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マスター:星流 嵐
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2013/04/20


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

ズズーン・・・・・・

 目覚まし時計を消して二度寝しようとしていたまどろみの中で、遠くの方で低い音が聞こえた。
 数秒後、ゴオォォという地鳴りと共に部屋が激しく揺れ始める。
「な、なんだ!? 地震か!?」
 慌てて飛び起きてベッドから降りたが、激しい揺れに立っていられず近くの机に捕まる。本棚が倒れ、棚に置いてあった物が全て放り出された。
 少しして揺れが収まる。とても長く感じられたが、時間にしたら1分ほどだ。突然のことに呆然としていると、

ボォォォォォオォォン

 こんどは船の汽笛のような音が外から響いてきて、空気がビリビリと振るえた。
「こ、こんどは何だ!?」
 耳を抑えながらカーテンを開けてみると、窓から見える景色にいつもと違うものが入り込んでいた。
「なんだ? あれは・・・・」
 街の中心部の方に巨大な物体が見える。その手前に見える、この辺で一番高層の30階建てビルの3倍ほどの高さがある。雫形を逆さまに突き刺したような形をしている。

ドクンッ

心臓がどくんと鳴った。自分は、あれを知っている。
震える手で窓を開けた瞬間、強風が吹きつけて思わず目を瞑った。
そして、再び目を開けたとき、街が一変していた。

 現代の見慣れた街並みではなく、どこか近未来的な街並み。無機質な建物が多く、自然の緑が激減している。家の庭先にあった大きな桜の木も無くなっていた。遠くに見える逆雫形の巨大な物体だけが変わらずに鎮座している。
しかし、それらを当たり前のように受け入れている自分に気付く。
そのとき、上空からロータリーの轟音と共に突風が吹き降ろしてきた。手を翳して上空を見上げると軍用ヘリのようなものが降下してきて、目の前でホバリングする。
『隊長! お休みのところ申し訳ありません! 緊急出動命令が出ました!』
「状況は!?」
 ロータリーの音に負けないように叫ぶ。
『ターン・ドロップが今朝から活動期に入りました! 表面の7割に転移反応を確認! 敵出現予想時刻は、08:30。あと、1時間30分です!』
「ギリギリじゃないか!  “オーディン”を降ろせ! 出るぞ!」
『了解! オーディン、リフト・オフ!』
 ヘリの底部が開き、オーディンがワイヤーで吊り降ろされる。
 対ターン・ドロップ戦略兵器ラグナロク・シリーズ、重装甲重火器タイプ・オーディン。全高5mの大型パワードスーツだ。
 窓から飛び降りる自分は既にパイロットスーツを着ている。
 膝立の状態でいるオーディンの膝に飛び上がって、胸部の脇にあるハッチ開閉スイッチを押すと、胸部が真ん中から観音開きに開き、腹部まで覆う装甲板が下に開く。そこからコックピットに乗り込む。
「システム・スタンバイ!」
 音声認識により、コックピット内の計器が一気に起動する。ハッチが自動的に閉じられる。
『声紋確認。ハロー、マイマスター』
 柔らかい女性の声のAIが搭乗者の認識を行う。同時に手足がコントローラユニットに覆われ、ヘルメットが装着される。
「スクルド。緊急発進だ。起動シーケンスのA23から58までは省略だ」
『スクランブル・モード了解。感応接続開始』
 AIのスクルドの言葉で自分の五感が一気に拡張する。一瞬後には、自分の視線が家を見下ろす位置になる。機体を立ち上がらせ、両腕のハンドを握って感覚を確認する。今や巨大なパワードスーツが自分の体になっていた。
『反物質エンジン出力80%。発進可能域』
「オーディンでる!」
 巨体が一気に飛び上がる。空中でバーニアを全開にして数秒で最高速に達する。
「ドロップ野郎め! 好きにはさせないぞ! 街は俺が護る!!」

 ターン・ドロップ。80年前に突如宇宙から飛来し、この街に突き刺さった謎の物体。黒く滑らかな表面には一切の継ぎ目がなく。どんなことをしても傷一つ付けることもできなかった。あらゆる方法でその物体が何かを解析しようとしたが、今現在に至っても解明されていない。有力な説としては、それは別次元の存在なのではないかというものだ。それは飛来して1年は何も動きもなく鎮座していた。そのうち人々は、ただのモニュメントとして見る様になった。
それがある日突然変化が現れる。表面が淡く光始め、ゴツゴツした物体が現れ、そして、飛散した。獣型のロロボットのようなものが次々とターン・ドロップから出現し、街や人々を攻撃し始めた。人々は大パニックに陥り、自衛隊が出動して応戦したが多勢に無勢で、アメリカ軍や周辺諸国の援軍によって何とか撃退する。そして、約二ヶ月ほどで出現が停止し、ターン・ドロップも元の状態に戻った。その後、ターン・ドロップは世界の各国にも飛来し、5年周期で出現と休止を繰り替えし人類と終わりなき戦いを続けている。
敵も出現毎に強化されてくるが、人類側も敵の残骸から新たなテクノロジーを得ることができ、地球の文明と科学が飛躍的に進歩した。対抗兵器も次々に開発され、敵を圧倒できるまでになっている。
そして、遂に対ターン・ドロップ兵器が開発され、次の活動期に反攻することになっていた。

『総司令部より通達。ターン・ドロップ攻略兵器トゥールハンマーが発進した。各隊、トゥールハンマーを護衛に当たれ』
 人類の反抗が開始された。


リプレイ本文

『総司令部より通達。トゥールハンマー目標地点に到達。これより反攻作戦“ラグナロク”を開始する。繰り返す‥‥』
 対ターン・ドロップ兵器『トゥールハンマー』は巨大な電磁砲だ。大陸間弾道弾を思わせる巨大な砲身を二門備えている。まず、片方の砲身から時空振動波を撃ち出し、表面が励起したところをもう片方が超高出力の電磁砲を撃ち込むのだ。

『ヴァルキュリア部隊より総司令部へ。現在までの敵数は、翼竜型3000、竜型2000、地上狼型2000、熊型500を確認。うち、翼竜型と熊型にて、前戦データに無い機体を確認。ていうか、敵の数が半端じゃないのですよ!? ひーん、空が3分に敵7分なのですよ〜! さっ、作戦はどうするのです!?』
 前線に近い位置で、索敵していたヴァルキュリア部隊のRehni Nam(ja5283) (レフニー・ナム)伍長は、空に広がっていく敵軍の様子を愕然と見ていた。
『こちら総司令部。ナム伍長、落ち着いて下さい。リントヴルム隊と合流して指示通り作戦を遂行して下さい』
 総司令部のオペレータに宥められたレフニーは大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
「りょ、了解です」
 ヴァルキュリアは天使の翼のような飛行翼を展開すると、一気に空へと舞い上がった。

 トゥールハンマーを守護するオーディン部隊が敵と接触した。
 柊七紙(ja9238)中尉が率いる部隊も戦闘に入る。
「今こそ、勝利を掴み取る時がきたのだぞー!」
 七紙の部隊はトゥールハンマーの進路正面を護る。
「各機展開! 私達の希望に敵を近付けさせてはいけないのだぞ!」
『『『了解!』』』
 五感が機体と同化しているため、まるで自分が生身で戦場を歩いているような錯覚を受ける。そこへ敵や攻撃が殺到してくるのだ。オーディン機に乗るには、まずはその恐怖を克服しなければならない。
『敵、第一掃射きます。熱量解析。脅威レベル1。電磁シールド展開します』
 敵の狼型が放ったレーザーをサポートAIが即座に解析、シールドに弾かれ霧散する。レーザー砲撃を浴びながら何事もないように進撃を続けるオーディン達。その姿はまさに守護神のようだ。
「あーもう、鬱陶しいのだぞ!」
 七紙は視線感知式ロックオンシステムにより、目視できる狼型を次々にロックオンしていく。ものの2秒ほどで30機近くの敵をロックオンし、アーマードのミサイルポッドの発射ボタンを押す。一発の撃ち漏らしもなく戦場に爆発の花が広がった。
「2時の方向、敵が多いぞー。押し込まれる前に削るんだぞー」
 刻々と変わる戦況を見ながら的確に指示を飛ばしていく。

「グングニル3、行きます! 援護、よろしくお願いしますっ!」
 佐藤七佳(ja0030)准尉はスロットルレーバーをMAXに押し込む。機体背面ブースターを全開にして爆発的なダッシュで駆ける。チャージしたランスを前に突き出しながら敵の中央に突っ込む。
「やあぁぁぁっ!」
 進路上の敵を薙ぎ倒しながら突き進み、敵部隊の中心辺りで停まる。
 七佳は両腕を胸の前でクロスするように構える。周りは敵のみ。
「ミサイル全弾発射ぁぁっ!!」
 ロックオン無しに全弾発射される。辺りは爆発の嵐だ。
「撃てば当たる。撃墜数だけなら稼ぎ放題ですね!」
 しかし、攻撃を掻い潜って迫る敵もいる。飛び掛ってきた狼型をレーザーキャノンで撃ち抜く。七佳のは銃身を短くして取り回しを良くした接近戦用だ。ランスを展開して盾の代わりにしながら敵を次々に狩っていく。普段の気弱な様子からは想像も付かない戦い方だ。
「強襲突撃からの乱戦はあたしが一番なんですっ。しょ、正直凄く、こ、怖いですけど!」

「クカカカッ、報酬分は働かせてもらいまっせ!」
 秋津仁斎(jb4940)少尉は七紙と共にトゥールハンマーの防衛だ。突出してくる敵機を迎撃していく。
 AIの警告。
『方位03。敵、大型機接近。照合データ無し。新型です』
 仁斎は舌なめずりをして接近する新型に相対する。新型は熊型より一回り大きい。前屈み気味に長くて太い腕を突きながら歩いてくる。いわゆるゴリラ型というべきものだ。武器はオーディンと同じランス。
 敵が先に動いた。ランスを構えて走り出す。スピードは熊型より若干速い。
「さあ、お手並み拝見、なっ!?」
 敵がランスを突き出してきた。まだ間合いには遠いと思っていたら、切先が伸びてきた。反射的に機体を横にスライドさせると、右肩の装甲を敵のランスが掠める。ゴリラ型の腕が伸びたのだ。
「おもろいこと、してくれるやないか!!」
 叫びつつ間合いを詰めるために、仁斎は突進をかける。
 敵は腕が長い分、ランスを引いた時が大きな隙になる。何度か打ち合って、敵がランスを引くの合わせてオーディンが前に出る。至近距離で顔に向かってレーザーキャノンを発射。レーザーは弾かれるが、これは目暗まし。同時にブーストを噴かして飛び上りながら、相手の顎に膝を入れる。
「大層な図体しとるが、中はどないやねん!?」
 衝撃で開いた口の中にランスを突き刺すと、ゴリラ型の体を真っ二つにする。
「いっちょ、上がりや」

空でも激しい戦いが繰り広げられていた。
『後方20時よりミサイル接近』
 敵ミサイルにロックオンされたフェリーナ・シーグラム(ja6845)大尉のフレイヤ機は急上昇を掛ける。ミサイルもそれを追って上昇する。ギリギリまで引き付けて急降下を仕掛けたがまだ追ってくる。
「これならどうかしらっ!!」
 今度は急減速を掛ける。減速したためミサイルとの距離が一気に縮まる。コックピッチに接近アラートが鳴り響く。ここでバーニアを鉛直下方へ全開にする。
「ぐ、うぐぅっ!」
 機体がジャンプしたかのように、上に平行移動する急機動で、今度は血液が下半身に移動して軽い貧血状態に陥る。だが、ここで気を失ってはフレイヤ乗りとしては失格だ。
 フレイヤの下を通り過ぎたミサイルをレーザーキャノンで撃ち落とす。
「ふうぅぅ」
 フレイヤは機体の強度と、バーニア系の出力を極限まで高めた戦闘機だ。しかし、慣性力やGをキャンセルする技術がまだ開発されていないため、フレイヤを乗りこなすには、高い身体能力と精神力が必要とされるのだ。
『ヴァルキュリア隊より救援要請。ポイントC−04です』
 言われたポイントを視認すると、回線を開く
「こちらリントヴルム隊。これより救援に向かいます。持ち堪えて下さい!」
 ほとんど直角のように旋回しフェリーナは味方の救援に向かう。

 新人の九十九遊紗(ja1048)空曹もフェリーナ隊長に続いて救援ポイントに向かった。ヴァルキュリア隊は竜型と翼竜型に囲まれて苦戦しているようだ。中に見慣れぬ機影もあった。
「リリィ、あの機体は何?」
 AIのリリィが一瞬の間から返答する。
『照合データ無し。新型と思われます』
「新型かー。面白そうだね!」
 新型と聞いて遊沙の目が無邪気に輝く。まるで新しい玩具をもらった子供のようだ。
「よーし! 行くよ! リリィ!」
 アフターバナーを噴かして乱戦に突入する。急降下を掛けながらヴァルキュリア機の後方に喰らい付いていた翼竜型2機を撃ち落す。
「せーのっ!!」
 通過して即座に急上昇。目の前に捉えた新型機にレーザーキャノンを放つ。鷹に近いフォルムの新型機はギリギリで機体をロールさせてレーザーを避ける。新型はフレイヤ並みの機動力を見せ、攻守が激しく入れ替わりながら互角に戦う。
「そこだぁ!!」
 最後にはフレイヤの機動力が勝った。牽制のミサイルで射線上に誘い込んでレーザーキャノンで片翼を捥ぎ取る。錐もみしながら墜落していく敵機にガッツポーズを決める遊沙。左目でウィンク。右目の碧眼はシグナル・ブルー。
「やったね! リリィ!」
『右舷03に敵機』
 反射的に右を向くと、至近距離でこちらを照準している竜型が目に入る。その銃口がチカッと光る。
「!?」
 撃たれると思わず目を瞑ってしまった。しかし、衝撃は来ずに変わりに爆発音が外から聞こえる。
『ルーキー。油断は禁物だぞ』
 通信から低くて渋い声が聞こえた。通信コードを見ると、コールサインは”トリックスター”。
「トールマン大尉!」
デニス・トールマン(jb2314)大尉の機体が横に並ぶ。コックピットを見るとデニスが左手でサムズアップしてくる。

「リントヴルム隊、こちらトリックスター、デニス・トールマン大尉だ。編入許可を」
 共通回線で言うと、すぐにフェリーナから返答がくる。
『こちらシーグラム大尉です。待っていましたよ。編入を許可します。戦況データを送ります』
「遅れてすまない。これより三番機として指揮下に入る。上手く使ってくれ」
 デニスは家族と休暇旅行中のところにスクランブルが掛かったため、遅れて集合となったのだ。
『おっ! かわい子ちゃんからラブレターが来たぜ!』
 AIのロキが送られてきたデータをラブレターに例えて軽口を叩く。
「かわい子ちゃんは止せ。シーグラム大尉だ。優先目標は?」
『ポイントC−04がちょっと捲くられているみたいだぜ』
「わかった。行くぞ!」
 ベテラン・パイロットの参入で、押されていたポイントの戦況も好転していく。
「狙われているぞ、ルーキー! ブレイクしろ!」
 周りをフォローしつつ確実に敵機を減らしていく。
『こちら地上部隊! 熊と新型の対処で、手が足りない! 支援を頼む!』
「こちらリントヴルム、トールマン。了解した」
 現場に到達すると爆撃ポイントを確認する。
「リントヴルムからグングニルへ。20秒後にポイントG−12を爆撃予定だ、巻き込まれるなよ!」

「でぇぇーい!!」
 大きな鉄槌が熊型の膝の関節を打ち砕く。通常ヴァルキュリアだけのパワーでは無理だが、鉄槌自身にジェット噴射がついており、スピードも威力も倍増しているのだ。
 蒼井御子(jb0655)准尉は、機体をジャンプさせて真上から振り下ろすと同時に、AIが鉄槌のジェットをオンにする。加速した鉄槌が、片膝をついた熊型の頭部を叩き潰した。
「もう――こんな近くで戦いたく『SSMの兆候が見られます、投与が必』こんなところでも戦えるなんて、UV様のサポートは最高だね!『その調子です、准尉。いかなる場所でも幸せは義務です』」
 バグってきているAIのUV様のサポートを受けつつ熊型や新型を倒していく。体が小さいためコックピットも専用の規格外で替えがない。そのため対になるAIも替えられないのだ。
 何機目かの熊型と戦っているとき、打ち下ろした鉄槌を避けられてしまい、鉄槌が地面にめり込んでしまった。やばいと思って顔を上げた時には既に遅く、熊型が大斧を振り下ろすところだった。
しかし、見上げた大斧の先、遥か上空で、何かが光った。
 直後、レーザーの雨が降り注ぐ。ピンポイントで熊型の頭部や関節部を撃ち抜いていく。

 高高度から垂直降下しながら、レフニーは数マイクロレベルの照準補正を行いながらレーザーキャノンを連射する。ちょっとでも照準がずれれば、近くにいる御子准尉の機体に当たってしまう。
「やらせは、やらせはしないのですよ!」
 急速に地表が迫る。エネルギーの切れたレーザーキャノンを捨てて、両手持ちのバスターソードを水平に構える。
「いっけぇぇぇぇ!!」
 降下してきた勢いのままにバスターソードで熊型を叩き斬る。通常では、バスターソードでも熊型の装甲を斬ることは難しいが、それが真っ二つだ。地面まで深く斬り込んでしまったバスターソードはそのままに、御子のヴァルキュリアを抱えるようにして後方へ飛んで距離を取る。遅れて熊型が爆発する。
『ナム伍長、ありがとうございました! 助かりました!』
『蒼井准尉、間に合ってよかったです』

『総司令部より各機へ。トゥールハンマー発射準備完了。120秒後に第一掃射開始。射線上の機体は退避してくださ・・・・ !? ターン・ドロップ表面に高転移反応!』
 ターン・ドロップの表面が広範囲に波打つ。そして、巨大なものが出現した。鯨型の砲撃艦だ。しかし、その大きさが尋常ではない。前回出現した鯨型は全長200mほどだったが、今回のは1000m近い。
『敵、砲撃艦に高エネルギー反応! 各機、退避して下さい!!』
 直後に視界を白く覆う閃光が放たれた。轟音と共に空を斬り裂く。
『う、右翼部隊、全滅・・・・』
 右翼部隊のフレイヤとヴァルキュリア500機が一撃で塵になった。誰もが愕然と声を失う。しかし、フェリーナの一喝が通信に響く。
『呆けてる場合か! リントヴルム隊全機。バスターランチャー使用! 他部隊は援護をお願いします』
 全機が動き始める。
「UV様。残りエネルギーは? 『貴方のセキュリティ・クリアランスには――』ギリギリ、かぁ。やってみるしかない、か!」
 リントヴルム隊に御子とレフにーのヴァルキュリアが並ぶ。
「大尉、ヴァルキュリア部隊もバスターランチャーを使います。もし、私が戻れなかったら・・・・あの人に『レフニーは何時までもあなたを愛している』と言っていたと、伝えてもらえませんか?」
 ヴァルキュリアはバスターランチャーを使うとエネルギーを使い果たして動けなくなる。ただの的になってしまうのだ。
『こちらグングニル隊、柊だ。そんなことは、生きて帰って自分で言うのだぞー』
『こちら秋津や。わしらが拾ったるさかい、心置きなくぶちかませ!』
敵の巨大砲撃艦の主砲がまた白く輝きだす。しかし、その前にバスターランチャーのエネルギー充填が完了した。
 フェリーナが吼える。
「血も涙もない機械仕掛の化物共、お前達にこれ以上好き勝手はさせない!この青い星から出て行けぇぇぇ!!」
 遊佐が今度は右目でウィンク。左目の赤目は、シグナル・レッド。
「ここから先は赤信号だよ! これ以上地球を壊すことは遊紗が許さないんだから!」
 全員がトリガーを引く。
『『『『発射ぁぁっ!!』』』』
 幾本もの豪光が砲撃艦に吸い込まれていく。一瞬後、巨大な砲撃艦が業火に包まれ轟沈していく。
 同時にトゥールハンマーが時空振動波を掃射。続けて超電磁砲が励起したところに吸い込まれていく。
 しかし、数秒経っても何も変化がない。失敗かと思い始めたとき、ターン・ドロップが歪んだ。全体に歪みが広がり崩壊が始まる。次元を隔てているため音の無い静かな崩壊だ。風船の空気が抜けるように小さくなっていき、そして、消えた。
 誰もが茫然自失となっていたが、徐々に喜びが沸いてきた。
「や、や、やったぁぁ!!」
 歓喜が爆発した。ついに勝利したのだ。そして、喜びの中、8人の意識は白濁していった。

 高揚感の中で目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。一瞬の躊躇のあとカーテンを開けてみる。そこから見える景色は近未来ではなく、いつもの街並み。
 もちろんターン・ドロップは何処にも無いのだった・・・・



依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:5人

Defender of the Society・
佐藤 七佳(ja0030)

大学部3年61組 女 ディバインナイト
撃退士・
九十九 遊紗(ja1048)

高等部2年13組 女 インフィルトレイター
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
手に抱く銃は護る為・
フェリーナ・シーグラム(ja6845)

大学部6年163組 女 インフィルトレイター
撃退士・
柊 七紙(ja9238)

大学部7年217組 女 アストラルヴァンガード
滅雫のヴァルキュリア・
蒼井 御子(jb0655)

大学部4年323組 女 バハムートテイマー
紫電を纏いし者・
デニス・トールマン(jb2314)

大学部8年262組 男 ディバインナイト
学園最強パティシエ・
秋津 仁斎(jb4940)

大学部7年165組 男 阿修羅