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マスター:青鳥
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/08/24


みんなの思い出



オープニング

●夢叶う花の綻びを待つ
 白い、白い病室がある。
 横たわる人は老若男女、様々に。
 ただ変わらないのは、彼等は一様に目を瞑り、殆ど身じろぎもしないこと。

 天使による感情吸収は、文字通り心を奪っていく。
 喜怒哀楽を。
 けれど、奪いきられる前に助けられた者達もいる。
 彼等はゆっくりと、心を癒していく。
 この、静かな白い部屋で。

「ねえ、お母さん今日は目が覚めるかな?」
「…大丈夫だよ、きっと何とかなる」
「そうね、だって助けて貰ったんだから」
「――ああ、あいつら約束は守るんだよ。俺、知ってる」

 囁き声を交す子供達は、病院には立ち入らず中庭から真っ直ぐ病室のある方を見上げている。
 暑い、暑い日だった。
 誰かが、ふと言う。
「……花を、探そうよ。願いを、叶えてくれる花」

 勿論、それが本当にあるとは思っていない。
 ただ自分達で摘んだ花を、家族の枕元に添えられるなら。
 とても、素敵なことのように思えた。

「おばあちゃんに、頼んでみよう」

 彼等、彼女等のかりそめの保護者である老婦人ならきっと、喜んで願いを聞いてくれるだろう。
 皆で目を見交わしあって、彼等は走り出す。


●花の添え手として
 とある森の中に目撃されたというサーバントの排除。
 撃退士達に、依頼として持ち込まれたのはそういった話だった。
 観月 朱星(jz0086)は、皆を見渡して口を開く。
「小さな子供達の一団が、本当は今日、その森に遠足として行かれる予定なのです。
 彼等の保護者である方が管理される、小さな花園がありまして。
 先の京都の戦いで、救出されたもののの感情吸収の被害から回復中である方々はいらっしゃいます。
 被害者たちの縁者――多くは子供である彼等は、お花を集めようと言っているのです。
 最近見たお芝居に、そういうお話があったとかで」
 それだけなら、とても微笑ましい話だった。けれど、と彼女は続ける。
「空気を読まないサーバントが、遠足経路で確認されました。
 幸いなことに、彼等はまだ森に到達するまで時間を要します。
 出現地点も固定されているようですので特定は容易かと。
 勿論、遠足自体を大事を取って中止することも可能です」
 そこまで言って、観月は皆を一度見遣る。それから、己の手を。
「世界は、危険に満ちています。
 小さな思いも、祈りも、天魔は容赦なく食い荒らします。
 でも――何一つ、こころに生まれた祈りすら、叶わぬのだと子供達に思わせたくはないのだと。
 願いは、祈りは叶うのだと、信じさせてやりたいと依頼人は仰っています。
 自分は撃退士の皆様に、それを貰ったのだと」
 かつて、撃退士に助けられたからこそ天魔によって傷を負う子供達のサポートに回る老婦人が、今回の依頼者だ。
 改めて、深く頭を下げ。
「皆様にお願いするのはサーバントの排除。それから、子供達と合流しての花園までの引率です。
 もっとも、サーバントを排除すれば以後は何もないでしょうが、念のためと言うことで。
 目的地は、高原のようですからおそらくは涼しいと思います。
 お気を付けて行ってらして下さいませ」


リプレイ本文

●深い森
 倒木や動物の死骸が折り重なる光景に、戸次 隆道(ja0550)は思わず嘆息する。
「こんな光景を見せる訳にはいけませんね。子供には、笑顔を」
 静かに、己の拳を握る。拳が切り拓く先は、文字通りの未来なのだから。
「うん、小さい子供たちの希望…かなえてあげたいな」
 レグルス・グラウシード(ja8064)は、太陽の如く朗らかに言い切る。
 彼にとって心の奥から、当たり前に溢れる気持ちだ。
「この半径分がアイツの攻撃範囲と考えていいだろうね、それにしても派手にやってくれているな」
 丁度、20m程度の暴虐。御影 蓮也(ja0709)は、冷静に推し量る眼差しで皆を振り返り。
「作戦、開始します」
 受けて夜来野 遥久(ja6843)が倒木の手前からマーダーローズに向けて、死骸を放る。
 途端―――迎撃の火球が、彼に向けて弾けた。
 投擲物でなく投げる対象を敵と認識したのだろう。
 咄嗟に引き出した盾を翳せば表面で弾ける熱が、頬を焼いた。
「火球は、かなりの強さがあります。気を付けて下さい」
 冷静に告げるが、足の感触に僅か眉が寄る。
 倒木や死骸で足場は悪い、重ねて。
 青薔薇のサーバントが領域に踏み込んできた彼に迫る。
 根は無数の蟲を合わせ固めたよう蠢いており天魔の透過能力は簡単に足場を擦り抜けてしまう。
「させるか!」
 即時阻霊符を発動させたのは、若杉 英斗(ja4230)だ。
 ただでさえ俊敏なこのサーバントに、一方的な地の利を許してしまえば後は嬲られるだけだと彼は理解していた。
 途端速度は落ちるがそれでも余程熟練した動作に見える、と英斗は自分の足元を踏み締める。
 動きやすい靴に替えて来た分、多少は身動きが取り易いが万全とはいかない。
「ひとまずは、試手からですね」
 彼等のやり取りを慎重に見極めていた戸次が遠距離から炎を走らせる。
 可能であれば、惹きつけてもう一体から距離を取れればとの試案は、しかしながらごく俊敏なブルーの動きに交される。
 しかも狙いは揺らがず、遥久だけを狙っている。
「自分の有利な場から出る必要はないってことか」
 御影が低く駆ける。戸次と目を合わせお互いにブルーの周囲に散開を開始。
 状況がこちらの望む形に転ばなければ、次の手を。扇を顕現させ、機を窺う御影にシルヴァ・ヴィルタネン(ja0252)がショットガンを翳して見せる。
「援護するわ」
 短く、艶やかな唇が紡ぐ。
「僕の力が…皆さんを守る盾になりますように!」
 透明なヴェールが加護を齎す。周囲に満たされたアウルの力にアルテナ=R=クラインミヒェル(ja6701)は感謝の礼を向ける。
 頑強であることは何よりも可能性を増やしてくれる。
「私がやることはただひとつ、味方を守り通すことだけだっ!」
 遥久を中心に、鋭い花弁交じり、無数の鎌鼬が散る。アルテナは盾を強引に割り込ませ一気にアウル燃焼させる――!
 同時に、英斗も顔を庇い、代わりに腕が大きく切り刻まれる。
 ほぼ同時にシルヴァがショットガンの乱射で、ブルーの進行方向に大きく弾幕を張る。
 合間に縫って扇を鋭く投げ飛ばす御影の一撃が、茂った葉の数枚を切り裂いていく。
 戦端は、開いた。


●反転
「あらァ、…随分良い眺めだわァ…♪」
 地に伏す影が何処か陽気に響く。迷彩布を深く被り遠距離ライフルを構えた黒百合(ja0422)だ。
 鬱蒼とした木々の合間に紛れ込み、狙撃の姿勢。
 ―――狙いはマーダーローズ。精緻な一撃は、狙い違わず大輪の薔薇、その茎を射抜く。
 遥久と英斗が抑え込む状況での、遠距離狙撃。
 十分に距離を取っての狙撃はこの上なく有効だ。だが、それはあくまでも単独であったなら。
 移動力に優れた遊撃が砲台をフォローする役割なら取る行動は一つ。
「移動を開始しました、――っ追撃します」
 戸次の逡巡は、一瞬。黒百合は孤立している。
 足場が悪かろうが、完全に分断されてしまおうが追わない訳にいかない。
 彼女の護衛に、誰も手を割いておらず連絡体制も未確立。
 更に攻撃警戒から間近で囲み移動を封じるのでなく、散開をしている。
 状況は、悪い方向に重なっていた。
 森の茂みに入っていくブルーを、彼等は身を翻して追いに動くことになる。
 残されるのは英斗と遥久だ。。
「追いますか。――しかし、一度戦闘態勢に入ったこれを野放しにするのも危険でしょうか」
 射程や隠し手の存在も不明。仲間を狙い撃ちにする危険性は十分。
「自分も、出来るだけフォローします。危なくなったら、離脱しましょう」
 元々の役割は、マーダーの抑え。彼等は、覚悟を決めることになる。
 もう射程を測る意味も、思索の余裕も無い無い。
 遥久が一気に距離を詰めれば、細く伸びた蔓が幾重にも重なり、差し伸ばされる。
 まず、投擲するのは大きな倒木。一瞬、蔓はそれを抱え込み。
「さして綺麗でもない薔薇だが、棘はあるんだな」
 英斗は蔓を拳に纏った刃で切り払う。細い蔓、太い蔓にはびっしりと細い棘が見えた。
 蔓が倒木を捕えたのは、完全に破壊してしまえば、今度こそ二人へと絡み付こうとする。
「これ以上は、騙せませんか」
 二度目の投擲には興味すら示さない様子に、涼しげな顔で遥久は自ら身を蔓へと投じる。
 少なくとも、その間は特殊な攻撃をしない以上、それが最善手と判断してのことだ。
 だが、接触した瞬間、間近に大きな火球が膨れ上がり、爆発する! 遠距離に投擲していた火球の、至近距離射撃だ。
「森は、傷つけさせない!」
 炎が爆ぜる熱風に身体を炙られながら、英斗の持つ盾が燃え上がる白く輝き防御の形を成す。
 己が身で森を庇いながら、周囲の様子を窺う。
 この炎は見てみれば森を燃やす類ではないこらしいことに微かに息をつき、傍らで遥久が治癒の術を行使する。。
「暫くはもちそうです。――持久戦ですね」
 苦痛が和らいだとは言え、彼の表情は僅かに険しい。スキルにも、体力にも限りがある。
「必ず、戻ってくるまで耐えましょう」
 本来、二班に分かれて抑える筈ではあった。奇しくも、分断することは叶っている。
 至近距離から銃を、花弁に宛がい遥久は引き金を引く。鳴り響く、爆音。
 持てるだけの全てを、二人は注ぎ込む覚悟で。


●暴虐
 木々を巻き込んで、青の花弁を散らす嵐が黒百合を狙い、吹き荒れる――!
 範囲を塗り潰す風には、空蝉で逃げる余地が無く、彼女の小さな身体が宙に舞う。
「……やってくれるわねェ?」
 肌に細かな傷を刻まれながら跳ね起きてライフルを突き付け、同時に距離を取りに後ろへと数ステップ。
「黒百合殿、無事だろうか!」
 アルテナ声が上がり、彼女を庇う位置につくとレグルスが即時に癒しを彼女へと行使する。
「視界の、見通しがあまりよくないな…。傷ついたら、声を」
 木々の遮蔽によって視界と行動は制限されている。相手にとっても、と言うのがせめてもの救いか。
「無理矢理、当てに行くしかないわね」
 シルヴァが細く息を吐いて、再度ショットガンの引き金を引く。途端に銃弾の雨が降り、しかしながら小器用に根が蠢いての回避。
 俊敏性と、範囲攻撃、そしてこの地形は非常に向こうにとっては相性がいい。
「ダメージ覚悟の短期決戦と行きますか」
 戸次は少し下がった位置から、赤色の闘気を解放する。その紅は、髪までも均等に染め、心も体も歪みなく、淀みなくただ戦いの為にあるものに。
「ああ、この後に遠足が控えてるんだからさ」
 大人びた風情で言い放つものの、御影の声には確かな熱が籠っている。
 ここで退いても、子供達の遠足が中止になるだけだ。だからこそ、負けられない。
 ブルーは人と木々の合間を擦り抜け、再度重ねる青の嵐。
「――、まだ、まだ私は倒れない!」
 アルテナが暴虐の風へと対抗する声を精一杯に張る。完全に盾を正面に持っての、嵐に自ら踏み込んでいく勢いだ。
「動きを止めないと話にならないな。私が突っ込む、後は頼む…!」
 嵐から更に退かずに、盾を翳して四肢を無数の鎌鼬に切り裂かれながらアルテナは更に距離を詰める。
 範囲攻撃を恐れ離れれば機動力を活かして的扱いとなるのは、嫌でもわかっていた。
「私が盾になって助かるモノがあるならば…っ」
 苦痛より余程切実な声に応えて、御影が動く。
「こんなバラを摘みに来たんじゃないからな、駆除させてもらうよ」
 逆方向から音も無く、そして風の如き速さで忍び寄る。狙うは、胴、そう見せかけて。
「鬼ごっこなら、私達の方が得意よ?」
 次は、貴方が鬼。綺麗な姿勢で、銃を翳すシルヴァの方が先だ。援護射撃にブルーが身をよじる瞬に、御影の繰る緋色の糸が根に絡み付く。
「貴方に痛覚はあるのかしらァ…無いのなら残念だわァ…♪」
 離れたところから鈴を転がすような笑い声。離脱から、銃を構えた黒百合は、回避の隙もない程すれすれに撃つ。
 ひとまず、こちらの撃破が最優先との判断だ。
「ここまでですね」
 抑え込まれ尚も足掻こうとする薔薇の茎に向かい、戸次が跳ぶ。
 地を蹴り、斜めから一気に肉薄する動作に一切の無駄は無く、心の望む理想の形を体現して手足は動く。
「どんなに堅くても蹴り折る…セリャァ!」
 肩から体当たりをかけて捕えた茎を、勢いをつけた足は下から跳ね上げるように踵から茎に吸い込まれ、――確かな手応えが残った。


●終焉
 残された彼等は満身創痍だった。攻撃を防ぎ、傷を塞ぎ、それでも二人で留めるには手に余る。
「これで、打ち止めです」
 冷静に告げ遥久が癒しを紡ぐのに、英斗は首を振る。
「自分は、まだもちますから。あと少しです、だから絶望はしません」
 言霊が力を持つかのよう、英斗の背には真紅の鮮やかなオーラが羽根の如く浮き上がる。
 焼け爛れていた胸の火傷が、それだけで引いた。
「分かりました。私達の任務を成しましょう」
 最後の癒しを自分の為に編み上げ、遥久もまた既に炭化した肩を掌で撫でる。
 一時凌ぎこそが、今は必要なのだから。
 薔薇の中心で、ごう、と炎が燃え盛る。更に追撃として作り上げられる火球が放たれ――既に、身を庇う手もほぼ無い。
 けれど、同時に。
「随分とお待たせしちゃったわァ」
 花弁の中心が、遠距離からの狙撃で大きく撃ち抜かれる!
「今、行く――!」
 次いで、見えるのは御影。疾風の如く駆けて、狙いより速さを取った扇の一閃は、敢えて的を増やす為だ。
 遠距離からのショットガンの弾幕が溢れ、その中をレグルスが全力で走り込む。
 彼も癒しの手は使い果たしていたが、凄惨な二人の姿を見れば魔力の欠片を懸命に編み上げる。
「砕け散れッ…邪悪な花めッ!」
 攻撃の魔力の塊となって、花弁の真ん中を撃ち抜き――火球の気をこちらへと惹く形で。
「次は撃たせない!」
 御影やレグルスに、炎が襲い掛かる。彼等の意図を知れば英斗は炎を掻い潜り、武器に水晶の輝きが宿る。
 苦痛を堪えながらも迷いは無く。斜めから袈裟切りに二本の鋭い刃は、赤の花弁を散らす――!


「――駆除を終えました。これでもう、安全です」
 遥久が声ばかりは平静に観月 朱星(jz0086)へと遥久がコールを入れたのは直ぐのことだった。
「少しでも、手当てしておきましょうね。応急処置なら得意よ」
「傷ついた姿を見せるわけにもいかないからな。うむ」
 シルヴァが水際立った手つきで、救急箱を片手に怪我の深いアルテナへと膝をつく。
 他の者も、順に処置を行うのを見遣りながらレグルスは黙々と倒木や死骸を片づけていく。
「…あまり、子どもたちに見せたくはないじゃないですか」
 惨劇の痕も、苦痛の痕も。天魔の被害者たる子供達の目から優しく覆いたい、と考えるのは誰もが同じだった。
 誰もが、傷つき果てていた。本当にぎりぎりの戦いではあったのだ、――けれど。
「お兄ちゃんーーーー!!」
 英斗には聞き覚えのある少女の声。真っ直ぐ駆け寄って恩人である英斗と遥久に駆け寄って頭を下げる。
「ありがとう、…ほんとに、有難う」
 彼女を皮切りに、子供達が纏わりつく。
「これで、お花摘めるの?」
 そっと御影の服の裾を掴む少女に柔らかく笑う。
「ああ全部、やっつけたよ」
 信頼し切った無邪気な笑みが毀れる。
「御無事で、良かったです」
 心配の色は押さえて駆けよる観月に、遥久が声を投げる。
「先日は、お疲れ様でした。有難うございます」
「…いえ、お礼を言うのは、朱星の方です」
 首を振る彼女に、少しだけ彼の唇が和らぎ。
「真に美しい花と、真心。きっと届きますね」
 頷く観月に、更にかかる英斗の声。
「ほら、観月さんも花を摘むのを手伝ってあげて」
「あらお供して宜しいんですか?」
 言葉を、重ねながら彼等は歩く。
「将来は何になりたい?」
 少年の手を握り、戸次が優しく語りかける。
「コックさんになりたいんだ。母さんの好きなもの作ってやるの」
「なら私達が、未来は護ります。一緒に、皆が笑える未来を作りましょうね」
 眩しい笑みが決して曇らぬ未来を、彼は思う。
「楽しい遠足の始まりだわァ…♪」
 年が近いと見てか、黒百合に群がる少年少女に、歌うよう陽気に笑う。
 花はもう、すぐそこだ。


●花園
 到着と同時子供達が駆けるが、遥久の服の裾を掴んで離さない少女もいる。
 言葉を律儀に聞いて指差す樹の上の花を傷めないようそっと摘んで。
 膝をついて差し出すと、彼女には珍しい、素直な笑いが覗く。
「お兄ちゃんあれとってーー!!」
 手を引っ張られるレグルスは子供達の要望に応えるのに忙しい。一人ずつ、ちゃんと目を見て返しながら。
「きっと喜んでくれるよ、みんな!」
「そうだな。朝霧殿の母上も他の皆もきっとすぐに目覚める。厳しい冬の後には春が来るように。その時の為に花を贈る」
 アルテナが重ねれば生真面目な顔で年長の子供が頷き。
「ここまで、皆頑張って来たね。とても、優しいことだと思うよ」
 御影が褒める声音も優しく、ハーモニカを取り出す。疲れた子供達は優しい音に次々と演奏を強請り。
「転んだの? 大丈夫、ほら絆創膏をはりましょう?」
 泣きそうな子供を、シルヴァが抱え上げて優しく膝に乗せ、土を払ってやる。
「我慢できたのね、男の子だわ」
 慈しむ表情から滲むのは、母性に近い無償の愛。
「はい、どうぞ…よく似合うね!」
 花冠をレグルスが編み、少女の頭に乗せるとこれもまた賑やかに。
「掴みとった希望、まだ残されてる希望、そのすべてを護れる様になりたいな。私は」  
 アルテナが小さく呟く。

 やけに英斗に懐いて仕事の話を聞きたがっていた少年が、ふと彼の膝に花束を乗せる。
「俺に?」
「……うん」
 何をどう思ったのか、少年は多くは語らない。
 だが、英斗は笑って有難う、と花束を受け取る。
 誰かに優しげにレグルスが連絡をする声が、響く。
「僕は今、依頼で森に来てるよ。花が咲いててすごくきれいだよ…平和になったら、二人で一緒に行きたいね」

 未だ苦難の途中であるけれど。

 抱えきれぬ花は子供達の腕に。
 憧憬を込めて、心に。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 幻の空に確かな星を・御影 蓮也(ja0709)
 ブレイブハート・若杉 英斗(ja4230)
 蒼閃霆公の魂を継ぎし者・夜来野 遥久(ja6843)
重体: −
面白かった!:8人

保健室のお姉さん・
シルヴァ・ヴィルタネン(ja0252)

卒業 女 インフィルトレイター
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
修羅・
戸次 隆道(ja0550)

大学部9年274組 男 阿修羅
幻の空に確かな星を・
御影 蓮也(ja0709)

大学部5年321組 男 ルインズブレイド
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
命抱く騎士の矜持・
アルテナ=R=クラインミヒェル(ja6701)

大学部5年152組 女 アストラルヴァンガード
蒼閃霆公の魂を継ぎし者・
夜来野 遥久(ja6843)

卒業 男 アストラルヴァンガード
『山』守りに徹せし・
レグルス・グラウシード(ja8064)

大学部2年131組 男 アストラルヴァンガード