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マスター:Barracuda
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
形態:
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/05/08


みんなの思い出



オープニング


 女悪魔、ザンスカル。

 外奪とゐのり率いる「恒久の聖女」一派の刑務所襲撃に加わった、兵士階級に所属する悪魔である。
 そんな彼女がいま、しおらしい表情を浮かべながら、さめざめと泣きはらしていた。
「外奪サン、本当に酷いんだから……わたしをこんな目に遭わせるなんて……」
 消え入りそうなか細い声で、外奪への恨み言を口にするザンスカル。
 黒いドレスから露出した彼女の豊満なバストが、彼女の零す涙で濡れた。

 彼女はいま(外奪が意図してそれを行ったか否かはともかく)、これ以上なく苦しい思いをしていたのだ。


 ザンスカルは、物心ついてこのかた、「その日その日を楽しく生きる」をモットーに生き続けてきた悪魔である。
 彼女は、この世のあらゆる理不尽に耐えられた。
 魂の空腹にも、上官からの侮辱にも、強者からの暴力にも、愛する者との離別にもだ。

 だが、そんな彼女がたった一つだけ、絶対に耐えられないものがあった。
 それは、「退屈」である。

「何かないかな……何かないかな……」
 外奪からお預けを食らったザンスカルは、早くも暇を持て余し始めた。
「何かないかな。つまらないな。何かないかな。つまらないな。何かないかな」
 だが、愚痴ればトラブルが振ってくるわけではない。お祭り騒ぎが始まるわけでもない。ザンスカルは時間つぶしにと思い、少し前に手に入れたスマートフォンという器具を手に取り、あてどもなくキーを操作した。
「何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかな何かないかなあああああ」

 同じ言葉を繰り返しながら、頭を前後に揺さぶるザンスカル。彼女はふと勢いあまって、スマートフォン――スマホに頭をぶつけてしまった。
「ああ、ありがとうスマホ君。きみのおかげで1秒だけ、痛みで退屈が紛れたよ」
 ザンスカルがそんな事を呟いたその時、頭をぶつけた衝撃によるものか、彼女の脳裏に一人の男の顔が浮かんだ。
(そうだ。確かいま、『例のカレ』も人間界に来てるんだっけ。ちょっと連絡取ってみようかな)
 ザンスカルはさっそく「カレ」の番号を記憶から掘り起し、スマホを操作し始めた。


「もしもし? どーも。元気だった? うふふー★」
「……その声は、ザンスカルか。久しいな」
「もちー。騎士昇進したんだって? 良かったね」
「……お陰様でな。そのせいでこちらは、面倒事が随分増えた。研究に回せる時間が減って困っている」
「役得ならぬ役損ってやつ? 大変だねえ」
「……全くだな。それで、用件は何だ」
「きみも今、人間界に来てるんだよね? そっちは何か、面白そうな事ない?」
「……面白そうな事、だと? お前は外奪卿の騒ぎに加わったのではないのか?」
「次の大騒ぎはちょっと先っぽいんだよね。だからそれまで、何か面白い暇つぶしでもないかと思って。きみが人間界に来たって事は、そろそろ一騒ぎあるんでしょ? ねえお願い、誘って。ひとりでチマチマ人間襲うのもつまらないし」
「……分かった。いいだろう」
「いいの!? やった! 愛してる!」
「……話は最後まで聞け。いま私は、新開発したディアボロの実験で、関東の市街地に来ている。その実験が終わるまでの間なら、時間を作ってやってもいい。その時に、こちらの『暇つぶし』がどんなものか教えてやる。話せる範囲でな」
「うんうん」
「……合流するかどうかは、それから決めろ。それと、外奪卿への義理は通せよ。これ以上、面倒事を増やさんでくれ」
「うん、分かった! オシャレして行くね!」


 数日後。

 撃退士のあなたが街中で休暇を楽しんでいると、久遠ヶ原からあなたの元に、緊急を報せるメールが届けられた。
 以下に、その内容を記す。



緊急指令

悪魔ザンスカルの姿が市街地で確認された。

ザンスカルは、子爵級悪魔は外奪の率いる「恒久の聖女」の刑務所襲撃に参加した女悪魔である。
過去の記録からは、彼女が生物のコミュニケーション能力を奪う能力を有している事、状態異常を誘発する蝶を生み出しての遠距離戦を得意とする事、弓を主武器とし、回避能力と移動力、特殊抵抗に優れる事などが明らかになっている。

現在、そのザンスカルが街中に現れ、往来の店でショッピングを楽しんでいる姿が確認された。その行動の真意は不明であるが、敵対勢力である彼女が市街地に出現したのには、何らかの意図があるものと思われる。

直ちにザンスカルを追跡し、情報を収集してもらいたい。
本任務は、このメールへの返信をもって、正式に依頼を受諾したものとして扱う。



 メールに添付された画像ファイルには、ザンスカルと思しき女の姿が写っていた。
 長く艶やかな黒髪。体を覆う黒いドレス。黒と緑のオッドアイと赤い舌が彩る笑顔は、瘋狂そのものである。

 こんな悪魔が人の街に遊びに来るなど、全く悪い冗談だ。
 そう思って苦笑したあなたが、ふとスマホから頭をあげると……

 いた。

 一瞬目を疑ったが、間違いない。ザンスカルである。
 人ごみで距離も離れているせいか、向こうはこちらに気付いていないようだ。
(これは、追うしかない)
 あなたは、受け取ったメールのタイトル欄に「任務受諾」の旨を書き、返信のボタンを押した。


リプレイ本文


 麻生 遊夜(ja1838)はスマホを操作して参加者の顔ぶれを頭に叩き込んでいた。
 佐藤 としお(ja2489)、若松 匁(jb7995)、来崎 麻夜(jb0905)とヒビキ・ユーヤ(jb9420)。
 いずれも先日、ザンスカルと一戦交えた仲間達だ。
(俺らは前に姿見られてっから避けられやすかろう。なんでま、監視と追跡に回るとしようか)
 遊夜は残りの顔ぶれも確認した。ミハイル・エッカート(jb0544)、ユウ(jb5639)、華愛(jb6708)の3名だ。
 学園の情報によれば、ザンスカルは新顔に分類される悪魔である。先日の『恒久の聖女』による刑務所襲撃にて初めて存在が確認され、それ以降は学園側との交戦した記録はない。この3人なら面は割れていないと判断していいだろう。
 遊夜がそう思い仲間達に連絡を入れようとした時、としおからメールが届いた。



いま、「彼女」を目視できる距離にいます。
これから追跡しつつ、警察に協力を要請する予定です。



(皆の位置は地図アプリで確認できるようにするとして……問題は喋々叭止だな)
 仲間同士の連携が成否を分けると言っても過言ではない今回の依頼において、意思疎通の手段はしっかり確保したい。ザンスカルの性格からして、街中で愉快犯的にあの能力を使う可能性は十分あり得ると遊夜は考えていた。
(いつか眉間にぶち込んだるけぇのぅ……その為にも鍛錬と情報収集は欠かせん)
 まずは『網』を張るのが先だ。遊夜がとしおに了解のメールを返すと、向こうから麻夜とユーヤが来るのが見えた。


 一方、その頃。

(ウエヘ……かかったかかった)
 ザンスカルは先程から、背中へと注がれる針のような視線を感じていた。街の男達のそれとは異なる、狩人の視線だ。
(ああ……いいなあ、ゾクゾクする。撃退士かなあ)
 胸の谷間から取り出したスマホをザンスカルが軽く触ると、彼女の指先がスマホの液晶をすり抜けた。物質透過だ。
(阻霊符は使ってないか……まあここまでは予想通り。せっかくだから、遊んでいこうかな)
 そう思ってしばらく街中をぶらついていると、彼女を背後から呼ぶ声がした。先程の視線の主とは別の相手だ。
「よう、そこのスタイリッシュに洗練された姉ちゃん、俺と交友を深めてみないか」
 振り向いた先に立っていたのは――ポーカーフェイスでナンパ師を装うミハイルだった。
 ザンスカルはそれに、無邪気な笑みで応じた。新しい玩具を目にした子供の表情である。

「スタイリッシュ? 洗練? てことは当然わたしの事だよね?」
 ミハイルの声を聞くと同時にザンスカルは彼の元に駆け寄り、その手を握りながら上目遣いの視線を送った。
「ああ。イイ女すぎて、周りの女が霞んで見えるほどだぜ」
 ミハイルがサングラスを外してザンスカルに微笑んだ。ポーカーフェイス様様だ。
「交友を深めたいの? わたしと?」
「ああ。俺はあんたみたいなイイ女が大好きなんだ。どこでも付き合うぜ」
「嬉しい! わたしもちょうど退屈してたところだったの! 死にそうなくらい!」
 ザンスカルは笑みを浮かべると、自分の方から腕を絡めてきた。
 相手がこうもあっさりと応じてきたのは若干想定外だったが、ミハイルにとっては嬉しい誤算である。
(さて、ザンスカル。これからあんたの情報、喋ってもらうぜ)
 ミハイルの目が、きらりと光った。


「はい、としおです」
「こちら、ユーヤ。……そっちは、順調?」
「ええ。ミハイルさんが接触に成功しました」
 するとスマホの向こうから、遊夜の声が流れてきた。
「『了解!』『ザンスカルが逃げたら』『翼で飛んで』『追いかけるぜ!』」
 途切れ途切れの音声を聞いて、としおはすぐに合点がいった。
「それが、例の『対策』ですか?」
「……ん。メーリングリストから、落とせる」
 過去のザンスカルとの交戦経験を踏まえ、遊夜が編み出した喋々叭止対策である。

――いくら奴でも、録音した音声までは変えられんだろうぜ。

 遊夜の不敵な笑顔が、としおの脳裏に浮かんだ。
「ヒビキさんは今、デパートに?」
 スマホの地図アプリを見ながら、としおが尋ねた。
「ん、そう。屋上にいる」
「ミハイルさんとザンスカルが入ったビルの隣ですね」
「ん。ここから見れば、人の出入りは、一目瞭然」
「分かりました。では僕は、今のうちに『網』を張っておきますね」
 繁華街の中には、防犯用の監視カメラが設置されている。としおは警察に事情を話し、協力を仰ぐつもりなのだ。
「……ん。了解」
「他の追跡班のメンバーは、予定通りに?」
「……ん。みんな、所定のポジションに、移動、してる」
「『了解だぜ!』……再生も大丈夫そうですね」
「ん。何も、問題、ない」
「じゃ、何かあったら連絡を」
 あの頭のネジの飛んだ女悪魔がどんな行動に出るか、としおにはまったく予想がつかなかった。考えうる限りの最悪の事態を想定し、対抗策を二重三重に用意せねばならない。
(この前はまんまと逃げられたからな……今度こそ、絶対に捕まえてやる)
 そう。この戦い、勝つのは自分達だ。


 程無くして、ザンスカルとミハイルはビルから出てきた。

「でも、本当に良かったね。きみの言うスタイリッシュで洗練された女のコがわたしのことで」
 ミハイルに買ってもらったロリポップキャンディを舐めながら言うザンスカルに、ミハイルが尋ねた。
「うん? それは、俺が良かったという意味か?」
「そう。『お前のことじゃない』なんて言ってたら、きみの目をくり抜いてたから」
「くり抜くだって? どうやって?」
「ふふふ。それはね」
 ザンスカルは水平にしたキャンディを、ミハイルの眼窩に突きつけ、軽く手首をひねった。
「こうやって、キャンディを目の下に差し込んで、ポン! って。ウエヘ!」
(なるほど、こいつはまともじゃないな)
 ミハイルはポーカーフェイスを再度使用し、ザンスカルに質問を投げた。内容は些細なものでいい。まずは相手の興味を引くのが肝心だ。
「で、くり抜くのは片目だけか? それとも両目か? 俺だったら、片方は残したろうな」
「変わったこと聞くね、きみ。気が合いそう! もちろんわたしも、片目だけだよ。目が腐ってるくらいの奴はそれで十分」
「ほう。じゃあ、両目をくり抜くのはどんな奴だ?」
「『スタイリッシュで洗練されてるな。もっとも首から上は別だけどな』とか考えてる奴」
「ははは」
 ミハイルは乾いた声で笑った。相手に心を読む能力がなくて良かったと、今ほど思ったことはない。
 世間話もそこそこにミハイルはザンスカルに向き直ると、単刀直入に用件を切り出すことにした。
「――ところであんた。悪魔だろ?」
「ばれちゃった? うまく化けたつもりだったのに。やっぱり隠してても、滲み出るものがあるのかなー」
(隠してたのか、あれで)
 内心の思いをおくびにも出さず、ミハイルはザンスカルにそっと耳打ちした。
「実はな、俺は悪魔の嗜好ってもんに興味あるんだ。娯楽で人間を殺したり、殺し合いをさせたりな。昔から人間もやってきたことだが規模が違う。それを知りたいのさ。人間と争う魔界の連中が、どんなものを好むのかってね」
 ミハイルは続けた。
「人間の街中を堂々と歩くような、あんたみたいにイカれた悪魔と是非お近づきになりたいと思ってね。俺は最近退屈してるんだ、何か刺激をくれないか」
「……ふーん、刺激ねえ。どうしようかなー」
 そう言って悩んでいるザンスカルに、次なる接触班のメンバーが近づいた。匁である。

「あ! 監獄の時のお姉さん! ……と、えっと……?」
「ん? あっ、撃退士の赤ずきんちゃん! あ、この男の人? さっきわたしをナンパした人」
「『マイケル』だ。よろしくな、撃退士さん」
(なにこれ? 信じられないんですけど)
 匁は呆気に取られつつも、すぐに気を取り直した。
「あたし、若松 匁。お姉さんはザンスカルでしょ?」
「その通り。よろしくね、匁ちゃん。ウエヘ!」
 自分達を苦しめた敵が、笑顔を浮かべて目の前にいる――
 奇妙な現実を目の当たりにして戸惑いを感じつつも、匁は興味津々といった表情でザンスカルを見た。
「ほほーぅ……お姉さん、此れから何かあるね? 溢れ出るわくわく感が言ってるよ。楽しい事があるんでしょ?」
「分かる? これからね、すっごい楽しいものが見られそうなんだよね!」
「ふーん」
 そう言って、匁は傍にあるカフェにちらりと視線を送った。
「ぁ、そだ。お姉さん、あたしとゲームしない?」
「ゲーム?」
「立ち話も何だしさ。負けた方が勝った方に奢るーとか! その『楽しみ』がほんとに楽しいのか運試しもかねて!」
「ウエヘ! もちろんいいよ!」
 キャンディを舐め終えたザンスカルを見て、ミハイルが笑う。
「面白い。なら俺も、その勝負を見届けさせてもらうぜ」

 こうして3人は、カフェへと向かった。


「協力感謝します」
 としおは警察の協力を取り付けると、防犯カメラの映像を入手した。ダウンロードした管理ソフトに映し出される画像をチェックしていくと、そのひとつにザンスカルの姿が映っているのを見つけた。
(接触班のふたりも一緒か。今のところは順調みたいだ)
 3人は今、通りに面したカフェのテラスでお茶を飲んでいた。ミハイルと匁がうまく誘ったのだろう。当面はこれで大丈夫だろうが、まだ安心はできない。カメラでも捉えられない場所があるからだ。
(人気のないエリア。そして、ビルの屋上などの高所。このふたつは、カメラでの捕捉は困難だ)
 カメラは人通りの多いエリアをメインに設置されており、街中のすべてをカバーしているわけではない。まして空中で移動する相手ともなれば、出る幕はなくなる。カメラが設置されているのは、高い所でも10mに満たない。
 そこへ、ユーヤから連絡が入った。
「カメラの方は、どう?」
「OKです。手配してもらえました」
「ん、了解。なら私は、街の東に移動する」
 追跡班のメンバーは街中に散らばっていたが、東側だけが手薄な場所となっていた。
「分かりました。ザンスカルの監視は、僕とカメラで継続します。万一逃げた時は、華愛さんが召喚獣で追う予定です」
「ん、了解。気をつけて」
 ユーヤは通信を終えた。

「……さて、と」
 仲間の現在位置を把握すると、としおはおもむろにスナイパーライフルXG1を構えた。
 彼が張る『網』の、最後の仕上げだ。
(『これ』が役に立つ機会がない事を祈るしかないですね。……始めますか)


 一方その頃。
 匁とミハイルとザンスカルの3人は、カフェのテラスでコイントスに興じていた。
 ただ奢るだけではつまらないからと、匁が勝負を持ちかけたのだ。

 勝った方が質問し、負けた方が答える。
 ルールはこれだけだった。
 コインを投げるのはミハイルである。

 最初に勝ったのは匁。無論、ミハイルが勝たせたのだ。
 彼にとって、コインの裏表の操作など朝飯前である。

「やった!」
「おめでとう、匁ちゃん! それで、わたしに何を聞きたいのかな?」
「えーとね、えーと……お姉さんが、この街に来た理由が聞きたいな」
「やっぱり? 気になるよね? ウエヘ!」
 ザンスカルは笑って答えた。
 確かに気になる。大いに気になる。
「大事なひとと会う予定があるの。この街でね」
「それって、男のひと?」
「そうだよ。ウエヘ!」
「人間? 悪魔?」
「それは匁ちゃんが次に勝った時に教えてあげる★」
「じゃ、じゃあもう一度!」

 コインが投げられた。匁が勝った。

「おめでとう! ウエヘ! そうだよ、彼は悪魔なの」
「やっぱりー」
「お待たせしました、こちら紅茶とプリンパフェになります」
「おお、悪いな」
 ミハイルは、注文したプリンのカラメルの部分だけを削り取って食べた。
(次、ザンスカルに勝たせるぞ)
 という合図である。一方的に匁が勝ちすぎて、こちらが疑われることは避けねばならない。
「さあ、どっちだ?」
「えーと、裏!」
「ウエヘ! 表!」
「……残念、表だ」
「やったー勝った! じゃ、次はわたしの質問ね!」
 エスプレッソを注文したザンスカルは、ミハイルを指差して言った。

「その撃退士さん、匁ちゃんの仲間でしょ? 本当はなんて名前なのかな?」


「……!!!」
 匁はむせた。飲んだ紅茶が気管に入ったのだ。
「大丈夫? はいハンカチ。ウエヘ!」
「あ、ありが……ケホッ」
「で、どうなの? 何ていうの? あ、お兄さんが答えてくれてもいいよ!」
 ザンスカルの表情には、確信の色があった。カマをかけている様子はない。
「え、えーとなんのことだかあたしにはさっぱり」
 目を白黒させて狼狽する匁の肩をミハイルが叩き、無言でかぶりを振った。
 この状況でしらを切っても滑稽なだけだ。
「……ミハイル・エッカートだ」
「ふふふ。さっきより今の顔の方がずっといいよ。誘われるなら断然そっちだな、ミハイルさん」
「そいつはどうも」
 苦笑するミハイルとザンスカルに挟まれた場所で、匁が呆然と呟いた。
「え? ていうか何? どうして分かったの?」
「ウエヘヒヒ……簡単だよ」
 そこへ、店員がエスプレッソを運んできた。
「お待たせいたしました」
「どうもありがとう。……それはね匁ちゃん。こういうこと」
 そう言って笑うザンスカルの傍で、注文の品を渡した店員が3人に背を向ける。
「えい♪」
 そして次の瞬間、匁は見た。
 突き出されたザンスカルの手が、店員の背中にスッと埋まったのだ。
「……!」
 息を呑んだ匁に、手を引き抜いたザンスカルが微笑んだ。
「わたしはね、この街に来てからずっと物質透過を使ってるの。でも何故かミハイルさんにだけは通じなかった。手も普通に握れたんだよね。どうしてだと思う?」
「光纏、か……」
「ご名答! ウエヘ!」
 ザンスカルは笑った。光纏状態の人間は、天魔の透過能力を強制的に無効化するのだ。
「で、でも! それじゃミハイルさんが撃退士と判断した理由にはならないし! 何か根拠はあるんですか!」
「もう質問? でもいいよ、教えてあげる。それはね」
 ザンスカルは続けた。
「ミハイルさんが、わたしが『魔界の』悪魔だって知ってたから。それが根拠」
「え? ま、魔界の……?」
 ザンスカルはエスプレッソを一口で飲み干した。
「『街中を堂々と歩くようなイカれた悪魔』。ミハイルさんはわたしをそう呼んだ。でもさ。学園のはぐれ悪魔なら、街中を堂々と歩いてても全然おかしくないよね? つまり彼は、最初から私を魔界の悪魔と知って近づいてきたってこと」
 匁の頬を冷や汗が伝った。
「最初から光纏モード全開だったもんね、ミハイルさん。もし彼が悪魔マニアの物好きで、見ただけで相手が悪魔かどうか見抜けてもさ。所属がどこかなんて事まで、ふつう分からないよね? どうして彼はそんな事まで知ってたのかな?」
「うぐっ」
「わたしはマイナーな悪魔。あの刑務所の一件以外で、わたしは人間を一度も襲ってない。人里に下りたのも今日が初めて。嘘だと思うなら学園で調べてごらん? 匁ちゃん達との交戦記録以外、ひとつも見つからないから」
「そ、それはほら、ザンスカルさんの襲った刑務所から情報が外に漏れたとか」
「囚人は全員、匁ちゃんとその仲間達が鎮圧して捕まえたのに? 『声』に感化された看守もいなかったのに? いったいどこから漏れたのか、わたしの方が聞きたいなあ。ウエヘ!」
「え、えーとそれは」
「人間界でわたしの情報を持ってる組織は学園と『恒久の聖女』だけ。でも『恒久の聖女』の構成員に『マイケル』なんてメンバーは存在しない。それはメンバーである私が断言する。わたしってこう見えても記憶力いいからね。信用できないなら今ここで外奪サンに聞いてもいいよ。ま、そんな理由で、わたしはミハイルさんを学園の撃退士だって断定したってわけ。ウエヘヒヒー!」
 ザンスカルが手を叩いて笑った。
「光纏状態でわたしに接触したってことは、正体がばれたらスキルで逃げるか仲間を呼ぶかする気なんでしょ。あ、試してもいいよ? 今ここで。ていうかそっちの方が面白そうだしね。ウエヘ!」
「ああいえっていうかどうしましょうみはいるさん」
「ふ……決まってるだろ」
 パフェを平らげたミハイルが、鼻をこすって右耳を摘んだ。ピンチの時の合図だ。
「逃げろ!」
 ミハイルがテーブルをザンスカル目がけて蹴り飛ばした。吹き飛んだテーブルが透過され、派手な音を立てて壊れた。
「ウエヘヒヒー! いいねえ、そう来なくっちゃ!」

 通行人の悲鳴が往来に満ちた。ザンスカルの背中から蝶の羽が顕現し、七色の鱗粉が周囲を舞う。
「お、お客様! ……起立、礼、着席!」
「何だ、喧嘩か? 石焼き芋、焼き立て!」
「竹や竿竹!!」
(喋々叭止! こんな時に……!)
 背を向けた匁の体が、ふいに宙へと浮いた。
「ちょ、ちょっと! 離して!」
「だーめ! 『楽しいものが見られる』って言ったでしょ? 匁ちゃんも一緒に見よう! 特等席でね、ウエヘヒヒー!」
「こちらミハイル! 若松がさらわれた!」
 ザンスカルは匁を抱えて、街の東へと飛び去った。


(始まったのです……!)
 ビルの谷間で悲鳴が上がったのを聞きつけ、華愛は状況が動いたことを察した。
「『敵が動いた!』『追跡するぜ!』」
 宙を舞うザンスカルを目視すると、召喚したスレイプニルにまたがり、すぐさま華愛もその後を追った。

(おや? 誰か追ってきたね)
 程無くして、ザンスカルも華愛に気づいた。
 背後の足元に目をやると、召喚獣にまたがった少女が、空を駆けて追ってくる。
(あれは召喚獣……バハムートテイマーか。面白そう!)
 ザンスカルは顔に笑みを浮かべ、蝶の羽を大きく広げると、再び背を向けて全力移動で逃げた。
 そんなザンスカルを、華愛が必死で追いかける。速さでは華愛がやや勝るようだ。
(あれなら大丈夫。何とかなるはずです)
 とはいえ、スレイプニルの召喚有効時間は、闇の翼のそれより短い。もたもたしていては見失ってしまう。通りの上空を飛ぶザンスカルを、華愛はスレイプニルの全力移動と追加移動で追いかけた。
(へえ、思ってたよりも速いね。これはちょっと計算外)
 このままでは振り切れないと判断したザンスカルは、カードを一枚切ることにした。通りの上空からビル街へと進路を変えたのだ。それを見た華愛の顔に緊張の色が走る。
(……! まずいのです……)
 屋上から飛び立った当初は十分な高さを維持していた華愛だったが、追跡を続けるうちに飛行の高度が落ちていた。
 スレイプニルが維持できるのは、高度10mまでだ。ビルに換算すると、3階程度の高さである。対して闇の翼で飛行できるのは、高度30m。10階程度の高さまで飛ぶことが可能なのだ。高低入り組んだビルが乱立するエリアに逃げ込まれれば、華愛の不利は避けられない。
「……速いの、です……」
 飛び石を飛ぶようにビルの上を移動する華愛。そうしている間にも、ザンスカルとの距離はどんどん開いていく。
 そこへ――
「ん。バトンタッチ。後は、任せて」
 スマホ越しに、華愛に声をかけた者がいた。街の東で待機していたユーヤである。
「私の陽光の翼なら、同じ高度で追跡可能。……逃がさない」
 ユーヤの脚に、アウルが集中。ブーツ底の肉球が白い輝きを放った。

「……縮地」

 空中を蹴り、白い弾と化してユーヤは飛んだ。


(おっ! 今度は別の子かな!?)
 新たな気配を背後に感じ、ザンスカルが振り返る。こちらは先ほどの少女よりも速度で劣るが、自分の闇の翼と同じ高度を維持していた。よく見ると、刑務所を襲撃したときに見かけた少女の一人だった。
 今度ばかりは、高度を利用して振り切ることは難しそうだ。ザンスカルはビルの屋上に降り立ち、再び闇の翼を展開して宙へと舞い上がった。背後からは、空を切る速度でユーヤが迫ってくる。
(仕方ない。カードの二枚目、切るとするかな。ウエヘ!)
 ザンスカルの蝶の羽の先端から、黒いアウルが噴出した。喋々叭止のそれとは、明らかに別物だ。
「離、して……」
 ザンスカルの空の動きに振り回されて酔いが回ったのか、匁の顔は蒼白だった。
「だーめ。それと匁ちゃん。口、閉じた方がいいよ。ウエヘ!」
 次の瞬間、匁とザンスカルの輪郭がぼやけた。

 蜂黽六飛。
 他のステータスを犠牲にして、移動力と回避率を大幅に上昇させるスキルである。

(――!?)
 ユーヤの目が、驚愕に見開かれた。
 ザンスカルの輪郭が突如ぼやけ、突き出されたトコロテンめいた残像と共に地平線の彼方へと飛んでいったのだ。
(……彼女。まだ、能力隠してた)
 ブーツの肉球が元の色に戻った事に気づいたユーヤは、付近のビルの屋上に着地した。
 縮地が切れたとなれば、陽光の翼もすぐに切れる。
(……追跡は、断念。仲間に、連絡する)
 彼方へと飛び去ったザンスカルを眺めながら、ユーヤはスマホを手に取った。


 数分後。

 ユウが街外れの本屋で客を装い待機していると、としおから連絡が入った。
「ユウです。華愛さんと、ヒビキさんは?」
「……振り切られました」
「そうですか……若松さんの携帯は?」
「カフェのテラスに落ちていました。残念ですが……」
 ユウの顔色が沈んだ。
「……分かりました。ということは?」
「ええ」
 ひと呼吸おいて、としおが言った。
「まだ、辛うじて。蝶は僕らの『網』の中に留まっています」


 ここで、話を少し前のカフェに戻す。

 この時、としおはビルの屋上で、スナイパーライフルの銃口を接触班のいるカフェテラスへと向けていた。
 彼が狙っているのはザンスカルではない――匁とミハイルであった。銃に込められたのは、マーキング用の弾である。
(もしもザンスカルがふたりをさらおうとした場合。彼女の体格から考えて、若松さんひとりを担いで逃げるはずだ)
 そんなわけで、としおは最初に匁にマーキングを撃つつもりでいた。地図アプリだけでは、スマホが壊れたり奪われたりした時に、追えなくなる危険がある。
(撃つなら、ザンスカルの注意が何かに逸れた一瞬を狙うしかない。今撃ったら感づかれる危険がある……)
 としおがそう考えた直後、ミハイルがテーブルを蹴るのが見えた。
(今だ!)
 としおのマーキングが、匁の右手に命中。次弾を装填し終えた時には、ザンスカルは匁を抱えて飛び去っていた。

 こうしてザンスカルの進路を割り出したとしおは、ユウに連絡を取ったのである。


「ではユウさん、追跡をお願いします。ナビは僕がやります」
「分かりました」
 としおの言葉に頷くと、ユウは物質透過を使用した。
 ユウの体がビルの壁の中に消えた直後、その上空をザンスカルが通り過ぎていった。

「そのまま直進してください。もう少し……そこでストップ」
 としおのナビに従い、ユウはビルの壁を潜り抜けながら進んでいった。
「人がいないか確認しているのでしょうか」
「ええ。かなり周囲を警戒しているようですね」
 匁を抱えながらではザンスカルは透過能力を使えない。だが、追跡されている事に気づけば、匁を放り投げて透過で姿を消す可能性は十分に考えられた。そうなったら今度こそ、追跡する術はなくなってしまう。
「いま、麻生さんと来崎さんがそちらに向かっています。僕と他の皆は到着まで、もう少しかかりそうです」
「了解です」
「……待って、ザンスカルが止まりました。今ユウさんのいる、西向かいのビルです。路上に降りたようです」
「分かりました。確認します」

 数分後、ザンスカルはビルからひとりで出てきた。
「佐藤さん。若松さんはビルの中に?」
「ええ。恐らく、発信機などの類を警戒したんだと思います。あるいは、僕達との『追いかけっこ』に飽きたのかも」
「分かりました。ここから先は私ひとりで追います」

 蜂黽六飛の効果が尽きたのか、ザンスカルの移動速度は地面に透過中のユウでも十分に終える速度だった。追跡から数分後、ザンスカルは街外れの廃ビルのひとつへと入っていった。としおの読み通りだ。
 位置の詳細を仲間達に連絡すると、ユウは今来た道を戻っていった。

 匁がユウによって無事救出されたのは、それから更に数分後の事だった。


 一方、その頃。

「よし、行くか。皆が作ってくれた道だ、絶対に成功させるぜ」
「うん、先輩」
 ユウからの報告があったビルに到着した遊夜と麻夜は、侵入とShadow Stalkerで気配を殺して廃ビルへと入り込んだ。
 遊夜の鋭敏聴覚が、廃ビル内の音を余すところなく拾う。周囲の雑音が少なかったおかげで、ザンスカルの居場所はすぐに特定が可能だった。最上階6階の中央フロアだ。

(ん、ここくらいまでが限度かな)
 非常階段を昇り、中央フロアの部屋から壁を隔てて少し離れた場所で麻夜は言った。
 ふたりの背後には大きなガラスの窓がある。万一気づかれたら、陰影の翼で遊夜を抱えて逃げるつもりだった。
(よし。じゃ、始めるか)
 遊夜と麻夜は床に耳をつけ、アウルを聴覚に集中させた。かすれるような小さな音だが、辛うじて拾う事は可能だ。

 待ち合わせ場所と思しき部屋の前で、ザンスカルの足音が止まった。
 ドアが開く。閉まった。ザンスカルが数歩、部屋の中へと進んで止まった。

「久しいな。ザンスカル」
「あっ、チャールストン! 元気だった!?」


 遊夜の耳に届いたのは30歳前後の男の声だった。ザンスカルの目的は、彼――チャールストンと会う事だったのだ。
(俺は男の声を拾う。ザンスカルを頼む)
 アイコンタクトで、遊夜が麻夜に指示した。
 チャールストンの声は、低く小さい。鋭敏聴覚でなければ拾うのは難しそうだった。
(了解。重要な情報漏らしてくれれば良いんだけどねぇ)
 麻夜が応じた。会話の内容を記録するには、役割を分担した方がスムーズかつ確実だ。
 ふたりは再び、聞き耳を立てた。

「随分と派手にやったな。あの喫茶店は大騒ぎだったぞ。金髪の男が、事態の収拾に大わらわだ」
「あー、彼にはちょっと悪いことしちゃったかな。ていうか、どうして知ってるの?」
「言っただろう。私はここに、ディアボロのテストに来ていると」

(どういうこと? ミハイルさん、ディアボロに監視されてたの?)
(らしいな)
 ミハイルはかなりのベテランに入る撃退士だ。
 その彼に接近して気づかれないとなると、相当に高度な変身・潜伏能力を有していると遊夜は思った。

「お前が街中で大人しくなどしている筈がないからな。必ず騒ぎを起こすと思いディアボロを放っておけば、案の定だ」
「えー。全然気づかなかった」
「潜伏用に調整したディアボロだからな。お前に気づかれるようでは、調整を一からやり直さねばならん」

 言葉に混じってチャールストンのものと思しき足音が聞こえた。音を手掛かりに、遊夜はその姿を脳裏に描いていく。
(上背があって、体格はやせ気味。恐らく前衛で戦うタイプじゃないな)

「万一戦闘が起こった時は、ディアボロと共に加勢する予定だったが……杞憂に終わったようだ。幸いだったよ」
「ちぇー。戦闘になれば面白かったのに」
「そうなったら損害は全て、お前に請求する予定だったがな。何しろアレは、貴重なデータの塊だ。下らん理由で全滅でもさせようものなら、1年や2年のタダ働きではとてもではないが弁償できんぞ」
「ごめん、前言撤回! やっぱり平和が一番だよね! ……ところでチャールストン、そろそろ本題なんだけど」
「分かっている。『暇つぶし』の件だろう?」
「そうそう! 何をする気なの?」
「簡単だ。暴れるのだよ。『ケッツァー』の協力者として」
「……え? 『ケッツァー』が? てことは『彼女』が人間界に来るの? 魔界に生きる女の子の嫉妬と羨望と憧れを一身に浴びる『彼女』が? 並居る部下達を引き連れて?」
「質問は一度に一回にしろといつも言っているだろう」
「ごめん。ちょっと興奮しちゃった」
「気にするな。お前の質問の答えは全て、『イエス』で済むからな」
「くそう羨ましいなあチャールストン。やっぱり騎士になると違うなあ」
「もっとも、行動を起こすのは幾分先になりそうだがな。お前と連絡を取り合った時とは、事情が変わって……」
 その時、ふとチャールストンの言葉が途切れた。
「チャールストン?」
「……ふふふ、やってくれたな。油断した」
「げ。ひょっとしてまだ尾けられてた?」
「そのようだな。……話はここまでだ、ザンスカル。お前は当面、外奪卿の下で行動しろ。準備が整い次第、連絡する」

(気づかれた!?)
 麻夜の視線に、遊夜はかぶりを振った。潜行は完璧だったはずだ。
 だが――
 ドアが開け放たれる音がした。足音が次第に大きくなってきた。
(間違いない、勘付いている。何故だ!?)
 そこまで考えて、ふと遊夜の心に恐ろしい仮定が浮かんだ。

 もしも。
 もしも、チャールストンのディアボロが、今も仲間達を監視していたら?
 もしも、仲間達がここに向かっている事を、何らかの方法でチャールストンに伝えていたら?

 開け放たれたドアから、チャールストンとザンスカルの声が聞こえた。
「もう行け、ザンスカル。私は鼠に挨拶をしてから帰る」
「あっ、チャールストン!」
「何だ?」
「伝言お願いできる? 『キャンディーとエスプレッソご馳走様』って。ウエヘ!」
「……自分で言え、そんなことは」

(マヤ! 逃げるぞ!!)
(了解だよ。掴まって!)
 ガラスをぶち破る派手な音がビルに響いた。

 遊夜と麻夜は、振り返らずに全力で逃げた。
 幸い、チャールストンは追ってこなかった。ディアボロとザンスカルも、それから姿を見せることはなかった。


 それから数日後。
 ザンスカル追跡の末に掴んだ情報として、以下の報告が学園にあげられた。

 悪魔騎士チャールストンとそのディアボロ。
 彼を協力者として抱える組織、「ケッツァー」。

 彼らが人類にいかなる災禍をもたらす組織であるのか、久遠ヶ原学園と撃退士達はまだ知る術もない――


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:9人

夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
竜言の花・
華愛(jb6708)

大学部3年7組 女 バハムートテイマー
一期一会・
若松 匁(jb7995)

大学部6年7組 女 ダアト
夜闇の眷属・
ヒビキ・ユーヤ(jb9420)

高等部1年30組 女 阿修羅