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マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/02/13


みんなの思い出



オープニング


「ふぅーはははは! 見ろ、ついに! ついに完成したぞ! 究極の成長薬が!!」(コピペ)
 久遠ヶ原学園の片隅にひっそりと建つ研究棟。
 その地下実験室で、ガイキチじみた笑い声をあげる白衣の男がいた。
 彼の名は平等院。撃退士の資格を持ちながら天魔退治や人助けになど目もくれず、己の野望のためにアウルの研究や人体実験ばかり繰り返しているマッドサイエンティストだ。
「ふぅん……? それ前にも言ってたよね? 一字一句まったく同じセリフだよ?」
 冷静に指摘したのは、佐渡乃明日羽。
 これまた撃退士でありながら撃退士らしいことなど一切しない、非人道的・非道徳的・非蔵倫的な女である。

「ふふふ……前回の薬は『実験体の味を損なわないまま巨大化させる』という改良に成功したが、『成長に時間がかかる』という欠点もあった。……が! 今回改良した新・成長薬『養純水V』は違うのだよ!」
「なんだか目薬みたいな名前だけど?」
「この世紀の発明を点眼薬などと一緒にしないでくれたまえ! 佐渡乃君も知ってのとおり、この薬は
「生物を巨大化させるんでしょ? このまえ自分で作ったオマール海老に襲われて病院送りにされたよね?」
「ふ……偉大な実験に犠牲はつきものだ」
「私はおいしくいただいたから、まぁいいけどね?」
「キミがいただいたのはエビ料理でなく………いや、そんな話はどうでもいい。いまはこの新薬の実験台が必要なのだよ。そこで佐渡乃君、キミの力を借りたい」
「そんなの、スーパーで野菜とか買ってくれば済むでしょ? 動物がいいなら生きてるアサリとか?」
「それではバリエーションが少ないだろう? できるかぎり色々な食材で実験したいのだよ。そして何を巨大化させるのが最も効率的なのかを探りたい」
「だったら、そこらへんの野良猫かカラスでも捕まえてくれば?」

 明日羽がもっともなことを言い、平等院はしばし沈黙した。
 尊大な態度で肩をすくめながら、彼は堂々と言う。
「佐渡乃君も知ってのとおり、私は野外活動が得意ではないのだよ。仮に私自身が猫やカラスを捕獲するなら、人型決戦機級のロボットや殺人トラップの数々を用いることになる。そんな手間をかけるよりは、バイト代を出して誰かの手を借りたほうが早い」
「じゃあそうすれば?」
「もちろん、そうするつもりだ。……が、その場合ひとつ懸念がある。重大な懸念だ」
 もったいぶった言いかたをする平等院。
 だが、そんなことは明日羽でなくても即座に予想可能だ。
「ああ、このまえみたいに巨大化した動物に襲われるかもって言うんでしょ?」
「そう、そのとおり! さすが佐渡乃君だ!」
「だったら私じゃなくても、そこらへんの学生に頼めば十分じゃない? 相手はただの動物でしょ? あのエビだって物質透過で一撃だったよね?」
 それを聞いて、平等院はまたしても偉そうに肩をすくめてみせた。

「佐渡乃君らしくもない杜撰な考えだな。いいかね、物質透過には回数制限がある。決して無敵ではない。それに加えて今回の成長薬『養純水V』は……使用した生物をほぼ一瞬で巨大化させる力を持っているのだよ。前回までの薬のように、水槽や畑でのんびり培養する必要がない。これは食料生産という点から見れば爆発的な効率を叩き出すが……場合によっては大惨事を招きかねん。わかるだろう?」
「たしかに危険かもねぇ……?」
「無論なにも危険なことは起きないかもしれん。ただ、いざというときのため佐渡乃君の力を借りたいのだ。すなわち戦闘員、私のボディガードとして!」
「まぁいいけど……私だって無敵じゃないからね? 相手によっては負けるよ? 私はただの人間で透過もできないからね?」
「なにを言う。キミは無敵だろうに。そう思ってなければ、これほど危険な役割は任せられん」
「そう思うのは自由だけど……どうなっても知らないよ?」
「ふ……、私の考えに間違いはない!」

 いつも間違いだらけの平等院だが、この間違いは相当だった。
 ともあれ、こうして今日もよくわからない依頼が斡旋所に舞い込むことに。
 否、『よくわからない』ということもない。ある意味それは、ものすごくわかりやすい依頼だったと言えよう──。




リプレイ本文


 その日。屋外の特設厨房に8人の学生が集まった。
 まずは本件の首謀者、気狂い発明家の平等院。
 その用心棒、真性ドSの佐渡乃明日羽。
 ラーメン大好き佐藤さん、佐藤としお(ja2489)
 怪奇ラッコ男! 鳳静矢(ja3856)
 おっぱい魔王教授、月乃宮恋音(jb1221)
 二重人格料理人、秋姫・フローズン(jb1390)
 変態ラブコメ仮面、袋井雅人(jb1469)
 恋音よりでかい、満月美華(jb6831)
 以上のメンバーで今日も始まるよ! 久遠ヶ原コメディ劇場!


「まずは何を持ってきたか見せてもらおう」
「私は鶏を持ってきました。うまくいけば卵も手に入るかと思いまして」
 平等院が言い、最初に美華が答えた。
 ジャンパースカート姿で、胸に抱えてるのは普通の牝鶏だ。
「卵か。その発想はなかった。いい着眼点だ」
 卵に薬を飲ませることはできないが、これなら巨大化可能だ。

「私は……とれたての……蟹を」
 秋姫はいつものメイド服を身につけて、クーラーボックスを持参していた。
 中には、元気に動きまわるズワイガニが3匹。
「蟹か……私が言うのも何だが、やつらは危険だぞ」
 平等院が警告した。
「大丈夫……名案が……ありますので」
 クールに答える秋姫。
 巨大な蟹といえば久遠ヶ原ではよく見る天魔だが、大丈夫か?

「キュゥ♪」
 ラッコ着ぐるみに身を隠した静矢も、秋姫と同じくクーラーボックス持参。
 中身は、タコ、イカ、アワビ、ウニなど、ラッコの主食ばかりだ。
「どれもうまそうだが、巨大化すると危険な連中だな」
 平等院がクーラーを覗きこんだ。
 すると静矢は、Myホワイトボードにキュキュッと一筆。
『ルインズ最強! ラッコ最強!』
「だといいが」
 アドリブで持ってきたウニが、非常に嫌な予感するぞ!

「えとぉ……私は、豚と牛をつれてきましたぁ……」
 恋音が持ってきたのは、生きたままの肉牛と肉豚だった。
「こいつは直球だな」と平等院。
「おいしい食材を探すのも、目的のひとつと聞きましたのでぇ……まずは基本を、と……」
「しかも神戸牛とイベリコ豚か。うまいに決まってる」
「購入費を負担していただきまして……ありがとうございましたぁ……」

「私が持ってきたのは……ズバリ『流氷の天使』ことクリオネちゃんです!」
 雅人が取り出したのは、瓶詰めにされたクリオネだった。
 かわいらしい姿と裏腹に、恐ろしい捕食シーンで知られる動物だ。
「これは食えるのか?」と、平等院。
「なにを言うんです、立派な貝類ですよ。自然のままだと小さすぎて食材になりませんが、巨大化させればいけると思うんです。見てください、このクリオネちゃん。ちっちゃくて透き通ってて可愛いでしょう?」
「かわいいのに食べるのか?」
「かわいいからこそ食べてしまいたい! そういうものですよ!」
 リアル変態の前には、気狂い発明家も形無しだ。

「僕は今回、食べる専門で逝きます! いや、ネタが浮かばなかったからじゃないよ!?」
 堂々と手ぶらでやってきたのは、ラーメン王としお。
「ええっ! 巨大ラーメンを作るんじゃないんですか!?」
 すかさず雅人がツッこんだ。
「いやまぁ……毎回毎回ラーメンラーメンいってるのもどうかなって……いやほんとだよ!(¬ω¬)」
「「おお……」」
 参加メンバーだけでなく、野次馬までどよめいた。
 としおのラーメン中毒ぶりといったら、学園でもよく知られている。そんな男が、お料理依頼でラーメンを作らないなんて! アカウント乗っ取られたに違いない! さもなければ今までずっと乗っ取られてたのを取り返したか、どちらかだ!


「では養純水Vを配るぞ。慎重に使え」
 平等院の手から、各自に薬が配布された。
「まず手始めに私が」
 一番手を務めたのは美華。
 かかえた牝鶏の嘴に薬瓶を押しつけて……一気に流し込む!

 コケェェーーーッ!

 一瞬で体長5mのモンスターと化した鶏は耳をつんざく怪鳥音を上げて、撃退士たちを聴覚障害に陥れた。
 耳をおさえて倒れた美華は、巨大鶏に蹴られて校外まで飛んで行ってしまう。
「満月先輩……っ!?」
 予想外の展開に、恋音は青ざめた。
 が、すぐさま冷静さを取り戻してライトニング発動。
 さらに雅人のファイアワークスや、としおのバレットパレードがぶちこまれて、巨大鶏はあっというまに焼き鳥と化した。

「これは……恐ろしい薬ですねぇ……」
 こんがりチキンを見下ろして、ふるふると呟く恋音。
「どんな食材も恐れない! ただ食べるのみ! 我々撃退士はフードバトルという戦いでも負けてはならないのだ!」
 としおは無駄に士気が高い。

「次は私の出番ですね! かわいいクリちゃんを大きくしちゃいますよ!」
 流れを無視して、雅人がクリオネの瓶に養純水Vを注ぎ入れた。
 たちまち肥大化するクリ!オネ!
 バシャンと瓶が割れて海水が飛び散り、30cmほどに成長したクリオネが……クリオネちゃんが……

「「………」」

 だれもが無言で地面を見下ろすだけだった。
 ピチピチと海水を跳ね上げるクリオネは、のたうつばかり。
 って、そりゃそうだ。相手はただの天使だし。
「では調理しましょうか。刺身で食べるのは抵抗があるので、アクを抜いて身が白くなるまで火を通してみますね」
 めげない雅人。
 こんなアドリブいつものことだ!


「では……蟹を、調理……します」
 秋姫は俎板の上にズワイガニを乗せた。
 そして薬を使う前に、鋏と脚を切り落とす。
「さばきやすい……ように……先に切断……です……」
 クルクルと出刃包丁を回転させながら、慣れた手つきで蟹をさばく秋姫。
「そういえば……蛸もあったぞ……新鮮な……」と呟いたのは、別人格の修羅姫。
「あれは……いやな予感がするので」
「……なるほどな」
 淡々と蟹の下処理をしながら会話する、秋姫と修羅姫。
 タコというのは静矢の持ってきた食材である。そんなもの巨大化させたらどうなるか大体わかるよね! 料理会で蔵倫発動とか勘弁な!
「さて……いきます……」
 すべての脚と鋏を切断してから、秋姫は薬を手に取った。
 そして動けなくなったズワイガニへ中身をぶっかける。
 するとみるみるうちに蟹は巨大化。一瞬で某道楽の看板サイズに。
 ここで秋姫から修羅姫に中身交代。得物を包丁から双斧に持ち替えて、解体開始!
「久々に……妾がやらせてもらう……ぞ……!』
 硬い甲羅には超発熱&冷却ジェルを使ってヒビを入れ、両手の斧で豪快に蟹をぶち壊してゆく修羅姫。相手は身動きできないので、一方的な解体作業だ。
 とくに鋏が再生したりすることもなく、そのまま綺麗に捌かれてしまう巨大蟹。
 最初から無力化させておけば楽勝に決まってる!


「では……私は肉類を、調理しますよぉ……」
 恋音は豚と牛の解体に取りかかった。
 以前オマール海老の件で『一般人には捌けないのでは?』と気付いたこともあり、どちらも麻酔をかけてある。うまくいけば安全確実に食材を巨大化させたうえ、一般にも流通可能だ。
 が──
 麻酔されていた牛と豚は養純水Vで巨大化した直後、狂ったように突進して恋音を吹っ飛ばしたのであった。
「ぇええええ……っ!?」
 絶叫しながら、美華と同じコースをたどる恋音。
 そこへ雅人が颯爽と登場!
「恋音の仇は私が討ちまァバーッ!」
 出てきたとたん暴れ牛に轢かれて、雅人も校外へホームランされてしまうのであった。


「キュゥ♪」
 そんな騒ぎをまるっと無視して、静矢はクーラーに養純水を注いだ。
 これでイカやタコを巨大化させ、おなかいっぱい食べることを夢見ているのだ。
 が──
 養純水がぶちこまれた瞬間、海産物はトラックサイズに巨大化! クーラーは粉々になり、静矢はアワビに押しつぶされてしまった。
「キュゥ〜!?」
 一発退場かと思いきや、静矢はまだ生きていた。
 そこへ転がってくる、直径5mの殺人ウニ!
「キュゥゥ〜〜!?」
「そうは……させん……ぞ……!」
 蟹の解体を終えた修羅姫が、双斧を構えて立ちふさがった。
 そう、あらゆるトラブルは想定済み。ただのウニごとき相手ではない!

 バコォーーン!

 真正面から跳ね飛ばされて、どこかへ吹っ飛んでしまう修羅姫。
 だが、その犠牲のおかげで静矢はセーフ。
「ここは僕の出番だな。食材軍団め、おとなしく食べられるがいい!」
 としおがガトリング砲をひっさげて光纏した。
 しかし高速回転するウニのトゲが、アウルの弾丸をはじきかえす!
 さらにとしおの背後から、タコやイカの触手が!
「これはまずいか? まさか海鮮食材ごときに重体とか? ……いや重体を恐れていては撃退士ではない! かかってこい!(│Φ;)」

 バコォォーン!
「アバーーッ!」

 フラグどおりキッチリやられるとしお。
 気がつけば、立っているのは明日羽だけだ。
 ちなみに平等院は、描写さえないまま豚に轢かれて死んでいる。
 さらに海産物軍は牛豚ペアと合流し、所せましと暴れまわる。
 無力に吹っ飛ばされる野次馬たち。血の匂いと潮の香りが一面に漂う。


「キュゥゥ……!」
 アワビの下敷きになったまま、静矢は歯軋りした。
 まさか自分のせいで、こんな惨劇になろうとは──
 責任を感じた彼は、最後の手を打つことにした。
 そう、自らも巨大化するのだ!
 たまたま近くに落ちていた養純水Vを握りしめ、静矢はゴクッと一口。
 その瞬間!
 なぜか魔具魔装が全て活性化され、獅子頭をかぶり眼鏡をかけてヒーロースーツを着た謎の巨大ラッコが爆誕降臨! 背中には翼まで生えている!
「キュゥゥーッ!」
 都合よくホワイトボードまで巨大化し、『養純水V、翼をさずける』の文字。
 エナジードリンク『赤べこ』のCMみたいだが、アクセの偽翼だ。飛行能力はない。
「キュワッ!」
 ラコトラマンvs巨大食材の戦いが始まった。
 だが、同サイズになれば撃退士が負けるわけない。
 ウニは一本残らず棘を切断して真っ二つに!
 イカは足を噛み千切って巨大ゲソに!
 タコはハリセンでどついて墨を吐き散らせ!
 アワビはラコトラ超兵器のMy石で粉砕!
 豚と牛は……適当にどうにかしたぜ!
「キュッ……キュキュッキュ、キュウゥゥゥ!」
 その戦いぶりに、拍手と歓声が湧いた。
 冷静に見ると、牛と豚の血や肉片、内臓(モツ)などが散らばって、スプラッタ映画みたいになってるのだが……。
「キュワッ!」
 すべてを倒したラコトラマンは直立不動のポーズをとると、鮮やかに真上へ跳び上がった。
 が、さっきも言ったとおり飛行はできないので、上空から真っ逆さまに墜落。
 ズズゥーン、と地面に激突してしまう静矢であった。
「キュゥゥ〜……」
 数年後、この現場を目撃した映画監督の卵が『劇場版・ラコトラマン対海洋生物』なる映画を撮り大ヒットとなるが……それはまた別の話。




 そんなこんなで、大騒ぎのあと。
 無事もどってきたメンバーたちによって、巨大食材料理が完成した。
 まずは雅人の料理。
「さぁどうぞ。かわいいクリオネちゃんを軽くゆがいたものと、強火で炙ったものを用意しました」
 見た目にはイカや貝の切り身に似てるが、さて──
「うんうん、なんというか微妙な味です」(雅人
「これは……ずばり海水の味!」(としお
「ほとんど味がしませんわ」(美華
「これはないな」(平等院
 よし、次!

「えとぉ……私は、満月先輩と……焼肉を用意しましたぁ……」
 恋音が持ってきたのは、山のような肉だった。
 牛肉だけで300kg、豚と鶏を合わせたら500kg以上ある。
「私は巨大卵でオムレツを作りましたわ」
 美華の持ってきたオムレツも、ゆうに10kgはありそうだ。
 というわけで普通に焼肉パーティー開始。
「焼肉部の名にかけて残しはしません! 全て食べきりますよ! 無理だった場合はお持ち帰りで!」(雅人
「これは……ずばり普通の焼肉!」(としお
「普通だな……、うむ普通だ」(平等院
 どうやら焼肉は好評だ。
 まぁ肉を切って焼いただけだし……。

「ところで恋音は食べないの?」
 明日羽が訊ねた。
 見れば恋音は一口も肉を食べてない。
「うぅん……肉の中に、薬の成分が残っていたら……と、考えますとぉ……」
「自分の料理ぐらい食べようね? 残したら勿体ないでしょ?」
「えとぉ……焼肉部用に、お持ち帰りしようかとぉ……」
「こんなに持って帰れるの?」
「うぅ……では、すこしだけ……」
 おそるおそる牛肉を焼く恋音。
「私も付き合いますわ」
 美華が七輪の上にドサッと肉をのせた。
 どこかの焼肉奉行が見たら発狂しそうな焼きかただ。
「では……いきますよぉ……?」
「覚悟を決めましょう、恋音」
 恋音と美華は、いっせーので焼肉を口に入れた。
 そのとたん、危惧したとおり薬が作用して、恋音の胸部と美華の腹部が膨張!
「思ったとおりでしたぁ……でも、これぐらいならどうにか……」
「ですわね。うまくセーブして食べましょう」
 どうやら即重体は免れたようだ。

 次に運ばれてきたのは秋姫の蟹料理だ。
 まずは冬にピッタリの、海鮮たっぷり蟹鍋。
 七輪でじっくり焼いた、焼き蟹(蟹味噌付き)
 そして蟹肉の淡雪餡かけ炒飯。
 とどめに、蟹と味噌の競演! 蟹の味噌汁!
 まさに絶品蟹づくし。
 じつは本日唯一の手料理だ。
 そこへ静矢の刺身舟盛りが加わって、海鮮祭りが始まる。
 どれも普通においしく、みんな舌鼓を打つばかりだ。
 が──なんにせよ量が多い!

「食べても食べてもなくならない……これは地獄……もとい天国ですね」
 弱音を吐きつつも、雅人は必死に焼肉を食べていた。
「このままだと食べすぎで重体に……いや撃退士はどんな戦いにも負けない!」
 としおも命がけで完食をめざしている。
「キュゥ♪」
 静矢はラッコの姿にもどり、ゲソをもぐもぐ。
「追加の料理……完成……です」
 当然のように蟹料理を持ってくる秋姫。
 このままでは永久に完食できない。
「うぅ……もう限界ですよぉ……」
 半泣き状態の恋音の乳は、すでに行動不能なサイズまで肥大化していた。
「まだよ……まだいけますわ」
 美華は全身膨張しながらも、頑張って食べている。

「胃腸薬持ってたよね? あれ使えばいいんじゃない?」
 明日羽が恋音に問いかけた。
「え、えとぉ……」
「残したら恋音だけ罰ゲームだよ?」
「わ、わかりましたぁ……」
 意を決して特製胃腸薬を飲む恋音。
「私にもくださいな」
 と言って、美華も胃腸薬を飲んだ。
「これでいけるよね? ふたりとも、はいアーン♪」
 間髪入れず、生肉の山を恋音と美華の口に押し込む明日羽。
 そのとたん、ふたりは更に肥大化。肉で喉を詰まらせてしまう。
「「んがんぐ……っ!?」」
 あわてて近くの水を手に取る、恋音と美華。
 だがコップの中身は養純水Vに入れ替えられていた。
 というわけで──

 ずどぉぉぉぉん!×2

 お約束どおり校舎サイズにまで膨張した恋音と美華が、お約束どおり全てを押しつぶした。
 そのあまりの危険性から、養純水Vの開発は即刻打ち切られたという。




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 撃退士・鳳 静矢(ja3856)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
重体: 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
   <焼肉を食べすぎた>という理由により『重体』となる
 チチデカスクジラ・満月 美華(jb6831)
   <焼肉を食べすぎた>という理由により『重体』となる
面白かった!:10人

ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
微笑みに幸せ咲かせて・
秋姫・フローズン(jb1390)

大学部6年88組 女 インフィルトレイター
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
チチデカスクジラ・
満月 美華(jb6831)

卒業 女 ルインズブレイド
撃退士・
シシー・ディディエ(jb7695)

大学部6年298組 女 ディバインナイト