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マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2014/11/04


みんなの思い出



オープニング


 学園内にいくつも存在する購買。
 そのひとつで、若いレジ子さん(29)は今日も頭を悩ませていた。
 彼女が登場するのは、決まって困りごとがあるときだけだ。
 そこへやってきたのは、毎度おさわがせクノイチ・矢吹亜矢。

「どうしたの、深刻な顔しちゃって。さては、また万引き犯?」
「ううん。あれ以来、万引き被害は一件もないよ」
「じゃあなに? 強盗でも現れた? それとも、この購買のパンに毒を仕込まれたくなければ金を払えって脅迫されてるとか?」
「なんで、犯罪方面ばかり考えるの……? そういうことじゃなくて、最近ちょっと売り上げがね……」
「えっ! この購買、つぶれちゃうの!? やめてよ、ここの手作りコロッケパンは、ほかの店じゃ買えないんだから!」
「いや、そんなすぐにつぶれたりはしないけど……」
「すくなくとも、あたしが卒業するまではつぶさないでよね!」
「まぁ努力するけど……」
 どこまでも自己中心的な亜矢の発言に、レジ子は溜め息をつくばかり。
 それを見て、亜矢が言う。
「なんなら、あたしが手を貸すわよ? 売り上げUPさせればいいんでしょ? だったら、そこらへんのガキをとっつかまえて無理やり売りつければいいじゃない。あたしにまかせてよ。そういうの得意だから」
「待って待って! そんなことしたら、つぶれる前に営業停止処分くらっちゃうから!」
「なにそれ、面倒くさいわねぇ」
 チッ、と舌打ちする亜矢。
 彼女に商売は向いてない。

「ただ、押し売りは論外だけど、実際のところ何か手を打たないとピンチなのは事実なの」
 そう言って、レジ子は本日100回目ぐらいの溜め息をついた。
「手を打つったって……呼び込みするとか、クーポンくばるとか、新商品を仕入れるとかぐらいでしょ?」
「そう! その新商品が問題なの!」
 突然、レジ子の声が大きくなった。
 おもわずビクッとする亜矢。
「ちょっと亜矢。これを見てくれる?」
 レジ子が指差したのは、アイス用の冷凍庫だった。
 コンビニで見かけるタイプの、アルバイトが寝転がるベッド……ではなく、アイスの販売ケースだ。
 その中に、『ゴリゴリ君プレミアム(北海道産イクラ味)』なる商品が、ぎっしり並んでいた。

「あー、ときどきあるよね。こういうキワモノ。あたしはゴメンだけど」
 自分自身がキワモノのくせに、そんなことを言う亜矢。
「それ、段ボールで5ダース仕入れちゃったの」と、レジ子。
「5個じゃなくて、5ダース!?」
「うん。それで、段ボール1箱には36本入ってるの」
「つまり……5かける12かける36で……ええと……」
「ぜんぶで2160本ね。ちなみに、プレミアムだから1本200久遠」
「なんで、そんなに仕入れたの!?」
「売れると思ったのよ……。食べてみて、おいしいと思ったし……」
「でも、ぜんぜん売れてないんでしょ?」
「そうなの! いちど食べてみれば、おいしいってわかるのに!」
「イクラ味は、ちょっと……」
「たしかに200久遠は高いけど。それだけの価値はあるの!」
「じゃあ、そこらへんのガキをつかまえて無理やり売りつける?」
「だから、それは駄目だって!」
 不毛なやりとりをする二人。
 どうかすると、どっちが亜矢のセリフかわからなくなりそうな会話だ。

「でも、それはまだいいの。単価が安いし」
 レジ子が再び溜め息をついた。
「『まだいい』って……ほかにもあるの?」
「ちょっと、こっちに来てくれる?」
 店の奥へ手招きするレジ子。
 一体なにを見せるつもりかと、亜矢はワクテカ気分でついていく。しょせん他人事なので、お気楽なものだ。
 そして倉庫に足を踏み入れたとき、亜矢は唖然とした。
 そこには、あきれるほど大量の段ボール──すなわち不良在庫が、山のように眠っていたのだ。

「え……? コレぜんぶ売れ残り?」
「うん。だいたいは夏の売れ残り。缶ビールとか、そうめんとか、ビーチボールとか、水上バイクとか……」
「いま、水上バイクって言った?」
「うん。1台200万」
「そんなのまで売ってたの、あんたの店!」
「これがなかなか売れなくて、困ってるのよ」
「さすがにそれは、そこらのガキをつかまえて売りつけるのは無理ね……いや無理やりローンを組ませれば……」
「だから、営業停止になるって!」

 そんな会話のすえ、結局レジ子は学生たちの知恵を借りることにしたのであった。
 正直、これらの在庫を年末までに処分しなければ、彼女は首をくくることになりかねない!
 自業自得だけどね!




リプレイ本文




 レジ子の購買に、亜矢を含む7人の学生が集まった。
 その錚々たる顔ぶれは、こんなことしてないで天魔退治に行けよと言いたくなるレベルだが、これもまた任務。

「みんな、引き受けてくれてありがとう。正直、だれも来ないかと思ったよ」
 ホッとした顔で、レジ子が言った。
「なにを言うんですか。困っている人を助けるのが、私たちの役目! 在庫処分は任せてください。クズ鉄さえも売りさばいた私と恋音が手を貸せば、楽勝ですよ!」
 自信満々に応じたのは、袋井雅人(jb1469)
 それを見た月乃宮恋音(jb1221)は、「えと……できるかぎり穏便に、頑張らせていただきますぅ……」と、自信なさげだ。そりゃまぁ、公開SMショーは避けたいだろう。

「うちのガッコ、なんでこう無茶な商売する人が多いのかなぁ……」
 苦笑して頭を掻いたのは、ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)
 ダーツバーのオーナーでもある彼は、経営に関して素人ではない。たよりになる助っ人だ。
「しかし……よくもまぁ、これだけ在庫を溜めたもんだ」
 感心したように言うのは、向坂玲治(ja6214)
 実際、この在庫の山は尋常ではない。
「特別アイテムくじに入れたほうが、手っ取り早いかと……」
 雫(ja1894)が、ぼそりと呟いた。
 たしかにクジは売れる。が、それは強力な装備品が出るかもという期待ゆえだ。クソまずいアイスやビールなど、だれも射幸心をそそられない。

 しかし、藍星露(ja5127)は堂々とクジ引きを提案。
「これ、総合的に利益が出ればいいのよね? だったら、あたしは水上バイクを景品にしたクジをやりまーす!」
「え……? 本気?」
 不安げに問いかけるレジ子。
「そう。学園生がクジ好きなことは、購買を見れば一目瞭然。1回500久遠で水上バイクくじ、いいと思いません?」
「そううまく行くかな」
「たしかに、400万久遠を稼ぐとなると、膨大なはずれクジを引いてもらわないといけません。その数、じつに8000回……。でも、まかせてください。あたしに秘策があります!」
「まぁそこまで言うなら……」
「では、さっそく準備してきますね」
 力強く断言すると、星露はどこかへ出かけていった。


「では私も、でかけてきますねぇ……」
 そう言うと、恋音は水中銃と浮き輪をいくつか持って出ていった。
 向かった先は、V兵器研究所。
 ここでは、家電品をV兵器と組み合わせるという頭のイカれた……もとい革新的な研究をおこなっている。
 というわけで、恋音は水中銃を売り込むことに。
「ええと……最近、海産物系の天魔が増えてますから、対海産物用のV家電が必要なのですぅ……」
「我々が言うのも何だが、水中銃は家電品ではないのでは……」と、研究員。
「水中銃が、家電品であるか否かは別としてぇ……海産物型の天魔退治に特化した武器の開発は、急務なのですよぉ……」
「ふむ」
「さらに、水中活動の補助として……このストレイシオン型浮き輪をV兵器に改造するというのは、どうですかぁ……?」
「浮き輪をV兵器に!? 考えたこともなかった……!」
 驚く研究員。彼らも案外マトモだったようだ。
 実際これらがV兵器にできるか否かはともかく、こうして恋音は資料用に水中銃と浮き輪を売りつけたのであった。



 そんな単独行動に出た2人に対して、残る5人は焼肉パーティーをはじめた。
 いや間違えた。パーティーじゃなくて、焼肉の実演試食販売だ。ジンギスカン用グリルを売るための、苦肉の策(?)である。
 え? 肉はどこから調達したのかって? こまかいことは気にするな! きっとどうにかしたんだよ!

「鉄板の具合はこれでいいか。……んじゃま、プチバーベキューといくかね」
 不敵に微笑むと、玲治は鉄板の前に陣取って肉や野菜を焼き始めた。
 ジュウジュウと、肉の焼ける匂いが広がる。
 ただの肉ではない。雫の提案で、まえもって海老酢ビールに漬け込んであるのだ。ビールの炭酸と有機酸が肉を柔らかくすることは、よく知られている。おまけに酢も肉を柔らかくするし、こうかはばつぐんだ!
 それだけではない。漬け込んだビールを煮詰めれば、海老のダシが利いた調味酢に早変わり。これは便利!
「このビールって、飲料としては大間違いだけど調味料として使うぶんには最良ですね」
 淡々と評価する雫。
「火を通せばアルコールが飛んで子供も食べられるから、販売ターゲットも広がるしね☆」
 ジェラルドも太鼓判を押した。

 こうして突然はじまった実演販売に、腹をすかせた学生たちが集まってきた。
 肉を求めて群がる姿は、まるでゾンビだ。
 が、これは肉を売っているわけではない。あくまでも、売っているのはグリルとビール。
 いっそ肉を売ったほうがいいんじゃないかという盛況ぶりだが、どうやら海老酢ビールを調味料に使ったのは正解だったようだ。……まぁ久遠ヶ原には味覚障害の人が多いので、実際おいしいのかは疑問だが。


「これだけおいしく肉が焼けるのは、すべてこのグリルの力。焼肉パーティーのおともに、ぜひどうぞ!」
 はりきってグリルを売る玲治。
 重量や火力などの性能をアピールしつつ、「ジンギスカン用グリルは余分な脂が落ちてヘルシー!」と女性客の注目をあつめたり、「もちろん普通の焼肉もOK!」などのフォローも忘れない。
「そして、焼肉といったらビール! いまならグリルとセットでお買い得だよ!」
 値引きはしてないので特にお得でも何でもないのだが、言った者勝ちだ。
 しかし、グリルはともかくビールのほうは客も二の足を踏んでいる。
「どんな味なの、それ」
 当然の質問をする客。
 だが、玲治は堂々と答える。
「これは文字どおり、海老とバルサミコの風味をそなえたビール! 一見ありえない取り合わせに見えるが、魚介の旨味とバルサミコの酸味がビールに深いコクを与え、肉の脂や旨味とマッチして極上のハーモニーを生み出す至高の一品!」
 強引すぎる丸めこみかただが、怖いもの見たさで買う客も案外いる。


「ねぇ、そこのイケてるお兄さん。ちょっと試飲していかない?」
 と、チャイナドレスで客引きするのは雅人。
 今日の雅人は、ハロウィン週間なので持ちキャラ全仮装。
 男にはチャイナドレスで迫り、女には眼鏡をはずしたイケメンスタイルで客引きだ。
「おおっ、そちらのお美しいお嬢さん! あなたのために、ビールと焼肉を御用意しました! 食後のデザートに、ゴリゴリ君プレミアムも取りそろえております! ご一緒にビーチボールはいかがですか?」
 ポテトでも売るみたいなトークをかます雅人。
 さらに、動物愛好家にはペンギン着ぐるみで接客。
「よってらっしゃい、みてらっしゃい! 南極、北極でもお役立ちの品々が今ここにっ!」
 一体どれが南極や北極で役に立つのかと、客から質問が浴びせられる。
「良い質問ですね。まず、このグリルは頑丈な暖房器具! ビールは内側から体を温め、ビーチボールで氷上ビーチバレーをすれば、さらに体が温まるという寸法です! 水中銃は、ホッキョクグマやシャチに襲われたときの護身用に! ゴリゴリ君は、よーく凍らせて鈍器にしましょう! これであなたの極地ライフも、安全充実!」
 みごとなトークだが、あいにく誰も極地へ行く予定はなかった。


 そんな焼肉パーティーの横で、ジェラルドは鍋パーティーをしていた。
 なんの鍋かといえば、もちろん海老酢ビールを使った海老スープ鍋!
 ブイヤベースみたいな海鮮鍋に仕立てて、そのレシピを鍋の具材と一緒に売る作戦だ。
 その具材どこから仕入れたんだよとか、言ってはいけない!
「これからの寒い季節に、簡単エビ鍋☆ どうでしょうか♪」
 キザっぽく微笑むと、たちまち女性客が集まってくる。
 そこで、さらに商品を宣伝。
 5色そうめんを取り出して半分に折ると、海老鍋に投入だ。
「特製の5色うーめんです☆ あったまるよー♪ 鍋のシメは、これでキマリ!」
 イチゴ味やバニラ味のそうめんが、すっぱい海老スープで煮込まれる。
 試食した女性客たちは「ヴっ」とか「ぐふっ」とか言ってるが、ジェラルドのイケメンスマイルで「おいしいよね?」と訊かれると、否定できない。
 だが、ジェラルドのターンはまだ終わらない。
 ここで満を持して登場したのは、炊飯器。
 そこから出てきたのは、ゴリゴリ君を材料に使ったイクラごはん(はらこめし)だ。
 絶妙な甘味と塩加減、バターの風味によって、予想以上の出来映えに炊きあがっている。
「おいしいイクラごはんですよ☆ 作りかたは簡単。お米とゴリゴリ君を炊飯器に入れて、レシピどおりの調味料を加えたら、スイッチを押すだけ。調味料はここで売ってるものばかりだから、忘れずに買って行ってね♪」
 キラッと微笑むジェラルド。
 実際、このイクラごはんは好評だった。
 ふつうにイクラ買って丼にすればいいんじゃね? とか言ってはいけない! これは貧乏人のためのイクラごはんなのだ!


 というわけで、食品3種にはメドがついた。
 グリルは問題なく売れてるし、浮き輪と水中銃は恋音に任せてある。
 水上バイクは星露次第。
 よって、残るはビーチボールだ。
「では……焼肉や鍋を食べすぎた人のために、ダイエット用バランスボールとして売ることにしましょう。亜矢さん、協力してください」
 なにやら強引なことを、雫が言い出した。
「協力はいいけど、バランスボールってもっと大きいでしょうよ」
「たしかにサイズはやや小さめですが……ほかは全く同じですし、問題ありませんよね?」
「あんた最近、キャラが違ってきてない?」
「なんの話です? さぁ、これに着替えてください」
 雫が水着を差し出した。
 お約束のスク水である。
「なんで水着なのよ!」
「集客効果が見込めるからです。それとも恥ずかしいですか……? でしたら、周囲を布で覆って、顔写真を載せた看板を表に立てて……
「べつに、恥ずかしかないわよ! あたしのナイスバディを見せてやろうじゃない!」
 周囲の目を気にせず水着に着替える亜矢。
 だが、その貧相なおっぱいに集客効果はない。いっそ雫が着れば、ロリ趣味の男子をつかまえられたのに。
「では、うまく乗ってくださいね。本当にダイエット効果があるかわかりませんが、買った人の多くは途中で挫折するでしょうから文句も来ませんよ」
「こんなの、忍者のバランス感覚をもってすれバウアーーッ!?」
 びたーーん!



 さて、そのころ。
 星露は購買の一角に水上バイクを展示して、くじびき大会を開こうとしていた。
 ぱっつんぱっつんの指定水着を身にまとい、パラソルをくるくるさせるレースクイーン仕様だ。
 スク水のレースクイーンとは斬新だが、これはこれで!
「本日限定の『水上バイクくじ』です。あたりを引いたら、1台200万久遠の河崎最新モデルJETスキーがあなたのものに★」
 すると、星露の読みどおりにクジ大好きな生徒たちが集まってきた。
 水着美女+クジの集客効果は抜群だ。
 が、星露の策はこれだけではない。
 なんと、くじを胸元に詰めこんだ彼女は、前屈みで谷間を強調しつつ「ここからくじを引いてくださいね♪」と言い出したのだ。
 おおっ、と男子生徒が沸き返った。一部の女子も喜んでる。
「いらっしゃいませ。さぁどうぞ」
 甘い声で言いながら、客の手を取って胸元へと導く星露。
「ふおおおおっ! こ、これは……っ! なんというもっちりふよふよ!」
 この客、雅人じゃね?
「……って、あん♪ お、お客様、そんなにもぞもぞさせないで……ひゃんっ!?」
「ここですか? これがアタリですね?」
「そ、それ、くじじゃなくて……ちく……きゃうっ!? そ、そんな強く摘んで引っ張っても、取れないからぁ……はぅんっ!? お、お客様っ、お尻のほうにくじはありませぇぇん……!」
 一人目の客から、えらい騒ぎだ。
 そして、この騒ぎを聞きつけた健全な男子(&一部の女子)が、怒濤のように押しかけてくる。
 1回500久遠で、くじびきと称したおさわりイベント開始!
 もちろん、ぜんぶハズレくじだよ!
「……え? 本当は当たりくじ入ってないんじゃないかって!? そ、そんなことないですよ……って、ええ!? し、調べさせろ!? ……や、水着脱がさないでっ! そんなとこに手を突っ込んじゃ駄目ぇぇ! いやぁああ〜〜ん!!」
 ……どういう商売だコレ。



 そんな違法ギリギリの商売をする星露と正反対に、恋音は購買の事務所で手堅くネット通販をしていた。
 食品系は、特定のマニア層を狙って販売。
 ほかの雑貨類は、一般人を含めた広い層をターゲットに。
 ただ待つだけでなく、知人からの情報やネットでの検索などを武器に、積極的な売り込みをかける。
 とくに5色そうめんはゲテ食を趣味としているマニアたちの人気が高く、売れ行きは好調だ。
 久遠ヶ原土産と銘打ったストレイシオン型浮き輪も、なかなかの好評である。




 やがて、波乱の一日が終わった。
 全員が事務所に戻ってきて、成果を報告する。
 それを玲治がまとめて、恋音がパソコンで書類にした。
 結果、ビールとBBQグリルは完売。
 ゴリゴリ君は8割がた残っているが、イクラごはんが評判だったので今後じわじわ売れてゆくだろう。
 そうめんや浮き輪も、通販で少しずつ在庫が減ってゆくはずだ。
 ただ、水中銃は難しい。恋音は島内の漁師を頼って訪問販売したが、1丁も売れなかったのだ。
 さらに、亜矢の健闘むなしくビーチボールもおおかた売れ残ってしまった。ああ、雫が水着で実演していれば!(チラ
 そして本日最大の目玉商品である水上バイクは、2台とも残っていた。
 にもかかわらず、星露の売り上げは400万久遠!
 そう、彼女はただの紙切れに付加価値(おさわり)をつけることで、この売り上げを叩き出したのだ!

「ありがとう、藍さん! これで商売をつづけられる!」
 レジ子が、星露の手をにぎった。
「いえ、これも依頼ですから」
 答える星露は、なにかの犯罪に巻きこまれたみたいな、あられもない姿になっている。
 ともあれ、彼女の献身的な商法によってレジ子の店は救われた。
「でも水上バイクは残ってるし……藍さん、明日もくじびきやらない?」
「そ、それはちょっと」
 さすがに躊躇する星露。

「あんまりアコギな商売したらダメだよ?」
 ジェラルドが釘を刺した。
「そ、そうね! 明日からは、いつもどおりの購買よ!」
「今後もお店を続けるなら、ちゃんと勉強しないとね♪ ああ、ボクの家で一緒にお勉強するかい? 夜まで♪」
「ほんとに!?」
 目を輝かせるレジ子。
 三十路目前の彼女は、婚活に必死なのだ。

「そんじゃま、おつかれさんってことで。……ちっと買い物して帰るか。別の店で」
 そう言って、玲治は事務所を出ていった。
 それをきっかけに、一同解散。

 レジ子とジェラルドがどんな勉強をしたのかは、本人たちのみぞ知る。




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: あたしのカラダで悦んでえ・藍 星露(ja5127)
重体: −
面白かった!:9人

歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
あたしのカラダで悦んでえ・
藍 星露(ja5127)

大学部2年254組 女 阿修羅
崩れずの光翼・
向坂 玲治(ja6214)

卒業 男 ディバインナイト
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー