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●最終結果
 すっかり空は茜色に染め上がり、天高い雲が秋が近くまで来ている事を感じさせた。
 耳を澄ませば、カナカナカナとヒグラシが夏の名残を演奏し、温んだ風も火照った体には心地よい。

 思えば随分と長い間、祭り騒ぎをやっていたような気がする。
 実際には1日程度の事だというのに、ひと月以上騒いでいたような……気のせいだろう。
 世の中にはそっとしておくべき事象もあるのだ。
 ともあれ、球技大会だ。
 世の中にはそっとしておくべき事象もあるが、白黒つけねばならない事もある。
 久遠ヶ原の数あるグラウンドの一角、歴戦の戦いによって築かれた得点が刻まれているボード。
 大将二人――紅組大将・アリス・ペンデルトンと、白組大将・太珀の両教師と、少なからず結果の気になった参加生徒が見守る中、運営スタッフによって得点ボードの文字板が交換される。



 体に残る煤を払った太珀は、悠然と笑みを深くして、髪を掻き揚げた。
 体中に始末書を貼り付けたアリスが、愕然と悲しみを隠さず、その場に崩れ落ちる。


    【紅組アリス軍】 1510点   【白組太珀軍】2360点


「勝者、白組太珀軍!!!」

「さぁ、打ち上げだ!!」
 引き上げていく、生徒達。
 愕然と座り込んでいたアリスに張り付いていた、始末書がはらりと手元に落ちた。
 否、これは始末書ではない――
「待つのぢゃ! この請求書とはなんぢゃ!? 全員分の参加賞金一封〜〜〜っ!?」
「打ち上げ代も、先生が払ってくれるんですよねー♪」
「「ゴチになりまーす!」」
 誰かが打てば、響く合唱。嗚呼合掌。


「敗者にはお似合いだな」
「当然お主も払うんぢゃよ!!」
 後日、とても慎ましい食事事情の両教師を目撃した生徒が居たとか居ないとか。

 最初に先行し、何度と無く紅組に追いつかれながらも逃げ切った白組の栄誉を讃え、何度も諦めずに追いついた紅組みの健闘を讃え、久遠ヶ原アルティメット球技大会はここに閉幕!!


球技大会エピローグ 担当マスター:コトノハ凛








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