放課後の教室。
あつまった学生たちを見て、佐渡乃明日羽は「ふふっ」と笑った。
「ほら百合華、こんなに来てくれたよ? みんな、あなたをいじめたいんだって。たのしみでしょ?」
「全然たのしみじゃありませんんん……!」
答える百合華はメイド服姿で、イスに縛りつけられている。
まるでAVの撮影現場だが、これから行われるのは彼女の額に芋け○ぴを突き刺すというものだ。ある意味、AVよりひどい。いっそ倫理規定を無視して本番を……三千字ぐらい書いて削除しました。残念!
「あらあら。用意のいいこと……。百合華さんておっしゃるの? あなた、おでこに芋け○ぴを刺されたいんですって? 食べ物で遊ぶなんて、いけない子……」
しっとりと、濡れるような声で話しかけたのは江見兎和子(
jb0123)。胸元が大きくあいたワンピースに身をつつむ彼女は、匂い立つような色香を放っている。
「早速やってみます?」
明日羽が何種類もの芋け○ぴを取り出した。固さや太さもさまざまで、中には異様に黒ずんだものや反り返ったものもある。……え? 芋け○ぴの話ですよ?
「せっかくだけど、私も色々と用意してきたの」
兎和子がバッグから取り出してみせたのは、バナナとキュウリ。マジックペン。
いや、それは……。本気でAV撮影に……。さすがの害悪えみたんやで……。
「待って待って! 私が一番にやりたい!」
バッと手をあげたのは、リコリス・ベイヤール(
jb3867)。
小悪魔的な笑顔が素敵な、悪魔少女だ。外見は十歳の小学生。
ちなみに今日集まった中には、七歳の藤沢薊(
ja8947)と、六歳の八塚小萩(
ja0676)もいて、小さな子が多い。こんな依頼を引き受けてしまうとは、じつに将来有望だ。久遠ヶ原学園の未来は明るい。
「ずいぶん意欲の高い人がいるみたい? じゃあやってもらおうかな?」
明日羽が芋け○ぴを手渡した。
選りすぐりの一品だ。市販品の中でも破格の硬度を誇る代物である。
「このままだと強度が足りないと思うんだよね。もっと先っぽを鋭くして、力が一点に集中するようにすれば刺さるんじゃない?」
そう言って、芋け○ぴの先端をナイフで削りはじめるリコリス。
「待つが良い。妾が究極の芋け○ぴを持ってきたのじゃ」
小萩がリコリスを止めた。その手にあるのは、特殊合成樹脂でガチガチに固められた芋け○ぴ。しかも、アイスピックみたいに尖っている。
「こ、これは……」
何人かが息を呑んだ。
なにしろ、その芋け○ぴはもはや完全に凶器。撃退士はともかく一般人ならリアルに死んでしまいそうな代物なのだ。
「うわぁ……。これは本当に刺さるかもしれないね? でも百合華なら耐えられるよね?」
明日羽の問いかけに、百合華はブンブン首を振った。
「大丈夫。ケガしても治してあげるから。ね?」
明日羽は兎和子の持参したマジックペンを手にすると、百合華のおでこに×を記入。
「じゃあみんな。ここを狙ってね?」
「なんだか、かわいそーな気がするぞー」
そんなことを言いだしたのは、ルーガ・スレイアー(
jb2600)。
「よーし。お姉さんが、なるべくイタクナーイ方法をさがすための生贄になってやるのだぞー」
悪魔のくせに、人間よりやさしいルーガなのだぞー。
しかし、そんな彼女を明日羽は生暖かい目で見ている。
「スレイアーさん? この依頼の内容はわかってます?」
「わかってるけど、でも、かわいそーだろー?」
「わかってませんね。かわいそうな目にあわせてほしいんですよ? そのために、お金を払ってるんです。身代わりなんていりませんよ? それとも、百合華と一緒にいじめてほしいんですか?」
「むーん」
腕組みして考えこむルーガ。
数秒後、彼女は決断した。
「よーし。百合華と痛みをわかちあうのだぞー」
「そうですか。それなら大歓迎です。……ふふ。よかったね、百合華。お友達ができたよ?」
「痛いのは何も変わらないじゃありませんかぁぁ……」
そんな次第で、百合華の後ろに新たなイスが置かれ、ルーガが縛りつけられた。
背中あわせに座らされた二人は、押し込み強盗か略取誘拐の被害者みたいなことになっている。どう見ても犯罪現場だ。
「それじゃいくっすよー。覚悟はいいっすか?」
朝倉夜明(
jb0933)はルーガの前に立ち、小萩謹製の『芋け○ぴダガーLv15』を装備した。しかも、片手に四本ずつ。計八本を指にはさんでいる。物理攻撃値は+1200! 神器アドヴェンティをも上回る数値だ! それは嘘だが、+80ぐらいはあるかもしれない、マジで!
ああ、かわいそうなルーガ。よけいなことを言ったばかりに、『<芋け○ぴで刺された>という理由により重体』などという結果をまねくとは……。
「さぁて。イクよ? イッちゃうよ〜?」
リコリスは笑顔を浮かべながら、闇の翼で百合華の頭上に浮いていた。
ばさっと翼をひるがえし、室内をぐるぐる飛びまわりながら彼女は合図する。
「イクよ? 1、2の……」
「「3!」」
リコリスは猛烈なきりもみ飛行から『スパイラルハリケーン・スピントルネードサイクロン・ドリルツイスター芋け○ぴアタック』を繰り出し、同時に夜明も全力疾走からの『百裂滅多刺し』を浴びせていた。
ズドバシュゥゥゥッ!
「「アバーッ!」」
絶叫をあげてのけぞる、百合華とルーガ。
ゴガッと、岩の砕けるような音をたてて、ふたりの後頭部が衝突した。
「「……ッッッ!!」」
痛みのあまり、声も出ない両者。
とりあえず重体にはならなかったようだが、ふたりともおでこからボタボタ血が流れている。
足下には、粉々に砕け散った芋け○ぴ。
「おや、刺さらなかったのう。残念じゃ」と、小萩が言った。
「うーん。察するに、強度が足りないみたいっすね」
夜明は散らばった芋け○ぴを見ながら首をひねった。
いくら合成樹脂で強化したとはいえ、しょせんは芋。一般人ならともかく撃退士のおでこを貫くのは難しい。というか、いまの攻撃を一般人が食らったら即死していた。ダメージで言えば、拳銃で撃たれたのと同じぐらいなのだ。(注:MS独自の判定にもとづくものです)
「痛かった? いま治してあげるからね?」
明日羽は百合華の前髪をかきあげると、出血している箇所を舌で舐め上げた。
一瞬のうちに治癒の魔法が発動し、傷跡は跡形もなく消え失せている。
無駄にエロいが、これが明日羽流の『ヒール』なのだ。
「スレイアーさんも治してあげますね?」
上気した顔で、うっとりと言い放つ明日羽。
さすがにルーガの表情も引きつる。が、イスに拘束された状態では逃げることも抵抗することもできない。
「い、いらないのだぞ!? 自分で回復できるのだぞ!?」
「そう遠慮せず。私の回復のほうが効きますよ?」
そのまま、おでこの純潔を奪われてしまうルーガ。
規定がゆるければ、もっと色々なものを奪われていたに違いない。残念!
「武田式カガクのお時間ですっ!」
眼鏡をクイッとしながら白衣姿で歩み出たのは、武田美月(
ja4394)。
その手には、釘とドライバー、ベニヤ板を持っている。
「見てください。これはネジ釘。このままだと刺さんないけどさ、こうやってグルグルすれば……」
真剣な口調で言いながら、ドライバーをまわす美月。
ギリギリと、ネジ釘がベニヤ板に食い込んでいく。
「ほら刺さった! 不思議だよねー、これをカガク用語で『釘ネジの法則』って言うそうです!」
そんな法則は、世界のどこにもない。
ちなみに去年の進級試験において、美月は理科のテストで530人中443位という抜群の成績をおさめている。理論は完璧だ!
「……で、そこから考えた結果、芋け○ぴにジャイロ回転をかけながらダーツすれば刺さるんじゃないかなぁーって!」
おお! ノーベルしょうかくじつのりろんだ! ずのうしすう10000ぐらいはある!!
「では、ネジ山を刻むとしようかのう」
ただでさえ危険なリーサルウェポンを、さらに凶悪な代物へと魔改造してしまう小萩。
やがて完成したのは、もはや冥魔の王ルシフェルをも殺害可能と思われる、ドリル状の芋け○ぴ!(注:MS独自の主観です。ルシフェルは芋け○ぴでは倒せません。きっと)
その間に美月は、「目に当たったら危ないっしょ?」と言いながら、被験者ふたりにアイマスクを装着させている。おかげで、見た目の犯罪度数はさらにUPだ。まぁ、この芋け○ぴ型凶器ならアイマスクぐらい簡単に貫通すると思うけどな。
「じゃあ弓矢で撃ちますよー? 動かないでくださいねー」
たのしげに笑いながら、薊は矢の先に芋け○ぴを取りつけていた。
クロスボウLv15……ではなく、おもちゃの弓矢だ。が、視界をふさがれた百合華には本物の弓矢と区別できない。
「や、やめてくださいぃぃ……! 死んじゃうよぉぉ……!」
「大丈夫、射撃の腕には、自信あるから」
「やめてぇぇぇ……!」
涙声で訴える百合華だが、無論その程度でやめる参加者はいない。皆そろってドSなのだ。薊も例外ではない。ほんとうに将来が有望だ。
「それじゃイキますよ? せーのーで」
薊の手から矢が放たれ、同時に美月も小天使の翼でグルグル回転しながら突撃していた。自らの肉体をもってジャイロ回転をかけるとは、なんと素晴らしい知能! ずのうしすう10000はダテじゃないぜ! リコリスも同じことしてたけどな!
そして、薊の矢は百合華に、美月の攻撃はルーガに、それぞれ命中!
ズドバシュゥゥゥッ!
「「アバーッ!」」
絶叫をあげてのけぞる、百合華とルーガ。
ゴガッと、岩の砕けるような音。
「「〜〜〜ッッ!!」」
おでこと後頭部から血を流しながら、悶絶する二人。デジャヴのような光景だ。
しかしながら、やはり芋け○ぴは刺さらなかった。
理論的には正しかったはずなのに! 正しかったはずなのに!
「おかしいなぁー。『釘ネジの法則』によれば、絶対確実決定的に突き刺さるはずなのに」と、美月が頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。ずのうしすう10000でも、わからないことはある!
ていうか、刺さってたら殺人犯になっちゃいますよ、美月さん。
「では、そろそろ妾の出番じゃな」
意気揚々と歩み出た小萩は、いきなり百合華の拘束を解きはじめた。
「あら? 勝手に解いたらダメだよ?」と、明日羽が言う。
「こっちへ寝てもらったほうが盛り上がるかと思ってのう。……ほれ、こっちじゃ。この机の上へ仰向けになるが良い」
「イヤですぅぅ……!」
「すなおに従ったほうが身のためじゃぞ?」
「うぅぅ……」
小萩の脅迫にあっさり屈してしまう百合華。
命じられるまま机の上で仰向けになった彼女の手足を、小萩が縛りつけていく。使っているのは、子供用の飛び縄だ。『よりフェチっぽいから』という理由でこの選択をした小萩、かなりの『通』である。
そして、次に取り出したのはボールギャグ。
何故そんなものを持ってるのかと思うが、どうやら知人の女性に借りたらしい。一般的な女性はあまり持ってないと思うのだが……。もしかして今回の参加者の中にいませんか、その人。たとえば兎和子さんとか。江見さんとか。
ともあれ、百合華は完全に両手足を縛られ、口にはボールギャグを噛まされてしまった。
冷静に見ると、かなりの光景だ。
なにしろ、机に縛りつけられたメイド服姿の女子高生である。
しかも、縛りつけたのは六歳の幼女。なんという倒錯プレイ!
「あらあら。はしたない。下着が見えてるわよ……?」
そう言いながら、兎和子が百合華のスカートをめくりあげた。
その気になれば完全にめくってしまうことも可能だが、あくまで見せるのは少しだけ。これがチラリズムの美学というものだ!
「……ッ!?」
抗議しようにも、百合華はまったく声が出せない。
その姿を見て、兎和子の欲情にエンジンがかかりはじめる。
「ふふ……。はしたない子には、おしおきが必要ね……?」
キュウリを手にした兎和子は、その先端で百合華の頬をつついた。
そのまま、ゆっくりと首筋から鎖骨へ。ブラウスの上をなぞりながら、胸のふくらみに触れる。
「ンンーーッ!」
百合華の体が、ビクッと震えた。
兎和子の顔に、恍惚とした笑みが浮かぶ。
その後ろで兎和子の行為を見つめている明日羽も、まったく同じ表情だ。よく似た二人である。
「これこれ。お遊びはほどほどにしておくのじゃ」
この状況を作りだした張本人の小萩は、なぜかアイマスクをつけていた。どう見ても、遊ぶ気満々である。
「ふふ……この状態で、みごとおでこに挿してくれよう」
ドリル芋け○ぴを指につまんだ小萩は、手探りで百合華のおでこを探しはじめた。
「おや。どこじゃ? なにも見えん」
とぼけたことを言いながら、百合華の全身をいじりまくる小萩。
「ンン……ッ。ン……ッ!」
敏感な箇所に小萩の手が触れるたび、百合華はビクンビクンと反応する。
到底ここには書けないが、兎和子を上回るエロさだ。
「ここか? ここじゃな?」
やがて小萩が手を止めたのは、百合華の右目の上だった。
ギラリと尖った凶器の切っ先が、ゆっくりゆっくり眼球に近付いていく。
「ンンーーーーッ!!」
本気で怯える百合華。
無理もない。おでこはともかく、眼球にそんなものが刺されば無事では済まない。もちろん、明日羽の回復魔法でも治せないだろう。
しかし、これは演技だ。
なにも見えないフリをしている小萩。じつはアイマスクの隙間から、ちゃんと周囲が見えている。
「よし、ここじゃ!」
ガバッと芋け○ぴを振りかざし、思いきり突き下ろす小萩!
「ンンンンンンーーーーッッ!!」
グサアッ!
という音は、小萩が言ったものだ。
眼球に刺さる直前で、芋け○ぴは止まっている。
「ンン……ッ。ンンン……ッ」
百合華の瞳は恐怖に震え、涙がぼろぼろ流れていた。口からはよだれを垂れ流し、着衣は乱れきって、ひどいありさまになっている。
「どうじゃ? 満足したかのう?」
得意げに言い放つ小萩は、まさに『ドS幼女』という称号がピッタリだった。
百合華は泣きじゃくりながら首を横に振り、明日羽は陶酔した顔でうなずいている。
「八塚ちゃん、ありがとうね? ここまでやってくれたら、もう言うことないよ。……ねぇ、そう思うでしょ、百合華?」
「ンン……ッ」
「あ、そうか。なにもしゃべれないんだったね?」
明日羽は納得したように言うと、百合華の口からボールギャグをはずし、なんでもないことのように唇へキスした。
「それじゃ、みんなありがとう。もう解散していいよ? それとも見ていく?」
艶然と微笑みながら、明日羽は百合華の襟元に手をのばし、ブラウスのボタンをはずしはじめるのだった。