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マスター:星流 嵐
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
参加人数:6人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/06/07


みんなの思い出



オープニング

『立谷〜、立谷〜。京玉線、大田急線は乗り換えです』
 東京都心から多摩地区までを直線的に横断する西部中央線。七王子方面から、立谷→国建→西国寺→国寺→武蔵大金井→東大金井→武蔵栄→四鷹→吉長寺と東京中央駅まで続く。その立谷駅に電車が入ってきた。通勤時間帯で乗客も多い。サラリーマンや学生たちなどで車両のほとんどが埋まっている。そして私鉄沿線の乗り換えが多いこの駅で、更に乗客が増えた。
 発車を知らせるベルが鳴り始め、遅れてきた人たちが慌てて乗り込む。
『東京中央行き、扉が閉まります。駆け込み乗車はお止め下さい。扉が閉まります』
 電車の扉が閉まる。ホームにいる駅員が安全を確認して、運転手に発車OKの合図をしようとした瞬間、電車がガツンと言う衝撃と共に動き出した。
「おいおい。まだ合図出してないのに早過ぎるだろ。始末書もんだぞ」
 やれやれと駅員が呆れていると、運転手が側面の窓から顔を出して叫んだ。
「停めてくれっ! ブレーキ解除してないのに動き出しちまったっ!!」
「なんだって! 故障か?」
「わ、判らない! まだレバーも入れてないのに!」
 故障した電車をこのまま走らせるわけにはいかない。駅員はホームにある非常ボタンに駆け寄って押した。構内に非常ベルが鳴り響く。駅員が掛け戻って運転手に叫ぶ。
「非常ブレーキを扱え!」
 運転手は運転席に戻って、通常ブレーキの位置にあるレバーを更に奥に押し込んで非常ブレーキを掛けると、途端に耳障りな金属音が響く。ブレーキでロックしている車輪がレールと擦れているのだ。しかし、電車は停まる気配も見せずに徐々にスピードを上げていく。
「と、停まらない!」
 駅員は耳を押さえながら電話に飛びついて駅長室を呼び出す。
「緊急事態です! 3番線の電車が勝手に動き出して! いえ! 運転手はブレーキ解除してないそうです! 非常ブレーキも効かないんです!」
 他の駅員たちも異常に気付いて掛け付けてきたが、動き出した電車に成す術がない。先頭車両は既にホームの先に出てしまい、青い顔で叫ぶ運転手しか見えない。
「た、助けてくれぇ!!」
 今度は後方車両の方から叫び声が聞こえた。見ると、同乗していた車掌が最後部の運転席の扉を開けてホームに飛び降りてきた。そして、何かから逃げるように恐怖に顔を歪めながら走ってくる。
「ば、化け物だぁ!!」
 そう叫ぶと、転がるようにホームの階段を駆け上がって逃げていく。残った駅員が訝しんで電車の方を見ると、ちょうど電車の最後部が目の前を通過するところだった。そして、驚愕に固まる。
 巨大な何かが電車を押していた。全体の姿は牛のように見えるが、角のある頭部が異様に大きく、後ろ足が丸太のように太い。そして恐竜のような太く長い尻尾は3mはありそうだ。背中の高さはほぼ電車の上部と同じ。そして良く見れば頭部の巨大な角は電車の車体に突き刺さっている。太い後ろ足が踏ん張る度にレールの枕木が破壊されていく。
禍々しい赤い大きな目がギョロリと駅員たちを見た。それで駅員たちの硬直が解けた。
「ひっ! ひぃぃ!」
 駅員やホームに居合わせた人々は悲鳴を上げて逃げ出した。しかし、その牛の化け物、ディアボロは電車を押すことに執着しているらしく、そのまま電車を押すスピードを上げていった。

●久遠ヶ原学園
「緊急の依頼です!」
 執行部の女子生徒が教室に駆け込んできた。
「東京にディアボロが出現しました! 乗客のいる電車を無理やり押して動かしているとのことです! このままでは先発の電車に激突して大惨事となってしまいます! 至急、ディアボロの排除をお願いします!」


リプレイ本文

 ディメンションサークルを抜けて西国寺駅に急行した撃退士の5人は、待機していた地元警察と合流した。
「車とバイクは用意できましたか?」
 ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)が警察官に訊く。事前に連絡して、ディアボロを追うための車とバイクを用意してもらったのだ。
「はい! ご要望通りオフロード車を用意しました!」
 警察官が駅前に停めてある車両を示す。確かに車もバイクも悪路に強そうなものだ。
現状を確認すると、問題の電車は既に国建駅を通過しているらしい。
「一刻の猶予もないね! 急いで倒しに行こう!」
 雪室チルル(ja0220)が気合を入れて拳を固める。他の4人も力強く頷く。ソフィアが車の運転席に座り、六道鈴音(ja4192)とエルレーン・バルハザード(ja0889)は後部座席に乗り込む。バイクにはフィオナ・ボールドウィン(ja2611)が跨り、その後ろにチルルが飛び乗った。

 他の5人と別行動になった柴島華桜璃(ja0797)は立谷駅に駆けつけた。
「久遠ヶ原学園の柴島です! 電車貸して下さい!」
 駅の窓口に飛び込んでくるなりそう叫んだ女子中学生に、居合わせた駅職員たちは目を白黒させて驚く。そんな中、駅長が近付いてきた。
「君は、撃退士さんだね。学園から連絡はもらっている」
 そう言う駅長は、異常事態の対応で焦燥した様子だ。
「しかし、残念ながら化け物がいるところに運転していこうという運転手がいなくて‥‥」
「そうなんですか‥‥ 危険がないように、私が必ずお護りしますが」
「‥‥申し訳ない」
 駅長が辛そうに頭を下げた。残念だが、華桜璃は仕方ないと思う。彼らは撃退士ではないのだ。自分たちは命を賭ける覚悟ができているが、一般人の駅員さんにそれを求めるのは酷だろう。
「判りました。では、私が運転していきます! 運転の仕方を教えて下さい!」
 駅長が驚いた顔で華桜璃を見る。そして何か言い掛けたが、それを飲み込んでゆっくり頷いた。

 鈴音たちは今、駅の近くの踏み切りで待機している。
「‥‥判ったわ。じゃあ追いついてきたらまた連絡して下さい」
 鈴音が携帯を閉じると、他の4人に言う。
「華桜璃さんが貨物用の牽引車両を運転してこちらに向かってくるそうです。なんとかそれまでに片を付けましょう。あと管制センターに車両のドアを開けるように頼んだんですけど、車掌が電車を降りてしまっていて開けられる人がいないんです。乗客に頼むのも無理かもと・・・・」
「それなら大丈夫! 車両と車両の間があるから、そこに飛び移るよ!」
 それも相当難易度は高そうだが、チルルは何でもないように言う。
「き、来ました!」
 エルレーンの声に、線路を見ると少し先に電車の前部が見えた。
「みんな! 準備はいい?」
「うん! いいよ!」
「は、はい!」
「運転は任せて! でも、時間に余裕がある訳じゃないから揺れるかもだけど、勘弁してね」
 チルル、エルレーン、ソフィアが元気よく返事を返すと、フィオナは不敵な笑みを浮かべる。
「くくくっ。なんともはや、ハリウッド映画並みになってきたな」
 そういうと、バイクのエンジンを勢いよく噴かした。
 電車が目の前を通過していく。それだけを見れば普通の光景だが、乗っている乗客の表情は恐怖に塗り固められていた。そして最後尾。小山のような異形の牛が電車に頭を密着させて駆け抜けていく。聞いていたよりはスピードが速まっているようだ。
 フィオナがバイクのアクセルを絞る。
「ゆくぞ! しっかり捕まっておれ!」
「行っけぇっ!」
 チルルの掛け声に応えるように前輪浮かせて急発進すると、バイクは踏み切りから線路内へと突っ込んでいく。
「こっちもいくよ!」
 ソフィアもそう叫ぶとアクセルを思いっきり踏み込んだ。タイヤを鳴らしてフィオナたちを追うように線路に侵入する。
 フィオナたちは上下線の線路の間を疾走して、200mほどでディアボロに追いついた。そのまま追い抜こうとした瞬間、
「危ないっ! 上っ、尻尾ぉっ!」
 チルルの叫びに、ハッと上を見上げると丸太のようなものが降ってきた。
「!!」
 フル・ブレーキング。ガガガガッと急停止した目の前に、ディアボロの尻尾が叩き下ろされた。衝撃で砂利石が飛び散る。尻尾だけでとんでもない破壊力だ。迂闊に近付けない。
 車が追いついてきてソフィアが叫ぶ。
「あたし達が奴を引きつけるから、その隙に外側から抜けて!」
 フィオナは頷いてバイクを車の横につける。
「あたしは運転に集中するから、牛と電車は任せたよ!」
「心得た! では、急ぐぞ!」
 そうして5人は再びディアボロを追う。

 その頃、立谷駅では運転方法を一通り教わった華桜璃が、いよいよ電車を発車させようとしていた。
「鐡博でやった事あるけど、あたしが本当に電車を動かすなんて・・・・」
 緊張して手に汗をかきながらも、滅多にできない経験にワクワクしていた。
教わったばかりの警笛を一つ鳴らすと、マスコンハンドルを手前に引いて、ハンドルを”加速”に合わせる。ゆっくりと車両が動き出し、徐々にスピードを上げていく。

 ソフィアたちは、国寺駅を過ぎた辺りでやっとディアボロに追いついた。
「いくよ!!」
 ソフィアは後ろの2人に叫ぶと、アクセルを踏んで加速する
「さあ、もう競争は終わりなんだよおぉ、牛さんッ!」
 エルレーンはそう言うと火遁・火蛇を放つ。戦闘になると人が変わったように猛々しくなるようだ。
「いい加減、電車を放しなさい!」
 鈴音もエナジーアローをディアボロに叩き込む。
 ディアボロは尻尾を振って、2人の攻撃を防ぐと、尻尾を大きく振りあげた。
「来るよ! しっかり捕まってて!」
 ソフィアはディアボロの尻尾の動きを注視しながらタイミングを計る。
 丸太のような尻尾が唸りを上げて振り下ろされた。
「いまっ!!」
 ブレーキを思いっきり踏み込む。尻尾が叩きつけられ地面を揺らす。そして、伸びきった尻尾が引き戻される。
「ここだっ!」
 フィオナはアクセル全開にして一気に加速する。ディアボロが追い討ちをかける暇も与えず追い抜いて前に出る。
「やったっ! ああ! やばいよ! 前! 前!」
 喜んだのも束の間、チルルが前方を指差して叫ぶ。見れば武蔵大金井駅のホームの壁が目の前だった。このままでは激突する。
「ちぃ!」
 フィオナはバイクをジャンプさせると、間一髪レールを飛び越えて退避する。
「あはは! これはもうアクション映画だね!」
 チルルが興奮して言う。
「まったくだ! さあ、いよいよ出番だぞ! いけるか?」
「任せて! 見ててね! 一回で成功させるんだから!」
「よし! 寄せるぞ!」
 駅を抜けて線路が直線になったところで、バイクを電車に近付け、車両の連結部に並走する。しかし、車両間にある突起の部分まではかなり高さがある。
「我の肩を踏み台にしても構わん! 今回だけ特に許す!」
「わかった! 借りるね!」
 チルルは慎重にバイクの上に立つと、フィオナの肩に右足を掛け、アウルを高める。
「はっ!!」
チルルがアウルを使った全力跳躍で高々と宙を舞う。そして狙い違わず連結部の突起に取り付いた。

「追いついた!」
 普通の運行では有り得ない最大速度で飛ばしてきた華桜璃は、先に仲間たちの姿を捉えてスピードを徐々に落としていく。そして携帯で鈴音に電話を掛ける。
「もしもし、柴島です! はい! もうすぐ追いつきます! はい、判りました。エルレーンさんが止めてる隙に前に出ますね!」
 華桜璃の役目は、ブレーキの壊れた電車の前に回り込んで連結させて、こちらのブレーキで少しでも減速させることだ。電車からディアボロを引き離せても、線路上で暴れられたら通り抜けられない。エルレーンの影縛りで動きを止めた、その一瞬で抜けなければならない。全てはタイミングだ。
「みんな! 頑張って!」

 最後尾の車両に誰もいないのを確認すると、チルルは連結部の小窓を蹴り割って中に入った。運転室への扉を開けようとするが、当然鍵が掛かっていて開かない。仕方なく背負ったフランベルジュを抜いてドアの窓を叩き割って運転室へ入った。
「しまった! そうだった!」
 車体に突き刺さったディアボロの角を中から折ろう考えていたのだが、最後部にも運転席があるのだ。その分の厚みがあるので、突き出ているのは角の先端の一部でしかない。
「こうなったら、根元からいくしかないね!」
 躊躇なく運転席のフロントガラスを粉砕する。車外に身を乗り出してみると、すぐ真下にディアボロの頭部があった。チルルはフランベルジュを構えて勢い良く振り下ろす。ガッと角の半ばまで刃が食いこんだ。
 ゴガァァッ!
 ディアボロが叫び声を上げた。そして尻尾を前方に振り上げて、チルルのいる運転席を攻撃する。
「うわっ! あぶっ!」
 チルルは慌てて車内に引っ込んでしゃがみ込む。直後に天井部分がひしゃげた。
 電車は東大金井駅を通過した。いよいよ時間がなくなってきた。
「い、いけない! チルルさんを、え、援護しなくちゃ!」
 エルレーンたちが援護の攻撃を加える。特に尻尾に攻撃を集中させて牽制する。
「ありがとう! よーし! 一気にいくよ!」
 チルルは再びフランベルジュを振り下ろす。一撃で残りの半分を断ち斬った。
 ディアボロは絶叫を上げたが、仲間たちが抑えてくれているので尻尾の攻撃は来ない。あと一本。
「邪魔な角ね! あたいがへし折ってやるわ!」
 そう言ってチルルは渾身の力でフランベルジュを一閃する。
 グガァァァッ!!
 両角を斬られたディアボロは、自由になった頭を振り上げて絶叫を放った。そして赤い目を怒りに染めてチルルがいる運転席に向かって突進する。チルルはギョッとして慌てて車内に逃げ込んだ。
 ソフィアは車をディアボロの後ろに回り込ませて少し距離を取る。華桜璃の車両を通すためだ。
「影縛りと同時にブレーキ掛けるから、振り落とされないようにね!」
 エルレーンの影縛りは、その名の通り目標の影をその場に縫い止めて束縛するスキルだ。しかし、その場に縫い止めるということは、走っているディアボロが急停止することになるのだ。こちらも停まらなければ激突してしまう。エルレーンはアウルを一気に高めて両手をディアボロに向ける。
「さあ、もう競争は終わりなんだよおぉ、牛さんッ! 行くよぉ! ・・・・3、2、1、ハァッ!」
 その直後、巨大なディアボロが物理法則を無視して急停止した。ソフィアもエルレーンの合図に合わせてフルブレーキを掛け、なんとかギリギリで停まる。そして、その横を絶妙なタイミングで華桜璃の運転する車両が通過していく。
 ソフィアと鈴音は車を飛び降りて、ディアボロを攻撃する位置に着く。バイクで戻ってきたチルルとフィオナも囲むように構えた。ディアボロは威嚇するように唸り声を上げている。
「影縛り切るよぉ!」
 エルレーンがそう言って両手を下ろすと、ディアボロも動きが開放される。怒りの声を上げて、牛よろしく前足で地面を激しく掻く。そして、突進をかけようとする。
「させません! 感電しなさい!」
 鈴音が飛び出してスタンエッジを放つ。直撃したディアボロは感電したように体を震わせて硬直する。
「牛は電車を押すのではなく、戦車を曳くものであろう! 貴様の役目は既に無い。消えよ!」
 フィオナがブラストクレイモアをアウルで活性化させると刀身が緑の光を放つ。魔剣模倣・湖光の魔剣がディアボロの巨大な後ろ足を切り裂いた。
 逃げようとするディアボロに、ソフィアがSpirale di Petaliで追い討ちを掛ける。
「終わらせてあげる! ほらぁ!」
 エルレーンが頭の方に回って、ホワイトナイトツインエッジを二刀流で構えると、ディアボロの両目を横一文字に切り裂く。
 ディアボロが苦痛に叫びながら暴れる。しかし容赦などしない。
 鈴音が召炎霊符を使ってスキルを発動する。
「喰らえ! 六道呪炎煉獄!!」
 炎の塊がディアボロに襲い掛かる。それに合わせるようにエルレーンが火遁・火蛇を放つと、ディアボロが炎に包まれた。
「燃えちゃえ! 黒こげにしてあげるよ、薄汚い天魔めっ!」
 普段の彼女からは想像もつかない激しい感情をディアボロに叩きつける。
「さあ! 遊びの時間は終わりだよ! さっさとやられなさい!」
 チルルが渾身のアウルをフランベルジュに籠め、振り抜く。黒い光の衝撃波がディアボロの首を斬り落とした。

 その頃、華桜璃は惰性で進んでいる電車を追い抜くと、管制センターに連絡して武蔵栄駅で線路のポイントを切り替えてもらい、後ろの電車と同じ線路に入っていた。この辺は下り坂になっているのか、問題の電車はまだスピードを緩めない。
『あと、20mくらいです!』
「わ、わかりました!」
 華桜璃は携帯で後ろの電車の運転手と連絡をとっていた。貨物車両の運転席からは後ろが見えないため、車間距離を伝えてもらっているのだ。速度を合わせながらゆっくり近付いて連結させたいのだが、さすがにそう簡単にはいかない。最初はこちらが速度を落とし過ぎたために、弾かれて危うく脱線しそうになったのだ。
『・・・・10m、5m、あぁ! 落とし過ぎです! ぶつかる!』
 慌ててレバーを加速に入れる。額から汗が滴り落ちた。
「ごめんなさい! もう一度いきます!」
『は、はい! 頑張って下さい! ・・・・20m、15m・・・・』
 そうしているうちに四鷹駅を通り過ぎてしまった。一層焦りが強くなるが、慎重にやらなければならない。
『10m・・・・ 5m、3m・・・・ 1m、入った!!』
 運転手の叫びと同時にガツンッという衝撃がある。
『今です!! ハンドルを非常ブレーキへ!!』
 華桜璃はハンドルを一番奥に押し込んだ。途端に耳を劈く金属音が響いて、華桜璃は両手で耳を抑える。あとはもう停まることを祈るしかない。しかし、なかなかスピードが落ちていかない。
「停まって! 停まって! 停まって! 停まって!」
 遠くに吉長寺駅が見えてきた。そして、そこに停まっている電車も。
「お願いっ! 停まって!! ・・・・神様!!」
 華桜璃は目をギュッと瞑って神に祈った。天魔が現れて以来、祈ったことのない神に。
 どのくらい経っただろう。気付くと金属音が消えている。恐る恐る目を開けて前を見ると、電車が目の前だった。小さく悲鳴を上げたが、電車はそれ以上近付いてこない。ということは、
「と、停まっ・・・・た?」
 安堵に全身の力が抜けてその場にヘタリ込んだ。そして、ゆっくりと歓喜が沸いてきた。同時に嬉し涙がポロポロと零れる。
「・・・・や、や、・・・・やったぁー!! 停まったぁー!! 停まったよぉー!!」

 華桜璃とチルルたちは合流すると抱き合って成功を喜び合い、みんなでハイタッチをした。
そして、電車から降りてきた乗客たちに囲まれて、感謝と賞賛の拍手を浴びたのだった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 伝説の撃退士・雪室 チルル(ja0220)
 ┌(┌ ^o^)┐<背徳王・エルレーン・バルハザード(ja0889)
重体: −
面白かった!:7人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
グランドスラム達成者・
柴島 華桜璃(ja0797)

大学部2年162組 女 バハムートテイマー
┌(┌ ^o^)┐<背徳王・
エルレーン・バルハザード(ja0889)

大学部5年242組 女 鬼道忍軍
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
『天』盟約の王・
フィオナ・ボールドウィン(ja2611)

大学部6年1組 女 ディバインナイト
闇の戦慄(自称)・
六道 鈴音(ja4192)

大学部5年7組 女 ダアト