.


マスター:ちまだり
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
形態:
参加人数:10人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/04/15


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

●久遠ヶ原学園〜学園長室
「突然の招集に応じてくれて感謝する。早速だが、今回の依頼を伝えたい」
 部屋の窓に向かって立ち、逆光の中に背を見せた学園長が、背後に集まった撃退士の学園生徒たちに重々しい口調で告げた。
「現在、とあるTV局で放送されている『アイドルになろう!』という番組を知っているかね?」
「はい! あたしも毎週視てまーす☆」
 撃退士の1人、綿谷つばさ(jz0022)が仲間たちを代表するように答えた。

「アイドルになろう!」は金曜ゴールデンタイム放送の人気番組。
 題名のごとく無名のアマチュア歌手や新人歌手を毎回出演させ、視聴者からの人気投票により年に4回「季節のトップアイドル」を選出。選ばれたアイドルは以後同じTV局のバラエティ番組やドラマなどで積極的に売り出されていくという企画である。
 またファンからは「アイなろ!」の愛称で親しまれ、同番組をモデルにしたアニメやゲームも好評を博しているという。

「ならば話は早い。今回、諸君らにこの番組に出演してもらい、春のトップアイドルに選ばれて欲しいのだ」
「‥‥はぁ?」
 つばさをはじめ、生徒たちの目が点になった。
「あのぉ、それと天魔討伐と、何の関係があるんですか?」
「うむ。まずはこれを視て欲しい」
 学園長が片手に持ったリモコンを操作すると、室内の一角に備えられた大画面TVに、先週分の録画と思しき「アイなろ!」の1シーンが映し出された。
 華やかな照明に彩られたステージの上で、黒ゴス系のフリル付きドレスをまとった、まだ小学生くらいの少女がマイクを手に、軽やかに踊りながら歌っている。
「あ、この子知ってる!」
「葉枝姫子ちゃんだよね? 今期の人気投票でトップ独走してる」

 葉枝姫子(はえだ・ひめこ)――年齢2012歳、魔界の王女。地上を支配し悪に染め上げる目的でアイドルデビューを目指す悪魔タレント。
 ‥‥といってもこれはあくまで「自称設定」であり、実際のプロフィールは一切伏せられているが。

『♪アタシにキスしたい? バカね身の程を弁えて ヒトはしょせん卑しい生き物 それでも魂まで捧げるっていうなら 足の指くらいは舐めさせてあ・げ・る♪ ありがたく思いなさいよこの豚ども!』

「‥‥しっかしひでぇ歌だなぁ」
「でも可愛らしいルックスと毒舌すぎる歌のギャップ萌えがネットで評判になって、コアなファン層に結構支持されてるみたいよ」
「この葉枝という新人歌手だがな‥‥内偵の結果どうやら本物の悪魔らしい。まあ『魔界の王女』云々は眉唾だが」
「えーっ!?」
 生徒達は驚き、改めて画面中の少女を凝視した。
 吊り上がり気味の青い瞳、死人のような青白い肌、口から突き出した鋭い犬歯などいかにも悪魔っぽい雰囲気を漂わせているが、その程度の外見なら特殊メイクで何とでもなる。
「撃退士である君らと違い、一般大衆は悪魔の実在を知らん。ましてやこんな子供が堂々と悪魔を名乗ったところで『TV局のヤラセ』くらいにしか思わないだろう」
「なるほど、考えやがったな‥‥」
「それは分かるけど、もしこのままアイドルデビューしたとして悪魔側に何の得があるのかしら?」
「それはまだ不明だ。だが一度アイドルとしてのステータスを築いてしまえば、今後人間の魂を奪うために何かと都合が良いこともあるだろう」
「えーと、つまり‥‥あたしたちがこの番組に出演して、姫子ちゃんを追い越して春のコンテストに優勝すればいいんですか?」
「いかにも。既にTV局と内々に交渉し、オーディション抜きで次回放送分のステージに上がれるよう話はつけてある。ただし最終審査は人気投票次第だから実力勝負になるがな」
 それを聞いた男子生徒が、もどかしげに首を傾げる。
「いっそ敵がスタジオに来たところを待ち伏せて、直に討伐した方が早いんじゃねえか?」
「いや。その場合TV局の一般人を戦闘に巻き込む怖れがある。今のところ連中も武力に訴えるつもりはなさそうだし、人心の動揺を防ぐためにもV兵器の使用はあくまで『最後の手段』と心得て欲しい。そして何より――ッ!」
 そこで学園長は振り返り、くわっと両眼を見開き拳を握り締めた。
「歌は人の心を癒し生きる希望を与えてくれる至高の芸術、いわば人類の生んだ文化の極み! それを悪用して挑戦してくるというなら、我々も同じく歌を武器として堂々と受けて立つべきだとは思わんかね!?」
 熱弁を振るう学園長の傍ら、執務用デスクの上に置かれたスマホにはモバゲー版「アイなろ!」のゲーム画面が表示されていた。
(マネージャーLv115? うわぁ、相当やりこんでるな〜)
 つばさはあえて見なかったことにして視線を上げ。
「ラジャー! これより依頼遂行に移ります!」
 元気よく敬礼した後、仲間たちと共に学園長室を後にするのだった。

●TV局
「あぁ〜暑苦しいし動きにくいし、やってらんないわよ!」
 ステージから出演者控え室に戻るなり、葉枝姫子――いや悪魔マレカ・ゼブブ(jz0192) は衣装を脱ぎ捨て、ショーツ1枚のあられもない姿になるやドカっと椅子に座った。
「お疲れーっす。いや〜いい舞台でしたよ!」
 表向きはマネージャー、だがその正体はマレカのヴァニタス・壬図池鏡介(みずち・きょうすけ)が差し出すペットボトルのジュースをラッパ飲みすると、
「でもさぁ、こんなコトして本当に人間の魂をかき集められるの?」
 この「計画」を持ちかけた己の使い魔を疑わしげにジト目で睨む。
「まあまあ、もう少しの辛抱ですよ。3月の人気投票で春のトップアイドルに選ばれりゃあ‥‥まあ百聞は一見にしかず。こいつをご覧下さい」
 そういいながら、控え室に備え付けのAV機器に一枚のDVDを挿入する。モニターに映し出されたのは、ドーム球場を借り切って催された某人気アイドルグループのコンサート風景だった。
「な、何してるのこいつら? ‥‥サバト?」
「まあ似た様なモノですが‥‥ほら、最前列でお揃いのハッピ着てる連中がいるっしょ? こいつらは俗に『親衛隊』といって、アイドルが望めば喜んで命さえ差し出す下僕の集団です」
 主の悪魔がまだ人類についてよく知らないのをいいことに、口から出任せで解説する鏡介。
「へえ〜」
「つまりマレカ様がアイドルになれば、このビデオと同じく何万という人間が押しかけ、自分から魂を差し出してくるわけっすよ」
「オイシイわねぇ、それ♪」
 口の端から牙を覗かせニタリと笑うマレカ。
 そんな主人を尻目に、鏡介の方は
(しめしめ。これでマレカ様が首尾良くデビューできりゃ俺もいっぱしの業界人。可愛いアイドルとお近づきになってあんなコトやこんなコトも‥‥ウヒヒヒ)
 などと邪な妄想を膨らませている。
 まさに同床異夢であるが、このままでは悪魔の主従に芸能界を乗っ取られてしまうであろう。
 ハリアップ撃退士! マレカたちの野望を打ち砕き、「アイなろ!」と人々の夢を守るのだ!


リプレイ本文

「今夜が3月最後の撮影、しかも生放送です。放送終了5分前の時点で人気投票トップの参加者が今期の優勝者。つまり『春のトップアイドル』として華々しくデビューを飾るってわけで」

 某TV局の出演者控え室。
 人気歌謡番組「アイドルになろう!」(略して「アイなろ!」)の収録を数時間後に控え、壬図池鏡介(みずち・きょうすけ)は己の主、悪魔マレカ・ゼブブ(jz0192) に説明していた。
「分かってるわよぉ。ま、結果発表を待つまでもなく優勝はこのアタシに決まってるでしょ?」
 黒ゴス系フリフリドレスに身を包んだマレカ、いや今はアイドル候補の新人歌手「葉枝姫子」が余裕のドヤ顔で頷く。最初のうちこそ慣れない舞台衣装やステージで歌うことをウザがっていた彼女も、今ではまんざらでもないようだ。
「当然でさぁ。人気投票もダントツで1位っすからね」
「悪くない気分ね〜。客席から声援を送る大勢の人間どもが、ぜーんぶアタシの下僕や食料になるかと思うと♪」
「今夜のステージさえ無事に終わればマレカ様の優勝は確実。明日のスポーツ新聞1面はどこも葉枝姫子の記事で埋まりますぜ」
 ここまで来たのは一応本人の人気もあるが、その裏では鏡介があくどい妨害工作を仕掛けライバル歌手を排除してきたことも大きく貢献している。
「そーいや、今夜一緒に出る人間どもはどうなってるの?」
 主に問われ、鏡介はTV局から配布された出演者リストに目を通した。
「‥‥あー、問題ないっす。初参加の、しかも素人の学生ばかり。まあマレカ様の優勝が鉄板なんで、形だけの消化試合ってトコでしょ」
「学生?」
「えーと、全員同じ学園生徒ですね。久遠ヶ原とかいう」
「ふ〜ん‥‥」
 何か引っかかるものを感じたのか、マレカは僅かに眉をひそめる。
「あんた、ちょっと調べて来なさい。万が一にもアタシの優勝を邪魔しそうな連中だったら‥‥分かってるわよね?」
「はっ、ハイ!」
 主から尻を叩かれ、慌てて外の廊下に飛び出す鏡介。
(ちっめんどくせえ‥‥手っ取り早く例のやり方で潰しちまうか)


 同じ頃、別の控え室では久遠ヶ原学園生徒、すなわち撃退士の一行が出演前の準備に集まっていた。
「アイドルコンテストに優勝しろ‥‥ねえ。 そんな回りくどいことをするより、該当の悪魔を暗殺した方が早いでしょうに」
 テーブルの上に鞄を下ろし、やれやれといった感じで肩をすくめるのはエイルズレトラ マステリオ(ja2224)。
「悪魔がアイドルとしてのステータスを築き上げ、己の養分とするための生贄を集める。単純な戦闘力勝負ではなく、まったく異なるアプローチでの人類支配‥‥」
 芹沢 秘密(jb9071)は改めて悪魔側の意図を考察していた。
「見事な発想の転換。敵ながら敬意すら覚えるわ」
 かくいう秘密自身、かねてより撃退士における「広報活動要員」の必要性を感じていた。
「確かに今の私達撃退士は世間に姿を見せられぬ陰の存在。でもいつ状況が変わり、天魔の存在が公にされるか分からない」
 そのとき社会はパニック状態に陥るだろう。
 だが同時に「撃退士」という頼もしい守護者の存在も知らされればどうであろうか?
 それが既に名の知れたアイドルであればなおさらだ。圧倒的な知名度を持つ存在は、大多数の人間に強い影響を与えることができるのだから。
「アイドルになり、そのカリスマをもって天魔に対抗する‥‥なんと荒唐無稽で、ギャンブル性に満ちた選択だろう。思わず笑っちゃうくらいの大勝負ね」
 撃退士であり、生粋のギャンブラーでもある少女の唇から不敵な笑みがこぼれた。
「‥‥まあ、せっかくの機会です。久しぶりにマジシャンとして活動しましょうか」
 そういいながら、エイルズレトラは鞄から取り出した手品の道具をテーブルに広げていく。番組の趣旨とはやや異なるものの、TV生放送のステージは彼が得意とするマジックを披露するのに格好の舞台といえた。

「‥‥緊張、しますねぇ‥‥」
 月乃宮 恋音(jb1221)はこの日のために特注した衣装合わせの傍ら、友人の綿谷つばさ(jz0022)に話しかけていた。
 撃退士としては優秀なダアトである彼女だが、同時に極度の引っ込み思案でもある。
 依頼遂行のためとはいえ、大勢の観客が見守るステージ上で歌うことなど想像もつかなかった。
「大丈夫よー。恋音ちゃん可愛いし、歌や踊りだって上手じゃない☆」
「‥‥私の場合、TVのアイドルとは大分違いますけどぉ‥‥」
 つばさは恋音の頭から爪先までじっと見やり、ぐっとサムズアップした。
「――ウン。プロポーションもOK! 特に胸が! うにゅ、あたしもちょっと分けて欲しいくらいなのだ♪」
「‥‥はうぅ‥‥」
 その言葉通り、巨乳を通り越して「魔乳」と呼びたいほどの恋音のバストであるが、本人は却って恥ずかしく思い、普段は強化さらしを巻いてわざわざ実際より小さく見せかけているほどだ。
「‥‥でも、人気投票は葉枝さんが独走状態なんですよねぇ。今から参加の私達で、太刀打ちできるでしょうかぁ‥‥?」
「あー、それなら心配ないよ」
 つばさは「アイなろ!」の人気投票システムを解説した。

 同番組における人気投票は、ライブの観客及びTV視聴者がスマホ、携帯、PCなどからネットを通して投票する。投票できるのは原則1人につき1票だが、一度投票しても〆切り前なら対象を変えて何度でも再投票が可能。

「つまり土壇場の大逆転もあり得るわけで、そのスリルが『アイなろ!』のウリでもあるのよね。今は見かけ上姫子ちゃんの1人勝ちだけど、あたし達が今夜魅力たっぷりのステージを見せれば、みんなきっと雪崩を打って鞍替えしてくれるのだ☆」
「そのことなんですけど、ちょっと悪い噂を聞きましたよ」
 ソロで参加の東風谷映姫(jb4067)が声を落として囁いた。
「何でも、今期の参加者で葉枝さんのライバルと目されていたアイドル候補達が、スキャンダルを起こしたり急病を理由に突然出演をキャンセルしたりして、次々脱落してるとか‥‥」
「う〜ん。偶然にしては出来すぎなのだ」
「‥‥警戒した方がいいかもですねぇ‥‥相手は悪魔だけに、何を仕掛けてくるか分からないですしぃ‥‥」
「そっちの方は俺に任せてくれ」
 それまで黙って話を聞いていた久瀬 千景(ja4715)が口を開いた。
「今のところ敵も直に攻撃して来るつもりはないようだが、裏で何を企んでいるか知れたもんじゃない。葉枝姫子はもちろんだが、マネージャーの壬図池って奴も相当の曲者らしいからな」
 まだ本番までは時間があるが、その間もメイク、衣装合わせ、リハーサルなどやることは山ほどある。
「俺はこの服装のままステージに上がるつもりだし、ぶっつけ本番でも大丈夫だ。みんなが支度をしている間、葉枝や壬図池の監視に当たろう」
 かつてインディーズバンドのボーカルを務めていたこともあり、千景はステージ本番を前にしても落ち着き払っている。
 その申し出に対し、恋音やつばさ達も賛同。各人が手空きな時間、交替で悪魔側による妨害工作の警戒に当たることとなった。

「やっとここまで来ることができたけど、うん! これで満足しちゃダメだよね。目指すはもちろん優勝っ!」
 同じ控え室の一角では下妻ユーカリ(ja0593)が大いにテンションを上げていた。
 今回の依頼に志願したのはむろん悪魔の策略を未然に防止するためだが、他でもないユーカリ自身が本物のアイドル志望者でもある。
 そのため友人の秘密と赤星鯉(jb5338)を誘い、3人組のアイドルユニット「花唄撫子」を結成。この日に備え学園で練習に励んでいたのだ。
「今回は誘ってくれてありがとう。感謝するわ」
 メンバーの1人、秘密がユーカリに礼を述べた。
「依頼がきっかけの初舞台になったけど、これを機に私達のアイドル活動を本格的にスタートさせたいわね」
「もちろんだよ! この日のために練習してきた新曲で、がっつりばっちり盛り上げなくっちゃ」
「古今東西の魑魅魍魎、悪鬼羅刹の類には、芸能関係の能力に秀でた種も多いと聞くわ」
 鯉は陰陽師としての視点から今回の依頼について語る。
「そうした連中を調伏するためには、やはり同じ土俵で力量を見せつけてやるのが一番ね」
 優れた陰陽師たる者、芸事の一つや二つ軽くこなして当然。
 例の葉枝姫子にしても、どちらがアイドルとしての格が上か見せつけてやれば心が折れる可能性は高い。V兵器こそ使わないものの、鯉にとっては今夜のステージも立派に天魔との「真剣勝負」なのだ。
「見えるわ‥‥私の陰陽ボイスで会場中が盛り上がる未来が!」

 そしてここにまた1人、アイドルへの夢をさらに膨らませる撃退士がいた。
「ふ、ふふふ‥‥。来たわ、ついにこの時が!!」
 はぐれ悪魔のブルームーン(jb7506)である。
「観客席でペンライトを振る数万人のドルオタども。その中心で歌って踊る超可愛い私!! 舞台はドーム球場、あの大ホール、大晦日のあの特番!! 雑誌、DVD、グラビア、世界ツアー!!」
 もう自分が優勝してミリオンヒット乱発して国内の主要コンサート会場を埋め尽くした後世界ツアーに行くと信じて疑っていない。
「真の悪魔アイドルは1人で充分。あの小娘に本物の歌とダンスってものを教えてやるわ!!」
 パーソナルカラーである青いドレスの下から、普段は隠している蝙蝠型の小さな黒い翼と、先端がハート型になった尻尾が実体化する。
「あらヤだ、衣装ですわよ♪」
 小悪魔系の魅力を全開にして、ブルームーンは悪戯っぽく微笑んだ。


「『久遠ヶ原学園生徒様控え室』‥‥か」
 ドアの張り紙を確認すると、鏡介は頭の中で控え室の間取りを思い浮かべつつ、右隣の部屋へと入った。
 うまい具合に空き部屋である。
「さて、ちゃっちゃと片付けちまうか」
 ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出した。
 この壁の向こうが、ちょうど久遠ヶ原生徒用控え室のロッカーが並ぶ側になる。
 天魔の透過能力を使って潜りこみ、ロッカーの中に衣装があればズタズタに切り裂き、鞄があれば財布やスマホなどの貴重品を抜き取る魂胆だ。
 別に金品が目的ではない。
 ただでさえ緊張する本番直前に盗難の被害に遭えば、大抵の新人歌手は動揺してステージに集中できなくなるだろう。また事実上の密室犯罪となるため、うまくすれば同室の参加者を疑いユニットのメンバー同士が仲間割れしてくれる。
 実にせこい嫌がらせだが、今までもこの手口を用い、何人かのライバル歌手を脱落させてきたのだ。
「‥‥ありゃ?」
 片手を壁に押し当てても、なぜかいつものように透過できない。
 この現象には覚えがある。
「阻霊符が使われてる? ってことは――」
 ヴァニタスの顔からみるみる血の気が引き、大慌てで部屋から飛び出した。

「あの学生達の中に撃退士がいる‥‥?」
 逃げ戻って来た鏡介から話を聞き、マレカも驚きで目を丸くした。
「‥‥ま、そろそろ連中が嗅ぎつけてもおかしくない時期ではあるけどね」
「ど、どうしましょう? 逃げますか? それともいっそディアボロを呼び寄せて――」
「何もしなくていいわ」
「へっ?」
「つまりはお互いステージで勝負しようってコトでしょ? 上等じゃない」
 悪魔の少女はニヤリと笑い、ドレスの裾を揺らして立ち上がった。
「受けて立ってやるわ。戦闘はいうまでもなく、アイドルとしてもアタシの足元に及ばないコトをたっぷり思い知らせてやる!」


 色とりどりの照明が舞台の上を染め上げ、客席から大きな拍手が上がる。
 いよいよ「アイなろ!」生放送、時間枠を拡大したスペシャルステージが始まろうとしていた。
 観客や視聴者からの投票状況は会場内に設置された電光掲示板にリアルタイムのグラフとして表示される。今夜の放送を以て今期の優勝者「春のトップアイドル」が決定するのだ。
 また最前列には各界有名人ゲストや芸能プロ関係者が審査員として並び、優勝を逃した歌手にも見所があれば特別賞が与えられる。

「みんな〜魔法少女えいえいだよ〜☆」
 学園生徒としてはトップバッターとなる映姫が、魔法少女風コスチュームにウサ耳カチューシャという出で立ちで舞台に現れると、客席から「かわいーっ!」という歓声が上がった。
「今日はえいえいの魅力的なとこぜ〜んぶ見てね♪」
 ワンド風ステッキを片手に持ってウィンクするえいえいのコンセプトは「マジカル&キューティー」。
「魔法少女えいえいの踊りを見て〜☆」
 軽快なBGMに乗って元気いっぱいにオリジナルソングを歌いながら踊り出す。
 その表情は無邪気さの中にもさりげなく色気を覗かせる、まさに可愛い魔女っ子。
 ドレスや照明の色合いにも明るいパステルカラーを配し、舞台上はあたかもアニメのキャラクターが3次元に飛び出してきたかのような不思議空間に包まれた。
「きゃん!?」
 時にはわざとらしくこけて、見えそうで見えないギリギリのパンチラもサービス。
「そこは見ないで〜〜!」
(えへっ。実は見えても大丈夫なチュチュパンツだけどね♪)
 その後も軽快に踊り続け、拍手喝采の中、ペコリとお辞儀して退場した。

「やるわねぇ、東風谷ちゃん。アタシ達も負けてらんないわぁ」
 舞台袖で待機していたマリア(jb9408)は背後に控える相棒の少女に振り返った。
「ニーハオ、まずはアタシ達が楽しまないとお客さんも楽しめないわぁ。思いっきり、楽しみましょうねン☆」
「ハイ、ママサン、行クアルヨ!」
 ニーハオこと王・耀華(jb9525) (ワン ヤオファ)もこっくり頷く。
 2人でユニット『U:E』(未知との遭遇)を結成しての参加である。

「アタシはマリア。ただのドラッグクイーンよぉ。皆、宜しくね〜ン」
 舞台上から投げキッスを送るマリアの姿を目にして、会場は一瞬シンと静まり返った。
 無理もない。
 魔法少女に続いて登場したのが、身の丈2mを超すオネェ言葉の美青年だったのだから。
「ドラッグクイーン」といっても薬とは関係ない。一言でいえば「女装パフォーマー」のこと。
 首元、手首、足首にファー。
 首にふかふかのマラボーを巻いて片手で悠然と羽根扇子を揺らし、胸元には小さくハート型を抜いた臍チラなノースリーブ。
 ロンググローブにぴったりフィットしたロングパンツ。
 色はメタリックなピンクで統一。
 整った顔立ちに濃いメイク、そしてソフトマッチョに絞られた肢体は、もはや性別を超越した神々しい美しさすら感じさせる。
 そして傍らに並ぶのは対照的に小柄でボーイッシュな美少女。
「王・耀華(ワン・ヤオファ)アルヨ。気軽ニ『ニーハオ』呼ンデクレタラ嬉シイアル」
 ニーハオは無表情のまま観客に大きく手を振った。
「ミナ、ヨロシクネ!」
 そんな彼女の衣装は、指ぬきグローブとショートパンツ以外はほぼマリアとお揃いである。
「少しでもゴージャスでラグジュアリーな気分を味わって貰えれば嬉しいわぁ」
 オリジナル曲「luxurious future」のイントロがかかると同時に、『E:U』の2人は足に履いたローラースケートでステージ狭しと走り回りながら歌い始めた。
 舞台天井から降りて来たミラーボールが回転し、色とりどりの照明を反射させて煌めく。
 マラボーやファーをなびかせ、マリアはドラッグクイーンならではのショーで磨いた妖艶なダンスを存分に披露。

『♪ゴージャスに生きましょ
 心は豊かに絢爛豪華に ゴージャスに生きましょ
 身も焦がれるようなダンスと共に』

 羽根扇子を振り振り、妖艶な流し目を送って観客を煽る。

『♪さぁ、目指すはluxurious future』

 最初は面食らっていた観客も、歌のサビに入る頃には総立ちになってマリアを真似て踊り始める。気分はさながらフロリダのダンスクラブだ。
 ニーハオは身軽でアクロバティックなパフォーマンスを見せて客席を湧かせた。
(ミナ笑顔。ニーハオ、ソレ、トテモウレシイ)
 最後に大きくジャンプして華麗な爆転を決めると、惜しみない喝采が浴びせられる。
「皆、楽しんでくれたかしらン?」
「聴イテ、観テクレテ、アリガトデシタアルヨ!」
 マリアは艶めかしく、ニーハオは控えめな微笑みを浮かべ、観客に大きく手を振りながら退場していった。

「意外に受けてますね‥‥」
 楽屋のモニターで会場の様子を見ながら、鏡介がやや不安そうにいった。
「ふんっ、何よこれくらい」
 むっとしたように腕組みするマレカ。
 電光掲示板のグラフでは早速映姫やマリア達の得票が伸びていくが、まだまだ単独トップの葉枝姫子には届かない。

 続いて恋音がステージに立つと、舞台の雰囲気はまたもやガラリと変わった。
 琵琶を携えた彼女の衣装は弁財天をイメージしたコスチューム。
 先刻とは一変し純和風のバックミュージックが流れる中、琵琶の弾き語りが始まる。
 江戸時代の有名な人形浄瑠璃作品の歌詞と旋律に現代的なアレンジを加えた演奏と、日舞の動作を応用した柔らかで繊細な踊り。
 序盤は愛し合いながらも引き裂かれていく男女の哀切な心情を切々と歌い上げ、2人が心中に至るクライマックスが近づくにつれ、次第にテンポが速くなり一段と情熱的な演奏と歌唱へと盛り上がっていく。
 露出を抑えた天女風の衣装が、舞の動きにつれて次第にはだけてきた。
 特に意識したわけではないが、必然的にさらしを取った巨乳の谷間もちらちらと見え隠れ。
 歌う恋音の表情も、心なしか艶っぽく上気していく。

 息を呑んで見守っていた会場が、演奏が終わると同時に割れんばかりの拍手に包まれた。

「すげぇ‥‥あれで高校生かよ?」
 己の立場も忘れてモニターを凝視していた鏡介は、ふと残念そうな顔つきで背後にいる主の胸を見やる。
「見比べるなーっ!!」
 その顔面にマレカの拳がめりこんだ。

 照明を落とし薄暗くなったステージにスポットライトが当てられ、その光の中に黒いタキシード姿のエイルズレトラが登場した。
(コンテストの順位なんかどうでもいいさ。僕はアイドルじゃなくてマジシャンなんだから)
 彼のオリジナルBGM「Pumpkin Magician」が流れる中、まずはトランプやコインなどを小道具に使ったテーブルマジックから披露する。
 一見地味だが高度な技量を要する手品の数々に、客席の各所からも感嘆のため息がもれた。
 いよいよ最後の演目となったとき、少年の手にした1枚のトランプがみるみる大きくなっていった。
 両手で抱える程の大きさにまで巨大化したトランプを、エイルズレトラはえいっと真上に投げ上げた。
 空中で止まったトランプが、今度は彼自身を目がけて頭上から落下してくる。
「きゃー!」「危ない!」
 客席から小さな悲鳴が上がったその瞬間、巨大トランプはエイルズレトラを直撃!
 ――が、少年の体は一瞬にして無数のトランプに変わり、花吹雪のごとく舞台上に飛び散った。
 スキル「空蝉」を応用したイリュージョンである。
 間もなく大道具の陰に隠れていたエイルズレトラが姿を現し、観客に向けて恭しく一礼した。
 客席からは拍手喝采が上がるも、歌のステージで演じられた「マジックショー」をどう評価すべきか、審査員達は戸惑い気味に目を見合わせている。
 そんなことにはお構いなく、エイルズレトラは得意満面の表情で、電光掲示板さえ一顧だにすることなく悠々とステージから立ち去っていった。

 初参加であるにも拘わらず、各々インパクトのある演出と素人離れした歌唱力が評価されたのか、学園生徒達の得票数はぐんぐん伸びていった。とはいえ、番組の常連で知名度の高い葉枝姫子のトップは未だに揺るぎない。

「跪け、人間ども!」

 その姫子がいよいよ舞台に上がると、客席から大きな歓声が上がり、最前列ではハッピを着込んだ親衛隊(主にM系男子)が姫様コールを連呼した。

「今夜のために用意した新曲よ。有り難く聴きなさい!」

『♪僕はイケメンじゃない?
 バカねそんなことで落ち込まないで
 男は顔じゃないの 魂(ハート)が全てなのよ
 養豚場の豚をごらんなさい
 あいつらの顔なんか見分けつく?
 人間だって同じこと
 解ったんならつべこべいわず 美味しい魂(ハート)を頂戴よ』

 相変わらずひでぇ歌である。
 だが美少女アイドルの毒舌ソングにM男達は痺れ、一般の観客も「ブラックユーモア」と解して笑いながら拍手する。
 まあ姫子=マレカにしてみれば本音をそのまま歌っているわけだが。

「ざっとこんなモノよ。まあこれが格の違い‥‥って、ええっ!?」
 ドヤ顔で楽屋に引き上げたマレカは、モニターを覗いて愕然とした。
 ステージ上に、マイクを持ったもう1人の悪魔がいたからである。

(なに? あんな小娘が人気なの? ドルオタってどーしようもないわね)
 たった今終わった葉枝姫子のステージを思い返し、ブルームーンは内心で苦笑していた。
(なんかちょっとキャラ被ってる気がするし、真正面から被ってる分のパイを奪いにかかってやるわ)
 姫子同様の小悪魔風コス(翼と尻尾は本物だが)で登場した新たな美少女を目にして、観客席からも戸惑うようなざわめきが聞こえる。
 舞台上の高みから観客を見下ろし、元来S気質のはぐれ悪魔はゾクゾクするような快感に見舞われた。
「魔界から来たブルームーンよ。今夜は本当の悪魔の魅力、教えてあげる♪」
 鞭のごとく尻尾の先でピシリと舞台の床を叩く。
 ハイヒールを履いた爪先が誰かを踏みつけるようにグリグリ動く。
 もうそれだけで、M男達の視線は魅入られたかのごとく釘付けとなった。
 やがて歌い出すブルームーンだが、その内容は意外にもキュートなアイドルソング。
 小悪魔チックな外見と演出でM男達を魅了し、ノーマルな歌で一般層にアピールする、姫子とは別の意味でのギャップ萌え狙いである。
 やがて軽やかに踊り出したブルームーンをフラッシュライトが照らし出し、1ステップごとに彼女の衣装が変わると、客席は驚きにどよめいた。
 忍法「雫衣」を応用した鮮やかな早着替えだ。
 そして可愛らしく歌っている最中にも時折発せられる小悪魔の笑顔とサドい視線が、客席の男達をこれでもかとばかりに惹きつけるのだった。

「どーいうことよ!?」
 電光掲示板の得票グラフで、自分の得票がガクッと下がり、その分ブルームーンの票が伸びていく様を見てマレカは怒鳴った。
「マレカさまのメイン支持層であるM男は概してお姫様より女王様に弱い。つまり歌やダンスが互角なら、やっぱりお色気のある方が――げはっ!?」
「呑気に解説してる場合かーっ!!」
 鏡介の脇腹にマレカの膝蹴りが食い込んだ。
「しかしはぐれ悪魔まで混じってる以上、あの学生どもは全員撃退士と考えた方がよさそうね」
「げっ‥‥!?」
 脇腹を押さえて蹲った鏡介も青ざめる。
「ど、どうしますか?」
「数の上では向こうが有利、下手に仕掛けるのは無謀よ。しばらく様子を見ましょ」
 そこまでいってふとマレカが顔を上げると、これからステージに向かう千景と目が合った。
「‥‥どうかしたか?」
「いえ何でも。マネージャーさんがお腹が痛いって‥‥大したことじゃないから心配ないわ」
「そうか。お大事にな」
 マレカ達を警戒しつつも、特に行動を起こす様子もないので、千景はそのままステージに昇った。

(こんな風に舞台で歌うのも久しぶりだな)
 いつもの革ジャン姿でマイクをとった千景は、観客に挨拶した後バラードを歌い始めた。
 かつてインディーズバンドのボーカルとして活動していた日々が胸中に蘇る。
 思えばバンド仲間が天魔の襲撃で命を落としたことが、音楽から身を引き撃退士となった動機の1つでもある。
(あいつが生きていれば今頃‥‥いやそいつは未練か)
 正直優勝には興味ないが、この機会に再びステージで存分に歌いたかったのもまた本音だ。
 きらびやかな照明にシックな伴奏。
 客席から見つめる無数の視線。
 歌い終えた千景が一礼すると、大きな拍手が応えた。
 久々に歌いきった満足感と一抹のほろ苦い想いを噛みしめつつ、舞台を降りた千景は楽屋に戻り、再びマレカ達の監視に付いた。
(できれば他の皆の歌もじっくり聴きたいが‥‥やれやれ、まぁ、仕事だから仕方ないな)

「みんな今夜は来てくれてありがとう! 私達の歌、最後まで楽しんでね!」
 今夜最後の出演者となるユニット「花唄撫子」のユーカリが客席に向かって朗らかに叫んだ。
 トリオの並び順は客席から見て鯉、ユーカリ、秘密。ユニットリーダーであるユーカリがセンターに位置どる。
 そんな彼女の衣装は黄色と黒を基調としたコスチューム。
 変わり種のアイドルも多い中、あえてオーソドックスなアイドルソングを。
 キラキラ感全開のサウンドで、真正面から挑戦したい。
「誰もが気軽に口ずさめるような歌を届けたい――そんな気持ちを込めて作ったんだ。『春色花唄』聴いてください」

『♪ホップステップで大ジャンプ 桜の花弁 華麗にキャッチ
 振り向いて 満面の笑み浮かべて きらいだよときみに告げる
 四月の嘘は やさしくて せつなくて
 握った手のひらは まだ開かなくて』

 イメージカラーであるピンクの衣装に身を包んだ鯉も、熱く強気なダンスで場を盛り上げる。
 スキルは一切用いず、あくまで己自身が磨いた歌とダンスで観客を魅せる。
(バトルだろうと歌合戦だろうと、ガチンコ勝負こそが一番面白いのよ)

『♪花唄え撫子 春は乙女の季節
 花開け撫子 夢は乙女の鼓動
 春色花唄 世界中 包み込もう』

 淡い青色の衣装で着飾った秘密はクールに、しかし仲間の2人に負けない情熱を込めて歌う。
 一回限りの作戦なら派手に演出するのも手だが、彼女達のアイドル活動は今後も続くもの。
(歌も踊りもマイクパフォーマンスも、今の自分にできる最高を見せることに専念するわ)

『♪ワンツースリーで深呼吸
 桜の花弁 制服にひらり
 追い越して 泣きそうな顔して 好きだよときみに告げる
 四月の嘘は はかなくて わがままで
 うつむいた顔はまだ 前を向けなくて』

 いつしか観客は総立ちになっていた。
 今夜初めて観る彼女達の歌に熱狂し、あたかも長年のファンだったかのごとく手拍子を取り、ペンライトを降る。

『♪花唄え撫子 春は乙女の季節
 花開け撫子 恋は乙女の希望
 春色花唄 世界中 幸せであれ』


 やがて電光掲示板に人気投票の最終結果が表示された。

 優勝は最後の登場で会場の観客と全国の視聴者を虜にしたユニット「花唄撫子」。
 まさに土壇場の大逆転である。
 また初参加ながら個性豊かなパフォーマンスを披露した他の久遠ヶ原生徒達も、各々上位に名を連ねる。
 特に琵琶を演奏した恋音には、その卓越した技量(及び魔胸)が審査員一同から高く支持され特別賞を受賞。
 一方、優勝候補の筆頭だった葉枝姫子はこれまで獲得した票を3/4以上失うという大惨敗に終わった。

「‥‥」
「マ、マレカ様、お気を確かに――あっそうだ! ディアボロを呼んでTV局ごとぶっ壊しちまいましょうか?」
 唇を噛んで肩を震わす主を、必死に宥める鏡介。
 まあ本人的には「自分がとばっちりを食いたくない」一心であるが。
「‥‥まあ、いいわ」
 顔を上げたマレカはふっと笑った。
「負けは負け。今更ジタバタしたって見苦しいわよ‥‥今日のところはこれで退きましょ」
「さすがマレカ様! いや〜人間、じゃなくて悪魔が出来てらっしゃる」
「それはそれとして。‥‥こうなったのも、役立たずのアンタが全部悪いっ!!」
 鏡介の首根っこを引っ張り人目の付かない場所まで連れ出すと、憂さ晴らしとばかりボコボコに叩きのめすマレカ。
 ‥‥実は滅茶苦茶悔しかったらしい。

「嬉しいよ‥‥みんなありがとう!」
 トロフィーを抱え、半べそをかいたユーカリが鯉と秘密、そして学園の仲間達に礼を述べた。
「ふ、全然まだまだ。やるからにはトップアイドル目指さなくちゃね」
 全てを出し切った満足そうな笑みを浮かべ、鯉がユーカリの肩を叩く。
「そうよ。私達は今夜ようやく最初の一歩を踏み出したばかり。アイドルファンは目の肥えた人が多いし、これからも大いに精進しなくちゃ」
 クールな表情を崩さぬまま、それでも嬉しさを隠しきれない秘密がユニットメンバーを代わる代わるハグしていった。

 優勝は逃したといえ、他の学園生徒達にも早速各社のスカウトマンが駆け寄り、ステージはもちろんCD発売やグラビア撮影などのオファーを持ちかけてくる。
 撃退士でありながらアイドルデビューを飾った彼ら・彼女らのサクセスストーリーがこれから始まるのだが、それはまた別の機会に語られることだろう。

<了>


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:8人

みんなのアイドル・
下妻ユーカリ(ja0593)

卒業 女 鬼道忍軍
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
学園トラブルバスター・
久瀬 千景(ja4715)

大学部7年156組 男 ルインズブレイド
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
久遠ヶ原のお洒落白鈴蘭・
東風谷映姫(jb4067)

大学部1年5組 女 陰陽師
花唄撫子・
赤星鯉(jb5338)

大学部1年279組 女 陰陽師
七花夜の蒼薔薇姫・
ブルームーン(jb7506)

大学部7年113組 女 アカシックレコーダー:タイプB
花唄撫子・
芹沢 秘密(jb9071)

大学部3年253組 女 アカシックレコーダー:タイプA
スプリング・インパクト・
マリア(jb9408)

大学部7年46組 男 陰陽師
有志者事竟成・
王・耀華(jb9525)

大学部2年159組 女 陰陽師