「……まさか、娘くらいの子達に囲まれることになるとはね」
「お猫様の和み時空に浸るのに老若男女関係ないです」
周囲を5人の可愛らしい女の子に囲まれている速水啓一(
ja9168)さん。その光景は、娘とそのお友達を引率するお父さんのようです。
そんな事を気にする啓一さんに愛くるしい笑みを浮かべながら答えるレティシア・シャンテヒルト(
jb6767)さんです。そんな啓一さんに引率された皆さんは温猫温泉に到着です。
「こんにちは〜」
最初は皆さんで元気にしっかりとしたご挨拶です。
「お手伝いに来ました!」
夜雀奏歌(
ja1635)さんの声が元気良く響き、同時に奏歌さんの髪がぴょっと動きます。
「にゃ〜ん」
そんな皆さんを最初に出迎えたのは、猫さんたち。
「大きい猫も可愛い……」
早速のお迎えに嬉しそうな顔になるフィル・アシュティン(
ja9799)さん。
「にゃっ」
そして、たたっとだっしゅで神谷愛莉(
jb5345)さんの足下に近づいて、鼻をくんくん『覚えのある匂いなの〜』って雰囲気で愛莉さんに体をすりつけてのご挨拶。
「こんにちは、いらっしゃいませ」
そんな猫さんたちの後から顔を出すのは、女将見習いの阿佐ヶ谷さん。
「またお世話になります」
「あら、愛莉さん。以前はありがとうございました」
愛莉さんは以前にもお手伝いで大活躍してくれたのです。
そんな恥ずかしそうな愛莉さんの足下で『なでてなでて〜』という顔で愛莉さんを見つめるポン太君。
「もふもふ久しぶりなの……」
そんなポン太君のご要望にお答えして、愛莉さんのもふもふなご挨拶。
「ぶにゃ〜」
愛莉さんのもふもふに満足そうなポン太君でした。
「顔と名前、覚えられるか不安だったけど名札があるんだね」
愛莉さんと交代して啓一さんがポン太君をもふもふしながらポン太君の名札を確認。この温泉の子たちには皆さん名札が付いているのです。
そして、ちょっと啓一さんと愛莉さんにポン太君とアユムちゃんを任せて席を外してもらいます。
ポン太君とアユムちゃんが啓一さんと愛莉さんと一緒に席を外したところで、賑やかな雰囲気が近づいて来ます。
「にゃ〜」
「みゃ〜」
「みぃ〜」
「にぃ〜」
どうやら、子猫ちゃんたちのご登場です。
『しらないひと、だれ〜』『にゃんだろう〜』『遊ぶの〜』そんな雰囲気を体いっぱいで表しながら、新しいお客さんに、おめめまんまるで見つめています。
「我が家にもこれくらいの仔猫が……」
そんな子猫ちゃんたちを見つめるニグレット(
jb3052)さん。
「子猫は一層愛らしいにゃ〜♪」
思わず自然に猫さん口調になってしまうフィルさん。そんなフィルさんに『にゃんにゃの〜』という雰囲気で近寄るのは赤リボンちゃん。
「君の名前はほたる君だよ」
そんな赤リボンちゃんに早速名前を付けてあげるフィルさん。
「ほたる君ですね」
優美さんはすぐにフィルさんの付けてくれた名前を書いて、リボンに名札を付けます。
「にゃ〜」
そんな名前が気に入ったのか、名前を付けてくれたフィルさんの足下からまんまるおめめで見つめるほたる君。
「うぅ〜 連れて帰りたい! 駄目だけど!」
そんな瞳で見つめられると、そんな事を考えちゃうのは、普通の事ですよね。
次に緑リボンちゃんが、レティシアさんを見つめてぽややんな顔。警戒されるかと心配していましたが大丈夫そうなので、ゆっくりと緑リボンちゃんに近づきます。すると、緑リボンちゃんの方からたたっとレティシアさんに近づいて足の上にちょこんっ。それから顔をすりすりしてのご挨拶。
「君の名前は……ちとせちゃん、というのはどうかなぁ」
そんなご挨拶にレティシアさんはお名前のお礼。
「にぃ〜!」
名前をつけてもらって嬉しかったのか、それともレティシアさんがお気に入りなのか、足の側でちょろちょろのちとせちゃんなのでした。
「にぃっ!」
ちとせちゃんは自分の名前が大好きになった様子で、何度も名前を呼ばれて嬉しそうでした。
「……悪魔が珍しいかね?」
「みぃ〜」
何かとニグレットさんのお尻を気にしている様子なのが、黄色リボンちゃん。
「うーん……」
ニグレットさんが名前を考えていると、うろうろちょろちょろ。他の人のお尻を気にしている様子な黄色リボンちゃんでした。
「よし、君の名前はジェリーだ。そんな名前の女性モデルがいたらしい」
黄色リボンちゃんの名前はジェリーちゃん、宝石みたいなお名前ですね。
他の子が名前をもらって、首輪に名前を書いてもらっているのを見て『ボクもボクも〜』って雰囲気なのは最後の青リボンちゃん。そんな青リボンちゃんの毛並みは柔らかい茶色。
「まろんちゃんで、どうでしょうか?」
「みゃん!」
茶色の毛並みから奏歌さんが想像したのはまろんちゃん。候補に『みかん』ちゃんもあったようですけど、青リボンちゃんはまろんちゃんが気に入った様子ですね。
奏歌さんに背中を擦り付けてもふもふな様子でした。
さて、子猫ちゃんたちは、実は他の猫さんたちとはご対面がまだだったりします。なので、しばらくはポン太君とアユムちゃんは啓一さんと愛莉さんにお任せです。
「うーんと、お散歩コースって、決まってますですか?」
「いえ、のんびり足の向くまましっぽの向くままです」
阿佐ヶ谷さんが楽しそうに説明して、一緒に周辺の地図を渡してくれます。
「愛莉君、アユムちゃんのお散歩は任せていいかな?」
「はい、愛莉にお任せです!」
ポン太君は啓一さんに任せて愛莉さんはアユムちゃんのお散歩です。久しぶりのお散歩にすっごく嬉しそうなアユムちゃんでした。
「それじゃあ、ブラッシングしようか」
愛莉さんとアユムちゃんを見送った後に啓一さんはお膝にポン太君を乗せてのブラッシングです。
「ぶにゃ〜」
啓一さんの手はとても優しく、まるで娘さんの髪を梳くようなブラッシング。最初はちょっとぶちゃいくな声を出していたポン太君ですが、そのうちにぐっすりとお休みしてしまいました。
「さて、他の子の様子はどうかな?」
そして、ポン太君が完全にお休みしたので、啓一さんは他の子猫ちゃんたちの様子を見に行くのでした。
子猫ちゃんたちのお相手をしていた皆さん、元気よく飛んだり跳ねたり潜ったり、そして名前を呼ばれて嬉しそうにしたり……そんな子猫ちゃんたちですが……。
「あらあら、おねむにゃ〜」
急にぱったりと体を丸くしたかと思うとお休みも〜ど。ほたる君はフィルさんのお膝に頭だけ乗っけてお休みで、ちとせちゃんはころんっと転がって、両手をばんざ〜いのポーズ。その上にじゃれて乗っているまろんちゃんと一緒にお休み。ジェニーちゃんはニグレットさんのお尻の隙間に入って、そのままぐっすりです。
「寝ている間は私が見ていようか」
そんな子猫ちゃんたちの寝顔を見つめながら啓一さんにお任せして、他の人たちは今のうちに別の用事を開始です。
「猫ちゃんが幸せに遊ぶためなら頑張れるのです!」
奏歌さんの声で皆で作成開始です。作業は色々と一緒に初めて、出来ればキャットタワーが目標なのです。
フィルさんは段ボールをそろえて切って、それを巻いて巻いて……出来上がるのは猫さん必須の爪とぎ。爪とぎは消耗品だから、とっても助かりますね。
「みゅぃ〜」
皆さんが作業をしているなかで、まろんちゃんは奏歌さんのお膝に寝ぼけまなこで移動です。そしてお膝にちょこんと手を置いて、そのままやっぱり夢の中へ。
「ちょっと危ないです」
そんなまろんちゃんをだっこして胸元へ。そのままお顔だけ出して落ち着いちゃった模様。そのまま奏歌さんは作業を続けるのでした。
そして愛莉さんは紐と布を使って出来上がるのはカラフルなネズミさん。それに紐を付けてれば立派な猫じゃらしの完成です。いくつか出来たので、それもキャットタワーに取り付けます。
そんな感じで皆さんで協力して完成しましたキャットタワー。レティシアさんの気遣いでちょっと穴が大きめだけど、すぐにぴったりの大きさになるよね。
そして、キャットタワーが完成した頃に……もそもそと目を覚ます子猫ちゃんたち。その目は出来上がったキャットタワーに釘付けです。
『にゃんにゃにょにゃ〜』『こわいの〜』『のぼるの〜』『たのしい?』三者三様ならぬ、四匹四様の様子の子猫ちゃんたち。元気いっぱい、楽しくジャンプしたりもぐったりと物凄く元気に楽しく遊んだ後は、またお休みなのでした。
そしてひとしきり遊んだ後は……一番大切な予防注射です。
「暴れる子猫ちゃんなのですか?」
病院は本当は猫さんにとってと〜っても大切な場所なのですけど、どうしても怖いところなのです。
「えっと、今までは暴れた事は無いのですが……」
優美さんが聞いた限りでは、そんな話は聞いた事は無いのです。ですが、病院は独特の雰囲気ですから、普段はおとなしい子でも急に暴れたりするらしいのです。
「そうですか……」
予防接種のために用意してきた洗濯ネットを手にお悩みな奏歌さん。とりあえず持っていって臨機応変にする事に……って、思っていたらまろんちゃんは、奏歌さんの手の洗濯ネットにおめめキラキラ。
「入る?」
入り口を開けると、たたっと中に入って満足そうな顔で落ち着くまろんちゃん。
「みゃ〜」
それを見て一緒にだっしゅのジェリーちゃん。まろんちゃんと洗濯ネットの中でおちつきモードです。
「じゃあ、行きましょうか」
そんな様子にレティシアさんはちとせちゃんを抱っこ、フィルさんはほたる君を抱っこして、病院の予防接種へ出発です。
「いってらっしゃい」
そんな皆さんを見送る愛莉さん。予防接種の間にアユムちゃんとポン太君のお相手を担当なのです。
さて、病院へ到着しました。病院の中の独特の雰囲気に少しのわくわくと、いっぱいのどきどきな子猫ちゃんたち……と思ったらちとせちゃんは、レティシアさんに抱っこされて幸せそうな顔。
それも、レティシアさんが一緒に持ってきた普段使いのタオルと一緒に抱っこしているからかな?
獣医さんの簡単な診察の後は、手早く注射の準備。
「大丈夫ですよ」
優しくちとせちゃんを撫でながらのレティシアさんの優しい言葉。でも、そんなお注射を見て、思わず視線をそらす啓一さん。
「私も、その……注射は少し苦手でね……」
そんなギャップのある事をほんわかなおじさまが言うのだから、ちょっと優美さんの顔が赤くなっていました。
「……」
ちとせちゃんの首筋にちくっとお注射です。
「にゃ!」
ちくっと刺さったお注射にびっくりだけど、じっとしていたお利口さんなちとせちゃん。
「ふふ、びっくりして動けなかっただけかな?」
獣医さんは笑って教えてくれるのですが、それを見ていて、不安そうな雰囲気なのは、洗濯ネットに入っているジェリーちゃんとまろんちゃん。
少し暴れようとするけど、洗濯ネットの中では動けません。
「今のうちにね」
「みぃ!」
「みゃ!」
そのうちに手際良くお注射する獣医さん。ちょっとちくっとして痛そうな声を上げるけど一瞬です。
「頑張ったご褒美だよ」
「よく頑張ったな」
奏歌さんとニグレットさんからご褒美のおやつをもらって、痛いのを忘れちゃうのでした。
「にゃ〜」
「怖いだろうけど、大丈夫だよ。よしよし……」
そんな様子を見ていて怖くなっちゃったのか、ほたる君はフィルさんの腕に顔を埋めてしまいました。それでも予防注射をしないと、もっと大変な事になってしまいますからね。顔を埋めている間にちくっとしてしまいます。
「よしよし、よく頑張ったね」
顔を埋めていたからか、フィルさんが優しく抱っこしていたからか、暴れずにお注射終わりのほたる君。よくわかっていないけど、フィルさんに誉められて嬉しかった様子です。
そして、皆さんのおかげで無事に予防接種も終了なのです。まあ、あと1ヶ月後にもう一度あるのですけどね。
「お風呂です! 猫ちゃんも綺麗にするのです!」
子猫ちゃんたちと一緒に温泉へ突撃する5人。
「じゃあ、私はその間、ポン太君とアユム君の面倒を見ているよ」
今日はポン太君もアユムちゃんも温泉の日じゃないので、入りません。アユムちゃんはともかく、チンチラゴールドのポン太君は一度入ると色々と大変な事になるのです。
「以前は近づくと逃げられてしまっていたのだがな」
すでに慣れたポン太君とアユムちゃんは啓一さんにべったりと甘えも〜どなのでした。
「にゃ?」
初めての温泉でちょっと不思議顔な子猫ちゃんたち。匂いは普段から温泉宿にいるから気にならない様子ですけど、いっぱいのお湯にわくわくとどきどきが半分くらい。
「どうかな?」
桶で温泉のお湯を入れてほたるちゃんに近づけると『なんだろこれ?』と、どきどき顔。そんなほたるちゃんの足に、優しくお湯をかける。
「みゃ!」
ちょっとびっくりして飛び上がるほたるちゃん。たたっと入り口までもどって顔を伏せてみゃ〜んな顔。
同時に他の子猫ちゃんたちもほたるちゃんと一緒に入り口まで戻っちゃいました。
「ごめんね、ちょっと早かったかにゃ?」
そんなほたるちゃんのびっくりの様子がとっても可愛かったから笑顔になっちゃっているけど、でもまろんんちゃんとジェリーちゃんは、ちょっと落ち着くともう一度温泉に近づく様子。
それから皆さんで色々と工夫しますけど、子猫ちゃんたちはお湯は気になるけど、お湯にさわるのはちょっと怖い様子。
「猫船奏歌号なのです!」
なので、奏歌さんは桶にまろんちゃんを入れてお船のようにお湯に浮かべます。
『なにこれ楽しいの〜』そんな猫船にしっぽをぴんっとさせるまろんちゃん。
ジェリーちゃんはお湯から少し離れたところでニグレットさんと一緒に水遊びな雰囲気で遊んでいます。
ちなみにちとせちゃんは、最初からレティシアさんの側を離れないのでした。
「ご飯ですよ」
そして夕食は優美さんが配膳をお手伝いしています。並べられたご馳走にちょこっと乗っているのは、子猫ちゃんのご飯。
「よく食べる小動物というのは、なぜこんなに愛らしいのだろう」
皆さんと一緒にご飯を食べる子猫ちゃんたち。今日は元気良く遊んだので、ご飯をぱくぱくと食べています。
「本当可愛いにゃ〜」
「そうですね」
レティシアさんも美味しそうに食べるちとせちゃんを見て、頬がゆるんでいます。普段の淑女な雰囲気なレティシアさんが、ちとせちゃんを見て頬がゆるむ姿はとても愛らしいものです。
「にゃ〜」
そして、すぐに自分のを食べ終わる子猫ちゃんたち。でも、もうちょっと食べたそう。
「これも、どうぞ」
そんな様子を見て、用意されていた子猫ちゃん用の小皿を差し出して食べさせて上げます。そしてお腹一杯でぐっすりとお休みな子猫ちゃんたちの幸せそうな寝顔を見て静かに微笑むのでした。
ここは猫と温もりを友にする宿、どうかまた遊びに来て下さいね。