出る木葉。相当なマゾに違いない。

「というわけでェ……子供の写真がほしければ、学園に依頼として出すのがおすすめですよォ?」
 話をまとめるように、黒百合が言った。
「まぁ騒ぎは落ち着いたようですし、約束どおりビデオカメラと望遠レンズの使いかたを教えましょう。透過能力と組み合わせれば、一般人に気付かれることなく盗撮可能です」
 条例違反行為を平然とすすめる雫。


 そんな光景を、猛は呆然と見つめていた。
 魔界の天魔と普通に会話する撃退士たち。一般人の少年には衝撃的な絵だ。
「しかし鐘持君、自分から天魔に向かっていくなんて勇敢だね」
 峰雪が猛の肩に手を置いた。
「でも僕は何もできなかった……」
「まぁ今回のは特殊な天魔だったから、あまり気落ちしないでね。撃退士でもあれは厳しいから」
 うんうんと頷きながら慰める峰雪。
「ええ、本当に……よく頑張りましたね、猛さん」
 恋音がギュッと抱きしめた。
 そのとたん、おっぱいに埋もれて窒息する猛。
「あー、三条さん? 鐘持君にヒールとマインドケアをかけてくれるかな」
 峰雪が真顔で告げた。


「よーし、これにて一件落着! 打ち上げラーメンパーリーだ!」
 としおは何が何でもパーティーする気だった。
 唐突すぎる提案に、一同の視線が集まる。
「いいかい天魔のマダム。それに久遠ヶ原の仲間たち。うまいラーメンを食べれば、みんな笑顔になれる! こんなときのため、俺はいつでもラーメン調理セットを持ち歩いてるんだ! さぁうまいラーメン作ろうぜ! さっきまでの騒ぎはアトラクションとかなんとか誤魔化せば大丈夫!」
 アトラクションにもほどがある……と峰雪が呟いた。
 そしてラーメンパーティーはそのまま実行されたという。




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 天真爛漫!美少女レスラー・桜庭愛(jc1977)
重体: −
面白かった!:6人

Mr.Goombah・
狩野 峰雪(ja0345)

大学部7年5組 男 インフィルトレイター
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
天真爛漫!美少女レスラー・
桜庭愛(jc1977)

卒業 女 阿修羅