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 初めて任務に挑むなら簡単に説明しよう。
 選択肢詳細が公開されているが、発生しているすべての状況に反応しようとしても到底不可能だ。
 ひとつの選択肢には300名ほどの撃退士がいる。
 全員が課題を一つクリアするだけで、大きな勢いになる。
 自分の特性を考え、仮に長所がなくても情報収集や避難誘導で貢献するんだ。




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5月17日の状況

現在の地図




現在の状況詳細

  東北地方の広域において、冥魔の子爵ザハーク・オルスを総指揮官とする悪魔の軍勢が襲撃を繰り返しています。
 この冥魔の凶行を阻むべく久遠ヶ原学園は撃退庁からの要請を受け大規模動員令を発令しました。
 作戦目標はザハークの支配エリア内にある収容所を攻め落とし囚えられた市民を救出する事、並びに子爵ザハーク・オルスの討伐です。

 久遠ヶ原学園、撃退庁、防衛庁の共同部隊は岩手県久慈市に集結し、同市より九戸街道を抜けて奥州街道へと入り北上しています。
 広域に分散して東北諸都市への襲撃を繰り返していた冥魔軍は十和田市へと帰還する動きにあるようです。
 冥魔軍の一部は、未だ主力を欠いている状態ですが一定数の集結を成功させ、こちらを迎撃する為に南下を開始しています。
 これは冥魔の主力が帰還、集結するまでの足止め部隊と見られています。

 この冥魔軍と北上する人類側共同部隊は青森県南部にある水戸群南部町沖田面周辺で会敵する見込みです。
 収容所を陥落させて市民を救出する為には、まず立ち塞がるこの迎撃部隊を打ち破らなければなりません。

 今後の戦局を優位に運ぶ為にも、冥魔の迎撃部隊を迅速に撃破し、徹底的に叩きましょう。
 ここで優位を確保できない場合、支配エリア内での戦いが非常に厳しい物になると予想されます。

 奮闘が期待されています。この緒戦を成功に収め、人々を救出する為の足がかりとしましょう。武運を祈ります。


第一回行動入力内容発表

はじめに

●大規模作戦の選択肢とは(初心者・初級者向け)
大規模作戦の選択肢とは、『どこで戦うか』と『どうやって戦うか』をざっくりと分類したものです。
大規模イベントは無料で参加できますが、プレイングは100文字しか書けないため、
選択肢および行動方針を決定することで自分の行動を決めることができます。
それぞれの選択肢には詳細に情報が記述されていますが、
100文字のプレイングで書けることは限られています。
通常のシナリオと同じように『どうやって活躍するか』『キャラクターの台詞・心情』などを中心に執筆するようにしましょう。
単純に『戦う』『救助する』に、それらが加えられただけでも活躍できる可能性はあります。
台詞と 『敵や状況を無視して攻撃手段』だけ書いておけば、とりあえず大丈夫です。

また、各選択肢の情報が長いという方は、
プレイング提出画面に短い選択肢を用意する予定ですので、
そちらをご閲覧下さい。

●大規模作戦の役割とは(初級者向け)
ラジオボタンで選択する選択肢の中に、
『役割』と呼ばれるものがあります。
これは『どういった行動をこの選択肢の中でとることを求められているか』といったことを
短くまとめたものであり、プレイングの中(できれば冒頭付近)にこの文字を入れることで、
「その行動をとっているものとして扱われる」ことができます。
プレイング文字数の節約にもなるので、少し慣れてきたらできるだけ選ぶようにしましょう。

●大規模作戦の方針(初級者 〜 中級者以上)
「作戦に仲間を集めるのも大変!」
そういったあなたのために『作戦方針掲示板』が新しく登場しました。
作戦方針表明掲示板で方針を記述するだけで『同じチームである』ものとして扱われます。
方針内容がプレイングに採用される場合はMVPなどの限られたとき限定ですが、
方針に同意している場合、タグなどを設定しなくても描写時に同グループとして扱われます。
作戦が思いつかない方も作戦に誰かを巻き込みたい方も、ぜひご利用ください。


選択肢1●本隊央軍   ・難易度 ★★★〜★★★★

・味方NPC戦力 構成比
 久遠ヶ原学園撃退士 150
 撃退庁撃退士     25
 企業撃退士      15
 フリー撃退士     10

・解説

 北上する撃退士部隊の前に立ち塞がる冥魔軍本隊へと攻撃を仕掛けます。

 道路を中心に荒地が広がっている地形です。荒野の東西は山林となっています。
 山林の間を通すように、道路と荒野が南北に広がっています。左右の山林は別隊が担当するので、央軍は荒野と路上で戦います。
 遮蔽物がないので真っ向からの押し合いになると予想されています。

 央軍は味方戦力が厚い為、崩される可能性は低いですが、万一にも央軍が崩壊すると戦線が瓦解しますので全軍の生命線でもあります。

 左右が山林であり、央軍が突出しすぎると側面から敵の奇襲攻撃を受ける恐れがあります。
 しかし、かといって、央軍が左右に備えを払いながらの前進では勢いが鈍る為、敵を押し切れない可能性が強くなります。
 央軍は正面を押す事に専念する必要があります。
 基本的に東西の山林には右翼部隊と左翼部隊が配置されていますので、彼等と歩調を合わせて前進する限りでは、
奇襲を受ける心配はありません。

 左翼右翼の戦況に合わせて、突出しすぎず、遅れず、歩調を合わせて堅実に敵を押し込んでゆく事が求められます。

 敵の中央にはデスストーカーやドラゴンゾンビといった大型のディアボロを中心となっています。
 少数のブラッドロードが指揮を採り、ブラッドウォリアーがロードの直衛につく体制と見られています。

 全体的に寡勢な冥魔軍ですが、中央はやや厚く、400程度の数が予想されています。大型など強力な固体も多いので、
紛れもない敵の主力です。
 およその戦力比は大型ディアボロ6:ブラッドウォリアー3:ブラッドロード1、となっています。

 ヴァニタスのハリドゥーン=ナーガの姿が確認されています。二刀を遣う少年剣士で一度に無数の斬撃を衝撃波として飛ばしてきます。
 ヴァニタスとしては上位であり、六星枝将長クラスの実力はあると目されています。火力が高く、遠近共に隙がありません。
 回避力も高く、小規模戦では強力な強さを誇る固体です。一方、防御力や耐久力はあまり優れていないようで、囲まれると脆いようです。
 基本的に突出せずにディアボロと連携しながら戦列を維持するタイプのようです。


・主な役割
『主力攻撃隊』 
 とかく正面を攻撃して、攻撃して、攻撃して、前進します。
 戦線を崩さない事が大切になります。求められるのは矢面に立つ勇気と敵の反撃に耐える忍耐力、
 それを無謀としない武力、そして周囲と足並みを揃える協調性となります。
 基本的に近接と遠距離、どちらが優先という事はありません。
『支援隊』 
 基本的に攻撃隊のすぐ後方に構えます。要所要所で識別可能な遠距離範囲攻撃による火力支援や、
 負傷者への治療スキルなどを用いて攻撃隊の前進を支えるのが役割となります。
 原則的に遠距離からの火力支援や治療支援が行える技術が求められます。
 なお火力支援の際に味方を巻き込まない丁寧さも求められます。




選択肢2●本隊左軍  ・難易度★★〜★★★

・味方NPC戦力 構成比
 久遠ヶ原学園撃退士 100
 撃退庁撃退士     15
 企業撃退士      10
 フリー撃退士      5

・解説  北上する撃退士部隊の前に立ち塞がる冥魔軍本隊へと攻撃を仕掛ける央軍の側面支援が主な役割となります。
 こちらは左翼(西)を担当します。

 交戦予想地域は主に山林となっています。

 起伏が多く、木々も乱立している為、移動が困難です。また遮蔽物が多い為、飛び道具は平地に比較すると扱いづらいでしょう。

 中央軍の側面や背面を敵に突かせない為にも、山林から敵部隊を排除する必要があります。
 中央軍は左軍と右軍の前進速度に合わせての攻勢が予定されている為、左軍が遅れると本隊全体の前進速度が鈍ってしまいます。
 その為、速やかに敵を殲滅する攻撃力と機動力が求められます。
 敵に時間を稼がせない為にも、攻勢を主導して全体の戦況を優位に導きましょう。

 斥候隊の報告によれば、敵の右翼(西)はブラッドウォリアーやブラッドロードなど人型中型のディアボロが
多く配置されている事が確認されています。
 戦列を組んでの押し合いというよりは、木々が乱立し起伏が激しい悪地形での乱戦となる事が予想されています。

 山林に潜んでいる敵の総数は200程度と目されています。

PL情報)
 ヴァニタス・アシュラ出現
 冷静な立ち回りに定評のあるヴァニタスです。ヴァニタスとしては中位に位置し、バランスの良い万能的な能力を持ちます。
 戦況を見ながら周囲と連携し穴を埋めるように立ち回ってくる厄介なタイプですが、爆発力はあまりありません。
 ですが一度、アシュラ側に有利な戦況を作り出されてしまうと、容易にはそれを覆らせない堅実さを持っており、
逆にこちらの穴は見逃さずに突いて来ます。彼女を打ち破るには地力で勝るか大きなミスをせずに押し続けなければならないでしょう。

・主な役割
『索敵攻撃隊』
 山林に潜む敵部隊を見つけ出し、機動殲滅隊へと報せると共に自らも攻撃に加わります。
 探査能力と戦闘能力の双方が求められますが、特に重要なのは索敵能力です。
『機動殲滅隊』
 敵発見の報せを元に急行して味方に加勢、敵戦力を撃滅します。
 火力が高くとも、間に合わなければ意味がないので、機動力が特に重要となります。



選択肢3 ●本隊右軍  ・難易度 ★〜★★★ 

・味方NPC戦力 構成比
 久遠ヶ原学園撃退士 100
 撃退庁撃退士     15
 企業撃退士      10
 フリー撃退士      5

・解説
 北上する撃退士部隊の前に立ち塞がる冥魔軍本隊へと攻撃を仕掛ける央軍の側面支援が主な役割となります。
 こちらは右翼(東)を担当します。

 交戦予想地域は主に山林となっています。

 起伏が多く、木々も乱立している為、移動が困難です。また遮蔽物が多い為、飛び道具は平地に比較すると扱いづらいでしょう。

 央軍の側面や背面を敵に突かせない為にも、山林から敵部隊を排除する必要があります。
 央軍は左軍と右軍の前進速度に合わせての攻勢が予定されている為、右軍が遅れると本隊全体の前進速度が鈍ってしまいます。
 その為、速やかに敵を殲滅する攻撃力と機動力が求められます。
 敵に時間を稼がせない為にも、攻勢を主導して全体の戦況を優位に導きましょう。
 右軍は特に優位な状況にあります。これは敵側が最初から東側へと割く戦力を薄くし、その分他へとあてているからです。
 この右軍で手間取ってしまうと、他が厳しくなります。逆に敵は時間稼ぎを狙ってくると予想されています。
 右軍が勝利を収める事自体は難しくありませんが、迅速に勝利を収める必要があり、それは相応の難易度を持ちます。
 勝利しても、敵に時間を稼がれてしまった場合、作戦的には失敗といえるでしょう。
 勝って当たり前の戦域は決して落とす事ができません。心理的なプレッシャーをはねのけて仕事をこなせる人が向いています。

 斥候隊の報告によれば、敵の左翼(東)はデーモンバットやグールドッグ等、比較的小型のディアボロがメインになっています。
 単体の能力は低く、数もそれなりでしかない為、平均的な実力の撃退士ならば、
周囲としっかり連携してあたれば押される事はないでしょう。
 ただし、ヘルハウンドなど強力な個体も数が少ないですが混じっている為、注意が必要です。
 戦列を組んでの押し合いというよりは、木々が乱立し起伏が激しい悪地形での乱戦となる事が予想されています。
 また敵は機動力と小回りの良さを活かして奇襲を多様してくる事が予想されますので、
突発的な遭遇戦に強い編成だと敵の殲滅が捗るでしょう。

 山林に潜んでいる敵の総数は300程度と目されています。

PL情報)
 ヴァニタス・サキュバス出現
 直接的な戦闘能力は高いとはいえませんが、非常に強力な魅了術を持つヴァニタスです。
 男女問わず魅了状態にして同士討ちを誘発させる事を得意としています。
 もしも貴方が状態異常に対抗策がなく、火力だけは高いという場合、操られて味方に甚大な被害を
 発生させてしまう可能性があるので特に注意が必要です。

・主な役割
『狩猟隊』
 山林に潜む敵部隊を狩り出し殲滅します。
 索敵能力があると良いですが、山林を回れば敵の方から仕掛けて来る可能性が高い為、戦闘能力の方が求めれます。
 ただし、その戦闘能力にしても、敵はさほど強力ではない為、駆け出しの撃退士でも十分活躍できるでしょう。
 万一強敵が出現した場合、速やかに虎牙隊へと連絡を入れる役割も担います。
『虎牙隊』
 基本的に狩猟隊と同じ役割を担いますが、ディアボロではなくヴァニタスやデビルなどが出現した際に、
 急行してその対処にあたる役割も兼ねます。強敵に対抗できるだけの能力が求められます。



選択肢4 ●別働隊  ・難易度 ★★★★★

・味方NPC戦力 構成比
 久遠ヶ原学園撃退士  75
 撃退庁撃退士     12
 企業撃退士       7
 フリー撃退士      6

・解説
 自衛隊戦力を狙って西から急行して来ている冥魔の別働隊を迎撃します。
 ここで自衛隊戦力が壊滅してしまうと、市民搬送の際の人手が足りなくなってしまう為、
致命的な被害となって作戦が立ち行かなくなる可能性があります。
 なんとしても敵別働隊の突撃を防ぎ、突破を許さないようにしましょう。
 もっとも、偵察隊の報告によれば、敵は寡兵である為、苦戦は強いられないと予想されています。
 無謀な特攻はすみやかに返り討ちにしてやりましょう。

 交戦予想地域は主に見晴らしの良い荒野となっています。
 起伏が少なく遮蔽物もない為、奇襲を受ける心配はありません。接近戦に雪崩れ込むまでは飛び道具、
特に範囲攻撃が威力を発揮するでしょう。
 
 敵別働隊の数は200程度と報告されています。ブラッドウォリアーやブラッドロードが中心の編成で、
ディアボロとしては比較的強力ですが、ヴァニタスやデビルなど特に強力な固体の存在は確認されていません。

PL情報)
 前線に立つNPC撃退士が阻霊符を使用しています。
 敵部隊と味方部隊の距離が500m程度まで近づいた頃に地中から大量のディアボロが出現します。
 地中から出現する数はおよそ300程度で、冥魔の別働隊は総数は500程度と各隊の中で最大になります。
 その際にディアボロの他にヴァニタス・ユグドラとバロネテス・タリーウも地中から出現します。
 撃退士の迎撃隊を一気に突き破ってそのまま自衛隊の壊滅させるべく一丸となって矢の如くに突撃してきます。
 これは冥魔軍の乾坤一擲の一撃なので、激戦が予想されますが、ここで人手を失うと救出作戦が根本から立ち行かなくなりますので、
なんとしても防ぎましょう。

 この冥魔の不意打ちに近い突撃をそのまま受けてしまうと壊滅は必至ですので、対策が必要です。
 ただし、PL情報は「キャラクターは知らない情報」です。不自然なプレイングは却下されてしまいますので上手く工夫しましょう。

・出現ネームド
 ユグドラ
 好戦的なヴァニタスです。ヴァニタスとしては戦闘能力に秀でた強力な固体で、六星枝将長クラスの実力を持つと言われています。
 特に攻撃力に優れ、突撃突破能力や一瞬の爆発力には定評があります。波に乗せてしまうと一気に戦況を覆されかねないでしょう。
 性格的な問題により突出気味になるのが弱点と目されています。
 タリーウと連携してきます。

 タリーウ
 准男爵の位を持つ女悪魔です。直接的な戦闘能力や火力は低いですが、広範囲へとバッドステータスを撒き散らす
 非常に強力で多彩な幻影能力を持っています。
 現在は先の戦いによって負傷していて、魅了効果を持つ幻影を扱う事が不可能となっています。
 ただし魅了以外は行使してくるので脅威である事に変わりはありません。
 ユグドラと連携してきます。

『主力迎撃隊』
 戦列を並べて前衛に立ち、敵の攻勢を受け止めます。敵の攻撃に対して退かずに正面から受け止める耐久力と勇気が必要となります。
 もっとも人数が必要とされる役割です。この隊が壊滅するとまず敵の自衛隊への突破を阻止する事は不可能な為、
 今回の作戦全体が失敗に終る可能性が飛躍的に高くなります。苦労は多い役割ですが全体の命運を握ります。
『遊撃隊』
 迎撃隊が盾であるなら矛の役目を持ちます。迎撃隊が受け止めた敵を機動力を活かして側面等から突き崩します。
 万一迎撃隊の隊員が倒れ、穴が生じてしまった場合、そこを埋める役割も持ちます。戦場を自由に動き回れますが、
 それだけに戦況判断能力と少数で動いても十分な戦闘力を発揮できる実力を兼ね備えている必要があります。
『支援隊』
 基本的に迎撃隊のすぐ後方に構えます。要所要所で識別可能な遠距離範囲攻撃による火力支援や、
 負傷者への治療スキルなどを用いて迎撃隊を支えるのが役割となります。
 原則的に遠距離からの火力支援や治療支援が行える技術が求められます。
 なお火力支援の際に味方を巻き込まない丁寧さも求められます。




今回の作戦の支給品

 大規模作戦は、その重要性から、一部アイテムが購買から『理由によっては』貸し出されます
全撃退士に全アイテムを貸し出していると、数も予算も足りなくなってしまうので
1.『必要であるということがプレイングから読み取れ』
2.『必ず壊れることを前提とした使い方をしない(消耗品を除く)』
3.『戦域条件を満たしている』

場合に限り、アイテムが貸与されます。
撃退士は該当アイテムを『持っている』扱いにしてプレイングをかけていただいて構いません。
ただし、貸し出される製品はどれも強化・改造などはされていませんのでご注意ください。
壊しても弁償を請求されることはありませんが、無謀な使い方では、そもそも貸し出された扱いになりません。


●支給品一覧
●全戦域
1.現実社会で3000円以内で安易に入手できるアイテム。
2.光信機(結界・ゲート内部でも使用できる携帯電話のようなもの)

●救出作戦
1.一般人輸送用トラック(1t、2t)
2.拡声器
3.救急箱(一般人用)





イメージノベル (執筆 : 望月誠司)


 大規模な悪魔達の襲撃により激戦が繰り広げられている東北地方。
 各都市の防衛についていた撃退士達から次々に報告が上げられてくる。
 複数の報告を総合すると、冥魔達はデビルキャリアーによって人間を大量に捕獲し、それを青森県十和田市の北東、東北町が小川原湖の湖畔へと運び込んでいるようだった。
「湖畔、ですか」
 久遠ヶ原学園の学園長室、学園長の宝井正博が呟いた。
 状況について説明をする壮年の男、撃退庁室長本田信彦が頷く。
「どうやら湖のほとりに巨大な収容所が建てられているようです。偵察隊が持ち帰った情報によれば、捕獲された市民は湖畔の収容所内へと次々に運び込まれていると。各地の撃退士達も奮戦していますが、連れ去られた市民の数は、把握されているだけでも既に一万を超えると目されています。実際の人数は二万に迫るか最悪それ以上でしょう」
「……既に二万、ですか。なんとかしなければなりませんな」
 宝井は苦々しい表情で呟く。防衛戦を行いながらにしてこれなのだ。敵の捕獲ペースが速い。悪魔達はこれまでにないほどに捕獲戦力を投入しているようだった。デビルキャリアー、単体での戦闘能力は決して高くないが、その捕獲・輸送能力には抜きん出たものがある。
「連れ去られた市民はなんとしても救出しなければならん」
 皺の刻まれた老人が言った。撃退長長官の久井遥明だ。
「十和田市を中心にゲートを構えているザハークは強硬な手段で知られる悪魔だ。奴は他の天魔と違い一定の成果をあげれば退くという事をしない。際限なく奪い尽くしてゆく。奴は滅びをまきちらす存在だ。手をこまねいていては青森周辺から命ある者達は消滅するだろう、悪魔どもを除いてな。東北が魔界と化す前に、なんとしても奴の野望を打ち砕かねばならん」
 長官の言葉に一同は頷く。
「撃退庁は小川原湖畔の収容所へと攻撃を仕掛け、これを陥落させて囚われている市民を救出すると共に、ザハーク・オルスを討伐する為の計画を進めている。久遠ヶ原学園にもその作戦に協力して貰いたい――というより、実質的にはそちらが主戦力になるだろう。抱えている撃退戦力は撃退庁よりも久遠ヶ原の方が大きい事に加え、撃退庁の戦力の大部分は襲撃を受けている東北各都市の防衛に割かれてしまっているからな。無防備にする訳にもいかんから、これは動かせん」
「状況は解っています。勿論、協力させていただきますよ。この国の危機ですからね」
 宝井は頷く。
「神楽坂君、ただちに大規模動員をかけるとして、まとまった戦力を出動させる為には何日必要かね?」
「このような状況ですから、既に臨戦態勢は整えています。一千程度でしたら即日にでも。ですが、それ以上となるともう少しかかります」
 黒髪の少女はそう答えた。
「可能な限りまとまっていった方が良いだろうな。敵が分散しているうちに、中核を叩いておきたいというのもあるから、あまり時間をかけてもいられんが」
 と久井遥明。
「自衛隊の出動は望めるのでしょうか?」
 神楽坂茜は老人に問いかけた。
 前提として撃退士は一般人と比して数が多くない。ザハーク・ゲートの支配エリア内に建つ収容所を攻撃して陥落させる事に成功しても、そこに囚われている二万に迫るという数の市民を抱えながら人類圏まで無事に脱出する事は、撃退士のみでは難しいと思われた。首尾よく陥落させたとしても、奪還を阻止せんとしてくるであろう悪魔達の妨害を防ぎながら、万を超える市民を搬送するには絶対的に手が足りない。まず陥落させる事ができるのかどうかが不明だが、先の事も考えつつ出撃しなければならない。
「救出した市民の搬送を主任務としての協力は取り付けてある。規模が悩みどころだがな。自衛隊とはいえアウル能力の無い者は天魔に抗う事は出来ない。必然、自衛隊員も撃退士が護衛する必要がある。作戦が成功して市民を確保出来たとして、そこから市民を搬送する為には手が必要だが、手が多くなりすぎては手を守る為の撃退士が足りなくなる。君は対天魔現場の経験も豊富だと聞くが、どの程度の数が適切だと思うかね?」
 神楽坂は思う。難しい所だ。
 捕えられている市民の数、敵の戦力、味方戦力の集まり具合、天候や地形状況にも拠る。
「……状況にも拠りますが、いたずらに人数だけを増やすよりは車両を多く用意した方が良いと思います。悪路に強いものが良いです。道路が使える状況とは限りませんから」
「その辺りは本田と同じ見解だな。参考にさせて貰おう」
 久井は頷いた。
「しかし……今回の敵は悪魔博士ザハーク・オルスに猛将アラドメネクですか。まともにぶつかって勝機があるのでしょうか……?」
 愁いに柳眉を曇らせて神楽坂茜が言った。
 子爵に少将、一般的なヴァニタスや下級デビルとは一線を化す存在だ。集結している下位悪魔達だけでも人の身では厄介極まりないのに、大物が、しかも同時に二柱もいるという。
「撃退庁も無策ではありません」
 本田信彦が言った。
「現在、冥魔は各都市の襲撃に出払っており、その中にはアラドメネクも含まれています。撃退庁はかの猛将の動向を捕捉しています。そして分散しているうちにこれを少数で討伐する準備を進めています」
「少数で討伐……そんな事が可能だと?」
「少数といっても数十人以上は必要だと思いますが。しかし数百人といった大規模な数を用いなくとも、我々は十分に可能だと思っています。こんな時こそ『アレ』は使われるべきではないですかな」  撃退庁の室長はそう述べた。
「あれですか……確かに、あれを用いれば、成功する目はありますな。使用にリスクはありますが」  と宝井。
「我々は賭けるべき場面だと思っています。機が訪れた際には是非ともにご協力をお願いしたい。撃退庁の乾坤一擲の機です」
 本田が頭を下げ、宝井は「解りました」と頷いた。
 久井が言った。
「最悪でもアラドメネクは合流させん。その為の手は打っている。その間に本隊は収容所を攻略しザハークを討つ。こちらは学園戦力を主軸に撃退庁と防衛庁を補助につけて共同で行う。フリーの撃退士にも声をかける。共同部隊の本部は久慈市に置く。迅速に可能な限りの編成を整えて東北へと向かおう。なんとしてもザハークの魔手から市民達を救出せねばならん」


 二〇一三年晩春、岩手県久慈市に集結した人類側部隊は久遠ヶ原学園を中心とする撃退士戦力を先頭に北上を開始した。目指す先はザハークの支配エリア内にある人間収容所、それを陥落させ捕らえられた市民を救出する事が目的である。
 湖の湖畔に建つ巨大な人間収容所。
 壁は赤黒くまるで生物の血管のように至る所にパイプが張り巡らされている。
 収容所内にはプールのように青白い色の液体が満たされた巨大な貯水槽が無数にあり、その一つの前に黒衣に身を包んだ老人が立っていた。
「博士殿! 博士殿! 大量のゲキタイシどもが南から迫って来ているようです!」
 老人の元へとヴァニタスのハリドゥーン=ナーガが駆けて来て道化のように騒がしく声を張り上げた。 「……撃退士か。数は?」
 ザハーク=オルスはデビルキャリアー達の口内から水槽へと大量の人間が吐き出されてゆくのを眺めながら問う。蒼白い貯水槽の中には、各都市から捕獲されてきた大量の市民達が浮かんでいた。 「ふむ……なかなか素早い。ディメンションサークルだったか、片道だがそれに限りれば、あちらは小回りが効くな。興味深い」
 悪魔博士はハリドゥーンからの報告を受けると独白するように呟いた。冥魔にもゲートだけでなくそのサークルとやらがあれば、もっと効率良く生命を殺戮できるのではないだろうか。それはきっと素晴らしい事だ。
 ディアボロと魔道具の研究がザハークの専門だが、空間跳躍技術を研究してみるのも面白いかもしれぬと老人は思う。
「アラドメネクは戻って来ているかな?」
「いえ、少将はまだニンゲン狩りにお出かけになったままです! 他の九魔の大半も諸都市へと襲撃をかけている最中で、報せは飛ばせていますが、こちらに戻すには時が必要かと!」 「なるほど、で、あるならば……やむえをえんな。しばらく時間を稼ぐ必要があるか。ハリドゥーン君、指揮を君に預ける、出来るかね?」
「ご命令とあらば! しかし博士殿、博士殿は……?」
 怪訝な表情を浮かべてハリドゥーン。ザハークは博士と呼ばれていても研究一辺倒の悪魔ではない。経験豊富で強大な力を持った大悪魔だ。かつては天使を相手に悪魔の軍勢を率いて戦い多大な戦果をあげている。単体での戦闘能力ではさすがに猛将アラドメネクよりはやや劣るが、それでも凡百の及ぶ所ではないし、奥の手を発動させたザハークはそのアラドメネクすらも遥かに凌ぐという。若輩のヴァニタスであるハリドゥーンが指揮するよりもザハーク子爵が指揮した方が悪魔達は力を発揮する筈である。ここで敢えてハリドゥーンに預けるその意図はなんなのか。
 悪魔博士は答えて言った。
「空間跳躍技術に興味が湧いた。構想を練りたい」
「……」
 ハリドゥーンは沈黙した。
「研究をしたい」
 老人は繰り返した。
「……こ、この時この場所で、ですか?」
「何か問題があるのかね?」
 まるでそうするのが当然の事のように老人は言った。
 問題ありまくりだろう、とハリドゥーンは思った。研究の為に指揮を放り投げるのも問題だし、わざわざ戦場になりそうな場所に留まって構想を練るなど一体何の意味があるのか。
「ゲキタイシどもはこの場所を目指しています。危険が迫っています。では、せめてゲート内で行われては如何でしょうか? あちらの方が設備も充実しておりますし」
「君は何故、そんな意味不明な事を聞く? 危険な場所で研究するからこそ退屈しないのだよ。それが良き発想を産むのだ。撃退士の大部隊が迫ってくるなどまたとない機会だろう。ならば、ここに留まって研究するのが合理的というものではないかね?」
 ああ、そうだ、そういう爺だった、とハリドゥーンは天を仰いだ。生きる世界の理屈が違う。
「良き研究には刺激が必要なのだよ」
「刺激、で済めば良いのですけどね」
「なに、撃退士とやらは力を増して来ているらしいが……奴等は一糸乱れぬ統率のとれた集団ではない。個々に力があったとしても、所詮は烏合の衆、構造上の問題故に、それは容易には覆せん。一丸となっての攻勢など到底仕掛けられまいよ。必ず足並みは乱れる。過去の戦例を見るに、奴等が強いのは防御であって、攻撃ではない。君でも十分時間は稼げよう」
「人は変わるものですが」
 戦法とは過去の記録から決定すべきものではなく、実際にその時対面している相手の様子から決定すべきものだ。そうハリドゥーンに教えたのは他ならぬザハーク・オルスであるのだから、この爺がそれを知らない筈はない。つまり今ザハークが言っている事は建前で、単なる口実だ。
「そういえば君も元は人間だったなハリドゥーン君」
 蛇の悪魔は喉を鳴らして笑った。
「人は変わるか。それが起こるのなら、より面白くなる。そうは思わんかね? 危地に身をおくからこそ退屈せんのだ」
「然様ですか」
 ハリドゥーンは嘆息した。冥魔の軍勢をなんだと思っているのか。悪魔の鑑とはよく言ったものだ。老人は危機に陥りたいようだが、それに諾々と付き合わされる道理もない。
 厳しい状況であると思う。せめてタリーウ准男爵の幻術が十全に使えるなら、奇策の一つも建て易かったのだが、彼女は負傷し魅了の術を使用できなくなっている。
 しかし、
「博士殿、博士殿、時を稼げ、という事ですが……援軍を待たずとも、僕が撃退をしてしまっても構わんのですよね?」
「ほう、大きく出たなハリドゥーン君。解りきった道筋を辿らぬからこそ面白い。君も既に悪魔だ。己の欲するままに、好きに戦え」
 老人はそう言って笑った。


 岩手より奥州街道を北上し、青森へと進軍する共同軍の前に、ハリドゥーン=ナーガが率いる冥魔部隊がこれを捕捉し立ちはだかった。両陣営は青森県南部、水戸群南部町沖田面にて会敵する。
 冥魔側の高位のデビルは諸都市の襲撃から帰還しておらず、ディアボロの総数も少なかった。主力を欠き、数で劣っている冥魔だったが、しかしハリドゥーン=ナーガは部隊をさらに二つに分けた。
 自身が率いる本隊を撃退士戦力の正面へと進ませ、もう一方の別働隊を側面に回し、人類側共同軍の後方に控える自衛隊戦力を狙う構えを見せたのである。
 撃退士達が自衛隊戦力を見捨てて正面に全戦力を集中させてくれば、ハリドゥーン本隊の壊滅は免れえないだろうが、人類側が組織が異なる連合である以上、容易に捨石とするような用兵はできぬと踏んだのである。捨石にすれば、今後の連携に支障がでる。また、撃退士は数が少なく、彼等だけでの速やかな市民の救出は不可能な以上、見捨てられはしないと予想したのだ。元が人間であるヴァニタスだからこその発想だった。
 学園側はかくて、ハリドゥーンの予想通りこちらも部隊を二つに分けて正面と側面への対応にそれぞれをあてた。自衛隊の直衛に撃退庁戦力がつき、最前列には学園撃退士が並んだ。冥魔側の思惑は読めていたが、乗らざるをえなかった。しかし、
「冥魔の主力はただでさえ各都市への襲撃に出払っていて戦力の集中ができてへん。寡兵をさらに二つに分けてきたんやから、ウチらには余裕がある。撃退士は少数での戦いの方が一般に慣れとるから、むしろ有利…………嫌な感じやな」
 生徒会執行部の大鳥南は顔を顰めた。
 それに生徒会長の神楽坂茜が答えて言う。
「普通に考えればこちらが有利ですけども、普通に考えればわざわざ敵自ら不利になるような真似なんてしませんもんねぇ。ザハーク=オルスは風変わりな悪魔だという報告はあがってきてますが」
 指揮を取っているのがザハークでなくヴァニタスのハリドゥーンだという情報を学園はまだ掴んでいない。
「一応、用心はしといた方がええかもしれんな」
「しかしあまり時間をかけてはいられません。こちらが今有利なのは、敵の主力が諸都市への襲撃に出払っていて冥魔は戦力の集中ができていないからです。今回の大戦の目的の一つは収容所を陥落させ囚われている市民を救出する事です。野戦で敵を撃破するだけではその目的は達成されません。この野戦は緒戦に過ぎません。後に控えている収容所を陥落させる為にも、目の前の相手は速やかに撃破する必要があります」
「急いて罠にかかるんは阿呆のやることやで」
「そう思わせてこちらの勢いを鈍らせる事こそが目的なのかもしれません。こちらの進撃が遅延してしまえば、それだけで敵は優位を取り戻してしまいます」
「……厄介やなぁ。いずれにせよ行くしかないっちゅー事か」
 赤毛の少女は呟き北を睨んだ。
 峻険な山林の狭間に構える、血染めの外套に身を包んだ異形達の軍勢は、気勢もあげずに静かに不気味に佇んでいた。






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