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三界の同盟。言うのは簡単だが、ここに至るまでどれだけ苦労があったか。
特に、間に立つ人界の苦労は多かっただろう。 いち天使として、感謝する。

しかし、『神界』とはな。私達の神器研究開発に携わる知識が何か力になれるかもしれない。
天王が目指す『神界』 早急に知らなければいけないだろう。 何かが手遅れになる前に。




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3月31日更新分(クリックで開閉できます)


 桜の開花が関東でも告げられ、薄手の上着でも運動をすれば汗ばむ陽気。
 そして、学び舎を冠するものであれば大抵の場所では春休みという短い休暇が所属する生徒たちには与えられる。
 だが、今年の春休みはいつもと空気が違っていた。

 『三界同盟為る』

 少し前からTVでもその特集番組がチャンネルを賑わわせている。
 慎重論も多いが、実際に学園にいる堕天使やはぐれ悪魔の撃退士達によって、これまでに救われた実績が多くあった事も取り上げられ、概ねは肯定的に、国と国のように世界と世界が付き合っていくようになるのではないかなどの議論がなされている。
 下地にあるのは、いわば戦時疲れとでもいえるもの。
 友好を結べるのなら、結んで平和な世界がほしい。
 その想いは、先の侵攻の折りに、学園生徒によって世界に天姫アテナと冥将ベリアルの様子を中継した事も後押しとなった。
 顔の見えない恐怖は、同じ人の形をした対話の可能な存在になったのだ。
 これは主にネットの方の話題となり、こちらはこちらで多くの議論がかわされている。

 しかし、それで全ての問題が解決したわけではない。


 久遠ヶ原学園の生徒会室。そこで生徒会長である神楽坂茜は、タブレットPCの資料を確認していた。
 侵攻防衛後、交戦した事で得られた天王達王権派の情報に加え、同盟が成ったことで明かされた天魔両世界の情報。更には先日数度に渡って行われていた『密告者』レギュリアへの聞き取りの調書。
 一度に増えた情報をまとめるのには、多少の時間を要した。
 タブレットという文明の利器がなければ、大量の枚数の資料となっていたはずだ。そして、それを大勢の生徒に知らせるのも困難だっただろう。
「配布用の資料の準備、終わりました」
「ありがとうございます。助かりました。そちらもお疲れでしょうから、少し休憩を取ってください」
 手伝ってくれていた女子生徒の声に、お昼まだだったでしょうと微笑めば、幼い顔立ちの残る少女は緊張した顔を赤くしながらお辞儀をして生徒会室から退出していった。
 入れ替わりに、良く見知った顔が戸口に立つ。
「憧れのお姉様は罪作りやな」
 からりと人懐っこく笑う彼女は、茜の親友、大鳥南だ。
「なんのことですか。それより、南ちゃんもチェックしてくださいね? この資料は多くの人に見せるものなんですから、慎重に作らないと」
「えぇけど、その前に腹ごしらえ。茜ちゃんかて、なんも食べてへんやろ」
 差し出してきた箱からは甘い香り。そもそも箱のプリントにドーナッツが飛んでいる。
 お昼にドーナッツというのは、体には悪そうだが、資料とずっと向かっていた身にはその甘さは大きな誘惑であるのは確かで。
「……他でもない南ちゃんのご厚意ですからね。たまには素直に受け取ることにしましょうか」
「素直やないなぁ」


「うちらも生徒会はじめのころは、あんなもんやったな」
 急な話題で、なんの事を言ったのか一瞬分からなかった茜だが、戸口の方に視線を向けて懐かしそうに目を和ませている南を見て理解した。
「5年前の私達……ですか。確かにそう言われてみれば、彼女はこの学園が『始まった』時の私達と同じ、ですね」
 思い返せば色々あった。
 良いこと、悪いこと、その両方が5年分。
「終わらせたくないやんな」
「ええ。だからこそ、これらの情報は学園全員で共有するべきです」


 その日、学園に所属する全ての者に向けて、学園から電子メールが届く。
 天王について、判明した情報を載せて。



 久遠ヶ原私鉄『清浄駅』駅前商店街のはずれ。
 小さな喫茶店の奥に、厳重な警備で護られた一室があった。さして広くないその部屋は、病室のようでもあった。それは内装が白が基調なこともあるが、家具と呼べるものがベッドと椅子くらいなものだからというのも大きいだろう。
 ケープを被り、少数の護衛と共に銀髪の彼女はここを訪れた。
 彼に、会うために。

「大きく立派になられましたな、殿下」
「貴方も、よく…ご無事でオグン将軍」

 古い呼称で呼ばれた老将は、膝をつき天姫を迎えた。
「貴方に会うために、この地に来たのです」
 天姫にとっての始りは、それだった。
 父王に渡された数少ない教えにあった、『頼るべき相手のオグン将軍』
「将軍はおやめ下さい。それははるか昔に友に返上した称号です。ですが、剣を持つ事ももはや叶わぬ身ではありますが、僅かばかりでも力になりましょう」
 天界は勿論の事、叶わぬと思っていた己がもう一度アテナと出会える未来まで生かしてくれた人の子の為にも。

「天王侵攻の話は伺いました。天王が使ったという『威圧』の術。恐らく冥魔の宰相殿あたりからも聞かされるでしょうが、あれは冥王の術です」
「どういう、ことですか?」
 天王は、いうまでもなく天使だ。それが悪魔である冥王の術を扱うという事なのだろうか。
「どういう技術なのかまでは、わかりませんが、あの術は間違いなく冥王のものです」
 冥王は高齢で、若い頃…即ち前天王ゼウスの御代の時代に敵対した事があるのだとオグンは語る。
 周囲を恐ろしく禍々しい気で覆い、生命をも削る冥王の技。
 同様のものは天界には存在しない。
「噂では、冥王は天王に敗れたそうですが、その際に奪ったのかもしれません」
 あの術を展開されては、ろくに近づく事も出来ない。
 アテナはもとより、護衛として共に来た生徒も顔を顰めた。
「ですが対策が無いわけではありません。冥王に対抗できるのは、天王のみです」
 そして、この場には王位を継承出来る者が一人いる。

「王座に就きなさい、アテナ様」

 
                                                              (執筆:コトノハ凛)



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【三界】の関連人物(クリックで開閉できます)

   天魔についての実力は学園に在する天使や交戦した撃退士からの聞き取りによって得た情報が中心であり
   必ずしも実際の実力とは合致しない。

天界・王権派

ベリンガム ラジエル
天界の王。
穏健的な統治であった前王のゼウスを弑し王となったとされていたが、長い間《元老院》エルダーによって幽閉されていた。
王権を取り戻し、能力を持つものが正しく評価される世界を目指し『二度目』の政変を起こす。
元より露出の少ないまま、幽閉された為、実際の人物を知る物は少ない。
イラスト:玖
《元老院》エルダーと呼ばれる、王に次ぐ地位を持つ12の貴族長達の一人であった。ベリンガムが蜂起した際、最初から側にあり、現在も右腕として彼を助けている。 その姿は優秀な執事そのものであり戦いは得意にはみえないが、その地位に見合うだけの絶大な力を持つと言われている。
イラスト:足立 加法

シリウス 崇寧真君
王権派に与する狼獣人の姿をした天使。元々の位は低いような口ぶりではあるが、頭脳、戦闘力共に高位天使に劣らず、現在はザインエルと同等クラスという見方が強い。 しかし、純粋な武人然としたザインエルと違い、どちらかといえば強襲偵察を含む諜報に長けた人物であるらしい。 また仕事では、冷徹、完璧を好むが、その一方で無意味に子供を殺さないという一面も持っている。 四国ゲートの主、ミカエルと古い因縁がありシリウスから一方的に憎んでいるという。 神器を壊す神器の所有者。
イラスト:mati.
漢服のような衣装を着た、壮年外見の天使。
自らを「おっさん」と自称する飄々とした性格であり、掴みどころのない雰囲気。
広範囲高射程の連撃を得意としており、見た目通りに武術に秀で、見事な体捌きを見せる。
王権派の前線指揮官の一人としてベリンガムの下についており、シリウスやアルヤとともに行動している場面が度々目撃されている。
イラスト:箱ノ山かすむ

アルヤ
シリウスらと行動を共にすることが多い女天使。察知能力に優れるため、諜報活動に参加する事が多い。
ぱっと見は普通の女の子だが、トカゲを思わせる鱗や長い尻尾を持つ。
気ままな性格で、気分やノリで行動する事が多い。そのためうっかりミスをすることもあるが、本人はあまり気にしていないようだ。
イラスト:花詰真香

天界・エルダー派

メタトロン 智天使 アテナ 王族
地球方面天界軍総司令。階級は智天使。 性格はどちらかといえば穏健派な為か、天界からのエネルギーと情報が封鎖された状況において、やや対応が後手に回っている。 ザインエル、トビトと力ある天使が王権派に寝返り、更にその王権派によって部下達のゲートを襲撃されるという事態を経て、長としての舵取りを問われる状況となった。 ミカエルから奏上されている、人と手を組む提案には、未だ懐疑的ではある。
イラスト:墨
天王ベリンガムの実妹。長い間修道院に隠されていた為、エルダーにしかその存在は知られていなかった。 穏健的な亡き父の性情を強く継ぎ、育った環境から他者の為に力を使う事を厭わない性格。 己の政治的価値と背負う責務を強く自覚し、同時に無力である事に憤りを感じている。 努力家ではあるが、あらゆる物事で経験不足な面が多い。 神器《絶対防御》イージスの盾の所有者。
イラスト:musubi

アセナス 大天使 ミカエル 力天使
ウリエルを主とする『焔劫の騎士団』の現騎士団長。
『白焔』の二つ名を持つが、炎系の術が得手というわけではなく、主にその性格によるところが大きい。プラチナブロンドの髪と蒼い瞳を持つ、一見すると王子様的外見。
武器はロングソード。前衛型。父を騎士団員に持つ生まれたときからの騎士だが、その育ちのよさゆえ性格や戦闘には甘さも見られる。
敬愛するオグンから団長を引き継ぎ、ツインバベルと学園が協力関係となった今、新しい騎士団の形を模索している最中。
イラスト:寝起きの幻想
四国愛媛に坐するゲート《ツインバベル》の主の一人。 天界の前王であるゼウスの側近の一人でもあった元座天使。ベリンガムが王位に就くとともに失脚し、位階を落とされた上で半ば左遷された形で地球にくる。前王の意志を強く継いでおり、地球に置ける穏健派のリーダー的存在でもある。
穏健派天使の立場を守る為、長く表だってで動くことは無かったが、【四国劫天】という大きな時代の変化を受けて、表舞台に舞い戻る。最近は特に、学園との協定の履行。天姫アテナの救助など学園と関わる事が増えている。 アクラシエルとは、旧来の友。
イラスト:白亜

ハミエル ???
地球で最初に起きた「天王」の関与した戦い、【AT序】で目撃された天使。
天使達からの説明によれば、エルダーと呼ばれる古い血族の生き残り。
彼女の一族はこれまでアテナの軟禁を担当していたが、政変の際天王に従わなかった為、制裁を受け壊滅した。
生まれやプライドの高さから強い物言いが目立つが、思想としては穏健派寄りである。
イラスト:pondel

冥魔側

ベリアル 大将級冥魔 メフィストフェレス 大公爵
ベリアル・エル・ヴォスターニャ。
私兵団・冥魔空挺軍『ケッツァー』の頭で、ルシフェルの妻。 『魔器』である『空挺・エンハンブレ』を所有している。
気性は豪放で陽気で好戦的、加えて酒豪。
【AT】大規模作戦の結果、学園と停戦協定を結び、現在は実質的な協力関係にある。所有する艇および団員とともに学園の近隣に駐留中。

イラスト:山神さやか
広島の因島に居を構える高位悪魔。大公爵と称し、それが許される実力を持っている。 興味が沸けば、酔狂な事も認める享楽者。しかしその気だるげな瞳の奥の深淵に潜む智謀に気付いたのであれば、印象は一変するかもしれない。 人類に対し、早くからこれまでの搾取対象以上の評価をしていた節があり、度々直属の《メイド》を撃退士達に関わらせていた。 つくばゲートを巡るベリアルの停戦交渉は、彼女の入れ知恵によるものであるとの情報もある。
イラスト:モコ


相関図



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【三界】大規模作戦コンテンツ一覧(1〜2月実施)


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