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マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/06/03


みんなの思い出



オープニング


 ここはクラブ棟。焼肉部の部室。
 そのすみっこで、ひとりの少女がウシガエルを串焼きにして食べていた。
 彼女の名はカルーア。コーヒー色の肌が特徴の、少々アタマが残念な子だ。
 こう見えても彼女は天界に属する使徒(シュトラッサー)なのだが、もう本人も忘れてるぐらいなのでわりとどうでもいい設定だったりする。

「ちょっと部長! またカエル食べてるの!?」
 怒鳴りながら部室に乗りこんできたのは、これまたアタマが残念なクノイチ。矢吹亜矢。
 数少ない、焼肉部の部員である。
「カエル、おいしいのです。けろ」
「まぁもともと食用ガエルっていうぐらいだから、おいしいのはわかるけど。焼肉っていったら牛肉でしょ?」
「野生の牛はいないのです。そんなことも知らないですか」
「そういうことじゃなくて! たまには牛肉を買って焼肉らしい焼肉をしたらどうなの!?」
「お金がないのです」
「ったく……。まぁいいわ。見なさい、これを」
 亜矢がスーパーのレジ袋から出して見せたのは、バーベキュー用の牛肉だった。
 それも、かなりの量である。

「ど、どうしたのです!? 万引きしたですか!? 万引きは立派な犯罪なのです!」
「ふつうに買ったのよ!」
「そんなお金、どこにあったのです?」
「ふふふ……昨日、依頼でかなりのボーナスが出てね。それで買ってきたわけ。さぁ部長、今日こそマトモな焼肉やるわよ!」
「ではでは! さっそく焼いて食うのです!」
 いそいそと七輪を持ってくるカルーア。
 それを、亜矢が止めた。

「まぁ待ちなさい。こんな天気のいい日に、薄暗い部室で焼肉なんて馬鹿げてるわ。ここは海に繰り出してバーベキューとしゃれこむべきでしょ」
「う、海は苦手なのです……」
「は? なんでよ」
「カルーアは泳げないのです。ハンマーなのです」
「じゃあ泳げるようになるまで特訓してあげる。そのあとBBQね」
「BBQだけでいいのです。特訓いらないのです」
「あんたねえ……焼肉部の部長ともあろう者がカナヅチだなんて、恥ずかしいと思わないの?」
「焼肉と関係ないのです! そ、そうだ、川に行くのです。河原でBBQなのです」
「ダメよ! 海に行くって決めたんだから! 見なさいよ、この肉のパックを! 『海用』って書いてあるでしょうが!」
「書いてないのです! 川で十分なのです! 部長の言うことを聞きやがれです!」
「あんた、部長らしいこと何もしてないでしょうが!」

 そのとき。
 校内放送のチャイムが鳴り、体育会系のオペレーターが勢いよくしゃべりだした。
「オラァーー! ディアボロが出たぞぉーー! 場所は久遠ヶ原海岸だぁーー! 敵は直径5mのウニ型! ついでに15mのタツノオトシゴ型! ヒマなヤツぁいますぐ集合だぁーー!」

「ちょうどよかった。この依頼うちの部で引き受けるわよ、部長。そのついでにBBQ。……いや、BBQのついでにディアボロ退治ね!」
 勝手に決めて、亜矢は牛肉のパックをレジ袋に詰めもどした。
「カルーア、依頼は受けたことないのです……」
「はァ!? 久遠ヶ原に来てから今まで、なにしてたのよ!」
「それは、そのぉ……」
「まぁいいわ。さっさと行くわよ。報酬だって出るんだから、あんたも文句ないでしょ」
「その『報酬』って、焼肉パーチーできるぐらいもらえるです?」
「あたりまえでしょ。2、3日つづけてパーティーできるわよ」
「それなら引き受けるです!」
 あっさり釣られるカルーア。
 こうして、焼肉部を中心としたメンバーたちがディアボロ退治に向かうことになった。

 そして、そのころ。
 2頭のディアボロが上陸してくる砂浜に、制服姿の女子が立っていた。
 彼女の名は、佐渡乃明日羽。
 手には小型受信機を持ち、耳にはイヤホンをつけている。
 お察しのとおり、焼肉部の部室を盗聴していたのだ。
「さて……今日もたのしませてね、カルーアちゃん? それに、ほかのみんなもね?」




リプレイ本文



 なんか色々あって、砂浜に13人の撃退士が集まった。
 状況が複雑なので、まずは人物紹介だ!


†陽波透次(ja0280)
 天魔出現と聞いて普通に退治にきた。
 道中で焼肉部のことを聞き困惑気味。

†雫(ja1894)
 カルーアを調教するために参加。
 あんまり(っていうか全然)戦う気はない。

†桜花(jb0392)
 海で女の子と遊べると聞いて参加。
 前回は紳士モードだったので、今回は全力で変態プレイだ! 前回も変態だったけどな!

†月乃宮恋音(jb1221)
 焼肉部員として参加。
 道中で魚介類や野菜などを調達済み。

†袋井雅人(jb1469)
 焼肉部の活動をたのしむべく参加した変態。
 海といったらラキスケだ!

†遠石一千風(jb3845)
 ふつうに天魔退治と思い込んで参加した、良家育ちの女子高生。
 水着装備で完全な戦闘態勢だ! 水着で戦闘態勢っておかしいけどな!

†咲魔アコ(jc1188)
 ショッキングピンクのビキニに黒のショートパンツという格好の悪魔。
 メイクはウォータープルーフで海水浴の準備は完璧だ。戦闘する気はない!

†愛須・セラフィーナ(jc1239)
 Pカップの水着姿が眩しい、白人美女。
 外見は規格外だが中身はまともだ!

†カルーア
 焼肉部の部長。
 肉さえ食えれば幸せ。

†矢吹亜矢
 スク水姿のまな板。
 BBQバトルの仕掛け人。

†佐渡乃明日羽
 学園屈指のS。
 天魔を呼び出した張本人。

†由利百合華
 明日羽のペット。
 恋音に誘われて参加。

†三条絵夢
 明日羽のペット2。
 百合華と同じく恋音に誘われた。

 以上13人! 敵は2体!
 これなら楽勝だ!
 では戦闘開始!


「っしゃあ! 今回は海ですよー! なにか変な奴がいますが焼肉部らしくBBQ開始!」
「よくわかってるわね!」
 戦闘開始と同時にBBQ開始したのは、雅人と亜矢。
 もちろんカルーアも仲間だ。
「やっほ、カルーアちゃん!」
 すかさず桜花がダイブした。
「また変態なのです!」
「私は変態じゃないよ! 仮に変態だとしても、変態という名の淑女だよ!」
 桜花の義眼FCSがカルーアを検査して、身長体重3サイズ、昨日の夕飯から現在の尿意にいたるまで、瞬時にデータを取得した。これぞ淑女の鑑!

「ちょっと! 撃退士が天魔そっちのけでBBQ!?」
 一千風が呆れ気味にツッコんだ。
 巨大な敵を前に闘志を高めてたら、いきなりBBQだ。あきれるのも無理はない。
「あら〜、いまから準備ですの〜? じゃあ被害が出ないようにお守りしますわ〜」
 セラフはごく自然に戦闘態勢をとった。
 BBQを止める気はないらしい。
「本当にBBQが始まってる……。ああ、おなかすいてきた……。最近は科学室にお金を吸われて、食事は砂糖と塩と雑草だけだからな……」
 飢えた目で肉を見つめる透次。
 でも部員じゃないから手は出せない。


 そうこうするうちに敵が迫ってきた。
 高速で砂浜を転がってくる巨大ウニ。
 海上から飛来する巨大タツノオトシゴ。
 画面に『WARNING!』の表示が出て、警告音が鳴り響く。

「きたな。両方ともBBQの具にしてやる!」
 桜花は対戦ライフルをかまえると、ウニボロめがけて発砲した。
 が、弾丸はトゲにはじかれてしまう。
「OK! さあこっちへ来い!」
 ウニの注意を引くと、桜花は明日羽の前に立った。
 こうして敵をおびき寄せ、明日羽と戦わせる作戦だ。
 が、その直後。背後から飛んできた鎖が桜花を縛り上げて引きずり倒した。
「な……っ!?」
「あら? 誤爆しちゃった?」
 とぼける明日羽。
 無論わざと当てたのだ。
 そこへ容赦なく迫るウニボロ!
「グワーッ!」
 なす術なく轢かれて、桜花は斃れた。

 つづいてオトシゴが突進してくる。
「ええい、こんなやつ私ひとりで倒してやる!」
 一千風は大剣を抜くと、レーザーの雨をかいくぐって斬りかかった。
 明日羽に頼めば楽勝なのはわかってるが、代償が大きいので避けたいのだ。
 が──飛行できないし、攻撃とどかない!
 あわてて弓矢に持ち替えるも、時おそし。
「グワーッ!」
 レーザーの雨を浴びて、一千風も斃れた。

「あらあら〜。手当てしますので、すこし待ってくださいね〜」
 セラフが駆けつけて、桜花と一千風にライトヒールをかけた。
 まだ経験が少ないので戦力的には今ひとつだが、支援ならできる。
「手当てが終わりました〜。それではまた戦闘がんばってください〜」
 と、良い笑顔で送り出すセラフ。
 ある意味、鬼である。

「これは強敵ですねぇ……。ウニと同士討ちさせますかぁ……?」
 律儀にBBQを手伝いながら、恋音は対策を考えた。
「どうやって?」と、カルビを頬張る亜矢。
「ここに、海の家の看板があります……これをジャンプ台にして……すみませんが亜矢先輩と三条さん、囮になってくれませんかぁ……? うまく敵同士ぶつけられたら、百合華さんの奥義で足止めしましょう。そこへ、私がテラマギカを撃ちますのでぇ……」
「オッケー!」
 亜矢は忍者ヒーローを発動させた。
「轢かれたら痛そう……」
 絵夢はなぜか笑顔だ。
 そして作戦は決行された。
 が──
「グワーッ!」
「キャーッ♪」
 急加速したウニに轢かれる、亜矢と絵夢。
 つづいて看板が踏みつぶされ、猛速度で発射された毒針が恋音と百合華を貫いた。
 しかもこの毒針には、強烈な催淫効果が!
「あぁ……百合華さん……」
「月乃宮さん……」
 からみあって砂浜に倒れこみ、おっぱじめる二人。
 これはもうダメかも。

「こうなれば……カルーア、力を貸して!」
 一度やられた桜花だが、セラフのおかげで戦線復帰!
「どうするのです?」
「奴をやっつけてBBQの材料にできたら、私(の妹)が全財産投げ打って焼肉をごちそうしてくれるよ! だから囮になって! ……ぁ、失敗したらカルーアは私の部屋で一晩おとまりね」
 最後だけ小声で言う桜花。
「焼肉! なら力を貸すです!」
 天魔は食えないので、どう転んでも桜花の勝ちだ。さすが淑女!
 とかなんとか交渉してる間にミサイルが直撃して、桜花は再び斃れた。

「ならば……あの厄介な天魔は私におまかせください!」
 玉ねぎをかじりながら、雅人が前に出た。
 とはいえ生身では勝てる気がしないので、必殺技発動!
「召喚! ちょっとHなイカ天!」
 これぞ雅人の隠し技、イカ天サモニング!
 直後、全長20mの大王イカ型ディアボロが上陸! 撃退士たちを襲いはじめた!
「思い通りには動いてくれませんか……。ならば、いまこそナイトウォーカーの底力を! お見せします! うおおおおっ!」
 雅人は闇渡りを発動すると、オトシゴの胎内にワープして暗黒破砕拳をブッぱなした。
 戦闘依頼なら即死確実だが、焼肉部の活動なら怖くない!
 と言いたいところだが、これは無理すぎた。
「グワーッ!?」
 装甲にはじかれて、レーザーで焼かれる雅人。
 残念! 闇渡りにそんな力はなかった!

「これはもう無理ですね。ほうっておけば帰るので、BBQの材料でも集めてきます。行きましょう」
 雫は戦闘を放棄して、カルーアの腕を引っ張った。
「お肉はもうあるのです」
「海にはおいしい海産物がいますよ? しかも採り放題、食べ放題です」
「なら行くのです!」
「じゃあ私も手伝おうかしらぁ……?」
 アコが「キヒヒッ♪」と微笑んだ。
 どうやら何か企んでいるらしい。

「ちょっと! 敵は放置!? 討伐しないの!?」
 一千風がアコたちを引き止めた。
「討伐? するわけないじゃない、なに言ってるの? 私が戦ったら、即お陀仏ですもの。私は勝てない戦いをするつもりはなくてよ。だいたい全員でアレに挑んだところで、勝つことができて?」
「たしかに強敵だけど……」
「私は焼肉部員なの。部長に協力するのは当然ではなくて?」
「く……っ」
「ではみなさん、せいぜい頑張りなさいな」
 そう言い残すと、アコは雫とカルーアとともに去って行った。



 というわけで、戦闘を放棄して岩場で海産物採集!
 ちなみにカルーアはスク水、アコはビキニで、雫は普段着だ。
 最近いろいろあって、しばらく水着は遠慮したい雫ちゃんなのだ。
「なにかいるのです」
 カルーアは、はしゃぎながら潮溜まりを覗きこんだ。
 そこには、エビ、カニ、ヤドカリ、貝類、小魚と、さまざまな生物が息づいている。
 その中から、雫はウミウシやイソギンチャクを採集していった。
「郷土料理では、これらを使った煮物や唐揚げがあるんですよ。イソギンチャクとフジツボは砂を吐かせないといけませんが、戦闘が終わるまでには済むでしょう。このウミウシの卵は、海そーめんと呼ばれる珍味なんです」
「酒の肴に最高ですわ♪」
 アコはいつのまにか缶ビールを飲んでいる。

 そんな感じで、3人は和気藹々と海の幸を採集していった。
 しばらくして、思い出したようにアコが言う。
「そういえばカルーアちゃん、カナヅチなんですって?」
「そ、そうなのです」
「情けないわねぇ……。私が教えてあげますわ」
「え、遠慮するです!」
「泳げるようになれば、もっと色々な食材が採れますわよ?」
「でも……」
「大丈夫。『やさしく』教えてあげますわ。目標はクロールで25m! 泳げるまで焼肉はおあずけよ!」
 強引に決めると、アコは缶ビールをあおった。
 そして3人は安全な砂浜へ。


「じゃあまずは、顔を水につけてみなさい」
 海に入って、アコが命令した。
 水深は浅く、腰までしかない。
「こうなのです?」
 立ったまま海面に顔をつけるカルーア。
 その後頭部を、アコが思いきり踏みつけた。
「ごばぶばっぼぼb!?」
 死にそうになって、カルーアはもがいた。
「顔を上げちゃダメよ! まったく根性がないんだから」
 顔を上げたくても、アコに踏まれてるので無理だ。
 これは紛れもなく拷問!

「死ぬ……死んじゃうです……」
「じゃあ次はバタ足の練習をしましょう。私につかまりなさい」
「死んじゃうですぅぅ……」
「早くなさい!」
「は、はぃいい……!」
 言われるまま、カルーアはアコの手につかまってバタ足をはじめた。
 そのままアコは、ゆっくりと沖のほうへ。
 気がつけば、カルーアの足が届かない深さになっている。
 そこでアコは、サッと手を離した。
「ふあ……っ!? あばばばばば!」
「ほらほら、がんばりなさぁい♪ バタ足をやめたら沈んでしまうわよぉ?」
 サディスティックに微笑む、金髪の悪魔。
 なんて『やさしい』水泳教室!

 だが、雫はもっと悪魔だった。
「なまぬるいですね。私ならこうします」
 そう言うと、雫はカルーアの腕をつかんで一本背負いで投げ飛ばした。
 そりゃもう、水平線まで吹っ飛ぶ勢いだ。
「はわあぁぁ……っ!?」
「人間、本気で命の危機に陥れば泳ぐことなど朝飯前です。……まぁ今回は足に鉄球をつけるのはやめておきましたが」
 淡々と告げる雫。
 無論カルーアは完全に溺れてる。
「仕方ありませんね……これにつかまりなさい」
 雫が浮輪を投げた。
 浮標(ブイ)に使う、鋼鉄製のフローターだ。
 スカーーン!
 みごと顔面に命中し、カルーアは失神KO。
「つかまることもできませんか。やれやれ……」
 そう言うと、雫はロープを投げた。
 が──
「あれ? 首にかかった気が……?」
『気』ではなく、実際カルーアの首に縄がかかってる。
 でもまぁ撃退士だし……と、平気な顔で縄を引っ張る雫。
 そのうち本当に人を殺しそうだ。



 そのころ戦場では、激闘が展開されていた。
 縦横無尽に転がるウニ!
 画面を弾幕で埋めつくすオトシゴ!
 触手でXXする大王イカ!
 だが、焼肉部はBBQをあきらめない!
 部員だけではなかった。一千風も部員の協力を得るべく肉を焼いてるし、セラフも栄養バランスを考えて野菜を焼いている。
 言うまでもなく戦局は絶望的だ。なぜイカ天とか召喚した!?

「うぅ……これはもう、最後の手しかありませんねぇ……」
 百合華ともども全身粘液まみれで、恋音は一本のアンプルを手に取った。
「まさか恋音! その薬品は!」
 瀕死の雅人がタン塩を食べながら呼びかけた。
 しかし恋音は躊躇なくアンプルを折り、ウニを引きつけてグイッと一気に……

 ずどおおおおん!

 巨大化したおっぱいが、周囲のすべてを押しつぶした。
 しかし毒針を食らうわ味方を巻きこむわ、大惨事だ。

 そのとき! ついに透次が動いた!
 いままで黙って見てたのは、すべてこの瞬間! 隙をついて肉を盗み取るため!
「ここだ……っ!」
 混乱に乗じ、瞬速の箸でカルビをつまむ透次。
 その勢いのまま肉を空中へ放り上げ、火遁でロースト!
 と同時に跳躍し、みずからの口で肉をキャッチ!
 あふれる肉汁が、透次の味覚を刺激する!
 雑草や塩を食べてた彼にとって、これはまさに天の恵みだ!

「ぅおおおお……っ!」
 食の喜びと感動で、透次の士気はMAX状態! 全能力値に1.2倍の補正がかかった!
 ……って謙虚だな! そこは120倍ぐらい言えよ!
 それはともかく、4ケタ超えの回避力で弾幕STGに挑む透次!
 これは確実に学園最強級の回避力だ! いまの彼ならニュータイプになれる!
「肉がすべてを教えてくれる……! 見える!」
 弾幕の嵐を紙一重で回避して、透次はオトシゴに肉薄した。
 まともな食事への渇望が、彼を強くするのだ!
「おまえにはわかるまい! この肉を通して出る力が!」
「肉を通して出る力? そんなものが天魔を倒せるとでも?」
 明日羽が呟くと、弾幕は激しさを増した。
 しかし透次は止まらない。焼肉力で生じた謎の障壁が彼を守っているのだ!
「ええ……っ!?」
 めずらしく動揺する明日羽。
「食事を邪魔するおまえは、ここからいなくなれー!」
 ごんぶとビームになった『黒皇・雷切』が、オトシゴを一刀両断にした。
 しかし、その爆発に透次も巻きこまれてしまう。
 嗚呼、なんと凄絶な幕引き! 焼肉のために、人はここまでしなくてはならないのか!?


 なんにせよ戦闘班は全滅した。おもに恋音のせいで。
 ひと仕事終えて、海へ帰ってゆくイカ天とウニボロ。
 そこへ、雫たちが戻ってきた。
 カルーアは首に縄をかけられて引きずられている。っていうか、息してない。
「だれか人工呼吸できませんか?」
「私! 私が! 私が!」
 雫の呼びかけで生き返る桜花。
 そして人工呼吸という名の変態行為が再び!

「ではBBQにしましょう」
 とってきた海産物を、雫が焼きはじめた。
 アコもビールを飲みつつ肉を焼く。
 明日羽は恋音の口にナマコをつっこんで遊んでる。
 ほかはみんな死んでるので、BBQどころじゃない。
 だが! 焼肉の匂いに誘われて、透次は蘇った!
 そしてゾンビみたいに肉へ近寄り、一心不乱に貪りだす。
「おお……この世にこんなおいしいものがあったなんて……僕は強化にかまけて忘れてました……食事の喜びという幸福を……!」
 泣きながら肉を食べる透次。
 こうして彼らは、心行くまで焼肉を満喫するのだった。
 よし、ここに病院を建てよう!




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 未来へ・陽波 透次(ja0280)
重体: −
面白かった!:7人

未来へ・
陽波 透次(ja0280)

卒業 男 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
肉欲の虜・
桜花(jb0392)

大学部2年129組 女 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
絶望を踏み越えしもの・
遠石 一千風(jb3845)

大学部2年2組 女 阿修羅
鋼鉄アイドルSGB006・
咲魔 アコ(jc1188)

大学部1年61組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
愛須・セラフィーナ(jc1239)

大学部4年3組 女 アストラルヴァンガード