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マスター:天原とき
シナリオ形態:ショート
難易度:やや易
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/08/23


みんなの思い出



オープニング

●出立の前に
「――瀬憐」
「あ、はいっ。何でしょうか、御祖父様」
 厳格な祖父に呼び止められて、かつての宮古・瀬憐は少し慌てて佇まいを直しながら起立した。
「これを持っていけ」
「――? お守り、ですか?」
 紫を基調に、白い糸で緻密な文様が作られた、特に珍しいものとは思えない、そんな小さなお守り。
 皺だっているも、震えなどなくしっかりとゴツゴツしている祖父の手からそれを受け取った瀬憐は、眼前でそれを見つめながら尋ね返す。
 しかし、祖父は特別なにも言わず、すぐに踵を返して道場の方へと戻っていく。
「あ」
 そんないつもの祖父の姿に一抹の寂しさを覚えながらも、瀬憐は祖父の背中に一礼して、彼女も踵を返した。
 およそ一年と少し前のこと。
 宮古・瀬憐が久遠ヶ原学園に向かうその日の出来事だった。

●戦闘の中で
 ――それから現在。
「っ、は!」
 息をひとつ。
 瀬憐は死骸兵の爪を受け止め、そのまま盾で殴り返した。
 倒れたところを、即座に切り替えた槍で一撃。
 返す刃で、側面のボロい骸骨兵をがしゃんっと叩き砕く。
「ふ、うっ」
「宮古さん、こっちに回復くれ!」
「あ、はいっ、只今っ」
 同じチームを組んでいる仲間の要請に応じて、癒しの力を込めたアウルの光を送ることも忘れない。
 前衛の一角として敵の攻撃を抑えることも重要だが、より多く求められることがあるのはそちらの方だ。
 そんなわけで、チームの中で前衛と後衛を行ったり来たりすることもある瀬憐の運動量は多い。
 後衛のみと割り切って動くアストラルヴァンガードはダアトに近い動きをするため、それほどでもないのだが。
 瀬憐はどうにも後衛に立っているのが苦手な口で、今日もそんな風にして金のポニーテールを揺らしながら動き回っていた。
 場所は、ある旧天使支配地域の端の地域。
 破壊されてなお残るゲートの影響によって、腐骸兵と骸骨兵というさほどの脅威ではないレベルではあるものの、野良サーヴァントが頻出する区域だ。
 このような場所は撃退士の実戦訓練場のように使われることも多く、今回もそういう、掃除を兼ねた訓練のようなものであった。
 勿論、油断すれば死が待っているのだが。
「は、ぁっ」
 瀬憐はまだ若くとも、久遠ヶ原に来てから一年と少しでそれなりに場数は踏んできたため、油断はしてはいない方であった。
 少なくとも対天魔戦という部分においては。
「や、あっ!」
 僅かな合間に熱の入った呼吸を漏らし。
 父親譲りの金糸の髪に、青い瞳で敵を見据えて。
 母親譲りの細くも健康的な身体をはきはきと動かして。
 祖父から教えられた戦いの技術で、V兵器を振るう。
 あの日に受け取ったお守りは、首から下げている紐の下。
 ――それが、不意にぷつりと音を立てて、朽ちたアスファルトの上に落ち、瓦礫の影へと転がり込んだ。

「――あ、あれ!?」
 そんな困惑の悲鳴が響いたのは、その日の掃討が終わってからのこと。

●小さな落し物
「――その、そんなわけで、一緒にお守りを探して頂ける方を募集しています」
 そんな感じでやや遠慮がちに、瀬憐はその日の晩、最寄りの撃退士達の臨時前線キャンプでそう申し出た。
「色は紫で、白い糸で刺繍みたいに細かい模様があって――はい。戦区はFの12です。
 御祖父様から頂いた大事なもので――はい、どうしても。
 報酬はそんなに多くはありませんが、出来るだけ――はい、宜しくお願いします」
 小さな臨時斡旋所でそう申し出を済ませ、はぁ、とひとつ息を吐くと、そわそわと落ち着かないように腰を下ろし、暮れの空を見上げるのであった。


リプレイ本文

●出発
「――宜しくお願い致しますっ」
 夏の朝。涼しくもよく晴れた空はそれほど大差ない暑さの日になることを予感させる。
 そんな中、撃退士達の駐屯キャンプで元気よく挨拶をひとつ。
 宮古・瀬憐は集まってくれた八人の学び舎の仲間にそうして大きく一礼した。
「こちらこそ、宜しく。お守り、見つけましょうね」
「はいっ」
 麻倉 桐子(ja9796)と握手を交わし、瀬憐は頷く。
 他の仲間達も桐子同様に、本来の掃討任務に加え、瀬憐が落としたというお守りの捜索に参加してもいいとしてチームを組んでくれた八人だ。
 それをとても有り難いことだと思いながら、まずは最初の挨拶を終える。
「では、こちら。地図になりますので、前回の瀬憐さんの移動経路、サーヴァントの重点出現位置など、確認しながら進んで行きましょう」
「あ、はいっ。ありがとうございます ――これで、間違いないと思います」
 楊 玲花(ja0249)が「Fの12」と区分けされた、前回、そして今回のこのチームの担当掃討区域である地図を手渡す。
 瀬憐はそれにざっとペンを走らせ、手早く返却。それを全員で確認する。
「なるほど、一般住宅街跡から、霊園、堤防、か」
「戦闘が多いのもその辺りみたいだね。そうなると、落としたのもその辺り、かな?」
「はい…… 多分、そうだと思います」
 朱史 春夏(ja9611)の確認に続き、千明志鶴(ja4337)が促す。
 地図を見ながら、こうか、いやこっちのほうが、と積極的に検討してくれる姿は、瀬憐にとってとても心温まるものだ。
 この人達の為にも、私も全力で自分が出来ることをしよう。
 そう思って、瀬憐はぐっっと握り拳を作るのであった。

●第一遭遇
 掃討任務を開始して暫く。
 静寂に満たされた住宅街の廃墟を進む一行の前に現れたのは、腐骸兵六体からなる一団。
「腐骸兵ですっ。爪と、見た目に反して素早いことがあるので気を付けてくださいっ」
「分かった。前に出る。後ろから頼む」
 瀬憐の声に応じるように、盾を構えながら小柴 春夜(ja7470)が率先して前へ進む。
 対応するように跳び出して、爪を振り翳しながら襲いかかってきたその顔面に、春夜は落ち着いて盾を一発。
 攻撃を防ぐと同時、既に潰れかかっている鼻柱を叩き潰す。

 腐骸兵――彼らはいわゆるグールやゾンビと言われる存在で、耐久力はさほどではないものの、爪と、意外に強靭な力がある。
 何より厄介なのはその数で、ゲートから生み出す費用的なものが安いのか、一山幾らのノリで湧くことがある。

「…春夜ちゃん、瀬憐ちゃん、頑張って…」
 後ろから応援を入れるのはユリア・スズノミヤ(ja9826)。
 勿論、声だけではない。舞うような動きでくるりと一回転するとともに光の玉を生み出し、それを次々に撃ち出して腐骸兵の身体を一気に削っていく。
「はいっ」
「む……」
 元気に応じる瀬憐とは別に、春夜はなんともくすぐったげな顔。
 二人が吶喊してくる腐骸兵を押し留めている間に、端から順に後衛の援護射撃が降り注いで、その腐った身体を打ち砕く。
「秋武さん、そっちを―― 俺はこっちから行きます」
「あいよ」
 橘 月(ja9195)と秋武 心矢(ja9605)が、二人の盾から零れそうな腐骸兵を順に撃ち抜いていく。
 人型ということを意識してだろう、インフィルトレイターの二人らしい落ち着いた丁寧なヘッド・ショット。
 一発では倒れないものの、三、四発と立て続けに受け、あるいは頭が吹き飛べば、流石に崩れ落ちる。
 そうして程なくで一団は全滅した。
 盾を備え、後ろからの援護射撃が豊富な状況で一方向からの遭遇であれば、容易いもの。
「春夜さん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。この調子で行こう」
「はいっ」

 次の遭遇は、廃墟の中を見回っていた時。
 ひゅっ、と響いた風切り音に反応し、即座に矢を回避した玲花が警鐘の声を上げる。
 紙一重の回避。濡羽色の美しい黒髪が幾本か宙に流れる。
「っ、敵襲です! ――四時方向、マンション三階に弓二体!」
「っと、こっちにもいるよ! えー、九時方向、骸骨兵が三体!」
「十二時方向、腐骸兵三。囲まれたか」
 志鶴、春夏もほぼ同時に声を上げる。
 サーヴァントにしては奇襲でも掛けるつもりだったのか、それぞれ物陰からわらわらと湧く腐骸兵に骸骨兵。

 骸骨兵――いわゆるスケルトンだ。スケさんの愛称で呼ばれることも少なくない、それぐらいメジャーな天魔の配下兵。
 同じような立ち位置の腐骸兵とは敏捷で劣るが、武器を装備していることも多く、特に弓持ちの冷静冷酷な射撃は侮れない。

「――まず後衛で一気に弓を片付けましょう。それから二手に分かれて対応を」
「分かった」
「OKっ」
「了解ですっ」
 瞬時に桐子が出した指示に、一も二もなく従って全員がそれぞれの役目に動く。
 迅速さが肝要なのは、授業でも習ったことだ。やれるかどうかという不安はあっても、迷っている暇はない。
 骸骨兵の骨の矢が再び、空気を裂いて飛来する。
「行くわよ――」
「はいっ」
「うんっ!」
 しかし今度は、その骨の矢を飲み込まんばかりにアウルの矢が怒涛の勢いですれ違う。
 三人のダアト――桐子、ユリア、志鶴から一斉に放たれた矢、魔法の弾丸の嵐にも等しい攻撃が、マンションの通路のフェンスごと骸骨兵を滅多打ちにする。
 一体が吹き飛び、もう一体は辛うじて耐えたところを、追い打ちで飛んできた玲花の扇子がその頭蓋骨を吹き飛ばした。
「っ、と――次です」
「玲花さんっ、そっちに一体行きましたっ」
 回転しながら戻ってきた扇子を受け止めて玲花がひとつ。
 すぐさま逆手から苦無を振るい、背後に迫っていた骸骨兵の錆びた剣を受け止める。
「楊!」
「ええ――」
 一呼吸。
 玲花が手首を返し、ばんっ! と殴り付けるようにして骸骨兵を強く弾き飛ばす。
 そこへ振るわれる、春夏のパルチザン。
 ばきゃっ! と豪快な破砕音と共に、流石の阿修羅と言っていい一撃で骸骨兵が両断された。
「流石」
「いや――」
 藍色の軌跡を残して、パルチザンが返される。
 すぐ側面に迫っていた腐骸兵を胴から両断して、春夏は息を吐きだした。
「間に合って何よりだ」

●思いの塚
 その後は簡単なものだ。
 初戦と同じ、盾を持つ前衛である春夜と瀬憐が敵を正面から抑え、抜けた敵を玲花と春夏が排除し、安全な後方から志鶴、桐子、ユリアの三人で火力を以って殲滅する。
 不意打ちや増援の殆どは月、心矢の二人が発見、報告することで被害を減らし、攻略する。
 掃討の後で、くまなく捜索を行いつつ、更に移動する。

 そうして一行は、最初の目標地点でもある霊園に到着した。
「うわぁ…… いるいる。こりゃ、動き回ってるうちに落としたとしても仕方ないね」
 志鶴の声に、七人が声はなくも同意する。
 霊園は広く、綺麗に並んでいたであろう碑の残骸があっても、見晴らしのいい場所だ。
 それだけに骸骨兵、腐骸兵が霊園の至る所を徘徊しているのがよく見えた。しかも数が多い。
「……こんな状態になっているのは、あまり見たくはない光景ね。早く片付けてしまいましょう」
「そうだな、バチ当たりもいいところだ」
 冷静ながらも苛立ちと悲しみを隠せない桐子の声に、ひとつ頷いて春夏が同意する。
「はい。 ――ここは、次々と敵が寄ってきて、乱戦になる可能性が高いです。敵を引きつつ、まとまって行きましょう」
「了解だ」
 心矢の声に追って全員が頷き、撃退士達は前進を開始した。

「――っ!」
 がすがすがすっ! と骨の矢が石碑の残骸へと無尽に突き刺さる。
 それを申し訳ないと思いながらも、月はその影から弓持ちの骸骨兵へと応射。腕の関節を飛ばし、次いで頭蓋を割る。
「行くぞ、カバー頼む」
「分かったよっ」
 横から春夏が吶喊。護衛の剣持ちをその剣ごと両断し、続けざまに得物を振り回して腐骸兵の首を飛ばす。
 春夏の死角から彼を追う二体の足を止めるのは志鶴。呼び出された異界の手が骨の足を掴んでは確かに止める。
「く、宮古さん、回復頼む!」
 骸骨兵の斧を盾で受け止めつつ、体当たりで二体の腐骸兵を弾き飛ばしながら春夜が一声。
「分かりましたっ――心矢さん、十一時方向の二体、お願いしますっ」
「任せろ――」
 応じた瀬憐は短槍を投げて一体を貫きつつ、癒しのアウルを飛ばす。
 その横で心矢が正確に射撃。二体の腐骸兵の頭を飛ばす。
「三時方向に引いて! 九時方向から三体来ます!」
「分かった――スズノミヤさん、右をお願い。左をやるわ」
「ん…分かった。 …悲しい子。夜の闇に、お帰り…」
 玲花の警告に、桐子とユリアが応え、火力の集中点を変える。
 アウルごとに異なる、色とりどりの魔法の閃光が骸骨兵と腐骸兵を纏めて薙ぎ払う。
 乱戦に継ぐ乱戦。包囲と分断されるのだけは避けるように、撃退士達とその敵は石畳とアスファルトの上を駆ける。

「く――左右、それぞれ四! これでシメだ!」
「後もう一息です、頑張りましょうっ」
 追われて、最後の一群に飛び込まざるを得なくなった撃退士達が、それぞれ声を上げる。
 その最中に偶然に『それ』を発見したのは、心矢と桐子。
「――? おい、アレがそうじゃないか?」
「? ……! そうね、間違い無いと思う、けど――!」
 瓦礫の影に転がっている、紫色のお守り。
 だが、その場所は、今まさに腐骸兵が雪崩を打って吶喊してくる場所。
「――っ! それは大切なお守りなのよ、邪魔しないで!」
「ちょっ、麻倉、無理をするな! っ、全く」
 腐骸兵の足に今にも蹂躙されそうなお守りを見て、桐子が堪りかねたかのように突出しながら攻撃を仕掛ける。
 走って突き進みながら一体をアウルの矢で撃ち抜き、一体の振り抜かれた爪に二の腕を裂かれながらも、すれ違いざまに儀式短剣を突き立てる。奔る青い焔が腐骸兵の身体に注ぎ込まれ、大きくよろめかせる。
 心矢も同様にそのすぐ後ろを追いながら援護。桐子に短剣で突き飛ばされる形になった腐骸兵に無造作に二発を叩き込んで沈め、桐子が向かう先の一体の頭を撃ち抜く。
 バランスを崩した一体を、今度は桐子が術撃で吹き飛ばして、更に一歩。
「っ!」
 今まさにお守りを踏み付けようとしていた腐骸兵に体当たりをぶちかまし、しっかとお守りを確保。
 しかし体当たりを堪えた腐骸兵が、すぐさま桐子に襲いかかる――!
「させるか」
「間に合え!」
 たたんっ! という炸裂音。
 心矢と月が放ったアウルの弾丸が、爪の腕を貫いて一瞬を稼ぎ、その一瞬で次いで頭を吹き飛ばした。

 静かになった霊園。
 管理者のための小屋の木陰に、撃退士達の姿はあった。
「――はいっ、それです、間違いありませんっ! 桐子さん、心矢さん、ありがとうございますっ!」
 瀬憐がそう歓喜の声を上げて、お守りを手渡した桐子と心矢にそれぞれ、はぐーっ! と襲い掛かる。
「ちょ、ちょっと――もう。 ……見つかって良かったわ」
 桐子は小さな微笑みを見せ、瀬憐を撫でつつ、自身の胸元のネックレスに視線を落とす。
「っと。次からはもっと丈夫な紐にしとくんだぞ……? 発信機を付ければ完璧なんだがな……」
 心矢も受け止めてひとつ。その発想は何とも彼らしい。
「良かったな。次は無くさないようにするんだぞ?」
「はい、きちんと見つかって良かったですね。次からは無くさないように、しっかりと何処かに縫い付けるなりした方が良いかもしれませんね」
「ああ、紐が取れてしまっているんだな」
「そ、そうですね…… 帰ったら、こっちの鞄に縫いつけておこうかなと思います」
「ふむ。どれ、貸してみてくれないか」
 春夏がひとつ。手早く荷物から裁縫道具を取り出しては、手際よく縫い付けていく。
「――こんなものだろう。紐のように揺れない分、早々取れたりはしないはずだ」
「わ、春夏さんもありがとうございますっ」
 容赦ないはぐーに春夏も襲われつつ。
「…ん、よかった… 瀬憐ちゃんの『心』…見つけてあげられて…」
 それを見て撃退士達は小さな笑いと、ひとつの仕事を終えた安堵に包まれる。
「よし、じゃあここからは気楽に行けるね」
「でも、油断は禁物ですよっ」
「分かってるって。じゃあ、軽い応急手当から行こうか。時間、余裕あるでしょ?」
「そうですね。宮古さんだけに任せることもないでしょう」
「ありがとうございますっ」
 志鶴が持ってきた救急箱を荷物から出して、それを各自で使う。
 大きめの傷には瀬憐がアウルの光で適切に治癒。
「んじゃあ、まずは見張りに俺と――」
「俺も立ちますよ」
「わりいな」
「それなら、手当が終わったら交代で私が立つわ」
「…皆で交代、ですね」
 先程まで裂帛の気合と共に戦っていた撃退士達。
 一般人より遥かに強い力を持つ彼らでも、その本質は人と変わらないのだと示す、和気藹々とした光景が、夏の昼空の下にあった。

●終わりの時まで
 ――その後、彼らが展開した掃討作戦は、万事順調に進んだ。
「堤防の上から来るぞ。弓三、腐骸兵四」
「その塀の影で受けよう。遮蔽に使えそうだ」
 様々な状況下で小戦闘を繰り返して、撃退士達は着実に戦闘へと慣れていく。
 別に、正面からぶつかったとしても粉砕は可能な相手。
 だが、如何に被害を減らし、上手く戦うか――それを学ぶのが主眼であるということを、彼らは忘れてはいない。
「ち、回りこんで来てるな、こっちは微妙に失敗だったか――千明、橘、後ろを頼む」
「分かりました。麻倉さん、スズノミヤさんは続けて火力を。カバーします」
「…ん。玲花ちゃん、心矢ちゃんも気を付けて…」
 適切な判断。有効な連携。
 着実にそれを学び、自分が生きるための、そして大切な人を護るための糧としていく。
「春夜さん、一緒に受けましょうっ」
「よし、分かった。朱史、右から仕留めてくれ」
「分かった。 ――そら、お前の相手はこっちだ」

 昼を過ぎる頃には一通りを終えて臨時前線キャンプに戻り、食事休憩。
 お腹が落ち着くまで軽く反省会を行い、各自の連携と、状況に応じての展開を見直し。
 その後、再出発して、本格的に日が落ちてくる前に残党と再湧き狩り――

「――お疲れ様でしたっ!」
 全てが終わったのは、丁度五時頃。
 余裕を持っての終了と言っていいだろう。全員、さほどの怪我もない。
 大成功と言っていい成果に、皆、ひとつ自信を持って笑うのであった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:6人

『九魔侵攻』参加撃退士・
楊 玲花(ja0249)

大学部6年110組 女 鬼道忍軍
撃退士・
千明志鶴(ja4337)

大学部2年34組 男 ダアト
淡き花は幻夜に微笑む・
小柴 春夜(ja7470)

大学部5年235組 男 ディバインナイト
茉莉花の少年・
橘 月(ja9195)

大学部4年293組 男 インフィルトレイター
思いの護り手・
秋武 心矢(ja9605)

大学部9年164組 男 インフィルトレイター
左手は三毛猫のために・
朱史 春夏(ja9611)

大学部6年57組 男 阿修羅
思いの護り手・
麻倉 桐子(ja9796)

大学部6年176組 女 ダアト
楽しんだもん勝ち☆・
ユリア・スズノミヤ(ja9826)

卒業 女 ダアト